JP4225534B2 - 錠剤計数監査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、分包された錠剤を包みから出すことなく撮像して数え上げる錠剤計数監査装置に関し、詳しくは、撮像に備えて錠剤の収容状態を整える技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
処方箋情報等に基づいて錠剤を次々と分包紙に区分封入して錠剤の包み(分包体)を連続形成する錠剤分包機に隣接して設置され、その調剤済み分包紙を受け取って順に各々の包みを撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置が知られている(例えば特許文献1参照)。包みの中の剤数を自動計測するとともに、その計数結果を処方箋情報等と突き合わせて過不足の有無など正否を自動判別するのである。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−206855号公報 (第1頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような撮像に基づく錠剤計数では、同じ錠剤を分包した包みであっても包中の錠剤収容状態によって得られる画像が異なり、それが計数の正確さに影響するため、具体的には錠剤が分別不能に重なっていると数え漏れが生じるため、ディスプレイ等に画像表示を行って監査作業者による目視確認もできるようになっている。例えば処方剤数と計数結果とが異なるときには、アラームを発して表示画像の目視確認が促される。
【0005】
しかしながら、目視確認の頻度が高いと、錠剤計数監査装置による自動化の効果が減殺されてしまう。自動処理が中断されてスループットが低下するうえ、作業者に負担が掛かる。このため、包中での錠剤の重なりを積極的に無くすことが求められる。もっとも、製造原価ばかりか保守費も含めてコストアップは望ましくないので、複雑な機構や手法等の追加はなるべく避けたい。
そこで、撮像に先だって包みを破ることなく包中の錠剤収容状態を分別可能な散開状態(積重や凝集を解消した状態)にする前処理手法を案出するとともに、それをできるだけ簡便な手段で具体化することが、技術的な課題となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、包中の錠剤を散開してから撮像する錠剤計数監査装置を簡便に実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために発明された第1乃至第5の解決手段について、その構成および作用効果を以下に説明する。
【0007】
[第1の解決手段]
第1の解決手段の錠剤計数監査装置は、出願当初の請求項1に記載の如く、分包紙等からなる包みを撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置において、前記包みの端部を一時的に押さえるクランプ機構と、これにて押さえられている前記包みを振動させる加振機構とを備えたものである。
【0008】
このような第1の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、錠剤を封入した調剤済みの包みを撮像するに先だち、クランプ機構と加振機構とによって包中の錠剤が散開される。すなわち、包みの端部がクランプ機構によって押さえられ、その包みが加振機構によって振動させられる。そのため、振動が包み及び錠剤に良く伝わって、包中で重なっていた錠剤は重なりが崩れて横に並び、隣接していた錠剤は隙間を広げて散開する。これにより、包中の錠剤は画像データ処理にて分別容易な状態となる。
【0009】
しかも、そのための散開手段が、クランプ機構および加振機構といった比較的シンプルな機構の組み合わせにて具体化されているので、製造や保守のコストアップが抑制される。
したがって、この発明によれば、包中の錠剤を散開してから撮像する錠剤計数監査装置を簡便に実現することができる。
【0010】
[第2の解決手段]
第2の解決手段の錠剤計数監査装置は、出願当初の請求項2に記載の如く、上記の第1解決手段の錠剤計数監査装置であって、弛緩付与機構が設けられ、前記包みが前記クランプ機構にて押さえられる位置にあるとき、この前記包みを前記弛緩付与機構にて弛ませ得るようになっている、というものである。
