次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1、図2は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の平面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の側断面図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の部品供給部の部分断面図、図5は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の供給部基準マークの説明図、図6は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の部品撮像カメラ基準マークの説明図、図7は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の基板保持部基準マークの説明図、図8は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の制御系の構成を示すブロック図、図9は本発明の一実施の形態の電子部品搭載方法における座標系補正処理用データ作成処理のフロー図、図10は本発明の一実施の形態の電子部品搭載方法における座標系補正処理用データの説明図、図11,図12は本発明の一実施の形態の電子部品搭載処理のフロー図、図13,図14は本発明の一実施の形態の電子部品搭載方法の工程説明図である。
まず図1、図2、図3を参照して電子部品搭載装置の全体構造について説明する。図3は図1におけるA−A矢視を示している。図1において、基台1上には部品供給部2が配設されている。図3に示すように、部品供給部2はウェハ保持テーブル3を備えており、ウェハ保持テーブル3はシート保持部材であるウェハリング5を着脱自在に保持する。
ウェハリング5に展張されたシート5a(図4参照)には、電子部品である半導体チップ6(以下、単に「チップ6」と略記。)が個片に分離された状態で貼着されている。すなわちチップ6はウェハリング5に展張されたシート5aに貼着された状態で部品供給部2に提供され、ウェハ保持テーブル3にウェハリング5が保持された状態では、部品供給部2はチップ6を平面上の所定配列で供給する。
図3に示すように、ウェハ保持テーブル3に保持されたウェハリング5の下方には、エジェクタ8がエジェクタXYテーブル7によって水平移動可能に配設されている。エジェクタ8はチップ突き上げ用のエジェクタピン(図示省略)を昇降させるピン昇降機構を備えており、後述する搭載ヘッドによってチップ6をピックアップする際には、エジェクタ
ピンによってウェハリング5の下方からチップ6を突き上げることにより、チップ6はウェハリング5に展張されたシート5aから剥離される。エジェクタ8は、チップ6をウェハリング5に展張されたシート5aから剥離するシート剥離機構となっている。
なお、シート剥離機構はここで示したエジェクタ8に限定されるものではなく、チップをシート5aから剥離できる機構であれば足りる。例えば、チップ6が貼着されたシート5aを下方から吸引して、吸引力によってチップ6をシート5aから剥離するような機構でもよい。
次に図4を参照して、部品供給部2の構造を説明する。図4(a)において、ウェハ保持テーブル3の上面のベースプレート3aは中央部に円形の開口部が設けられた形状となっており、ベースプレート3aの上面には開口部に沿って筒状部材であるエキスパンドリング3bが立設されている。ウェハリング5がウェハ保持テーブル3に装着された状態では、エキスパンドリング3bはウェハリング5に展張されたシート5aの下面に当接する。
エキスパンドリング3bの上方には、中央部にエキスパンドリング3bに対応したサイズの円形の開口部9aが設けられた昇降プレート9が、昇降機構19によって昇降自在に配設されている。昇降機構19は、モータ19aによって回転駆動される送りねじ19bを、昇降プレート9に結合されたナット19cに螺合させた構成となっており、モータ19aを駆動することにより、昇降プレート9はベースプレート3aに対して昇降する。
図4(b)に示すように、昇降機構19によってウェハ保持テーブル3にウェハリング5を装着した状態で昇降プレート9を下降させることにより、ウェハリング5は昇降プレート9によって下方に押圧される。これによりエキスパンドリング3bの頂部に当接したシート5aは水平面内で引き伸ばされ、シート5aの上面で相隣接したチップ6が相互に引き離されて、取り出しヘッドによって個片のチップ6を吸着保持して取り出すことができる。
ベースプレート3aの上面には、2つの柱状のマークポスト18が、筒状部材であるエキスパンドリング3bを間に挟んだ複数箇所に立設されている(図5参照)。マークポスト18の上面には、供給部基準マークとしての認識マークA1、B1が設けられている。昇降プレート9にはマークポスト18の位置に対応して開口9bが設けられており、図4(b)に示すように、シート5aに貼着された状態のチップ6を撮像する第2のカメラ35によって、開口9bを介して認識マークA1、B1が撮像可能となっている。
