JP4231179B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水素化アモルファスシリコン光導電層を備えた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アモルファスシリコン(以下、アモルファスシリコンをa−Siと略記する)を光導電層とした感光体が、すでに製品化されているが、このa−Si感光体は導電性基板上にグロー放電分解法により水素化アモルファスシリコン(以下、水素化アモルファスシリコンをa−Si:Hと略記する)からなる電荷注入阻止層とa−Si:H光導電層とを順次積層し、さらに表面保護層を被覆した層構成である。そして、a−Si:H電荷注入阻止層に、たとえば周期律表第IIIa族元素をドーピングすることで電子に対するポテンシャル障壁が形成され、これにより、導電性基板からの電子の注入を防ぎ、正帯電用の電子写真感光体が得られる。
【0003】
また、上記電荷注入阻止層を積層構造にする技術も提案されている。すなわち、電荷注入阻止層をp層とi層とn層とを順次積層した3層構造、もしくはn層とi層とp層とを順次積層した3層構造にして、あるいはp層とn層とを順次積層した2層構造、n層とp層とを順次積層した2層構造にして、その層自体の耐圧を著しく向上させ、これによって表面電位を高め、良好な画像が安定して得られた電子写真感光体が提案されている(特開昭59−200244号参照)。
【0004】
さらに上記電荷注入阻止層を構成する材料を特定することも検討されている。たとえば、特開昭59−45445号では、アモルファス水素化シリコンの酸化物と窒化物との混合物にて電荷注入阻止層を構成している。
【0005】
これらの従来技術においては、電荷注入阻止層自体を改良するものであるが、その他に、導電性基板と電荷注入阻止層との間にシリコン原子を母材とし、構成原子として43原子%までの窒素原子を含有するアモルファス材の補助層を介在し、導電性基板に対する密着性を高めた電子写真感光体も提案されている(特開昭58−145961号および特開昭58−145961号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにアモルファス材の補助層を介在した電子写真感光体においては、残留電位がほぼない状態で、感光体の耐久性を高める技術であって、この補助層は単層にて形成し、しかも、膜厚を薄く規定することで残留電位を低減させ、さらに皆無としているが、その反面、耐圧を高くすることがむずかしいという課題がある。
【0007】
そこで、本発明者は上記事情に鑑みて鋭意研究に努めた結果、導電性基板と電荷注入阻止層との間に、導電性すなわち電気的非絶縁性のa−Si層とシリコンからなる電気的絶縁層との積層を介在させることで、残留電位を極力低減させるとともに、耐圧が向上することを見出した。
【0008】
したがって本発明は上記知見により完成されたものであり、その目的は導電性(電気的非絶縁性)のa−Si層とシリコンからなる電気的絶縁層との積層にしたことで、残留電位と耐圧の双方を改善した高性能かつ高品質な電子写真感光体を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、残留電位と耐圧の双方を改善したことで、高速印字画像装置に適した電子写真感光体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真感光体は、導電性基板上にシリコンからなる電気的絶縁層と、電気的非絶縁性(導電性)のa−Si層と、a−Siからなる電荷注入阻止層と、a−Siからなる光導電層と、表面保護層とを順次積層してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の電子写真感光体は、導電性基板上に電気的非絶縁性(導電性)のa−Si層と、シリコン(Si)からなる電気的絶縁層と、a−Siからなる電荷注入阻止層と、a−Siからなる光導電層と、表面保護層とを順次積層してなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
電子写真感光体の構成
図1と図2は本発明の電子写真感光体1、2の層構成であり、電子写真感光体1においては、導電性基板3の上にグロー放電分解法などのCVDにより、導電性、すなわち電気的非絶縁性のa−Si層4と、シリコン(Si)からなる電気的絶縁層5と、a−Si:Hからなる電荷注入阻止層6およびa−Si:Hからなる光導電層7とを順次積層し、この光導電層7上に表面保護層8を積層する。
