JP4228513B2 - 車両用無段変速機の制御装置 - Google Patents

車両用無段変速機の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用無段変速機の制御装置に係り、特に、吸気温度センサや大気圧センサの異常に関連してエンジン出力が変化しても、無段変速機内で動力伝達を行う動力伝達部材の滑りを防止する制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に、入力側回転体および出力側回転体の間に介在させられた動力伝達部材の摩擦を介して動力伝達を行う無段変速機が配設された車両が知られている。この無段変速機は、たとえば、有効径が可変の入力側可変プーリおよび出力側可変プーリと、それらの入力側可変プーリおよび出力側可変プーリに巻き掛けられた伝動ベルトと、それら入力側可変プーリおよび出力側可変プーリのV溝幅を変化させる入力側アクチュエータおよび出力側アクチュエータとを有し、伝動ベルトと可変プーリとの間の摩擦力を介して動力伝達が行われるとともに、車両の運転状態に応じて変速比やベルト挟圧力が制御される。
【0003】
上記ベルト挟圧力は、伝動ベルトの可変プーリのV溝内壁面に対する押圧力すなわち伝動ベルトと可変プーリとの間の摩擦力に対応するもので、それ等の間で滑りが発生するとその滑り部分の摩耗によりベルト式無段変速機の耐久性(寿命)が低下する一方、ベルト挟圧力が必要以上に高いと動力損失が大きくなって燃費などが低下する。このため、伝動ベルトの滑りが生じない範囲内で可及的に小さくなるように、エンジンからの入力トルクすなわち伝達トルクおよびベルト式無段変速機の変速比などに応じて制御される。また、そのエンジンからの入力トルクに対応するエンジンの出力トルクは、大気圧やエンジンの吸入空気温度の変化に応じて変化するので、上記エンジン出力トルクの算出に際しては、その算出値の精度を高めるために、大気圧補正係数や吸気温度補正係数を用いて補正されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記大気圧やエンジンの吸入空気温度を検出するセンサの劣化、接続配線の断線などのようなセンサの故障(フェイル)が発生する場合が考えられる。このような場合には、センサ故障による異常値がエンジン出力トルク値の補正演算に用いられることになるので、その補正により却ってエンジン出力トルクの算出値の精度が低下し、前記伝動ベルトの押圧力すなわち挟圧力が過少となって滑りが発生するとともに摩耗によって耐久性(寿命)が低下する可能性があった。これに対し、従来技術は、たとえば特開平8−4797号公報に記載されているように、エンジン回転速度センサの故障時において所与の変速比に対して出力側可変プーリの挟圧力を最大圧に一義的に設定する技術が開示されているに過ぎず、大気圧センサや吸気温度センサの故障が発生したときの技術は何ら開示されていない。また、たとえ上記のセンサ故障時において所与の変速比に対して出力側可変プーリの挟圧力を最大圧に一義的に設定する技術を大気圧センサや吸気温度センサの故障時に適用できたとしても、ベルト挟圧力が過度に高くなって動力損失が大きくなり、燃費などが大幅に低下する。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、大気圧センサ或いは吸気温度センサなどの大気圧検出手段或いは吸気温度検出手段の故障時において、動力伝達部材のすべりがなくしかも動力損失がそれほど大きくならず燃費のよい車両用無段変速機の制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】
かかる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、エンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられ、入力側回転体および出力側回転体の間に介在させられた動力伝達部材のそれら入力側回転体および出力側回転体に対する接触位置が変更されることにより変速比が無段階に変化させられる無段変速機において、吸気温度検出手段により検出された前記エンジンの吸入空気温度に関連してその動力伝達部材の接触圧力を調節する形式の車両用無段変速機の制御装置であって、(a) 前記エンジンの吸入空気温度を検出する吸気温度検出手段が異常であるか否かを判定する吸気温度検出手段異常判定手段と、(b) その吸気温度検出手段異常判定手段により前記吸気温度検出手段の異常が判定された場合には、前記動力伝達部材の接触圧を、前記吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に変更する異常時接触圧変更手段と
を、含むことにある。
【0007】
【第1発明の効果】
このようにすれば、吸気温度検出手段異常判定手段により前記吸気温度検出手段の異常が判定された場合には、異常時接触圧変更手段により、前記動力伝達部材の接触圧が、前記吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に変更されることから、動力伝達部材のすべりが好適に防止されると同時に、吸入空気量、エンジン回転速度、或いは大気圧などのパラメータに対しては従来通りにエンジン出力トルクが変化させられるのでベルト挟圧力が過度に高くなることがない。したがって、動力損失が大きくならずよい燃費が得られる。
【0008】
【課題を解決するための第2の手段】
かかる目的を達成するために、本第2発明の要旨とするところは、エンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられ、入力側回転体および出力側回転体の間に介在させられた動力伝達部材のそれら入力側回転体および出力側回転体に対する接触位置が変更されることにより変速比が無段階に変化させられる無段変速機において、大気圧検出手段により検出された大気圧に関連してその動力伝達部材の接触圧力を調節する形式の車両用無段変速機の制御装置であって、(a) 前記大気圧を検出する大気圧検出手段が異常であるか否かを判定する大気圧検出手段異常判定手段と、(b) その大気圧検出手段異常判定手段により前記大気圧検出手段の異常が判定された場合には、前記動力伝達部材の接触圧を、前記大気圧範囲の最高値付近に予め定められた圧力に対応する値に変更する異常時接触圧変更手段とを、含むことにある。