すなわち、マークポスト18は、ベースプレート3aに設けられていることから、昇降プレート9が昇降しても認識マークA1,B1の焦点高さは変わらずに一定の高さを保つようになっている。また開口部9bが設けられていることから、昇降プレート9が昇降してもマークポスト18が昇降プレート18に干渉することなく、上方からカメラで認識マークA1,B1を撮像することができるようになっている。認識マークA1、B1を撮像した画像を認識処理することにより、後述するように部品供給部2において搭載ヘッドや第2のカメラ35を移動させる際の座標系の較正処理用データが取得される。なお図3においては、マークポスト18の図示を省略している。
図1に示すように、基台1の上面の部品供給部2からY方向へ離れた位置には、基板保持部10が配置されている。基板保持部10の上流側・下流側にはそれぞれ基板搬送コンベアからなる基板搬送部12がX方向に配列されている。上流側から搬入された基板16は基板搬送部12によって基板保持部10に搬入され保持される。基板保持部10は保持した基板16を実装位置に位置決めし、位置決めされた基板16に対して部品供給部2か
ら取り出されたチップ6が実装される。そして実装済みの基板16は、基板搬送部12によって下流側に搬出される。
図1において、基台1の上面の両端部には、第1のY軸ベース20A,第2のY軸ベース20Bが基板搬送方向と直交するY方向に長手方向を向けて配設されている。第1のY軸ベース20A,第2のY軸ベース20Bの上面には、長手方向に略全長にわたってY方向ガイド21が配設されており、1対のY方向ガイド21を平行に且つ部品供給部2及び基板保持部10を挟むように配設した形態となっている。
これらの1対のY方向ガイド21には、両端部をY方向ガイド21によって支持された両持ち支持型の第1ビーム部材31,センタービーム部材30および第2ビーム部材32の3つのビーム部材が、それぞれY方向にスライド自在に架設されている。センタービーム部材30の右側の側端部にはナット部材23bが突設されており、ナット部材23bに螺合した送りねじ23aは、第1のY軸ベース20A上に水平方向で配設されたY軸モータ22によって回転駆動される。Y軸モータ22を駆動することにより、センタービーム部材30はY方向ガイド21に沿ってY方向に水平移動する。
また、第1ビーム部材31,第2ビーム部材32の左側の側端部にはそれぞれナット部材25b、27bが突設されており、ナット部材25b、27bに螺合した送りねじ25a、27aは、それぞれ第2のY軸ベース20B上に水平方向で配設されたY軸モータ24,26によって回転駆動される。Y軸モータ24,26を駆動することにより、第1ビーム部材31,第2ビーム部材32はY方向ガイド21に沿ってY方向に水平移動する。
センタービーム部材30には、搭載ヘッド33が装着されており、搭載ヘッド33に結合されたナット部材41bに螺合した送りねじ41aは、X軸モータ40によって回転駆動される。X軸モータ40を駆動することにより、搭載ヘッド33はセンタービーム部材30の側面にX方向に設けられたX方向ガイド42(図3参照)に案内されてX方向に移動する。
搭載ヘッド33は、1個のチップ6を保持するノズル33aを複数(ここでは2つ)備え、各ノズル33aにそれぞれチップ6を吸着して複数のチップ6を保持した状態で移動可能となっている。Y軸モータ22およびX軸モータ40を駆動することにより、搭載ヘッド33はX方向、Y方向に水平移動し、部品供給部2のチップ6をピックアップして保持し、保持したチップ6を基板保持部10に保持された基板16の部品搭載位置16aに搭載する。
なお、本形態の形態においては、チップ6を取り出す取り出しヘッドと搭載ヘッド33とを1つの部品保持ヘッドによって兼務する形態となっているが、専用の取り出しヘッドを備えたチップのピックアップ機構を別途設け、このピックアップ機構から搭載ヘッドがチップを受け取って保持するようにしても構わない。さらに、このピックアップ機構にチップ反転機構を備えると、チップを表裏反転して基板に実装するフリップチップ実装にも対応できるので望ましい。
1対のY方向ガイド21,センタービーム部材30,センタービーム部材30をY方向ガイド21に沿って移動させるY方向駆動機構(Y軸モータ22,送りねじ23aおよびナット部材23b)と、搭載ヘッド33をX方向ガイド42に沿って移動させるX方向駆動機構(X軸モータ40,送りねじ41aおよびナット部材41b)とは、搭載ヘッド33を部品供給部2と基板保持部10との間で移動させる搭載ヘッド移動機構を構成する。搭載ヘッド33および搭載ヘッド移動機構は、部品供給部2から取り出しヘッドによって取り出されたチップ6を搭載ヘッド33によって基板保持部10に保持された基板16に
搭載する部品搭載機構を構成する。
第1ビーム部材31には、第1のカメラ34が装着されており、第1のカメラ34を保持するブラケット34aにはナット部材44bが結合されている。ナット部材44bに螺合した送りねじ44aは、X軸モータ43によって回転駆動され、X軸モータ43を駆動することにより、第1のカメラ34は第1ビーム部材31の側面に設けられたX方向ガイド45(図3参照)に案内されてX方向に移動する。
Y軸モータ24およびX軸モータ43を駆動することにより、第1のカメラ34はX方向、Y方向に水平移動する。これにより、第1のカメラ34は基板保持部10に保持された基板16を撮像するための基板保持部10の上方での移動と、基板保持部10上からの退避のための移動とを行うことができる。すなわち、第1のカメラ34は、基板保持部10に保持された基板16を撮像する基板撮像カメラとなっている。
