JP2003502659A - 化合物の高分解能分離分析装置及び方法 - Google Patents

化合物の高分解能分離分析装置及び方法

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Abstract

(57)【要約】 一端にオリフィス(504)を有し、他端に開口を有する管(505)を備えた微量分取装置(507)。管の表面には、圧電変換器(503)が接触しており、変換器に印加された電気信号に応答して管に圧力パルスを加えるように構成されている。この圧力パルスにより、液体が管を通り抜ける。管の内部には、液体内の1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段(601)が配置されている。液体が分取されると、液体は分離手段を通過し、化合物が分離される。その後、管が洗浄され、化合物が溶離または除去される。溶離された化合物は、X−Y目標上に配列され、MALDI-TOF質量分析計で分析される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、微量分取装置及びシステムを用いて化合物、特に、生体分子を分離
及び分析する装置と方法に関する。
【0002】 (背景技術) 分析用の高感度システムの開発により、化合物分析の感度と特異性が向上しつ
つある。残念なことに、極めて低濃度で非常に少量の化合物を取り扱うシステム
の開発は、分析技術にまだ追いついていない。検査や分析のために限られた濃度
の化合物を含む少量の試料しか利用できないという状況は多数存在する。現在の
試料採取技術は、これらの状況の多くで限定的に利用されている。
【0003】 質量分析法(MS)は、タンパク質、ペプチド、グリコペプチド及びその他変性
を有するペプチド、脂質、オリゴ糖及びオリゴヌクレオチド(本明細書では、総
称的に生体分子と呼ぶ)の断片を分析して非常に精確な質量を得ることができる
ので、それらの特性を同定する好ましい方法である。このデータは、生体分子の
断片形成パターンとともに、既知の全ての生体分子の配列を収めたデータベース
を照会する。
【0004】 生体分子は、MSによる検査の前に、様々なクロマトグラフィ技術を利用して互
いに分離されるとともにその緩衝となる環境からも分離されるのが普通である。
そのような精製された生体分子の特性同定は、その断片を分析することで行われ
る場合が多い。それには、タンパク質の場合、タンパク質を特異的に切断して断
片化するトリプシン等の酵素を利用することが必要である。混合物から生体分子
断片を分離するため、その断片が、官能基で誘導体化されたシリカビーズ等の固
定相を通り抜けるようにしてもよい。
【0005】 通常、断片の分離は、液体クロマトグラフィ法−エレクトロスプレーイオン化
法−質量分析法(LC-ESI-MS)によるペプチドの分析のために利用される。LC-ES
I-MSの場合、ペプチドの試料は、質量分析計に入る前に電荷を吸収する液滴の形
で導入される。しかしながら、この手法は、液体界面がないマトリックス支援レ
ーザ脱離イオン化法(MALDI)の場合には機能しない。上記と異なり、ペプチド
は紫外線吸収マトリックスを介して荷電状態を呈する。MALDIにおいては、一般
的に、ポストソース分解(PSD)と呼ばれる技術を使用して断片形成データを作
成する。PSD実験を実施する前にペプチドを分離する必要はないが(イオン選択
によって候補ペプチドが選択される)、その工程は自動化されていないし、ロバ
ストでもない。多数の候補ペプチドが近傍のイオンによって抑制されるため、選
択するのに足りるほどにはイオン化されない。
【0006】 いくつかの研究グループは、試料が液体クロマトグラフィ(LC)カラムから収
集され、MALDI-TOF MS(MALDI−飛行時間型質量分析法)試料プレート上に手動
で沈着されるLCインタフェースをMALDIに対して実施している。その後、紫外線
吸収マトリックスが手動で加えられる。最近では、LCカラムからの画分とMALDI
マトリックスの両方をMALDI-TOF MS試料プレート上に自動的に点在させる装置が
開発されている。しかしながら、分取量が1μL程度と多く、ペプチドを含まな
い大量の溶液も沈着される。
【0007】 発明者らは化合物捕獲機能が組み込まれた微量分取装置を開発した。本微量分
取装置は、適切なシステム内で使用される場合は、試料から分離された化合物の
1個のあるいは多数個のスポット(spot)を、好ましくはアレイ状に、目標の上に
沈着させることができる。捕獲機能を組み込んだことにより、生体分子断片など
の化合物の分離と凝縮が可能になり、質量分析法あるいは酵素的手法を利用して