【0009】
【第2発明の効果】
このようにすれば、大気圧検出手段異常判定手段により前記大気圧検出手段の異常が判定された場合には、異常時接触圧変更手段により、前記動力伝達部材の接触圧が、前記大気圧範囲の最高値付近に予め定められた圧力に対応する値に変更されることから、動力伝達部材のすべりが好適に防止されると同時に、吸入空気量、エンジン回転速度、或いは吸気温度などのパラメータに対しては従来通りにエンジン出力トルクが変化させられるのでベルト挟圧力が過度に高くなることがない。したがって、動力損失が大きくならずよい燃費が得られる。
【0010】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、第1発明および第2発明において、前記無段変速機は、有効径が可変の1対の入力側可変プーリおよび出力側可変プーリと、それら入力側可変プーリおよび出力側可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達する伝動ベルトと、それら入力側可変プーリおよび出力側可変プーリのV溝幅を変化させる入力側油圧シリンダおよび出力側油圧シリンダとを備えたベルト式無段変速機であり、前記異常時接触圧変更手段は、前記伝動ベルトの前記V溝の内壁面に対する接触圧を変更するために前記出力側の油圧シリンダの推力を変化させるものである。このようにすれば、ベルト式無段変速機の伝動ベルトのすべりが好適に防止される。
【0011】
また、好適には、第1発明において、前記エンジンの出力トルクをエンジンの吸入空気量、エンジン回転速度、前記吸気温度検出手段により検出された吸気温度、或いは前記大気圧検出手段により検出された大気圧に基づいて算出するエンジン出力トルク算出手段が設けられ、前記異常時接触圧変更手段は、前記吸気温度検出手段異常判定手段により吸気温度検出手段の異常が判定された場合には、前記吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に基づいて前記エンジン出力トルク算出手段にエンジンの出力トルクを算出させるものである。このようにすれば、吸気温度検出手段の異常時でも、そのエンジン出力トルク算出手段により算出されたエンジンの出力トルクが無段変速機に入力されたときに動力伝達部材にすべりが発生しない範囲でその動力伝達部材の接触圧を必要且つ十分な値とするように、動力伝達部材の接触圧が制御される。
【0012】
また、好適には、第1発明において、前記エンジンの出力トルクをエンジンの吸入空気量、エンジン回転速度、前記吸気温度検出手段により検出された吸気温度、或いは前記大気圧検出手段により検出された大気圧に基づいて算出するエンジン出力トルク算出手段が設けられ、前記異常時接触圧変更手段は、前記吸気温度検出手段異常判定手段により吸気温度検出手段の異常が判定された場合には、上記エンジン出力トルク算出手段により算出されたエンジンの出力トルクを、前記吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に補正するものである。このようにすれば、エンジン出力トルク算出手段により算出されたエンジンの出力トルクが、前記吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に補正されるので、吸気温度検出手段の異常時でも、動力伝達部材にすべりが発生しない範囲でその動力伝達部材の接触圧を必要且つ十分な値とするように、動力伝達部材の接触圧が制御される。
【0013】
また、好適には、第1発明において、前記無段変速機はその動力伝達部材の接触圧力を調節する接触圧調節アクチュエータを備えたものであり、前記異常時接触圧変更手段は、前記吸気温度検出手段異常判定手段により吸気温度検出手段の異常が判定された場合には、前記接触圧調節アクチュエータに対する制御操作量を前記吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に変更するものである。このようにすれば、吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に変更された制御操作量で接触圧調節アクチュエータが駆動されるので、吸気温度検出手段の異常時でも、動力伝達部材の接触圧がその動力伝達部材にすべりが発生しない範囲で必要且つ十分な値とされる。
【0014】
また、好適には、第2発明において、前記エンジンの出力トルクをエンジンの吸入空気量、エンジン回転速度、前記吸気温度検出手段により検出された吸気温度、或いは前記大気圧検出手段により検出された大気圧に基づいて算出するエンジン出力トルク算出手段が設けられ、前記異常時接触圧変更手段は、前記大気圧検出手段異常判定手段により大気圧検出手段の異常が判定された場合には、大気圧範囲の最高値付近に予め定められた大気圧に基づいて前記エンジン出力トルク算出手段にエンジンの出力トルクを算出させるものである。このようにすれば、大気圧検出手段の異常時でも、エンジン出力トルク算出手段により算出されたエンジンの出力トルクが無段変速機に入力されたときに動力伝達部材にすべりが発生しない範囲でその動力伝達部材の接触圧を必要且つ十分な値とするように、動力伝達部材の接触圧が制御される。
【0015】
また、好適には、第2発明において、前記エンジンの出力トルクをエンジンの吸入空気量、エンジン回転速度、前記吸気温度検出手段により検出された吸気温度、或いは前記大気圧検出手段により検出された大気圧に基づいて算出するエンジン出力トルク算出手段が設けられ、前記異常時接触圧変更手段は、前記大気圧検出手段異常判定手段により大気圧検出手段の異常が判定された場合には、上記エンジン出力トルク算出手段により算出されたエンジンの出力トルクを、大気圧範囲の最高値付近に予め定められた圧力に対応する値に補正するものである。このようにすれば、エンジン出力トルク算出手段により算出されたエンジンの出力トルクが、前記大気圧範囲の最高値付近に予め定められた圧力に対応する値に補正されるので、大気圧検出手段の異常時でも、動力伝達部材にすべりが発生しない範囲でその動力伝達部材の接触圧を必要且つ十分な値とするように、動力伝達部材の接触圧が制御される。