1対のY方向ガイド21,第1ビーム部材30,第1ビーム部材31をY方向ガイド21に沿って移動させるY方向駆動機構(Y軸モータ24,送りねじ25aおよびナット部材25b)と、第1のカメラ34をX方向ガイド45に沿って移動させるX方向駆動機構(X軸モータ43,送りねじ44aおよびナット部材44b)とは、第1のカメラ34を基板保持部10の上方で移動させる第1のカメラ移動機構(基板撮像カメラ移動機構)を構成する。
第2ビーム部材32には、第2のカメラ35が装着されており、第2のカメラ35を保持するブラケット35aには、ナット部材47bが結合されている。ナット部材47bに螺合した送りねじ47aは、X軸モータ46によって回転駆動され、X軸モータ46を駆動することにより、第2のカメラ35は第2ビーム部材32の側面に設けられたX方向ガイド48(図3参照)に案内されてX方向に移動する。
Y軸モータ26およびX軸モータ46を駆動することにより、第2のカメラ35はX方向、Y方向に水平移動する。これにより、第2のカメラ35は部品供給部2に保持されたチップ6の撮像のための部品供給部2の上方での移動と、部品供給部2上からの退避のための移動とを行うことができる。すなわち、第2のカメラ35は、部品供給部2においてチップ6を撮像する供給部撮像カメラとなっている。
1対のY方向ガイド21,第2ビーム部材32,第2ビーム部材32をY方向ガイド21に沿って移動させるY方向駆動機構(Y軸モータ26,送りねじ27aおよびナット部材27b)と、第2のカメラ35をX方向ガイド48に沿って移動させるX方向駆動機構(X軸モータ46,送りねじ47aおよびナット部材47b)とは、第2のカメラ35を、部品供給部2に対して相対的に水平移動させる第2のカメラ移動機構(供給部撮像カメラ移動機構)を構成する。
図2は図1において第1ビーム部材30の図示を省略したものであり、部品供給部2と基板保持部10との間には、第3のカメラ15が配設されている。第3のカメラ15はラインセンサを備えたラインカメラであり、部品供給部2においてチップ6をピックアップした搭載ヘッド33が第3のカメラ15の上方をX方向に移動することにより、第3のカメラ15は搭載ヘッド33に保持されたチップ6を撮像する。第3のカメラ15は、搭載ヘッド33に保持されたチップ6を下方から撮像する部品撮像カメラとなっている。
図1,図3に示すように、搭載ヘッド33には第4のカメラ36が撮像方向を下向きにして設けられている。第4のカメラ36は搭載ヘッド移動機構によって搭載ヘッド33と一体的に移動し、移動範囲にある部品供給部2,第3のカメラ3の近傍、基板保持部10
を撮像可能となっている。後述するように、第4のカメラ36は、座標系の較正処理を行うための較正カメラとして用いられる。搭載ヘッド33は、基板撮像カメラである第1のカメラ34と供給部撮像カメラである第2のカメラ35との間で移動する機構配置となっており、搭載ヘッド33と一体移動する第4のカメラ36は、第1のカメラ34,第2のカメラ35のいずれの撮像範囲もカバーできるようになっている。
ここで、上記構成の電子部品搭載装置における座標系および座標系較正処理用の基準マークについて説明する。上述のようにこの電子部品搭載装置は、搭載ヘッド移動機構、第1のカメラ移動機構、および第2のカメラ移動機構の3つの独立したXY直動機を備えており、それぞれの移動機構毎に個別のXY座標系が存在する。第1のカメラ移動機構のXY座標系(第1のカメラ座標系)は、第1のカメラ34を少なくとも基板保持部10の上方を含む移動範囲内で移動させる際の座標系であり、同様に、第2のカメラ移動機構のXY座標系(第2のカメラ座標系)は、第1のカメラ34を少なくとも部品供給部2の上方を含む移動範囲内で移動させる際の座標系を意味している。
ここで搭載ヘッド移動機構のXY座標系に設定されるゾーン別座標系について説明する。搭載ヘッド移動機構は、搭載ヘッド33を部品供給部2から基板保持部10までを含む移動範囲内で移動させる機能を有しており、これらの移動範囲内において共通の1つのXY座標系が存在している。通常は搭載ヘッド33の移動目標位置を指令する場合には、全てこの共通のXY座標系での座標値によって指令がなされるが、本実施の形態においては、このXY座標系を搭載ヘッド33の移動範囲に応じて便宜上3つの独立した座標系に区分して取り扱うようにしている。
すなわち搭載ヘッド移動機構の座標系を、部品供給部2,部品撮像のための第3のカメラ15近傍および基板保持部10の3つのゾーンに区分し、それぞれを部品供給部座標系、部品撮像座標系および基板座標系の個別の座標系として取り扱う。換言すれば本実施の形態においては、本来は3つの独立したXY座標系を備えた電子部品搭載装置において、5つの独立したXY座標系(第1のカメラ座標系、第2のカメラ座標系、部品供給部座標系、部品撮像座標系および基板座標系)が存在するとみなして動作制御を行うようにしている。
