JP2023109511A - 動的架橋型熱可塑性エラストマー及びその製造方法並びに成形体 - Google Patents

動的架橋型熱可塑性エラストマー及びその製造方法並びに成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐油性及び成形性に優れる動的架橋型熱可塑性エラストマーを提供すること。【解決手段】エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)100質量部、結晶性オレフィン重合体(B)5~80質量部、軟化剤(C)100~300質量部、及び、フェノール樹脂系架橋剤(D)1~15質量部、を含む熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋してなる動的架橋型熱可塑性エラストマーであって、下記式で表されるゲル分率の差(R)が、1.4を超え5.0質量%以下である動的架橋型熱可塑性エラストマー及びその製造方法並びに形成体。ゲル分率の差(R)(質量%)=325メッシュのゲル分率(質量%)-80メッシュのゲル分率(質量%)【選択図】なし

Description

本発明は、動的架橋型熱可塑性エラストマー及びその製造方法並びに成形体に関する。
熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易なことから、省エネルギー、省資源タイプのエラストマーとして、特に加硫ゴムの代替として、自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性エラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物として、特許文献1には、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム、結晶性オレフィン系樹脂、スチレン系共重合体及びフェノール樹脂系架橋剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、オレフィン系共重合体ゴム、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系共重合体及びフェノール樹脂系架橋剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
また、例えば、特許文献3には、結晶性オレフィン系重合体(A)30~60質量部と、要件(1)ムーニー粘度[ML(1+4)125℃]50~230及び(2)エチレン由来の構造単位の含有量50~95モル%を満たすエチレン・α-オレフィン(炭素数3~20)・非共役ポリエン共重合体(B)100質量部と、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物及び水添共役ジエン化合物重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体(C)20~120質量部と、フェノール樹脂系架橋剤(D)4~15質量部とを含む熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。
特開2006-002085号公報 特開昭63-112649号公報 国際公開第2018/181121号
熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易なことから自動車部品等に適用されている。自動車部品は、潤滑油やグリースなどと接触する箇所に用いられることが多いが、一般的に、結晶性ポリオレフィンとオレフィン系ゴムからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、原料がいずれもパラフィン系オイルと親和性が高く、特にゴム成分は室温での結晶性も低いのでオイルを吸収しやすいことから、組成物としての耐油性が十分ではなかった。そのため、オレフィン系熱可塑性エラストマーを含んで得られるこれらの自動車部品においても、耐油性が低く、更なる改良が求められていた。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDM)とポリプロピレンなどの結晶性ポリオレフィンを原料としていることから、他の熱可塑性エラストマーに比べて、比重が軽く、耐熱老化性、耐候性などの耐久性に優れているが、用途によっては更なる改良が求められている。耐油用途においても、低高度で成形性に優れる熱可塑性エラストマー組成物が求められている。
本発明に係る一実施形態が解決しようとする課題は、耐油性及び成形性に優れた動的架橋型熱可塑性エラストマー及びこの動的架橋型熱可塑性エラストマーを含む成形体を提供することである。本発明に係る一実施形態が解決しようとする他の課題は、耐油性及び成形性に優れた動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法を提供することである。
上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。
<1> エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)100質量部、
結晶性オレフィン重合体(B)5~80質量部、
軟化剤(C)100~300質量部、及び、
フェノール樹脂系架橋剤(D)1~15質量部、を含む熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋してなる動的架橋型熱可塑性エラストマーであって、下記式で表されるゲル分率の差(R)が、1.4質量%を超え5.0質量%以下である動的架橋型熱可塑性エラストマー。
ゲル分率の差(R)(質量%)=325メッシュのゲル分率(質量%)-80メッシュのゲル分率(質量%)
<2> 前記エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)の少なくとも一部が架橋されている、<1>に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
<3> 前記結晶性オレフィン重合体(B)が、プロピレンの単独重合体及びプロピレンと炭素数2~20のα-オレフィン(但しプロピレンを除く)との共重合体の少なくとも一方である、<1>又は<2>に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
<4> JIS K 6253(2012)に準拠して測定したショアA硬度(瞬間値)が20~90である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
<5> 海島構造を有する、<1>~<4>のいずれか1つに記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
<6> <1>~<5>のいずれか1つに記載の動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法であって、
エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの未架橋型共重合体(A-1)と、結晶性オレフィン重合体(B)と、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの架橋型共重合体(A-2)及び前記結晶性オレフィン重合体(B)を含む熱可塑性エラストマー組成物と、軟化剤(C)と、フェノール樹脂系架橋剤(D)と、を動的に熱処理して前記エラストマーを得る工程を含む、動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法。
<7> <1>~<5>のいずれか1つに記載の動的架橋型熱可塑性エラストマーを含む成形体。
<8> 耐油用途として用いられる、<7>に記載の成形体。
<9> 自動車用ホースである、<7>に記載の成形体。
<10> 自動車用ブーツである、<7>に記載の成形体。
本発明に係る一実施形態によれば、耐油性及び成形性に優れた動的架橋型熱可塑性エラストマー及びこの動的架橋型熱可塑性エラストマーを含む成形体が提供される。本発明に係る他の実施形態によれば、耐油性及び成形性に優れる動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法が提供される。