その後の断片化実験にとって理想的な基質を提供することができる。画分が直接
目標の上に収集されるので、システム次第では、MALDIの高スループット特性を
犠牲にすることなく、LC-ESI-MS手法の場合と同様に、分析を非常に高感度にす
ることができる。
【0008】 (発明の開示) 第1の特徴では、本発明は、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取す
る微量分取装置であって、 (a) 一端にオリフィスを備え、他端に開口を備えた噴射管と、 (b) 上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答して該噴射管に圧
力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させるよう構成された変
換器と、 (c) 上記噴射管を通過する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または
保持する手段とを備えた微量分取装置を提供する。
【0009】 好ましい実施形態では、上記微量分取装置は、少なくとも直径約5μMの滴状
の精確な量の液体を分取するよう構成されている。一般に、化学及び生物学用途
では、約50ないし200μMの滴径が使用される。この滴径は質量分析計器で
のレーザ検査に都合がよい。好ましい形態では、沈着量は、レーザビームの径が
沈着スポット(約50ないし100μM)に等しくなるにようにされる。液体を
オリフィスに通過させると、小さな液滴が形成される。
【0010】 少量とは、通常、約1μL未満であり、好ましくは、状況により約0.1μM
あるいは約0.1μM未満である。本装置は、スプレー状に使用される場合、液
滴状ではない形で多量に分取することができる。この種の液体分取方法を利用す
ることにより、噴射管を洗浄もしくは軽く洗浄することができる。上記噴射管は
、通常、ガラス製であるが、金属、プラスチック等、その他の物質が使用されて
もよい。
【0011】 本発明に適した変換器は、圧電式、磁歪式、電歪式または電気機械式である。
好ましくは、圧電式である。変換器用の適切な圧電材料には、ジルコン酸チタン
酸鉛(pzt材料)等がある。
【0012】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、どのような形の反
応性材料であってもよく、一般には、固定相の形で提供される。適切な固定相材
料としては、以下に限定されるものではないが、クロマトグラフィ材料、基質や
、化合物を結合及び遊離可能な反応性基、化合物を結合及び遊離可能な表面活性
基、固定化型配位子等を有する物理的パッキンや、誘導体化表面等がある。
【0013】 上記固定相は、好ましくは、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)カラムパッ
キンの形をした誘導体化固定相材料である。
【0014】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、上記噴射管と関連
していたり、噴射管内のどこかに配置されたり、噴射管の内面の一部を形成する
ことができる。
【0015】 上記微量分取装置は、同じあるいは別個の変換器に制御される複数の噴射管を
備えていてもよい。上記複数の噴射管は、1つ以上の化合物を収集、捕獲または
保持する同じあるいは別々の手段を有していてもよい。
【0016】 上記装置は、再利用されてもよいし、廃棄されてもよいし、異なる噴射管を受
け入れるように構成されてもよい。
【0017】 上記本発明の第1の特徴にかかる装置の利点は、微量の化合物を有する微小な
試料を精確に採取できることである。本装置によって保持された化合物は、さら
なる分析のため、精確な少量の凝縮された形で溶離させることができる。相対的
に多量(μL範囲)の試料を噴射管に通過させ、目的の化合物を上記収集手段に
捕獲させることができる。使用される収集手段次第では、噴射管を通過する液体
の状態の変化によって、保持した化合物を放出させることができる。溶離条件と
しては、以下に限定されないが、イオン強度、溶剤、塩、界面活性剤、化学剥離
、圧力降下または上昇等がある。
【0018】 本発明の第1の特徴にかかる装置は、何らかの物理的手段により捕獲可能な全
ての化合物の収集及び分析に適している。化合物の例としては、以下に限定され
ないが、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品や、タンパク質、ペプチド、グリコ
ペプチド及びその他改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホルモン、ステロイ
