JP4231119B2 - 孔版印刷装置の圧胴 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置の圧胴に関する。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷装置として、外周面に製版済みマスタを装着した状態で回転する版胴と、給紙手段によって1枚ずつ搬送されてくる用紙を版胴に押圧しつつ回転する円筒状の圧胴とを有し、この押圧状態において、インキ供給手段からのインキを用紙に転移させて印刷を行なうものが知られている。
【0003】
圧胴は、版胴と略同一の直径を有し、版胴の回転速度と同一回転速度で回転駆動され、その外周面の一部に母線方向に延在する凹部を有している。この凹部には、用紙の先端をクランプするクランプ手段が設けられている。このような圧胴によれば、凹部の位置を版胴のマスタクランパの位置に対応させることで、マスタクランパとの干渉を回避でき、圧胴を版胴に押圧するときの移動量を小さくすることができるため、押圧時の印圧音を小さくすることができる。また、クランプ手段により、用紙の先端をクランプして用紙を搬送するので、排紙時の用紙の排紙巻き上がりを防止することや、レジスト精度を向上することができる。
【0004】
図17に示すように、圧胴100としては、断面形状が円周の一部を欠いた形状となるように形成されたアルミニウムの押出し材102を使用し、この押出し材102の外周面に弾性層としてのゴム層104を形成し、このゴム層104の外周面に研削加工を施したものが知られている。この押出し材102の内部には、強度確保のため十字状のリブ103が成形されており、押出し材102の中心部、すなわち、リブ103が交差する部分には、軸101が設けられている。また、アルミニウムの押出し材を切断し、この外周面に研削加工を施して使用するものも知られている。
ゴム層104の材料としては一般的にニトリルゴムが使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図17に示す圧胴では、重量を抑えるために、ゴム層の厚さを薄くしている。例えば、ゴム層の厚さが略3〜5mmに設定されている。よって、ゴム層に用いられているゴムの硬度をゴム硬度HS20(JIS−A)としても、ゴム層の厚さが薄いので、実際には、ゴム硬度HS40(JIS−A)に相当する変形状態を呈する。
これは、肉厚が小さいために、設定硬度に対応したゴム弾性が十分に発現しないためである。これにより、図18に示すように、紙厚が厚くなる折り返し部分を有する用紙a、例えば、封筒等に印刷する場合、圧胴bのゴム層cの硬度が高いので、折り返し部分a1に圧胴bの押圧力が集中して作用し、折り返し部分a1に対応するマスタdの部分(図中、e部)にも、押圧力が集中して作用する。なお、図中、符号fは版胴を示す。したがって、封筒等に印刷する場合には、数百枚印刷した時点で、用紙の紙厚が厚い部分に対応するマスタの部分が破れるという問題点が発生し、破損した部分から用紙にインキが付着し、用紙が汚れるという問題点がある。
【0006】
このマスタ破損を防止するために、ゴム層のゴム硬度を下げることが考えられる。ゴム層のゴム硬度を下げることによって、用紙の紙厚が厚い部分への押圧力集中を少しは緩和できるが、この押圧時には、図19に示すように、ゴム層cは、用紙aの両側に体積移動する。この体積移動により、圧胴bの中心から押圧部までの距離r1が圧胴bの半径r2よりも長くなったり、あるいは、用紙aの厚さ分だけ距離r1が距離r2よりも長くなる。すなわち、版胴fの半径r3よりも長くなる。
【0007】
この現象は、厚紙に印刷を行う場合にも発生する。この場合には、圧胴の中心から押圧部までの距離が、圧胴の半径と厚紙の厚さとを加えた距離になり、版胴の中心から押圧部までの距離よりも長くなる。圧胴の中心から押圧部までの距離が、版胴の中心から押圧部までの距離よりも長くなると、押圧部において、厚紙の線速度が版胴の周面の線速度よりも速くなり、マスタにしわが発生する。
【0008】
よって、本発明の目的は、押圧力の部分的な集中によるマスタの破損を防止できるとともに、押圧部における版胴と用紙との線速度の相違によるマスタのしわ発生を防止できる孔版印刷装置の圧胴を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のゴム弾性に基づいた変形を利用する構成では体積移動による変形を避けられない状況に鑑み、弾性層の圧縮性に着目した。
例えば、発泡性材料では、内在する気泡部分の圧縮率が他の緻密部分より圧倒的に高いため(気体の圧縮率に相当)、押圧力が作用した場合、気泡部分が占有していたスペースに押圧力によって変形すべき緻密部分が移動することとなり、これにより、体積移動を伴うことなく押圧力が吸収されることになる。
上記技術思想の下、請求項1記載の発明は、外周面に製版済みマスタを装着して回転する版胴に被印刷部材を押圧しつつ回転し、外周に弾性層を有する円筒体からなり、直径が上記版胴と略同一に設定された孔版印刷装置の圧胴において、上記弾性層が、上記被印刷部材の圧縮率よりも高い圧縮率を有し、圧縮されたときに体積移動せずに弾性変形するものであって、互いに連結しない多数の独立気泡を有するウレタンフォームからなるマイクロセル発泡体であり、上記マイクロセル発泡体は表面が平滑で圧縮残留歪みが10%を超えないものであり、上記弾性層の外周面に、さらに合成樹脂フィルムを巻着したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置の圧胴において、上記円筒体の外周面の両端部分の各外径は、上記円筒体の中央部から各端部に向かって漸次増大しており、これに対応する上記弾性層の厚さは、上記圧胴の両端部の外径がその中央部の外径と同じになるように、上記円筒体の中央部から各端部に向かって漸次薄くなっていることを特徴とする