【0013】
また、電子写真感光体2では、導電性基板3の上にシリコン(Si)からなる電気的絶縁層5と、電気的非絶縁性のa−Si層4と、a−Si:Hからなる電荷注入阻止層6およびa−Si:Hからなる光導電層7とを順次積層し、この光導電層7上に表面保護層8を積層する。
【0014】
導電性基板3には銅、黄銅、SUS、Al、Niなどの金属導電体、あるいはガラス、セラミックなどの絶縁体の表面に導電性薄膜を被覆したものなどがある。この導電性基板3はシート状、ベルト状もしくはウェブ状可とう性導電シートでもよく、このようなシートにはSUS、Al、Niなどの金属シート、あるいはポリエステル、ナイロン、ポリイミドなどの高分子樹脂フィルムの上にAl、Niなどの金属もしくは酸化スズ、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)などの透明導電性材料や有機導電性材料を蒸着などにより被覆して導電処理したものを用いる。
【0015】
電荷注入阻止層6については、a−Si:Hに対し価電子制御用不純物としての周期律表第IIIa族元素(以下、IIIa族元素と略記する)および/または周期律表第Va族元素(以下、Va族元素と略記する)をドーピングするとよく、これによって、キャリアの移動を制御できる。
【0016】
この電荷注入阻止層6に酸素や窒素を含有させて、禁制帯幅を大きくし、これによって電荷注入阻止という機能上、障壁を高くしてもよい。
【0017】
a−Si:Hからなる光導電層7については、価電子制御用不純物として、IIIa族元素またはVa族元素を添加してもよく、この層に光入射したことで光伝導キャリアを発生させる。そして、電子写真感光体1、2をコロナ放電にさらしたことで表面電荷が形成されるが、この光伝導キャリアが表面電荷を打ち消すことで、感光体表面に静電潜像が形成される。このような光応答性は上記の不純物添加量により制御できる。さらには膜内の不対結合を制御したり、膜質を向上させることでも、アクセプタ準位およびドナー準位の密度分布を調整することができる。ここでの膜質とは、膜の結合を緻密にし、さらには不対結合等の結合欠陥を極力すくなくし、余分なトラップ準位を減らすということを意味する。
【0018】
かくして本発明の電子写真感光体1、2においては、導電性基板3と電荷注入阻止層6との間に、電気的非絶縁性のa−Si層4と電気的絶縁層5との積層を介在させることで、感光体全体の膜厚が大きくなることで、耐圧を著しく高めるとともに、残留電位を下げたり、無くしている。
【0019】
なお、残留電位がまったくゼロにならなくても、画像形成装置にて調整することで、すなわち、露光後電位と現像バイアスとの差を大きくすることで(露光後電位が大きくなってしまった分、現像バイアスも上げることで)、除電後の電位が大きくても、黒ベタ濃度を適性濃度まで高めることができ、これによって、残留電位がゼロになった場合と、同程度にまでの優れた結果が得られる。
【0020】
また、a−Si層4と電気的絶縁層5との積層にしたことで、耐圧を所要とおりの値に調整することが容易になる。
【0021】
上記表面保護層8については、a−Si、アモルファスシリコンカーバイド、アモルファスシリコンナイトライド、アモルファスシリコンオキサイド、セレン等を、グロー放電分解法、真空蒸着法、活性反応蒸着法、イオンプレーテイング法、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、熱CVD法などで成膜形成する。また、有機材料を使用する場合には塗布などによって成膜形成する。
【0022】
なお、電荷注入阻止層6、光導電層7および表面保護層8には水素が含有させることで、ダングリングボンドを補償しているが、水素以外にフッ素などのハロゲンを含有させることでダングリングボンドを補償してもよい。
【0023】
このような積層構造の電子写真感光体1、2に対し、本発明においては、さらに電気的非絶縁性のa−Si層4とシリコン(Si)からなる電気的絶縁層5との積層構造を設けている。
【0024】
