JP2020007460A - 重合体組成物及び重合体組成物からなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】繰り返し屈曲変形からの形状復元性に優れた成形品を得ることができる重合体組成物を提供する。【解決手段】エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)由来の成分を100質量部、DSCで測定した融点が105℃以上である結晶性プロピレン系重合体(B)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し1〜50質量部、以下の(a)、(b)及び(c)をすべて満たすプロピレン系重合体(E)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し0.10〜40質量部含み、前記共重合体(A)由来の成分がフェノール樹脂系架橋剤により架橋されている重合体組成物及び動的架橋による前記重合体組成物の製造方法。(a)DSCで測定した融点が100℃以下(b)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000(c)分子量分布(Mw/Mn)<4【選択図】なし
Description
本発明は、重合体組成物及び重合体組成物からなる成形体に関する。
従来、一般的に、自動車部品あるいは電気・電子部品、建築部品として、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体(EPDM)のゴム配合物からなる押出加硫成形品が、低硬度かつゴム弾性が要求される部品において用いられてきた。
他方、いろいろな用途での部材、例えばシール部材におけるエラストマー材料として、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体(EPDM)を使用した加硫ゴムに代わって、生産性、環境対応性及び軽量化の見地から、加硫工程が不要な熱可塑性エラストマー組成物が使用され始めている。
一方、従来の熱可塑性エラストマー、例えば特許文献1又は非特許文献1に記載の熱可塑性エラストマーを、例えばウエザーストリップなどのシール部材や、ホースなどに用いようとすると、ドアの開閉や、ホースのつぶれ・つぶれからの解放を繰り返すうちに、成形体の屈曲が繰り返され、その結果変形して元の形状に戻らなくなる現象が起き、ウエザーストリップではシール性が低下する現象、ホースでは流量の変化、流動物のつまりなどが起こることがある。本明細書では前記現象を「繰り返し屈曲変形からの形状復元性の低下」という場合がある。
特許文献1は、未硬化の熱可塑性エラストマーに関するものであり、繰り返し屈曲変形からの形状復元性は明らかに劣るものと考えられる。
例えば非特許文献1記載の組成物は、EPDM/ポリプロピレンにポリブテンを添加した系であり、未加硫系と加硫系とについて、各種物性が測定されているが、成形品の繰り返し屈曲変形からの形状復元性については記載されていない。
すなわち、従来の熱可塑性エラストマーでは成形品の繰り返し屈曲変形からの形状復元性の点で、未だ向上の余地があった。
Research Disclosure, Vol. 211, 11 1981, p. 396.
本発明の課題は、繰り返し屈曲変形からの形状復元性に優れた成形品を得ることができる重合体組成物を提供することである。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)由来の成分を100質量部、DSCで測定した融点が105℃以上である結晶性プロピレン系重合体(B)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し1〜50質量部含み、以下の(a)、(b)及び(c)をすべて満たすプロピレン系重合体(E)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し0.10〜40質量部含み、前記共重合体(A)由来の成分がフェノール樹脂系架橋剤により架橋されている重合体組成物。
(a)DSCで測定した融点が100℃以下
(b)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
(c)分子量分布(Mw/Mn)<4
(2)架橋が動的熱処理によるものである、前記(1)に記載の重合体組成物。
(3)プロピレン系重合体(E)がプロピレンの単独重合体である前記(1)又は(2)に記載の重合体組成物。
(4)前記エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)において、エチレン含有量が、エチレン由来の構成単位、α−オレフィン由来の構成単位及び非共役ポリエン由来の構成単位の合計に対し40〜80質量%である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の重合体組成物。
(5)軟化剤を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し40〜200質量部含む前記(1)〜(4)のいずれかに記載の重合体組成物。
(6)エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、DSCで測定した融点が105℃以上である結晶性プロピレン系重合体(B)の少なくとも一部とを、フェノール樹脂系架橋剤(D)の存在下に、動的に熱処理をする工程を含む、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体組成物の製造方法。
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体組成物から得られる成形体。
(8)成形体が自動車部品である前記(7)に記載の成形体。
(9)シール部材である前記(7)又は(8)に記載の成形体。
(1)エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)由来の成分を100質量部、DSCで測定した融点が105℃以上である結晶性プロピレン系重合体(B)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し1〜50質量部含み、以下の(a)、(b)及び(c)をすべて満たすプロピレン系重合体(E)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し0.10〜40質量部含み、前記共重合体(A)由来の成分がフェノール樹脂系架橋剤により架橋されている重合体組成物。
(a)DSCで測定した融点が100℃以下
(b)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
(c)分子量分布(Mw/Mn)<4
(2)架橋が動的熱処理によるものである、前記(1)に記載の重合体組成物。
(3)プロピレン系重合体(E)がプロピレンの単独重合体である前記(1)又は(2)に記載の重合体組成物。
(4)前記エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)において、エチレン含有量が、エチレン由来の構成単位、α−オレフィン由来の構成単位及び非共役ポリエン由来の構成単位の合計に対し40〜80質量%である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の重合体組成物。
(5)軟化剤を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し40〜200質量部含む前記(1)〜(4)のいずれかに記載の重合体組成物。
(6)エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、DSCで測定した融点が105℃以上である結晶性プロピレン系重合体(B)の少なくとも一部とを、フェノール樹脂系架橋剤(D)の存在下に、動的に熱処理をする工程を含む、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体組成物の製造方法。
