JP4229628B2 - 多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤 - Google Patents

多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質基材(例えば、木質基材、スレート材、石膏ボード材等)にポリオレフィン化粧シートを接着する際に使用される水性接着剤に関し、さらに詳しくは、トルエン又はキシレンなどの低沸点有機溶剤を含有せず、低温下でも充分な接着性を発揮し、且つホットプレスが使用可能なことにより高い生産効率を達成することができる、多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多孔質基材、例えば、木質基材(合板、木質繊維板、パーティクルボード等)に、ポリオレフィン化粧シート(ポリプロピレン及び/又はポリエチレンのシートの表面に銘木等の印刷を施し、その裏面をプライマー処理した化粧シートをいう。)を接着して、各種造作材・住宅部材(例えば、額縁、廻り縁、巾木、ドア等)に広く使用されている。
ところで、この木質基材とポリオレフィン化粧シートを接着する場合、主に、エチレン酢ビ系エマルジョンとウレタン系エマルジョンとの混合物からなる水性接着剤が使用されている。しかし、この接着剤は、特に低温下においてポリオレフィン化粧シートへの濡れ性が低下し、接着不良をおこしやすくなり、安定した接着性能が得られないことがある。
【0003】
そこで、この問題を解決するために、例えば、特開平10−81865号公報にも記載されているように、該水性接着剤にトルエン、キシレン等の低沸点有機溶剤を配合することが行われている。ところが、これらの物質は近年、シックハウス症候群等において、人体へ悪影響を及ぼす可能性のある物質として取り上げられており、また、地球環境に対する影響も懸念されている。
また一方、この低沸点有機溶剤を配合した水性接着剤を用いて木質基材とポリオレフィン化粧シートを接着する場合には、ラミネーターで仮圧締(接着)した後、低沸点有機溶剤が揮散しないように冷圧プレスで圧締接着している。ところが、この冷圧プレスによる圧締接着方法では、通常冷圧プレスに1時間、その後の常温養生に15時間もの長時間を要することから、木質基材/ポリオレフィン化粧シートの接着工程における生産効率改善の隘路となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題(目的)は、トルエン、キシレンなどの低沸点有機溶剤を配合することなく、優れた初期接着強さ、耐水接着強さと共に、低温下において安定した接着性能を発揮し、且つより高い生産効率を達成することができる多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤を改良するのでは、▲1▼低沸点有機溶剤の除去と▲2▼生産効率の大幅な向上を同時に達成するのは困難と判断し、前者に対しては別系統の水性接着剤の探究と後者に対してはホットプレスの採用を前提に鋭意研究を進めた結果、上記課題(目的)を解決する水性接着剤を開発し、本発明をなすに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、以下の通りのものである。
1.ポリビニルアルコールと分子内にメチロール基を有する酢酸ビニル系ポリマーとを含むポリマーエマルジョンに対して、酸性金属塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、鉱酸、塩化アンモニウムのグループから選択した少なくとも1種以上の酸性物質を配合することにより、そのpHを1.0〜3.5の範囲に調製した主剤エマルジョン(A)に対し、該主剤エマルジョン(A)のポリマー固形分100質量部当たり、4 , 4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(B)1〜20質量部を配合することを特徴とする、多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
2.pHを2.5〜3.5の範囲に調製した主剤エマルジョン(A)に対し、該主剤エマルジョン(A)のポリマー固形分100質量部当たり、4 , 4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(B)2〜6質量部を配合することを特徴とする1.に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
3.上記主剤エマルジョン(A)における酢酸ビニル系ポリマーが、酢酸ビニルモノマー100質量部に対し、炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステル0〜100質量部、N−メチロール(メタ)アクリルアマイド0.1〜20質量部を重合せしめたポリマーである1.又は2.に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
4.上記主剤エマルジョン(A)における酸性物質が、水溶性多価金属の酸性金属塩であることを特徴とする1.〜3.のいずれか1項に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
