JP4230136B2 - 加熱定着ローラ、これを用いた定着装置、画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置用の加熱定着方式の定着装置に用いる定着ローラ、これを用いた定着装置、そして画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
転写紙上のトナーを加熱溶融させ転写紙に密着させてなる事務機器の加熱定着装置は、加熱定着ローラの内部でハロゲンヒータを点灯させて得た熱量を、芯金を介してローラ表面に伝熱させ、トナーを転写紙に定着させる。
【0003】
ところで近年、事務機器の省エネの手段として、ハロゲンヒータの点灯時間を短くさせるために芯金の肉厚を薄くする方法が取られている。また、芯金から離型層表面への熱伝達を短くするため、離型層皮膜をより薄くすることが望まれている。
【0004】
加熱定着ローラの製造方法は、アルミニウム合金や鉄系金属からなる円筒体の表面を切削、研削加工によって円筒体の両端部の外径を中央部より大きくして鼓形状としたものである。この芯金は、その表面をサンドブラスト、エッチング、液体ホーニングによって荒らす。これは、離型層として用いているフッ素樹脂が非粘着性を有する反面、接着しにくいため、芯金表面にフッ素樹脂が入り込む、アンカー効果を持たせるもので、さらにこの表面に接着剤であるフッ素樹脂を主成分とするプライマーを塗布する。その後、自然乾燥若しくは100〜150℃の雰囲気で乾燥させ、フッ素樹脂塗料を塗布する。
【0005】
フッ素樹脂は、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)が一般に用いられ、PFAであれば、形態を粉体として塗装が可能であり、塗装、回収によって再使用ができる。そして上記のように形成したプライマー表面にフッ素樹脂塗料を塗装した後、フッ素樹脂の融点以上の雰囲気に20〜40分放置し、焼成させてフッ素樹脂皮膜を得る。
【0006】
上記のフッ素樹脂には加熱定着ローラに接する転写紙を分離するため、加熱定着ローラに当接する分離爪によって起こるフッ素樹脂皮膜の摩耗やプラス帯電トナーを用いた場合に発生するオフセットを防止する目的でカーボン、グラファイト、金属酸化物を添加することが周知である。
【0007】
焼成した加熱定着ローラ表面の皮膜は、そのままでは表面が荒れており、転写紙上に形成されたトナーを良好に定着させることができず、品質の良い画質を得ることが出来ない。そのため、この加熱定着ローラ表面を研磨し、出来るだけ平滑に仕上げる。
【0008】
加熱定着ローラの離型層表面への導電性を得るための手段としては、離型樹脂層に金属酸化物、カーボン等の導電物質を添加する方法があるが、フッ素樹脂にこれら充填材を多量に添加した場合、フッ素樹脂の溶融粘度が著しく上がり、焼成中に塗膜が脱離し、ピンホールが発生する等の欠陥や焼成後の表面粗さが荒くなり、研磨加工によって必要以上に削り込まなければならないということがある。
【0009】
また上述のように近年の高画質化により、微細トナーが多く用いられるようになってきたが、上記の研磨加工を行うことで、研磨目の溝内にトナーが入り込み、転写紙より発生する紙粉が介在することによって、トナーが離型性樹脂層表面に固着する現象も発生している。そのため、クリーニング機構やSiオイル塗布によって離型を補っているが、クリーニング部材に加熱定着ローラから拭き取ったトナーが溜まり、トナーが加熱定着ローラに再転移してオフセットを発生させるため、加熱定着ローラの研磨加工を行った後、再溶融させて、研磨目を除去する方法が特開昭63−311287号公報に開示されている。
【0010】