【0011】
このような第2の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、クランプ機構にて押さえられている包みに、弛緩付与機構にて弛みが付与される。このように、包みを十分に弛緩させてから振動を加えることにより、あるいは加振中の包みを十分に弛緩させることにより、クランプ機構による押さえすぎがあってもそれは確実に解消されるので、振動を利用した散開機能が高められる。
したがって、この発明によれば、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置を簡便に実現することができる。
【0012】
[第3の解決手段]
第3の解決手段の錠剤計数監査装置は、出願当初の請求項3に記載の如く、上記の第2解決手段の錠剤計数監査装置であって、前記クランプ機構が、前記包みの両端部を押さえるものであり、前記弛緩付与機構が、前記包みを前記両端部の方向に移送する移送機構であって前記両端部を個別に移送しうるようになっている、というものである。
【0013】
このような第3の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、包みの両端部を個別に移送しうるので、それぞれの移送量を加減する等のことで、両端部の距離を調節することが可能である。そこで、クランプ機構のところで包みを移送するときに、その包みの両端部の距離を縮めるような、移送がなされる。
これにより、弛緩付与が移送に随伴して速やかに行われる。しかも、弛緩付与機構が移送機構を流用して簡素かつ安価に具現される。
したがって、この発明によれば、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置をより簡便に実現することができる。
【0014】
[第4の解決手段]
第4の解決手段の錠剤計数監査装置は、出願当初の請求項4に記載の如く、上記の第3の解決手段の錠剤計数監査装置であって、前記包みを乗載する乗載部材が、前記クランプ機構の下方に設けられ、この乗載部材は、前記包みを乗載する上平面部が傾斜しているものであり、前記移送機構は、前記包みのうち前記上平面部の高い方へはみ出た部分に作用して前記包みを移動させるようになっており、前記加振機構は、前記乗載部材のうち前記上平面部の低い方に作用して前記包みを振動させるようになっている、というものである。
【0015】
このような第4の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、移送機構と加振機構とが干渉することなく並置される。また、包みが乗載部材の上平面部に乗せられて平らな状態で且つ傾いた状態で移送されるので、包みを移送すればそれに伴って自然に錠剤が包中で低い方へ移動する。そこは加振機構によって振動させられるところである。
このようにそれぞれの機能を何ら損なうことなく移送機構と加振機構とを並置したことにより、機構部がコンパクトに纏まる。
したがって、この発明によれば、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置をより簡便に而もコンパクトに実現することができる。
【0016】
[第5の解決手段]
第5の解決手段の錠剤計数監査装置は、出願当初の請求項5に記載の如く、上記の第2解決手段の錠剤計数監査装置であって、前記クランプ機構が、前記包みの両端部を押さえるものであり、前記弛緩付与機構が、前記クランプ機構の押さえ部材を前記両端部の方向に移動させるようになっている、というものである。
【0017】
このような第5の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、クランプ機構の押さえ部材が包みの両端部の方向に移動できるので、押さえ部材同士の離隔距離を縮めることが可能である。そこで、包みの両端部を押さえ部材で押さえながら又は押さえてから、両部材の距離を縮める動作も、加振前に又は加振中に、行われる。
これにより、弛緩付与が押さえ動作に随伴して速やかに行われる。しかも、弛緩付与機構がクランプ機構を流用して簡素かつ安価に具現される。
したがって、この発明によれば、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置をより簡便に実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