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の孔版印刷装置の圧胴において、圧胴の外周面が上記版胴に当接したときの衝撃を緩和するゴム層を、上記圧胴の上記版胴に接触し始める部分に上記弾性層に代えて設けたことを特徴とする
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項記載の孔版印刷装置の圧胴において、
上記ゴム層の、上記圧胴の回転方向における上流側の厚さは、上記圧胴の回転方向の下流側から上流側に向かって漸次薄くなっており、この部分に対応する上記弾性層の厚さは、上記圧胴の回転方向の下流側から上流側に向かって漸次厚くなっていることを特徴とする
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷装置の圧胴において、上記円筒体が一端に底板を有するカップ形状であり、この円筒体の他端に円盤状のフランジが固着されており、上記円筒体及び上記フランジが、熱硬化性の合成樹脂からなることを特徴とする
【0021】
【実施例】
本発明の実施例を図面を参照して説明する。まず、本発明の圧胴を使用した孔版印刷装置について説明する。
図1に示すように、版胴1は、多孔構造の円筒体を有し、この円筒体の外周面にメッシュスクリーンを巻着して構成されている。この版胴1の外周部には、版胴1の母線と平行に回転自在なマスタクランパ2が設けられている。このマスタクランパ2は図示しない開閉装置により駆動力を伝達されて、所定位置にて開閉される。マスタクランパ2には、マスタ3の一端が挾持されている。マスタ3の他端側は、版胴1の外周面に巻着されている。
【0022】
図1中、版胴1の右側には、マスタ3を原稿の情報に基づいて穿孔する製版書き込み装置80が配置されている。製版書き込み装置80は、マスタ3に穿孔製版するサーマルヘッド81と、マスタ3をサーマルヘッド81の発熱素子部に押し付けつつ、マスタ3を搬送するプラテンローラ82と、このプラテンローラ82を駆動するパルスモータ83と、マスタ3を切断するカッタ84と、このカッタ84を駆動するカッタ駆動モータ85と、マスタ3の切断時期を決定する偏心カム86と、マスタ3の先端をマスタクランパ2へ案内する給版ローラ87とから構成されている。製版書き込み装置80内において、マスタ3は、ロール状に巻かれて収納されている。図1中、版胴1の左側には、すでに版胴1に巻着されている使用済みマスタ3を版胴1から剥離して格納する排版装置88が配置されている。
【0023】
版胴1は、図示しない駆動装置により時計回りの向きに回転する(図中、矢印Aの向き)。版胴1の内部には、該版胴1と同方向に同期して回転するインキローラ4と、このインキローラ4の外周面と僅かに隙間を設けて配置されたドクターローラ5とが配設されている。これらのローラ4、5により、インキ溜り6のインキをインキローラ4の外周面に供給する。インキは、軸パイプ7の穴より楔状空間のインキ溜り6に供給される。さらに、インキローラ4の外周面に供給されたインキは、版胴1の内周面とインキローラ4外周面との間に僅かな隙間があるので、版胴1の内周面に供給される。
【0024】
版胴1の下方には、この版胴1に押圧される圧胴10がインキローラ4に対向して配設されている。圧胴10の直径は、版胴1の直径と略同一に設定されている。圧胴10は、この圧胴10の基部をなす本体部40と、圧胴10を支持する軸11と、本体部40の外周面に設けられた弾性層50とから主に構成されている。本体部40及び弾性層50については、後で詳細に説明する。
【0025】
圧胴10の外周面の一部には、版胴1上のマスタクランパ2との衝突を避けるために、圧胴10の母線方向に延在する凹部17が形成されている。この凹部17には、合成樹脂からなるクランパベース18が設けられており、このクランパベース18に被印刷部材としての用紙Pの先端を圧胴10に保持する用紙クランパ19が取り付けられている。用紙クランパ19は、軸19aに回動可能に支持されており、図示しないカムにより所定のタイミングで開き、用紙Pをくわえた後、閉じて圧胴10に用紙Pを保持し、剥離爪20の位置に至ると再び開き、用紙Pを解放して該用紙Pを排紙搬送装置21に送り出す。
【0026】
圧胴10は、版胴1との押圧位置が回転毎に同じになるように無端ベルトで連結されていて、反時計回りの向き(図中、矢印Bの向き)に回転するようになっている。
【0027】
圧胴10の軸11は、支点軸12を中心に揺動自在な一対のアーム13(一方のみ図示する)に支持されており、圧胴10は、アーム13の揺動に応じて版胴1に対して接離自在である。アーム13の自由端は、一端が装置の側板に固定されたスプリング14によって圧胴10が版胴1に押圧するように常時付勢されている。アーム13の自由端には、カムフォロア15が設けられており、このカムフォロア15は、アーム13の揺動を制御する、すなわち、圧胴10の版胴1への押圧を制御するための印圧カム16に当接している。
【0028】
また、圧胴10は、用紙Pの搬送不良時の対処として、版胴1に対して圧胴10が押圧されないように、版胴1と同期して回転する印圧カム16により、所定のタイミングで版胴1から離間する。そして、搬送不良がない場合には、再び、用紙Pを保持した圧胴10がスプリング14により版胴1の外周面に押圧されることとなる。搬送不良が発生した場合には、圧胴10は、版胴1に押圧されず、図示しない印圧解除装置により圧解除される。
