JP4232302B2 - 新聞用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新聞用紙に関するものであり、さらに詳しく述べるならば、印刷後不透明度に優れる新規な軽量新聞用紙に関するものでる。
【0002】
【従来の技術】
近年、新聞用紙に対しては、環境保護、増頁あるいは新聞配達員の作業負荷軽減等の観点から用紙の軽量化の要請が強まっている。新聞用紙の軽量化を行うと、すなわち用紙の単位面積当たりの重量(坪量)を小さくすると、用紙厚さが薄くなり、印刷前の用紙の不透明度を維持することが困難になるばかりでなく、印刷後の不透明性を維持することも困難となり、印刷後の不透明度の低下に伴って印刷面の裏面に印刷面が透き通って見える現象(ショウスルー)が起こり、印刷品質上の問題が生じる。
【0003】
そのため、印刷後不透明度を含む用紙の不透明度を向上させる目的のために抄紙用原料中にさまざまな填料を添加することが一般的に行われている。 例えば無機系の填料としては水和ケイ酸や酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム等が1種類または2種類以上を組み合わせて使用されている。
通称ホワイトカーボンに代表される水和ケイ酸は、他の填料と比較して低価格であるため多用されている。ホワイトカーボンを抄紙原料に添加して抄紙することにより、インキの浸透を抑制し、印刷後不透明度を付与する効果はあるが、白紙不透明度に対する効果も含めて総合的には十分な効果水準に達しているとは言い難い。例えば、特開平5―301707号公報において最適なホワイトカーボン粒子の細孔の半径、細孔の積算容積等が規定されているが、満足しうる効果とは言えない。
【0004】
また有機系の填料としては、尿素―ホルムアルデヒド樹脂が使用されることもあるが、価格が高いために印刷後不透明度の向上性能とのバランスがとれないこと、さらには、近年、人体への有害性が論じられているホルムアルデヒドを製造原料して使用するため、環境への配慮という面からは問題があると言わざるをえない。
【0005】
このような新聞用紙の不透明度向上に関する技術的側面とともに、最近では、より一層の軽量化が望まれている。すなわち現在の新聞用紙は、20℃、相対湿度65%の環境下で調湿した時の1m2当りの重量(以下坪量と言い、g/m2で表示する)として43〜44g/m2程度のものが主流だが、近い将来には42g/m2未満の軽量の新聞用紙に移行する可能性があり、用紙の不透明度を向上させるという点からは厳しい状況になることが予想される。一方、軽量化の流れとともに、生産性向上の観点から新聞用抄紙機の高速化も進んでおり、1分間当りの抄紙速度は1500mを超えようとしている。
【0006】
軽量化と抄紙機の高速化が進展しつつある状況のもとでは、抄紙用填料によって不透明度向上を図ることは困難が予想される。すなわち、抄紙用填料は多くの場合、平均的な粒子直径は数μmから数10μmの範囲(例えば前記ホワイトカーボンの平均粒子径はおよそ20〜30μm)であるが、単一直径の粒子として存在しているわけではなく、小粒子径から大粒子径まで広く分布しており、不透明度の発現効果の大きい小粒子径領域の粒子は紙中への歩留まりが著しく悪い。紙中への填料粒子の歩留まりは、当然のことながら、抄紙される紙が薄くなるほど、また高速で抄紙されるほど強い剪断力と脱水力を受けることによって低下するので期待効果を発現することがますます困難となる。
【0007】
軽量化された新聞用紙において、本発明が所望する十分な不透明度を出すためには、紙中における填料の割合を増加させる必要があるが、これらの填料は本質的にセルロースを主体とする抄紙用パルプとの接着性を有していないため、紙中の填料の増加は抄紙用パルプ同士の結合性(繊維間結合性)を阻害する原因となり、紙の強度を適切に保持できなくなってしまう。
【0008】