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体組成物から得られる成形体。
(8)成形体が自動車部品である前記(7)に記載の成形体。
(9)シール部材である前記(7)又は(8)に記載の成形体。
本発明によれば、繰り返し屈曲変形からの形状復元性に優れた成形品を提供することができる。
以下に、本発明について具体的に説明する。
本発明の重合体組成物は、少なくとも、(i)エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)由来の成分と、(ii)結晶性プロピレン系重合体(B)と、(iii)プロピレン系重合体(E)とを含み、前記共重合体(A)由来の成分がフェノール樹脂系架橋剤により架橋されている重合体組成物である。
本発明において、「エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体由来の成分」とは、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を原料として得られる成分を表す。
[エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)]
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)において、エチレン含有量は、エチレン由来の構成単位、α−オレフィン由来の構成単位及び非共役ポリエン由来の構成単位の合計に対し、通常40〜80質量%、好ましくは55〜70質量%である。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)において、エチレン含有量は、エチレン由来の構成単位、α−オレフィン由来の構成単位及び非共役ポリエン由来の構成単位の合計に対し、通常40〜80質量%、好ましくは55〜70質量%である。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を構成するα−オレフィンは、通常、炭素数3〜20のα−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。これらα−オレフィンは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を構成する非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;
メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ナノジエン等のトリエン等が挙げられ、これら非共役ポリエンは単独でも、2種類以上でも使用することができる。これら非共役ポリエンの中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が好ましい。
メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;
2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ナノジエン等のトリエン等が挙げられ、これら非共役ポリエンは単独でも、2種類以上でも使用することができる。これら非共役ポリエンの中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が好ましい。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)における、非共役ポリエン由来の成分の含有量は、通常、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとの合計100質量%に対し、好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.1〜15質量%の範囲にある。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が通常1〜10dl/g、好ましくは1.5〜8dl/gの範囲にある。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、その製造の際に軟化剤、好ましくは鉱物油系軟化剤を配合した、いわゆる油展ゴムであってもよい。鉱物油系軟化剤としては、従来公知の鉱物油系軟化剤、例えばパラフィン系プロセスオイル等が挙げられる。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のムーニー粘度ML(1+4)(125℃)は、通常10〜350、好ましくは30〜250の範囲にある。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、単独で、あるいは二種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係るエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、従来公知の方法により製造することができる。
[結晶性プロピレン系重合体(B)]
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、プロピレン単独、又はプロピレンとその他の1種又は2種以上のモノオレフィンを高圧法又は低圧法により重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物からなる。
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、プロピレン単独、又はプロピレンとその他の1種又は2種以上のモノオレフィンを高圧法又は低圧法により重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物からなる。
結晶性プロピレン系重合体(B)のプロピレン以外の適当な原料オレフィンとしては、好ましくは炭素数2又は4〜20のα−オレフィン、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらの炭素数2又は4〜20のα−オレフィンを用いる際は1種でも2種以上用いてもよい。重合様式は、樹脂状物が得られれば、ランダム型でもブロック型でもよい。これらのプロピレン系重合体は、単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、好ましくはプロピレン含量が全構成単位を100モル%とした場合に51モル%以上であるプロピレン系重合体である。
これらのプロピレン系重合体の中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体等が特に好ましい。
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が通常0.1dl/g以上、10dl/g未満、好ましくは0.5〜5dl/gである。
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、融点が通常105〜200℃、好ましくは110〜170℃、更に好ましくは120〜165℃の範囲にある。
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、MFR(JIS K6721、230℃、2.16kg荷重)が通常0.1〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲にある。
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、立体構造としては、アイソタクチック構造が好ましいが、シンジオタクチック構造のものやこれらの構造の混ざったもの、あるいは、一部アタクチック構造を含むものも用いることができる。