図1(a)は、比較例に相当する動的架橋型熱可塑性エラストマーの断面をSEM(倍率:1,000倍)で観察した画像の一例を示す図である。図1(b)は、比較例に相当する動的架橋型熱可塑性エラストマーの断面をSEM(倍率:3,000倍)で観察した画像の一例を示す図である。 図2(a)は、本発明の実施例に相当する動的架橋型熱可塑性エラストマーの断面をSEM(倍率:1,000倍)で観察した画像の一例を示す図である。図2(b)は、本発明の実施例に相当する動的架橋型熱可塑性エラストマーの断面をSEM(倍率:3,000倍)で観察した画像の一例を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の内容の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されることはない。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後いずれか一方に記載される単位は、特に断りがない限り同じ単位を示すことを意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(動的架橋型熱可塑性エラストマー)
本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーは、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)100質量部、結晶性オレフィン重合体(B)5~80質量部、軟化剤(C)100~300質量部、及び、フェノール樹脂系架橋剤(D)1~15質量部、を含む熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋してなる動的架橋型熱可塑性エラストマーであって、下記式で表されるゲル分率の差(R)が、1.40質量%を超え5.0質量%以下である。
ゲル分率の差(R)(質量%)=325メッシュのゲル分率(質量%)-80メッシュのゲル分率(質量%)
発明者らが鋭意検討した結果、本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーが上記構成を有することで、耐油性及び成形性に優れることを見出した。この理由は明らかではないが以下のように推定される。
熱可塑性エラストマーの柔軟性を高めるため(すなわち、硬度を低硬度にするため)には熱可塑性エラストマー中のゴム成分を増量する方策が取られることが知られている。しかしながら、低硬度にするためにゴム成分を増量すると熱可塑性エラストマーの流動性が低下し、成形し難くなることがわかった。
発明者らは鋭意検討した結果、熱可塑性エラストマー組成物中において海島構造を構成している島部にあたるゴム成分の粒径の分布を広くすること(粒径分布が多峰性であること)によって、流動性が向上することを見出し、本発明に至った。
本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーは、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)、結晶性オレフィン重合体(B)、軟化剤(C)、及び、フェノール樹脂系架橋剤(D)を特定量含む熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋して得られるものであり、得られた動的架橋型熱可塑性エラストマーでは、ゲル分率の差(R)が、1.4を超え5.0質量%以下である。すなわち、動的架橋型熱可塑性エラストマー中に粒径が異なる共重合体(A)が存在しているため流動性が向上するので形成性に優れ、かつ、上記(A)~(D)の成分を特定量含むので、耐油性に優れると推定している。
上記動的架橋型熱可塑性エラストマーは、熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋して得られる。以下、熱可塑性エラストマー組成物の各構成について詳細に説明する。なお、熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋する方法については後述する。
<熱可塑性エラストマー組成物>
熱可塑性エラストマー組成物は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)(以下、単に「共重合体(A)」ともいう。)100質量部、結晶性オレフィン重合体(B)5~80質量部、軟化剤(C)100~300質量部、及び、フェノール樹脂系架橋剤(D)1~15質量部、を含む。
上記成分を含む熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋されてなる動的架橋型熱可塑性エラストマーは、耐油性及び成形性に優れる。
<<共重合体(A)>>
炭素数3~20のα-オレフィンとしては、プロピレン(炭素数3)、1-ブテン(炭素数4)、1-ヘキセン(炭素数6)、1-オクテン(炭素数8)、1-ノネン(炭素数9)、1-デセン(炭素数10)、1-ノナデセン(炭素数19)、1-エイコセン(炭素数20)等の直鎖状のα-オレフィン;4-メチル-1-ペンテン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等の鎖状のα-オレフィンなどが挙げられる。
上記炭素数3~20のα-オレフィンは、1種単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中では、上記炭素数3~20のα-オレフィンとしては、耐熱性の観点から、プロピレンが好ましい。
非共役ポリエンとしては、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン、1,3,7-オクタトリエン、1,4,9-デカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。
これら非共役ポリエンは、1種単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、非共役ポリエンとしては、耐油性に優れる観点から、1,4-ヘキサジエンなどの環状非共役ジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン及び5-ビニル-2-ノルボルネンの混合物が好ましく、5-エチリデン-2-ノルボルネン、又は、5-ビニル-2-ノルボルネンがより好ましい。
共重合体(A)としては、エチレン・プロピレン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ペンテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ヘキセン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-へプテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-オクテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ノネン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-デセン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・1-オクテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ペンテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ヘキセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-へプテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ノネン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-デセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ペンテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ヘキセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-へプテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ノネン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-デセン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、耐油性及び成形性に優れる観点から、共重合体(A)としては、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、又は、エチレン・ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体であることが好ましく、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体であることが更に好ましい。