また新聞用紙の主に多色カラー印刷性を改善する目的で、吸油性の高い顔料を含む表面処理剤を塗布する技術があるが(特公平4−9237号公報)、好ましい塗布量範囲(原紙片面当りの乾燥重量で3〜8g/m2)において、今後、新聞用紙が、より軽量化されること予想すると、用紙の薄物化および印刷後不透明度の向上という品質課題とコストの低廉化とを両立させるにはいまだ不十分である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、極めて少ない塗布量の表面処理剤塗布であっても、優れた印刷後不透明度を有する軽量新聞用紙を提供することにあり、そのための新規な表面処理剤用顔料を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。即ち、本発明は、「原紙の両面に、水和ケイ酸と接着剤を主成分とする表面処理剤を塗布し乾燥して得られた新聞用紙において、該水和ケイ酸のレーザー法による平均粒子径が0.5μm以上、5μm以下であり、かつ粒子径(μm)を対数で表示したときの粒子径に対する粒子体積の分布の標準偏差が0.4以下であり、かつ該水和ケイ酸の存在量が原紙の片面1m2当り乾燥重量で0.05g以上、1.5g以下であることを特徴とする新聞用紙」である。
【0011】
また、本発明は、前記本発明の新聞用紙を製造するにあたり、表面処理剤の塗布をフィルムトランスファー方式によって行うことを特徴とする新聞用紙の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明に係る原紙のパルプ繊維としては、不透明度、剛度の観点からメカニカルパルプを30重量%以上使用することが好ましい。
メカニカルパルプとしては、TMP(サーモメカニカルパルプ)、PGW(プレッシャライズドグランドパルプ)、RGP(リファイナーグランドパルプ)、GP(グランドパルプ)、CGP(ケミカルグランドパルプ)等が挙げられる。
新聞用紙の諸特性の点においては全く制限はないが、環境面への配慮という点、製造コストの低減という点からは、古紙パルプ(脱インクパルプ)を使用することも好ましい。古紙パルプは20重量%以上が好ましく、メカニカルパルプと古紙パルプの合計で、80重量%以上であることが特に好ましい。
また新聞用紙の強度を適正に付与する等の目的のため、必要に応じて公知の化学パルプ(NBKP:針葉樹晒クラフトパルプ、NSBKP:針葉樹半晒クラフトパルプ、LBKP:広葉樹クラフトパルプ、等)も適宜使用できる。
【0013】
さらに、新聞用紙の白色度、不透明度を適切に制御する目的で、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の公知の填料をパルプ繊維に適宜混合して抄紙することが可能である。また、これらの填料の原紙中における歩留まりを適切に制御する目的で公知の歩留向上剤を添加したり、填料の添加に伴う紙力低下を抑制するために公知の紙力増強剤を添加することも可能である。
【0014】
また、酸性抄紙用あるいは中性抄紙用の公知のサイズ剤および該薬剤の定着剤等を前記の抄紙用原料に添加して、成紙にサイズ性を付与することが可能である。例えば酸性抄紙用には、サイズ剤としてはロジン系サイズ剤、定着剤としては硫酸ばん土との組み合わせが使用できる。中性抄紙用にはサイズ剤としては、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)あるいはロジン系中性サイズ剤等が使用でき、定着剤としてはカチオン化デンプン等が一般的に使用できる。
【0015】
本発明において、原紙の両面に塗布される表面処理剤の主成分は顔料と接着剤とで構成される。顔料としては、前記した特定範囲の平均粒子径と粒子径分布を有する水和ケイ酸のみを使用することが望ましい。他の顔料を併用する場合でも、本発明の水和ケイ酸を80重量%以上とする必要がある。
該水和ケイ酸の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(「SALD―2000J」:島津製作所製)で測定した時に、0.5μm以上、5μm以下である必要があり、好ましくは、0.5μm以上、3μm以下である。
【0016】