ド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子や、それらの断
片がある。
【0019】 分析可能な試料としては、以下に限定されないが、環境上の試料、尿、血漿、
血液製剤等の臨床上の試料、可溶化された組織サンプル、ペプチド断片の溶液、
遺伝子断片の溶液等が含まれる。
【0020】 試料は、上記噴射管の開口から付与されて、上記収集手段を通過し、上記オリ
フィスから制御された状態で出ることができる。あるいは、試料がオリフィスか
ら上記収集手段に付与された後、溶離されてオリフィスから戻される“浸漬及び
吸引”法によって試料採取するように上記装置を使用することも可能である。
【0021】 第2の特徴では、本発明は、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取す
るシステムであって、 (a) 本発明の第1の特徴にかかる微量分取装置と、 (b) 上記変換器に電気信号を印加する手段と、 (c) 上記微量分取装置の噴射管内部でのあるいは該噴射管へのあるいは該
噴射管からの液体の精確な移動を制御するよう上記電気信号の強度と周波数を調
整する手段と、 (d) 試料内の少なくとも一部の化合物が上記微量分取装置の収集手段によ
り捕獲または保持されるように、上記噴射管に対して上記試料を付与する手段と
、 (e) 上記管が洗浄されかつ上記収集手段によって捕獲または保持された化
合物が溶離または除去されるように、上記噴射管へあるいは上記噴射管から液体
を送給する手段とを備えたシステムを提供する。
【0022】 好ましい実施形態では、上記システムは、 (f) 溶離された化合物を捕獲装置上に、好ましくはX−Y目標上に配列す
る手段をさらに備えている。
【0023】 別の好ましい実施形態では、上記システムは、 (g) 手段(d)、手段(e)及び手段(f)を制御する手段をさらに備え
ている。
【0024】 好ましくは、上記手段(g)はコンピュータである。
【0025】 好ましい実施形態では、上記システムは、 (h) 上記溶離された化合物を分析する手段をさらに備えている。
【0026】 本発明のさらに好ましい実施形態では、上記捕獲装置は、上記分析器(h)に
挿入されるよう構成された装置である。適切な例としては、光電式装置、光化学
式装置、レーザ装置、放射化学式装置及び質量分析装置の利用が含まれる。明ら
かに、上記分析工程は、化合物の配列後のいつかに実行することができる。
【0027】 好ましい形態では、上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である。
【0028】 第3の特徴では、本発明は、液体試料内の1つ以上の少量の化合物を採取し、
収集し、目標の上に配列する方法であって、 (a) 本発明の第1の特徴にかかる微量分取装置を提供する工程と、 (b) 液体試料に含まれる1つ以上の化合物の少なくとも一部が上記微量分
取装置の収集手段によって保持されるように、上記液体試料を上記微量分取装置
の噴射管に付与する工程と、 (c) 場合に応じて、上記噴射管を洗浄して該噴射管内に存在する非結合物
質を除去する工程と、 (d) 上記収集手段から保持された化合物を溶離する工程と、 (e) 上記溶離された少量の化合物を捕獲装置上に配列する工程とを備えた
方法を提供する。
【0029】 上記工程(b)ないし工程(e)は、複数の異なる試料の連続的な分離を実行
するように繰り返されるかあるいは循環されてもよい。
【0030】 好ましい実施形態では、上記方法は、 (f) 上記配列され溶離された化合物を分析する手段をさらに備えている。
【0031】 適切な捕獲装置の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ニトロ
セルロース、ナイロン、テフロン(R)、ゴアテックス(gortex)等の膜、96個
、384個及び1536個の微容積ウェルからなる標準マイクロタイタープレー
ト類、マイクロ化学分析システム(μ-TAS)、金属及びガラス表面、ガラス毛細
管及びその誘導体化表面、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹脂及びそ
の誘導体、頻繁に架橋されたポリスチレン(ポリスチレン、スチレン、ジビニル
ベンゼン)、架橋ポリサッカリド及びその誘導体(セルロース、デキストラン、
アガロース)、架橋アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレート及びそ
の誘導体、ポリヒドロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニルアルコー
ル及びその誘導体、常磁性ビーズ及びその誘導体等がある。
【0032】 さらに好ましい実施形態では、上記捕獲装置は、分析器に挿入されるよう構成
された装置である。適切な例としては、光電式装置、光化学式装置、レーザ装置
、放射化学式装置及び質量分析装置の利用が含まれる。
【0033】 好ましい形態では、上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である。
【0034】 本発明の第3の特徴にかかる方法は、何らかの物理的手段により捕獲可能な全
ての化合物の収集及び分析に適している。化合物の例としては、以下に限定され
ないが、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品や、タンパク質、ペプチド、グリコ
ペプチド及びその他の改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホルモン、ステロ
イド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子や、それらの
断片がある。
【0035】 上記化合物は、好ましくは、タンパク質から切断された1つ以上のペプチド(
あるいは改質ペプチド)である。
【0036】 分析可能な試料としては、以下に限定されないが、環境上の試料、尿、血漿、
血液製剤等の臨床上の試料、可溶化された組織、ペプチド断片の溶液、遺伝子断
片の溶液が含まれる。
【0037】 試料は、上記噴射管の開口から付与されて、上記収集手段を通過し、上記オリ
フィスから制御された状態で出ることができる。あるいは、試料がオリフィスか
ら上記収集手段に付与された後、溶離されてオリフィスから戻される“浸漬及び
吸引”法によって試料を採取するように上記装置を使用することも可能である。
【0038】 試料を微量分取する必要性のある典型的な例の1つは、2次元ポリアクリルア
ミド電気泳動(2-D PAGE)によって分離されたタンパク質の最終分析に対するも
のである。タンパク質分析における重要な条件としては、ペプチドの純度や(改
質ペプチドを含む)総ペプチド対象範囲が含まれ、すなわち、回収されるペプチ
ド類が多いほど、タンパク質の同一性推定に対する信頼性が高まる。また、微小
試料の分析を利用してタンパク質を同定してもよい。
【0039】 ペプチドの質量分析に由来する断片化または酵素分解により生成された短い一
続きの配列である“配列タグ”を作成して、タンパク質の同定を容易にしたり目
的のペプチドに対する翻訳後の改質を研究する必要性がますます高まっている。
しかしながら、MALDIで断片データを作成することは些細なことではない。それ
には、2つの手法がある。すなわち、第1の手法は、ポストソース分解と呼ばれ
る実験で、質量分析検出器を有効に調節してレーザ脱離により誘導された準安定
性の断片を検出するものである。第2の手法は、目標生体分子をそのまま酵素(
プロテアーゼ)分解するもので、ペプチドラダーを生成し、アミノ酸を酵素によ
って遊離させることで断片間に質量差を発生させる。ペプチド断片が不純物の混
じったペプチドからの分離を容易化するように配列されるならば、両手法ともに
単純化されることになる。さらに、ペプチド混合物を時間依存的、すなわち、空
間的により単純な成分に分離する処理によってイオン抑制の問題が対処されるの
で、ペプチドを配列する機能によってタンパク質対象範囲が拡大されることにな
る。
【0040】 第4の特徴では、本発明は、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取す
る際に、本発明の第1の特徴にかかる装置または本発明の第2の特徴にかかるシ
ステムを使用するものである。
【0041】 本明細書中の従来の文書に関する記述は、それらの文書がオーストラリアにお
ける関連技術の共通の一般知識の一部を構成することを容認するものではない。
【0042】 本明細書を通じて、特に文脈上必要とされない限り、“備える”という言葉や
“備えている”等の変形は、記述した要素、完全体または工程、あるいは、要素
、完全体または工程の群を包含するが、その他のあらゆる要素、完全体または工
程、あるいは、要素、完全体または工程の群を排除しないことを意味すると解さ
れる。
【0043】 本発明をより深く理解するために、好ましい形態を以下の実施例と図面に基づ
いて説明する。
【0044】 (発明の実施の形態) 微量分取装置 1タイプの微量分取装置の実施形態は、クロマトグラフィパッキン材の形状の
収集手段が微量分取装置の開口に接続されているものであり、図1に示されてい