共重合体(A)は、機械強度の観点から、135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度[η]が好ましくは2.0~7.0dl/g、より好ましくは3.0~7.0dl/g、更に好ましくは3.3~7.0dl/gである。
なお、共重合体(A)が後述の軟化剤等の油展剤を用いて油展されている場合の極限粘度[η]は、極限粘度[η]の測定前に脱脂し、共重合体(A)のみの状態で測定して求められる。
共重合体(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
共重合体(A)は、機械強度、耐熱性の観点から、エチレン由来の構造単位[a]の含有量が、共重合体(A)の全構造単位に対して、好ましくは50~95モル%、より好ましくは60~85モル%、更に好ましくは65~80モル%の範囲にある。
また、共重合体(A)は、エチレン由来の構造単位[a]と、α-オレフィンに由来する構造単位[b]との質量比[[a]/[b]]が、通常40/60~90/10、好ましくは45/55~80/20、更に好ましくは50/50~75/25、特に好ましくは、55/45~70/30、最も好ましくは55/45~68/32での範囲にある。
共重合体(A)は、非共役ポリエンに由来する構造単位[c]の含有量が、上記[a]、[b]及び[c]の構造単位の合計を100質量%に対して、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは1~8質量%、更に好ましくは2~6質量%、特に好ましくは3~5質量%の範囲にある。
〔共重合体(A)の製造方法〕
共重合体(A)の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。例えば、国際公開第2018/181121号の段落[0028]~[0145]の記載の製造方法を参照することができる。
耐油性及び成形性に優れる観点から、上記エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)は、少なくとも一部が架橋されていることが好ましい。すなわち、共重合体(A)は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの架橋型共重合体(A-2)(以下、「架橋型共重合体(A-2)」ともいう。)と、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの未架橋型共重合体(A-1)(以下、「未架橋型共重合体(A-1)」ともいう。)と、を含むことがより好ましい。
耐油性及び成形性に優れる観点から、共重合体(A)中に含まれる共重合体(A-1)と共重合体(A-2)との比は、質量基準で、90:10~30:70であることが好ましく、85:15~40:60であることがより好ましく、80:20~50:50であることが更に好ましい。
共重合体(A)の少なくとも一部を架橋する方法としては、特に制限はなく、公知の架橋剤を用いて架橋させることができる。架橋剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物、又は、後述のフェノール樹脂系架橋剤(D)が好ましく用いられる。
なお、架橋剤は、1種のみを単独で、又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることがきる。
有機過酸化物としては、芳香族系有機過酸化物、脂肪族系有機過酸化物等が挙げられる。具体的には、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類;t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3等のパーオキシエステル類;アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p-クロロベンゾイルパーオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、有機過酸化物としては、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
また、上述した有機過酸化物、及び、後述のフェノール樹脂系架橋剤(D)に加えて、その他の架橋剤を使用してもよく、例えば、メトロハイドロジェンシリコン等の水素化ケイ素化合物、硫黄、p-キノンジオキシム、p-ジニトロソベンゼン、1,3-ジフェニルグアニジン等の過酸化物用助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド等のビスマレイミド構造を有する化合物;トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、塩化スズ(SnCl2)等が挙げられる。これらの中では、ジビニルベンゼンが好ましい。
<<結晶性オレフィン重合体(B)>>
熱可塑性エラストマーは結晶性オレフィン重合体(B)(以下、単に「重合体(B)」ともいう。)を含む。重合体(B)は、動的架橋型熱可塑性エラストマーの流動性及び耐熱性を向上させる役割を果たす。
なお、結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)にて、融点(Tm)が測定されることを意味する。具体的には、後述の示差走査熱量測定(DSC)の測定方法により融点(Tm)が求められる。
重合体(B)は、オレフィンから得られる結晶性の重合体であれば特に制限されないが、1種以上のモノオレフィンを、高圧法又は低圧法の何れかにより重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物からなる重合体であることが好ましい。
このような重合体としては、アイソタクチックモノオレフィン重合体、シンジオタクチックモノオレフィン重合体等が挙げられる。
重合体(B)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品を用いてもよい。
重合体(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合体(B)の原料となるモノオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
上記オレフィンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
耐熱性、耐油性及び成形性に優れる観点から、結晶性オレフィン重合体(B)は、プロピレンの単独重合体及びプロピレンと炭素数2~20のα-オレフィン(但しプロピレンを除く)との共重合体(プロピレン共重合体)の少なくとも一方であることが好ましく、プロピレンの単独重合体であることがより好ましい。なお、プロピレン共重合体の場合、プロピレンに由来する構造単位の含有量は好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、炭素数2~20のα-オレフィン(但しプロピレンを除く)に由来する単量体の構造単位となるモノオレフィンとしては、好ましくはプロピレン以外の上記モノオレフィン、より好ましくはエチレン及びブテンである。
重合体(B)の重合様式はランダム型であってもよいしブロック型であってもよく、結晶性の樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差支えない。
重合体(B)は、メルトフローレート(MFR)(ASTMD1238-65T、230℃、2.16kg荷重)が、通常0.01~100g/10分、好ましくは0.05~50g/10分である。