5.上記水溶性多価金属の酸性金属塩が、塩化アルミニウムであることを特徴とする4.に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
6.1.〜5.のいずれか1項に記載の水性接着剤を多孔質基材及び/又はポリオレフィン化粧シートに塗布し、両者を貼り合わせた後ホットプレスすることを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シートの積層体の製造方法。
7.1.〜5.のいずれか1項に記載の水性接着剤を使用して成形されたことを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シートの積層体。
そして、本発明は、以下の第1〜第8の発明からなるものである。第1の発明は、ポリビニルアルコールと分子内にメチロール基を有する酢酸ビニル系ポリマーとを含むポリマーエマルジョンに対して、酸性金属塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、鉱酸、塩化アンモニウムのグループから選択した少なくとも1種以上の酸性物質を配合することにより、そのpHを1.0〜3.5の範囲に調製した主剤エマルジョン(A)に対し、該主剤エマルジョン(A)のポリマー固形分100質量部当たり、ポリイソシアネート化合物(B)1〜20質量部を配合することを特徴とする、多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤である。この水性接着剤は、トルエン、キシレンなどの低沸点有機溶剤を含有せず、優れた初期接着強さ、耐水接着強さと共に、低温下において安定した接着性能(以下、単に低温接着性ということがある。)を発揮することができる。
【0007】
そのためには、具体的には、▲1▼主剤エマルジョン(A)の酢酸ビニル系ポリマーにN−メチロール基を導入すること、▲2▼主剤エマルジョン(A)に酸性金属塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、鉱酸、塩化アンモニウムのグループから選択した少なくとも1種以上の酸性物質を配合してそのpHを1.0〜3.5の範囲に調製すること、▲3▼主剤エマルジョン(A)に対し、特定量のポリイソシアネート化合物(B)を配合することの3つの要件が同時に必要で、いずれが欠けても上記の効果は発揮されない。
この水性接着剤において、ポリイソシアネート化合物(B)は、酸性物質と共に主剤エマルジョン(A)におけるポリビニルアルコール及び酢酸ビニル系ポリマーと架橋結合すると共に、これに加えて酢酸ビニル系ポリマーに直結したメチロール基と相互作用する働きを有するものであり、この作用機構は極めて重要である。
【0008】
pH1.0〜3.5の領域は、本発明の特性を発現する上で重要である。pHが1.0未満の場合にはポリイソシアネート化合物の働きが不活性化し、期待する効果が発揮されない。一方、pHが3.5を超える場合には、ポリイソシアネート化合物が主剤エマルジョン(A)中の水と反応し発泡しながら消耗してしまうので好ましくない。
酸性物質は、酸性金属塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、鉱酸、塩化アンモニウムのいずれでも良い。酸性金属塩としては塩化アルミニウム、塩化ジルコニウム、塩化マグネシウムが、有機カルボン酸としては酒石酸、クエン酸、酢酸が、有機スルホン酸としてはP−トルエンスルホン酸が、鉱酸としては塩酸、硫酸、リン酸がある。
【0009】
ポリイソシアネート化合物(B)の配合量は、主剤エマルジョン(A)のポリマー固形分100質量部当たり、1〜20質量部である。これが1質量部未満であると低温下における安定した接着性能、優れた初期接着強さ、耐水接着強さが発揮されず、又20質量部を超えると保存中にポリイソシアネート化合物と水との反応による発泡が激しくなり好ましくない。
ポリイソシアネート化合物としては分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば格別の制限はなく、例えば、4, 4’−ジフェニルメタンジイソシアネートポリオール(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートトリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、酢酸ビニル系ポリマーに対して1〜40質量%存在することが、最終的に優れた接着性能を発揮する上で好ましい。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、pHを2.5〜3.5の範囲に調製した主剤エマルジョン(A)に対し、該主剤エマルジョン(A)のポリマー固形分100質量部当たり、ポリイソシアネート化合物(B)2〜6質量部を配合することを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤である。
