JP2024041456A - 熱可塑性エラストマー組成物およびその用途 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】エアバッグ展開時に破片が飛散しにくく、かつ温度安定性に優れるエアバッグカバーを得ることができる熱可塑性エラストマー組成物、および当該熱可塑性エラストマー組成物から得られる熱可塑性エラストマー成形体等を提供する。【解決手段】プロピレン系重合体(A)100質量部と、エチレン由来の構成単位および炭素数4~20のα-オレフィン由来の構成単位を含むエチレン・α-オレフィン共重合体(B)70~130質量部と、少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)0~10.0質量部とを含み、前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが1.4g/10分以上である、熱可塑性エラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物およびその用途に関する。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易であり、また、焼却時に有毒なガスを発生しないことから、省エネルギー、省資源、さらに近年では、地球環境保護の観点から、特に加硫ゴムの代替品として自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。このような自動車部品の一例として、自動車用エアバッグシステムのエアバッグカバーが挙げられる。
エアバッグカバー(特に助手席用のエアバッグに用いられるエアバッグカバー)は、オレフィン系樹脂などからなるインパネ材に対して、振動溶着などの方法で接着させることが広く行われている。
前記製法で自動車部品が製造されることから、自動車用エアバッグシステムのエアバッグカバーには、エアバッグ展開時にエアバッグカバーの破片が飛散しにくいこと、低温から高温まで広範な温度環境下でも安定していることなどが求められている。
エアバッグカバーを製造するために用いられる従来の熱可塑性エラストマー組成物としては、エチレン・ブテン共重合体およびブロックポリプロピレンを含む組成物が用いられている。
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン樹脂(例:プロピレン・エチレンブロック共重合体)、エチレン・ブテン共重合体ゴム、およびエチレン・プロピレン共重合体ゴムを含むエアバッグカバー用熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
特開平10-273001号公報
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性エラストマー組成物から得たエアバッグカバーでは、高温環境下においてインパネ材から剥離してしまうことがあった。この原因について本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の熱可塑性エラストマー組成物から得たエアバッグカバーでは温度変化による寸法変化が起きており、エアバッグカバーの寸法が温度で変化することでインパネ材から剥離することがわかった。
本発明は、エアバッグ展開時に破片が飛散しにくく、かつ温度安定性に優れるエアバッグカバーを得ることができる熱可塑性エラストマー組成物、および当該熱可塑性エラストマー組成物から得られる熱可塑性エラストマー成形体を提供するものである。
本発明の構成例は以下のとおりである。
[1]
プロピレン系重合体(A)100質量部と、
エチレン由来の構成単位および炭素数4~20のα-オレフィン由来の構成単位を含むエチレン・α-オレフィン共重合体(B)70~130質量部と、
少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)0~10.0質量部と
を含み、
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが1.4g/10分以上である、熱可塑性エラストマー組成物。
[2]
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが1.4~6.0g/10分である、[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[3]
前記熱可塑性エラストマー組成物中の前記プロピレン系重合体(A)の含有量が、50質量%以下である、[1]または[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4]
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)が、エチレン・ブテン共重合体およびエチレン・オクテン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー成形体。
[6]
[5]に記載の熱可塑性エラストマー成形体を含む自動車部品。
[7]
エアバッグカバーである[6]に記載の自動車部品。
本発明によれば、エアバッグ展開時に破片が飛散しにくく、かつ温度安定性、特に、高温下における寸法安定性に優れるエアバッグカバーを得ることができる熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
<<熱可塑性エラストマー組成物>>
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物(以下「本組成物」ともいう。)は、プロピレン系重合体(A)と、エチレン由来の構成単位および炭素数4~20のα-オレフィン由来の構成単位を含むエチレン・α-オレフィン共重合体(B)(以下、単に「共重合体(B)」ともいう。)と、任意で、少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)(以下、単に「架橋ゴム(C)」ともいう。)とを含む。
つまり、本組成物は、プロピレン系重合体(A)と、共重合体(B)とを含み、架橋ゴム(C)を含まない組成物か、または、プロピレン系重合体(A)と、共重合体(B)と、架橋ゴム(C)とを含む組成物である。
本組成物における共重合体(B)の含有量は、プロピレン系重合体(A)100質量部に対し、70~130質量部であり、好ましくは86~115質量部、さらに好ましくは90~107質量部である。
また、本組成物における架橋ゴム(C)の含有量は、プロピレン系重合体(A)100質量部に対し、0~10.0質量部であり、好ましくは0~8.0質量部、より好ましくは1.0~8.0質量部である。
なお、架橋ゴム(C)を0~10.0質量部含むとは、架橋ゴム(C)を含まないか、または、架橋ゴム(C)を0質量部を超えて10.0質量部以下の量で含むことを意味する。
各成分の含有量(配合量)が前記範囲にあることで、エアバッグ展開時に破片が飛散しにくく、かつ温度安定性に優れる熱可塑性エラストマー成形体を得ることができる。
共重合体(B)の含有量が70質量部未満であると、エアバッグ展開時に破片が飛散しやすくなる傾向にあり、一方、130質量部を超えると、エアバッグが展開しない傾向にある。また、架橋ゴム(C)の含有量が10.0質量部を超えると、温度安定性が低下する。
[プロピレン系重合体(A)]
本組成物は、プロピレン系重合体(A)を含む。
本組成物は、プロピレン系重合体(A)を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでいてもよい。