このような解決手段で達成された本発明の錠剤計数監査装置について、これを実施するための形態を説明する。
本発明の第1の実施形態は、上述した解決手段の錠剤計数監査装置であって、前記弛緩付与機構が、前記包みの上面に吸い付く吸着部材と、これを昇降させる手段とを具備している、というものである。
これにより、包みの上面を吸着部材で持ち上げて包みに弛みを付与することができるので、より確実に、包みによる錠剤の挟み付けが解かれることとなる。
【0019】
このような解決手段や実施形態で達成された本発明の錠剤計数監査装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の第1〜第3実施例により説明する。
図1〜図4に示した第1実施例は、上述した第1〜第4の解決手段(当初請求項1〜4)を具現化したものであり、図5に示した第2実施例は、上述した第5の解決手段(当初請求項5)を具現化したものであり、図6に示した第3実施例は、上述した第1の実施形態を具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、フレーム,ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【0020】
【第1実施例】
本発明の錠剤計数監査装置の第1実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、その機械構造を示し、(a)が全体正面図、(b)が要部(散開撮像機構)の側面図、(c)が要部正面図である。図2は、電子回路部のブロック図である。
【0021】
この錠剤計数監査装置は(図1(a)参照)、分包紙10の長手方向に連なって区画形成された各々の包み11(分包体)を対象として計数監査を行うためのものであり、大別して、分包紙10を引き込んで包み11を撮像するための散開撮像機構30と、その動作制御に加えて包中剤数の自動確認を行うための電子回路部(20〜22)とを具えている。
図示の場合、散開撮像機構30は、筐体内に格納されていて、分包紙10を左側面の開口から引き込んで右側面の開口から排出するようになっている。
【0022】
また、電子回路部(20〜22)には、パーソナルコンピュータ等のプログラマブルな演算制御装置が採用され、その本体部であるメインコントローラ20や、キーボード等の操作部21、ディスプレイ等の表示部22などが、使い易いよう筐体上に載置されている。
なお、包み11は、ミシン目の入った端部12で前後(図では左右)に仕切られており、その両端部12の二辺ともう一辺とがヒートシールされ、残りの一辺が折り曲げられていて、中に錠剤13が収容されている。
【0023】
先ず、散開撮像機構30について詳述すると、これは(図1(b),(c)参照)、ベース31(基台部)及びサポートパネル32(枠板部)等からなる支持機構と、分包紙10を上記開口間で移送するため水平に延びている移送機構(33〜38)と、その上流側(図1(c)では左側)で上方に設置されたクランプ機構40と、このクランプ機構40に対向して下方に設置された加振機構50と、移送機構の下流側で上下に対向して設置された撮像装置60及び照明装置61とを具えている。
【0024】
移送機構は(図1(c)参照)、包み11を両端部12の方向(図では左右)に移送する際に、包み11の両端部12を個別に移送することが可能なよう、上流側の第1搬送機構33+34と、下流側の第2搬送機構36+37とに分けて設けられ、それぞれが独立駆動可能な状態でサポートパネル32等に装着されている。
第1搬送機構には散開段ガイドとして乗載部材35が付設され、第2搬送機構には撮像段ガイド38が付設されている。
【0025】
第1搬送機構33+34は、分包紙10即ち一連の包み11をクランプ機構40及び加振機構50の作用位置へ順に移送するために、左端がクランプ機構40より上流側へはみ出て延び、右端がクランプ機構40の下方まで延びている。第1搬送機構には、4個の第1移送ローラ33と2本の第1移送ベルト34とが具備されており、第1移送ローラ33は、左端と右端の双方で上下に配置され、第1移送ベルト34は、上下に分かれて、それぞれ左右一対の第1移送ローラ33に懸架され、上下の第1移送ベルト34で分包紙10を挟んで移送するようになっている。
【0026】