このpH範囲とポリイソシアネート化合物配合量の選択が、本発明の効果を最大限に発揮する。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記主剤エマルジョン(A)における酢酸ビニル系ポリマーが、酢酸ビニルモノマー100質量部に対し、炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステル0〜100質量部、N−メチロール(メタ)アクリルアマイド0.1〜20質量部を重合せしめたポリマーであることを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤である。
このモノマーの組み合わせによる酢酸ビニル系ポリマーが本発明の効果を有効に発揮する。最大限の効果は、酢酸ビニルモノマー100質量部に対し、C1 〜C8 の(メタ)アクリル酸エステル0〜6質量部、N- メチロール(メタ)アクリルアマイドを2〜6質量部を重合せしめたポリマーである。
【0011】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、上記主剤エマルジョン(A)における酸性物質が、水溶性多価金属の酸性金属塩であることを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤である。
酸性物質が酸性金属塩である場合に、本発明の効果がより良く発揮される。
第5の発明は、第4の発明において、上記水溶性多価金属の酸性金属塩が、塩化アルミニウムであることを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤である。
塩化アルミニウムはpH調節作用以外に、ポリイソシアネート化合物とメチロール基との相互作用の促進剤として働くものと推定され、最も好ましい酸性金属塩である。
第6の発明は、第1〜第5のいずれかの発明において、上記ポリイソシアネート化合物(B)が4, 4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含有することを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤である。
特に、4, 4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含有する、いわゆる粗製MDI(crude MDI)は、特に優れた接着性能を発揮する。
【0012】
第7の発明は、第1〜第6のいずれかの発明の水性接着剤を多孔質基材及び/又はポリオレフィン化粧シートに塗布し、両者を貼り合わせた後ホットプレスすることを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シートの積層体の製造方法である。
本発明の水性接着剤はトルエン又はキシレンなどの低沸点有機溶剤を含有しないため、従来の冷圧プレスに代えてホットプレスが使用できるので圧締接着時間が極めて短時間(2〜3分)で済み、大幅な生産性の向上が実現できる。
その上、ホットプレスによる短時間圧締接着が可能となるため、少品種大量生産ばかりでなく、近年のジャスト・イン・タイム方式に代表される多品種少量生産にも充分対応できるので、更なる生産効率のアップが期待できる。
第8の発明は、第1〜第6のいずれかの発明の水性接着剤を使用して成形されたことを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シートの積層体である。
トルエン、キシレン等の低沸点有機溶剤が残存しないのでシックハウス症候群等の原因となる可能性はなく、また製造過程で低沸点有機溶剤を放出しないので環境に優しい製品といえる。
【0013】
【実施例】
次に、本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されないことはいうまでもない。
[主剤エマルジョン(A)の製造について]
主剤エマルジョン(A)は、様々な方法で製造することができる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)の存在下で酢酸ビニル、N−メチロール(メタ)アクリルアマイド、炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステルを、周知の手段で乳化共重合させることによって得られる。なお、この乳化重合における開始剤としては、特に制限はないが、例えば過酸化水素、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、過硫酸塩、過酢酸t−ブチル、過安息香酸t−ブチル等の酸化性物質とロンガリット等の還元性物質などの水溶性開始剤が好ましく用いられる。
【0014】
主剤エマルジョン(A)には、本発明の目的、効果を逸脱しない範囲内で他の水性エマルジョンを添加することができる。他の水性エマルジョンとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリクロロプレンエマルジョン、ポリブタジエンエマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体エマルジョン、ブチルゴムエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ポリ塩化ビニリデンエマルジョン等が挙げられる。
【0015】
(a)[初期接着強さについて]
厚さ15mmのパーティクルボード(小名浜合板(株)製)を30cm×30cmの大きさに切り出し基材とする。
ポリオレフィン化粧シートを31cm×31cmの大きさに切り出す。