本組成物中のプロピレン系重合体(A)の含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは49質量%以下である。また、本組成物中のプロピレン系重合体(A)の含有量は、好ましくは30質量%以上である。プロピレン系重合体(A)の含有量が前記範囲内であると、得られる組成物の線膨張係数がより低くなる。
プロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)であってもよく、プロピレンとα-オレフィンとの共重合体(プロピレン・α-オレフィン共重合体)であってもよい。プロピレン・α-オレフィン共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
前記プロピレン・α-オレフィン共重合体におけるプロピレン由来の構成単位の含有量は、好ましくは60~99.5モル%、より好ましくは80~99モル%、さらに好ましくは90~98.5モル%、特に好ましくは95~98モル%である。
また、前記プロピレン・α-オレフィン共重合体におけるα-オレフィン由来の構成単位の含有量は、好ましくは0.5~40モル%、より好ましくは1~20モル%、さらに好ましくは1.5~10モル%、特に好ましくは2~5モル%である。
ここで、プロピレン由来の構成単位の含有量とα-オレフィン由来の構成単位の含有量との合計は100モル%である。
前記プロピレン・α-オレフィン共重合体におけるα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、炭素数4~12のα-オレフィンが挙げられる。
該α-オレフィンは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
該炭素数4~12のα-オレフィンの例としては、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。
また、前記プロピレン・α-オレフィン共重合体は、エチレン、炭素数が3~12以外の他のオレフィン由来の構成単位を、少量(例:プロピレン系共重合体(A)の全構成単位に対して10モル%以下)含んでいてもよい。
該他のオレフィンは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
プロピレン系重合体(A)は、ブロックポリプロピレンを含むことが好ましい。ブロックポリプロピレンとしては、例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体(例:プロピレン単独重合体ブロックとエチレン・プロピレンランダム共重合体ブロックとを有する共重合体)が挙げられる。
前記プロピレン・エチレンブロック共重合体は、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、最初の段階でプロピレンを単独重合し、次いで、前記単独重合で得られたホモポリプロピレンとエチレンとの共重合を行うことにより製造することができる。ここで、得られるプロピレン・エチレンブロック共重合体は、ブロック共重合体とは称するものの、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレンゴム(EPR)を含む複雑な組成物であると考えられている(井上隆,市原祥次、高分子新素材 One Point 12 ポリマーアロイ、共立出版、p.62、(1988)参照)。
プロピレン系重合体(A)のASTM D1238に準拠し、230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR)は、通常5~150g/10分であり、好ましくは10~100g/10分である。
プロピレン系重合体(A)のMFRが前記範囲にあると、本組成物を射出成形しやすく、さらに寸法安定性および衝撃強度にバランスよく優れる成形体を容易に得ることができる。
プロピレン系重合体(A)の室温におけるn-デカン可溶部の極限粘度[η]は、好ましくは2.0~8.0dl/gであり、より好ましくは5.5~6.5dl/gである。
該極限粘度[η]は、後述の実施例に記載の方法で測定される。プロピレン系重合体(A)の室温におけるn-デカン可溶部が前記範囲内にあると、温度安定性に優れる傾向にある。
プロピレン系重合体(A)のASTM D1505に準拠して測定した密度は、通常0.90~0.92g/cm3、好ましくは0.90~0.91g/cm3である。
また、プロピレン系重合体(A)のASTM D790に準拠して測定した曲げ初期弾性率は、好ましくは700~2000MPaである。
[エチレン・α-オレフィン共重合体(B)]
エチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、エチレン由来の構成単位および炭素数4~20のα-オレフィン由来の構成単位を含む共重合体である。前記共重合体(B)は、熱可塑性エラストマー組成物の耐衝撃性を向上させるための成分であり、架橋されていない。
本組成物は、共重合体(B)を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでいてもよい。
前記炭素数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。これらの中でも、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましく、1-ブテン、1-オクテンがより好ましい。
該炭素数4~20のα-オレフィンは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
共重合体(B)におけるエチレン由来の構成単位の含有量は、好ましくは50~99モル%、より好ましくは55~99モル%、さらに好ましくは55~98モル%である。
共重合体(B)における炭素数4~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有量は、好ましくは1~50モル%で、より好ましくは1~45モル%、さらに好ましくは2~45モル%である。
ここで、エチレン由来の構成単位の含有量と炭素数4~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有量との合計は100モル%である。
共重合体(B)の好適例としては、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体が挙げられる。
エチレン・α-オレフィン共重合体(B)は、耐衝撃性に優れるエラストマー成形体を容易に得ることができる等の点から、エチレン・ブテン共重合体およびエチレン・オクテン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、1種以上のエチレン・ブテン共重合体および/または1種以上のエチレン・オクテン共重合体のみからなることがより好ましい。
共重合体(B)が、エチレン・ブテン共重合体およびエチレン・オクテン共重合体を含む場合、エチレン・ブテン共重合体とエチレン・オクテン共重合体との質量比(エチレン・ブテン共重合体の含有量:エチレン・オクテン共重合体の含有量)は、好ましくは5:95~95:5であり、さらに好ましくは10:90~90:10である。
共重合体(B)のASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)は、温度安定性に優れるエラストマー成形体を容易に得ることができる等の点から、1.4g/10分以上であり、好ましくは1.4~6.0g/10分、より好ましくは3.0~6.0g/10分である。
