JP4226772B2 - オレフィン系熱可塑性エラストマー積層体及び建築用ガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー製基体層と表皮層とからなる積層体、及び建築用ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建築材料等に用いられるゴム弾性を必要とする部品又は部位には、従来から種々の材料が用いられている。例えば、建築物の扉、戸、サッシ等では、人の出入りのため、あるいは通風換気のために、開閉操作を容易にしながら、しかも扉と扉が当たる部位との緊密的な密閉操作を可能とするような、ガスケットと呼ばれる案内部材が扉等に設けられている。
【0003】
従来の建築用ガスケットは、軟質塩化ビニル樹脂のような軟質合成樹脂や、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム等の加硫ゴムが多く用いられている。
また、より高性能な摺動特性が要求される部位には、発泡シリコーンゴム等の特殊な材料が用いられている。
【0004】
従来の軟質合成樹脂製ガスケットや加硫ゴム製ガスケットは、特に摺動特性に優れているわけではないので、長期の使用によりヘタリを生じたり、大きく変形したりして、ガスケットとしての機能が低下しやすいという傾向があった。また、加硫ゴムは熱硬化型のゴムであるためリサイクルが不可能である。
一方、発泡シリコーンゴム等の摺動特性に優れた材料を使用することにより、前記問題点は解決できるが、一般的な軟質合成樹脂や加硫ゴムに比べてコストが高いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、経済性に優れるとともに、リサイクル可能な積層体を使用することにより、耐久性、扉等の閉鎖時における緊密接触性、及び開放時における軽快摺動性に優れた建築用ガスケットを提供することにある。
【0006】
本発明の第二の目的は、架橋剤を使用しないで一工程で簡単に、しかも低コストで製造することができ、リサイクル可能なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を使用することにより、耐久性、扉やガラスの密閉性、及び気密性に優れた建築用ガスケットを提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の発明を包含する。
(i)以下の▲1▼、▲2▼及び▲3▼の特性:
▲1▼9≦Y−0.43X≦27 …(1)
(式(1)中、XはJIS K6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪(単位は%)である。)
▲2▼JIS K6301に準拠して測定した引張強度が5〜30MPa
▲3▼JIS K6301に準拠して測定した永久伸びが18%以下
を有するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層と、
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.5〜8.3dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層とから構成されていることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層体。
【0008】
(ii)前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が70〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)40〜95重量部[(a−1)及び(a−2)の合計量は100重量部である。]とを動的に熱処理して得られる前記(i)に記載の積層体。
【0009】
(iii)前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリプロピレン樹脂(a−3)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250のα−オレフィン系共重合体(a−4)40〜95重量部[(a−3)及び(a−4)の合計量は100重量部である。]とを動的に熱処理して得られる前記(i)に記載の積層体。
【0010】
(iv)前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)が、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン(b−1)と、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポリオレフィン(b−2)とからなる超高分子量ポリオレフィン組成物であって、超高分子量ポリオレフィン(b−1)が、超高分子量ポリオレフィン(b−1)とポリオレフィン(b−2)との総重量100重量%に対して15〜40重量%の割合で存在する前記(i)に記載の積層体。
【0011】
(v)前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)の合計100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂(a−5)を30重量部以下含む前記(ii)に記載の積層体。
【0012】
(vi)前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層が、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)10〜90重量部と、結晶性ポリオレフィン樹脂及びゴムからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)90〜10重量部[(B)及び(C)の合計量は100重量部である。]とから構成される前記(i)〜(v)のいずれかに記載の積層体。
【0013】
(vii)前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層が、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)10〜90重量部と、結晶性ポリオレフィン樹脂及びゴムからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)90〜10重量部[(B)及び(C)の合計量は100重量部である。]と、オルガノポリシロキサン(D)0.1〜25重量部とから構成される前記(i)〜(v)のいずれかに記載の積層体。
(viii)前記(i)〜(vii)のいずれかに記載の積層体からなる自動車用ガラスランチャンネル。
【0014】
(ix)前記(i)〜(vii)のいずれかに記載の積層体からなる建築用ガスケット。
(x)以下の▲1▼、▲2▼及び▲3▼の特性:
▲1▼9≦Y−0.43X≦27 …(1)
(式(1)中、XはJIS K6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪(単位は%)である。)
▲2▼JIS K6301に準拠して測定した引張強度が5〜30MPa
▲3▼JIS K6301に準拠して測定した永久伸びが18%以下
を有するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる建築用ガスケット。
【0015】
(xi)前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が60〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)40〜95重量部[(a−1)及び(a−2)の合計量は100重量部である。]とを動的に熱処理して得られる前記(x)に記載の建築用ガスケット。
【0016】
(xii)前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリプロピレン樹脂(a−3)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250のα−オレフィン系共重合体(a−4)40〜95重量部[(a−3)及び(a−4)の合計量は100重量部である。]とを動的に熱処理して得られる前記(x)に記載の建築用ガスケット。
【0017】
(xiii)前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)の合計100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂(a−5)30重量部以下を含む前記(xi)に記載の建築用ガスケット。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー積層体は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層と、特定の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層とから構成されている。
まず、これらの層を構成する前記成分について説明する。
【0019】
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、以下の▲1▼、▲2▼及び▲3▼の特性を有するエラストマーである。
▲1▼9≦Y−0.43X≦27 …(1)
好ましくは、
9≦Y−0.43X≦26 …(1')
更に好ましくは、
10≦Y−0.43X≦26 …(1'')
(式(1)、(1')及び(1'')中、XはJIS K6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪(単位は%)である。)
▲2▼JIS K6301に準拠して測定した引張強度が5〜30MPa、好ましくは8〜30MPa、更に好ましくは12〜30MPa
▲3▼JIS K6301に準拠して測定した永久伸びが18%以下、好ましくは0.5〜15%、更に好ましくは0.5〜12%
【0020】
前記▲1▼、▲2▼及び▲3▼の特性における測定方法は次のとおりである。
JIS A硬度:JIS K6301、スプリング式硬さ試験機A型による瞬間値
圧縮永久歪:JIS K6301、厚さ12.7mm、直径29.0mmの円柱形サンプルを用いて、25%圧縮、70℃×22時間後の残留歪
引張強度:JIS K6301、JIS3号ダンベルを用いて引張速度200mm/分にて引張試験を行った引張強度
永久伸び:JIS K6301、JIS3号ダンベルを100%伸張して10分間保持し、荷重除去10分後の残留歪
【0021】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、好ましくは、ポリエチレン樹脂(a−1)とエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)、及び必要に応じてポリプロピレン樹脂(a−5)とから構成されている。
本発明で用いるポリエチレン樹脂(a−1)としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン等、公知のポリエチレン樹脂が制限なく用いることができるが、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましく、特にメタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0022】