原紙の表面上への表面処理剤の塗布量が同一であれば、平均粒子径が小さいほど粒子の数が増加する。そのため印刷用インキの吸着性が向上するので、印刷後不透明度の向上効果が大きくなる。しかし本発明に使用される水和ケイ酸粒子には、本質的にパルプ繊維に対する接着性がないので、表面処理剤には接着剤を含有させる必要がある。平均粒子が小さくなるほど、当然のことながら、その比表面積が増加するので、表面処理剤中の接着剤を増加させる必要が生じる。平均粒子径が0.5μm未満であると、接着剤使用量が増加して、用紙自体の不透明性を損なうばかりか、接着剤そのものが水和ケイ酸粒子を被覆してしまい、印刷インキの吸着性を悪化させてしまう。一方、平均粒子径が5μmを超えると、粒子数の減少による印刷インキの吸着性の悪化、あるいは印刷工程において種々の回転するロールを通過する際に顔料粒子が剥落しやすくなり、いわゆる「粉落ち」と呼ばれるトラブルが発生し、刷版や印刷機の汚れ、さらには印刷面品質の低下の原因となる。
【0017】
前記の水和ケイ酸は、適切な平均粒子径の範囲に調節された特定グレードの市販の粉末状製品をそのまま使用することもできる。あるいは、購入した粉末状の製品を乾式粉砕処理し、若しくはスラリー化して湿式粉砕処理し、必要に応じてスクリーニングして平均粒子径と粒径分布を調節することも可能である。
しかしコストの点において、製紙工場内で抄紙用填料としてオンサイト生産されている、ホワイトカーボンの平均粒子径を合成段階で所望の範囲に調節する、あるいは合成後の顔料スラリーをホモミキサー、ディスクリファイナー、コロイドミル、サンドグラインダー等の装置によって湿式粉砕処理を行い、所望の平均粒子径に調節することが有利である。
その際に、本発明の新聞用紙の填料として使用できる水和ケイ酸填料スラリーから製造することは、効率の点から、さらに好ましい態様である。
【0018】
上記のオンサイトで合成した水和ケイ酸のスラリーの液相中には、反応副生物のNa2SO4(芒硝)等の塩類が存在しているが、このNa2SO4を含んだままスラリーを湿式粉砕して粒子径調節を行い、顔料として使用しても全く差し支えない。
【0019】
本発明で使用される水和ケイ酸のもうひとつの必須特性としては、粒子径(μm)を対数で表示したときの粒子径に対する粒子体積の分布の標準偏差が0.4以下の範囲に制御されていることにある。測定はレーザー回折式粒度分布測定装置(「SALD―2000J」:島津製作所製)で行う。
水和ケイ酸は単粒子の凝集体として存在するため、小さい粒子径から大きな粒子径の凝集体の混合物となっている。標準偏差の値が小さいほど、粒子径の分布が狭いことを意味しており、本発明における印刷後不透明度の向上効果も高い。しかし、標準偏差を0.2未満に制御しても本発明の印刷後不透明度向上効果は頭打ちになってしまう。特に粒子径の分布を狭めるためには、粉砕処理前または粉砕処理後の水和ケイ酸を振動スクリーン等を使用して1回以上分級する必要があり、経済性の点でも問題がある。
一方、標準偏差が0.4を超えると、前記の印刷時の「粉落ち」トラブルが顕著になるため好ましくない。
【0020】
本発明において、表面処理剤に含有することができる接着剤の種類には全く制限はなく、各種デンプン類、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の各種セルロース誘導体、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール類、スチレン─ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート─ブタジエン共重合体等の合成ラテックス等、公知の材料を1種類または2種類以上を混合使用することができる。なかでも、デンプン類やポリビニルアルコール類は安価で接着能力も良好なので好ましく使用できる。
また、表面処理剤中には、上記の接着剤の他に、抄紙分野で通常使用される表面サイズ剤、消泡剤、防腐剤、あるいは粘度調節剤等の助剤を適宜含有させることができる。
【0021】
本発明における水和ケイ酸の原紙片面あたりの塗布量は0.05g/m2以上、1.5g/m2以下、好ましくは0.1g/m2以上、1.5g/m2以下に制御することによって、所期の良好な印刷後不透明度を得ることができる。0.05g/m2未満では原紙表面上の粒子の数が不足してインキ吸着能力が発現できず、印刷後不透明度向上を達成することが困難である。一方、1.5g/m2を超えて塗布すると、印刷後不透明度向上効果は十分に達成できるものの、以下のような印刷作業性が低下する恐れがある。すなわち、水和ケイ酸粒子の用紙表面上の絶対数が増加するので、前記「粉落ち」トラブルが発生し易くなったり、水和ケイ酸粒子を原紙の表面上に固定するための表面処理剤中の接着剤の絶対量を増加させざるを得なくなることもある。その結果、オフセット輪転印刷機において、湿し水によって接着剤が溶出し、「ネッパリ」といわれるブランケットへの貼り付きトラブルを誘発し易くなることもある。