共重合体(B)のMFRが1.4g/10分未満であると、温度安定性が低下する傾向にある。
なお、本組成物中に共重合体(B)が複数種類含まれる場合、前記共重合体(B)のMFRの値は、それぞれの共重合体(B)のMFRの値を加重平均した値とする。
例えば、本組成物が共重合体(B)を2種類含む場合、具体的には、MFRの値がxである共重合体(B1)を、2種類の共重合体(B)の合計の含有量を100質量%としてA質量%含み、MFRの値がyである共重合体(B2)を(100-A)質量%含む場合、前記共重合体(B)のMFRの値は、下記式に従い計算する。共重合体(B)が3種類以上含まれる場合も同様に計算する。
共重合体(B)のMFR=(x×A+y×(100-A))/100
共重合体(B)のMFRは、原料であるエチレンとα-オレフィンを重合する際の重合度等を適宜調整することによって所望の範囲内となるように調整することが可能である。
また、共重合体(B)は、示差走査熱量分析(Diferential Scanning Calorimetry(DSC))により測定した融点が、120℃未満であるか、DSCにより融点が観測されないことが好ましく、より好ましくは融点が30℃以上110℃以下、さら好ましくは融点が40℃以上100℃以下である。
融点が前記範囲内にある共重合体(B)を用いることで、耐衝撃性に優れる。
共重合体(B)の製造方法としては、オレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。共重合体(B)は、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体等の錯体系触媒を用いた、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法等により製造することが好ましい。中でもチーグラー・ナッタ系触媒や錯体系触媒を用いてモノマーを重合する方法、またはメタロセン触媒の存在下でモノマーを重合する方法を用いることが特に好ましい。
[架橋ゴム(C)]
少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)としては、特に制限されないが、好ましくは、ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(未架橋ゴム)の少なくとも一部を架橋したゴムが挙げられる。
本組成物は、架橋ゴム(C)を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでいてもよい。
前記ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(未架橋ゴム)としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム、エチレン・ブタジエン共重合体ゴム等のα-オレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性共重合体であって、ペルオキシドと混合し、加熱下に混練することにより架橋して流動性が低下するかまたは流動しなくなるゴムが挙げられる。
前記ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(未架橋ゴム)の具体的な例としては、下記(1)または(2)の共重合体ゴムが挙げられ、下記(2)の共重合体ゴムが好ましい。
(1)エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム
[エチレン/α-オレフィン(モル比)=約95/5~50/50]
(2)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム
[エチレン/α-オレフィン(モル比)=約95/5~50/50]
前記α-オレフィンは、通常、炭素数3~20のα-オレフィンであり、具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチルデセン-1、11-メチルドデセン-1、12-エチルテトラデセン-1が挙げられる。中でも、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。
これらのα-オレフィンは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記非共役ポリエンの具体例としては、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-イソブテニル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンが挙げられる。中でも、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエンが好ましい。
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(未架橋ゴム)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.6~6.5dl/g、好ましくは0.8~6.0dl/g、より好ましくは0.9~5.5dl/gである。
該極限粘度[η]は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(未架橋ゴム)のJIS K 0070:1992に準拠して測定したヨウ素価は、通常2~50g/100g、好ましくは5~40g/100g、より好ましくは7~30g/100gである。
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(未架橋ゴム)のJIS K 6395:2010に準拠して測定した100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)は、通常10~300、好ましくは30~250である。
架橋ゴム(C)としては、前記オレフィン系共重合体ゴムの他に、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレンが挙げられる。
[その他の成分]
本組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前述した(A)~(C)以外のその他の成分を含んでいてもよい。
該その他の成分としては、例えば、前述した(A)~(C)以外の他の樹脂、エラストマー、可塑剤(軟化剤)、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、難燃剤、着色剤が挙げられる。
これらのその他の成分はそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
・可塑剤
前記可塑剤としては、通常ゴムに使用される可塑剤(軟化剤)を用いることができる。その具体例としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系可塑剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系可塑剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系可塑剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油が挙げられる。中でも石油系可塑剤、特にプロセスオイル、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルが好ましく用いられる。