第2搬送機構36+37は、分包紙10をクランプ機構40及び加振機構50の作用位置から撮像装置60の下方の撮影位置へ移送し更には送り出すために、左端がクランプ機構40の直ぐ右側まで延び、右端が撮像装置60の右下方まで延びている。第2搬送機構にも、4個の第2移送ローラ36と2本の第2移送ベルト37とが具備されており、第2移送ローラ36は、左端と右端の双方で上下に配置され、第2移送ベルト37は、上下に分かれて、それぞれ左右一対の第2移送ローラ36に懸架され、上下の第2移送ベルト37で分包紙10を挟んで移送するようになっている。
【0027】
乗載部材35は、クランプ機構40の下方で加振機構50の上方に当たる両者の作用位置に設けられて、ほぼ第1搬送機構33+34の左端から第2搬送機構36+37の左端近くまで水平に延び、加振機構50によって振動可能に支持されている。
撮像段ガイド38は、第2搬送機構36+37のほぼ左端から右端まで水平に延び、サポートパネル32等にて固定支持されている。図示は省略したが、撮像装置60の下方で照明装置61の上方に当たる撮像位置には、照明光を通過させるために、開口が形成されている。開口には透明部材を填め込んでも良い。
両乗載部材35,38は(図1(b)参照)、何れも、包み11を連ねた分包紙10を乗載する上面部が平坦に形成され、その上平面部を傾斜させた状態で支持されている。
【0028】
何れ35,38の上平面部も、低い方の縁(図1(b)では右方)には分包紙10の落下を防止する跳ね上げが付加されている。また、傾斜方向の幅が分包紙10即ち包み11の幅より狭く形成されている。さらに、高い方の縁(図1(b)では左方)は、搬送機構33+34,36+37に近接して、その搬送経路と並走している。これにより、移送機構(33〜38)は、包み11を乗載部材35,38に乗せて傾斜させ、その包み11のうち乗載部材35,38の上平面部から高い方へはみ出た部分に搬送機構33+34,36+37を作用させて挟持搬送することで、包み11を散開段(40+50)及び撮像段(60+61)経由で移動させるものとなる。
【0029】
クランプ機構40は(図1(b),(c)参照)、適宜な昇降手段たとえば電動のクランプモータや空気圧駆動のエアシリンダ等にて、上下に往復動するようになっている。このクランプ機構40には、その直下の作用位置へ乗載部材35に乗せて移送されて来た包み11の両端部12を一時的に押さえるために、2本の押さえ部材41,42が下向きで取り付けられている。そのうち第1押さえ部材41は、その下端(作用端)に、ゴム等からなる第1弾性部材43が装着されていて(図1(b)参照)、上流側の端部12(図1(c)では左側)を振動可能に押さえるようになっている。第2押さえ部材42の下端(作用端)にも同様の第2弾性部材44が装着されているが、これは、包み11の長さとほぼ同じ距離だけ第1押さえ部材41から離れていて、下流側(図1(c)では右)の端部12を振動可能に押さえるようになっている。
【0030】
加振機構50は(図1(b),(c)参照)、上へ突き出た支持アームが乗載部材35のうち上平面部の低い方に下から連結されていて、その支持アームを振動させると、その振動が乗載部材35を介して包み11に伝達されるようになっている。乗載部材35の上平面部に乗せられた包み11は傾き、その包み11のうち高い方は乗載部材35からはみ出て第1搬送機構33+34に挟持されるが、包み11のうち低い方は乗載部材35上で振動する。クランプ機構40にて乗載部材35上の包み11を押さえた状態では、包み11の両端部12が弾性部材43,44によって乗載部材35に押しつけられるので、剛性の無い包み11であっても良く振動するようになっている。
【0031】
弛緩付与機構は、クランプ機構40にて押さえられる位置にある包み11に作用して、その包み11を弛ませるものであるが、この例の錠剤計数監査装置では、上述した移送機構を流用して実現している。具体的には、包み11をクランプ機構40の作用位置へ移送するときに、第1搬送機構33+34による第1押さえ部材41直下の端部12の搬送を停止するタイミングを、第2搬送機構36+37による第2押さえ部材42直下の端部12の搬送を停止するタイミングより、少しだけ遅らせるようになっている。
【0032】