【0029】
図1中、版胴1の右下方には、多数の用紙Pを積載可能なエレベータ方式の給紙トレイ30と、図中、矢印Cの向きに回転して圧胴10に用紙Pを給送する上下一対のフィードローラ31、31とが設けられている。給紙トレイ30は、積載された用紙Pの最上位が、常に呼び出しローラ32に適切な範囲、すなわち、用紙Pが搬送可能な範囲の押圧力で接触する状態を保持しつつ、昇降する。
【0030】
給紙トレイ30とフィードローラ31、31との間には、用紙Pの重送を防止する分離ローラ33が配設されている。分離ローラ33は、給紙トレイ30からの用紙Pをフィードローラ31、31に送り出す給紙ローラ33aと、この給紙ローラ33aの下方に配設され、最上位の用紙P以外を給紙トレイ30に戻す分離ローラ33bとから構成されている。
【0031】
分離ローラ33とフィードローラ31、31との間には、用紙Pをフィードローラ31、31のニップ部に案内するガイド板34が設けられており、フィードローラ31、31から用紙クランパ19に向かう部分にも、用紙Pを案内するガイド板34が設けられている。
【0032】
なお、呼び出しローラ32は、図中、矢印Dの向きに、給紙ローラ33aは、図中、矢印Eの向きに、分離ローラ33bは、図中、矢印Fの向きにそれぞれ回転する。給紙トレイ30、フィードローラ31、31、呼び出しローラ32及び分離ローラ33から給紙手段が構成されている。
【0033】
図1中、版胴1の左下方には、印刷後(インキ塗布後)の用紙Pを圧胴10から剥離するための剥離爪20と、剥離した用紙Pを排紙トレイ22に搬送する排紙搬送装置21と、排紙搬送装置21により搬送された用紙Pを蓄えておく排紙トレイ22とがそれぞれ配設されている。排紙搬送装置21は、用紙Pの裏面を吸引する吸着ファン23と、一対の搬送ローラ24、25と、これら搬送ローラ24、25の間に架け渡されたベルト26とから構成されている。
【0034】
次に、上述の孔版印刷装置の印刷動作について説明する。
まず、すでに版胴1に巻着されている使用済みマスタ3が、版胴1から剥離され排版装置88に格納される。一方、製版書き込み装置80内のマスタ3には、図示しないスキャナからの画像信号に基づいてサーマルヘッド81によって穿孔製版が行われる。製版されたマスタ3は、プラテンローラ82によって、版胴1に向けて送り出されて、その先端を版胴1のマスタクランパ2に係止される。
【0035】
製版が続行されて、版胴1が図中、矢印Aの向きに回転するとともに、マスタ3が一定量送り出されると、カッタ駆動モータ85が偏心カム86を回転させてカッタ84を駆動し、マスタ3が切断される。そして、版胴1の外周に製版されたマスタ3が巻き付けられて、製版給版が完了する。
【0036】
呼び出しローラ32により給紙された用紙Pは、給紙ローラ33aと分離ローラ33bにより重送が防止され、最上位の1枚だけがフィードローラ31、31に送られる。この用紙Pの先端がフィードローラ31、31間に搬送されると、次にフィードローラ31、31によって、用紙Pは圧胴10に向けて搬送される。このタイミングに合わせ、圧胴10中の用紙クランパ19は開き、用紙Pをくわえた後、用紙クランパ19は閉じ、圧胴10に用紙Pが保持されたまま、圧胴10が回転し、版胴1と圧胴10とのニップ部に用紙Pが送り込まれる。
【0037】
図1において、版胴1と圧胴10とのニップ部は、スプリング14の力により加圧されており、用紙Pが版胴1の外周面に押圧される。この押圧の際に、インキローラ4により、版胴1の外周面に取り付けられているマスタ3の穿孔部を通過してきたインキが転写され、印刷が行われる。
【0038】
インキが転写された用紙Pは、さらに圧胴10が回転することにより、剥離爪20の手前で用紙クランパ19が開き、剥離爪20により剥離され、排紙搬送装置21によって排紙トレイ22に搬送され、排紙トレイ22上に積載され、印刷を終了する。
【0039】
次に、本発明の第1の参考例を図面を参照して詳細に説明する。
図2、3に示すように、本体部40は、一端に底板40aを有する有底円筒体、すなわち、カップ形状の円筒体からなる。本体部40の他端には円盤状のフランジ41が接着によって固着されている。本体部40及びフランジ41は、熱硬化性の合成樹脂、例えば、フェノール樹脂で一体成形されている。熱硬化性の合成樹脂は、加熱されることより可塑性を失い剛体に変化する樹脂であり、熱可塑性の合成樹脂に比べて熱膨張率が小さく、高強度で厚肉成形が可能で、変形しにくいという特長を有している。
【0040】
本体部40を熱硬化性の合成樹脂で一体成形することによって、本体部40の内部にリブを設ける必要がなくなり、従来のアルミニウムの押出し材を使用した場合よりも、圧胴10を軽量化することができる。また、従来のアルミニウムの押出し材よりも剛性がある。さらに、本体部40をカップ形状の円筒体とし、この開口端にフランジ41を固着することによって、圧胴10の強度を向上することができる。
【0041】
底板40a及びフランジ41の各中心部には、軸11が挿通されている。軸11は、ピン42により底板40aに固定されている。軸11の圧胴10の両端から突出する各部分、すなわち、底板40a及びフランジ41から突出する各部分には、玉軸受43、43がそれぞれ圧入されており、底板40aから突出する端部には、プーリ44が固設されている。玉軸受43、43は、アーム13に固定されており、これによって圧胴10は、アーム13に回転自在に支持されている。プーリ44には、上述した無端ベルトが噛み合っている。
