JP4222094B2 - 膜上固相化物の抽出方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタンパク質やペプチドなどの生体分子が展開して固相化された媒体からその生体分子を抽出して分析装置の試料として供するための抽出方法とその装置に関するものである。
このような生体分子の分析は、化学、工業、臨床、バイオ分野その他の分野で広く利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
電気泳動、薄層クロマトグラフィーなどの分析方法によりゲルに展開されたタンパク質などの生体分子は、目的とする領域をゲルごと切り出し、消化液により消化して分析装置の試料としている(特許文献1参照。)。しかし、ゲルを切り出すには少なくとも数ミリメートル程度の大きさが必要であるため、更に小さい領域について分析を行うことができない。
【0003】
そこで、ゲルに展開された試料分子をメンブレンに転写して固相化し、そのメンブレン上の分析しようとする領域に消化液を微量吐出して消化した後、その位置にマトリクス溶液を吐出し、MALDI(マトリクス支援レーザーイオン化)−MS(質量分析)により直接に質量分析することが行なわれている。これをケミカルプリンター方式と呼んでいる。
【0004】
【特許文献1】
特表2001−504938号公報
【特許文献2】
WO98/47006号公開公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ケミカルプリンター方式によれば、メンブレンの表面上に保持されているタンパク質などの生体分子はMALDI−MSにより検出することができるが、膜の内部に保持された試料分子はイオン化するためのレーザー光が膜の内部までは当らないため、イオン化しにくく、質量分析では検出することができない。また、仮にイオン化できたとしても、表面に保持されている試料分子と内部に保持されている試料分子とでは検出器に到達する時間にずれが生じ、質量数にずれが生じて正確な測定が困難になる。
【0006】
また、ESI(エレクトロスプレーイオン化)−MS分析という方法もあるが、この場合にはメンブレンに保持された試料分子をメンブレンとともに切り取り、溶液状態の試料とする必要がある。
【0007】
そこで、本発明はMALDI−MSやESI−MSなどの分析装置の試料として溶液状態で得ることができるようにするとともに、生体分子の試料を保持した媒体を切り取ることを不要にし、微小な領域の試料でも抽出できるようにすることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の抽出方法は、膜上に固相化された目的生体分子を抽出する方法であり、
(A)生体分子の固相化物を保持した媒体上で抽出しようとする固相化物領域を指定する工程、
(B)先端に使い捨て可能なディスポーサブルチップが取り付けられた分注器のノズル先端の前記媒体に対する平面内方向及び垂直方向の位置をそれぞれ光センサーにより検出してそのノズル先端位置を補正する工程、
(C)工程(B)で補正されたノズル先端位置を基にしてそのノズルを工程(A)で指定した固相化物領域に移動する工程、及び
(D)その固相化物領域に抽出液を分注し、抽出液に溶解した生体分子を抽出液とともにそのノズルにより吸引する工程を備え、
工程(D)での抽出液分注と抽出液吸引をノズル先端と前記媒体とが抽出液の液滴を介して接触する状態で行なうとともに、そのノズル位置の状態において同じ抽出液による吐出と吸引を複数回繰り返す抽出方法である。
【0009】
ここで、本発明が対象とする生体分子とは、タンパク質、ペプチド、核酸(DNA及びRNA)、糖、脂質など生体高分子を意味している。
本発明では、固相化物を抽出液により溶解して吸引するので、生体分子の試料を保持した媒体を切り取る必要がなく、溶液状態で得ることができる。その抽出液は媒体上に分注しノズルにより吸引するので、微小な領域の試料でも抽出できる。
【0010】
抽出液の分注位置精度としては、媒体に対して平面内のX方向、y方向、及び高さ方向のZ方向に対してそれぞれ数十μm以下が要求されることがある。本発明では、分注器のノズル先端位置をセンサーにより検出してそのノズル先端位置を補正するようにしているので、必要な分注位置精度を満たすのが容易になる。
【0011】