次に、電子回路部(20〜22)とそれで制御される駆動部について詳述する(図2参照)。メインコントローラ20は上述したようにデジタルコンピュータ等からなり、これには、上述した操作部21や表示部22の他、撮像装置60や照明装置61も信号ケーブル等にて接続されていて、メインコントローラ20は、照明や撮像のタイミングを制御するとともに、画像データを画像メモリに取り込むようになっている。また、メインコントローラ20は、散開撮像機構30の具体的な動作制御をローカルコントローラ70に委ねており、両者は動作指示や動作結果の伝達等のため信号ケーブル等にて交信可能に接続されている。
【0033】
ローカルコントローラ70は、マイクロプロセッサ等を主体に構成され、これには、各種センサの検出結果たとえば包み11の有無情報等を入力するセンサ入力回路72と、第1移送ローラ33を回転させる第1移送モータ73の制御駆動回路と、クランプ機構40を上下動させるクランプモータ74の制御駆動回路と、加振機構50のアームを振動させる加振モータ75の制御駆動回路と、第2移送ローラ36を回転させる第2移送モータ76の制御駆動回路とが、付設されている。
【0034】
メインコントローラ20には、このようなローカルコントローラ70を介して分包紙10の移送制御や散開制御を行うプログラムがインストールされている他、包み11を撮像して包中の錠剤13を計数し更にその正否判定や結果表示も行うために、画像処理ルーチンと計数ルーチンと判定ルーチンと表示ルーチンもインストールされている。もっとも、撮像以降の動作や処理内容は既製品と同様で足りるので次の動作説明で概説する。撮像に先立つ移送と散開を詳述する。
【0035】
この第1実施例の錠剤計数監査装置について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図3は、(a)が側面図、(b)〜(e)が部分正面図、(f)が側面図であり、散開部の動作状態を時系列に示している。図4は、何れも平面図であり、(a)が多数の包みを区画列設した分包紙、(b)が散開前の錠剤を封入した包み、(c)が散開後の錠剤および包みである。
【0036】
計数監査対象の分包紙10は(図4(a)参照)、包み11の連なりであり、それぞれの包み11は端部12で区切られ一個以上の錠剤13を収容している。包み11の典型的なサイズは、幅(図では上下)が約70mmで、長さ(図では左右)が約80mmである。端部12の幅(図では左右に隣接する包み11の間)は、約10mmである。錠剤13の典型例は、直径数mmの玉剤や、それより長いカプセル剤などであり、それらが混在することも多い。
【0037】
このような分包紙10は、散開撮像機構30にセットされると、移送機構(33〜38)によって包み11単位で間欠移送され、その度に、上流の散開段ではクランプ機構40及び加振機構50によって錠剤13に散開処理(前処理)が施され、下流の撮像段では撮像装置60及び照明装置61によって撮像が行われる。電子回路部では、それらの動作制御がプログラムに従って行われるとともに、メインコントローラ20によって計数処理等が行われる。
【0038】
散開段での間欠移送と散開処理を詳述すると(図3参照)、先ず間欠移送のため、クランプ機構40が上昇して乗載部材35上の分包紙10の押さえが解かれる(図3(a)参照)。それから第2搬送機構36+37が移送を開始して前方の即ち下流側の端部12が引っ張られるので包み11の弛みが解消される(図3(b)参照)。弛みの無くなるタイミングで第1搬送機構33+34も移送を開始して後方の即ち上流側の端部12も移送されるので包み11が連なって移動する(図3(c)参照)。
【0039】
そして、第2搬送機構36+37が包み11の長さを送る分だけ作動したところで停止する(図3(d)参照)。そうすると、先の包み11の後方端部12でもある次の包み11の前方端部12が、第2押さえ部材42及び第2弾性部材44の直下に来る。
それから、第1搬送機構33+34も包み11の長さを送る分だけ作動したところで停止する(図3(e)参照)。そうすると、次の包み11の後方端部12が、第1押さえ部材41及び第1弾性部材43の直下に来て、その包み11がクランプ機構40及び加振機構50の作用位置に収まると同時に、その包み11に弛みが付与される。
【0040】