【0016】
また、好適には、第2発明において、前記無段変速機はその動力伝達部材の接触圧力を調節する接触圧調節アクチュエータを備えたものであり、前記異常時接触圧変更手段は、前記大気圧検出手段異常判定手段により大気圧検出手段の異常が判定された場合には、前記接触圧調節アクチュエータに対する制御操作量を大気圧範囲の最高値付近に予め定められた温度に対応する値に変更するものである。このようにすれば、大気圧範囲の最高値付近に予め定められた圧力に対応する値に変更された制御操作量で接触圧調節アクチュエータが駆動されるので、大気圧検出手段の異常時でも、動力伝達部材の接触圧がその動力伝達部材にすべりが発生しない範囲で必要且つ十分な値とされる。
【0017】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例の制御装置が適用された車両用ベルト式無段変速機18を含む動力伝達装置10の骨子図である。この動力伝達装置10はたとえば横置き型FF(フロントエンジン・フロントドライブ)駆動車両に好適に採用されるものであり、走行用の動力源として用いられる内燃機関としてエンジン12を備えている。エンジン12の出力は、トルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式無段変速機(CVT)18、減速歯車20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配されるようになっている。上記ベルト式無段変速機18は、エンジン12から左右の駆動輪24L、24Rへ至る動力伝達経路に設けられている。
【0019】
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tと、一方向クラッチを介して非回転部材に回転可能に支持された固定翼車14sとを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間には、それ等を一体的に連結して一体回転させることができるようにするためのロックアップクラッチ26が設けられている。
【0020】
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに連結され、無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに連結されている。そして、キャリア16cとサンギヤ16sとの間に配設されたクラッチ38が係合させられると、前後進切換装置16は一体回転させられてタービン軸34が入力軸36に直結され、前進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。また、リングギヤ16rとハウジングとの間に配設されたブレーキ40が係合させられるとともに上記クラッチ38が開放されると、入力軸36はタービン軸34に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪24R、24Lに伝達される。
【0021】
無段変速機18は、上記入力軸36に設けられた有効径が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられた有効径が可変の出力側可変プーリ46と、それ等の可変プーリ42、46のV溝に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、動力伝達部材として機能する伝動ベルト48と可変プーリ42、46のV溝の内壁面との間の摩擦力を介して動力伝達が行われるようになっている。可変プーリ42、46はそれぞれのV溝幅すなわち伝動ベルト48の掛かり径を変更するための入力側油圧シリンダ42cおよび出力側油圧シリンダ46cを備えて構成されており、入力側可変プーリ42の油圧シリンダ42cの油圧が変速制御弁50(図3参照)によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力側回転速度NIN/出力側回転速度NOUT )が連続的に変化させられる。
【0022】
また、出力側可変プーリ46の油圧シリンダ46c内の油圧PB は、可変プーリ46の伝動ベルト48に対する挟圧力および伝動ベルト48の張力にそれぞれ対応するものであって、伝動ベルト48の張力すなわち伝動ベルト48の両可変プーリ42、46のV溝内壁面に対する押圧力に密接に関係しているので、ベルト張力制御圧、ベルト挟圧力制御圧、ベルト押圧力制御圧とも称され得るものであり、伝動ベルト48が滑りを生じないように、油圧制御回路52内の挟圧力制御弁60により調圧されるようになっている。
【0023】
図2は上記油圧制御回路52の一例を示す図である。オイルタンク56に還流した作動油は、エンジン12により駆動される油圧ポンプ54により圧送され、図示しないライン圧調圧弁により調圧された後、リニアソレノイド弁58および挟圧力制御弁60に元圧として供給される。リニアソレノイド弁58は、電子制御装置66(図3参照)からの励磁電流が連続的に制御されることにより、油圧ポンプ54から供給された作動油の油圧から、その励磁電流に対応した大きさの制御圧PS を発生させて挟圧力制御弁60に供給する。挟圧力制御弁60は、制御圧PS が高くなるに従って上昇させられる油圧PB を発生させ、出力側可変プーリ46の油圧シリンダ46cに供給する。その油圧PB は、その上昇に伴ってベルト挟圧力すなわち可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を増大させる。
【0024】
リニアソレノイド弁58には、カットバック弁62のON時にそれから出力される制御圧PS が供給される油室58aが設けられる一方、カットバック弁62のOFF時には、その油室58aへの制御圧PS の供給が遮断されて油室58aが大気に開放されるようになっており、カットバック弁62のON時にはOFF時よりも制御圧PS の特性が低圧側へ切り換えられるようになっている。上記カットバック弁62は、前記トルクコンバータ14のロックアップクラッチ26のON(係合)時に、図示しない電磁弁から信号圧PONが供給されることによりONに切り換えられるようになっている。