a−Si層4は、とくに耐圧を向上させる層であって、膜質としてはa−Si:Hからなる光導電層7と同様に良質にするよい。ただし、このa−Si層4には感光性を有することが多く、そのために光伝導キャリアが発生しないように、電荷注入阻止層6、光導電層7および表面保護層8にて膜質や膜厚を制御する。長波長のような露光波長では膜深部にまで入り込むので、その点を考慮するのがよい。
【0025】
このようなa−Si層4は、価電子制御用不純物をなんら添加しない場合には、若干のn型半導体特性を示すが、さらにIIIa族元素を添加することで伝導性としてi型にするのが望ましく、これにより、電気的に中性とし、キャリアの数を最小限にするとよい。
【0026】
また、a−Si層4の膜厚は、20μm以下、好適には5〜10μmにするとよく、これによって残留電位やキャリア発生量が少なくなる。
【0027】
また、電気的絶縁層5についても、耐圧を高めるために設けるが、さらには残留電位が生じないように、もしくは大きくならないようにするために、エネルギ−障壁が大きく絶縁性に優れたシリコン材にて形成する。たとえば、シリコンナイトライド(SiN)、シリコンカ−バイド(SiC)、シリコンオキサイド(SiO)などからなるアモルファス材、一部結晶性を有するアモルファス材もしくは多結晶材がある。
【0028】
このようなシリコン材にて形成することで、光キャリア発生量が少なくなり、導電性基板3からのキャリア阻止性が高くなる。さらに耐圧を高めるために膜厚を厚くしても、残留電位増加率が低くなる。
【0029】
電気的絶縁層5の膜厚は、5μm以下、好適には0.5〜1μmにするとよく、これによって残留電位やキャリア発生量が少なくなる。
【0030】
かくして本発明の電子写真感光体1、2においては、導電性基板3と電荷注入阻止層6との間に、電気的非絶縁性のa−Si層4と電気的絶縁層5との積層を介在させることで、感光体全体の膜厚が大きくなることで、耐圧を著しく高めるとともに、残留電位を下げたり、無くしている。
【0031】
なお、残留電位がまったくゼロにならなくても、画像形成装置にて調整することで、すなわち、露光後電位と現像バイアスとの差を大きくすることで、除電後の電位が大きくても、黒ベタ濃度を適性濃度まで高めることができ、これによって、残留電位がゼロになった場合と、同程度にまでの優れた結果が得られる。
【0032】
また、a−Si層4と電気的絶縁層5との積層にしたことで、耐圧を所要とおりの値に調整することが容易になる。すなわち、電気的絶縁層5で大まかに耐圧を向上させ、さらに耐圧向上割合が少なく、残留電位が発生しにくいa−Si層4の膜厚を調整することで微調整をする。
【0033】
さらにまた、本発明では、電子写真感光体1と電子写真感光体2の2通りの構成であるが、就中、電子写真感光体1のような基板側に非絶縁性のa−Si層4を配置した層構成の方が、耐圧の向上の割合が若干良好であることを繰り返しの実験により確認した。すなわち、本発明者は未だ推論を域を脱し得ないが、電荷注入阻止層6と電気的絶縁層5とが隣接する方が、絶縁効果が大きくなり、さらに電荷注入阻止層6のフェルミ準位は下側(価電子帯側)に位置し、電気的絶縁層5は少々伝導体側に位置しているため、両者が隣合ったことで、お互いの障壁差が大きくなり、電荷の流れが鈍くなり、リークが起こりにくくなるためであると考える。
【0034】
画像形成装置の構成
図3は本発明の感光体を搭載したプリンター構成の画像形成装置9であり、10は感光体であり、この感光体10の周面にコロナ帯電器11と、その帯電後に光照射する露光器12(LEDヘッド)と、トナー像を感光体10の表面に形成するためのトナー13を備えた現像機14と、そのトナー像を被転写材15に転写する転写器16と、その転写後に感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段17と、その転写後に残余静電潜像を除去する除電手段18とを配設した構成である。また、19は被転写材15に転写されたトナー像を熱もしくは圧力により固着するための定着器である。
【0035】
このカールソン法は次の(1)〜(6)の各プロセスを繰り返し経る。
(1)感光体8の周面をコロナ帯電器9により帯電する。
(2)露光器10により画像を露光することにより、感光体8の表面上に電位コントラストとしての静電潜像を形成する。
(3)この静電潜像を現像機12により現像する。この現像により黒色のトナーが静電潜像との静電引力により感光体表面に付着し、可視化する。
(4)感光体表面のトナー像を紙などの被転写材13の裏面よりトナーと逆極性の電界を加えて、静電転写し、これにより、画像を被転写材13の上に得る。