本発明に用いる結晶性プロピレン系重合体(B)は、種々公知の重合方法によって重合される。
結晶性プロピレン系重合体(B)の配合量は、耐熱性の点から、前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し、1〜50質量部、好ましくは1〜40質量部である。
[プロピレン系重合体(E)]
本発明の重合体組成物は、繰り返し屈曲変形からの形状回復性、及び耐熱性の点から、以下の(a)、(b)及び(c)をすべて満たすプロピレン系重合体(E)を含む。プロピレン系重合体(E)の配合量は、繰り返し屈曲変形からの形状回復性、及び耐熱性の点から、前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し、0.10〜40質量部、好ましくは10〜35質量部である。
本発明の重合体組成物は、繰り返し屈曲変形からの形状回復性、及び耐熱性の点から、以下の(a)、(b)及び(c)をすべて満たすプロピレン系重合体(E)を含む。プロピレン系重合体(E)の配合量は、繰り返し屈曲変形からの形状回復性、及び耐熱性の点から、前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し、0.10〜40質量部、好ましくは10〜35質量部である。
(a)DSCで測定した融点(Tm)が100℃以下、好ましくは70℃〜100℃、より好ましくは70℃〜90℃の範囲にある。
プロピレン系重合体(E)の融点(Tm)が70℃以上であると、べたつきの発生が抑制されるためより好ましく、100℃以下であると、繰り返し屈曲変形からの十分な形状復元性が得られる。
プロピレン系重合体(E)は、プロピレン由来の構成単位を51モル%〜100モル%と、必要に応じ用いられるプロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位49モル%〜0モル%とを含む重合体であり、このうちでもプロピレン単独重合体が好ましい。
(b)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
前記プロピレン系重合体において質量平均分子量がこの範囲であると、繰り返し屈曲変形からの形状復元性に優れた成形品が得られる。この質量平均分子量は、好ましくは30,000〜150,000であり、より好ましくは50,000〜150,000である。この質量平均分子量の測定法については後述する。
前記プロピレン系重合体において質量平均分子量がこの範囲であると、繰り返し屈曲変形からの形状復元性に優れた成形品が得られる。この質量平均分子量は、好ましくは30,000〜150,000であり、より好ましくは50,000〜150,000である。この質量平均分子量の測定法については後述する。
(c)分子量分布(Mw/Mn)<4
前記プロピレン系重合体において、分子量分布(Mw/Mn)が4未満であると、べたつきの発生が抑制される。この分子量分布は、好ましくは3以下である。
前記プロピレン系重合体において、分子量分布(Mw/Mn)が4未満であると、べたつきの発生が抑制される。この分子量分布は、好ましくは3以下である。
前記質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の質量平均分子量であり、前記分子量分布(Mw/Mn)は、同様にして測定した数平均分子量(Mn)及び前記質量平均分子量(Mw)より算出した値である。
<GPC測定装置>
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示差屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0ml/分
測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示差屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6−HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6−HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o−ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0ml/分
プロピレン系重合体(E)は更に以下の(d)及び/又は(e)を満たすことが好ましい。
(d)引張弾性率
プロピレン系重合体(E)の引張弾性率は、得られる組成物の柔軟性などの物性の観点から、好ましくは1〜600MPa、より好ましくは10〜300MPa、更に好ましくは50〜200MPa、特に好ましくは70〜150MPaである。
プロピレン系重合体(E)の引張弾性率は、得られる組成物の柔軟性などの物性の観点から、好ましくは1〜600MPa、より好ましくは10〜300MPa、更に好ましくは50〜200MPa、特に好ましくは70〜150MPaである。
本明細書中における引張弾性率は、JIS K7113(2002年)に規定された2号試験片(1/2サイズダンベル)に準じた試験片で測定される。
なお、初期長L0を40mmに設定し、引張速度100mm/分で伸張し、伸張過程で
のひずみと荷重を測定し、下記式から初期弾性率を算出した。
のひずみと荷重を測定し、下記式から初期弾性率を算出した。
初期弾性率(N)=ひずみ5%の荷重(N)/0.05
(e)メソペンタッド分率[mmmm]
プロピレン系重合体(E)が単独重合体である場合において、メソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは20〜80モル%である。[mmmm]が20〜80モル%であれば、溶融時の流動性に優れる。このような観点から、メソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは20モル%を超え80モル%以下、より好ましくは40モル%を超え75モル%以下である。モノマー濃度や反応圧力を調整することで、メソペンタッド分率を制御することが可能である。
プロピレン系重合体(E)が単独重合体である場合において、メソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは20〜80モル%である。[mmmm]が20〜80モル%であれば、溶融時の流動性に優れる。このような観点から、メソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは20モル%を超え80モル%以下、より好ましくは40モル%を超え75モル%以下である。モノマー濃度や反応圧力を調整することで、メソペンタッド分率を制御することが可能である。
前記の(a)〜(e)は、プロピレン系重合体(E)を製造する際の触媒の選択や反応条件により調整することができる。
以下、プロピレン系重合体のうちから、プロピレン単独重合体の製造方法について説明する。
プロピレン単独重合体の製造方法としては、メタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合してプロピレン単独重合体を製造する方法が挙げられる。
メタロセン系触媒としては、特開昭58−19309号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−300887号公報、特開平4−211694号公報、特表平1−502036号公報等に記載されるようなシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基等を1又は2個配位子とする遷移金属化合物、及び該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られる触媒が挙げられる。
メタロセン触媒のなかでも、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物からなる場合が好ましく、なかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン触媒を用いる方法が更に好ましい。特開2001−172325号公報の段落0037〜0084に記載の例が本発明においても好適な例として挙げられる。