ポリエチレン樹脂(a−1)はメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238、190℃、2.16kg荷重)が0.01〜100g/10分、好ましくは0.01〜50g/10分であるのが望ましい。なお、MFRが0.1g/10分より小さい超高分子量ポリエチレンは、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が通常7〜40dl/gであり、このような超高分子量ポリエチレンをポリエチレン樹脂(a−1)として使用する場合は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの低分子量ないし高分子量ポリエチレン15〜40重量%と、極限粘度[η]が7〜40dl/gの超高分子量ポリエチレン85〜60重量%とを含む超高分子量ポリエチレン樹脂組成物の形態で使用するのが好ましく、この超高分子量ポリエチレン樹脂組成物全体の極限粘度[η]は3.5〜8.3dl/gであるのが好ましい。
【0023】
ポリエチレン樹脂(a−1)は密度が0.88〜0.98g/cm3、好ましくは0.90〜0.95g/cm3であるのが望ましい。
ポリエチレン樹脂(a−1)として直鎖状低密度ポリエチレンを用いる場合は、MFR(ASTM D 1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10分、好ましくは0.2〜20g/10分、密度が0.88〜0.95g/cm3、好ましくは0.91〜0.94g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンを用いるのが望ましい。
【0024】
ポリエチレン樹脂(a−1)として直鎖状低密度ポリエチレンを用いる場合、高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを用いる場合に比べて、肌荒れが生じにくく外観性に優れ、しかも表面のベタ付きの少ない押出成形品や射出成形品等の成形品を得ることができる。
【0025】
ポリエチレン樹脂(a−1)はエチレンの単独重合体であってもよいし、エチレンと、少量、例えば10モル%以下の他のモノマーとの共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、炭素数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィン;酢酸ビニル及びエチルアクリレート等のビニルモノマー等が挙げられる。他のモノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等が挙げられる。他のモノマーは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
ポリエチレン樹脂(a−1)は1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0026】
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)は、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、好ましくは100〜200、更に好ましくは110〜180、エチレン含量が70〜95モル%、好ましくは75〜90モル%、更に好ましくは75〜85モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体である。ここで、エチレン含量とは、全α−オレフィン(エチレンも含む)に対するエチレン含量をいう。
【0027】
エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)はエチレンと炭素数3〜20、好ましくは3〜8のα−オレフィンとからなる共重合体であってもよいし、更にα−オレフィン以外のモノマーが共重合されていてもよい。α−オレフィン以外のモノマーとしては、非共役ポリエン等が挙げられる。またエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)はランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0028】
エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)の具体的なものとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体等が挙げられる。これらの中ではエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が好ましい。
【0029】
エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)において、エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等が挙げられる。α−オレフィンは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0030】
エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)において、エチレン及びα−オレフィンと共重合される非共役ポリエンとしては、例えばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン及びエチリデンノルボルネン等の非共役ジエン等が挙げられる。非共役ポリエンは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のヨウ素価は、通常0.1〜50、好ましくは5〜30である。
エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)は1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0031】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)のうち、ポリエチレン樹脂(a−1)とエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)とから構成されている組成物は、好ましくは、前記ポリエチレン樹脂(a−1)とエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)との合計量に対して、ポリエチレン樹脂(a−1)5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%を含む混合物を、後述のように、架橋剤の非存在下に動的に熱処理して得られる。ポリエチレン樹脂(a−1)とエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)との含有量が前記範囲にある場合、優れたゴム弾性が発揮される。
【0032】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)にはポリプロピレン樹脂(a−5)が含まれていてもよい。前記ポリプロピレン樹脂(a−5)としては、公知のポリプロピレン樹脂が制限なく使用できる。具体的なものとしては、次のポリプロピレン樹脂等が例示される。
【0033】
1)プロピレン単独重合体
2)90モル%以上のプロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体)
3)70モル%以上のプロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体(プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体)
【0034】
プロピレンと共重合される前記他のα−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂(a−5)としては、前記1)のプロピレン単独重合体及び2)のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましく、特にMFR(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g/10分であるものが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(a−5)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0035】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(a−5)の含有量は、前記ポリエチレン樹脂(a−1)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)の合計100重量部に対して、通常30重量部以下、好ましくは2〜30重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。
ポリプロピレン樹脂(a−5)の含有量が前記範囲にある場合、肌荒れが生じにくく外観性に優れ、しかもベタ付きの少ない押出成形品や射出成形品等の成形品を得ることができる。
【0036】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、ポリプロピレン樹脂(a−3)とα−オレフィン系共重合体(a−4)とから構成されていてもよい。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂(a−3)としては、先にポリプロピレン樹脂(a−5)として述べたものと同様のものを挙げることができる。なお、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)として、ポリプロピレン樹脂(a−3)とα−オレフィン系共重合体(a−4)とから構成されているオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物と、前記のポリエチレン樹脂(a−1)とエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)とポリプロピレン樹脂(a−5)とから構成されているオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物とを組み合わせて用いる場合、ポリプロピレン樹脂(a−3)とポリプロピレン樹脂(a−5)は、同種のものでも、異なる種類のものでもよい。
【0037】
本発明で用いるα−オレフィン系共重合体(a−4)は、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250、好ましくは100〜200、更に好ましくは110〜180のα−オレフィン系共重合体である。
α−オレフィン系共重合体(a−4)は炭素数2〜20、好ましくは2〜8の少なくとも2種のα−オレフィンからなる共重合体であり、更にα−オレフィン以外のモノマーが共重合されていてもよい。α−オレフィン以外のモノマーとしては、非共役ポリエン等が挙げられる。また、α−オレフィン系共重合体(a−4)はランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0038】
α−オレフィン系共重合体(a−4)の具体的なものとしては、プロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)、エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−4b)等が挙げられる。これらの中ではプロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)が好ましい。