【0042】
弾性層50は、圧縮残留歪みが小さい単発泡のウレタンフォームのスポンジ状のシートからなり、この圧縮率が用紙Pの圧縮率よりも高いシートを使用している。特に、用紙Pが折り返し部を有する封筒である場合、すなわち、封筒に印刷する場合には、弾性層50の圧縮率が封筒の折り返し部の圧縮率よりも高いシートを使用している。なお、スポンジ状のシートとしては、密度の低いものを使用する。
【0043】
参考例では、弾性層50に、株式会社イノアックコーポレーション製のポロンL−24を使用している。ポロンL−24は、ウレタン系のマイクロセル発泡体であり、互いに連結しない多数の独立気泡を有するスポンジ状のシートであり、圧縮率が封筒の折り返し部の圧縮率よりも高い。この独立気泡の径は10μm〜200μmと非常に小さい。独立気泡のため弾性層50にインキが付着した場合でも、インキの弾性層50内部への浸入を防止できる。また、スポンジ状のシートは、ゴムに比べて非常に比重が小さいので、圧胴10の重量を軽減することができる。特に、圧胴10の直径が大きい場合には、重量軽減を図ることができる。
表1は、ポロンL−24と、従来使用されているニトリルゴムとの各物性値の比較データである。
【0044】
【表1】
Figure 0004231119
【0045】
弾性層50は、本体部40の凹部17以外の周面、すなわち、円弧状の部分に図示しない両面テープにより接着されている。凹部17と円弧状部分との境では、図4に示すように、弾性層50の端面50aは、凹部17の縁面17aと略面一となっている。
【0046】
ここで、ポロンL−24の製造について説明する。ポロンL−24は、図15に示すように、材料供給ノズル70から材料としてのウレタンフォーム71をベルトコンベア72に供給し、このウレタンフォーム71をスキージ73を通過させてその厚さを規制して製造されている。このとき、ベルトコンベア72の搬送面72aとスキージ72の先端との間は、弾性体50の厚さよりも長い隙間xに設定されている。また、ウレタンフォーム71は、隙間xを通過する際に、熱を加えなくても自然発泡し、互いに連結しない多数の独立気泡を有するマイクロセル発泡体となる。
【0047】
ところが、ベルトコンベア72の搬送方向においてスキージ73よりも下流側では、ウレタンフォーム71の表面を拘束する部材、例えば、金型等がないので、スキージ73によりその厚さを規制しても、自然発泡によりその厚さが公差±0.3mm以内でばらついてしまう。この厚さのバラツキが大きいと、特にウレタンフォーム71の表面に凹部が発生すると、押圧時にその部分の押圧力が低下し、画像濃度が薄くなるという問題が発生する。
【0048】
この対策として、図16に示すように、ウレタンフォーム71の表面を刃74を用いて薄く切断して、その表面を平滑にしている。ウレタンフォーム71の表面を平滑とすることによって、画像濃度の濃度ムラの発生を防止できる。なお、ウレタンフォーム71のベルトコンベア72の搬送面72aに接している面は、ウレタンフォーム71が自然発泡しても、ベルトコンベア72の搬送面72aが平滑であるため凹凸の発生を抑制できる。図16において、符号75はウレタンフォーム71をその上下から挾持し、ウレタンフォーム71を刃74に向けて送り出すローラを示す。
【0049】
本体部40の底板40aと開口端40bとの外周には、図2、5に示すように、その外径が本体部40の中央部から端部に向かって漸次増大するテーパー部40cがそれぞれ設けられている。このテーパー部40cに対応する弾性層50は、テーパー部40cに沿って本体部40の外周面に接着されている。換言すると、弾性層50の両端部分も、テーパー部40cと同様に、本体部40の中央部から端部に向かって漸次増大するテーパー状をなしている。
【0050】
したがって、本体部40の両端部の厚さが本体部40の中央部の厚さよりも漸次厚くなり、圧胴10の両端部の外径が圧胴10の中央部の外径よりも漸次大きくなるので、押圧時に、弾性層50の両端部がその中央部よりも多く圧縮されることによって、この部分の硬度が高くなり、圧胴10の端部の剛性が向上する。低温印刷時や高速印刷時においては、圧胴10の両端部の剛性が不足して圧胴10の両端部が変形し、印圧が低くなり、用紙Pの幅方向における両端部で画像がかすれたり、欠損するといった問題が発生し易いが、上述のように圧胴10の両端部の剛性を向上させることによって、画像面積全域において印圧が確保され、画像のかすれや欠損を防止できる。
【0051】
図5において、各部の厚さ及び長さについて説明すると、本参考例では、本体部40の中央部の厚さt1は3〜5mmであり、弾性層50の厚さt2は3〜6mmである。このときの本体部40のテーパー部40cの母線方向の長さLは10〜30mmである。また、底板40aと開口端40bとにおける厚さが、本体部40の中央部の厚さt1よりも厚さt3だけ厚くなっていることによって、テーパー部40cの傾斜が設定されている。なお、厚さt3は、0.5〜0.7mmである。
【0052】
次に、圧胴10の製造について説明する。
上述した形状の本体部40を成形する成形用金型は、一対の金型から構成されている。図3において、本体部40をパーティングラインPLで分割したときに、凹部17を含む側の本体部40(図中、パーティングラインPLよりも上の部分)を成形するための金型と、凹部17を含まない側の本体部40(図中、パーティングラインPLよりも下の部分)を成形するための金型とからこの成形用金型は構成されている。パーティングラインPLは、圧胴10の中心を通り、圧胴10をその母線方向において分割する。