また、例えば、エルモーデュTM等の市販品を用いることもできる。
[フェノール樹脂系架橋剤(D)]
本発明においては、架橋剤として、フェノール樹脂系架橋剤(D)を用いる。
本発明においては、架橋剤として、フェノール樹脂系架橋剤(D)を用いる。
フェノール樹脂系架橋剤(D)としては、レゾール樹脂でありアルキル置換フェノール又は非置換フェノールのアルカリ媒体中のアルデヒドでの縮合、好ましくはホルムアルデヒドでの縮合、又は二官能性フェノールジアルコール類の縮合により製造されることも好ましい。アルキル置換フェノールは1〜10の炭素原子のアルキル基置換体が好ましい。更にはp−位において1〜10の炭素原子を有するアルキル基で置換されたジメチロールフェノール類又はフェノール樹脂が好ましい。フェノール樹脂系硬化樹脂は、典型的には、熱架橋性樹脂であり、フェノール樹脂系架橋剤又はフェノール樹脂とも呼ばれる。
フェノール樹脂系硬化樹脂(フェノール樹脂系架橋剤)の例としては、下記一般式(I)で示される化合物を挙げることができる。
好ましくは、Qは、二価基−CH2−O−CH2−であり、mは0又は1〜10の正の整数であり、R’は20未満の炭素原子を有する有機基である。より好ましくは、mは0又は1〜5の正の整数であり、R’は4〜12の炭素原子を有する有機基である。具体的にはアルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、ハロゲン化アルキルフェノール樹脂等が挙げられ、好ましくはハロゲン化アルキルフェノール樹脂であり、更に好ましくは、末端の水酸基を臭素化したものである。フェノール樹脂系硬化樹脂において、末端が臭素化されたものの一例を下記一般式(II)に示す。
前記フェノール系硬化樹脂の製品例としては、タッキロール(登録商標)201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製)、タッキロール(登録商標)250−I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製)、タッキロール(登録商標)250−III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製)、PR−4507(群栄化学工業(株)製)、Vulkaresat510E(Hoechst社製)、Vulkaresat532E(Hoechst社製)、Vulkaresen E(Hoechst社製)、Vulkaresen105E(Hoechst社製)、Vulkaresen130E(Hoechst社製)、Vulkaresol315E(Hoechst社製)、Amberol ST 137X(Rohm&Haas社製)、スミライトレジン(登録商標)PR−22193(住友デュレズ(株)製)、Symphorm−C−100(Anchor Chem.社製)、Symphorm−C−1001(Anchor Chem.社製)、タマノル(登録商標)531(荒川化学(株)製)、Schenectady SP1059(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1045(SchenectadyChem.社製)、CRR−0803(U.C.C社製)、Schenectady SP1055F(Schenectady Chem.社製、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、Schenectady SP1056(Schenectady Chem.社製)、CRM−0803(昭和ユニオン合成(株)製)、Vulkadur A(Bayer社製)が挙げられる。その中でも、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤が好ましく、タッキロール(登録商標)250−I、タッキロール(登録商標)250−III、Schenectady SP1055F等の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂がより好ましく使用できる。
また、熱可塑性加硫ゴムのフェノール樹脂による架橋の具体的な例としては、米国特許第4,311,628号、米国特許第2,972,600号及び米国特許第3,287,440号各明細書に記載され、これらの技術も本発明で用いることができる。
米国特許第4,311,628号には、フェノール系硬化性樹脂(phenolic curing resin)及び加硫活性剤(cure activator)からなるフェノール系加硫剤系(phenolic curative system)が開示されている。該系の基本成分は、アルカリ媒体中における置換フェノール(例えば、ハロゲン置換フェノール、C1−C2アルキル置換フェノール)又は非置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合によるか、あるいは二官能性フェノールジアルコール類(好ましくは、パラ位がC5−C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類)の縮合により製造されるフェノール樹脂系架橋剤である。アルキル置換フェノール樹脂系架橋剤のハロゲン化により製造されるハロゲン化されたアルキル置換フェノール樹脂系架橋剤が、特に適している。メチロールフェノール硬化性樹脂、ハロゲン供与体及び金属化合物からなるフェノール樹脂系架橋剤が特に推奨でき、その詳細は米国特許第3,287,440号及び同第3,709,840号各明細書に記載されている。非ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤は、ハロゲン供与体と同時に、好ましくはハロゲン化水素スカベンジャーとともに使用される。通常、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤、好ましくは、2〜10質量%の臭素を含有している臭素化フェノール樹脂系架橋剤はハロゲン供与体を必要としないが、例えば酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素及び酸化亜鉛、好ましくは酸化亜鉛のような金属酸化物のごときハロゲン化水素スカベンジャーと同時に使用される。これら金属酸化物等のハロゲン化水素スカベンジャーは、フェノール樹脂系架橋剤100質量部に対して、通常1〜20質量部用いられる。このようなスカベンジャーの存在は同時にフェノール系樹脂系架橋剤の架橋作用を促進するが、フェノール樹脂系架橋剤で容易に加硫されないゴムの場合には、ハロゲン供与体及び酸化亜鉛を共用することが望ましい。ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂の製法及び酸化亜鉛を使用する加硫剤系におけるこれらの利用は米国特許第2,972,600号及び同第3,093,613号各明細書に記載されており、その開示は前記米国特許第3,287,440号及び同第3,709,840号各明細書の開示とともに参考として本明細書にとり入れるものとする。適当なハロゲン供与体の例としては、例えば、塩化第一錫、塩化第二鉄、又は塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン及びポリクロロブタジエン(ネオプレンゴム)のようなハロゲン供与性重合体が挙げられる。本明細書で使用されている「加硫促進剤」なる用語はフェノール系樹脂系架橋剤の架橋効率を実質上増加させるあらゆる物質を意味し、そして金属酸化物及びハロゲン供与体を包含し、これらは単独で、又は組み合わせて使用される。フェノール系加硫剤系のより詳細に関しては、「Vulcanization and Vulcanizing Agents」(W. Hoffman, Palmerton Publishing Company)を参照されたい。適当なフェノール系樹脂系架橋剤及び臭素化フェノール系樹脂系架橋剤は商業的に入手することができ、例えばかかる架橋剤はSchenectady Chemicals, Inc.から商品名「SP−1045」、「CRJ−352」、「SP−1055F」及び「SP−1056」として購入されうる。同様の作用上等価のフェノール系樹脂系架橋剤は、また他の供給者から得ることができる。