【0039】
本発明で用いるα−オレフィン系共重合体(a−4)がプロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)である場合には、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250、好ましくは65〜200、更に好ましくは68〜180、プロピレン含量が55〜95モル%、好ましくは60〜90モル%、更に好ましくは68〜90モル%のプロピレン・α−オレフィン系共重合体を用いる。ここで、プロピレン含量とは、全α−オレフィン(プロピレンも含む)に対するプロピレン含量をいう。
【0040】
プロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)はプロピレンと炭素数2又は4〜20、好ましくは炭素数2又は4〜8のα−オレフィンとからなる共重合体であってもよいし、更にα−オレフィン以外のモノマーが共重合されていてもよい。α−オレフィン以外のモノマーとしては、非共役ポリエン等が挙げられる。またプロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)はランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0041】
プロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)の具体的なものとしては、プロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体等が挙げられる。これらの中ではプロピレン・α−オレフィン共重合体が好ましい。
【0042】
プロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)において、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等が挙げられる。前記α−オレフィンは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0043】
プロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)において、プロピレン及び前記α−オレフィンと共重合される非共役ポリエンとしては、例えばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン及びエチリデンノルボルネン等の非共役ジエン等が挙げられる。非共役ポリエンは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。プロピレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のヨウ素価は、通常0.1〜50、好ましくは5〜30である。
【0044】
α−オレフィン系共重合体(a−4)がエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−4b)である場合においては、エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等が挙げられる。α−オレフィンは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0045】
エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−4b)において、エチレン及びα−オレフィンと共重合される非共役ポリエンとしては、例えばジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン及びエチリデンノルボルネン等の非共役ジエン等が挙げられる。非共役ポリエンは1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のヨウ素価は、通常0.1〜50、好ましくは5〜30である。
α−オレフィン系共重合体(a−4)は1種単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合せて使用することもできる。
【0046】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)のうち、ポリプロピレン樹脂(a−3)とα−オレフィン系共重合体(a−4)とから構成されている組成物は、好ましくは、前記ポリプロピレン樹脂(a−3)とα−オレフィン系共重合体(a−4)との合計量に対して、ポリプロピレン樹脂(a−3)5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、α−オレフィン系共重合体(a−4)40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%を含む混合物を、後述のように、架橋剤の非存在下に動的に熱処理して得られる。ポリプロピレン樹脂(a−3)とα−オレフィン系共重合体(a−4)との含有量が前記範囲にある場合、優れたゴム弾性が発揮される。
【0047】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)のうち、ポリプロピレン樹脂(a−3)とα−オレフィン系共重合体(a−4)とから構成されている組成物には、先にポリエチレン樹脂(a−1)として述べたようなポリエチレン樹脂が含まれていてもよい。この時のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)中のポリエチレン樹脂の含有量は、前記ポリプロピレン樹脂(a−3)及びα−オレフィン系共重合体(a−4)の合計100重量部に対して、通常30重量部以下、好ましくは2〜30重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。
【0048】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、架橋剤や架橋助剤を用いて架橋(加硫)しなくても、ゴム弾性に優れている。また本発明の積層体において基体層を形成するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、従来の加硫ゴムのような熱硬化型の弾性体ではなく、熱可塑性のエラストマーであるので、リサイクルが容易である。また架橋剤等を必要とせず、このため架橋剤等の混練工程は必要なくなり、動的に熱処理する一工程で簡単に効率よく得られるので、安価である。
【0049】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)中には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、公知の軟化剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
前記軟化剤としては、鉱物油系軟化剤が好ましく用いられる。このような鉱物油系軟化剤は、通常ゴムに使用されるパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の軟化剤が適当である。
【0050】
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の製造
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、好ましくは、架橋剤の非存在下に、前記ポリエチレン樹脂(a−1)、エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)、及び必要により配合する樹脂や添加剤を、前記特定の割合で混合し、動的に熱処理することにより製造することができる。
【0051】
また、本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、架橋剤の非存在下に、前記ポリプロピレン樹脂(a−3)、α−オレフィン系共重合体(a−4)、及び必要により配合する樹脂や添加剤を、前記特定の割合で混合し、動的に熱処理することにより製造することもできる。
【0052】
前記の「動的に熱処理する」とは、前記のような各成分、例えば、ポリエチレン樹脂(a−1)、エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)、及び必要により配合する樹脂や添加剤を溶融(融解)状態で混練することをいう。この動的な熱処理は、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸押出機及び二軸押出機等の混練装置を用いて行うことができるが、二軸押出機を用いて行うのが好ましい。動的な熱処理は、非開放型の混練装置中で行うのが好ましい。また窒素等の不活性ガス中で行うのが好ましい。
【0053】
動的に熱処理する際の条件は、混練温度が通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃、混練時間が通常1〜20分間、好ましくは1〜5分間とするのが望ましい。また、混練の際に加えられる剪断力は、剪断速度で通常10〜104sec-1、好ましくは102〜104sec-1とする。
また、動的な熱処理を二軸押出機を用いて行う場合には、下記▲4▼を満たす条件で行うことが好ましい。
【0054】
▲4▼ 4.8 < [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ − logR < 7.0 …(2)
好ましくは、
5.0 < [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ − logR < 6.8 …(2')
更に好ましくは、
5.3 < [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ − logR < 6.5 …(2'')
(式(2)、(2')及び(2'')中、Tは二軸押出機のダイス出口での樹脂温度(℃)、Pは二軸押出機のスクリューの直径(mm)、Qは二軸押出機内で受ける最高剪断速度(sec-1)、Rは二軸押出機の押出量(kg/h)である。前記最高剪断速度Q(sec-1)は、Q=(P×π×S)/Uの式から求められる。ここで、Pは二軸押出機のスクリューの直径(mm)、Sは1秒間でのスクリュー回転数(rps)、Uはバレル内壁とスクリューのニーディングセグメント(混練セグメント)間のクリアランス(間隙)の最も狭い部分の距離(mm)である。)
【0055】
前記▲4▼を満たす条件で、架橋剤の非存在下に二軸押出機を用いて動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、引張強度、永久伸び、圧縮永久歪及び成形外観に優れている。
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の製造方法では、従来の加硫ゴムの製造に用いられている有機過酸化物等の架橋剤やジビニル化合物等の加硫助剤等を使用しなくても、前記のような各成分、例えば、前記ポリエチレン樹脂(a−1)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)、あるいは前記ポリエチレン樹脂(a−1)、エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)及び必要により配合する樹脂や添加剤を前記特定の割合で混合して動的に処理することにより、ゴム弾性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を一工程で簡単に効率よく製造することができる。そして架橋剤や加硫助剤等を用いる必要がなく、しかも煩雑な加硫工程が必要ないので、低コストで製造することができる。