この方法を実施するために、本発明の膜上固相化物抽出装置は、生体分子の固相化物を保持した媒体を支持する保持台と、前記媒体上での固相化物領域の位置を特定する読取り装置と、先端に使い捨て可能なディスポーサブルチップを取り付ける形式のノズルを備え、そのノズルにより、前記媒体上に抽出液を分注するとともに、分注された抽出液を吸引する分注・吸引機構と、前記ノズルの先端の前記媒体に対する平面内方向及び垂直方向の位置の基準位置をそれぞれ検出する光センサーと、前記媒体に対するノズルの位置決めを行う位置決め機構と、前記読取り装置により位置が特定された固相化物領域を指定することができ、前記光センサーにより検出された基準位置を基にして、指定された固相化物領域への前記ノズルの位置決めを制御するとともに、前記分注・吸引機構による抽出液分注動作と抽出液吸引動作を制御する制御装置とを備えている。制御装置はノズル先端と前記媒体とが抽出液の液滴を介して接触するようにノズルを位置決めした状態において同じ抽出液による分注と吸引を複数回繰り返すように分注・吸引機構による抽出液分注動作と抽出液吸引動作を制御する。
【0012】
【発明の実施の形態】
工程(D)の抽出液吐出と抽出液吸引をノズル先端と媒体とが抽出液の液滴を介して接触する状態で行なうようにすれば、操作が簡単で正確に抽出できるようになる。抽出液の吐出と吸引を複数回繰り返すことにより、短時間で抽出を行なうことができるようになる。
【0013】
目的とする生体分子がタンパク質のような巨大高分子で、その構造解析を目的としているような場合には、その生体分子をそのままで抽出するよりも消化してペプチドやアミノ酸に分解したものを試料とする方が好都合な場合がある。そのような場合には、工程(D)の抽出液分注に先立って、抽出しようとする生体分子を消化するために、媒体上の指定した領域に消化液を分注する工程を設けることが好ましい。
【0014】
また、媒体が疎水性である場合には、指定した領域の媒体中に抽出液や消化液が浸透していくのを容易にするために、工程(D)の抽出液分注に先立って、又は抽出液分注に先立って消化液を分注する場合にはその消化液分注に先立って、指定した領域の媒体上にに界面活性剤を分注する工程を設けることが好ましい。
【0015】
抽出しようとする目的生体分子間の汚染を防ぐためには、ノズルは先端に使い捨て可能なディスポーザブルチップを取り付ける形式のものであることが好ましい。ディスポーザブルチップを取り付けたノズル先端の位置精度は、媒体に対して平面内のX方向、Y方向、及び高さ方向のZ方向に対してそれぞれ数百μmと大きくずれることがある。しかし、本発明ではディスポーザブルチップを取り付けたノズルであっても、ディスポーザブルチップを取り付けた状態のノズル先端位置をセンサーにより検出してそのノズル先端位置を補正するので、必要な分注位置精度を満たすのが容易になる。
【0016】
抽出装置に、制御装置が、媒体の種類、面積、抽出液の分注量、抽出液の液性、及び抽出液分注時のノズル先端と媒体との距離のうち、少なくとも1つを含む抽出条件を保持するデータベースを備え、そのデータベースに保持された抽出条件に基づいて分注・吸引機構の位置決め、分注・吸引機構による抽出液分注動作及び抽出液吸引動作を制御するものとすれば、操作性が向上する。
【0017】
抽出液の分注に先立って消化液を分注できるようにするためには、好ましい態様の抽出装置は、媒体上に消化液を分注する消化液分注機構をさらに備え、制御装置は媒体に対する消化液分注機構の位置決めと消化液分注動作も制御するものとすることができる。
【0018】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
図1は一実施例の抽出装置を概略的に表したものである。
2は保持台で、その上に生体分子の固相化物を保持した媒体であるメンブレン4を固定して支持する。メンブレン4への試料の固相化は、ゲルその他の泳動媒体に試料を展開させた後、メンブレン4に転写することにより行なうことができる。このような固相化に使用されるメンブレンの材質としては、PVDF(polyvinylidene difluoride)、ニトロセルロース、ナイロン(登録商標)又はその派生物等を挙げることができる。いま、例えば、メンブレン4上に生体試料としてタンパク質スポットが電気泳動ゲルから転写されて固相化され、色素により染色されて可視化されているものとする。
【0019】
保持台2上のメンブレン4上で可視化されたタンパク質スポットの位置を特定するために、保持台2の上方には読取り装置としてCCDカメラ6が設置されている。CCDカメラ6に替えてスキャナなど、他の読取り装置を設置してもよい。CCDカメラ6により読み取られたメンブレン4上の画像データは、制御部であるパーソナルコンピュータ(PC)8に取り込まれ、そのモニターに表示される。モニターへの表示画面の一例は、図2に示すようなものであり、取り込まれたタンパク質スポットの画像がモニター画面10中に表示される。パーソナルコンピュータ8ではそのモニター画面10上に表示されたスポットA上にカーソルを移動し、入力することにより抽出しようとするタンパク質スポットを指定することができる。