【0022】
これらのことから、表面処理剤中の水和ケイ酸と接着剤との比率は、水和ケイ酸の平均粒子径、接着剤の種類、塗布量等のバランスを勘案して設定するべきであり、特に厳格な制限はないものの、表面処理剤中の水和ケイ酸の固形重量部100部に対して、接着剤の固形重量部を30部〜700部の範囲に調節することが好ましい。
接着剤が30部未満になると、接着剤不足で「粉落ち」トラブルが多発し易くなる。30部〜200部の間では、「粉落ち」トラブルは皆無ではないものの、ほぼなくなり、「ネッパリ」トラブルは全く生じない。200部〜700部では、「粉落ち」トラブルは皆無となり、「ネッパリ」トラブルは皆無ではないが、概ね回避できる。700部を超えると、「ネッパリ」トラブルが問題となる。
【0023】
本発明における表面処理剤の新聞用紙用原紙上への塗布方式に関しては、特にフィルムトランスファー方式の塗布装置、例えばゲートロールコーター、ロッドメータリングサイズプレス、ブレードメータリングサイズプレスによる塗布装置を採用すると、フィルム状態の塗布膜が原紙表面に転写され、少量の表面処理剤が原紙表面に留り易くなり、印刷後不透明度向上効果に貢献できるため好ましい実施態様である。なお、表面処理剤の固形分濃度には特に制限はないが、フィルムトランスファー方式の塗布装置を採用する時は、5〜30重量%程度の範囲に調整するのが、良好な塗工性を確保する点で好ましい。
【0024】
本発明に係る軽量新聞用紙は、従来と同様に原紙に表面処理剤が塗布、乾燥されたのち、表面を平滑化して成紙に仕上げられる。その平滑化の方法には、特に制限はなく。金属ロールと金属ロールとのニップ間に通紙する通常のマシンカレンダーや、金属ロールと樹脂ロールとから構成されるソフトカレンダー等公知の方式、装置が使用できる。特にソフトカレンダーは加圧条件を強くしなくても高い平滑化効果が得られるので、紙層構造への負担も少なく好適に使用される。
【0025】
上記のようにして得られた水和ケイ酸を顔料として使用した表面処理剤を、原紙の両面に塗布、乾燥、さらに平滑化処理を施した、軽量新聞用紙の成紙としての坪量(成紙を20℃、相対湿度65%の環境下で調湿したときの坪量)は37g/m2以上、42g/m2以下が好ましい。成紙としての坪量が37g/m2より小さくなると、用紙自体の強度が弱くなるため、高速輪転印刷機において、印刷に供する際に断紙が多発する可能性が懸念される。
【0026】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。勿論、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ乾燥固形分重量部および重量%を表す。また、Lはリットルを表す。
本実施例で「標準偏差」は、粒子径(μm)を対数で表示したときの粒子径に対する粒子体積の分布の標準偏差である。測定はレーザー回折式粒度分布測定装置(「SALD―2000J」:島津製作所製)で行う。
【0027】
水和ケイ酸の調製:
<1>水和ケイ酸A
市販のケイ酸カレットより調製したシリカ濃度191g/L、SiO2/Na2Oのモル比2.84のケイ酸ナトリウム水溶液10.76m3と5w/v%濃度の硫酸ナトリウム水溶液7.77m3と7.50m3の工業用水を35m3の反応槽に入れ、水溶液の温度を50℃とした。この水溶液を攪拌しながらケイ酸ナトリウムを中和するのに必要な全硫酸量の40%に相当する硫酸(20w/v%濃度、1.68m3)を9分間かけて連続的に添加した。硫酸の添加後、攪拌を継続したまま25分かけて90℃まで昇温し、その後その温度で10分間熟成した。
ついで、ケイ酸ナトリウムを中和するのに必要な残りの硫酸(20w/v%濃度、2.52m3)を40分間かけて連続的に添加して10%濃度の水和ケイ酸スラリーを得た。この時の水和ケイ酸を前記レーザー回折式粒度分布測定装置で平均粒径および標準偏差を測定したところ、それぞれ22.0μmおよび0.37であった。
【0028】