【0056】
超高分子量ポリオレフィン組成物(B)
本発明の積層体において、表皮層には、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)、あるいは、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)と、必要に応じて、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)と、オルガノポリシロキサン(D)が用いられる。
本発明で用いる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)は、具体的には、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.5〜8.3dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン組成物である。
【0057】
本発明で用いる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン(b−1)と、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポリオレフィン(b−2)とのブレンド物であってもよく、このブレンド物としては、超高分子量ポリオレフィン(b−1)が、超高分子量ポリオレフィン(b−1)とポリオレフィン(b−2)との総重量100重量%に対して15〜40重量%の割合で存在するものが好ましい。
【0058】
前記のような超高分子量ポリオレフィン及びポリオレフィンは、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1- ペンテン、3-メチル-1- ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体からなる。本発明においては、エチレン単独重合体、及びエチレンと他のα−オレフィンとからなる、エチレンを主成分とする共重合体が望ましい。
また、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)には、超高分子量ポリオレフィン(b−1)とポリオレフィン(b−2)との合計量100重量部に対して、1〜20重量部の液体ないし固体の軟化剤(潤滑油)が含有されていてもよい。
【0059】
このような液体軟化剤としては、鉱物油系軟化剤、合成軟化剤等が使用される。鉱物油系軟化剤としては、具体的には、パラフィン系、ナフテン系等の石油系潤滑油、流動パラフィン、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、タービン油、マシン油、シリンダー油等が使用される。合成軟化剤としては、具体的には、合成炭化水素油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフルオロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェニル油、シリコーン油等が使用される。
【0060】
また、固体軟化剤としては、具体的には、黒鉛、二硫化モリブデンが主に使用されるが、他に窒化ホウ素、二硫化タングステン、酸化鉛、ガラス粉、金属石けん等も、使用することができる。固体軟化剤は、単独でも使用することができ、また、液体軟化剤と組み合わせて使用することができ、例えば粉末、ゾル、ゲル、サスペンソイド等の形態で超高分子量ポリオレフィンに配合することができる。
前記の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)には、必要に応じて、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加物を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0061】
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)
本発明の積層体において、表皮層に用いられる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)に、必要に応じて配合されるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)は、結晶性ポリオレフィン樹脂とゴムとから構成されている。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)に用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
【0062】
前記結晶性ポリオレフィン樹脂の具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
(1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法のいずれでもよい)
(2)エチレンと、10モル%以下の他のα−オレフィン又は酢酸ビニル、エチルアクリレート等のビニルモノマーとの共重合体
(3)プロピレン単独重合体
(4)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体(5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体(6)1-ブテン単独重合体
(7)1-ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(8)4-メチル-1- ペンテン単独重合体
(9)4-メチル-1- ペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
前記のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。
【0063】
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)に用いられるゴムとしては、特に制限はないが、オレフィン系共重合体ゴムが好ましい。
前記のオレフィン系共重合体ゴムは、炭素数2〜20のα−オレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性共重合体であって、2種以上のα−オレフィンからなる非晶性α−オレフィン共重合体、2種以上のα−オレフィンと非共役ジエンとからなるα−オレフィン・非共役ジエン共重合体等がある。
【0064】
このようなオレフィン系共重合体ゴムの具体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(2)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(3)プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム
[プロピレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
(4)ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム
[ブテン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]
前記α−オレフィンとしては、具体的には、前記した結晶性ポリオレフィン樹脂を構成するα−オレフィンの具体的な例と同様のα−オレフィンが挙げられる。
【0065】
前記非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
これらの共重合体ゴムのムーニー粘度ML1+4 (100℃)は、10〜250、特に40〜150が好ましい。また、前記非共役ジエンが共重合している場合のヨウ素価は、25以下が好ましい。
【0066】
前記のオレフィン系共重合体ゴムは、熱可塑性エラストマー中において、未架橋、部分架橋、完全架橋等、すべての架橋状態で存在することができるが、本発明においては、架橋状態で存在していることが好ましく、特に部分架橋状態で存在することが好ましい。
【0067】
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)に用いられるゴムとしては、前記のオレフィン系共重合体ゴムのほかに、他のゴム、例えばスチレン- ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレン等が挙げられる。
【0068】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)において、結晶性ポリオレフィン樹脂とゴムとの重量配合比(結晶性ポリオレフィン樹脂/ゴム)は、通常90/10〜5/95、好ましくは70/30〜10/90の範囲である。
【0069】
また、ゴムとして、オレフィン系共重合体ゴムとその他のゴムを組合わせて用いる場合には、その他のゴムは、結晶性ポリオレフィン樹脂とゴムとの合計量100重量部に対して、通常40重量部以下、好ましくは5〜20重量部の割合で配合する。
【0070】
本発明で好ましく用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)は、結晶性ポリプロピレンと、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムもしくはエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとからなり、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)中においてこれらが部分架橋された状態で存在し、かつ、結晶性ポリプロピレンとゴムとの重量配合比(結晶性ポリプロピレン/ゴム)が70/30〜10/90の範囲内にある。
【0071】
前記のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加物を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0072】
本発明で好ましく用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)のより具体的な例としては、結晶性ポリプロピレン(C−1)70〜10重量部と、エチレン・プロピレン共重合体ゴム又はエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムからなるゴム(C−2)30〜90重量部[成分(C−1)及び(C−2)の合計量は、100重量部とする]と、このゴム(C−2)以外のゴム(C−3)及び/又は鉱物油系軟化剤(C−4)5〜100重量部とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られる、前記ゴム(C−2)が架橋された熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0073】
前記有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert- ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0074】