次に、上述の3つのゾーンに設けられた座標系較正処理用の基準マークについて説明する。各基準マークは、各ゾーン内における機構誤差を排除する場合にも用いられるとともに、各ゾーンの座標系を互いに関連づける場合にも用いられる。まず図5を参照して、部品供給部2を含むゾーン1に設けられた供給部基準マークについて説明する。図5(a)に示すように、ウェハ保持テーブル3の固定位置に設けられたマークポスト18の上面には、供給部基準マークとしての認識マークA1、B1が形成されている。
図5(b)に示すように、認識マークA1、B1はゾーン1を含む座標系において、チップ6が集合した半導体ウェハ[6]の基準位置(例えばチップ6を取り出す際のピックアップ起点P1)との相対位置が固定された位置にある。マークポスト18を取り付けた後に、供給部基準マーク撮像カメラ(第1のカメラ35、第4のカメラ36)によって認識マークA1、B1を撮像して画像認識し、求められた認識マークA1,B1の位置を記憶することにより、認識マークA1、B1は部品供給部2における電子部品の基準位置と関連づけられる。電子部品の基準位置としては、ピックアップ起点P1に限らず、部品供給部2における部品位置を特定できるような線や点であればよい。
供給部基準マーク撮像カメラとして第2のカメラ35によって認識マークA1,B1を撮像した撮像結果を画像認識することにより、部品供給部2において第2のカメラ35をチップ撮像のために第2のカメラ移動機構によって移動させる場合の座標系、すなわち第
2のカメラ座標系の較正処理が行われる。また供給部基準マーク撮像カメラとして較正カメラである第4のカメラ36によって認識マークA1,B1を撮像した撮像結果を画像認識することにより、部品供給部2からチップ6をピックアップするために搭載ヘッド33を搭載ヘッド移動機構によって移動させる場合の座標系、すなわち部品供給部座標系の較正処理が行われる。
次に図6を参照して、第3のカメラ15の近傍を含むゾーン2に設けられた部品撮像カメラ基準マークについて説明する。図6(a)に示すように、基台1上の固定位置に設けられたカメラ装着ベース15a(図3も参照)の上面には、第3のカメラ15に備えられたラインセンサの受光部15bを間に挟んだ対角位置に、2つのマークポスト17が立設されている。マークポスト17の上面には、部品撮像カメラ基準マークとしての認識マークA2、B2が形成されている。
図6(b)に示すように、認識マークA2、B2はゾーン2を含む座標系において、第3のカメラ15の光学座標系の基準位置(例えば受光部15bの中心位置P2)との相対位置が固定された位置にある。マークポスト17の位置が固定された後に、較正カメラである第4のカメラ36によって認識マークA2、B2を撮像して画像認識し、求められた認識マークA2,B2の位置を記憶することにより、認識マークA2、B2は第3のカメラ15の光学座標系の基準位置と関連づけられる。光学座標系の基準位置としては、中心位置P2に限らず、第3のカメラ15の撮像視野の位置を特定できるような線や点であればよい。
認識マークA2,B2は、搭載ヘッド33を移動させて第4のカメラ36を第3のカメラ15の側方の近傍に位置させることによって撮像可能となっており、第4のカメラ36は、搭載ヘッド移動機構によって搭載ヘッド33と一体的に移動し部品撮像カメラ基準マークを撮像可能な較正カメラとなっている。この撮像結果を画像認識することにより、チップ6を保持した搭載ヘッド33を部品撮像のために第3のカメラ15の上方で移動させる際の座標系、すなわち部品撮像座標系の較正処理が行われる。
次に図7を参照して、基板保持部10を含むゾーン3に設けられた基板保持部基準マークについて説明する。図7(a)に示すように、基台1上の固定位置に設けられた基板保持部装着ベース10aの上面には、基板搬送部12に位置決めされる基板16を間に挟んだ対角位置に、2つのマークポスト11が立設されている。マークポスト11の上面には、基板保持部基準マークとしての認識マークA3、B3が形成されている。
図7(b)に示すように、認識マークA3、B3はゾーン3を含む座標系において、基板16の基準位置(例えば基板搬送部12に位置決めされた基板16のコーナ点P3)との相対位置関係が固定された位置にある。マークポスト11を取り付けた後に、基板保持部撮像カメラ(第4のカメラ36、第1のカメラ34)によって認識マークA2、B2を撮像して画像認識し求められた認識マークA3,B3の位置を記憶することにより、認識マークA3、B3は基板保持部10に保持され位置決めされた基板16の基準位置と関連づけられる。基板16の基準位置としては、コーナ点P3に限らず、基板上における部品搭載位置と関連づけられた線や点であればよい。
基板保持部基準マーク撮像カメラとして第1のカメラ34によって認識マークA3,B3を撮像した撮像結果を画像認識することにより、基板保持部10において第1のカメラ34を基板撮像のために第1のカメラ移動機構によって移動させる場合の座標系、すなわち第1のカメラ座標系の較正処理が行われる。また供給部基準マーク撮像カメラとして較正カメラである第4のカメラ36によって認識マークA3,B3を撮像した撮像結果を画像認識することにより、基板保持部10に保持された基板16にチップ6を搭載するため
に搭載ヘッド33を搭載ヘッド移動機構によって移動させる場合の座標系、すなわち基板座標系の較正処理が行われる。