<2>水和ケイ酸B
水和ケイ酸Aの調製において10%濃度の水和ケイ酸スラリーについて工業用水による洗浄を繰返して、スラリー中に含まれる硫酸ナトリウムを除去した。洗浄によって除去された硫酸ナトリウム分は、10%濃度のスラリー固形分中2.5%であり、硫酸ナトリウムを含むスラリー中の純粋な水和ケイ酸の固形分濃度は7.5%であった。この時の水和ケイ酸Bの平均粒子径および標準偏差は、それぞれ21.9μmおよび0.38であった。
【0029】
新聞用紙用原紙の原料の調製:
<1>新聞用紙用原紙A
サーモメカニカルパルプ43部、グランドパルプ10部、脱墨古紙パルプ40部、針葉樹クラフトパルプ7部の割合で混合して離解し、レファイナーでカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F.)130mLに調製した濃度1.2%のパルプスラリーを得た。このパルプスラリーに対して前記水和ケイ酸スラリーAを紙中灰分が3%になるように添加し、さらに硫酸ばん土を対乾燥パルプあたり固形分として1%、さらに歩留まり向上剤(ハイモロック/ハイモ社製)を対乾燥パルプあたり固形分として0.02%添加して、固形分濃度が0.5%となるように希釈して新聞用紙用原紙Aの原料を調製した。
【0030】
<2>新聞用紙用原紙B
新聞用紙用原紙Aと同一配合、同一カナディアンスタンダードフリーネス、かつ同一濃度に調製したパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウム(アルバカーHO/ミンテック社製)を対乾燥パルプあたり紙中灰分で3%となるように添加し、さらに硫酸ばん土を対乾燥パルプあたり固形分として0.8%、中性抄紙用ロジン系サイズ剤(NT−76/荒川化学工業製)を対乾燥パルプあたり固形分として0.06%、カチオン化デンプン(王子エースK/王子コーンスターチ社製)を対乾燥パルプあたり固形分として1.3%、さらに歩留まり向上剤(ハイモロック/ハイモ社製)を対乾燥パルプあたり固形分として0.02%添加して、固形分濃度が0.5%となるように希釈して新聞用紙用原紙Bの原料を調製した。
【0031】
<実施例1>
水和ケイ酸スラリーAに含まれる純粋な水和ケイ酸分100重量部に対して、ポリカルボン酸系分散剤(アロンA−9/東亜合成社製)を3重量部添加した後、湿式粉砕装置(UVM─30/AIMEX社製)を使用して平均粒子径が1.5μmになるように粉砕し表面処理剤用の水和ケイ酸を調製した。
この水和ケイ酸の前記レーザー回折式粒度分布測定装置による、標準偏差は0.32であった。
下記の組成を有する固形分濃度11.5%の表面処理剤を調製した。
新聞用紙用原紙Aの紙料をツインワイヤー抄紙機で抄紙して、その両面にゲートロールコーターを使用して、片面あたりの純粋な水和ケイ酸の乾燥塗布量が0.05g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として0.12g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0032】
<実施例2>
実施例1と同一の方法で抄紙した新聞用紙用原紙の両面にゲートロールコーターを使用して、実施例1と同一の組成を有する表面処理剤を、原紙の片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が0.1g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として0.23g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0033】
<実施例3>
水和ケイ酸スラリーBに含まれる純粋な水和ケイ酸分100重量部に対して、ポリカルボン酸系分散剤(アロンA−9/東亜合成社製)を3重量部添加した後、湿式粉砕装置(UVM─30/AIMEX社製)を使用して平均粒子径が0.5μmになるように粉砕し表面処理剤用の水和ケイ酸を調製した。 水和ケイ酸Bを湿式粉砕装置(UVM─30/AIMEX社製)を使用して平均粒子径が0.5μmになるように粉砕し表面処理剤用の水和ケイ酸を調製した。この水和ケイ酸の前記レーザー回折式粒度分布測定装置による、標準偏差は0.20であった。