本組成物に可塑剤を配合量する場合、その配合量は、ブリード抑制および塗装密着性の点から、本組成物100質量%に対して、好ましくは、0質量%を超え、10質量%以下である。
[本組成物の製造方法]
本組成物は、例えば、プロピレン系重合体(A)、共重合体(B)、および、必要に応じて、架橋ゴム(C)、その他の成分を、溶融混練後、造粒または粉砕する方法を採用して製造することができる。
本組成物は、流動性調整の観点から、本組成物に用いるプロピレン系重合体(A)の少なくとも一部と、架橋ゴム(C)の未架橋体と、有機ペルオキシドと、必要に応じて、その他の成分とを含有する混合物を動的に熱処理して、架橋ゴム(C)を含む完全または部分架橋熱可塑性エラストマー(以下、単に「熱可塑性エラストマー」ともいう。)を作製した後、該熱可塑性エラストマーと、残りのプロピレン系重合体(A)と、共重合体(B)と、必要に応じて、その他の成分とを溶融混練後、造粒または粉砕する方法により製造することが好ましい。
前記混練は、混練装置を用いて行うことができ、該混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例:バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等が挙げられるが、非開放型の装置が好ましい。
なお、前記造粒または粉砕は、従来公知の方法で行えばよい。
<熱可塑性エラストマー>
本組成物の原料としては、予め作製した、プロピレン系重合体(A)および架橋ゴム(C)を含む、熱可塑性エラストマーを用いてもよい。
このような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、以下の(1)または(2)が挙げられる。
(1)(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム(未架橋ゴム)[以下「成分(a)」ともいう。]と、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系重合体(例:プロピレン系重合体(A))[以下「成分(b)」ともいう。]と、必要に応じて、(c)石油系可塑剤[以下「成分(c)」ともいう。]とを含む混合物を、有機ペルオキシドまたはフェノール樹脂系架橋剤の存在下に動的に熱処理して得られた、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー;
(2)成分(a)と、成分(b)の一部と、必要に応じて、成分(c)とを含む混合物を、有機ペルオキシドまたはフェノール樹脂系架橋剤の存在下に動的に熱処理して得られた架橋されたゴム組成物に、(d)残りの成分(b)を均一に配合した、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマーが挙げられる。
前記成分(c)としては、前記その他の成分における石油系可塑剤と同様の可塑剤等が挙げられる。
前記成分(b)と成分(a)との質量配合比(成分(b)/成分(a))は、通常90/10~10/90、好ましくは70/30~15/85である。
また、成分(a)の代わりに、成分(a)とその他の未架橋ゴムとを用いてもよい。
この場合には、該その他の未架橋ゴムは、成分(b)と成分(a)との合計量100質量部に対して、通常40質量部以下、好ましくは5~20質量部の量で用いる。
前記その他の未架橋ゴムとしては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、SEBS、ポリイソブチレンが挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーとしては、エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムまたはエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(未架橋ゴム)と、結晶性ポリプロピレン(例:プロピレン系重合体(A))とを含み、熱可塑性エラストマー中において、これらが部分架橋された状態で存在し、かつ、結晶性ポリプロピレンと未架橋ゴムとの質量配合比(結晶性ポリプロピレン/未架橋ゴム)が70/30~3/97の範囲内にあるエラストマーが好ましい。
前記熱可塑性エラストマーのより具体的な例としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴムおよびエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体ゴム(a-1)30~97質量部と、プロピレン系重合体(A)などの結晶性ポリプロピレン(b-1)70~3質量部(但し、成分(a-1)および(b-1)の合計量を100質量部とする。)と、石油系可塑剤(c)5~150質量部とを含む混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られる、前記共重合体ゴム(a-1)が部分的に架橋された熱可塑性エラストマーが好ましい。
前記有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
これらの中でも、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンがより好ましい。
有機ペルオキシドは、前記成分(a)および成分(b)の合計量100質量部、特に前記共重合体ゴム(a-1)および結晶性ポリプロピレン(b-1)の合計量100質量部に対して、通常0.01~5質量部、好ましくは0.05~3質量部の量で用いられる。
なお、完全に架橋された熱可塑性エラストマーは、有機ペルオキシドの使用量、混練時間等の条件を変えることによって調製することができる。
前記有機ペルオキシドによる架橋に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、N,N’-m-フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどの多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートなどの多官能性ビニルモノマー;等の助剤を用いてもよい。
前記助剤を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。
前記助剤の中でも、ジビニルベンゼンが特に好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、被架橋処理物の主成分である前記共重合体ゴム(a-1)および結晶性ポリオレフィン(b-1)との相容性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質となり、流動性と物性とにバランスのとれた熱可塑性エラストマーを容易に得ることができる。
前記熱可塑性エラストマーを、架橋剤としてフェノール樹脂系架橋剤を用いて製造する場合は、前記共重合体ゴム(a-1)および結晶性ポリオレフィン(b-1)を含む混合物をフェノール樹脂系架橋剤により動的架橋することが好ましい。なお、本発明において、「動的架橋」とは、前記混合物に剪断力を加えながら架橋することをいう。
フェノール樹脂系架橋剤は、熱架橋性樹脂であり、フェノール樹脂系硬化樹脂やフェノール樹脂とも呼ばれる。
フェノール樹脂系架橋剤としては、例えば、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤が挙げられる。