【0025】
図3の電子制御装置66には、エンジン12のインテークマニホルドなどの吸気管67に吸入される吸入空気の温度TA を検出する吸気温度センサ68からの吸気温度TA を表す信号、大気圧PA を検出する大気圧センサ69からの大気圧PA を表す信号、アクセルペダル70の開度θACC を検出するアクセル操作量センサ71からのアクセル開度θACC を表す信号、エンジン12の回転速度NE を検出するエンジン回転速度センサ72からの回転速度NE を表す信号、車速V(具体的には出力軸44の回転速度NOUT )を検出する車速センサ(出力側回転速度センサ)74からの車速Vを表す信号、入力軸36の入力軸回転速度NINを検出する入力側回転速度センサ76からの入力軸回転速度NINを表す信号、動力伝達装置10の作動油温度TOIL を検出する油温センサ78からの作動油温度TOIL を表す信号、出力側可変プーリ46の油圧シリンダ46cの内圧PB すなわち実際のベルト挟圧力制御圧PB を検出する圧力センサ80からのその油圧PB を表す信号がそれぞれ供給されるようになっている。
【0026】
上記電子制御装置66は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、上記無段変速機18の変速制御や挟圧力制御を行うものである。具体的には、変速制御では、たとえば図4に示す予め記憶された関係(マップ)から実際の運転者の要求出力量を表すアクセル操作量すなわちアクセル開度θACC (%)および車速V(出力側回転速度NOUT に対応)に基づいてマップから目標回転速度NIN T を算出し、実際の入力側回転速度NINがその目標回転速度NIN T と一致するように、入力側可変プーリ42の油圧シリンダ42cの油圧をフィードバック制御する。上記図4は、エンジン12をその出力および燃費が最適となる最適曲線に沿って作動させるために予め求められた関係であって、そのγmax は最大変速比で、γmin は最小変速比である。
【0027】
また、上記電子制御装置66は、ベルト挟圧力制御では、たとえば図5に示すような必要かつ十分な必要油圧(理想的なベルト挟圧力に対応する目標油圧)を得るために予め定められた関係(マップ)を示す基本式すなわち数式(1) からベルト式無段変速機18の実際の入力トルクTIN或いは伝達トルクに対応するアクセル操作量θACC および実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' を算出し、そのベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' が得られるように油圧制御回路52内の挟圧力制御弁60に調圧させる。数式(1) において、μは伝動ベルト48の摩擦係数、Rは入力側可変プーリ42のベルト掛かり径、Aはプーリ面積、αは制御誤差などを考慮した安全率で、1.0よりも大きな値である。上記必要油圧すなわちベルト挟圧力は伝動ベルト48の摩擦力の大きさに相当するものである。なお、アクセル開度θACC の代わりにエンジン12のスロットル弁開度、燃料噴射量、吸入空気量などのエンジン負荷値を用いることもできる。
B ’=(TIN/μ・R・A)×α ・・・(1)
【0028】
さらに、上記電子制御装置66は、予め記憶されたよく知られた関係〔TE =f(Q,NE )〕から実際の吸入空気量Qおよびエンジン回転速度NE に基づいてエンジン12の出力トルクTE すなわち推定トルクを算出し、トルクコンバータ14のトルク増幅率を乗算することにより入力トルクTINを算出する。たとえばロックアップクラッチ26の係合時にはトルク増幅率が1であるのでその出力トルクをベルト式無段変速機18の入力トルクTINとして決定する。また、このようなエンジン12の推定トルク或いは入力トルクTINの算出に際して、その算出精度を高めるために実際の吸入空気の温度TA および大気圧PA に基づいて吸入空気量Qを補正する。たとえば、吸気温度補正係数kTAおよび大気圧補正係数kPAを決定し、それら吸気温度補正係数kTAおよび大気圧補正係数kPAを乗算することにより補正後の吸入空気量Q' (=Q×kTA×kPA)を算出する。上記吸気温度補正係数kTAおよび大気圧補正係数kPAは吸入空気量をその質量に対応させるために熱膨張や大気圧による容積変化を補正するためのものであり、たとえば吸気温度補正係数kTAは常温(25℃)で1となり、それよりも高温となるほど1より小さい値となり、低温となるほど1より大きい値となる。また、たとえば大気圧補正係数kPAは1気圧であるときに1となり、それよりも低気圧或いは高地となるほど1より小さい値となり、それよりも高気圧或いは低地となるほと1より大きい値となる。
【0029】
図6は、上記電子制御装置66の制御機能の要部すなわちベルト挟圧力制御を説明する機能ブロック線図である。図6において、エンジン出力トルク算出手段82は、予め記憶されたよく知られた関係〔TE =f(Q,NE )〕から吸入空気量Qおよびエンジン回転速度NE に基づいてエンジン12の出力トルクTE すなわち推定トルクを算出する。
【0030】
吸気温度検出手段異常判定手段84は、吸気温度センサ68が異常であるか否かをその出力信号の値或いは変化に基づいて判定する。たとえば、車速Vが所定値(80km/h)以上且つエンジン回転速度NE が所定値(3000rpm )以下の状態が所定時間以上継続した運転状態における検出温度TA1と、車速Vが所定値(0km/h)以上且つエンジン12がアイドル回転である状態が所定時間以上継続した運転状態における検出温度TA2との差分(TA1−TA2)が、所定の判断基準値たとえば最も低いエンジン温度と最も高い外気温度との差よりも小さいこと、或いは差分(TA1−TA2)が所定の判断基準値たとえば最も高いエンジン温度と最も低い外気温度との差よりも大きいことに基づいて判定する。上記検出温度TA1は、外気温度と略等しく、上記検出温度TA2はエンジン12の温度と略等しいこと、吸気温度センサ68の経年変化などによる劣化が発生すると上記差分が小さくなること、吸気温度センサ68の接続状態が何らかの原因で良好になったことたとえば当初は接続不良の状態で調整された後で正常に検出動作するようになったことを利用して異常が判定されるのである。