これらのうち、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、なかでも、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)において、有機ペルオキシドは、結晶性ポリオレフィン樹脂とゴムとの合計量100重量部に対して、通常0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いられる。
【0075】
前記有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、イオウ、p-キノンジオキシム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
【0076】
前記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、前記の被架橋処理物の主成分である結晶性ポリオレフィン樹脂及びゴムとの相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマーが得られる。
【0077】
前記のような架橋助剤もしくは多官能性ビニルモノマーは、前記の被架橋処理物全体に対して、通常0.1〜2重量%、好ましくは0.3〜1重量%の割合で用いる。
前記の「動的に熱処理する」とは、前記のような各成分を融解状態で混練することをいう。混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらのうち、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
【0078】
また、混練は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行うのが望ましい。混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃であり、混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは3〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度として、通常100sec-1以上、好ましくは500〜10,000sec-1の範囲内で決定される。
【0079】
本発明で特に好ましく用いられる熱可塑性エラストマー組成物(C)は、部分的に架橋されているが、この「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量が20〜98重量%の範囲内にある場合をいい、「完全架橋された」とは、ゲル含量が98重量%を超える場合をいう。熱可塑性エラストマー組成物(C)は、ゲル含量が40〜98重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0080】
ゲル含量の測定法:
熱可塑性エラストマー組成物の試料を100mg秤量して0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断し、次いで、得られた細片を、密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに23℃で48時間浸漬する。 次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量、及びシクロヘキサン浸漬前の試料中の結晶性ポリオレフィン樹脂の重量を減じた値を、「補正された最終重量(Y)」とする。
一方、試料中のゴムの重量を、「補正された初期重量(X)」とする。
【0081】
ここに、ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)は、次式により求められる。
ゲル含量[重量%]
=[補正された最終重量(Y)/補正された初期重量(X)]×100
【0082】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)は、前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)とオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)との合計量100重量部に対して、通常90〜10重量部、好ましくは80〜15重量部用いられる。このオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)は、柔軟性に優れるため、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)に前記範囲で配合して、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層に積層すると、この積層体をねじったり折り曲げたりしても、表皮層に皺を生じさせない。また、流動性に優れるため、積層体を成形した時の成形外観に優れる。
【0083】
オルガノポリシロキサン(D)
本発明で用いるオルガノポリシロキサン(D)としては、具体的にはジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、フルオロポリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等や、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシポリエーテル変性等の変性ポリシロキサン等が挙げられる。これらの中ではジメチルポリシロキサンが好ましく用いられる。
【0084】
オルガノポリシロキサン(D)は粘度〔JIS K 2283、25℃〕が10〜107cStのものが好ましい。また、これらのうちで粘度〔JIS K 2283、25℃〕が106cSt以上であるものは、非常に粘度が高いため、その超高分子量ポリオレフィン組成物(B)への分散性を高めるために、結晶性ポリオレフィン樹脂とマスターバッチとなっていてもよい。
【0085】
更に、オルガノポリシロキサン(D)は、その粘度に応じて、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。特に、2種以上を組み合わせて使用する場合は、粘度が10〜106cStの低粘度オルガノポリシロキサンと106〜107cStの高粘度オルガノポリシロキサンを組み合わせて使用するのが好ましい。
【0086】
このようなオルガノポリシロキサン(D)は、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)及び/又はオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)の合計量100重量部に対して、通常0.1〜25重量部、好ましくは1.5〜20重量部で用いられる。オルガノポリシロキサン(D)を前記範囲で使用すると、摺動性、耐摩耗性及び耐傷付き性に優れた製品が得られる。
【0087】
前記の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)は、オレフィン系熱可塑性エラストマーとの共押出積層加工が行えるため、本発明の建築用ガスケットの製造に際し、フィルム(シート)成形工程を経ることなく、直接、オレフィン系熱可塑性エラストマー層(基体層)と超高分子量ポリオレフィン層とを積層することができ、経済的である。
【0088】
積層体からなる建築用ガスケット及び自動車用ガラスランチャンネル
本発明の積層体からなる建築用ガスケット及び自動車用ガラスランチャンネルは、前記のようなオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる層(基体層)と、前記のような超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる層(表皮層(滑性樹脂層))とで構成されている。
前記建築用ガスケット及び自動車用ガラスランチャンネルは、前記の両層を積層させることによって得ることができる。
【0089】
熱可塑性エラストマー組成物(A)層[以下、(A)層と略す]と超高分子量ポリオレフィン組成物(B)層[以下、(B)層と略す]との積層方法は、ガスケットの形状、大きさ、要求性能により異なり、特に限定されないが、例えば以下のような積層方法が挙げられる。
(1)予め成形された(A)層、(B)層を、少なくとも一方の層が溶融する温度以上の温度で圧縮成形機等を用いて熱融着する方法。
(2)多層押出成形機で(A)層と(B)層とを同時に押出成形して熱融着する方法(共押出成形)。
【0090】
本発明においては、(A)層の厚さは0.1〜50mm、また、(B)層の厚さは5μm〜10mmであることが、一般的に好ましい。
前記建築用ガスケット及び自動車用ガラスランチャンネルにおいて、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる層は、ポリエチレン樹脂(a−1)とエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)、又はポリプロピレン樹脂(a−3)とα−オレフィン系共重合体(a−4)からなるため、ゴム弾性及び成形性に優れている。
【0091】
また、本発明に係る建築用ガスケットにおいて、前記の超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる層は、耐摩耗性、耐傷付性、摺動性及び耐薬品性に優れている。
本発明に係る建築用ガスケットの使用例を図1に示す。壁1と壁2の間に扉3と扉4の2枚の扉がある。扉3は蝶番5を支点にP−Q方向に回転し、扉4との接触部にガスケット6が付いている。一方、扉4はR−S方向に移動し、扉3とはガスケット6を介して、また、壁2とは2個のガスケット7を介して緊密に接触することができる。
【0092】
図2にガスケット6の横断面を示す。このガスケット6は、前記熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層8、9と、前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる(表皮層(滑性樹脂層))10とで構成され、2つの層は十分な強度で熱融着されている。前記基体層8、9のうち、基体層9は扉3への埋め込み部である。ガスケット6は、扉3を閉めて扉4と接触させ、U字部が圧縮変形した状態で鍵(図示せず)をかけることにより扉3と扉4との緊密性を保持することができる。更に、扉4の開閉時にはガスケット6のU字部分が変形して、扉3と扉4との緊密性を保つが、摺動特性に優れる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる層10が開閉時に要する力を大幅に低減するため、扉4は軽快に開閉することができる。
【0093】
図3にガスケット7の横断面を示す。このガスケット7は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層11、12と、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層(滑性樹脂層)13とで構成され、2つの層は十分な強度で熱融着されている。前記基体層11、12のうち、層12は壁2への埋め込み部である。ガスケット7は、扉4との接触時には先端のヒレ部分が変形し、壁2と扉4との緊密性を保つ。ガスケット7のヒレ部には、柔軟性とともに摺動性、耐久性が要求されるが、この部分の表層に摺動性、耐久性に優れる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層(滑性樹脂層)13を用いることにより扉4は軽快に開閉することができる。
【0094】