【0053】
一対の金型に熱硬化性の合成樹脂、例えば、フェノール樹脂を入れて、加熱するとともに圧力を加える。この加熱と圧力により、フェノール樹脂は、可塑性を失い硬化し、カップ形状の円筒体である本体部40としての成形品となる。また、別工程において、本体部40と同様に、フランジ41もフェノール樹脂により一体成形される。成形された本体部40及びフランジ41は、互いに固着される。すなわち、本体部40の開口端40bに円盤状のフランジ41が接着により固着されて、円柱体が形成される。
【0054】
円柱体となった本体部40において、軸11が底板40a及びフランジ41の各中心部に挿通される。軸11の挿通後、軸11がピン42により底板40aに固定される。その後、軸11を支持して本体部40を回転し、円筒研削盤を使用して本体部40の外周面を切削加工する。この切削加工により、本体部40の両端部にテーパー部40cが形成されるとともに、本体部40の外周面の寸法精度も仕上げられる。このときの加工精度は、±0.1mm〜±0.3mm以内である。次に、弾性層50としてのスポンジ状のシートが、本体部40の凹部17以外の周面に両面テープにより接着される。この接着後、軸11の底板40aから突出する部分に、玉軸受43が圧入されるとともに、プーリ44が設けられる。最後に、軸11のフランジ41から突出する部分に、玉軸受43が圧入されて、圧胴10の製造が終了する。
【0055】
製造後の圧胴10は、孔版印刷装置に組み付けられるが、このとき、圧胴10をどこかに衝突させて、この表面に傷を付けてしまう場合がある。従来の圧胴では、この外周面がゴムであったので、外周面に傷が付いた場合には、その部分の画像が乱れてしまい、これを修正するためにゴムを切削して、再度、ゴム表面を加硫成形する必要があり、傷の修正が困難であるとともに、コストがかかるという問題点があった。本参考例では、圧胴10の外周面に傷が付いた場合には、弾性層50を張り替えるだけで済み、傷の修正を容易に行うことができる。
【0056】
上述の圧胴10を用いて封筒に印刷する場合について説明する。
図6に示すように、押圧時に、圧胴10が版胴1に押圧されることによって、弾性層50は全体的に圧縮されるが、特に、弾性層50の封筒Gに対応する部分は、封筒Gの形状に沿って凹んで、封筒Gの体積分だけ圧縮される。このとき、弾性層50は、体積移動せずに弾性変形する。
体積移動せずに弾性変形するということは、気泡間のウレタンが座屈して、気泡中に移動し、封筒Gの体積分を吸収するといことを意味する。このため、見かけ上、ウレタンフォームが圧縮分体積移動しないこととなる。
【0057】
封筒Gには、押圧力が作用するが、特に、封筒Gの折り返し部G1に作用する押圧力は、弾性層50中の気泡により分散され、押圧力の折り返し部G1への集中が緩和される。したがって、マスタ3の折り返し部G1に対応する部分(図中、H部)への押圧力の集中も緩和され、数百枚の封筒に印刷を行っても、マスタ3の折り返し部G1に対応する部分の破損を防止でき、マスタ3の破損による封筒の汚れも防止できる。
【0058】
封筒Gに対する押圧力は、弾性層50の圧縮と弾性層50中の気泡により分散吸収されて低下するが、図7に示すように、弾性層50が弾性変形することによって、押圧部Jにおけるニップ幅Nが従来のゴムを用いた押圧部のニップ幅よりも広くなるため、マスタ3と封筒Gとの接触時間が長くなり、画像濃度が淡くなることを防止できる。
上記体積移動を伴わない押圧力の吸収構成は、ウレタンフォーム等の発泡材料を用いることだけでなく、例えば、従来のニトリルゴムの裏面側(圧胴の円筒体への接着面側)に押圧力吸収用の凹部ないし孔を形成することによっても実現可能である。
【0059】
次に、厚紙に印刷する場合について説明する。
図8に示すように、厚紙Kに印刷する場合にも、上述の封筒Gへの印刷と同様に、押圧部Mにおける弾性層50が圧縮されるとともに、弾性層50の厚紙Kに対応する部分が厚紙Kの体積分だけ圧縮される。このときにも、弾性層50は、体積移動せずに弾性変形する。
【0060】
この押圧(圧縮)状態における圧胴10の中心Oaから押圧部Mまでの距離をR、圧胴10の半径をRa、版胴1の中心Ohから押圧部Mまでの距離、すなわち、版胴1の半径をRhとすると、押圧状態では、弾性層50が凹んで弾性変形することによって、Ra>Rとなる。圧胴10の直径と版胴1の直径とは同一なのでRa=Rhであり、押圧状態では、Rh>Rとなり、圧胴10の中心Oaから押圧部Mまでの距離Rが、版胴1の半径Rhよりも長くなることはない。したがって、押圧部Mにおいて、厚紙Kの線速度が版胴1の周面の線速度よりも速くなることはなく、常に、厚紙Kの線速度が版胴1の周面の線速度よりも遅くなることによって、マスタ3に対するしわの発生を防止できる。
【0061】
発明者は、弾性層50に上述のポロンL−24以外のスポンジ状シートを使用して、マスタ3の破損防止やしわ防止を確認したが、ポロンL−24を使用したときが、マスタ3の破損防止としわ防止の効果が顕著に現れた。
【0062】
また、上述の参考例では、弾性層50に圧縮残留歪みが小さい単発泡のウレタンフォームのスポンジ状のシートを使用したが、これに代えて圧縮残留歪みが小さく、かつ、非粘着性を有するシリコンゴムを主としたマイクロセル発泡体のシートを使用しても、ポロンL−24と略同じ効果を得ることができる。弾性層の表面が非粘着性になるので、用紙の滑りがよく、用紙の用紙クランパへの送りを良好に行うことができる。なお、ここでいう粘着性とは、べとべとする性質をいい、用紙の滑りが低い性質、すなわち、用紙との摩擦が大きい性質である。