(5)感光体表面の残留トナーをクリーニング手段15により機械的に除去する。
(6)感光体表面を強い光で全面露光し、除電手段16により残余の静電潜像を除去する。
【0036】
なお、画像形成装置9はプリンターの構成であるが、露光器12に代えて原稿からの反射光を通すレンズやミラーなどの光学系を用いれば、複写機の構成の画像形成装置となる。
【0037】
また、この画像形成装置9には通常の乾式現像を用いているが、その他、湿式現像に使用される液体現像剤にも適用される。
【0038】
【実施例】
以下、(例1)〜(例3)にて図2に示す電子写真感光体2を、(例4)〜(例6)にて図1に示す電子写真感光体1を説明する。
【0039】
(例1:参考例)
純度99.9%のAlからなる円筒状の基板の上に表1に示すような成膜条件(この条件は一チェンバ内での値である)でもってグロー放電分解法により電気的絶縁層5と、電荷注入阻止層6と、光導電層7と、表面保護層8とを積層する。ただし、本例ではa−Si層4を形成しない。
【0040】
【表1】
Figure 0004231179
【0041】
電気的絶縁層5の成膜に当たっては、NH3 ガスをSiH4 ガスとの流量比(NH3 /SiH4 )でもって表2に示すように幾とおりにも変えて導入し、しかも、膜厚を1μm、5μm、10μmの3とおりに変え、これによって試料No.1〜試料No.18の電子写真感光体を作製した。
【0042】
そして、これらの電子写真感光体の残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表2に示すような結果が得られた。
【0043】
これらの測定方法および測定条件はつぎのとおりである。
残留電位:自作汎用検査機を用いて、帯電、露光、除電の1周にて計測される値の平均値とした。測定条件は、ドラム表面温度:42℃、ドラム速度:線速約1140mm/sec、除電光光量:600μWにした。
画像の評価判定:市販されている高速プリンタを使用した(富士通社製:F6760D)。
耐圧:接触式針耐圧法にて測定した(電極針形状の先端径:φ1.4mm)。感光体ドラム表面と針先とは接触させるが、空気の影響を受けないために、グリセリンを媒体としている。
【0044】
【表2】
Figure 0004231179
【0045】
画像の評価判定については、○印、△印、×印の3とおりに区分し、○印は正常かつ良好な画像が得られた場合であり、△印は若干、かぶりが見られた場合であり、×印はかぶりが顕著に見られ、画像として不適になった場合である。
【0046】
表2に示す結果から明らかなとおり、膜厚が1μmの試料No.1、試料No.4、試料No.7、試料No.10、試料No.13、試料No.16においては、流量比(NH3 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。しかし、試料No.16では残留電位も大きくなり、不適である。
【0047】
また、膜厚が5μmの試料No.2、試料No.5、試料No.8、試料No.11、試料No.14においても、流量比(NH3 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。
【0048】
試料No.8では、一部画像判定にて低下傾向が認められたが、十分に実用性があることを確認した。ちなみに、残留電位が約150V付近にて画像の鮮明性および濃度が顕著に低下することが確認された。
【0049】
しかし、試料No.11と試料No.14では残留電位も大きくなり、不適である。
【0050】
さらにまた、膜厚が10μmの試料No.3、試料No.6、試料No.9、試料No.12においても、流量比(NH3 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。しかし、試料No.9と試料No.12では残留電位も大きくなり、不適である。
【0051】
(例2)
つぎに本例では、表1に示すようにa−Si層4を形成し(ただし、膜厚を5μmに設定する)、さらに流量比(NH3 /SiH4 )を幾とおりに変えた電気的絶縁層5(膜厚を1μmに設定する)を成膜し、その他の成膜構成を(例1)と同じにした電子写真感光体(試料No.19〜試料No.22)を作製し、同様に残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表3に示すような結果が得られた。