る。PZT管(503)がガラス毛細噴射管(505)に同軸状に接合されてお
り、噴射管(505)は一端にオリフィス(504)を備えている。PZT電極
上のリード(506)は電気接続用である。この単位体はケース(507)内に
収容されている。突刺を有するフェルール(508)が流体連通をもたらすとと
もに、LC樹脂製収集材(601)と接続している。収集材(601)の長さは
、化合物分離の要件に応じて変更可能である。PZT管(503)の長さ、そし
て、ガラス毛細噴射管(505)の長さも、不使用容積の削減と圧電駆動効率の
利得との間で釣合いをとるように選択される(短い管ほど不使用容積が小さくて
駆動効率が低く、その逆もしかりである)。
【0045】 微量分取装置の別の実施形態は、収集材が噴射管のオリフィス近傍の変換器の
下方に組み込まれているものであって、図2に示されている。流体分取の機能性
は図1のものと同じである。しかしながら、突刺を有するフェルール(508)
が流通連通をもたらすとともに、LC樹脂状の収集材(602)を収容している
。この収集材(602)は、フェルールへの直付けまたは中間管類を介すること
により断続状態のガラス毛細管(505)の上方に詰め込まれている。
【0046】 微量分取装置のもう1つの実施形態は、クロマトグラフィパッキン材が微量分
取装置の毛細管に組み入れられているものであって、図3に示されている。流体
分取の機能性は図1及び図2のものと同じである。この構成により、高い圧電駆
動効率がもたらされる。LC樹脂をオリフィスに近接して充填すれば、不使用容
積を0.5μL未満にすることができる。
【0047】 本発明にかかる収集手段を有するように改造可能な微量分取装置の構成は、ゾ
ルタン(Zoltan)による特許(US 3902083)及びヘイズ(Hayes)による特許(US 48
77745)に記載されている。本発明は、キーザ(Kyser)(US 3946398)やピーズ(P
ies)(US 5235352)等、ほぼ全てのインクジェット印刷ヘッド構成に適応可能で
ある。
【0048】 適切な微量分取装置の作動特性は、ASME公報89-WA/FE-4、1989年12月、
D.B.ウォレス(Wallace)“完全液滴形成方法を用いたオンデマンド型インクジ
ェット装置の特徴モデル方法(A Method of Characteristics Model of a Drop-O
n-demand Ink-Jet Device Using an Integral Drop Formation Method)”、及び
、1995年10月、IS&T第11回非衝撃式印刷技術国際会議(Int. Congress i
n Non-Impact Printing Technologies)議事録、D.B.ウォレス(Wallace)、V.
シャー(Shah)、D.J.ヘイズ(Hayes)及びM.E.グローブ(Grove)“動的スポット
サイズ制御による写真現実的インクジェット印刷(Photo-Realistic Ink Jet Pri
nting Through Dynamic Spot Size control)”、及び、ジャーナル・オブ・イメ
ージングサイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Imaging Science & Te
chnology)40巻5号390-395ページ、1996年、及び、IBMジャーナル(IBM
Journ.) Res. Develop.29巻314-321ページ、1984年、D.B.ボギー(Bogy
)及びF.E.タルク(Talke)"オンデマンド型インクジェット装置の波動現象の実
験的及び理論的考察(Experimental and Theoretical Study of Wave Propagatio
n Phenomena in Drop-On-Demand Ink Jet Devices)"、及び、ジャーナル・オブ
・フルイドメカニクス(Journ. Fluid Mech.)139巻、173-191ページ、198
4年、J.F.ディクスマン(Dijksman) "小型チューブラポンプの流体力学(Hydro
dynamics of Small Tubular Pumps)"において見ることができる。
【0049】 圧電式LC装置は、微小液滴の分取と化合物の分別という2つの基本的な機能
をもたらすので、ペプチドやその他生体分子の収集と分取にとって好ましい。圧
電式LC装置であれば、大部分の分析、特にMALDI分析の場合に、化合物アレイ
を印刷できる。装置の分取部は、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)管とガラス毛