フェノール系樹脂系架橋剤は、分解物の発生が少ないため、フォギング防止の観点から好適な加硫剤である。フェノール系樹脂系架橋剤は、ゴムの本質的に完全な加硫を達成させるに充分な量で使用される。
フェノール樹脂系架橋剤(D)の配合量は、繰り返し屈曲変形からの形状復元性の点から、前記共重合体(A)100質量部に対し、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部である。
本発明においては、フェノール樹脂系架橋剤による動的架橋に際し、イオウ、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマー等の助剤を配合することができる。
前記助剤を用いることにより、均一かつ穏やかな架橋反応が期待できる。前記助剤としては、ジビニルベンゼンが好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、重合体組成物に主成分として含まれる結晶性プロピレン系重合体及びエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体との相溶性が良好であり、かつ、フェノール樹脂系架橋剤を可溶化する作用を有し、フェノール樹脂系架橋剤の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた重合体組成物が得られる。
前記助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、通常2質量部以下、好ましくは0.3〜1質量部となるような量で用いられる。
また、フェノール樹脂系架橋剤の分解を促進するために、分散促進剤を用いてもよい。分解促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6−トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミン;アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等、ナフテン酸と種々の金属(例えば、Pb、Co、Mn、Ca、Cu、Ni、Fe、Zn、希土類)とのナフテン酸塩等が挙げられる。
[1−ブテン系重合体(C)]
本発明の組成物は、以下に記載する任意成分であるブテン系重合体(C)を含む組成物でも、含まない組成物でもよいが、ブテン系重合体(C)を、前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し1〜40質量部含む態様は除かれる。また、ブテン系重合体(C)を前記以外の量含む態様は除外されない。
本発明の組成物は、以下に記載する任意成分であるブテン系重合体(C)を含む組成物でも、含まない組成物でもよいが、ブテン系重合体(C)を、前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し1〜40質量部含む態様は除かれる。また、ブテン系重合体(C)を前記以外の量含む態様は除外されない。
1−ブテン系重合体(C)は、下記の重合体である。
即ち、1-ブテン由来の構成単位を51モル%以上と、必要に応じ49モル%以下の、1−ブテン以外の1種以上の炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位とを含む重合体である(但し1−ブテン由来の構成単位と、1−ブテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位との合計を100モル%とする)。この例としては(1)1−ブテン単独重合体、(2)1−ブテンと、1−ブテン以外の1種以上の炭素数2〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体などが挙げられる。
前記の1−ブテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどから選ばれる1種以上が挙げられる。1−ブテン系重合体は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
1−ブテン系重合体(C)のMFR(メルトフローレート;190℃、2.16kgf)は、0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜30g/10分の範囲のものが好ましい。
1−ブテン系重合体(C)のDSCで測定した融点は、通常45〜120℃であり、好ましくは70〜115℃である。1−ブテン系重合体(C)の融点は、実施例の項に記載の(B)及び(E)成分の融点の測定法と同様に測定することができる。
[その他の成分]
本発明の組成物には、前記のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、結晶性プロピレン系重合体(B)、プロピレン系重合体(E)、フェノール樹脂系架橋剤(D)及び1−ブテン系重合体(C)以外の成分、例えば、従来公知の軟化剤、架橋助剤、無機充填剤、補強材、耐熱安定剤(加工熱安定剤)、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、着色剤、及び滑剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の組成物には、前記のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、結晶性プロピレン系重合体(B)、プロピレン系重合体(E)、フェノール樹脂系架橋剤(D)及び1−ブテン系重合体(C)以外の成分、例えば、従来公知の軟化剤、架橋助剤、無機充填剤、補強材、耐熱安定剤(加工熱安定剤)、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、着色剤、及び滑剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
前記軟化剤は、通常ゴムに用いられる軟化剤である。具体的には、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト及びワセリン等の石油系物質;低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等の合成油;コールタール及びコールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油及びヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ及びラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム及びステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂及びアタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート及びジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン及び液状チオコール等が挙げられる。なかでも、パラフィン系のプロセスオイルが特に好ましい。
前記組成物に、軟化剤を添加する場合は、前記組成物の製造時に添加してもよいし、予め、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、又はエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)及びその他の成分を含む熱可塑性エラストマーに軟化剤を添加して用いてもよいが、それに限定はされない。