【0031】
異常時挟圧力変更手段86は、上記吸気温度検出手段異常判定手段84により吸気温度センサ68の異常が判定された場合には、動力伝達部材として機能する伝動ベルト48の接触圧を、車両の使用環境として予定される吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度たとえば−25℃に対応する値に変更するために、たとえばベルト挟圧力制御手段88において用いられる補正後の吸入空気量Q' (=Q×kTA×kPA)を算出するに際して用いられる吸気温度補正係数kTAを、たとえば−25℃に対応する値とする。すなわち、前記吸気温度検出手段異常判定手段84により吸気温度センサ68の異常が判定された場合には、吸気温度に関して、伝動ベルト48のすべりが発生し難い側の安全値とすることにより、エンジン出力トルク算出手段82において算出されるエンジン出力トルクTE を安全側に大きな値として、油圧シリンダ46cに対する制御操作量を吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に変更し、上記安全値に対応するベルト挟圧力が用いられるようにする。
【0032】
ベルト挟圧力制御手段88は、上記補正後の吸入空気量Q' およびエンジン回転速度NE から求められたエンジン出力トルクTE に基づいて入力トルクTINを求めるとともに、たとえば予め定められた関係(マップ)を示す基本式すなわち数式(1) から、ベルト式無段変速機18の実際の入力トルクTINおよび実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' を算出し、そのベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' と実際のベルト挟圧力制御圧PB とが一致するように油圧制御回路52内の挟圧力制御弁60に調圧させる。
【0033】
図7は、電子制御装置66の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、所定のサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。ステップ(以下、ステップを省略する)SA1において、各信号を入力させるためのよく知られた信号入力処理が実行された後、前記吸気温度検出手段異常判定手段84に対応するSA2において、吸気温度センサ68が異常であるか否かがたとえばその出力信号に基づいて判断される。このSA2の判断が否定される場合は、SA3において、吸気温度センサ68からの信号から吸気温度TA が算出されるとともに、SA4において、予め記憶された関係からその吸気温度TA に基づいて吸気温度補正係数kTAが算出される。
【0034】
しかし、上記SA2の判断が肯定される場合は、前記異常時挟圧力変更手段86に対応するSA5において、吸気温度TA がその温度範囲の最低値またはその付近のセンサフェイル時の安全値に設定される。たとえば、吸気温度TA が−25℃に設定される。このため、SA4では、予め記憶された関係からセンサフェイル時の安全値に設定された吸気温度TA (−25℃)に基づいて吸気温度補正係数kTAが算出される。
【0035】
次いで、SA6では、上記SA4において算出された吸気温度補正係数kTAに基づいて吸入空気量Qが補正されて補正後の吸入空気量Q' (=Q×kTA×kPA)が求められる。この吸入空気量Qの基本値は、たとえば、図示しない吸気管67内に設けられた負圧センサにより検出された負圧とエンジン回転速度NE とエンジン12の気筒容積とに基づいて算出される。
【0036】
続いて、前記エンジン出力トルク算出手段82に対応するSA7では、予め記憶されたよく知られた関係〔TE =f(Q,NE )〕から補正後の吸入空気量Q' およびエンジン回転速度NE に基づいてエンジン12の出力トルクTE が算出される。そして、前記ベルト挟圧力制御手段88に対応するSA8では、上記補正後の吸入空気量Q' およびエンジン回転速度NE から求められたエンジン出力トルクTE に基づいて実際の入力トルクTINが求められるとともに、たとえば予め定められた関係(マップ)を示す基本式すなわち数式(1) から、ベルト式無段変速機18の実際の入力トルクTINおよび実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' が算出され、そのベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' と実際のベルト挟圧力制御圧PB とが一致するように油圧制御回路52内の挟圧力制御弁60が調圧作動させられる。
【0037】
上述のように、本実施例によれば、吸気温度検出手段異常判定手段84(SA2)により吸気温度センサ68の異常が判定された場合には、異常時挟圧力変更手段(異常時接触圧変更手段)86(SA4、SA5、SA6、SA7、SA8)により、伝動ベルト(動力伝達部材)48の挟圧力(接触圧)が、吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度たとえば−25℃に対応する値に変更されることから、伝動ベルト48のすべりが好適に防止されると同時に、吸入空気量Q、エンジン回転速度NE 、或いは大気圧PA などのパラメータに対しては従来通りにエンジン出力トルクTE が変化させられるのでベルト挟圧力が過度に高くなることがない。したがって、動力損失が大きくならずよい燃費が得られる。
【0038】
また、本実施例によれば、エンジン12の出力トルクTE をエンジン12の吸入空気量Q、エンジン回転速度NE 、吸気温度センサ68により検出された吸気温度TA 、或いは大気圧センサ69により検出された大気圧PA に基づいて算出するエンジン出力トルク算出手段82が設けられ、異常時挟圧力変更手段(異常時接触圧変更手段)86は、吸気温度検出手段異常判定手段84により吸気温度センサ68の異常が判定された場合には、吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に基づいて上記エンジン出力トルク算出手段82にエンジンの出力トルクを算出させるものであることから、吸気温度センサ68の異常時でも、そのエンジン出力トルク算出手段82により算出されたエンジン12の出力トルクTE が無段変速機18に入力されたときに伝動ベルト48にすべりが発生しない範囲でその伝動ベルト48の接触圧を必要且つ十分な値とするように、伝動ベルト48の挟圧力が制御される。