そこにクランプ機構40が下降して(図3(e)参照)、直下の包み11の両端部12が、押さえ部材41,42によって、弾性部材43,44を介して柔らかく、乗載部材35に押しつけられる。さらに、この状態で(図3(e),(f)参照)、加振機構50が作動して、乗載部材35が振動させられ、その振動が包み11に伝達される。そうすると、包み11の両端部12が弾性部材43,44にて振動可能な状態で乗載部材35に押しつけられているので、包み11は良く振動する。しかも、包み11の中央部・中間部は弛緩しているので、中に収容されている錠剤13の束縛が解かれた状態になっている。
【0041】
そのため、包み11内で錠剤13が積み重なっていたり凝り集まっていたとしても(図4(b)参照)、それらは、支えの無い状態での振動によって、散らばり、積重状態や凝集状態が解消される(図4(c)参照)。
こうして、散開段で錠剤13が散開し、それを収容した包み11は撮像段に移送される。
【0042】
撮像段では、照明装置61によって包み11が照明され、その中の錠剤13の画像が撮像装置60によって撮られる。その画像データは、メインコントローラ20に取り込まれて、ノイズ除去やパターンマッチング等の画像処理が施され、錠剤13の影像が計数される。それから、その計数結果の正否が判定され、その判定結果や操作部21での指示事項などが表示部22に表示される。
【0043】
【第2実施例】
図5にクランプ機構の正面図を示した本発明の錠剤計数監査装置が上述した第1実施例のものと相違するのは、弛緩付与機構が移送機構33〜38だけでなくクランプ機構40にも化体している点である。
具体的には、第1押さえ部材41と第2押さえ部材42との離隔距離が拡縮しうるようになっている。図示の例では、クランプ機構40を下降させて乗載部材35上の包み11の両端部12を押さえつけてから(図5(a)参照)、第1押さえ部材41を両端部の方向に(図では左から右へ横向きに)移動させて第2押さえ部材42に近づけるようになっている(図5(b)参照)。
【0044】
この場合、両端部12間の距離が強制的に縮められるので、包み11が確実に弛緩する。
第1押さえ部材41の横向き移動は、加振機構50による乗載部材35の加振に先だって行っても良く、加振しながら行っても良い。
なお、第1押さえ部材41に代えて又はそれに加えて、第2押さえ部材42を横向き移動させるようにしても良い。
【0045】
【第3実施例】
図6に弛緩付与機構組込クランプ機構の正面図を示した本発明の錠剤計数監査装置が上述した第2実施例のものと相違するのは、弛緩付与機構に吸着部材80も加わった点である。
吸着部材80は、吸い付き口を下にして押さえ部材41,42間に設けられ、図示しない昇降機構等によってクランプ機構40から独立して上下動しうるようになっている。
【0046】
この場合、押さえ部材41,42による包み11の強制弛緩と並行して、吸着部材80が下降して包み11に吸い付き(図6(a)参照)、それから吸着部材80が上昇するので(図6(b)参照)、2枚合わせになっている包み11の上側が持ち上げられる。これにより、錠剤13の動ける余地が更に広がる。
また、吸着部材80による吸引量は多くないので、エアポンプを用いても用いなくても良く、例えばシリンダ中のピストン移動によって吸い付き口から空気を一時的に吸入する等のことで、安価かつ小形に実現することができる。
【0047】
【その他】
なお、上記の各実施例では、左が上流で右が下流の場合を図示したが、包み11の流れ即ち移送経路は、これに限られるものでなく、散開が撮像より先に行えるようになってさえいれば、右を上流にし左を下流にしても良く、Uターンするようにしても良い。
また、上述した電子回路部の構成は、一例であり、シングルプロセッサでもマルチプロセッサでも良い。プログラム構成も、上述した機能でのルーチン分けとは異なる単位で分けても良く、適宜なサイズ等で纏めても良い。
【0048】
さらに、散開撮像機構30には、その他の機能を具現化するための部材が組み込まれていても良い。例えば、判定に必要な錠剤数を得るために、包み11の印刷文字を読み取るOCRを装備したり、処方箋番号や調剤指示などを包み11から読み取るバーコードリーダを組み込んだりするのも良い。分包紙10の引き込みや送り出しを行うための更なる移送機構などが付加されていても良い。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、散開手段をクランプ機構と加振機構との結合にて具体化したことにより、コストを掛けなくても振動伝達が良好に行えて、その結果、包中の錠剤を散開してから撮像する錠剤計数監査装置を簡便に実現することができたという有利な効果が有る。