【0063】
上述の参考例における圧胴10では、圧胴10の両端部表面にテーパー状の傾斜があるため、用紙クランパ19が開いたときに、圧胴10の両端部ではその中央部に比べて開口量が少ない。よって、圧胴10の両端部では、用紙Pを開口に挿入しにくく、用紙Pのクランプが困難であり、用紙Pのクランプ時にその先端が折れるおそれがある。
【0064】
そこで、図9に示すように、テーパー部40cに対応する弾性層51を、テーパー部40cとは逆に、その厚さが本体部40の中央部から端部に向かって漸次薄くしている。この構成によって、弾性層51の外周面が凹凸のない滑らかな周面となる。この構成によっても、押圧時に、弾性層51の両端部の硬度は高くなり、圧胴10の端部の剛性は向上するので、画像面積全域において印圧が確保され、画像のかすれや欠損を防止できる。また、弾性層51の外周面が凹凸のない滑らかな周面となるので、用紙クランパ19が開いたときに、圧胴10の全長にわたって用紙クランパ19の開口量が均一になり、用紙Pのクランプを容易に、かつ、確実に行うことができる。
【0065】
なお、図9における各部の厚さ及び長さは、図5に示す各部の厚さ及び長さと同じであり、本体部40の中央部の厚さt1は3〜5mm、弾性層50の厚さt2は3〜6mm、テーパー部40cの母線方向の長さL1は10〜30mm、テーパー部40cの傾斜を設定する厚さt3は、0.5〜0.7mmである。
【0066】
次に、第2の参考例について説明する。
第1の参考例の孔版印刷装置においては、印刷時、圧胴10が版胴1に押圧されたときに、弾性層50の版胴1に始めに接触する部分には、大きな押圧力が加わる。この押圧力によって弾性層50が部分的に大きく圧縮され、図10に示すように、用紙クランパ19の先端が、版胴1に巻着されているマスタ3に接触して、マスタ3が破損するおそれがある。
【0067】
そこで、第2の参考例では、第1の参考例で説明した孔版印刷装置において、圧胴10の外周面が版胴1に当接したときの衝撃を緩和するゴム層を、圧胴10の版胴1に接触し始める部分に弾性層52に代えて設けた。
以下、詳細に説明する。図11に示すように、圧胴10が版胴1に押圧されたときに、圧胴10の版胴1に始めに接触する部分は、圧胴10の回転方向(図中、矢印X)の凹部17の上流側の段部、すなわち、クランパベース18が設けられている側の段部である。この段部には、クランパベース18に向かって下がる傾斜面17bが形成されている。凹部17の縁面17aには、圧胴10の母線方向に長い平板状のブラケット60が図示しないネジにより固定されている。凹部17の縁面17aにブラケット60が固定されることによって、ブラケット60と傾斜面17bとの間には、くさび状の隙間が形成される。このくさび状の隙間には、圧胴10の外周面が版胴1に当接したときの衝撃を緩和するゴム層61が配置される。ゴム層61は、ニトリルゴムからなり、くさび状の隙間に対応した形状に加硫成形されており、このくさび形状の反対側の形状、すなわち、圧胴10の外周をなす部分は、弾性層52の表面と連続するように形成されている。ゴム層61は、傾斜面17bとブラケット60との両面にそれぞれ接着剤を介して接着されている。
【0068】
ゴム層61と弾性層52との間には、図示しない接着材が配設されており、この接着材によりゴム層61と弾性層52とが互いに接着されている。ゴム層61と弾性層52との外周面には、インキの弾性層52への浸透を防止する図示しない薄層のフィルムが接着されている。なお、ゴム層61の圧胴10の回転方向Xにおける長さL2は、版胴1が当接する部分だけで良く、本参考例では、5〜10mmである。
【0069】
したがって、圧胴10が版胴1に押圧されたとき、ゴム層61が版胴1に始めに当接するので、圧胴10の外周面の変形量が低減され、用紙クランパ19の先端と版胴1に巻着されているマスタ3との接触が防止され、マスタ3の破損を防止できる。また、ゴム層61によって押圧力による衝撃が緩和されるので、印圧音を低減することもできる。
【0070】
上述の構成であると、ハーフトーン状の画像を印刷する場合には、ゴム層61と弾性層52との境界部では硬度が急激に変化するので、濃度ムラが発生するおそれがある。そこで、変形例として、図12に示すように、ゴム層62と弾性層53との境界部におけるゴム層62の端部の厚さが、圧胴10の回転方向Xの下流側から上流側に向かって漸次薄くなっている。これに対応する弾性層53の端部の厚さは、圧胴10の回転方向Xの下流側から上流側に向かって漸次厚くなっている。この両方の厚さが変化する部分の回転方向における長さL3は、L2と同様に5〜10mmである。
【0071】
したがって、ゴム層62と弾性層53との境界部では、徐々に硬度が変化することになり、すなわち、ゴム層62側から弾性層53側へ向かって徐々に硬度が低下することになり、ハーフトーン状の画像を印刷する場合でも、濃度ムラの発生を防止できる。また、長さL3を長くすることによって、ゴム層62と弾性層53との境界部における硬度の変化を滑らかにすることができる。
【0072】