【0039】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
図8は、前記図7の他の実施例の要部であって、図7のSA7に替えて用いられるベルト挟圧力制御トルク(エンジン出力トルクTE )を算出するための他の算出ルーチンを示している。この実施例では、図7のSA2およびSA5は削除される。
【0041】
図8において、前記エンジン出力トルク算出手段82に対応するSA71では、ベルト挟圧力制御トルクであるエンジン12の出力トルクTE が予め記憶されたよく知られた関係〔TE =f(Q,NE )〕から補正後の吸入空気量Q' およびエンジン回転速度NE に基づいて算出される。次いで、前記吸気温度検出手段異常判定手段84に対応するSA72において、SA2と同様にして吸気温度センサ68が異常であるか否かが判断される。このSA72の判断が否定される場合はSA73が実行されないが、肯定される場合は、前記異常時挟圧力変更手段86に対応するSA73において、エンジン12の出力トルクTE にセンサフェイル時の安全係数(=1.094)が乗算されることにより、センサフェイル時の出力トルクTE が算出される。この安全係数は、車両の使用環境における吸気温度TA の温度範囲の最低値またはその付近の値に対応する大きさの出力トルクTE を得るために予め求められたものである。
【0042】
本実施例によれば、SA73により求められたエンジン出力トルクTE に基づいて実際の入力トルクTINが求められるとともに、たとえば予め定められた関係(マップ)を示す基本式すなわち数式(1) から、ベルト式無段変速機18の実際の入力トルクTINおよび実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' が算出され、そのベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' と実際のベルト挟圧力制御圧PB とが一致するように油圧制御回路52内の挟圧力制御弁60が調圧作動させられるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。
【0043】
図9は、本発明の他の実施例における電子制御装置66の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図9は、図6の機能ブロック線図に比較して、吸気温度センサ68、吸気温度検出手段異常判定手段84、異常時挟圧力変更手段86に替えて、大気圧センサ69、大気圧検出手段異常判定手段90、異常時挟圧力変更手段92が設けられている点において相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0044】
大気圧検出手段異常判定手段90は、大気圧センサ69の特性劣化、リード線の短絡或いは断線などの大気圧センサ69の異常をその出力信号の値或いは変化などに基づいて判定する。異常時挟圧力変更手段92は、上記大気圧検出手段異常判定手段90により大気圧センサ69の異常が判定された場合には、動力伝達部材として機能する伝動ベルト48の接触圧を、車両の使用環境として予定される大気圧範囲の最高値付近に予め定められた大気圧たとえば104kPa(1.06 kgf/cm 2 )に対応する安全値に変更するために、たとえばベルト挟圧力制御手段88において用いられる補正後の吸入空気量Q' (=Q×kTA×kPA)を算出するに際して用いられる大気圧補正係数kPAを、たとえば上記安全値に対応する値「1.03」とする。すなわち、前記大気圧検出手段異常判定手段90により大気圧センサ69の異常が判定された場合には、大気圧に関して、伝動ベルト48のすべりが発生し難い側の安全値とすることにより、エンジン出力トルク算出手段82において算出されるエンジン出力トルクTE を安全側に大きな値として、油圧シリンダ46cに対する制御操作量を大気圧範囲の最高値付近に予め定められた温度に対応する値に変更し、上記安全値に対応するベルト挟圧力が用いられるようにする。
【0045】
図10は、上記図9の実施例における電子制御装置66の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図10において、SB1において各信号を入力させるためのよく知られた信号入力処理が実行された後、前記大気圧検出手段異常判定手段90に対応するSB2において、大気圧センサ69が異常であるか否かがたとえばその出力信号の値或いは変化に基づいて判断される。このSB2の判断が否定される場合は、SB3において大気圧センサ69からの信号から大気圧PA が算出されるとともに、SB4において予め記憶された関係からその大気圧PA に基づいて大気圧補正係数kPAが算出される。
【0046】
しかし、上記SB2の判断が肯定される場合は、前記異常時挟圧力変更手段92に対応するSB5において、大気圧PA がその変化範囲内の最高値またはその付近のセンサフェイル時の安全値に設定される。たとえば、大気圧PA が104kPa(1.06 kgf/cm 2 )に設定される。そして、予め記憶された関係からセンサフェイル時の安全値に設定された上記大気圧PA (104kPa)に基づいて大気圧補正係数kPA(=1.03)が算出される。
【0047】
次いで、SB6では、上記SB4或いはSB5において算出された大気圧補正係数kPAに基づいて吸入空気量Qが補正されて補正後の吸入空気量Q' (=Q×kTA×kPA)が求められる。この吸入空気量Qの基本値は、たとえば図示しない吸気管67内に設けられた負圧センサにより検出された負圧とエンジン回転速度NE とエンジン12の気筒容積とに基づいて算出される。
【0048】