重合体(B)は、示差走査熱量測定(DSC)で得られる融点(Tm)が、通常100℃以上、好ましくは105℃以上である。
示差走査熱量測定は、例えば次のようにして行われる。試料5mg程度を専用アルミパンに詰め、(株)パーキンエルマー社製DSCPyris1又はDSC7を用い、30℃から200℃までを320℃/minで昇温し、200℃で5分間保持したのち、200℃から30℃までを10℃/minで降温し、30℃で更に5分間保持し、次いで10℃/minで昇温する際の吸熱曲線より融点を求める。なお、DSC測定時に、複数のピークが検出される場合は、最も高温側で検出されるピーク温度を融点(Tm)と定義する。
重合体(B)の含有量は、上記共重合体(A)100質量部に対して、5~80質量部である。
耐油性及び成形性に優れる観点から、重合体(B)の含有量としては、上記共重合体(A)100質量部に対して、10~70質量部であることが好ましく、20~50質量部であることがより好ましく、25~45質量部であることが更に好ましい。
<<軟化剤(C)>>
軟化剤(C)としては、特に制限はなく、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。軟化剤(C)としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸又は脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジン又はその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。
これらの中でも、軟化剤(C)としては、石油系軟化剤を含むことが好ましく、プロセスオイル、パラフィン油又は炭化水素系合成潤滑油を含むことがより好ましく、プロセスオイルであることが更に好ましい。
これら軟化剤(C)の含有量は、共重合体(A)100質量部に対して、100~300質量部である。耐油性及び成形性に優れる観点から、軟化剤(C)の含有量は、100質量部に対して、120~280質量部であることが好ましく、140~250質量部であることがより好ましく、150~200質量部であることが更に好ましい。
軟化剤(C)が上記含有量であると、熱可塑性エラストマー組成物の作製時及び成形時の流動性に優れ、例えば、カーボンブラック等の分散性を向上させ、得られる成形体の機械物性を低下させ難い。また、得られる成形体は、耐熱性、耐油性及び成形性に優れる。
軟化剤(C)は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<フェノール樹脂系架橋剤(D)>>
フェノール樹脂系架橋剤(D)(以下、「架橋剤(D)」ともいう。)としては、レゾール樹脂でありアルキル置換フェノール又は非置換フェノールのアルカリ媒体中のアルデヒドでの縮合、好ましくはホルムアルデヒドでの縮合、又は二官能性フェノールジアルコール類の縮合により製造されることも好ましい。アルキル置換フェノールは1~10の炭素原子のアルキル基置換体が好ましい。更にはp-位において1~10の炭素原子を有するアルキル基で置換されたジメチロールフェノール類又はフェノール樹脂が好ましい。フェノール樹脂系硬化樹脂は、典型的には、熱架橋性樹脂であり、フェノール樹脂系架橋剤又はフェノール樹脂とも呼ばれる。
架橋剤(D)の例としては、下記一般式[XV]を挙げることができる。
式中、Qは、-CH2-及び-CH2-O-CH2-からなる群から選ばれる二価の基であり、mは0又は1~20の正の整数であり、R’は有機基である。
好ましくは、Qは、二価基-CH2-O-CH2-であり、mは0又は1~10の正の整数であり、R’は20未満の炭素原子を有する有機基である。より好ましくは、mは0又は1~5の正の整数であり、R’は4~12の炭素原子を有する有機基である。具体的にはアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、ハロゲン化アルキルフェノール樹脂等が挙げられ、好ましくはハロゲン化アルキルフェノール樹脂であり、更に好ましくは、末端の水酸基を臭素化したものである。フェノール樹脂系硬化樹脂において、末端が臭素化されたものの一例を下記一般式[XVI]に示す。
式中、nは0~10の整数、Rは炭素数1~15の飽和炭化水素基である。
前記フェノール樹脂系硬化樹脂の製品例としては、タッキロール(登録商標)201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)社製)、タッキロール(登録商標)250-I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)社製)、タッキロール(登録商標)250-III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)社製)、PR-4507(群栄化学工業(株)社製)、Vulkaresat510E(Hoechst社製)、Vulkaresat532E(Hoechst社製)、VulkaresenE(Hoechst社製)、Vulkaresen105E(Hoechst社製)、Vulkaresen130E(Hoechst社製)、Vulkaresol315E(Hoechst社製)、AmberolST137X(Rohm&Haas社製)、スミライトレジン(登録商標)PR-22193(住友デュレズ(株)社製)、Symphorm-C-100(AnchorChem.社製)、Symphorm-C-1001(AnchorChem.社製)、タマノル(登録商標)531(荒川化学(株)社製)、SchenectadySP1059(SchenectadyChem.社製)、SchenectadySP1045(SchenectadyChem.社製)、CRR-0803(U.C.C社製)、SchenectadySP1055F(SchenectadyChem.社製、臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂)、SchenectadySP1056(SchenectadyChem.社製)、CRM-0803(昭和ユニオン合成(株)社製)、VulkadurA(Bayer社製)が挙げられる。その中でも、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤が好ましく、タッキロール(登録商標)250-I、タッキロール(登録商標)250-III、SchenectadySP1055Fなどの臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂がより好ましく使用できる。
また、熱可塑性加硫ゴムのフェノール樹脂による架橋の具体的な例としては、米国特許第4,311,628号、米国特許第2,972,600号及び米国特許第3,287,440号に記載され、これらの技術も本発明で用いることができる。
米国特許第4,311,628号には、フェノール系硬化性樹脂(phenoliccuringresin)及び加硫活性剤(cureactivator)からなるフェノール系加硫剤系(phenoliccurativesystem)が開示されている。該系の基本成分は、アルカリ媒体中における置換フェノール(例えば、ハロゲン置換フェノール、C1-C2アルキル置換フェノール)又は非置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合によるか、あるいは二官能性フェノールジアルコール類(好ましくは、パラ位がC5-C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類)の縮合により製造されるフェノール樹脂系架橋剤である。アルキル置換フェノール樹脂系架橋剤のハロゲン化により製造されるハロゲン化されたアルキル置換フェノール樹脂系架橋剤が、特に適している。メチロールフェノール硬化性樹脂、ハロゲン供与体及び金属化合物からなるフェノール樹脂系架橋剤が特に推奨でき、その詳細は米国特許第3,287,440号及び同第3,709,840号各明細書に記載されている。
非ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤は、ハロゲン供与体と同時に、好ましくはハロゲン化水素受酸剤とともに使用される。通常、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤、好ましくは、2~10質量%の臭素を含有している臭素化フェノール樹脂系架橋剤はハロゲン供与体を必要としないが、例えば酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素及び酸化亜鉛、好ましくは酸化亜鉛のような金属酸化物のごときハロゲン化水素受酸剤と同時に使用される。これら酸化亜鉛などのハロゲン化水素受酸剤は、フェノール樹脂系架橋剤100質量部に対して、通常0.1~20質量部用いられる。このような受酸剤の存在はフェノール樹脂系架橋剤の架橋作用を促進するが、フェノール樹脂系架橋剤で容易に加硫されないゴムの場合には、ハロゲン供与体及び酸化亜鉛を共用することが望ましい。
ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂の製法及び酸化亜鉛を使用する加硫剤系におけるこれらの利用は米国特許第2,972,600号及び同第3,093,613号各明細書に記載されており、その開示は前記米国特許第3,287,440号及び同第3,709,840号明細書の開示とともに参考として明細書にとり入れるものとする。
適当なハロゲン供与体の例としては、例えば、塩化第一錫、塩化第二鉄、又は塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン及びポリクロロブタジエン(ネオプレンゴム)のようなハロゲン供与性重合体が挙げられる。本明細書で使用されている「加硫促進剤」なる用語はフェノール樹脂系架橋剤の架橋効率を実質上増加させるあらゆる物質を意味し、そして金属酸化物及びハロゲン供与体を包含し、これらは単独で、又は組み合わせて使用される。フェノール系加硫剤系のより詳細に関しては、「VulcanizationandVulcanizingAgents」(W.Hoffman,PalmertonPublishingCompany)を参照されたい。
フェノール樹脂系架橋剤及び臭素化フェノール樹脂系架橋剤は、市販品であってもよいし、合成品であってもよい。市販品としては、例えば、商品名「SP-1045」、「CRJ-352」、「SP-1055F」及び「SP-1056」(以上、SchenectadyChemicals,Inc.社製)が挙げられる。
架橋剤(D)は、分解物の発生が少ないため、フォギング防止の観点から好適な加硫剤である。架橋剤(D)は、ゴムの本質的に完全な加硫を達成させるに充分な量で使用される。
本発明においては、架橋剤(D)による動的架橋に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどの多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートなどの多官能性ビニルモノマー等の助剤を配合することができる。
上記助剤を用いることにより、均一かつ穏やかな架橋反応が期待できる。上記助剤としては、ジビニルベンゼンが好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、共重合体(A)及び重合体(B)との相溶性が良好であり、かつ、架橋剤(D)を可溶化する作用を有し、架橋剤(D)の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性のバランスのとれた動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
上記助剤は、共重合体(A)100質部に対して、通常2質量部以下、好ましくは0.3~1質量部となるような量で用いられる。
また、架橋剤(D)の分解を促進するために、分散促進剤を用いてもよい。分解促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノ)フェノールなどの三級アミン;アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等、ナフテン酸と種々の金属(例えば、Pb、Co、Mn、Ca、Cu、Ni、Fe、Zn、希土類)とのナフテン酸塩等が挙げられる。
架橋剤(D)は、上記共重合体(A)100質量部に対して、1~15質量部である。架橋剤(D)の含有量を上記範囲にすることにより、成形性に優れる動的架橋型熱可塑性エラストマーが得られ、また、得られる動的架橋型熱可塑性エラストマーは、高強度であって、優れた耐油性を有し、十分な耐熱性及び機械物性を有する。
上記観点から、架橋剤(D)の含有量としては、上記共重合体(A)100質量部に対して、1~10質量部であることが好ましく、2~8質量部であることがより好ましく、3~7質量部であることが更に好ましい。
-その他の成分-
熱可塑性エラストマー組成物は、発明の効果を損なわない範囲において、上記共重合体(A)、上記重合体(B)、軟化剤(C)及び架橋剤(D)の以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、特に限定されないが、受酸剤(E)、無機充填剤(F)等が挙げられる。また、添加剤としては、共重合体(A)以外のゴム(例えば、ポリイソブチレン、ブチルゴム、プロピレン・エチレン共重合体ゴム、プロピレン・ブテン共重合体ゴム及びプロピレン・ブテン・エチレン共重合体ゴムなどのプロピレン系エラストマー、エチレン・プロピレン共重合体ゴムなどのエチレン系エラストマー);熱硬化性樹脂、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂等の結晶性オレフィン重合体(B)以外の樹脂;紫外線吸収剤;酸化防止剤;耐熱安定剤;老化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤;帯電防止剤;金属セッケン;脂肪族アミド;ワックスなどの滑剤等、ポリオレフィンの分野で用いられている公知の添加剤が挙げられる。
その他の成分は、1種単独であってもよいし、2種以上併用してもよい。
無機充填剤(F)としては、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
これら無機充填剤(F)は、共重合体(A)及び重合体(B)の合計100質量部に対して、通常1~100質量部、好ましくは1~50質量部の量で用いられる。
受酸剤(E)としては、例えば、上述の酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素及び酸化亜鉛、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。これらの中でも、受酸剤(E)としては、酸化亜鉛が好ましい。
受酸剤(E)の含有量としては、上記共重合体(A)100質量部に対して、0.1~1.0質量部であることが好ましく、0.2~0.8質量部であることがより好ましく、0.3~0.7質量部であることが更に好ましい。
熱可塑性エラストマー組成物が受酸剤(E)を含む場合、架橋剤(D)の架橋作用を促進することができる。
老化防止剤としては、例えば、フェニルブチルアミン、N,N-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系老化防止剤がある。
共重合体(A)以外のゴムを用いる場合には、ゴムは、共重合体(A)及び重合体(B)の合計100質量部に対して、通常2~200質量部、好ましくは5~150質量部の量で用いる。
また、本明細書において特に言及している添加剤以外の添加剤の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A)及び重合体(B)の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.0001以上10質量部未満であることがより好ましく、0.01~5質量部程度であることが更に好ましい。
動的架橋型熱可塑性エラストマーは、海島構造を有することが好ましい。海島構造を有する動的架橋型熱可塑性エラストマーでは、重合体(B)領域(海部)中に共重合体(A)成分の領域(島部)が存在しているため、得られる動的架橋型熱可塑性エラストマーの成形性に優れる。成形性に優れる観点から、海島構造は、大きさの異なる島部と海部とで構成される構造であることが好ましい。
動的架橋型熱可塑性エラストマーの海島構造は、動的架橋型熱可塑性エラストマーを厚さ100μmになるような切片を作製し、この切片を走査電子顕微鏡(SEM)(倍率:1,000倍~3,000倍)で観察して海島構造の有無を確認することができる。
<ゲル分率の差(R)>
動的架橋型熱可塑性エラストマーは、下記式で表されるゲル分率の差(R)が、1.4質量%を超え5.0質量%以下である。