ところで、孔版印刷装置において、印刷時に、用紙Pはその先端が用紙クランパ19に向けて搬送されるが、このとき用紙Pの先端は、圧胴10の外周面、すなわち、弾性層50の外周面を滑りながら送り込まれることになる。このとき、弾性層50の外周面には気泡が存在しているので、用紙Pの先端が気泡にひっかかり易く、用紙クランパ19による用紙Pの挾持が困難になる場合がある。また、ジャム等により用紙Pの搬送が行われずに、圧胴10が版胴1に押圧された場合には、弾性層50の表面にインキが付着し、次回の印刷時に、用紙Pの裏面にインキ汚れが付いてしまう。さらに、インキの弾性層50の表面への付着により、インキが気泡内に浸入し、圧縮残留歪みが大きくなる
【0073】
これらの問題を解決するための本発明の実施例について説明する。実施例の圧胴10は、第1の参考例において説明した圧胴10と略同様の構成であるので、図4に示す部材と同様の部材は、図4で用いた符号と同一符号を付すにとどめてその説明を省略し、相違する点について説明する。
【0074】
図13に示すように、弾性層50の外周面には、ポリエチレンテレフタレート樹脂のポリエステルフィルム65が巻着されている。ポリエステルフィルム65は、周知の接着剤により弾性層50の外周面に接着されている。
【0075】
ポリエステルフィルム65は、伸縮性が低いために、その厚さを厚くすると、弾性が低下して変形しにくくなる。よって、この状態で、ハガキや封筒等に印刷を行った際には、ポリエステルフィルム65により弾性層50の弾性変形が抑制され、マスタ3の破れが発生するおそれがある。これは、ハガキや封筒等に印刷を行った際に、ポリエステルフィルム65が弾性層50のように変形しないことが原因であると思われる。したがって、ポリエステルフィルム65の厚さには限界があり、発明者の実験によると、その厚さは、10〜50μmが適切であり、この程度の厚さであれば、弾性層50の弾性を低下させることはない。よって、本実施例では、ポリエステルフィルム65の厚さは、10〜50μmである。
【0076】
また、ポリエステルフィルム65の代わりに熱可塑性ポリウレタンエラストマーのフィルム、例えば、大倉工業株式会社製のシルクロンES85のフィルムを用いてもよい。このフィルムは、伸縮性が高く、その厚さを厚くしても、弾性層50と略同様の弾性を有する。このフィルムを用いてハガキや封筒等に印刷を行った結果、発明者は、マスタ3の破れ防止に効果があることを確認している。
【0077】
したがって、ポリエステルフィルム65により、圧胴10の外周面が、低摩擦性及び非粘着性になり、用紙Pの搬送性を向上できる。また、弾性層50の表面へのインキの付着を防止でき、インキの弾性層50内への浸入による圧縮残留歪みの増大も防止できるとともに、用紙Pの裏面へのインキ汚れも防止できる。さらに、インキ付着時のインキの拭き取り性も向上することができる。
【0078】
ポリエステルフィルム65を、両面粘着テープを利用して弾性層50の外周面に貼り付けても良い。また、この両面粘着テープの粘着力を弱めに設定して、貼付・剥離可能にしておけば、ポリエステルフィルム65のみを交換して貼り直すこともできる。
【0079】
次に、第3参考例について説明する。図14に示すように、弾性層50の外周面には、表面処理層66が設けられている。表面処理層66は、テフロン(登録商標)系の低温処理被膜を弾性層50の外周面に塗布することによって形成されている。この表面処理層66によって、弾性層50の気泡の用紙Pへの接触が防止され、圧胴10の外周面の摩擦係数が低下し、平滑性が向上する。したがって、上記実施例における効果と同様に、圧胴10の外周面が低摩擦性及び非粘着性になり、用紙Pの搬送性を向上できる。また、弾性層50の表面へのインキの付着を防止でき、インキの弾性層50内への浸入による圧縮残留歪みの増大も防止できるとともに、用紙Pの裏面へのインキ汚れも防止できる。さらに、インキ付着時のインキの拭き取り性も向上することができる。
【0080】
上記実施例、第3の参考例におけるポリエステルフィルム65、表面処理層66は、第2の参考例における圧胴にも適用でき、この場合にも、上記実施例、第3の参考例における効果を得ることができる。
上述した第1〜参考及び実施例において、圧胴10は、カップ形状の円筒体の開口端に円盤状のフランジが固着されて構成されていたが、この構成に限らず、圧胴を、円筒体の両端に一対の円盤状のフランジを固着して構成しても良い。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷時に、弾性層が全体的に圧縮されるとともに、弾性層の被印刷部材に対応する部分が被印刷部材の体積分だけ圧縮されて、弾性層が体積移動せずに弾性変形する。
従って、押圧力の部分的な集中によるマスタの破損を防止できるとともに、マスタのシワの発生を防止することができる。
【0082】
本発明によれば、印刷時に、被印刷部材の折り返し部に作用する押圧力が、弾性層により分散され、押圧力の折り返し部への集中が緩和される。したがって、マスタの折り返し部に対応する部分への押圧力の集中も緩和され、マスタの折り返し部に対応する部分の破損を防止でき、マスタの破損による被印刷部材の汚れも防止できる。
【0083】
本発明によれば、弾性層の比重がゴムの比重に比べて小さくなるので、圧胴の重量を軽減することができる。
【0085】
本発明によれば、圧胴の両端部の硬度がその中央部の硬度よりも高くなるので、押圧時に、画像面積全域において印圧が確保され、画像のかすれや欠損を防止できる。特に、低温印刷時や高速印刷時における圧胴の両端部の剛性不足による画像のかすれや欠損を防止できる。
【0086】
本発明によれば、圧胴が版胴に接触したき、ゴム層が版胴に当接するので、圧胴の外周面の変形量が低減され、用紙クランパの先端と版胴に巻着されているマスタとの接触が防止され、マスタの破損を防止できる。また、ゴム層によって押圧力による衝撃が緩和されるので、印圧音を低減することもできる。