続いて、前記エンジン出力トルク算出手段82に対応するSB7では、予め記憶されたよく知られた関係〔TE =f(Q,NE )〕から補正後の吸入空気量Q' およびエンジン回転速度NE に基づいてエンジン12の出力トルクTE が算出される。そして、前記ベルト挟圧力制御手段88に対応するSB8では、上記補正後の吸入空気量Q' およびエンジン回転速度NE から求められたエンジン出力トルクTE に基づいて実際の入力トルクTINが求められるとともに、たとえば予め定められた関係(マップ)を示す基本式すなわち数式(1) から、ベルト式無段変速機18の実際の入力トルクTINおよび実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' が算出され、そのベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' と実際のベルト挟圧力制御圧PB とが一致するように油圧制御回路52内の挟圧力制御弁60が調圧作動させられる。
【0049】
本実施例において、大気圧検出手段異常判定手段90(SB2)により大気圧センサ69の異常が判定された場合には、異常時挟圧力変更手段(異常時接触圧変更手段)92(SB5、SB6、SB7、SB8)により、伝動ベルト(動力伝達部材)48の挟圧力(接触圧)が、大気圧範囲の最高値付近に予め定められた圧力に対応する安全値に変更されることから、伝動ベルト48のすべりが好適に防止されると同時に、吸入空気量Q、エンジン回転速度NE 、或いは吸気温度TA などのパラメータに対しては従来通りにエンジン出力トルクが変化させられるのでベルト挟圧力が過度に高くなることがない。したがって、動力損失が大きくならずよい燃費が得られる。
【0050】
また、本実施例によれば、エンジン12の出力トルクTE をエンジン12の吸入空気量Q、エンジン回転速度NE 、吸気温度センサ68により検出された吸気温度TA 、或いは大気圧センサ69により検出された大気圧PA に基づいて算出するエンジン出力トルク算出手段82が設けられ、異常時挟圧力変更手段(異常時接触圧変更手段)92は、大気圧検出手段異常判定手段90により大気圧センサ69の異常が判定された場合には、大気圧範囲の最高値付近に予め定められた安全値に基づいて上記エンジン出力トルク算出手段82にエンジンの出力トルクを算出させるものであることから、大気圧センサ69の異常時でも、そのエンジン出力トルク算出手段82により算出されたエンジン12の出力トルクTINが無段変速機18に入力されたときに伝動ベルト48にすべりが発生しない範囲でその伝動ベルト48の接触圧を必要且つ十分な値とするように、伝動ベルト48の挟圧力が制御される。
【0051】
図11は、前記図10の他の実施例の要部であって、その図10のSB7に替えて用いられるベルト挟圧力制御トルク(エンジン出力トルクTE )を算出するための他の算出ルーチンを示している。この実施例では、図10のSB2およびSB5は削除される。
【0052】
図11において、前記エンジン出力トルク算出手段82に対応するSB71では、ベルト挟圧力制御トルクであるエンジン12の出力トルクTE が予め記憶されたよく知られた関係〔TE =f(Q,NE )〕から補正後の吸入空気量Q' およびエンジン回転速度NE に基づいて算出される。次いで、前記大気圧検出手段異常判定手段90に対応するSB72において、SB2と同様にして大気圧センサ69が異常であるか否かが判断される。このSB72の判断が否定される場合はSB73が実行されないが、肯定される場合は、前記異常時挟圧力変更手段92に対応するSB73において、エンジン12の出力トルクTE にセンサフェイル時の安全係数(=1.03)が乗算されることにより、センサフェイル時の出力トルクTE が算出される。この安全係数は、車両の使用環境における大気圧PA の範囲の最高値またはその付近の値に対応する大きさの出力トルクTE を得るために予め求められたものである。
【0053】
本実施例によれば、SB73により求められたエンジン出力トルクTE に基づいて実際の入力トルクTINが求められるとともに、たとえば予め定められた関係(マップ)を示す基本式すなわち数式(1) から、ベルト式無段変速機18の実際の入力トルクTINおよび実際の変速比γに基づいてベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' が算出され、そのベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' と実際のベルト挟圧力制御圧PB とが一致するように油圧制御回路52内の挟圧力制御弁60が調圧作動させられるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。
【0054】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0055】
たとえば、前述の実施例においては、伝動ベルト48が巻きかけられた1対の可変プーリ42、46を備えた所謂ベルト式無段変速機18が用いられていたが、トロイダル型無段変速機などの他の無段変速機にも本発明は適用され得る。要するに、入力側回転体および出力側回転体の間に介在させられた動力伝達部材のその入力側回転体および出力側回転体に対する接触位置が変更されることにより変速比が無段階に変化させられる無段変速機であればよいのである。
【0056】
また、前述の図6および図8の実施例では、吸気温度センサ68の異常時において、車両の使用環境として予定される吸気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度(たとえば−25℃)が、伝動ベルト48の挟圧力(接触圧)を変更するために用いられていたが、その吸気温度範囲の最低値、その最低値から所定の余裕値αを差し引いた値、或いはその最低値よりも僅かに高い値が用いられても本発明の効果が得られる。また、図9および図11の実施例では、大気圧センサ69の異常時において、車両の使用環境として予定される大気圧範囲の最高値付近に予め定められた気圧に対応する大気圧補正係数kPA(たとえば1.03)が、伝動ベルト48の挟圧力(接触圧)を変更するために用いられていたが、その大気圧範囲の最高値、その最高値から所定の余裕値αを差し引いた値、或いはその最低値よりも僅かに高い値が用いられても本発明の効果が得られる。
【0057】