フェノール樹脂系架橋剤の好適例としては、例えば、レゾール樹脂が挙げられ、アルキル置換フェノールまたは非置換フェノールと、アルカリ媒体中のアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとを縮合することにより製造される架橋剤、または、二官能性フェノールジアルコール類の縮合により製造される架橋剤が挙げられる。
前記アルキル置換フェノールは、炭素数約1~10のアルキル基置換体が好ましく、さらに、パラ位が炭素数約1~10のアルキル基で置換されたジメチロールフェノール類またはフェノール樹脂が好ましい。
フェノール樹脂系架橋剤の例としては、下記式(I)で表される化合物または下記式(I)で表される化合物の末端の水酸基(-CH2-OH)をハロゲン原子で置換した化合物が挙げられる。
Figure 2024041456000001
(式中、Qは、-CH2-または-CH2-O-CH2-であり、mは0~20の整数であり、R’は有機基である。)
好ましくは、Qは、-CH2-O-CH2-であり、mは0~10の整数であり、R’は20未満の炭素原子を有する有機基である。より好ましくは、mは0~5の整数であり、R’は4~12の炭素原子を有する有機基である。
前記式(I)で表される化合物または前記式(I)で表される化合物の末端の水酸基(-CH2-OH)をハロゲン原子で置換した化合物としては、具体的には、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、ハロゲン化アルキルフェノール樹脂等が挙げられ、好ましくはハロゲン化アルキルフェノール樹脂であり、より好ましくは、前記式(I)で表される化合物の末端の水酸基(-CH2-OH)を臭素原子で置換した臭素化物である。該臭素化物の一例を下記式(II)に示す。
Figure 2024041456000002
(式中、nは0~10の整数、Rは炭素数1~15の飽和炭化水素基である。)
前記フェノール樹脂系架橋剤の製品例としては、タッキロール 201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製)、タッキロール 250-I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製)、タッキロール 250-III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)製)、PR-4507(群栄化学工業(株)製)、Vulkaresat510E(Hoechst社製)、Vulkaresat532E(Hoechst社製)、Vulkaresen E(Hoechst社製)、Vulkaresen105E(Hoechst社製)、Vulkaresen130E(Hoechst社製)、Vulkaresol315E(Hoechst社製)、Amberol ST 137X(Rohm&Haas社製)、スミライトレジン PR-22193(住友ベークライト(株)製)、Symphorm-C-100(Anchor Chem.社製)、Symphorm-C-1001(Anchor Chem.社製)、タマノル 531(荒川化学工業(株)製)、Schenectady SP1059(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1045(SchenectadyChem.社製)、CRR-0803(U.C.C社製)、Schenectady SP1055(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1056(Schenectady Chem.社製)、CRM-0803(昭和高分子(株)製)、Vulkadur A(Bayer社製)が挙げられる。これらの中でも、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤が好ましく、タッキロール 250-I、タッキロール 250-III、Schenectady SP1055などの臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂がより好ましい。
前記フェノール樹脂系架橋剤による架橋の具体的な例としては、米国特許第4,311,628号明細書、米国特許第2,972,600号明細書および米国特許第3,287,440号明細書等に記載の技術も用いることができる。
米国特許第4,311,628号明細書には、フェノール系硬化性樹脂(phenolic curing resin)および加硫活性剤(cure activator)からなるフェノール系加硫剤系(phenolic curative system)が開示されている。該系の基本成分は、アルカリ媒体中における置換フェノール(例えば、ハロゲン置換フェノール、C1-C2アルキル置換フェノール)または非置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合によるか、あるいは二官能性フェノールジアルコール類(好ましくは、パラ位がC5-C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類)の縮合により製造されるフェノール樹脂系架橋剤である。アルキル置換フェノール樹脂系架橋剤のハロゲン化により製造されるハロゲン化されたアルキル置換フェノール樹脂系架橋剤が、特に適している。メチロールフェノール硬化性樹脂、ハロゲン供与体および金属化合物からなるフェノール樹脂系架橋剤が特に推奨でき、その詳細は米国特許第3,287,440号および同第3,709,840号各明細書に記載されている。非ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤は、ハロゲン供与体と同時に、好ましくはハロゲン化水素スカベンジャーとともに使用される。通常、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤、好ましくは、2~10質量%の臭素を含有している臭素化フェノール樹脂系架橋剤はハロゲン供与体を必要としないが、例えば、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素および酸化亜鉛から選ばれる、好ましくは酸化亜鉛等の金属酸化物などのハロゲン化水素スカベンジャーと同時に使用される。これら酸化亜鉛などのハロゲン化水素スカベンジャーは、フェノール樹脂系架橋剤100質量部に対して、通常1~20質量部用いられる。このようなスカベンジャーの存在はフェノール樹脂系架橋剤の架橋作用を促進するが、フェノール樹脂系架橋剤で容易に加硫されないゴムの場合には、ハロゲン供与体および酸化亜鉛を共用することが望ましい。ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂の製法および酸化亜鉛を使用する加硫剤系におけるこれらの利用は米国特許第2,972,600号および同第3,093,613号各明細書に記載されており、その開示は前記米国特許第3,287,440号および同第3,709,840号各明細書の開示とともに参考として本明細書にとり入れるものとする。適当なハロゲン供与体の例としては、例えば、塩化第一錫、塩化第二鉄、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレンおよびポリクロロブタジエン(ネオプレンゴム)などのハロゲン供与性重合体が挙げられる。本明細書で使用されている「加硫促進剤」なる用語はフェノール樹脂系架橋剤の架橋効率を実質上増加させるあらゆる物質を意味し、そして金属酸化物およびハロゲン供与体を包含し、これらは1種単独で、または2種以上を使用できる。フェノール系加硫剤系のより詳細に関しては、「Vulcanization and Vulcanizing Agents」(W. Hoffman, Palmerton Publishing Company)を参照されたい。適当なフェノール樹脂系架橋剤は商業的に入手することができ、例えば、かかる架橋剤は、Schenectady Chemicals, Inc.から、商品名「SP-1045」、「CRJ-352」、「SP-1055」、「SP-1056」として購入することができる。