動的架橋型熱可塑性エラストマーのゲル分率の差(R)が上記範囲であると、動的架橋型熱可塑性エラストマー中に、重合体(B)領域(海部)中に大きさが異なる共重合体(A)成分の領域(島部)が存在しているので、得られる動的架橋型熱可塑性エラストマーの成形性に優れる。
ゲル分率の差(R)は、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
ゲル分率の差(R)(質量%)=325メッシュのゲル分率(質量%)-80メッシュのゲル分率(質量%)
成形性に優れる観点から、ゲル分率の差(R)としては、1.5~4.5質量%であることが好ましく、1.5~4.0質量%であることがより好ましく、1.6~3.0質量%であることが更に好ましい。
また、動的架橋型熱可塑性エラストマーにおいて上記ゲル分率の差(R)を調整する方法としては、熱可塑性エラストマー組成物中の、共重合体(A)、重合体(B)、軟化剤(C)及び架橋剤(D)の組成比を調製することで、所望のゲル分率の差(R)に調整することができる。
耐油性及び成形性に優れる観点から、動的架橋型熱可塑性エラストマーは、JIS K 6253(2012)に準拠して測定したショアA硬度(瞬間値)が20~90であることが好ましく、25~80であることがより好ましく、30~70であることが更に好ましい。
ショアA硬度(瞬間値)は、後述の実施例に記載の測定方法により求められる。
(動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法)
上記動的架橋型熱可塑性エラストマーは、上記熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋して得られる。より具体的には、動的架橋型熱可塑性エラストマーは、共重合体(A)、重合体(B)、軟化剤(C)及び必要に応じて配合される添加剤を含む混合物を、架橋剤(D)の存在下に、動的に熱処理して架橋(動的架橋)することによって得られる。
本発明において、「動的に熱処理する」とは、架橋剤の存在下で、前記混合物を溶融状態で混練することをいう。また、「動的架橋」とは、混合物にせん断力を加えながら架橋することをいう。
本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法(以下、単に「エラストマーの製造方法」ともいう。)は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの未架橋型共重合体(A-1)と、上記結晶性オレフィン重合体(B)と、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの架橋型共重合体(A-2)及び上記結晶性オレフィン重合体(B)を含む熱可塑性エラストマー組成物と、軟化剤(C)と、フェノール樹脂系架橋剤(D)と、を動的に熱処理して、上記エラストマーを得る工程を含むことが好ましい。
本発明に係るエラストマーの製造方法は上記工程を含むことで、未架橋型共重合体(A-1)、重合体(B)、及び、架橋型共重合体(A-2)が架橋剤(D)によって動的架橋されるので、得られる動的架橋型熱可塑性エラストマーは耐油性及び成形性に優れる。この理由は明らかではないが、以下のように推定している。
上記工程を含むエラストマーの製造方法では、未架橋型共重合体(A-1)と架橋型共重合体(A-2)が用いられている。架橋型共重合体(A-2)は、予め架橋されている共重合体を更に動的架橋されたものであるため、未架橋型共重合体(A-1)の領域(島部)と比べて、大きな領域(島部)として重合体(B)(海部)中に存在することになる。未架橋型共重合体(A-1)は、未架橋の状態で動的架橋されるため、架橋型共重合体(A-2)の領域(島部)に比べて小さな領域(島部)として重合体(B)(海部)に存在することになる。また、未架橋型共重合体(A-1)が重合体(B)(海部)よりも多い場合には、未架橋型共重合体(A-1)が重合体(B)(海部)に分散せずに、重合体(B)(海部)は共連続構造をとる傾向にあるが、架橋型共重合体(A-2)は、予め架橋されているので島部として重合体(B)(海部)中に存在しやすいと推察している。
すなわち、本発明に係るエラストマーの製造方法により得られるエラストマーでは、大きさが異なる領域(島部)が重合体(B)(海部)に存在することになるので、流動性に優れるため成形性にも優れていると推定している。
上記工程に用いられる重合体(B)、軟化剤(C)、及び、フェノール樹脂系架橋剤(D)は、上記熱可塑性エラストマー組成物における重合体(B)、軟化剤(C)、及び、フェノール樹脂系架橋剤(D)とそれぞれ同義であり、好ましい態様もそれぞれ同様である。
上記工程に用いられる未架橋型共重合体(A-1)は、上記熱可塑性エラストマー組成物における重合体(A)を架橋していない場合の重合体と同義であり、好ましい態様も上記架橋していない場合の重合体の好ましい態様と同様である。
上記工程に用いられる架橋型共重合体(A-2)は、上記熱可塑性エラストマー組成物における重合体(A)を架橋している場合の重合体と同義であり、好ましい態様も上記架橋している場合の重合体の好ましい態様と同様である。
動的架橋型熱可塑性エラストマーにおいて、未架橋型共重合体(A-1)、架橋型共重合体(A-2)及び重合体(B)は、部分的に動的架橋されたものであってもよく、完全に動的架橋されたものであってもよい。
動的な熱処理は、非開放型の装置中で行なうことが好ましく、又は、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理の温度は、通常、重合体(B)の融点~300℃の範囲であり、好ましくは150~280℃、より好ましくは170~270℃である。混練時間は、通常1~20分間、好ましくは1~10分間である。また、加えられる剪断力は、最高剪断速度で通常10~100,000sec-1、好ましくは100~50,000sec-1、より好ましくは1,000~10,000sec-1、更に好ましくは2,000~7,000sec-1の範囲である。
動的に熱処理する際に用いられる混練装置としては、特に制限はなく公知の混練装置を用いることができる。混練装置としては、例えば、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー等)、一軸押出機、二軸押出機などが挙げられる。なお、これら混練装置としては、非開放型の装置が好ましい。
エラストマーの製造方法は、上記エラストマーを得る工程以外に他の工程を更に含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの架橋型共重合体(A-2)を調製する工程、上記エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの架橋型共重合体(A-2)及び上記重合体(B)を含む組成物を調製する工程等が挙げられる。
本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーは、従来の架橋型熱可塑性エラストマーと同等以上の、硬度と、機械特性(引張強度、伸び等)を有しているため、各種用途に用いることができる。また、本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーは、従来の熱可塑性エラストマーと比べて優れた耐油性を有しているため、特に、従来の熱可塑性エラストマーを用いることが困難な分野、たとえば、グリースや潤滑油と接触するため、より優れた耐油性が求められる、自動車用の、ホース、パイプ及びブーツ(ブロー成形品)などの自動車部品に好適に用いることができる。
本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーは、成形性に優れているため、様々な成形法により、成形が可能である。上記成形法としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形、真空成形、プレス成形、スタンピング成形、ブロー成形等の成形法が挙げられる。なお、ブロー成形としては、ブレスブロー成形、ダイレクトブロー成形、インジェクションブロー成形等が挙げられる。
(成形体)
本発明に係る成形体は、本発明に係る動的架橋型熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。成形体は、上記動的架橋型熱可塑性エラストマー以外の成分を含んでいてもよいが、動的架橋型熱可塑性エラストマーから形成される形成体であることが更に好ましい。
