JP4229547B2 - 熱可塑性樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミスカット量の極めて少ない熱可塑性樹脂ペレットを安定して且つ効率よく製造する方法に関するものである。ここで、ミスカットとは、ストランドを切断した際に生じる所望の大きさのペレットより細かい粉粒体を意味する。
【0002】
【従来の技術】
近年、種々の熱可塑性樹脂が開発され、自動車、電気、機械、光学、建築等の分野に溶融押出成形、溶融射出成形加工して幅広く使用されている。これらの成形材料の殆どは熱可塑性樹脂を溶融押出機でストランド状、板状に溶融押出した後、回転刃を有した切断機で切断して一定の大きさのペレットとして供給されている。しかしながら、通常供給されるペレット中には数百〜数千ppmのミスカットが混入しており、ミスカットの混入量が多くなると成形不良が多発して製品の収率低下を起こすため、ミスカットの混入量の低減が望まれている。特に、光学ディスク基板の成形材料として好適に用いられるポリカーボネート樹脂においては、ミスカットの混入量が多くなると、成形時に炭化物やシルバーが発生して記録材料として種々の欠陥を有することとなり、また、成形時の充填量がばらつき易く、得られる光学ディスク基板の複屈折が安定せず、これらのことからミスカットの混入量の低減が望まれている。
【0003】
従来から、ペレット中に混入したミスカットを低減する方法としては、湿式または乾式分級法が採用されている。しかしながら、この方法は発生したミスカットを後に除去する方法であるため、得られるペレットの収率の低下を招くこと及びミスカットの処理設備が必要となること等から好ましい方法とは云えない。また、特開平11−58373号公報では、切断する樹脂温度と回転刃のすくい角を特定範囲とすることにより、形状の揃った熱可塑性樹脂ペレットの製造方法が示されている。かかる方法によって、ある程度ミスカット量は低減されるけれども十分ではなく、より簡便な方法でミスカットの混入を十分に防止できる方法が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ミスカット量の極めて少ない熱可塑性樹脂ペレットを安定して、且つ効率よく製造する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、回転刃および固定刃により一度切断されたペレットが回転刃に残り、このペレットが回転刃と固定刃の会合部分に送られ、再度切断されることによりミスカット量が増大することに着目し、熱可塑性樹脂を溶融押出機でストランド状に溶融押出し、ストランドを冷却した後、回転刃と固定刃を有した切断機で切断してペレットを得る方法において、特定の位置から、特定流速の気体を切断機の回転刃に吹き付けることによって、驚くべきことに、ミスカット量の極めて少ない熱可塑性樹脂ペレットを安定して、且つ効率よく得られることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、溶融押出機を用いてポリカーボネート樹脂をストランド状に溶融押出し、ストランドを冷却した後、回転刃と固定刃を有した切断機で切断してペレットを製造する方法において、ストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って0〜270°の範囲で、回転刃に気体を流速30〜60m/秒で吹き付けることを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法が提供される。
【0006】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の対象とする熱可塑性樹脂は、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、非晶性環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられ、その中でもポリカーボネート樹脂が最も好ましい。これらの樹脂はペレットを製造する工程が共通する。以下、ポリカーボネート樹脂を例に挙げて説明する。
【0007】
ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面縮重合法または溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0008】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0009】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0010】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0011】
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0012】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール又は低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0013】
【化1】
【0014】
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0015】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いてポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、殊に光学ディスク基板としての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、また、基板の複屈折が低減される効果もあり好ましく使用される。なかでも、下記一般式(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
[式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
【0019】
かかる式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール及びトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0020】
また、式(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシル及びヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0021】
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0022】
溶融法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.3〜0.013kPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0023】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0024】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-9〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-8〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0025】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜100,000が好ましく、11,000〜45,000がより好ましく、12,000〜30,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4M0.83