下記の組成を有する固形分濃度10%の表面処理剤を調製した。
新聞用紙用原紙Bの紙料をツインワイヤー抄紙機で抄紙して、その両面にゲートロールコーターを使用して、片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が0.1g/m2(接着剤を含む表面処理剤の乾燥塗工量として0.2g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量37.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0034】
<実施例4>
水和ケイ酸スラリーBに含まれる純粋な水和ケイ酸分100重量部に対して、ポリカルボン酸系分散剤(アロンA−9/東亜合成社製)を3重量部添加した後、湿式粉砕装置(UVM─30/AIMEX社製)を使用して平均粒子径が4.7μmになるように粉砕し表面処理剤用の水和ケイ酸を調製した。 水和ケイ酸Bを湿式粉砕装置(UVM─30/AIMEX社製)を使用して平均粒子径が4.7μmになるように粉砕し表面処理剤用の水和ケイ酸を調製した。この水和ケイ酸の前記レーザー回折式粒度分布測定装置による、標準偏差は0.37であった。
下記の組成を有する固形分濃度10%の表面処理剤を調製した。
新聞用紙用原紙Bの紙料をツインワイヤー抄紙機で抄紙して、その両面にゲートロールコーターを使用して、片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が1.5g/m2(接着剤を含む表面処理剤の乾燥塗布量として3.0g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量37.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0035】
<実施例5>
実施例1と同一の方法で抄紙した新聞用紙用原紙の両面にゲートロールコーターを使用して、実施例1と同一の組成を有する表面処理剤を、原紙の片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が1.5g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として3.5g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量36.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0036】
<実施例6>
実施例1と同一の方法で製造した水和ケイ酸スラリーAを使用して、下記の組成を有する固形分濃度10.8%の表面処理剤を調製した。
実施例1と同一の方法で抄紙した新聞用紙用原紙の両面にゲートロールコーターを使用して、原紙の片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が0.1g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として0.48g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0037】
<実施例7>
実施例1と同一の方法で製造した水和ケイ酸スラリーAを使用して、下記の組成を有する固形分濃度10.5%の表面処理剤を調製した。
実施例1と同一の方法で抄紙した新聞用紙用原紙の両面にゲートロールコーターを使用して、原紙の片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が0.1g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として0.63g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0038】
<比較例1>
実施例1と同一の方法で抄紙した新聞用紙用原紙の両面にゲートロールコーターを使用して、実施例1と同一の組成を有する表面処理剤を、原紙の片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が0.03g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として0.07g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0039】