軟化剤の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは40〜200質量部、更に好ましくは60〜180質量部、特に好ましくは80〜170質量部である。軟化剤をこのような量で用いると、特に成形性、押出成形時の押出し肌が優れる。
架橋助剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅等の金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム等の金属炭酸化物等が挙げられる。これらの架橋助剤は単独で使用されてもよいし、2種以上で併用されてもよい。これらの中でも、架橋助剤として、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;酸化亜鉛等の金属酸化物が好ましい。
架橋助剤の配合量は、耐熱性、流動性の点から、前記(A)〜(E)の合計量100質量部に対して、通常0.01〜15質量部、好ましくは0.01〜10質量部である。
無機充填剤、補強材、耐熱安定剤(加工熱安定剤)、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、着色剤及び滑剤の合計量は、前記(A)〜(E)の合計量100質量部に対して、通常20質量部以下、好ましくは19質量部以下、更に好ましくは18質量部以下である。
前記無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
前記老化防止剤としては、例えば、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤がある。
前記滑剤としては、高級脂肪酸アミド、金属セッケン、ワックス、シリコーンオイル、フッ素系ポリマー等が挙げられる。なかでも、高級脂肪酸アミド、シリコーンオイル、フッ素系ポリマーが好ましい。
高級脂肪酸アミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベへミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油等が挙げられる。
フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物等が挙げられる。
また、前記(A)、(B)、(D)、(E)、(C)(但し(C)は(A)、(B)、(D)、(E)と異なり任意成分である)、更に添加してもよい、無機充填剤、補強材、耐熱安定剤(加工熱安定剤)、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、着色剤、及び滑剤以外に、他の重合体を添加する場合の添加量は目的を損なわない範囲であれば特に制限はないが、前記(A)100質量部に対し他の重合体を合計通常0〜40質量%、添加する場合には合計0.1〜40質量%の範囲であることが好ましい。なおここで、本発明では先に述べたように(C)成分を(A)由来の成分100質量部に対し1〜40質量部含む態様は除かれる。
[組成物の製造方法]
組成物の製造方法は、特に制限はなく、例えば1種以上のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、融点(Tm)が105℃以上である1種以上の結晶性プロピレン系重合体(B)とをフェノール樹脂系架橋剤(D)の存在下に動的熱処理することを含む方法により製造すればよく、より具体的には例えば、以下の方法(1)及び方法(2)が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。
組成物の製造方法は、特に制限はなく、例えば1種以上のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、融点(Tm)が105℃以上である1種以上の結晶性プロピレン系重合体(B)とをフェノール樹脂系架橋剤(D)の存在下に動的熱処理することを含む方法により製造すればよく、より具体的には例えば、以下の方法(1)及び方法(2)が挙げられ、いずれの方法を用いてもよい。
[方法(1)]
未架橋の共重合体(A)、結晶性プロピレン系重合体(B)の少なくとも一部、フェノール樹脂系架橋剤(D)、必要に応じて、軟化剤、架橋助剤を動的架橋することにより製造した組成物前駆体に、プロピレン系重合体(E)、必要に応じて、残りの結晶性プロピレン系重合体(B)、その他の成分を通常の条件で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法。
未架橋の共重合体(A)、結晶性プロピレン系重合体(B)の少なくとも一部、フェノール樹脂系架橋剤(D)、必要に応じて、軟化剤、架橋助剤を動的架橋することにより製造した組成物前駆体に、プロピレン系重合体(E)、必要に応じて、残りの結晶性プロピレン系重合体(B)、その他の成分を通常の条件で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法。
[方法(2)]
プロピレン系重合体(E)、未架橋の共重合体(A)、結晶性プロピレン系重合体(B)の少なくとも一部、フェノール樹脂系架橋剤(D)、必要に応じて、軟化剤、架橋助剤を動的架橋することにより製造した組成物前駆体に、必要に応じて、残りの結晶性プロピレン系重合体(B)、その他の成分を通常の条件で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法。
プロピレン系重合体(E)、未架橋の共重合体(A)、結晶性プロピレン系重合体(B)の少なくとも一部、フェノール樹脂系架橋剤(D)、必要に応じて、軟化剤、架橋助剤を動的架橋することにより製造した組成物前駆体に、必要に応じて、残りの結晶性プロピレン系重合体(B)、その他の成分を通常の条件で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法。
方法(1)、(2)のいずれであっても、本発明の組成物を製造するに当たっては、機械物性及び繰り返し屈曲変形からの形状回復性の点から、フェノール樹脂系架橋剤(D)を、共重合体(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部使用することが望ましい。
本発明において、「動的に熱処理をする」とは、前記混合物を溶融状態で混練することをいう。また、「動的架橋」とは、混合物にせん断力を加えながら架橋することをいう。
混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらのうちでは、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
熱処理の温度は、通常結晶性プロピレン系重合体(B)の融点から300℃の範囲であり、好ましくは150〜280℃、より好ましくは170〜270℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、最高剪断速度で通常10〜100,000sec−1、好ましくは100〜50,000sec−1、より好ましくは1,000〜10,000sec−1、更に好ましくは2,000〜7,000sec−1の範囲である。
本発明の組成物から得られる成形体は、特に制限なく種々の用途に使用できるが、例えばシール部材やホースに使用できる。また本発明の組成物から得られる成形体は、自動車の部品に使用できる。自動車の部品として、好ましくはウエザーストリップ、窓枠などのシール部材や、ホースを挙げることができる。
また、従来熱可塑性エラストマーをシール部材の一つであるグラスランチャンネル、特にグラスランチャンネルのリップ部に用いると、ガラス窓の開閉を繰り返すうちにグラスランチャンネルのリップ部の屈曲が繰り返され、その結果変形して元の形状に戻らなくなる現象が起きシール性が低下する現象が起こることがあるが、本発明の組成物は、「繰り返し屈曲変形からの形状復元性」の性能が優れるため、例えばグラスランチャンネルのリップ部に用いられた場合にも、繰り返し屈曲によるリップ部の変形によるシール性の低下が少ないと考えられる。よって、本発明の組成物はグラスランチャンネルのリップ部にも好適に用いられる。