次に、本発明に係る建築用ガスケットの他の使用例を図4に示す。アルミサッシ枠14の下部にはガスケット15が装着されている。アルミサッシ枠14は、レール16上を移動できるようになっており、アルミサッシ枠14とレール16とはガスケット15を介して緊密に接触することができる。
【0095】
図5にこのガスケット15の断面図を示す。このガスケット15は、前記熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層17、18と、前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層(滑性樹脂層)19とで構成され、2つの層は十分な強度で熱融着されている。この表皮層(滑性樹脂層)19はレール16側面との摺接部分でアルミサッシ枠14とレール16との緊密性を保持することができる。
また、摺動特性に優れる超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層(滑性樹脂層)19が、アルミサッシ枠14の移動時に要する力を大幅に低減するため、アルミサッシ枠14は軽快に移動することができる。
【0096】
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる建築用ガスケット
本発明は、また、前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる建築用ガスケットを提供する。
前記建築用ガスケットで用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、好ましくは、ポリエチレン樹脂(a−1)とムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が60〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)、又はポリプロピレン樹脂(a−3)とムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250のα−オレフィン系共重合体(a−4)を含む。
【0097】
本発明の建築用ガスケットで用いるポリエチレン樹脂(a−1)としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン等、公知のポリエチレン樹脂が制限なく用いることができる。
ポリエチレン樹脂(a−1)は密度が0.90〜0.98g/cm3、好ましくは0.90〜0.95g/cm3であるのが望ましい。
【0098】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)中のポリエチレン樹脂(a−1)の含有量は、ポリエチレン樹脂(a−1)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)の合計100重量部に対して、通常5〜60重量部、好ましくは10〜40重量部である。
【0099】
本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)中のポリプロピレン樹脂(a−3)の含有量は、ポリプロピレン樹脂(a−3)及びα−オレフィン系共重合体(a−4)の合計100重量部に対して、通常5〜60重量部、好ましくは10〜40重量部である。
【0100】
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)は、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が通常90〜250、好ましくは100〜200、エチレン含量が通常60〜95モル%、好ましくは72〜85モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体である。ここで、エチレン含量とは、全α−オレフィン(エチレンを含む)に対するエチレン含量をいう。
【0101】
その他、本発明の建築用ガスケットに用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)について、先に本発明の積層体の説明において、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)について記述したことと同様のことが当てはまる。
【0102】
本発明の建築用ガスケットはオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を成形して得られる。その成形方法は特に限定されないが、例えば通常の押出成形や射出成形等が挙げられる。また、硬質のオレフィン系熱可塑性エラストマーや、オレフィン系樹脂との組合わせによる成形も可能である。建築用ガスケットの中で、例えばグレイジングチャンネル型やグレイジングビード型は窓部のサッシとガラスとを固定させるために用いられ、雨水に対する遮断性や、気密性が必要とされる。本発明の建築用ガスケットのグレイジングチャンネル型の使用例を図6に、ダブルガラス用グレイジングビード型の使用例を図7に示す。
【0103】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
直鎖状低密度ポリエチレン(密度;0.920g/cm3、MFR;2.1g/10分、エチレン含量;97.0モル%、4−メチル−1−ペンテン含量;3.0モル%)30重量%とエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(エチレン含量;77モル%、ムーニー粘度ML1+4(100℃);145、ヨウ素価;12)70重量%をヘンシェルミキサーにより混合した。次に、L/D=30、スクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で動的に熱処理して押出し、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)のペレットを製造した。
【0104】
このオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)と、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が7.0dl/g、密度が0.965g/cm3 である超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)とを230℃の温度で共押出成形して本発明のガスケットを得た。
【0105】
なお、この超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が28dl/gの超高分子量ポリエチレン23重量%と135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.73dl/gの低分子量ポリエチレン77重量%とからなる。
【0106】
得られたガスケットの形状は図2に示すとおりであり、このガスケットの寸法は、w1 が9.0mm、w2 及びw3 がそれぞれ1.5mm、tが1.0mm、hが8.0mm、U字部の厚みが0.8mm、超高分子量ポリエチレン層の厚みが平均30μmであった。
【0107】
得られたガスケットを図1に示す扉3のガスケット6として装着し、厚さ8mmのガラス製の扉4を繰り返し開閉して耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0108】
(実施例2)
実施例1で用いた直鎖状低密度ポリエチレン30重量部と実施例1で用いたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム70重量部と鉱物油系軟化剤(パラフィン系オイル)(出光興産(株)社製、PW−380、商標)40重量部とを用いて、実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−2)を得た。次いで、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)とで実施例1と同様のガスケットを作製し、耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0109】
(実施例3)
実施例1で用いた直鎖状低密度ポリエチレン15重量部及び実施例1で用いたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム85重量部と、プロピレン単独重合体(MFR;1.5g/10分)20重量部とを用いて、実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−3)を得た。次いで、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)とで実施例1と同様のガスケットを作製し、耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0110】
(実施例4)
実施例1で用いた直鎖状低密度ポリエチレン30重量部と、実施例1で用いたエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴムに伸展油(パラフィン系オイル;出光興産(株)社製、PW−380、商標)40重量部を配合した油展エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム110重量部とを用いて、実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−4)を得た。次いで、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)とで実施例1と同様のガスケットを作製し、耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0111】
(実施例5)
実施例1で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)と、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)75重量部及び以下のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C−1)25重量部を2軸押出機で混練して得られた超高分子量ポリオレフィン組成物とで、実施例1と同様のガスケットを作製し、耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
[オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C−1)]
【0112】
エチレン含量70モル%、ヨウ素価12、ムーニー粘度ML1+4(100℃)120のエチレン・プロピレン・5−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム80重量部と、MFR13g/10分、密度0.91g/cm3のポリプロピレン20重量部とを、バンバリーミキサーを用いて、窒素雰囲気中、180℃で5分間混練(剪断速度:3,000sec-1)した後、この混練物をロールに通してシート状にし、これをシートカッターで裁断して角ペレットを製造した。
【0113】
次いで、この角ペレットと、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.3重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部とをヘンシャルミキサーで攪拌混合した。