しかしながら、上述の様に再溶融させてもトナー固着性に差異や変動がある。そこで本発明は、こうした変動の要因を突き止め、加熱定着ローラの離型層表面へトナーが固着することなく、良好な非粘着性が得られる加熱定着ローラと、これを用いた定着装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る加熱定着ローラは、上記目的を達成するために、加圧ローラとの間で互いに圧接しながら回転することにより未定着トナーを転写紙に定着する様にしてある定着装置で用いる加熱定着ローラあって、表面にフッ素樹脂形成する加熱定着ローラにおいて、該加熱定着ローラの芯金表面にフッ素樹脂を含むプライマーを塗布し、該プライマー表面にフッ素樹脂を粉体として塗装し、該フッ素樹脂の融点以上の雰囲気に放置して焼成してフッ素樹脂皮膜を形成した後、上記芯金の両端を保持して回転させながら該芯金の軸に関して一方側から上記フッ素樹脂皮膜と加熱するとともに、上記芯金の軸に関して他方側から上記フッ素樹脂皮膜に金属製のコロを押し当てて該フッ素樹脂皮膜を平滑にし、該フッ素樹脂皮膜をなすフッ素樹脂の球晶と球晶の互いに接する境界部の段差が5μm以下としてなることを特徴とする。
【0012】
同請求項2に係るものは、上記目的を達成するために、請求項1の加熱定着ローラにおいて、上記球晶と球晶の互いに接する境界部の曲率が球晶径の1/5以下であることを特徴とする。
【0013】
同請求項3に係る定着装置は、上記目的を達成するために、請求項1または2の加熱定着ローラを用いたことを特徴とする。
また請求項4に係る画像形成装置は、上記目的を達成するために、請求項3の定着装置を用いたことを特徴とする。
【0014】
本発明の加熱定着ローラは、フッ素樹脂の球晶と球晶の互いに接する境界部の段差が5μm以下、更に球晶と球晶の互いに接する境界部の曲率が球晶径の1/5以下とし、フッ素樹脂皮膜を塗装、焼成によって成膜し、その表面を200℃〜300℃に加熱し、軸方向に圧力を掛けて形成した円筒体である。
【0015】
一般的にフッ素樹脂を含む結晶性高分子は結晶化すると球晶と呼ばれる核を中心として放射線状に多結晶が成長して球晶形態になる。球晶の核は不純物、フッ素樹脂の耐摩耗性や導電性効果を狙って添加するカーボン、金属酸化物の分散された粒子によってなり充填材が多くなれば球晶径も小さくなることが判っている。
【0016】
また、フッ素樹脂皮膜の表面粗さはこの球晶同士の配列した状態を表しており、この様な球晶を伴うフッ素樹脂皮膜を加熱定着ローラの離型層として用い、転写紙上の画像を良好に定着させるためには、表面粗さを何らかの形で平滑にさせなければならないが、研磨で表面の凹凸部分を削るとこの球晶は部分的に削りとられ、次いで再溶融をさせて研磨目を除去させた場合でも新たに球晶が形成される。
【0017】
この様な球晶の配列に注目すると球晶径が細かい程、表面粗さが小さくなるが、トナー画像を形成した転写紙を通紙し続けるとフッ素樹脂表面が荒らされ、ついにはトナー付着に至る。この球晶の配列とトナー付着の関係を捕らえた所、球晶と球晶の境界部にトナーが付着することが観察され、本願発明者は、球晶と球晶の境界部はくぼんでおり、球晶径が不揃いである程、この球晶同士の軸方向に対して段差が大きくなることと、この境界部の段差を小さくすることがトナー付着を発生させない加熱定着ローラとしてのフッ素樹脂皮膜になることを見い出した。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る定着部材の一実施形態に係る加熱定着ローラの構成を示す断面図、図2は加熱定着ローラの加工装置例を示す概念的側面図である。図中1は芯金、2はフッ素樹脂皮膜層、3は段差、4は遠赤外線ヒータ、5は金属性のコロを示す。
【0019】
この実施形態では、アルミニウム等の金属製パイプに鼓形状やその他の所定の外径を得た芯金1をサンドブラストにて表面を粗面化し、その表面にプライマー層を形成し、更にPFA樹脂を用いてフッ素樹脂皮膜層2は焼成して皮膜にした後、芯金1の両端を保持、回転させながら軸方向の一方より遠赤外線ヒータ4にて250℃に加熱させ、その反対方向より金属性のコロ5を押し当て、フッ素樹脂皮膜層2の表面を平滑にさせる。
【0020】