【0050】
また、本発明の第2の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、弛みの付与も行って、押さえすぎが生じないようにしたことにより、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置を簡便に実現することができたという有利な効果を奏する。
【0051】
さらに、本発明の第3の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、移送機構を流用して弛緩付与機構を具現化したことにより、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置をより簡便に実現することができたという有利な効果が有る。
【0052】
また、本発明の第4の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、機能を損なわないで移送機構と加振機構とを並べたことにより、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置をより簡便に而もコンパクトに実現することができたという有利な効果を奏する。
【0053】
また、本発明の第5の解決手段の錠剤計数監査装置にあっては、クランプ機構を流用して弛緩付与機構を具現化したことにより、包中の錠剤をより確実に散開してから撮像する錠剤計数監査装置をより簡便に実現することができたという有利な効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の錠剤計数監査装置の第1実施例について、機械構造を示し、(a)が全体正面図、(b)が要部(散開撮像機構)の側面図、(c)が要部正面図である。
【図2】 電子制御部のブロック図である。
【図3】 散開部の動作状態を示し、(a)が側面図、(b)〜(e)が部分正面図、(f)が側面図である。
【図4】 何れも平面図であり、(a)が多数の包みを区画列設した分包紙、(b)が散開前の錠剤を封入した包み、(c)が散開後の錠剤および包みである。
【図5】 本発明の錠剤計数監査装置の第2実施例について、(a),(b)何れも弛緩付与機構組込クランプ機構の正面図である。
【図6】 本発明の錠剤計数監査装置の第3実施例について、(a),(b)何れも弛緩付与機構組込クランプ機構の正面図である。
【符号の説明】
10…分包紙、11…包み(計数対象分包体)、12…端部、13…錠剤、
20…メインコントローラ(計数監査部)、21…操作部、22…表示部、
30…散開撮像機構、31…ベース、32…サポートパネル、
33…第1移送ローラ、34…第1移送ベルト、35…乗載部材、
36…第2移送ローラ、37…第2移送ベルト、38…撮像段ガイド、
40…クランプ機構、41,42…押さえ部材、43,44…弾性部材、
50…加振機構、60…撮像装置、61…照明装置、
70…ローカルコントローラ、80…吸着部材
Claims (4)
- 分包紙等からなる包みを撮像してその中の剤数を自動確認する錠剤計数監査装置において、前記包みの端部を一時的に押さえるクランプ機構と、これにて押さえられている前記包みを振動させる加振機構と、前記クランプ機構にて押さえられる位置にある前記包みを弛ませる弛緩付与機構とを備えたことを特徴とする錠剤計数監査装置。
- 前記クランプ機構が、前記包みの両端部を押さえるものであり、前記弛緩付与機構が、前記包みを前記両端部の方向に移送する移送機構であって前記両端部を個別に移送可能なものである、ことを特徴とする請求項1記載の錠剤計数監査装置。
- 前記包みを乗載する上平面部が傾斜している乗載部材が、前記クランプ機構の下方に設けられ、前記移送機構が、前記包みのうち前記上平面部の高い方へはみ出た部分に作用して前記包みを移動させるものであり、前記加振機構が、前記乗載部材のうち前記上平面部の低い方に作用して前記包みを振動させるものである、ことを特徴とする請求項2記載の錠剤計数監査装置。
- 前記クランプ機構が、前記包みの両端部を押さえるものであり、前記弛緩付与機構が、前記クランプ機構の押さえ部材を前記両端部の方向に移動させるものである、ことを特徴とする請求項1記載の錠剤計数監査装置。
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