上記動的架橋型熱可塑性エラストマー以外の成分としては、上記動的架橋型熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性エラストマーが挙げられる。このような熱可塑性エラストマーとしては公知の熱可塑性エラストマーが挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。
成形体は、例えば、上記熱可塑性エラストマー組成物又は上記動的架橋型熱可塑性エラストマーを、押出成形、射出成形、圧縮成形等の従来のプラスチック成形法によって成形することにより得られる。また、このような成形法によって生じた屑やバリを回収して再利用することもできる。
成形体は、耐油用途として用いられることが好ましい。
成形体としては、例えば、バンパー部品、ボディパネル、サイドシールド、グラスランチャンネル、インストルメントパネル表皮、ドア表皮、天井表皮、ウェザーストリップ材、ホース、ステアリングホイール、ブーツ、ワイヤーハーネスカバー、シートアジャスターカバー等の自動車部品;電線被覆材、コネクター、キャッププラグ等の電気部品;靴底、サンダル等の履物;水泳用フィン、水中眼鏡、ゴルフクラブグリップ、野球バットグリップ等のレジャー用品、ガスケット、防水布、ベルト、ガーデンホース;土木・建築用各種ガスケット及びシートなどが挙げられる。
成形体としては、特に耐油性が求められる用途に適しており、自動車用のホース、自動車用のブーツ、自動車用のガスケット等の自動車部品が特に好ましい用途として挙げられる。
成形体としては、前述のように自動車部品が好ましく、自動車部品のより詳細な例としては、機構部材、内装部材、外装部材、その他部材が挙げられる。
機構部材としては、CVJブーツ、サスペンションブーツ、ラック&ピニオンブーツ、ステアリングロッドカバー、ATクッション、ATスライドカバー、リーフスプリングブッシュ、ボールジョイントリテーナ、タイミングベルト、Vベルト、エンジンルーム内ホース、エアーダクト、エアバッグカバー、プロペラシャフトカバー材などが挙げられる。
内装部材としては、各種表皮材(インストルメンタルパネル、ドアトリム、天井、リアピラー)、コンソールボックス、アームレスト、エアバックケースリッド、シフトノブ、アシストグリップ、サイドステップマット、リクライニングカバー、トランク内シート、シートベルトバックル、レバースライドプレート、ドアラッチストライカー、シートベルト部品、スイッチ類などが挙げられる。
外装部材としては、各種モール材(インナー/アウターウィンドウモール、ルーフモール、ベルトモール、サイドトリムモール)、ドアシール、ボディシール、グラスランチャンネル、泥よけ、キッキングプレート、ステップマット、ナンバープレートハウジング、消音ギア、コントロールケーブルカバー、エンブレムなどが挙げられる。
その他部材としては、エアダクトパッキン、エアダクトホース、エアダクトカバー、エアインテークパイプ、エアダムスカート、タイミングベルトカバーシール、オープニングシール・トランクシール部材、ボンネットクッション、燃料タンクバンド、ケーブルなどが挙げられる。
成形体は、雑貨、日用品又はこれらの部材であってもよい。雑貨、日用品又はこれらの部材としては、グリップ(例えば、ボールペン、シャープペンシル、歯ブラシ、カップ、使い捨てカミソリ、手すり、カッター、電動工具、ドライバー、電源ケーブル、ドアなどのグリップ)、アシストグリップ、シフトノブ、玩具、手帳表皮、ガスケット(例えば食器・タッパーなどのガスケット)、各種足ゴム、スポーツ用品(例えば、シーズソール、スキーブーツ、スキー板、スキービンディング、スキーソール、ゴルフボール、ゴーグル部材、スノーボード部材、スノーボードシューズ、スノーボードビンディング、サーフボード部材、ボディボード、バナナボート、カイトボード、シュノーケリング部材、水上スキー部材、パラセーリング部材、ウェイクボード部材などのスポーツ用品)、ベルト(例えば、時計用ベルト、ファッションベルトなどのベルト)、ヘアブラシ、浴槽パネルボタンシート、キャップ、靴のインナーソール、健康器具部材等が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の記載において「部」は、特に断りのない限り質量基準である。
<原料>
<<未架橋型共重合体(A-1)>>
エチレンと炭素数3~20のαオレフィンと非共役ポリエンとの未架橋型共重合体(A-1)として油展エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体を用いた。
エチレン含有量=63質量%、プロピレン含有量=32.5質量%、非共役ポリエン種:5-エチリデン-2-ノルボルネン、非共役ジエン含有量=4.5質量%、非共役ジエン含有量(ヨウ素価)=13、極限粘度[η]=3.4(dl/g)、ゴム成分100質量部に対する油展量=40(PHR:)
未架橋型共重合体(A-1)の油展には、下記軟化剤(C)を用いた。
<<熱可塑性エラストマー組成物(X):オレフィン樹脂系熱可塑性エラストマー組成物>>
エチレンと炭素数3~20のαオレフィンと非共役ポリエンとの架橋型共重合体(A-2)の含有量:33質量%、結晶性オレフィン重合体(B)の含有量:17質量%、軟化剤(C)の含有量:50質量%
ショアA硬度(実施例に記載の測定方法で測定された)70、MFR(230℃、10kg荷重):50g/10分
架橋型共重合体(A-2)の組成比は、エチレン含有量=63質量%、プロピレン含有量=32.5質量%、非共役ポリエン種:5-エチリデン-2-ノルボルネン、非共役ジエン含有量=4.5質量%である。
<<結晶性オレフィン重合体(B)>>
・プロピレン重合体(B-1):プロピレンホモポリマー、MFR(230℃、2.16kg荷重)=0.5g/10分)、DSCで測定した融点:165℃)
<<軟化剤(C)>>
・軟化剤(C-1):パラフィン系プロセスオイル(商品名:ダイアナプロセスオイル(登録商標) PW-100、出光興産(株)製)
<<フェノール樹脂系架橋剤(D)>>
・架橋剤(D-1):臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP-1055F、Schenectady社製)
<<その他の添加物>>
・受酸剤:酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)
(測定方法)
実施例及び比較例で使用した各成分の組成や物性は、以下の方法により測定した。
<構造単位の質量分率>
上記共重合体(A)又は熱可塑性エラストマー組成物(X)に含まれる架橋型共重合体(A-2)中の各構造単位の質量分率(質量%)は、13C-NMRによる測定値により求めた。具体的には、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子(株)製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1(体積比)、積算回数:8000回の条件で得られた共重合体(A)又は熱可塑性エラストマー組成物(X)に含まれる架橋型共重合体(A-2)の13C-NMRのスペクトルから算出した。
<メルトフローレート(MFR)>
結晶性オレフィン重合体(B)のMFRは、ASTM D-1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件で測定した。
<極限粘度>
未架橋型共重合体(A-1)の極限粘度[η](dl/g)は、(株)離合社製全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
<融点>
上記重合体(B)の融点は、JIS K 7121(2012)に準拠して示差走査型熱量計(DSC)を用いて測定した。具体的には、結晶性オレフィン重合体(B)のペレットを、230℃で10分間加熱し、次いで、30℃まで10℃/分の速度で降温した後1分間保持し、その後、10℃/分の速度で昇温した。この際のDSC曲線において、吸収熱量が最大の温度を融点とした。
〔実施例1〕
未架橋型共重合体(A-1)と架橋型共重合体(A-2)との質量比が80:20となるように共重合体(A)を調製し、更に重合体(B)、軟化剤(C)、架橋剤(D)、その他の添加物として受酸剤を、表1の配合量となるように添加して原料とした。