<比較例2>
実施例1と同一の方法で抄紙した新聞用紙用原紙の両面にゲートロールコーターを使用して、実施例1と同一の組成を有する表面処理剤を、原紙の片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が2.0g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として4.7g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0040】
<比較例3>
水和ケイ酸Aを湿式粉砕装置(UVM─30/AIMEX社製)を使用して平均粒子径が10μmになるように粉砕し表面処理剤用の水和ケイ酸を調製した。この水和ケイ酸の前記レーザー回折式粒度分布測定装置による、標準偏差は0.34であった。
この水和ケイ酸に実施例1で調製した水和ケイ酸を固形分重量比が1:1になるように攪拌して水和ケイ酸の混合物を調製した。この水和ケイ酸混合物の前記レーザー回折式粒度分布測定装置による、平均粒子径は5.8μm、標準偏差は0.45であった。
下記の組成を有する固形分濃度11.5%の表面処理剤を調製した。
実施例1と同一の方法で抄紙した新聞用紙用原紙の両面にゲートロールコーターを使用して、上記の表面処理剤を原紙の片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が1.5g/m2(接着剤および硫酸ナトリウムを含む表面処理剤の乾燥塗布量として3.5g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0041】
<比較例4>
水和ケイ酸Aを280メッシュ(目開き:53μm)のスクリーンを装着した湿式振動スクリーン(48型振動ふるい/月島機械製)を用いて、分級、除去し、スクリーンを通過した水和ケイ酸の粒子を、湿式粉砕装置(UVM─30/AIMEX社製)を使用して平均粒子径が0.4μmになるまで粉砕し、表面処理剤用の水和ケイ酸を調製した。この水和ケイ酸の前記レーザー回折式粒度分布測定装置による、標準偏差は0.18であった。
下記の組成を有する固形分濃度11.5%の表面処理剤を調製した。
新聞用紙用原紙Bの紙料をツインワイヤー抄紙機で抄紙して、その両面にゲートロールコーターを使用して、片面あたりの水和ケイ酸の乾燥塗布量が0.1g/m2(接着剤を含む表面処理剤の乾燥塗布量として0.23g/m2に相当)になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0042】
<比較例5>
新聞用紙用原紙Bの紙料をツインワイヤー抄紙機で抄紙して、その両面にゲートロールコーターを使用して、水和ケイ酸を全く含まない酸化デンプン(固形分濃度10%)のみからなる表面処理剤を、原紙の片面あたりの乾燥塗布量が0.1g/m2になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量41.5g/m2の新聞用紙を得た。
【0043】
<参考例>
新聞用紙用原紙Aの紙料をツインワイヤー抄紙機で抄紙して、その両面にゲートロールコーターを使用して、酸化デンプン(固形分10%)のみからなる表面処理剤を、原紙の片面あたりの乾燥塗布量が0.1g/m2になるように塗布、乾燥した後、線圧100kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行い、坪量44.0g/m2の新聞用紙を得た。
【0044】
上記の実施例、比較例および参考例で得た新聞用紙について下記に示す品質評価を行い、得られた結果を表1、表2に示す。なお、白紙不透明度(印刷前不透明度)および印刷後不透明度は参考例の測定値(基準)からの変化量(増減量)で表した。
【0045】
<白色度>:JIS P8148(ISO 2470)に準拠して測定した。
【0046】
<白紙不透明度>:J.TAPPI 53(ISO 2471)に準拠して測定を行った。
【0047】
