JP3652538B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクセル開度に基づいて変速制御を行うと共に、スロットル開度に基づいてライン圧制御を行う自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動変速機の制御装置においては、一般的に、アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度に基づいて変速制御を行う一方、スロットル開度センサにより検出されるスロットル開度に基づいてライン圧制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、変速制御をアクセル開度にて、ライン圧制御をスロットル開度にて行う自動変速機の制御装置において、アクセル開度が全閉でありながら、スロットル開度が全閉以外の場合(スロットルアクチュエータでアイドル回転数制御を行っている場合)、実際に変速機に入力されるトルクが0付近であるのにもかかわらず、スロットル開度によりライン圧が決まるため、必要以上に高いライン圧となってしまう。このため、オイルポンプによる損失(オイルポンプの負荷)が大きくなり、運転性も悪化してしまう。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、ライン圧を適正に制御できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明では、図1に示すように、アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、スロットル開度センサにより検出されるスロットル開度に基づいてライン圧制御を行うライン圧制御手段と、を備える自動変速機の制御装置において、アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度が全閉か否かを判定するアクセル開度判定手段と、スロットル開度センサにより検出されるスロットル開度が全閉か否かを判定するスロットル開度判定手段と、アクセル開度が全閉で、スロットル開度が全閉以外のときに、前記ライン圧制御手段により、スロットル開度に代え、アクセル開度に基づいてライン圧制御を行わせる制御パラメータ変更手段と、を設けたことを特徴とする。
【0006】
すなわち、アクセル開度が全閉で、スロットル開度が全閉以外のときは、変速制御及びライン圧制御を共にアクセル開度にて行わせ、これ以外のときは、変速制御はアクセル開度にて、ライン圧制御はスロットル開度にて行わせる。
【0007】
請求項2に係る発明では、アクセル開度センサの故障の有無を診断するアクセル開度センサ故障診断手段と、スロットル開度センサの故障の有無を診断するスロットル開度センサ故障診断手段と、を備え、アクセル開度センサ及びスロットル開度センサが共に故障していないときにのみ、前記アクセル開度判定手段、前記スロットル開度判定手段、及び前記制御パラメータ変更手段を機能させることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、アクセル開度が全閉で、スロットル開度が全閉以外のときに、ライン圧制御をアクセル開度にて行わせることで、実際に変速機に入力されるトルクが0付近であるのにもかかわらず、ライン圧が必要以上に高くなることが防止され、オイルポンプによる損失(オイルポンプの負荷)が大きくならないため、燃費が向上し、また最適な油圧となるので、運転性が悪化することもない。
【0009】
一方、これ以外のときは、ライン圧制御をスロットル開度にて行わせることで、変速機に入力されるトルクに適合したライン圧が得られる。すなわち、アクセル開度が全閉以外のときに、ライン圧制御をアクセル開度に基づいて行うと、アクセル開度に比べてスロットル開度が大きくなったときに、ライン圧が不足して、ベルト式無段変速機の場合はベルトの滑り、歯車式有段変速機の場合は摩擦係合要素(クラッチ、ブレーキ)の滑りを生じたり、逆に、アクセル開度に比べてスロットル開度が小さくなったときに、ライン圧が過剰となって、燃費等の悪化を招くが、ライン圧制御をスロットル開度にて行わせることで、変速機に入力されるトルクに適合したライン圧が得られるのである。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、アクセル開度センサ及びスロットル開度センサの故障診断を行って、共に故障無しのときにのみ制御を行うことで、信頼性が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
図2は本発明の一実施形態のシステム図である。
【0012】