ついで、上記原料の全量を押出機(品番 KTX-30、(株)神戸製鋼所製、シリンダー温度:C1=50℃、C2=90℃、C3=100℃、C4=120℃、C5=180℃、C6=200℃、C7~C14=200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)を用いて、混練しながら動的架橋させ、動的架橋型熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
〔実施例2~4及び比較例4〕
未架橋型共重合体(A-1)と架橋型共重合体(A-2)との質量比が75:25となるように共重合体(A)を調製した以外は、実施例1と同様に、表1の配合となるように原料を調製し、動的架橋型熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
〔比較例1~3〕
未架橋型共重合体(A-1)と架橋型共重合体(A-2)質量比が100:0となるように共重合体(A)を調製した以外は、実施例1と同様に、表1の配合となるように原料を調製し、動的架橋型熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
<成形性:動的架橋型熱可塑性エラストマーのMFR>
JIS K 7210に準拠して230℃、10kg荷重で、実施例及び比較例で得られた動的架橋型熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR)を測定した。結果を表1に示す。
MFRの値が大きいほど流動性に優れ、成形性が優れると判断することができる。
<<プレスシートの作製と試験片の作成>>
実施例又は比較例で得られた動的架橋型熱可塑性エラストマーのペレットをそれぞれ用い、100t電熱自動プレス(ショージ社製)を用いて、230℃で6分間プレス成形し、その後、室温で5分間冷却プレスして厚さ2mmの平板のプレスシートを得た。
その後、得られたプレスシートから3号ダンベル片を打ち抜いて、厚さ2mmの試験片を作製した。
<ショアA硬度>
JIS K 6253(2012)に準拠して、前述の方法で作製した厚さ2mmのプレスシートを3枚重ねてサンプルとして用い、デュロメータを用いてショアA硬度(瞬間値)を求めた。結果を表1に示す。
<引張特性>
前述の方法で作成したダンベル状3号形試験片に対して、JIS K 6251(2017)に準拠して引張試験(引張速度:500mm/分、測定温度:23℃)を行い、100%伸び時の応力(MPa)(M100)、引張破断強度(MPa)(TB)及び引張破断伸び(%)(EB)を測定した。結果を表1に示す。
<圧縮永久歪(CS)>
JIS K 6250に準拠して、厚さ2mmのプレスシートを6枚重ねて厚み12mmの積層シートとした。得られた積層シートに対して、JIS K 6262に準拠して、70℃で22時間長さ方向に25%圧縮した後、圧縮装置から取り出して30分後の成形体の長さを測定し、圧縮永久歪を計算した。結果を表1に示す。
<耐油性:耐油試験(試験油に浸漬したときの体積変化率)>
プレスシート(2mm厚さ)を10cm角に切り出し、JIS K6258(2016)に従い、プレスシートを125℃のIRM903オイル中に72時間浸漬させた後、耐油性として体積変化率(ΔV)(体積%)を測定した。結果を表1に示す。体積変化率の値が小さいほど、耐油性に優れると判断することができる。
<ゲル分率の差(R)の算出>
まず、上記で得られた動的架橋型熱可塑性エラストマーのペレットを用いて、325メッシュ及び80メッシュのゲル分率を求めた。
<<ゲル分率の測定>>
試料として動的架橋型熱可塑性エラストマーのペレットを約100mg秤量し、325メッシュ又は80メッシュのスクリーンに包んで、密閉容器中にてこのペレットに対して充分な量である30mLのp-キシレンに、140℃で24時間浸漬した。次に、この試料を濾紙上に取り出し、80℃にて2時間以上恒量になるまで乾燥した。
325メッシュ及び80メッシュのゲル分率(R)は、下記の式より求めた。
ゲル分率[質量%]=〔p-キシレン浸漬後の試料乾燥重量/p-キシレン浸漬前の試料重量〕×100
上記で測定して得られた325メッシュのゲル分率と80メッシュのゲル分率の値を用いて、以下式から動的架橋型熱可塑性エラストマーのゲル分率の差(R)を算出した。
ゲル分率の差(R)(質量%)=325メッシュのゲル分率(質量%)-80メッシュのゲル分率(質量%)
上記で得られた実施例及び比較例の動的架橋型熱可塑性エラストマーペレットを厚さ100μmになるような切片をそれぞれ作製し、この切片を走査電子顕微鏡(SEM)(倍率:1,000倍又は3,000倍)で観察した。図1で示される比較例の動的架橋型熱可塑性エラストマーの海島構造と、図2で示される実施例の動的架橋型熱可塑性エラストマーの海島構造を比較すると、実施例の動的架橋型熱可塑性エラストマーが有する海島構造の方に、より大きい島構造が確認された。上記の観察結果から、実施例の動的架橋型熱可塑性エラストマーでは、島構造の大きさの分布が広いことがわかる。
表1中、「部」とは質量部を表し、重合体(B)、軟化剤(C)、架橋剤(D)及びその他の添加剤の部数は、共重合体(A)100質量部に対する部数を意味している。
表1中の共重合体Aの質量部は、油展量を除いたゴム成分である未架橋型共重合体(A-1)と、熱架橋性エラストマー組成物(X)中の架橋型共重合体(A-2)と、の合計量を示す。
本発明に係る実施例1~4の動的架橋型熱可塑性エラストマー及びその成形体は、比較例1~4の動的架橋型熱可塑性エラストマー及びその成形体に比べて耐油性及び成形性に優れることが分かる。

Claims (10)

  1. エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)100質量部、
    結晶性オレフィン重合体(B)5~80質量部、
    軟化剤(C)100~300質量部、及び、
    フェノール樹脂系架橋剤(D)1~15質量部、を含む熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋してなる動的架橋型熱可塑性エラストマーであって、下記式で表されるゲル分率の差(R)が、1.4質量%を超え5.0質量%以下である動的架橋型熱可塑性エラストマー。
    ゲル分率の差(R)(質量%)=325メッシュのゲル分率(質量%)-80メッシュのゲル分率(質量%)
  2. 前記エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体(A)の少なくとも一部が架橋されている、請求項1に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
  3. 前記結晶性オレフィン重合体(B)が、プロピレンの単独重合体及びプロピレンと炭素数2~20のα-オレフィン(但しプロピレンを除く)との共重合体の少なくとも一方である、請求項1又は2に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
  4. JIS K 6253(2012)に準拠して測定したショアA硬度(瞬間値)が20~90である、請求項1~3のいずれか1項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
  5. 海島構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマー。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法であって、
    エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの未架橋型共重合体(A-1)と、結晶性オレフィン重合体(B)と、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとの架橋型共重合体(A-2)及び前記結晶性オレフィン重合体(B)を含む熱可塑性エラストマー組成物と、軟化剤(C)と、フェノール樹脂系架橋剤(D)と、を動的に熱処理して前記エラストマーを得る工程を含む、動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の動的架橋型熱可塑性エラストマーを含む成形体。
  8. 耐油用途として用いられる、請求項7に記載の成形体。
  9. 自動車用ホースである、請求項7に記載の成形体。
  10. 自動車用ブーツである、請求項7に記載の成形体。
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