フェノール樹脂系架橋剤は、分解物の発生が少ないため、フォギング防止の観点から好適な加硫剤である。フェノール系樹脂架橋剤は、好ましくは、の本質的に完全な架橋を達成させるに充分な量で使用される。
フェノール樹脂系架橋剤は、前記成分(a)100質量部に対して、通常0.1~20質量部、好ましくは1~10質量部となるような量で用いられる。
フェノール樹脂系架橋剤の配合量を前記範囲にすることにより、成形性に優れる本組成物を容易に得ることができ、また、得られる熱可塑性エラストマー成形体は、高強度であって、優れた耐油性を有し、十分な耐熱性および機械物性を有する。
前記フェノール樹脂系架橋剤による動的架橋に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N’-m-フェニレンジマレイミドなどの架橋助剤;ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートなどの多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートなどの多官能ビニルモノマー;等の助剤を用いてもよい。
前記助剤を用いることにより、均一かつ穏やかな架橋反応が期待できる。
前記助剤としては、ジビニルベンゼンが好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、前記共重合体ゴム(a-1)および結晶性ポリオレフィン(b-1)との相容性が良好であり、かつ、フェノール樹脂系架橋剤を可溶化する作用を有し、フェノール樹脂系架橋剤の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質となり、流動性と物性とにバランスのとれた熱可塑性エラストマーを容易に得ることができる。
前記助剤は、前記成分(a)100質量部に対して、通常2質量部以下、好ましくは0.3~1質量部となるような量で用いられる。
また、前記フェノール樹脂系架橋剤による動的架橋に際し、フェノール樹脂系架橋剤の分解を促進するために、分散促進剤を用いてもよい。
該分解促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノ)フェノールなどの三級アミン;アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等、ナフテン酸と種々の金属(例:Pb、Co、Mn、Ca、Cu、Ni、Fe、Zn、希土類)とのナフテン酸塩等が挙げられる。
前記助剤の使用量は、前記成分(a)および成分(b)の合計100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.05~3質量部である。
助剤の使用量が前記範囲にあると、架橋反応が速く進行し過ぎず、また、得られる熱可塑性エラストマー中に前記助剤が反応せずに残存し難く、流動性に優れ、加工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じ難い熱可塑性エラストマーを容易に得ることができる。
前記「動的に熱処理する」とは、前記のような各成分を融解状態で混練することをいう。
前記混練は、混練装置を用いて行うことができ、該混練装置としては、開放型のミキシングロール、非開放型の、バンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等の従来公知の混練装置を用いることができる。これらの中では、非開放型の混練装置が好ましい。
前記混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
また、前記混練は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行うことが望ましい。
混練温度は、通常150~280℃、好ましくは170~270℃であり、混練時間は、通常0.5~20分間、好ましくは1~10分間である。
また、前記混練は剪断力を加えながら行うことが好ましく、該加えられる剪断力は、剪断速度が、通常10~50,000sec-1、好ましくは100~10,000sec-1の範囲となるようにすることが望ましい。
前記熱可塑性エラストマーの、ISO 7619に準拠するショアーD硬度(5秒後)は、通常1~98、好ましくは1~60、さらに好ましくは10~50、特に好ましくは30~50である。
前記熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR:ASTM D1238に準拠、230℃、荷重2.16kg)は、通常0.1~100g/10分、好ましくは1~100g/10分である。
<<熱可塑性エラストマー成形体>>
本発明に係る熱可塑性エラストマー成形体(以下「本成形体」ともいう。)は、本組成物を成形して得られる成形体である。
本成形体は、種々公知の成形方法、具体的には、押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形等の各種の成形方法により、本組成物を成形することで製造することができる。
本成形体は、さらに、前記成形方法で得られたシートなど成形体を熱成形などで二次加工した成形体であってもよい。
本成形体は、剛性に優れる成形体となる等の点から、ISO 7619に準拠するショアーD硬度(5秒後)が、32~55であることが好ましい。
本成形体の使用用途は特に限定されないが、自動車用部品、土木・建材用品、電気・電子部品、衛生用品、フィルム・シートなど種々公知の用途が好適例として挙げられる。
<自動車部品>
前記自動車部品としては、自動車内装部品、自動車外装部品が挙げられ、具体例としては、ウェザーストリップ材、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、デフレクター、マッドガード、エアダクトホース、ワイヤーハーネスグロメット、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、コーナーモールディング、グラスエンキャプシュレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、各種パッキン類、ホース、エアバッグカバーが挙げられる。これらの中でも本成形体は、低温での耐衝撃性に優れるため、エアバッグカバー、エアスポイラー、デフレクター、マッドガード等の自動車部品に特に好適に用いられる。
<土木・建材用品>
前記土木・建材用品としては、例えば、地盤改良用シート、上水板、騒音防止等のために用いられる土木資材や建材、土木・建築用の各種ガスケットやシート、止水材、目地材、建築用窓枠が挙げられる。
<電気・電子部品>
前記電気・電子部品としては、例えば、電線被覆材、コネクター、キャップ、プラグ等の電気・電子部品が挙げられる。
<衛生用品>
前記衛生用品としては、例えば、生理用品、使い捨ておむつ、歯ブラシ用グリップ等の衛生用品が挙げられる。