次いで、この混合物を、L/D=40、スクリュー径50mmの2軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で押出して熱可塑性エラストマー組成物(C−1)を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物(C−1)のゲル含量は、前記方法により求めたところ、85重量%であった。
【0114】
(実施例6)
実施例1で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)と、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)75重量部、実施例5で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C−1)25重量部及びオルガノポリシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製、シリコーンオイルSH200(商標)[3000cSt])(D−1)2重量部を2軸押出機で混練して得られた超高分子量ポリオレフィン組成物とで、実施例1と同様のガスケットを作製し、耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0115】
(実施例7)
実施例1で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)と、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)75重量部、実施例5で得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C−1)25重量部、実施例6で用いたオルガノポリシロキサン(D−1)2重量部及びオルガノポリシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製、シリコーンオイル−ポリプロピレンマスターバッチ BY27−002(商標)[超高分子量シリコーンオイル含量50重量%])(D−2)20重量部を2軸押出機で混練して得られた超高分子量ポリオレフィン組成物とで、実施例1と同様のガスケットを作製し、耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0116】
(比較例1)
従来品の軟質塩化ビニル樹脂製ガスケットを用いて、耐久試験を同様にして行った。その結果、22,000回で扉との接触面において破壊を生じ、扉との摩擦抵抗が著しく増大して使用に耐えなくなった。
【0117】
(実施例8)
実施例1のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)と、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)とを230℃の温度で共押出成形して図5に示す断面形状を有するガスケットを得た。なお、超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)からなる表皮層(滑性樹脂層)の平均厚さは、0.1mmであった。得られたガスケットを図4に示すアルミサッシ枠に装着し、このアルミサッシ枠をレール上で繰返し往復させて耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
【0118】
(比較例2)
従来品の硬質塩化ビニル樹脂製ガスケットを用いて、耐久試験を同様にして行った。その結果、16,500回でレールとの接触面において破壊を生じ、レールとの摩擦抵抗が著しく増大して使用に耐えなくなった。
【0119】
(実施例9)
MFR13g/10分、密度0.91g/cm3のポリプロピレン20重量%とプロピレン・エチレン共重合体ゴム(プロピレン含量;68モル%、ムーニー粘度ML1+4(100℃);75)80重量%をヘンシェルミキサーにより混合した。次に、L/D=30、スクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で動的に熱処理して押出し、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−5)のペレットを製造した。
【0120】
このオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−5)と、実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン組成物(B−1)とで実施例1と同様のガスケットを作製し、耐久試験を行った。その結果、このガスケットは、50,000回の繰返し試験にも耐え、ガスケットとしての機能を維持していた。
前記のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)及び(A−5)の製造における動的熱処理の条件、及びこれらのオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の特性を表1に示す。
【0121】
【表1】
PE:直鎖状低密度ポリエチレン
EPDM:エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム
PER:プロピレン・エチレン共重合体ゴム
PP:プロピレン単独重合体
T:二軸押出機のダイス出口での樹脂温度(℃)
P:二軸押出機のスクリューの直径(mm)
Q:二軸押出機内で受ける最高剪断速度(sec-1)
R:二軸押出機の押出量(kg/h)
S:1秒間でのスクリュー回転数(rps)
U:バレル内壁とスクリューのニーディングセグメント(混練セグメント)間のクリアランス(間隙)の最も狭い部分の距離(mm)
式(2): [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ − logR
式(1): Y−0.43X
(式中、XはJIS K6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪(単位は%)である。)
【0122】
以下の実施例及び比較例におけるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造に際して用いた原材料を以下に記す。なお、メルトフローレート(MFR)は、特に断らない限り、ASTM D 1238、190℃、2.16kg荷重の条件で測定した値である。
【0123】
《ポリエチレン樹脂(a−1)》
(a−1−i)高密度ポリエチレン:
1)密度;0.954g/cm3
2)MFR;0.8g/10分
3)エチレン単独重合体
(a−1−ii)直鎖状低密度ポリエチレン:
1)密度;0.920g/cm3
2)MFR;2.1g/10分
3)エチレン含量;97.0モル%、4−メチル−1−ペンテン含量;3.0モル%
(a−1−iii)直鎖状低密度ポリエチレン:
1)密度;0.920g/cm3
2)MFR;18g/10分
3)エチレン含量;96.8モル%、4−メチル−1−ペンテン含量;3.2モル%
(a−1−iv)低密度ポリエチレン:
1)密度;0.927g/cm3
2)MFR;3g/10分
3)エチレン単独重合体
【0124】
《エチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)》
(a−2−i)エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム:
1)エチレン含量;77モル%
2)ムーニー粘度[ML1+4、100℃];145
3)ヨウ素価;12
【0125】
(a−2−ii)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム:
1)エチレン含量;82モル%
2)ムーニー粘度[ML1+4、100℃];15
3)ヨウ素価;10
【0126】
(a−2−iii)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム:
1)エチレン含量;68モル%
2)ムーニー粘度[ML1+4、100℃];69
3)ヨウ素価;13
(a−2−iv)前記(a−2−i)のエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム70重量部に、40重量部の伸展油(パラフィン系オイル:出光興産(株)社製、PW−380、商標)を配合したもの
【0127】
《ポリプロピレン樹脂(a−3)》
(a−3−i)プロピレン単独重合体
1)密度;0.91g/cm3
2)MFR(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重);13g/10分
【0128】
《プロピレン・α−オレフィン系共重合体(a−4a)》
(a−4−i)プロピレン・エチレン共重合体ゴム:
1)プロピレン含量;68モル%
2)ムーニー粘度[ML1+4、100℃];75
【0129】
《ポリプロピレン樹脂(a−5)》
(a−5−i)プロピレン単独重合体
1)密度;0.91g/cm3
2)MFR(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重);1.5g/10分
《鉱物油系軟化剤》
パラフィン系オイル:出光興産(株)社製、PW−380、商標
【0130】
(実施例10〜19)
表2に示す割合で、各成分をヘンシェルミキサーにより混合した。次に、L/D=30、スクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で動的に熱処理して押出し、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。製造条件を表2に示す。
【0131】
これらのオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の硬度、圧縮永久歪(70℃×22時間)、引張強度及び永久伸びをJIS K6301に準拠して測定した。結果を表2に示す。更に、耐久性試験(100℃×3日後)をJIS A5756(1997年)に準拠して行い、次の計算式により硬度の変化、引張強度の変化率及び伸びの変化率を求めた。これらの結果を表2に示す。
硬度の変化(Hr):
Hr=H1−H0
H0:老化前の硬度、H1:老化後の硬度
引張強度の変化率(%)(γF):
γF=[(F1−F0)/F0]×100
F0:老化前の引張強度、F1:老化後の引張強度
切断時の伸びの変化率(%)(γE):
γE=[(E1−E0)/E0]×100
E0:老化前の切断時の伸び、E1:老化後の切断時の伸び
【0132】
(比較例3〜6)
表2に示す成分を表2に示す割合で用いた以外は、実施例と同様に行った。結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
T:二軸押出機のダイス出口での樹脂温度(℃)
P:二軸押出機のスクリューの直径(mm)
Q:二軸押出機内で受ける最高剪断速度(sec-1)
R:二軸押出機の押出量(kg/h)
S:1秒間でのスクリュー回転数(rps)
U:バレル内壁とスクリューのニーディングセグメント(混練セグメント)間のクリアランス(間隙)の最も狭い部分の距離(mm)
式(2): [(T-130)/100] + 2.2logP + logQ − logR
式(1): Y−0.43X
(式中、XはJIS K6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪(単位は%)である。)
【0134】
【発明の効果】