また異なるカメラで共通の基準マークを認識することにより、異なる座標系を互いに関連づけることもできる。さらに較正用カメラである第4のカメラ36で、ゾーン1からゾーン3までにそれぞれ設けられた基準マークを適宜認識することにより、移動範囲が大きく拡大した場合に生じる機構誤差を排除することもできる。
上述のように各ゾーン毎に、当該ゾーンにおける動作目標との相対位置関係が特定された基準マークを設けることにより、各ゾーンにアクセスする搭載ヘッドやカメラの移動機構の位置精度が熱伸縮などに起因して経時変動する場合にあっても、電子部品搭載装置を連続稼動する過程の所定タイミングでこれらの基準マークを当該移動機構によって移動するカメラによって撮像して参照することにより、後述する座標系較正処理によって常に動作目標への移動精度を確保することができる。
上記構成においては、供給部基準マークおよび基板保持部基準マークを撮像可能な基準マーク撮像カメラとして、搭載ヘッド移動機構によって搭載ヘッド33と一体的に移動する専用の較正カメラである第4のカメラ36を用いるようにしている。また座標系較正処理の対象に応じて、基板撮像カメラである第1のカメラ34を、基板保持部基準マークを撮像する基準マーク撮像カメラとして機能させ、供給部撮像カメラである第2のカメラ35を、供給部基準マークを撮像する基準マーク撮像カメラとして機能させるようになっている。
次に、前述の各座標系において移動機構の熱伸縮等に起因する位置誤差を補正するための座標系較正処理用データ作成について説明する。上述構成の電子部品搭載装置によって部品搭載動作を反復実行する過程においては、搭載ヘッド33や、第1のカメラ34,第2のカメラ35はそれぞれの移動機構によって高頻度で移動するため、駆動モータの発熱や摺動機構の摩擦熱などによって移動機構を構成する機構各部の温度が上昇し、この温度上昇によりボールねじなどの機構要素は熱伸縮を生じる。そしてこの熱伸縮に起因して移動機構の動作精度が経時的に変動し、高精度の動作を安定して維持できないようになる。
このため本実施の形態においては、装置稼働時の所定インターバルにおいて、搭載ヘッド33や第1のカメラ34,第2のカメラ35を移動させる移動機構の状態を検出し、検出結果に応じて適正な座標補正データをその都度設定する座標系較正処理を実行するようにしている。この座標系較正処理は、前述の5つの独立したXY座標系(第1のカメラ座標系、第2のカメラ座標系、部品供給部座標系、部品撮像座標系および基板座標系)ごとにそれぞれ行われる。
ここで前述のように、搭載ヘッド移動機構の座標系について移動範囲を部品供給部、第3のカメラ近傍および基板保持部の3つのゾーンに区分したそれぞれのゾーン内において個別に座標系較正処理を行うことにより、本実施の形態に示す電子部品搭載装置のように、Y方向に長い移動ストロークを有する移動機構によって搭載ヘッドを移動させる構成においても、良好な較正精度を確保することができる。
すなわち、移動ストロークに応じて長寸法のボールねじを用いる場合には、ボールねじの熱伸縮や局部的なピッチ誤差の累積による位置決め誤差は上述のゾーンによって異なるが、以下に説明するような座標系較正処理をそれぞれのゾーン毎に行って較正処理用データを作成することにより、各ゾーンに応じた適正な位置補正を行うことができる。
次に図9,図10を参照して、座標系較正処理用データ作成処理について説明する。、
図10に示すA点は、図5,図6,図7にそれぞれ示すA1、A2、A3を,またB点は、B1、B2、B3をそれぞれ代表している。まず図9において、基準時におけるA点、B点をそれぞれ示すa点、b点の座標(Xa,Ya)、(Xb,Yb)を記憶する(ST1)。すなわち、装置組み立て完了時や保守作業完了時などにおいて、各ゾーンにおける基準マークであるA点、B点を当該ゾーン基準マーク撮像カメラによって撮像し、画像認識によってA点、B点の座標位置を求めてデータ記憶部53に記憶する。
そして装置稼働時において、座標系較正処理を実行すべきタイミングになったならば、以下を実行する。まずデータ補正時のA点の座標A(XA,YA)を画像認識により求め記憶する(ST2)とともに、データ補正時のB点の座標B(XB,YB)を画像認識により求め記憶する(ST2)。すなわち、装置稼働中の所定タイミングにて、各ゾーンにおける基準マークであるA点、B点を当該ゾーンに対応した基準マーク撮像カメラによって撮像し、画像認識によってA点、B点の座標位置を求めてデータ記憶部53に記憶する。
次いで、基準時及びデータ補正時のA点及びB点の座標のデータに基づいて、位置指令点rの座標(Xr,Yr)に対応する補正点Rの座標(XR 、YR)を算出するための座標系較正処理用データを求める(ST4)。そして求められた座標系較正処理用データをデータ記憶部53に記憶する(ST5)。
座標系較正処理用データについて説明する。(ST2)においてデータ補正時にA点、B点を撮像したとき、基準マーク撮像カメラを移動させる移動機構が熱の影響等により伸縮していれば、基準マーク撮像カメラに対して同一の制御指令が出力されていても、基準マーク撮像カメラは基準時とは伸縮分だけずれた位置まで移動した状態で基準マークを撮像する。A点、B点は部品供給部2、第3のカメラ15近傍および基板保持部10が属する各ゾーンにおける位置基準として、移動機構を構成する機構要素の伸縮の影響を受けない固定点に設けられた基準点であることから、図10に示すように、A点、B点は、一般にa点、b点には一致せず、移動機構の伸縮分だけずれた位置に検出される。