<印刷後不透明度>:J.TAPPI 45に準拠して、新聞用オフセット印刷インキ(墨)を使用し、RI印刷試験機(明製作所製)でインキ量を変えてベタ印刷を行った。印刷面反射率が9%の時の印刷前の裏面反射率(印刷面の反対面)に対する印刷後の裏面反射率の比率から、次式を用いて印刷後不透明度(Y)を算出した。なお、反射率測定には分光白色度測機(スガ試験機製)を使用した。
Y={(印刷後裏面反射率)/(未印刷の裏面反射率)}×100
【0048】
<粉落ち>:タック値13のインキ(TOKA Printing Ink SD50(紅))を使用し、RI印刷試験機(明製作所製)でインキ量0.8gの条件で印刷を行い、印刷後、RI印刷試験機のブランケット上に残ったインキを、厚紙(市販コート紙:坪量210g/m2)に転写して台紙上の白く抜けた部分(印刷によって試験紙の表面から顔料が剥落した部分に対応する)を4段階で官能評価した。◎:顔料の剥落が全くなく、白抜けが全くないもの。○:顔料の剥落による白抜けがほぼ生じないもの。△:白抜け発生がみられ、実用上問題があるもの。×:白抜けが著しく全く実用に適さないもの。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1、表2から明らかなように、すべての実施例および比較例において、本発明の水和ケイ酸を含む表面処理剤を塗布することによって、白色度は現在主流である坪量44g/m2の新聞用紙(参考例)よりも向上した。また白紙不透明度は、すべての実施例および比較例において、おおむね参考例と同等の品質が維持できている。
【0052】
印刷後不透明度は、坪量を44.0g/m2から37.5〜41.5g/m2まで軽量化しても、本発明における平均粒子径、標準偏差を有する水和ケイ酸粒子を0.05〜1.5g/m2塗布することによって、参考例よりも向上している(実施例1〜7)。
しかし、塗布量が適切であっても坪量が36.5g/m2と低い場合(実施例6)は、坪量44.0g/m2現行新聞用紙より印刷後不透明度は低くなる。
塗布量が少ない場合(比較例1)は、現行新聞用紙なみの印刷後不透明度が維持できない。
【0053】
また、全ての実施例において、印刷時の「粉落ち」もなく良好な品質が得られている。
また、塗布量を増やした場合(比較例2)や、粒子が適正な範囲を超えて大きい場合は(比較例3)、表面強度が弱く、印刷時に「粉落ち」が発生し、実用上適さない。水和ケイ酸の平均粒子径が小さすぎる場合は(比較例4)、印刷後不透明度、「粉落ち」等の問題は特にないものの、不透明度がやや低く、水和ケイ酸の調製時に湿式振動ふるいによる分級回数が2回必要となり、生産性、経済性の理由から不適切である。
【0054】
また、本発明の水和ケイ酸を全く含まない、接着剤のみからなる表面処理剤を塗布した場合は(比較例5)、印刷時の「粉落ち」はないものの、軽量化に伴う白紙品質(白色度、不透明度)および印刷後不透明度が改善できない。
【0055】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る軽量新聞用紙は、現在主流である坪量を有する新聞用紙よりも高い印刷後不透明度を発現し、かつ「粉落ち」等のない優れた印刷適性を有する軽量新聞用紙である。
Claims (2)
- 原紙の両面に、水和ケイ酸と接着剤を主成分とする表面処理剤を塗布し乾燥して得られた新聞用紙において、該水和ケイ酸は、ケイ酸ナトリウムを硫酸によって中和することにより合成された後、ホモミキサー、ディスクリファイナー、コロイドミル、サンドグラインダー等により湿式粉砕処理を行い、レーザー法による平均粒子径が0.5μ以上、5μm以下であり、かつ粒子径(μm)を対数で表示したときの粒子径に対する粒子体積の分布の標準偏差が0.2以上0.4以下に調整したものであり、前記表面処理剤中に、該水和ケイ酸が固形重量部100部に対して接着剤の固形分重量部を30部から700部の範囲に調整して塗布され、原紙の片面1m2当り、乾燥重量で0.05g以上1.5g以下存在することを特徴とする新聞用紙。
- 表面処理剤の塗布をフィルムトランスファー方式によって行うことを特徴とする請求項1に記載の新聞用紙の製造方法。
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