本発明の積層体は、耐摩耗性、耐久性、摺動特性に優れるとともに、ゴム弾性に優れている。また、前記積層体からなる建築用ガスケット及び自動車用ガラスランチャンネルは、耐摩耗性、摺動特性に優れ、しかも、ゴム弾性、機械的強度に優れているため長期の使用にもヘタリを生じない。また、本発明の積層体並びに該積層体からなる建築用ガスケット及び自動車用ガラスランチャンネルは、容易に製造することができ、リサイクルが可能なため、経済性に優れている。
【0135】
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる建築用ガスケットは、容易に製造することができ、リサイクルが可能なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を使用するので、経済性に優れている。また、ゴム弾性、機械的強度に優れているため、密閉性、気密性にも優れ、更に長時間の使用にもヘタリを生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建築用ガスケットの一例の使用状態を説明するための概略横断平面図である。
【図2】図1におけるガスケット6の横断面図である。
【図3】図1におけるガスケット7の横断面図である。
【図4】本発明の建築用ガスケットの一例の使用状態を説明するための概略縦断面図である。
【図5】図4におけるガスケット15の縦断面図である。
【図6】本発明の建築用ガスケットのグレイジングチャンネル型の使用例を示す図である。
【図7】本発明の建築用ガスケットのダブルガラス用グレイジングビード型の使用例を示す図である。
【符号の説明】
1,2 ・・・・ 壁
3,4 ・・・・ 扉
5 ・・・・ 蝶番
6,7 ・・・・ ガスケット
8,9 ・・・・ 熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層
10 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層(滑性樹脂層)
11,12 ・・・・ 熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層
13 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層(滑性樹脂層)
14 ・・・・ アルミサッシ枠
15 ・・・・ ガスケット
16 ・・・・ レール
17,18 ・・・・ 熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層
19 ・・・・ 超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層(滑性樹脂層)
Claims (13)
- 以下の(i)、(ii)及び(iii)の特性:
(i)9≦Y−0.43X≦27 …(1)
(式(1)中、XはJIS K6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪(単位は%)である。)
(ii)JIS K6301に準拠して測定した引張強度が5〜30MPa
(iii)JIS K6301に準拠して測定した永久伸びが18%以下
を有するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる基体層と、
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.5〜8.3dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層とから構成されているオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層体であって、
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、
(A1)ポリエチレン樹脂(a−1)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が70〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)40〜95重量部[(a−1)及び(a−2)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して、又は
(A2)ポリプロピレン樹脂(a−3)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250のα−オレフィン系共重合体(a−4)40〜95重量部[(a−3)及び(a−4)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して、
得られることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる積層体。 - 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が70〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)40〜95重量部[(a−1)及び(a−2)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して得られる請求項1記載の積層体。
- 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリプロピレン樹脂(a−3)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250のα−オレフィン系共重合体(a−4)40〜95重量部[(a−3)及び(a−4)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して得られる請求項1記載の積層体。
- 前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)が、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が10〜40dl/gの範囲内にある超高分子量ポリオレフィン(b−1)と、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの範囲内にあるポリオレフィン(b−2)とからなる超高分子量ポリオレフィン組成物であって、超高分子量ポリオレフィン(b−1)が、超高分子量ポリオレフィン(b−1)とポリオレフィン(b−2)との総重量100重量%に対して15〜40重量%の割合で存在する請求項1記載の積層体。
- 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)の合計100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂(a−5)を30重量部以下含む請求項2記載の積層体。
- 前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層が、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)10〜90重量部と、結晶性ポリオレフィン樹脂及びゴムからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)90〜10重量部[(B)及び(C)の合計量は100重量部である。]とから構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 前記超高分子量ポリオレフィン組成物(B)からなる表皮層が、超高分子量ポリオレフィン組成物(B)10〜90重量部と、結晶性ポリオレフィン樹脂及びゴムからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(C)90〜10重量部[(B)及び(C)の合計量は100重量部である。]と、オルガノポリシロキサン(D)0.1〜25重量部とから構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体からなる自動車用ガラスランチャンネル。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体からなる建築用ガスケット。
- 以下の(i)、(ii)及び(iii)の特性:
(i)9≦Y−0.43X≦27 …(1)
(式(1)中、XはJIS K6301に準拠して測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のJIS A硬度(単位はなし)、YはJIS K6301に準拠し、70℃×22時間の条件で測定したオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪(単位は%)である。)
(ii)JIS K6301に準拠して測定した引張強度が5〜30MPa
(iii)JIS K6301に準拠して測定した永久伸びが18%以下
を有するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)であって、
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、
(A1)ポリエチレン樹脂(a−1)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が60〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)40〜95重量部[(a−1)及び(a−2)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して、又は
(A2)ポリプロピレン樹脂(a−3)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250のα−オレフィン系共重合体(a−4)40〜95重量部[(a−3)及び(a−4)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して、
得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる建築用ガスケット。 - 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が90〜250、エチレン含量が60〜95モル%のエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)40〜95重量部[(a−1)及び(a−2)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して得られる請求項10記載の建築用ガスケット。
- 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリプロピレン樹脂(a−3)5〜60重量部と、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60〜250のα−オレフィン系共重合体(a−4)40〜95重量部[(a−3)及び(a−4)の合計量は100重量部である。]とを架橋剤の非存在下に動的に熱処理して得られる請求項10記載の建築用ガスケット。
- 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が、ポリエチレン樹脂(a−1)及びエチレン・α−オレフィン系共重合体(a−2)の合計100重量部に対して、ポリプロピレン樹脂(a−5)30重量部以下を含む請求項11記載の建築用ガスケット。
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