<実施例>
上記実施形態のように作成した加熱定着ローラの表面を三次元レーザ顕微鏡にて観察した結果、球晶と球晶の段差3は2〜3μmであった。また、球晶径は約20μmであり球晶端部の球晶曲率はR2〜4μmであった。
【0021】
上記の様にして製作した加熱定着ローラの皮膜特性として、膜厚、表面粗さ、球晶径、球晶間の最大段差球晶曲率を測定し、複写機(株式会社リコー製、商品名Spirio3200)に搭載し、連続コピー時での定着性、20万枚までの間欠コピーでのトナー固着、オフセット画像の発生有無を測定した。この結果を図3に示す。
【0022】
<比較例>
また、上記の実施例と同一の芯金にサンドブラストによって表面粗さを実施例と同様に粗し、プライマー層を塗布した。フッ素樹脂をPFAとして、導電性カーボンを5重量%をPFAに対し添加して、プライマー層表面に塗布した。その後、焼成し、研磨にて仕上げ、再溶融を行い、実施例と同様に皮膜特性と実機にて評価を行った。その結果を図4に示す。
【0023】
<比較結果>
これらの結果から判る様に、本発明の実施例と比較例では、各特性共に実施例の方が良好であり、複写機での間欠コピー時のトナー固着がなく実施例の方が良好であることが判る。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係る加熱定着ローラ以上説明してきたように、その芯金表面にフッ素樹脂を含むプライマーを塗布し、その表面にフッ素樹脂を粉体として塗装し、このフッ素樹脂の融点以上の雰囲気に放置して焼成してフッ素樹脂皮膜を形成した後、芯金の両端を保持して回転させながら芯金の軸に関して一方側からフッ素樹脂皮膜を加熱しつつ芯金の軸に関して他方側からフッ素樹脂皮膜に金属製のコロを押し当ててフッ素樹脂皮膜を平滑にし、フッ素樹脂の球晶と球晶の互いに接する境界部の段差が5μm以下、更に球晶と球晶の互いに接する境界部の曲率が球晶径の1/5以下とすることで、非粘着性が良好な加熱定着ローラを得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着部材の一実施形態に係る加熱定着ローラの構成を示す断面図である。
【図2】同加熱定着ローラの加工装置例を示す概念的側面図である。
【図3】本発明の実施例についての実験結果を示す図である。
【図4】比較例についての実験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 芯金
2 フッ素樹脂皮膜層
3 段差
4 遠赤外線ヒータ
5 金属性のコロ

Claims (4)

  1. 加圧ローラとの間で互いに圧接しながら回転することにより未定着トナーを転写紙に定着する様にしてある定着装置で用いる加熱定着ローラあって
    表面にフッ素樹脂形成する加熱定着ローラにおいて、
    加熱定着ローラの芯金表面にフッ素樹脂を含むプライマーを塗布し、
    該プライマー表面にフッ素樹脂を粉体として塗装し、
    該フッ素樹脂の融点以上の雰囲気に放置して焼成してフッ素樹脂皮膜を形成した後、
    上記芯金の両端を保持して回転させながら該芯金の軸に関して一方側から上記フッ素樹脂皮膜と加熱するとともに、上記芯金の軸に関して他方側から上記フッ素樹脂皮膜に金属製のコロを押し当てて該フッ素樹脂皮膜を平滑にし、
    該フッ素樹脂皮膜をなすフッ素樹脂の球晶と球晶の互いに接する境界部の段差が5μm以下としてなることを特徴とする加熱定着ローラ
  2. 請求項1の加熱定着ローラにおいて、上記球晶と球晶の互いに接する境界部の曲率が球晶径の1/5以下であることを特徴とする加熱定着ローラ
  3. 請求項1または2の加熱定着ローラを用いたことを特徴とする定着装置
  4. 請求項3の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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