【0087】
本発明によれば、弾性層の表面へのインキの付着を防止でき、インキの弾性層内への浸入による圧縮残留歪みの増大も防止できるとともに、被印刷部材の裏面へのインキ汚れも防止できる。さらに、インキ付着時のインキの拭き取り性も向上することができる。
【0088】
本発明によれば、円筒体が熱硬化性の合成樹脂で一体成形されることによって、円筒体の内部にリブを設ける必要がなくなり、従来のアルミニウムの押出し材を使用した場合よりも、圧胴を軽量化することができる。また、従来のアルミニウムの押出し材よりも剛性を向上させることができる。さらに、円筒体をカップ形状とし、この開口端にフランジを固着することによって、圧胴の強度を向上することができる。
【0090】
本発明によれば、ゴム層と弾性層との境界部では、徐々に硬度が変化することになり、すなわち、ゴム層側から弾性層側へ向かって徐々に硬度が低下することになり、ハーフトーン状の画像を印刷する場合でも、濃度ムラの発生を防止できる。
【0091】
本発明によれば、マイクロセル発泡体の表面が平滑であるので、被印刷部材を均等に押圧でき、画像濃度の濃度ムラの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 孔版印刷装置の概略構成図である。
【図2】 圧胴の母線方向における縦断面図である。
【図3】 圧胴の円周方向における縦断面図である。
【図4】 クランパベースの取付け部の拡大断面図である。
【図5】 圧胴の端部の拡大断面図である。
【図6】 版胴と圧胴による押圧部の母線方向における拡大縦断面図である。
【図7】 版胴と圧胴による押圧部の円周方向における拡大縦断面図である。
【図8】 版胴と圧胴の中心から押圧部までの距離の変化を説明する押圧部の縦断面図である。
【図9】 第1の参考例の変形例を示した図であり、圧胴の端部の拡大断面図である。
【図10】 押圧時における弾性層の変化を示す、押圧部の縦断面図である。
【図11】 本発明の第2の参考例を示した図であり、クランパベースの取付け部の拡大断面図である。
【図12】 第2の参考例の変形例を示した図であり、クランパベースの取付け部の拡大断面図である。
【図13】 本発明の実施例を示した図であり、圧胴の円周方向における縦断面図である。
【図14】 本発明の第参考例を示した図であり、圧胴の壁部の拡大断面図である。
【図15】 L−24の製造装置の概略構成図である。
【図16】 ウレタンフォームの表面の切断を説明する切断部の拡大図である。
【図17】 従来の圧胴の構成を示した圧胴の斜視図である。
【図18】 従来の版胴と圧胴により、折り返し部を有する用紙を印刷したときの押圧部の拡大断面図である。
【図19】 従来の圧胴のゴム層の硬度を低下させて、折り返し部を有する用紙を印刷したときの押圧部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 版胴
3 マスタ
10 圧胴
40 本体部(円筒体)
40a 底板
40b 開口端
40c テーパー部
41 フランジ
50 弾性層
61 ゴム層
65 ポリエステルフィルム(合成樹脂フィルム)
66 表面処理層
71 ウレタンフォーム
G 封筒(被印刷部材)
G1 折り返し部
K 厚紙(被印刷部材)
P 用紙(被印刷部材)

Claims (5)

  1. 外周面に製版済みマスタを装着して回転する版胴に被印刷部材を押圧しつつ回転し、外周に弾性層を有する円筒体からなり、直径が上記版胴と略同一に設定された孔版印刷装置の圧胴において、
    上記弾性層が、上記被印刷部材の圧縮率よりも高い圧縮率を有し、圧縮されたときに体積移動せずに弾性変形するものであって、互いに連結しない多数の独立気泡を有するウレタンフォームからなるマイクロセル発泡体であり、
    上記マイクロセル発泡体は表面が平滑で圧縮残留歪みが10%を超えないものであり、
    上記弾性層の外周面に、さらに合成樹脂フィルムを巻着したことを特徴とする孔版印刷装置の圧胴。
  2. 請求項1記載の孔版印刷装置の圧胴において、
    上記円筒体の外周面の両端部分の各外径は、上記円筒体の中央部から各端部に向かって漸次増大しており、これに対応する上記弾性層の厚さは、上記圧胴の両端部の外径がその中央部の外径と同じになるように、上記円筒体の中央部から各端部に向かって漸次薄くなっていることを特徴とする孔版印刷装置の圧胴。
  3. 請求項1又は2記載の孔版印刷装置の圧胴において、
    圧胴の外周面が上記版胴に当接したときの衝撃を緩和するゴム層を、上記圧胴の上記版胴に接触し始める部分に上記弾性層に代えて設けたことを特徴とする孔版印刷装置の圧胴。
  4. 請求項3記載の孔版印刷装置の圧胴において、
    上記ゴム層の、上記圧胴の回転方向における上流側の厚さは、上記圧胴の回転方向の下流側から上流側に向かって漸次薄くなっており、この部分に対応する上記弾性層の厚さは、上記圧胴の回転方向の下流側から上流側に向かって漸次厚くなっていることを特徴とする孔版印刷装置の圧胴。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の孔版印刷装置の圧胴において、
    上記円筒体が一端に底板を有するカップ形状であり、この円筒体の他端に円盤状のフランジが固着されており、上記円筒体及び上記フランジが、熱硬化性の合成樹脂からなることを特徴とする孔版印刷装置の圧胴。
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