エンジン1の吸気系のスロットル弁2は、スロットルアクチュエータとしてのステップモータ(又はサーボモータ)3に連結され、このモータ3は図示しないエンジン制御用コントロールユニットからの信号で駆動される。
【0013】
ここにおいて、アクセル開度と車速とから車両の目標駆動トルクを求め、この目標駆動トルクと自動変速機の変速比とから目標エンジントルクを求め、この目標エンジントルクに基づいて目標スロットル開度を定め、この目標スロットル開度になるように、モータ3を介して、スロットル弁2の開度を制御する。
【0014】
また、アイドル運転時には、前記目標スロットル開度を算出する際に、実アイドル回転数と目標アイドル回転数との比較結果に基づく、アイドル回転数制御分を含ませることで、アイドル回転数制御機能を同時に持たせている。
【0015】
エンジン1の出力側には、自動変速機として、ベルト式無段変速機(CVT)4が接続されている。
図3は変速機側のシステム図である。
【0016】
ベルト式無段変速機(CVT)4は、エンジンの出力軸にクラッチ5を介して連結される入力軸6側の有効径が連続的に変化可能なプライマリプーリ7と、出力軸8側(デフ側)の有効径が連続的に変化可能なセカンダリプーリ9と、これらのプーリ7,9間に巻掛けられたベルト10と、プライマリ圧(変速圧)が入力されてプライマリプーリ7に対し拡径方向に作用するプライマリ側シリンダ11と、ライン圧が入力されてセカンダリプーリ9に対し拡径方向に作用するセカンダリ側シリンダ12とを備えてなる。
【0017】
ここで、セカンダリ側シリンダ12に入力されるライン圧は、図示しないオイルポンプからの油圧を元圧として、リリーフ機能を有するライン圧制御弁13により、生成される。
【0018】
また、プライマリ側シリンダ11に入力されるプライマリ圧は、ライン圧を元圧として、リリーフ機能を有する変速制御弁14により、生成される。
従って、プライマリ圧は常にライン圧より低いが、プライマリ側シリンダ11の受圧面積はセカンダリ側シリンダ12の受圧面積より大きく設定してあるので、ライン圧に対するプライマリ圧の比(プライマリ圧/ライン圧)を制御することにより、プーリ比を変化させて、変速比を無段階に変化させることができる。
【0019】
ライン圧制御弁13及び変速制御弁14は、変速機制御用コントロールユニット15により、デューティ制御される。
この制御のため、変速機制御用コントロールユニット15には、アクセル開度(アクセルペダルの踏込み量)APOを検出するアクセル開度センサ16、スロットル開度(スロットル弁2の開度)TVOを検出するスロットル開度センサ17、車速VSPを検出する車速センサ18などから信号が入力されている。尚、アクセル開度APOやスロットル開度TVOはエンジン制御用コントロールユニットから通信線を介して入力するようにしてもよい。
【0020】
変速機制御用コントロールユニット15は、これらの信号に基づいて、内蔵のマイクロコンピュータにより、図4の変速機制御ルーチンに従って、変速制御弁14及びライン圧制御弁13を制御して、変速比及びライン圧を制御する。
【0021】
図4の変速機制御ルーチンについて説明する。
ステップ1(図にはS1と記す。以下同様)では、アクセル開度APOと車速VSPとに基づき、変速マップを参照して、目標変速比を算出する。
【0022】
ステップ2では、この目標変速比を得るように変速制御弁14をデューティ制御して、プライマリ圧を制御する。このステップ1,2の部分が変速制御手段に相当する。
【0023】
ステップ3では、スロットル開度TVO(又はアクセル開度APO)に基づき、所定のテーブルを参照して、目標ライン圧を算出する。ここで、スロットル開度TVOを用いるか、アクセル開度APOを用いるかは、後述する図5の制御パラメータ決定ルーチンに従って決定される。
【0024】
ステップ4では、この目標ライン圧を得るようにライン圧制御弁13をデューティ制御して、ライン圧を制御する。このステップ3,4の部分がライン圧制御手段に相当する。
【0025】
図5の制御パラメータ決定ルーチンについて説明する。
ステップ11では、アクセル開度センサが故障か否かを判定する。すなわち、別ルーチンで、アクセル開度センサの出力電圧を所定の上限値及び下限値と比較し、所定範囲外となったときなどに、故障有りと診断しており、この診断結果を参照する。この部分がアクセル開度センサ故障診断手段に相当する。
【0026】
ステップ12では、スロットル開度センサが故障か否かを判定する。すなわち、別ルーチンで、スロットル開度センサの出力電圧を所定の上限値及び下限値と比較し、所定範囲外となったときなどに、故障有りと診断しており、この診断結果を参照する。この部分がスロットル開度センサ故障診断手段に相当する。
【0027】
これらの判定で、アクセル開度センサ及びスロットル開度センサが共に故障していない場合に、ステップ13へ進み、いずれかが故障している場合は、処理を終了する。
【0028】