本発明の組成物を用いた成形体の成形方法としては、押出成形、ブロー成形、射出成形が好ましい。
次に本発明について実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。本発明において、重量部と質量部は同義で扱う。
[測定方法及び評価方法]
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の各構成単位のモル量及び質量] エチレンに由来する構成単位、α−オレフィンに由来する構成単位及び非共役ポリエンに由来する構成単位のモル量及び質量は、1H−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の各構成単位のモル量及び質量] エチレンに由来する構成単位、α−オレフィンに由来する構成単位及び非共役ポリエンに由来する構成単位のモル量及び質量は、1H−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。
[ムーニー粘度]
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のムーニー粘度ML(1+4)(125℃)は、ムーニー粘度計(島津製作所社製SMV202型)を用いて、JIS K6300(1994)に準じて測定した。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のムーニー粘度ML(1+4)(125℃)は、ムーニー粘度計(島津製作所社製SMV202型)を用いて、JIS K6300(1994)に準じて測定した。
[(B)及び(E)成分の融点(Tm)]
JIS K7121に準拠して示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)を用い、下記の方法により測定した。
JIS K7121に準拠して示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)を用い、下記の方法により測定した。
約5mgの重合体をセイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱した。重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/分で−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/分で200℃まで2度目の加熱を行い、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を重合体の融点(Tm)とした。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用した。
[熱可塑性エラストマー組成物の物性]
下記実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物の物性の評価方法は次の通りである。
下記実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物の物性の評価方法は次の通りである。
[ショアーA硬度]
100t電熱自動プレス(ショージ社製)を用いて、得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを230℃で6分間プレス成形し、その後、室温で5分間冷却プレスして厚さ2mmのプレスシートを作製した。該シートを用いて、JIS K6253に準拠して、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
100t電熱自動プレス(ショージ社製)を用いて、得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを230℃で6分間プレス成形し、その後、室温で5分間冷却プレスして厚さ2mmのプレスシートを作製した。該シートを用いて、JIS K6253に準拠して、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
[引張特性]
JIS K6301の方法に従って測定した。
なお、試験片は、厚さ2mmのプレスシートから3号ダンベル片を打ち抜いて用いた。
JIS K6301の方法に従って測定した。
なお、試験片は、厚さ2mmのプレスシートから3号ダンベル片を打ち抜いて用いた。
測定温度:23℃
M100:100%伸び時の応力(MPa)
TB:引張破断強度(MPa)
EB:引張破断点伸び(%)
M100:100%伸び時の応力(MPa)
TB:引張破断強度(MPa)
EB:引張破断点伸び(%)
[屈曲復元性評価]
ペレットを射出成形機(SV−50)に供し、シリンダー温度220℃、金型温度40℃で射出成形して、得られた中空丸一形状の試験片(厚さ3mm、直径20mm)を、JIS K6262に準拠し、50%圧縮の状態に保持したまま70℃で24時間熱処理して、その後解放したときの復元率を評価した。この復元率が小さいほど屈曲復元性が良好である。
ペレットを射出成形機(SV−50)に供し、シリンダー温度220℃、金型温度40℃で射出成形して、得られた中空丸一形状の試験片(厚さ3mm、直径20mm)を、JIS K6262に準拠し、50%圧縮の状態に保持したまま70℃で24時間熱処理して、その後解放したときの復元率を評価した。この復元率が小さいほど屈曲復元性が良好である。
[実施例1及び比較例1]
[使用材料]
(1)エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)
エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)として、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(三井EPTTM3072EPM:三井化学(株)製、エチレン含量=64質量%、ジエン含量=5.4質量%、ムーニー粘度ML(1+4)(125℃)=51、油展量=40(PHR))を用いた。
(2)結晶性プロピレン系重合体(B)
結晶性プロピレン系重合体(B)として、プライムポリプロTMB241(プライムポリマー社製、MFR(条件:230℃、2.16kgf)=0.5g/10分、DSCで測定した融点=140℃)を用いた。
(3)フェノール樹脂系架橋剤(D)
フェノール樹脂系架橋剤として、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)を用いた。
(4)プロピレン系重合体(E)
プロピレン系重合体(E)として、エルモーデュTMS901(出光興産社製、プロピレン単独重合体、DSCで測定した融点=80℃、質量平均分子量(Mw)=130,000、分子量分布(Mw/Mn)=2)を用いた。
(5)軟化剤
軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスオイルTMPW−100:出光興産社製)を用いた。
(6)架橋助剤
架橋助剤として、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)を用いた。
[使用材料]
(1)エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)
エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)として、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(三井EPTTM3072EPM:三井化学(株)製、エチレン含量=64質量%、ジエン含量=5.4質量%、ムーニー粘度ML(1+4)(125℃)=51、油展量=40(PHR))を用いた。