また、前述の図7のSA5では、吸気温度TA がフェイル時吸気温度(−25℃)に設定されていたが、フェイル時の吸気温度補正係数kTAが設定されてもよい。この場合には、SA5に続いてSA6が実行される。また、図10のSB5では、フェイル時の大気圧補正係数kPAが設定されていたが、フェイル時の大気圧(安全値)PA が設定されてもよい。この場合にはSB5に続いてSB4が実行される。
【0058】
また、吸気温度センサ68の異常時および大気圧センサ69の異常時においては、前述の実施例のSA8およびSB8において、前記安全値に対応する値となるようにベルト挟圧力制御圧(目標値)PB ' が所定圧高められたり、或いは油圧制御回路52内のリニヤソレノイド弁58或いは挟圧力制御弁60へ出力される制御信号或いは油圧信号が所定圧高められるようにしてもよい。
【0059】
また、前述の実施例において、吸気温度センサ68および大気圧センサ69の断線や短絡を検出するためによく知られた断線短絡検出回路を設け、前記吸気温度検出手段異常判定手段84および大気圧検出手段異常判定手段90はその断線短絡検出回路の出力信号に従って異常判定を行ってもよい。
【0060】
また、前述の実施例においては、吸気温度検出手段に対応する吸気温度センサ68は吸気管67内に吸入される吸入空気の温度TA を直接検出するものであったが、大気温度を検出するセンサなどであってもよい。また、大気圧検出手段に対応する大気圧センサ69は大気圧PA を直接検出するものであったが、吸気管67内の負圧を検出するための負圧センサであってもよい。所定のスロットル弁開度以上では大気圧が検出されるからである。
【0061】
また、前述の図7または図8の実施例と、図10または図11の実施例とが組み合わされて実施されるようにしてもよい。
【0062】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御装置が適用された車両用駆動装置の骨子図である。
【図2】図1の車両用駆動装置における無段変速機を制御するための油圧制御回路図である。
【図3】図1の実施例の制御装置の電気的構成を簡単に説明する図である。
【図4】図3の電子制御装置が実行する変速比制御において目標回転速度を決定するために用いられる予め記憶された関係を示す図である。
【図5】図3の電子制御装置が実行するベルト挟圧力制御において、伝動ベルトの挟圧力を必要且つ十分な値にするための必要油圧を示す図である。
【図6】図3の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図7】図3の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施例の制御作動を示す制御ルーチンである。
【図9】本発明の他の実施例における電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図10】図9の実施例の制御作動を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施例の制御作動を示す制御ルーチンである。
【符号の説明】
12:エンジン(原動機)
18:ベルト式無段変速機(無段変速機)
24L、24R:駆動輪
48:伝動ベルト(動力伝達部材)
68:吸気温度センサ(吸気温度検出手段)
69:大気圧センサ(大気圧検出手段)
84:吸気温度検出手段異常判定手段
86:異常時挟圧力変更手段(異常時接触圧変更手段)
90:大気圧検出手段異常判定手段
92:異常時挟圧力変更手段(異常時接触圧変更手段)

Claims (3)

  1. エンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられ、入力側回転体および出力側回転体の間に介在させられた動力伝達部材の該入力側回転体および出力側回転体に対する接触位置が変更されることにより変速比が無段階に変化させられる無段変速機において、吸気温度検出手段により検出された前記エンジンの吸入空気温度に関連して該動力伝達部材の接触圧力を調節する形式の車両用無段変速機の制御装置であって、
    前記エンジンの吸入空気温度を検出する吸気温度検出手段が異常であるか否かを判定する吸気温度検出手段異常判定手段と、
    該吸気温度検出手段異常判定手段により前記吸気温度検出手段の異常が判定された場合には、前記動力伝達部材の接触圧を、前記吸入空気温度範囲の最低値付近に予め定められた温度に対応する値に変更する異常時接触圧変更手段と
    を、含むことを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  2. エンジンから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられ、入力側回転体および出力側回転体の間に介在させられた動力伝達部材の該入力側回転体および出力側回転体に対する接触位置が変更されることにより変速比が無段階に変化させられる無段変速機において、大気圧検出手段により検出された大気圧に関連して該動力伝達部材の接触圧力を調節する形式の車両用無段変速機の制御装置であって、
    前記大気圧を検出する大気圧検出手段が異常であるか否かを判定する大気圧検出手段異常判定手段と、
    該大気圧検出手段異常判定手段により前記大気圧検出手段の異常が判定された場合には、前記動力伝達部材の接触圧を、前記大気圧範囲の最高値付近に予め定められた圧力に対応する値に変更する異常時接触圧変更手段と
    を、含むことを特徴とする車両用無段変速機の制御装置。
  3. 前記無段変速機は、有効径が可変の1対の入力側可変プーリおよび出力側可変プーリと、それら入力側可変プーリおよび出力側可変プーリに巻き掛けられて動力を伝達する伝動ベルトと、それら入力側可変プーリおよび出力側可変プーリのV溝幅を変化させる入力側油圧シリンダおよび出力側油圧シリンダとを備えたものであり、
    前記異常時接触圧変更手段は、前記伝動ベルトの前記V溝の内壁面に対する接触圧を変更するために前記出力側の油圧シリンダの推力を変化させるものである請求項1または2の車両用無段変速機の制御装置。
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