c=0.7
【0026】
本発明の製造方法で得られる熱可塑性樹脂ペレットには、熱安定剤(リン酸エステル、亜リン酸エステル等)、離型剤(脂肪酸エステル等)、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤等の改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
【0027】
本発明で使用される溶融押出機としては、単軸押出機、二軸押出機等が使用され、ベント付で、スクリューとダイの間にフィルターを付設した押出機が好ましく用いられる。また、スクリューとダイの間に付設するフィルターはディスク状、キャンドル状、またはリーフディスク状の金属フィルターが好ましく用いられる。
【0028】
本発明において、溶融押出された熱可塑性樹脂のストランドを冷却する方法としては、冷却バスに張った水に浸漬して冷却する方法が好ましく採用され、この際使用される水は濾過精度5μm以下、好ましくは0.2〜3μmのフィルターで濾過することが望ましい。かかる濾過精度の範囲のフィルターを使用することにより、ペレット中の異物量が増大することがなく、濾過効率も良好であり好ましい。ストランドの冷却に使用する水はイオン交換水や蒸留水が好ましく、特にイオン交換水が好ましく用いられる。冷却バス内の水温は25〜80℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。かかる範囲の水温で冷却されたストランドは、ストランド中に気泡が入り難く、また、ストランドが十分に冷却され、切断機で切断する際、カット面が良好で、ミスカットの発生量が少なくなり好ましい。
【0029】
切断機に供給するストランドは、1本に限られず、切断機の大きさ、処理能力によってストランド数本を一緒に切断機に供給してペレット化することができる。
【0030】
本発明に用いる回転刃と固定刃を有した切断機は、回転刃保護カバーを付設した構造の切断機が好ましい。
【0031】
本発明において、回転刃に気体を吹き付けることにより、ミスカット量を低減させるが、気体を吹き付ける箇所は、ストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って0〜270°の範囲で吹き付けることが必要である。
【0032】
上記ストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って0〜270°とは、図1に示した切断機においてAで示した角度の部分である。270°を超えた箇所から気体を吹き付けても、切断されたペレットが再度切断される量の割合が高くなり、ミスカット量の低減という本発明の目的は達成されない。
【0033】
また、気体の吹き付ける好ましい箇所としては、ストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って0〜135°(図1に示した切断機において、Bで表した角度)の範囲である。気体を吹き付ける箇所をストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って135〜270°(図1に示した切断機において、Cで表した角度)の範囲とした場合には、気体の吹き付け方向としては、回転方向と逆方向から接線に対して0〜90°の角度で吹き付けることが好ましい。
【0034】
回転刃に吹き付ける気体としては空気、窒素ガス、炭酸ガス等が用いられ、特に空気が好ましく用いられる。
【0035】
回転刃に吹きつける気体の流速は30〜60m/秒であり、30〜50m/秒がより好ましい。流速が30m/秒未満では、カットしたペレットが再度切断される割合が高く、ミスカット量が多くなり本発明の目的が達し得ず、また、流速が60m/秒を超えると、風速が速いためにカットしたペレットが飛散し、飛散した一部のペレットが再度切断されてミスカット量が多くなるので好ましくない。回転刃に吹きつける気体の流速は、空気の吹き出し口においてその流速範囲を満足していればよく、空気の吹き出し口と回転刃との間隔は、吹き出し口と回転刃とが接触しない間隔、好ましくは1cm以上であり、また、好ましくは50cm以下、より好ましくは30cm以下、さらに好ましくは20cm以下の間隔である。
【0036】
また、気体の温度は40℃以下が好ましく、−10〜30℃がより好ましく、−5〜10℃が特に好ましい。気体の温度を上記範囲とすることによりミスカットの発生がより少なくなり好ましい。
【0037】
本発明の吹き付けに用いる気体は濾過精度5μm以下のフィルターで濾過した気体を用いることが、ペレット中の異物が増大することがなく好ましい。回転刃に気体を吹き付ける方法としては、気体をコンプレッサーで圧縮した後、冷却した気体が回転刃全体一様に当たるように吹き付けることが望ましく、具体的には、回転刃の軸と並行に(回転刃の幅方向に)2ヶ所以上から吹き付けることが好ましく、3〜10ヶ所に吹き付けることがより好ましい。
【0038】
回転刃に気体を吹き付ける方法としてはスリット方式とノズル方式が好ましく用いられ、ノズル方式の場合は、ノズルを0.5〜15cm間隔に設けることが好ましく、3〜10cm間隔がより好ましく、4〜8cm間隔が更に好ましい。かかる範囲内の間隔になるとミスカット量の低減効果が高くなり好ましい。
【0039】
本発明において、気体をイオン化して、このイオン化された気体を吹き付け用の気体として使用することにより、ペレット中のミスカット量および異物量が減少し好ましい。気体をイオン化する方法としてはコロナ荷電装置があり、直流荷電装置、交流荷電装置、パルス荷電装置が好ましく用いられる。
【0040】
本発明の方法によれば、ペレット中のミスカット量は極めて少なくなり、さらに、本発明の方法と湿式または乾式分級法を組み合わせることによって、ミスカット量をより少なくすることも可能である。
【0041】
また、本発明の製造方法で得られるミスカット量が低減された熱可塑性樹脂ペレットは、例えば光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板用の材料として、あるいはシリコンウエハー等の精密機材収納容器の材料として好適に使用できる。殊に、ミスカットの混入量が少なくなると、成形時に炭化物やシルバーが発生し難く記録材料として種々の欠陥が減少することとなり、また、成形時の充填量のばらつきが少なく、得られる光学ディスク基板の複屈折が安定することから、光学ディスク基板用の材料として好適に採用される。
【0042】
【実施例】
以下、実施例にしたがって、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、評価は次に示す方法で行った。
(1)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し、20℃で測定した比粘度より求めた。
(2)ペレット中のミスカット量
得られたペレット1000gを目開き2.0mmの標準篩で分級し、篩通過量を秤量し、篩通過量をミスカット量として、その重量割合を算出した。
【0043】
[実施例1]