【0052】
試料No.19は試料No.4と対比し、試料No.20は試料No.7と対比し、試料No.21は試料No.10と対比し、試料No.22は試料No.13と対比している。
【0053】
【表3】
Figure 0004231179
【0054】
この表から明らかなとおり、それぞれさらにa−Si層4を形成しても残留電位が上昇しないままで、耐圧が大きくなっていることがわかる。
【0055】
(例3)
つぎに試料No.21において、a−Si層4の膜厚を幾とおりにも変えて電子写真感光体(試料No.23〜試料No.27)を作製し、同様に残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表4に示すような結果が得られた。
【0056】
【表4】
Figure 0004231179
【0057】
同表から明らかなとおり、a−Si層4の膜厚が大きくなるにしたがって、耐圧が増大し、その膜厚の調整することで、所要とおりに耐圧が得られることがわかる。しかも、a−Si層4の膜厚が画像および残留電位にほとんど影響を及ぼさないこともわかった。
【0058】
(例4:参考例)
つぎに本例〜(例6)にて図1に示す電子写真感光体1を説明する。
純度99.9%のAlからなる円筒状の基板の上に表5に示すような成膜条件(この条件は一チェンバ内での値である)でもってグロー放電分解法により電気的絶縁層5と、電荷注入阻止層6と、光導電層7と、表面保護層8とを積層する。ただし、本例ではa−Si層4を形成しない。
【0059】
【表5】
Figure 0004231179
【0060】
電気的絶縁層5の成膜に当たっては、NH3 ガスをSiH4 ガスとの流量比(NH3 /SiH4 )でもって表6に示すように幾とおりにも変えて導入し、しかも、膜厚を1μm、5μm、10μmの3とおりに変え、これによって試料No.28〜試料No.45の電子写真感光体を作製した。
【0061】
そして、これらの電子写真感光体の残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表6に示すような結果が得られた。
【0062】
【表6】
Figure 0004231179
【0063】
この表に示す結果から明らかなとおり、膜厚が1μmの試料No.28、試料No.31、試料No.34、試料No.37、試料No.40、試料No.43においては、流量比(NH3 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。しかし、試料No.43では残留電位も大きくなり、不適である。
【0064】
また、膜厚が5μmの試料No.29、試料No.32、試料No.35、試料No.38、試料No.41においても、流量比(NH3 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。
【0065】
試料No.35では、一部画像判定にて低下傾向が認められたが、十分に実用性があることを確認した。ちなみに、残留電位が約150V付近にて画像の鮮明性および濃度が顕著に低下することが確認された。
【0066】
しかし、試料No.38と試料No.41では残留電位も大きくなり、不適である。
【0067】
さらにまた、膜厚が10μmの試料No.30、試料No.33、試料No.36、試料No.39においても、流量比(NH3 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。しかし、試料No.36と試料No.39では残留電位も大きくなり、不適である。
【0068】
(例5)
つぎに本例では、表5に示すようにa−Si層4を形成し(ただし、膜厚を5μmに設定する)、さらに流量比(NH3 /SiH4 )を幾とおりに変えた電気的絶縁層5(膜厚を1μmに設定する)を成膜し、その他の成膜構成を(例5)と同じにした電子写真感光体(試料No.46〜試料No.49)を作製し、同様に残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表7に示すような結果が得られた。
【0069】
試料No.46は試料No.31と対比し、試料No.47は試料No.34と対比し、試料No.48は試料No.37と対比し、試料No.49は試料No.40と対比している。