【0020】
媒体4上に消化液を分注するために、消化液分注機構の吐出ヘッド12が保持台2の上方に配置されている。吐出ヘッド12としては、ピエゾ素子を備えたヘッドで微量の液を吐出できる機構を備えたものを使用し(特許文献2参照。)、微量の消化液をメンブレン4上に吐出することができるようになっている。吐出ヘッド12はメンブレン4上方で水平面内のX,Y方向に移動して位置決めすることができるように、位置決め機構(図示略)に支持されており、8により制御されてメンブレン4上の指定されたスポット位置に位置決めされる。14はヘッド12からの消化液の吐出を制御する消化液分注制御部であり、パーソナルコンピュータ8により指定されたタンパク質スポットに所定量の消化液を分注する。
【0021】
メンブレン4上の指定されたタンパク質スポット上に抽出液を分注し、分注した抽出液を再び吸引するために分注・吸引機構のノズルを備えたプローブ16が保持台2の上方に設置されている。プローブ16は抽出液の分注機構と吸引機構を兼ねたものである。プローブ16のノズルの先端には使い捨て可能なディスポーザブルチップ18が着脱可能に装着される。ディスポーザブルチップ18としては、チップ内部にフィルタや担体を保持したものであってもよく、そのような部材を保持していないものであってもよい。プローブ16は位置決め機構に支持されており、その位置決め機構はPC8により制御されてプローブ16をメンブレン4上方で水平面内のX,Y方向に移動させてメンブレン4上の指定されたスポット位置に位置決めする機構(図示略)と、プローブ16を上下方向(Z軸方向)に移動させてプローブ16から所定の高さの位置に位置決めするZ軸方向位置決め機構を備えている。Z軸方向位置決め機構は駆動モーター20を備え、Z軸制御部22により駆動モーター20の駆動が制御されて高さ方向の位置決めがなされる。
【0022】
プローブ16のノズルの基準位置をディスポーザブルチップ18が装着された状態で検出するためにセンサー32が保持第2の近傍に配置されている。センサー32としては、図3に示されるように、水平面内のX方向とY方向、及び高さ方向のZ方向の3方向の位置を検出するように、3つのセンサー32x,32y及び32zが配置されている。これらのセンサー32x,32y及び32zの好ましい例としては、ホトインタラプタなどの光によるセンサーを用いることができる。ノズルの先端(チップ18が装着されているときはチップ18の先端)がセンサー32xを通過することによりノズル先端のX軸での基準位置が検出され、センサー32yを通過することによりノズル先端のY軸での基準位置が検出され、センサー32zを通過することによりノズル先端のZ軸での基準位置が検出される。それらのセンサー32x,32y及び32zによる検出値はパーソナルコンピュータ8に取り込まれ、ノズル先端の基準位置が補正される。パーソナルコンピュータ8はその補正したノズル先端の基準位置を基にして、指定された固相化物領域へのノズルの位置決めを制御する。
【0023】
プローブ16から抽出液を分注し、その分注した抽出液を吸引するために、プローブ16にはシリンジポンプ24が接続されている。シリンジポンプ24の駆動はシリンジ分注制御部26によりシリンジポンプ24のモーター27を介して制御される。
【0024】
28はデータベースであり、使用するメンブレンの種類、面積、抽出液の分注量、抽出液の液性、及び抽出液分注時のノズル先端とメンブレンとの距離のうち、少なくとも1つを含む抽出条件を保持している。パーソナルコンピュータ8は、データベース28に保持された抽出条件に基づいて、プローブ16による抽出液分注動作及び吸引動作を制御する。
パーソナルコンピュータ8は、読取り装置6により位置が特定された固相化物領域を指定することができ、センサー32により検出された基準位置を基にして、指定された固相化物領域へのノズルの位置決めを制御するとともに、分注・吸引機構による抽出液分注動作と抽出液吸引動作を制御する制御装置を実現している。
【0025】