<フィルム・シート>
前記フィルム・シートとしては、例えば、輸液バッグ、医療容器、自動車内外装材、飲料ボトル、衣装ケース、食品包材、食品容器、レトルト容器、パイプ、透明基板、シーラントが挙げられる。
本成形体は、前記用途以外のその他の用途にも用いることができる。
該その他の用途としては、例えば、靴底、サンダル等の履物類;水泳用フィン、水中メガネ、ゴルフクラブグリップ、野球バットグリップ等のレジャー用品;ガスケット;防水布;ベルト;ガーデンホース;階段用滑り止めテープ;物流用パレットの滑り止めテープが挙げられる。
本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)ショアーD硬度(5秒後)
ISO 7619に準拠して、以下で得られた熱可塑性エラストマー(α-1)を用いて、厚さ3mmの射出成形角板を作製した。作製した厚さ3mmの射出成形角板を2枚重ねた厚さ6mmの積層シートを用いて、ショアーD硬度計により、該角板のショアーD硬度を測定した。ショアーD硬度については、測定5秒後の値を求めた。
(2)メルトフローレート(MFR)
ASTM D1238に準拠し、230℃または190℃、2.16kg荷重で、下記実施例および比較例で用いた(共)重合体のMFRを測定した。
(3)プロピレン系重合体の室温(25℃)におけるn-デカン可溶部の極限粘度[η]
まず、試料(下記実施例および比較例で用いたブロックポリプロピレン(A-1))を5g精秤し、1,000mlのナス型フラスコに入れ、さらにBHT(ジブチルヒドロキシトルエン、フェノール系酸化防止剤)1gを添加した後、回転子および700mlのn-デカンを投入した。次いで、ナス型フラスコに冷却器を取り付け、回転子を作動させながら、135℃のオイルバス中でフラスコを120分間加熱して、試料をn-デカンに溶解させた。次に、1,000mlのビーカーにフラスコの内容物を注いだ後、ビーカー内の溶液をスターラーで攪拌しながら、室温(25℃)になるまで放冷(8時間以上)し、析出物を金網でろ取した。
得られたろ液を、さらに、ろ紙でろ過した後、3,000mlのビーカーに収容されたメタノール2,000ml中に注ぎ、この液を、室温(25℃)下、スターラーで攪拌しながら、2時間以上放置した。次に、得られた析出物を金網でろ取した後、得られたろ液を5時間以上風乾し、真空乾燥機にて100℃で240~270分間乾燥し、室温(25℃)におけるn-デカン可溶部を回収した。回収サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン5mlを追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度([η]:〔dl/g〕)として下記式で求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
(4)融点(Tm)
示差走査熱量分析(DSC)により、以下の方法で測定した。
試料(下記実施例および比較例で用いた共重合体)5mg程度を専用アルミパンに詰め、(株)パーキンエルマージャパン製のDiamond DSCを用い、30℃から230℃まで320℃/分で昇温し、230℃で10分間保持した後、230℃から30℃まで10℃/分で降温し、30℃でさらに1分間保持し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より融点を求めた。なお、DSC測定時に、複数のピークが検出される場合は、最も高温側で検出されるピーク温度を融点(Tm)と定義する。なお、「融点が観測されない」とは、吸熱曲線にピークが観測されないことをいい、具体的には、融解熱量(ΔH)が1J/g未満であることを意味する。
(5)エチレン含量
下記実施例および比較例で用いた共重合体のエチレン含有量は、以下の条件で13C-NMR測定を行い、得られたスペクトルの解析により算出した。
装置:ブルカー・バイオスピン社製、AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00μ秒)
ポイント数:64k
測定範囲:250ppm(-55~195ppm)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:128回
測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1[v/v])
試料濃度:ca.60mg/0.6mL
測定温度:120℃
ウインドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)
ケミカルシフト基準:δδシグナル(29.73ppm)
(6)ヨウ素価
JIS K 0070:1992に従って、下記エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴムのヨウ素価(g/100g)を測定した。
(7)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
下記エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴムの極限粘度[η](dl/g)は、デカリン溶媒を用いて135℃で測定した。
具体的には、共重合体ゴム約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、下記式に示すように、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/C値を極限粘度[η]とした。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<使用材料>
プロピレン系重合体(A)としては、以下の重合体を使用した。
・ブロックポリプロピレン(A-1)
ブロックポリプロピレン(A-1)は、市販品であり、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠、230℃、2.16kg荷重)が55g/10分、密度(ASTM D1505に準拠)が0.91g/cm3、曲げ初期弾性率(ASTM D790に準拠)が1200MPa、前記(3)の方法で測定した極限粘度[η]が6.0dl/gの、ブロックポリプロピレンである。
エチレン・α-オレフィン共重合体(B)としては、以下の共重合体を使用した。
・エチレン・1-ブテン共重合体(B-1)
エチレン・1-ブテン共重合体(B-1)は、市販品であり、エチレンと1-ブテンとからなり、エチレン含量が69質量%、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠、190℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分であり、DSCにて融点が観測されない共重合体である。
・エチレン・1-オクテン共重合体(B-2)
エチレン・1-オクテン共重合体(B-2)は、市販品であり、エチレンと1-オクテンとからなり、エチレン含量が59質量%、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠、190℃、2.16kg荷重)が1.0g/10分であり、DSCでの融点が60℃の共重合体である。
・エチレン・1-オクテン共重合体(B-3)
エチレン・1-オクテン共重合体(B-3)は、市販品であり、エチレンと1-オクテンとからなり、エチレン含量が55質量%、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠、190℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分であり、DSCでの融点が47℃の共重合体である。