したがって、A点とa点、B点とb点との間の変位は、電子部品搭載装置を継続的に稼動することによる移動機構の位置決め精度の経時変動を示している。すなわち、移動機構による移動対象が搭載ヘッド33である場合には、この位置決め精度の変動は搭載ヘッド33によってチップ6を取り出す際や、保持したチップ6を基板15に搭載する際の位置誤差として現れる。また移動機構による移動対象がカメラである場合には、カメラ自体が本来移動すべき位置から位置ずれした状態で撮像を行うことになり、撮像によって得られた位置認識結果はこの位置ずれ分の誤差を含んだものとなる。
この経時変動による位置誤差を較正するため、本実施の形態においては、座標系較正処理用データ作成において上述の位置誤差を補正するため、図10に示す座標変換式(1)、(2)が算出され、搭載動作において搭載ヘッド移動機構やカメラ移動機構を駆動する際には、座標変換式(1)、(2)を用いて、実装データ上で位置指令点として与えられる座標値を補正するようにしている。すなわち、動作時において移動目標位置である位置指令点rが座標(Xr,Yr)によって指令されたときに、座標変換式(1)、(2)によって変換された座標(XR、YR)によって与えられる補正点Rを目標位置として移動機構を駆動する。これにより、移動機構の伸縮による位置決め誤差を極力排除した移動動作が実現される。
なお図10に示す座標変換式の導出においては次のような近似・簡略化を採用している。すなわち、ここでは熱影響等による機構要素の伸縮はX軸方向、Y軸方向ともに軸と平行に生じ、基準時における4角形abcdは角方向変位を生じることなく熱伸縮により4
角形ABCDに変化するという仮定に基づいて、座標変換式を作成している。そしてこのようにして作成された座標較正処理用データが、各座標系における移動機構の動作時の目標位置のデータ補正に用いられる。
なお上記構成においては、ゾーン1には第2のカメラ座標系および部品供給部座標系が重複しており、ゾーン1に設けられた供給部基準マークは供給部撮像カメラである第2のカメラ35,較正カメラである第4のカメラ36のいずれによっても撮像可能である。したがって、第2のカメラ移動機構の経時的な伸縮傾向が部品供給部座標系における搭載ヘッド移動機構の経時的な伸縮傾向と類似である場合には、いずれか1つのカメラによって供給部基準マークを撮像した撮像結果に基づいて、第2のカメラ座標系と部品供給部座標系の双方の座標系較正処理を行うようにしてもよい。
またゾーン3における第1のカメラ座標系と基板座標系についても、基板保持部撮像カメラである第1のカメラ35,較正カメラである第4のカメラ36のいずれによっても基板保持部基準マークを撮像可能であり、同様に第1のカメラ移動機構の経時的な伸縮傾向が基板座標系における搭載ヘッド移動機構の経時的な伸縮傾向と類似である場合には、いずれか1つのカメラによって基板保持部基準マークを撮像した撮像結果に基づいて、第1のカメラ座標系と基板座標系の双方の座標系較正処理を行うようにしてもよい。
次に図8を参照して、電子部品搭載装置の制御系の構成について説明する。図8において、機構駆動部50は、以下に示す各機構のモータを電気的に駆動するモータドライバや、各機構のエアシリンダに対して供給される空圧を制御する制御機器などより成り、制御部54によって機構駆動部50を制御することにより、以下の各駆動要素が駆動される。
X軸モータ40,Y軸モータ22は、搭載ヘッド33を移動させる搭載ヘッド移動機構を駆動する。X軸モータ43,Y軸モータ24は、第1のカメラ34を移動させる第1のカメラ移動機構を、X軸モータ46,Y軸モータ26は、第2のカメラ35を移動させる第2のカメラ移動機構をそれぞれ駆動する。また機構駆動部50は、搭載ヘッド33の昇降機構、ノズル33a(図2参照)による部品吸着機構を駆動し、エジェクタ8の昇降シリンダおよびエジェクタXYテーブル7、基板搬送部12の駆動モータを駆動する。
データ記憶部53は、実装データや部品データなどの各種のデータを記憶する。操作部51は、キーボードやマウスなどの入力装置であり、データ入力や制御コマンドの入力を行う。表示部52は、第1のカメラ34、第2のカメラ35、第3のカメラ15、第4のカメラ36による撮像画面の表示や、操作部51による入力時の案内画面の表示を行う。
第1の認識処理部55は、第1のカメラ34によって撮像した画像の認識処理を行う。すなわち基板16を撮像した画像を画像認識して基板保持部10に保持された基板16においてチップ6が実装される部品搭載位置16a(図13参照)の位置を求めるとともに、マークポスト11を撮像した画像を画像認識して図7に示す認識マークA3、B3の位置を求める。
第2の認識処理部56は、第2のカメラ35によって撮像した画像の認識処理を行う。すなわち半導体ウェハ[6](図5参照)を撮像した画像を画像認識して部品供給部2におけるチップ6の位置を求めるとともに、マークポスト18を撮像した画像を画像認識して、図5に示す認識マークA1、B1の位置を求める。第3の認識処理部57は、第3のカメラ15によって撮像した画像の認識処理を行う。すなわち搭載ヘッド33に保持されたチップ6を撮像した画像を画像認識してチップ6の位置を求める。
第4の認識処理部58は、第4のカメラ36によって撮像した画像の認識処理を行う。