低温(10℃)下で、基材に水性接着剤を40g/m2 の割合で塗布し、該塗布面にポリオレフィン化粧シートを重ねゴムロールで圧締仮接着し、次いで80℃で10kgf/cm2 ×2分の条件でホットプレスした後1分養生し、その後該化粧シートの端を持って手で引きはがし、破壊状況を観察する。接着性の評価(○、△、×)は、以下の内容を意味する。
○:パーティクルボード又はオレフィンシートが材破する。
△:パーティクルボードの材破はみられるが、比較的弱い力ではく離する。
×:接着剤が凝集破壊する(材破がみられない)。
【0016】
(b)[耐水接着強さ(JAS 2類浸せきはく離試験)について]
上記(a)で○の評価となる接着部材(試験片)を75mm×75mmの大きさに切り出し、70℃±3℃の温水中に2時間浸せきした後、60℃±3℃の温度で3時間乾燥させる。耐水接着性の評価は、接着部材(試験片)の同一接着層における剥離しない部分の長さがそれぞれの側面に置いて50mm以上であった場合を合格とする。
【0017】
(実施例1)
主剤エマルジョン(A)の調製
還流冷却器、攪拌機、配量装置、窒素導入管並びに加熱及び冷却装置を備えた1リットルの反応器内に、窒素で置換した後、水425g、ポリビニルアルコール(重合度1500・鹸化度88%)40gを添加して90℃で1時間加熱・攪拌してポリビニルアルコールを溶解(以後、ポリビニルアルコール溶液と呼ぶ。)し、65℃まで冷却し、その温度に維持した。
酢酸ビニルモノマー460g、アクリル酸メチル20g、t−ブチルハイドロパーオキシド0.5gを混合し、モノマー混合液とした。
水50gにN−メチロ−ルアクリルアミド20gを溶解しN−メチロ−ルアクリルアミド溶液とした。
水25gにロンガリット0.8g及び重炭酸ナトリウム0.8gを溶解し開始剤溶液とした。
【0018】
ポリビニルアルコール溶液にモノマー混合液、開始剤溶液を定量で滴下し、重合を行った。重合温度は65〜70℃で実施した。その際、モノマー混合液は還流が起こらない様に調節した。モノマー混合液滴下開始30分後、N−メチロ−ルアクリルアミド溶液の滴下を開始した。モノマー混合液とN−メチロ−ルアクリルアミド溶液の滴下は同時に終了するようにした。モノマー混合液の滴下時間は約6時間であった。モノマー混合液滴下終了後、1時間、70℃に維持した。開始剤溶液の滴下はモノマー混合液の滴下終了後、1時間長く行った。その後室温まで冷却し、ポリマー固形分が50%のエマルジョンを得た。
このエマルジョン100質量部に対し、チタン白(チタン工業(株)製:KD)3質量部を配合して主剤エマルジョン(A)とした。このエマルジョン(A)中のポリマーのモノマー比(質量)は、次のとおりである。
酢酸ビニルモノマー:アクリル酸メチル=460:20=100:4.4
酢酸ビニルモノマー:N−メチロ−ルアクリルアミド=460:20=100:4.4
【0019】
水性接着剤の調製
攪拌羽根を備えたガラス容器に、上記主剤エマルジョン(A)100質量部を入れ、攪拌しながら、これに塩化アルミニウム水溶液(濃度:50重量%)2.0質量部を添加してpHを2.8に調整し、更に4, 4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)2質量部を添加して水性接着剤を得た。
ポリオレフィン化粧シート
「凸版印刷(株)社製 商品名:アーロンウッド」を用いた。
上記水性接着剤とポリオレフィン化粧シートを用いて、上記(a)[初期接着強さ]、(b)[耐水接着強さ(JAS 2類浸せきはく離試験)]の各試験を実施し、次の表1に示す結果を得た。
【0020】
(比較例1)
4, 4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を配合しない以外は実施例1と同様にして、上記主剤エマルジョン(A)のpHが2.8の水性接着剤を得た。また、実施例1と同様にして、上記各試験を実施し、次の表1に示す結果を得た。
(比較例2)
塩化アルミニウム水溶液(濃度:50重量%)を配合しない以外は実施例1と同様にして、上記主剤エマルジョン(A)のpHが5.0の水性接着剤を得た。
また、実施例1と同様にして、上記各試験を実施し、次の表1に示す結果を得た。
【0021】
(比較例3)
主剤エマルジョン(A)の調製において、N−メチロール(メタ)アクリルアマイドを配合しない以外は実施例1と同様にして、上記主剤エマルジョン(A)のpHが2.8の水性接着剤を得た。また、実施例1と同様にして、上記各試験を実施し、次の表1に示す結果を得た。
(比較例4)
エチレン酢ビ系エマルジョンとウレタン系エマルジョンとの混合物(コニシ(株):CVC300)100(重量部)に、イソシアネート化合物(コニシ(株):硬化剤NV)2.5(重量部)を配合して水性接着剤を得た。また、実施例1と同様にして、上記各試験を実施し、次の表1に示す結果を得た。
尚、各水性接着剤のpHは、ガラス電極式水素イオン濃度計(商品名:型式F−13 (株)堀場製作所製)を使用して測定した。
【0022】