【0070】
【表7】
Figure 0004231179
【0071】
この表から明らかなとおり、それぞれさらにa−Si層4を形成しても残留電位が上昇しないままで、耐圧が大きくなっていることがわかる。
【0072】
(例6)
つぎに試料No.48において、a−Si層4の膜厚を幾とおりにも変えて電子写真感光体(試料No.50〜試料No.54)を作製し、同様に残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表8に示すような結果が得られた。
【0073】
【表8】
Figure 0004231179
【0074】
同表から明らかなとおり、a−Si層4の膜厚が大きくなるにしたがって、耐圧が増大し、その膜厚の調整することで、所要とおりに耐圧が得られることがわかる。しかも、a−Si層4の膜厚が画像および残留電位にほとんど影響を及ぼさないこともわかった。
【0075】
(例7)
本例では、表9に示すように流量比(CH4 /SiH4 )を幾とおりに変えた電気的絶縁層5(膜厚を1μmに設定する)を成膜し、つづけて膜厚5μmのa−Si層4を形成し、その他の成膜構成を(例1)と同じにした電子写真感光体(試料No.55〜試料No.58)を作製し、同様に残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表9に示すような結果が得られた。
【0076】
【表9】
Figure 0004231179
【0077】
この表に示す結果から明らかなとおり、流量比(CH4 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。
【0078】
(例8)
本例では、膜厚5μmのa−Si層4を形成し、つづけて表10に示すように流量比(CH4 /SiH4 )を幾とおりに変えた電気的絶縁層5(膜厚を1μmに設定する)を成膜し、その他の成膜構成を(例4)と同じにした電子写真感光体(試料No.59〜試料No.62)を作製し、同様に残留電位、画像の評価判定、耐圧を測定したところ、表10に示すような結果が得られた。
【0079】
【表10】
Figure 0004231179
【0080】
この表に示す結果から明らかなとおり、流量比(CH4 /SiH4 )が大きくなるにしたがって、正負とも耐圧が大きくなっている。
【0081】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の電子写真感光体によれば、導電性基板上にSiからなる電気的絶縁層と、電気的非絶縁性a−Si層と、a−Si電荷注入阻止層と、a−Si光導電層と、表面保護層とを順次積層したり、もしくは導電性基板上に電気的非絶縁性a−Si層と、Siからなる電気的絶縁層と、a−Si電荷注入阻止層と、a−Si光導電層と、表面保護層とを順次積層したことで、残留電位と耐圧の双方が改善され、これにより、高性能かつ高品質な電子写真感光体が得られ、その結果、高速印字画像装置が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施形態に係る感光体の層構成を示す断面図である。
【図2】発明の実施形態に係る感光体の層構成を示す断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の概略図である。
【符号の説明】
1、2 電子写真感光体
3 導電性基板
4 電気的非絶縁性a−Si層
5 電気的絶縁層
6 電荷注入阻止層
7 光導電層
8 表面保護層
9 画像形成装置
11 コロナ帯電器
12 露光器
13 トナー
14 現像機
15 被転写材
16 転写器
17 クリーニング手段
18 除電手段

Claims (2)

  1. 導電性基板上にシリコンからなる電気的絶縁層と、導電性のアモルファスシリコン層と、アモルファスシリコンからなる電荷注入阻止層と、アモルファスシリコンからなる光導電層と、表面保護層とを順次積層してなる電子写真感光体。
  2. 導電性基板上に導電性のアモルファスシリコン層と、シリコンからなる電気的絶縁層と、アモルファスシリコンからなる電荷注入阻止層と、アモルファスシリコンからなる光導電層と、表面保護層とを順次積層してなる電子写真感光体。
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