すなわち搭載ヘッド33とともに部品供給部2に移動した第4のカメラ36によって撮像した画像を認識処理して、認識マークA1、B1の位置を求める。また第3のカメラ15の上方に移動した第4のカメラ36によって撮像した画像を認識処理して認識マークA2、B2の位置を求め、さらに基板保持部10に移動した第4のカメラ36によって撮像した画像を認識処理して、認識マークA3、B3の位置座標を求める。
第1の認識処理部55、第2の認識処理部56、第3の認識処理部57、第4の認識処理部58による認識結果は、制御部54に送られる。そして制御部54は、これらの画像認識結果に基づいて図10に示す座標系較正処理用データを作成する。作成された座標系較正処理用データは記憶部53に記憶される。また制御部54は、前述の画像認識結果および記憶部53に記憶された座標系較正処理用データに基づいて図8に示す機構駆動部50を制御することにより、以下に説明する制御処理を行う制御手段として機能する。
まず制御部54は、供給部撮像カメラである第2のカメラ34によって部品供給部2を撮像した撮像結果に基づいて、搭載ヘッド33および搭載ヘッド移動機構より成る部品搭載機構を制御する。これにより、搭載ヘッド33によって部品供給部2からチップ6を取り出すことができる。そして、第2のカメラ34による部品供給部2の撮像に先立って、供給部基準マーク撮像カメラとしての第2のカメラ35によって供給部基準マークを撮像した撮像結果に基づいて供給部撮像カメラ移動手段を制御して、第2のカメラ35を移動させる。
また制御部54は、較正カメラである第4のカメラ36によって部品撮像カメラ基準マークを撮像した撮像結果に基づいて、すなわちこの撮像結果に基づいて作成された部品撮像座標系の座標系較正処理用データを加味して、搭載ヘッド移動機構を制御して搭載ヘッド33を部品撮像カメラである第3のカメラ15に対して移動させる。そして第3のカメラ15による撮像結果に基づいて、チップ6を基板16の部品搭載位置へ搭載する。
さらに制御部54は、基準マーク撮像カメラによる供給部基準マークの撮像結果に基づいて、すなわちこの撮像結果に基づいて作成された部品供給部座標系の座標系較正処理用データを加味して、搭載ヘッド移動機構を制御することにより、搭載ヘッド33によってチップ6を部品供給部2から取り出す。そして、基準マーク撮像カメラによる基板保持部基準マークの撮像結果に基づいて、すなわちこの撮像結果に基づいて作成された基板座標系の座標系較正処理用データを加味して、搭載ヘッド移動機構を制御することにより、搭載ヘッド33に保持されたチップ6を基板16の部品搭載位置16aに搭載する。
この電子部品搭載装置は上記のように構成されており、以下電子部品実装方法について図11,図12,図13,図14を参照して説明する。図11,図12には、電子部品実装方法における一連の処理ステップが分割して記載されている。この電子部品実装方法においては、図13に示すように、部品供給部2からチップ6を搭載ヘッド33によって取り出し、基板保持部10に保持された基板16に搭載する。
図11において、まず基準時における各基準マークの座標データを記憶する(ST11)。この処理は、前述のように装置組み立て完了時や保守作業完了時などに実行されるものである。次に、装置稼動を継続する過程の所定タイミングにおいて、第1のカメラ座標系、第2のカメラ座標系、部品撮像座標系、部品供給部座標系および基板座標系の座系較正処理用データを求めてデータ記憶部53に記憶する(ST12)。すなわち、(ST11)、(ST12)においては、図9,図10に示す座系較正処理用データ作成処理が、図5,図6,図7に示す基準マークを認識することにより上述の各座標系について実行される。
この後、部品供給部2からチップ6を取り出して基板16に搭載する搭載動作が実行される。まず取り出し対象のチップ6の位置検出のために、第2のカメラ35によるチップ6の撮像が開始され、第2のカメラ35を移動させる目標位置であるチップ撮像位置指令点が指令される。この時、(ST12)において既に作成された第2のカメラ座標系の座標系較正処理用データに基づいて、チップ撮像位置指令点の座標に対応するチップ撮像補正点の座標データを算出する(ST13)。そして第2のカメラ35を、チップ撮像補正点に移動させてチップ6を撮像し、画像認識によりピックアップ位置指令点を算出する(ST14)。
すなわち図13(a)に示すように、第2のカメラ35を第2のカメラ移動機構により部品供給部2の上方のチップ撮像補正点に移動させ、ピックアップしようとする複数(2個)のチップ6を第2のカメラ35によって撮像し、撮像した画像を第2の認識処理部56で認識処理して複数のチップ6の位置、すなわちピックアップ位置指令点を求める。この時、第2のカメラ移動機構の熱伸縮による位置誤差が補正されていることから、第2のカメラ35を正しい撮像位置に移動させて、位置認識精度を確保することができる。
その後、図13(b)に示すように、第2のカメラ35をこれらのチップ6の上方から退避させる。次いで、第2のカメラ35によるチップ6の認識結果と部品供給部座標系の座標系較正処理用データに基づいて、(ST14)にて算出したピックアップ位置指令点の座標に対応するピックアップ補正点の座標データを算出する(ST15)。そして図3(b)に示すように、搭載ヘッド33をピックアップ補正点に移動させて、2つのチップ6を順次ピックアップする(ST16)。このとき、搭載ヘッド移動機構の熱伸縮による位置誤差が補正されていることから、ノズル33aを正しくチップ6に位置合わせして、ピックアップミスの少ない安定した動作が実現される。