(2)結晶性プロピレン系重合体(B)
結晶性プロピレン系重合体(B)として、プライムポリプロTMB241(プライムポリマー社製、MFR(条件:230℃、2.16kgf)=0.5g/10分、DSCで測定した融点=140℃)を用いた。
(3)フェノール樹脂系架橋剤(D)
フェノール樹脂系架橋剤として、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)を用いた。
(4)プロピレン系重合体(E)
プロピレン系重合体(E)として、エルモーデュTMS901(出光興産社製、プロピレン単独重合体、DSCで測定した融点=80℃、質量平均分子量(Mw)=130,000、分子量分布(Mw/Mn)=2)を用いた。
(5)軟化剤
軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル(ダイアナプロセスオイルTMPW−100:出光興産社製)を用いた。
(6)架橋助剤
架橋助剤として、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)を用いた。
[実施例1]
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)として三井EPTTM3072EPM(三井化学社製エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体)を140質量部、結晶性プロピレン系重合体(B)としてプライムポリプロTMB241を25質量部、プロピレン系重合体(E)としてエルモーデュTMS901を15質量部、更にフェノール樹脂系架橋剤(D)として臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)を8.0質量部、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASFジャパン(株)製)0.2質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名:Tinuvin 326FL、BASFジャパン(株)製)0.20質量部、ヒンダードアミン(HALS)系耐候安定剤(商品名:サノールLS−770、三共ライフテック社製)0.10質量部、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)0.80質量部、カーボンブラックマスターバッチ(PE4993、Cabot社製)4.0質量部と、軟化剤(ダイアナプロセスオイルTMPW−100、パラフィンオイル)50質量部とを、押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)を用いて、混練後、動的架橋させ、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)として三井EPTTM3072EPM(三井化学社製エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体)を140質量部、結晶性プロピレン系重合体(B)としてプライムポリプロTMB241を25質量部、プロピレン系重合体(E)としてエルモーデュTMS901を15質量部、更にフェノール樹脂系架橋剤(D)として臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)を8.0質量部、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASFジャパン(株)製)0.2質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名:Tinuvin 326FL、BASFジャパン(株)製)0.20質量部、ヒンダードアミン(HALS)系耐候安定剤(商品名:サノールLS−770、三共ライフテック社製)0.10質量部、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)0.80質量部、カーボンブラックマスターバッチ(PE4993、Cabot社製)4.0質量部と、軟化剤(ダイアナプロセスオイルTMPW−100、パラフィンオイル)50質量部とを、押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)を用いて、混練後、動的架橋させ、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を予熱230℃、8分間、加圧、6分間の条件でプレス成形し、2mm厚シート形状の試験片を得た。また、屈曲復元性評価では、射出成形機にて、中空丸一形状の試験片を得た。
これらの試験片を用いて、各物性を評価した。結果を表1に示す。
これらの試験片を用いて、各物性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
成分及びその配合量を表1に示すように変更する以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
成分及びその配合量を表1に示すように変更する以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
表1から、(E)成分を添加した系では、繰り返し屈曲変形からの復元性が優れることがわかる。
Claims (9)
- エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)由来の成分を100質量部、DSCで測定した融点が105℃以上である結晶性プロピレン系重合体(B)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し1〜50質量部含み、以下の(a)、(b)及び(c)をすべて満たすプロピレン系重合体(E)を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し0.10〜40質量部含み、前記共重合体(A)由来の成分がフェノール樹脂系架橋剤により架橋されている重合体組成物。
(a)DSCで測定した融点が100℃以下
(b)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
(c)分子量分布(Mw/Mn)<4 - 架橋が動的熱処理によるものである、請求項1記載の重合体組成物。
- プロピレン系重合体(E)がプロピレンの単独重合体である請求項1又は2記載の重合体組成物。
- 前記エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)において、エチレン含有量が、エチレン由来の構成単位、α−オレフィン由来の構成単位及び非共役ポリエン由来の構成単位の合計に対し40〜80質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体組成物。
- 軟化剤を前記共重合体(A)由来の成分100質量部に対し40〜200質量部含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体組成物。
- エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、DSCで測定した融点が105℃以上である結晶性プロピレン系重合体(B)の少なくとも一部とを、フェノール樹脂系架橋剤(D)の存在下に、動的に熱処理をする工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体組成物の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体組成物から得られる成形体。
- 成形体が自動車部品である請求項7記載の成形体。
- シール部材である請求項7又は8記載の成形体。
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