表1の結果によると、▲1▼主剤エマルジョン(A)の酢酸ビニル系ポリマーにN−メチロール基を導入すること、▲2▼主剤エマルジョン(A)に酸性金属塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、鉱酸のグループから選択した少なくとも1種以上の酸性物質を配合してそのpHを1.0〜3.5の範囲に調製すること、▲3▼主剤エマルジョン(A)に対し、特定量のポリイソシアネート化合物(B)を配合することの3つの要件を同時に満足する実施例1(水性接着剤)のみが、低温下において安定した接着性能を発揮し、優れた初期接着強さ、耐水接着強さを示すことが判る。また、ホットプレスを使用するので短時間(2分)圧締接着が可能となり、冷圧プレス法(冷圧プレス1時間/常温養生15時間)に比して著しい生産性の向上が実現できる。
【0023】
【表1】
Figure 0004229628
【0024】
(実施例2)
ポリオレフィン化粧シートとして、「凸版印刷(株)社製 商品名:ORWボイスオーク」を用いる以外は実施例1と同様にして、次の表2に示す結果を得た。
(実施例3)
ポリオレフィン化粧シートとして、「凸版印刷(株)社製 商品名:ORDスピンサンド」を用いる以外は実施例1と同様にして、次の表2に示す結果を得た。
【0025】
(実施例4)
ポリオレフィン化粧シートとして、「大日本印刷(株)社製 商品名:ゴーイングオーク−サフマーレ」を用いる以外は実施例1と同様にして、次の表2に示す結果を得た。
(実施例5)
ポリオレフィン化粧シートとして、「大日本印刷(株)社製 商品名:チェルドNP−サフマーレ」を用いる以外は実施例1と同様にして、次の表2に示す結果を得た。
(実施例6)
ポリオレフィン化粧シートとして、「大日本印刷(株)社製 商品名:WS13E」を用いる以外は実施例1と同様にして、次の表2に示す結果を得た。
表2の結果によると、実施例1の水性接着剤は各種ポリオレフィン化粧シートに対し、同様に、低温下において安定した接着性能を発揮し、優れた初期接着強さ、耐水接着強さを示すことが判る。
【0026】
【表2】
Figure 0004229628
【0027】
【発明の効果】
本発明の水性接着剤は、従来から大きな問題であった、トルエン、キシレンなどの低沸点有機溶剤を配合することなく、優れた初期接着強さ、耐水接着強さと共に、低温下において安定した接着性能を発揮し、且つ極めて高い生産効率を達成することができる多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤を提供することができるので、プリント合板を始めとする接着技術分野において多大な貢献をすることができる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコールと分子内にメチロール基を有する酢酸ビニル系ポリマーとを含むポリマーエマルジョンに対して、酸性金属塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、鉱酸、塩化アンモニウムのグループから選択した少なくとも1種以上の酸性物質を配合することにより、そのpHを1.0〜3.5の範囲に調製した主剤エマルジョン(A)に対し、該主剤エマルジョン(A)のポリマー固形分100質量部当たり、 , 4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(B)1〜20質量部を配合することを特徴とする、多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
  2. pHを2.5〜3.5の範囲に調製した主剤エマルジョン(A)に対し、該主剤エマルジョン(A)のポリマー固形分100質量部当たり、 , 4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(B)2〜6質量部を配合することを特徴とする請求項1に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
  3. 上記主剤エマルジョン(A)における酢酸ビニル系ポリマーが、酢酸ビニルモノマー100質量部に対し、炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステル0〜100質量部、N−メチロール(メタ)アクリルアマイド0.1〜20質量部を重合せしめたポリマーである請求項1又は請求項2に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
  4. 上記主剤エマルジョン(A)における酸性物質が、水溶性多価金属の酸性金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
  5. 上記水溶性多価金属の酸性金属塩が、塩化アルミニウムであることを特徴とする請求項4に記載の多孔質基材/ポリオレフィン化粧シート用水性接着剤。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の水性接着剤を多孔質基材及び/又はポリオレフィン化粧シートに塗布し、両者を貼り合わせた後ホットプレスすることを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シートの積層体の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の水性接着剤を使用して成形されたことを特徴とする多孔質基材/ポリオレフィン化粧シートの積層体。
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