この実施例の装置で、メンブレン4に固相化された試料スポットを抽出する際には、プローブ16が、指定されたスポットの位置に移動し、所定の距離まで下降する。このときの高さは、図4に示されるように、プローブ16のノズルに付けられたチップ18の先端とメンブレン4の間に抽出液の液滴30が介在してその液滴30を介してチップ18とメンブレン4が接触する状態になる高さであり、例えばチップ18の先端とメンブレン4の間の距離が1mmあるいはそれ以下というような微小な間隔に保たれる。その状態で、抽出液の液滴30をチップ18から分注し、その液滴30がチップ18の先端とメンブレン4に接触した状態で抽出液の吐出と吸引の動作を複数回繰り返す。これにより抽出液に溶解したメンブレン4中の生体分子がチップ18内に吸引される。このとき抽出する対象のメンブレン4の種類、その面積、抽出液の分注量、抽出液の液性、抽出液分注時のノズル先端とメンブレンとの距離などはパラメータとしてデータベース28にデータベース化されて保持されており、抽出したい条件、例えばPVDF膜に固相化された試料を抽出液1μL(マイクロリットル)で抽出するというように、条件を入力することによって、最適な抽出制御がなされる。チップ18に吸引された抽出液は、質量分析用のプレートに吐出され、続いてマトリクス溶液がその抽出液状に吐出された後、乾燥させられることにより、MALDI−MS分析の試料となる。また、抽出された抽出液はESI−MS分析の試料としても使用することができる。
【0026】
実施例では、保持台2が固定されていて、ヘッド12やプローブ16が保持台2の上方でX,Y方向に移動するようにしているが、ヘッド12やプローブ16のX,Y位置を固定しておき、保持台2をX,Y方向に移動するX−Yステージとしてもよい。
【0027】
この実施例の装置を用いて、タンパク質試料を消化した後に抽出する動作について具体的に説明するが、もちろんこれは一例にすぎず、本発明の用途を限定するものではない。ここでは、メンブレン4として疎水性のPVDF膜を使用するため、ウエッティング液として界面活性剤をメンブレン4の所定位置に吐出する。そのための吐出ヘッドは図1には記載されていないが、消化液用の吐出ヘッド12と同様のピエゾ素子を備えたヘッドで微量の液を吐出できる機構を備えたものを使用する。
【0028】
(1)電気泳動によりゲルに展開したタンパク質が転写されて固相化されたPVDF膜からなるメンブレン4を保持台2に固定する。メンブレン4上のタンパク質スポットは、Direct Blue 71色素により染色し可視化しておく。CCDカメラ6により、その可視化されたタンパク質プロットが画像として取り込まれるので、抽出しようとするタンパク質スポットをPCモニター部10で指定する。
【0029】
(2)指定されたタンパク質スポットの位置にウエッティング液用の吐出ヘッドが移動し、各タンパク質スポットにnL(ナノリットル)レベルのウエッティング液を吐出する。ウエッティング液としては、50%のメタノール水溶液にポリビニルピロリドンが1%(W/V)の濃度になるように溶解した溶液を使用する。ウエッティング液用の吐出ヘッドから吐出される1つの液滴は約100pL(ピコリットル)であり、それを同じ場所に70滴吐出することにより、各タンパク質スポットに約7nLずつのウエッティング液を吐出する。
【0030】
(3)次に、ウエッティング液が吐出されたタンパク質スポットの位置に消化液用ヘッド12が移動し、消化液としてトリプシン溶液を吐出する。トリプシン溶液としては、25mMの炭酸水素アンモニウム水溶液にトリプシンが200μg/mLの濃度となるように溶解した溶液を使用する。このヘッド12による1液滴量も100pLであり、それを同じ場所に20滴(約2nL)吐出する動作を25回繰り返し、消化液量として約50nLを分注する。
【0031】
(4)指定された全てのタンパク質スポットに消化液が分注された後、メンブレン4を水で湿らせたペーパータオルとともに容器に密封した湿潤条件で、37℃で3時間インキュベートする。
【0032】
(5)その後、そのメンブレン4を保持台2に戻し、抽出しようとするタンパク質スポットに抽出液として1μLの0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)溶液をプローブ16のノズル先端のチップ18から分注し、図4に示した状態で吐出と吸引を複数回繰り返えす。タンパク質スポットではタンパク質が消化液により消化されてペプチドとなっており、抽出液に溶解してチップ18に吸引される。
このとき、ノズル先端のチップ18の位置決めを正確に行なうようにするために、チップ18の先端の基準位置がセンサー32で検出され、その検出値によりチップ18の先端位置が補正される。
チップ18に吸引した抽出液は、MALDI−MSターゲットプレートへ吐出する。
【0033】
(6)そのプレート上に吐出された抽出ペプチド液に、1μLのマトリクス溶液を添加する。マトリクス溶液としては50%アセトニトリル水溶液にα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸を10mg/mLとなるように溶解させ、TFAが0.05%になるように含んだ溶液を使用する。
【0034】