・エチレン・1-オクテン共重合体(B-4)
エチレン・1-オクテン共重合体(B-4)は、市販品であり、エチレンと1-オクテンとからなり、エチレン含量が59質量%、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠、190℃、2.16kg荷重)が5.0g/10分であり、DSCでの融点が59℃の共重合体である。
架橋ゴム(C)の原料である未架橋ゴムを含む成分としては、以下の市販品を使用した。
・油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム
この油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴムは、市販品である。エチレン含量が78モル%、ヨウ素価が13g/100g、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.4dl/gであるエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴムを油展した製品である。具体的には、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム100質量部に対して、石油系可塑剤(ダイアナプロセスオイルPW-380、出光興産(株)製)を、40質量部を配合した製品である。
<熱可塑性エラストマー(α-1)の製造>
油展エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム50質量部と、ブロックポリプロピレン(A-1)50質量部と、架橋剤として有機ペルオキシド(パーヘキサ25B、日油(株)製)0.3質量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.3質量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASFジャパン(株)製)0.1質量部とを、ヘンシェルミキサーで充分に混合し、下記条件下で押出混練することで、部分的又は完全に架橋されたエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(架橋ゴム(C))を含む熱可塑性エラストマー(α-1)を製造した。
(混練条件)
押出機:品番 KTX-46、神戸製鋼(株)製
シリンダー温度:C1~C2 120℃、C3~C4 140℃、C5~C14 200℃
ダイス温度:200℃
スクリュー回転数:400rpm
押出量:80kg/h
前記工程により得られた、熱可塑性エラストマー(α-1)のメルトフローレート(ASTM D1238に準拠、230℃、2.16kg荷重)は25g/10分、ショアーD硬度(5秒後)は39であった。
[実施例1~3および比較例1~3]
表1に記載の各材料を表1に記載した量(質量部)で、それぞれ秤量し、各材料の混合物100質量部に対して、耐熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASFジャパン(株)製)0.1質量部と、耐候安定剤としてジアゾ系耐候安定剤(チヌビン326、BASFジャパン(株)製)0.1質量部とを、ヘンシェルミキサーで充分に混合し、下記条件下で押出混練し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
なお、得られた熱可塑性エラストマー組成物における、プロピレン系重合体(A)の含有量を100質量部としたときの共重合体(B)および架橋ゴム(C)の含有量を表2に示す。
(混練条件)
押出機:品番 KTX-46、神戸製鋼(株)製
シリンダー温度:C1~C2 120℃、C3~C4 140℃、C5~C14 200℃
ダイス温度:200℃
スクリュー回転数:400rpm
押出量:80kg/h
<Izod衝撃試験>
ASTM D256に準拠してIzod衝撃試験行い、熱可塑性エラストマー組成物から得られた成形体のIzod耐衝撃性を測定した。結果を表2に示す。
熱可塑性エラストマー組成物から射出成形にて、Izod衝撃試験用のノッチのついた厚み3.2mmの試験片を作製し、温度-40℃の雰囲気下にて試験を行い、衝撃強さ(J/m)を測定した。また、試験後の試験片の破壊状態から、下記の基準によりIzod耐衝撃性を下記基準で評価した。
評価結果がNB(非破壊)であると熱可塑性エラストマー成形体の破片が飛散しにくく、好ましいことを示す。また、低温雰囲気下で試験を実施することで、高速展開するエアバックのような高速変形する用途に適用する場合の破壊状態を想定できる。このように評価結果がNB(非破壊)である熱可塑性エラストマー成形体を含むエアバッグカバーは、エアバッグ展開時に破片が飛散しにくいといえる。
NB(非破壊:Non Break):破壊されなかった
CB(破壊:Complete Break):破壊された
<線膨張係数(CLTE)>
(株)日立ハイテクサイエンス製の熱機械分析装置TMA/SS7100を用い、以下の方法により、熱可塑性エラストマー組成物から得られた成形体の線膨張係数を測定した。結果を表2に示す。
熱可塑性エラストマー組成物を射出成形し、縦(MD)100mm×横(TD)150mm×厚み3mmの角板を得て、これをTD方向に打ち抜いて縦(MD)10mm×横(TD)5mm×厚み3mmの試験片を得た。
窒素雰囲気下、5℃/minの昇温速度で30℃から80℃まで昇温したときの、当該試験片の寸法変化を測定した。単位温度あたりのTD方向の寸法変化を線膨張係数として求めた。線膨張係数の値が小さいほど温度安定性に優れることを示す。
Figure 2024041456000003
Figure 2024041456000004

Claims (7)

  1. プロピレン系重合体(A)100質量部と、
    エチレン由来の構成単位および炭素数4~20のα-オレフィン由来の構成単位を含むエチレン・α-オレフィン共重合体(B)70~130質量部と、
    少なくとも一部が架橋された架橋ゴム(C)0~10.0質量部と
    を含み、
    前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが1.4g/10分以上である、
    熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)の、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレートが、1.4~6.0g/10分である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記熱可塑性エラストマー組成物中の前記プロピレン系重合体(A)の含有量が、50質量%以下である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記エチレン・α-オレフィン共重合体(B)が、エチレン・ブテン共重合体およびエチレン・オクテン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー成形体。
  6. 請求項5に記載の熱可塑性エラストマー成形体を含む自動車部品。
  7. エアバッグカバーである請求項6に記載の自動車部品。
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