ステップ13では、アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度APOが全閉(APO=0)か否かを判定する。この部分がアクセル開度判定手段に相当する。
【0029】
アクセル開度APOが全閉の場合は、ステップ14へ進む。
ステップ14では、スロットル開度センサにより検出されるスロットル開度TVOが全閉以外(TVO≠0)か否かを判定する。この部分がスロットル開度判定手段に相当する。
【0030】
スロットル開度TVOが全閉以外の場合(すなわち、アクセル開度APOが全閉で、スロットル開度TVOが全閉以外の場合)は、ステップ15へ進む。
ステップ15では、変速制御及びライン圧制御を共にアクセル開度APOにて行わせる。
【0031】
すなわち、アクセル開度APOが全閉でありながら、スロットル開度TVOが全閉以外の場合は、図4のステップ1で変速制御をアクセル開度APO及び車速VSPに基づいて行わせる一方、図4のステップ3でライン圧制御をアクセル開度APO(=0)に基づいて行わせる。
【0032】
ステップ13での判定でアクセル開度APOが全閉以外の場合、又は、ステップ14での判定でスロットル開度TVOが全閉の場合は、ステップ16へ進む。
ステップ16では、変速制御はアクセル開度APOにて、ライン圧制御はスロットル開度TVOにて行わせる。
【0033】
すなわち、これらの場合は、図4のステップ1で変速制御をアクセル開度APO及び車速VSPに基づいて行わせる一方、図4のステップ3でライン圧制御をスロットル開度TVOに基づいて行わせる。
【0034】
ここで、ステップ15,16の部分が制御パラメータ変更手段に相当する。
以上のようにして、アクセル開度APOが全閉で、スロットル開度TVOが全閉以外の場合に、ライン圧制御をアクセル開度APO(=0)にて行わせることで、実際に変速機に入力されるトルクが0付近であるのにもかかわらず、ライン圧が必要以上に高くなることが防止され、オイルポンプによる損失(オイルポンプの負荷)が大きくならないため、燃費が向上する。また、最適な油圧となるので、運転性が悪化することもない。
【0035】
一方、これ以外の場合は、ライン圧制御をスロットル開度TVOにて行わせることで、変速機に入力されるトルクに適合したライン圧が得られる。
尚、本実施形態は、自動変速機がベルト式無段変速機である例としたが、本発明は、歯車式有段変速機の変速制御及びライン圧制御にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構成を示す機能ブロック図
【図2】 本発明の一実施形態を示すシステム図
【図3】 変速機側のシステム図
【図4】 変速機制御ルーチンのフローチャート
【図5】 制御パラメータ決定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン
2 スロットル弁
3 モータ
4 自動変速機(ベルト式無段変速機)
5 クラッチ
6 入力軸
7 プライマリプーリ
8 出力軸
9 セカンダリプーリ
10 ベルト
11 プライマリ側シリンダ
12 セカンダリ側シリンダ
13 ライン圧制御弁
14 変速制御弁
15 変速機制御用コントロールユニット
16 アクセル開度センサ
17 スロットル開度センサ
18 車速センサ
Claims (2)
- アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度に基づいて変速制御を行う変速制御手段と、スロットル開度センサにより検出されるスロットル開度に基づいてライン圧制御を行うライン圧制御手段と、を備える自動変速機の制御装置において、
アクセル開度センサにより検出されるアクセル開度が全閉か否かを判定するアクセル開度判定手段と、
スロットル開度センサにより検出されるスロットル開度が全閉か否かを判定するスロットル開度判定手段と、
アクセル開度が全閉で、スロットル開度が全閉以外のときに、前記ライン圧制御手段により、スロットル開度に代え、アクセル開度に基づいてライン圧制御を行わせる制御パラメータ変更手段と、
を設けたことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - アクセル開度センサの故障の有無を診断するアクセル開度センサ故障診断手段と、スロットル開度センサの故障の有無を診断するスロットル開度センサ故障診断手段と、を備え、
アクセル開度センサ及びスロットル開度センサが共に故障していないときにのみ、前記アクセル開度判定手段、前記スロットル開度判定手段、及び前記制御パラメータ変更手段を機能させることを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
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