(7)抽出ペプチド液とマトリクス液を乾燥させた後、そのプレートをMALDI−MS装置に装着し、分析を行なう。
【0035】
【発明の効果】
本発明では、生体分子の固相化物を保持した媒体上で抽出しようとする固相化物領域を指定し、その指定した領域に抽出液をノズルにより分注し、抽出液に溶解した生体分子を抽出液とともにそのノズルにより吸引するようにしたので、生体分子の試料を保持した媒体を切り取る必要がなく、溶液状態で得ることができる。その際、ノズルはセンサーにより基準位置が検出されて補正され、正確に位置決めされるので、微小な領域の試料でも抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】抽出装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】同実施例におけるモニター画面の例を示す正面図である。
【図3】同実施例におけるセンサーを示す斜視図である。
【図4】同実施例における抽出動作を示すノズル部分の正面図である。
【符号の説明】
2 保持台
4 メンブレン
6 CCDカメラ
8 パーソナルコンピュータ
10 モニター画面
12 消化液用吐出ヘッド
14 消化液分注制御部
16 プローブ
18 ディスポーザブルチップ
22 Z軸制御部
24 シリンジポンプ
26 シリンジ分注制御部
28 データベース
32,32x,32y,32z センサー
Claims (6)
- 膜上に固相化された目的生体分子を抽出する方法において、
(A)生体分子の固相化物を保持した媒体上で抽出しようとする固相化物領域を指定する工程、
(B)先端に使い捨て可能なディスポーサブルチップが取り付けられた分注器のノズル先端の前記媒体に対する平面内方向及び垂直方向の位置をそれぞれ光センサーにより検出してそのノズル先端位置を補正する工程、
(C)工程(B)で補正されたノズル先端位置を基にしてそのノズルを工程(A)で指定した固相化物領域に移動する工程、及び
(D)その固相化物領域に抽出液を分注し、抽出液に溶解した生体分子を抽出液とともにそのノズルにより吸引する工程を備え、
工程(D)での抽出液分注と抽出液吸引をノズル先端と前記媒体とが抽出液の液滴を介して接触する状態で行なうとともに、そのノズル位置の状態において同じ抽出液による分注と吸引を複数回繰り返すことを特徴とする抽出方法。 - 工程(D)の抽出液分注に先立って、抽出しようとする生体分子を消化するために、指定した前記領域に消化液を分注する請求項1に記載の抽出方法。
- 前記媒体が疎水性であり、工程(D)の抽出液分注に先立って、又は抽出液分注に先立って消化液を分注する場合にはその消化液分注に先立って、指定した前記領域に界面活性剤を分注する請求項1又は2に記載の抽出方法。
- 生体分子の固相化物を保持した媒体を支持する保持台と、
前記媒体上での固相化物領域の位置を特定する読取り装置と、
先端に使い捨て可能なディスポーサブルチップを取り付ける形式のノズルを備え、そのノズルにより、前記媒体上に抽出液を分注するとともに、分注された抽出液を吸引する分注・吸引機構と、
前記ノズルの先端の前記媒体に対する平面内方向及び垂直方向の位置の基準位置をそれぞれ検出する光センサーと、
前記媒体に対するノズルの位置決めを行う位置決め機構と、
前記読取り装置により位置が特定された固相化物領域を指定することができ、前記光センサーにより検出された基準位置を基にして、指定された固相化物領域への前記ノズルの位置決めを制御するとともに、前記分注・吸引機構による抽出液分注動作と抽出液吸引動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置はノズル先端と前記媒体とが抽出液の液滴を介して接触するようにノズルを位置決めした状態において同じ抽出液による分注と吸引を複数回繰り返すように前記分注・吸引機構による抽出液分注動作と抽出液吸引動作を制御するものであることを特徴とする膜上固相化物の抽出装置。 - 前記制御装置は、前記媒体の種類、面積、抽出液の分注量、抽出液の液性、及び抽出液分注時の前記ノズル先端と媒体との距離のうち、少なくとも1つを含む抽出条件を保持するデータベースを備え、そのデータベースに保持された抽出条件に基づいて前記ノズルの位置決め、前記分注・吸引機構による抽出液分注動作及び抽出液吸引動作を制御するものである請求項4に記載の抽出装置。
- 前記媒体上に消化液を分注する消化液分注機構をさらに備え、前記制御装置は前記媒体に対する前記消化液分注機構の位置決めと消化液分注動作も制御するものである請求項4又は5に記載の抽出装置。
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