温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器にイオン交換水219.4部、48%水酸化ナトリウム水溶液40.2部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン57.5部(0.252モル)およびハイドロサルファイト0.12部を溶解した後、塩化メチレン181部を加え、撹拌下15〜25℃で上記ホスゲン28.3部を40分要して吹込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液7.2部およびp−tert−ブチルフェノール2.42部を加え、撹拌を始め、乳化後トリエチルアミン0.06部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けたニーダー中の温水にかかる水洗後のポリカーボネート溶液を滴下し、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化した。次にこの含液したポリカーボネート樹脂を粉砕し、145℃で6時間乾燥して粘度平均分子量15,100、0.5μm以上の異物量1500個/gのポリカーボネート樹脂パウダーを得た。このパウダーにトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.004重量%、ステアリン酸モノグリセリドを0.06重量%加え、30分間混合し溶融押出しに供するパウダーを得た。
【0044】
次に、かかるパウダーをベント式二軸溶融押出機のスクリューとダイの間に濾過精度1μmのSUS304製のフィルターを付設したベント式二軸溶融押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]を用いてシリンダー温度260℃、ベントガス真空度0.67kPa(5mmHg)で脱気しながら溶融混練し、押出しされたストランドは、濾過精度0.5μmのSUS304製フィルターで濾過した水温が50℃にコントロールされたイオン交換水を張った冷却バスに浸漬し、水冷した。次いで、ストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って90°(図1において範囲Bの角度)の位置で回転方向と逆方向から接線に対して0°の角度から、回転刃の表面一様に空気が当たるように、回転刃の幅方向に均等に空気吹き付けノズル5本を回転刃から15cmの間隔をおいて付設した回転刃を有した切断機を用いて、5℃の空気を流速40m/秒で吹き付ける条件で、水冷されたストランドを切断し、直径2.8mm、長さ3.0mmのペレットを得た。得られたペレット中のミスカット量は70ppmであった。
【0045】
[実施例2]
実施例1において、吹き付ける空気の温度を25℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は100ppmであった。
【0046】
[実施例3]
実施例1において、吹き付ける空気の温度を50℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は1000ppmであった。
【0047】
[実施例4]
実施例1において、吹き付ける空気を、交流式コロナ放電装置イオナイザー[春日電気(株)製]を用いて、イオン化された25℃の空気に変更した以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は50ppmであった。
【0048】
[実施例5]
実施例1において、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたり、p−tert−ブチルフェノールの量を1.55部に変更した以外は実施例1と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は80ppmであった。
【0049】
[実施例6]
実施例5において、吹き付ける空気の温度を50℃に変更した以外は、実施例5と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は1020ppmであった。
【0050】
[比較例1]
実施例1において、回転刃に空気を吹き付けない方法に変更した以外は実施例1と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は6500ppmであった。
【0051】
[比較例2]
実施例1において、ストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って300°(図1において範囲Dの角度)の位置で回転方向と逆方向から接線に対して90°の角度から、回転刃の表面一様に空気が当たるように、回転刃の幅方向に均等に空気吹き付けノズル5本を回転刃から15cmの間隔をおいて付設した回転刃を有した切断機を用いて、50℃の空気を流速40m/秒で吹き付ける条件で、水冷されたストランドを切断する方法に変更した以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は6200ppmであった。
【0052】
[比較例3]
比較例1において、ポリカーボネート樹脂を製造するにあたり、p−tert−ブチルフェノールの量を1.55部に変更した以外は比較例1と同様の方法で行った。得られたペレット中のミスカット量は6300ppmであった。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明によると、ミスカット量の極めて少ない熱可塑性樹脂ペレットが安定して且つ効率よく製造することができ、かかる熱可塑性樹脂ペレットは、ミスカットに対して悪影響を極めて受け易い光学ディスク基板用の材料として好適に使用され、その奏する工業的効果は格別である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用されるストランドカッターの概略図である。
【符号の説明】
1.ストランドカッター
2.ストランド
3.送りローラ
4.ガイド
5.固定刃
6.回転刃
7.カバー
8.回転刃の回転方向
9.ペレット
10.ペレット排出口
11.気体吹き付けノズル
12.角度範囲A(切断箇所から回転刃の回転方向に沿って0〜270°)
13.角度範囲B(切断箇所から回転刃の回転方向に沿って0〜135°)
14.角度範囲C(切断箇所から回転刃の回転方向に沿って135〜270°)
15.角度範囲D(切断箇所から回転刃の回転方向に沿って270〜360°)
Claims (4)
- 溶融押出機を用いてポリカーボネート樹脂をストランド状に溶融押出し、ストランドを冷却した後、回転刃と固定刃を有した切断機で切断してペレットを製造する方法において、ストランドの切断箇所から回転刃の回転方向に沿って0〜270°の範囲で、回転刃に気体を流速30〜60m/秒で吹き付けることを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
- 回転刃に吹き付ける気体の温度が、40℃以下である請求項1記載のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
- 回転刃に吹き付ける気体が、イオン化された気体である請求項1記載のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
- 気体の吹き付け方向が、回転刃の回転方向と逆方向から接線に対して0〜90°の角度である請求項1記載のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
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