このピックアップ動作と並行して、基板認識動作が実行される。まず、(ST12)で求められた第1のカメラ座標系の座標系較正処理用データに基づいて、実装データにより指令される基板撮像位置指令点の座標に対応する基板撮像補正点の座標データを算出する(ST17)。そして、第1のカメラ移動機構により第1のカメラ34を基板撮像補正点に移動させて基板を撮像し、画像認識により部品搭載位置を求める(ST18)。
すなわち、図13(b)に示すように、基板保持部10に保持された基板16上に移動させ、基板16に設定された部品搭載位置のうち、左側の2つの部品搭載位置16aを画像取り込み対象として第1のカメラ34を順次移動させて、これらの部品搭載位置16aを撮像して画像を取り込み、その後第1のカメラ34をこの基板16の上方から退避させる。そして第1のカメラ34で撮像した画像を第1の認識処理部55で処理して、基板16の部品搭載位置16aの位置を求める。
次に第3のカメラ15による部品認識が行われる。まず(ST12)にて既に作成された第3のカメラ座標系の座標系較正処理用データに基づいて、認識位置指令点の座標に対応する認識位置補正点の座標データを算出する(ST19)。次いで図14(a)に示すように、チップ6を保持した搭載ヘッド33を認識位置補正点を基準として移動させて下方からチップ6を撮像し、画像認識により部品撮像座標系におけるチップ6の位置ずれ量を求める(ST20)。このとき、搭載ヘッド移動機構の伸縮による位置誤差が補正されていることから、ノズル33aを正しく第3のカメラ15の受光部15bに対して位置合わせして正しい画像を取得することができ、正確なチップ6の位置ずれ量を求めることが可能となる。
次に部品搭載位置の位置認識結果とチップ6の位置ずれ量とに基づいて、搭載位置指令点を算出する(ST21)。次いで搭載動作に移行する。まず基板座標系の座標系較正処
理用データに基づいて、搭載位置指令点の座標に対応する搭載補正点の座標データを算出する(ST22)。次に図14(b)に示すように、搭載ヘッド33を基板16の搭載補正点に移動させ、保持したチップ6を基板16の部品搭載位置16aに搭載する(ST23)。そして搭載ヘッド33によるチップ6の搭載中に、第2のカメラ35を部品供給部2において次にピックアップされる複数のチップ6の上方に移動させ、複数のチップ6を第2のカメラ35で撮像する。この後、上述と同様の各ステップが反復実行される。
上述の電子部品搭載動作においては、供給部撮像カメラである第2のカメラ35による撮像結果に基づいて部品搭載機構を制御するとともに、供給部基準マーク撮像カメラとして機能する第2のカメラ35による撮像結果に基づいて、供給部撮像カメラ移動手段を制御するようにしている。また較正カメラである第4のカメラ36による撮像結果に基づいて、搭載ヘッド移動機構を制御することによりチップ6を保持した搭載ヘッド33を部品撮像カメラである第3のカメラ15に対して移動させるとともに、第3のカメラ15による撮像結果に基づいて搭載ヘッド移動機構を制御することにより、搭載ヘッド33に保持されたチップ6を基板16の部品搭載位置16aに搭載するようにしている。
さらには、基準マーク撮像カメラである第4のカメラ36による供給部基準マークの撮像結果に基づいて搭載ヘッド移動機構を制御することにより、搭載ヘッド33によってチップ6を部品供給部2から取り出すとともに、第4のカメラ36による基板保持部基準マークの認識結果に基づいて搭載ヘッド移動機構を制御することにより、搭載ヘッド33に保持されたチップ6を基板16の部品搭載位置16aに搭載するようにしている。
上記説明したように、本実施の形態に示す電子部品搭載装置においては、第1のカメラ座標系、第2のカメラ座標系、部品撮像座標系、部品供給部撮像系および基板撮像系の5つの座標系について、各座標系による移動範囲内の基準位置として設けられた基準マークを参照して、移動機構の伸縮やねじれに起因する位置決め精度の経時変動を補正するための座標系較正処理を実行するようにしている。
これにより、カメラ移動機構の伸縮やねじれなどの経時変動による機構誤差の影響を最小限にして、部品供給部2におけるチップ認識時や基板保持部10における基板認識時のカメラ移動位置を正しく保ち、位置認識精度を確保することができる。また、搭載ヘッド移動機構の伸縮やねじれなどの経時変動による機構誤差の影響を最小限にして、部品供給部2から安定したピックアップ精度でチップを取り出すことができるとともに、第3のカメラ15による部品認識時、基板保持部10におけるチップ搭載時において安定した搭載動作精度をすることができる。
なお上記実施の形態においては、上述の5つの座標系の全てについて座標系較正処理を実行するようにしているが、必ずしも全ての座標系について座標系較正処理を実行する必要はない。すなわち、各座標系において経時変動によって生じる位置ずれを定量的に求め、位置ずれの実装品質に対する影響度合いと座標系較正処理を実行することによるタクトタイムの遅延などの負荷とを勘案して、座標系較正処理の採否を決定する。