細管とが同軸状に接合された単位体である。ガラス毛細管の一端には、オリフィ
スが形成されている。PZTの圧電性変位により、ガラス毛細管内部の流体に圧
力波が発生し、オリフィスからの滴の吐出が誘発される。装置の分別部は、高分
子スキャホールド内に固定されたシリカビーズからなるLC樹脂カラムである。
一実施形態では、LC樹脂材料はミリポア社(Millipore Corporation)の有標製
品である。本発明にかかるシステムは、液滴分取機構をLC機能と効果的に統合
して高分解能MALDI分析用単体装置を形成する場合に適している。
【0050】 微量分取装置の様々な構成と基本型が製造された(図1ないし図3参照)。
【0051】 PZT管は、一端にオリフィスを備えたガラス毛細管と同軸状に接合された。
PZT電極にはんだ付けされたリードは電気接続用である。この単位体がケース
内に収容された。突刺を有するフェルールは、流体連通をもたらすとともに、捕
獲手段を形成するLC樹脂材料も収容している。一実施例(図1)では、LC樹
脂材料は、フェルールへの直付けあるいは中間管類を介することにより断続状態
のガラス毛細管の上方に詰め込まれた。材料の長さは、化合物分離の要件に応じ
て変更可能である。PZT管の長さ、そして、ガラス毛細管の長さも、不使用容
積の削減と圧電駆動効率の利得との間で釣合いをとるように選択される(短い管
ほど不使用容積が小さくて駆動効率が低く、その逆もしかりである)。この構成
には、製造が容易であるという利点がある。
【0052】 別の実施例(図2)では、流体分取の機能性は上述の構成と同じであった。L
C樹脂材料は、ガラス毛細管内部のオリフィス近傍の変換器の下方に詰め込まれ
た。LC樹脂の配置と量は、不使用容積と化合物分離の要件に応じて変更可能で
ある。この構成により、高い圧電駆動効率がもたらされる。LC樹脂をオリフィ
スに近接して充填すれば、不使用容積を0.5μL未満にすることができる。
【0053】
【表1】
【0054】 上述の装置の実施例の原理は分取装置の他の構成にも適用可能である。例えば
、複数の噴射管を有するアレイ印刷ヘッドに対して適用可能である。
【0055】 表2は、微量分取装置の一般的な寸法と範囲の例を示す。
【0056】
【表2】
【0057】 表2に列挙した寸法は、例示に過ぎず、装置が有効に駆動可能でかつ化合物が
精確に分取可能である限りは変更可能である。
【0058】 圧電性LC装置は単純な台形パルスで駆動可能である。装置評価のための分取
用流体として蒸留水を使用した。パルスの立上り時間と立下り時間はともに3μ
sに設定されている。標準的なルーチンでは、パルス幅は最大滴下速度を得るよ
うに調整された一方、パルス高は目標滴下速度を得るように調整された。250
Hzで2m/sの割合で水を分取する際の代表的なデータは、図1の第1の実施
例の場合、パルス高20Vでパルス幅25μsであり、図2の第2の構造の場合
、パルス高100Vでパルス幅30μsであった。
【0059】 図1の構成では、LCカラムは、装置の圧電性かつ流体力学的機能領域の外側
に配置されている。したがって、この付加的な上流側収集材によっては、装置の
オンデマンド滴下性能は影響されない。250Hzで2m/sの滴下速度で水を
分取する場合、装置は、通常、20ないし60μsの単純な台形パルスで駆動さ
れた。
【0060】 図2の構成では、LCカラムと収集材は、噴射管の機能的範囲内に位置してい
る。これら付加的な媒質はアクチュエータから液体へのエネルギー伝達及び流体
内の圧力波伝搬に影響を及ぼす。第1に観測されたことは、材料が挿入された後
では駆動電圧が高くなったことである。実効可能性テストとして、様々なカラム
長のプラスチック管内の材料カラムを同じ装置の同じ位置(オリフィスの上端)
に挿入した。挿入した全ての場合に、250Hzでの水分取を、2m/sの同じ
滴下速度になるように調整した。それぞれの場合の駆動電源対対応するカラム長
を図4に示す。長さ零は(充填物のない)空のPEEK管を指す。カラム長が約5m
mのとき、電圧は、単極性駆動パルスの場合に170Vを超えている。この駆動
電圧は、カラム長が1mmまで減少すると、70Vまで降下した。この測定を他
の装置でも繰り返した。具体的な電圧値は異なったが、その傾向は変わらない。
PEEK管の内部断面積は0.22mm2であった。その結果、使用した1mm長の
カラムの量は、使用した最小樹脂量である0.2μLであった。したがって、タ
ンパク質分離精度と装置駆動利便性の両方を満たすカラム長を求めることが可能
である。
【0061】 両構成では、まず、圧電装置とLCカラムが別々に製造され、その後、組み立
てられた。さらに発展させた形では、これら2つの部品を永久結合して単一装置
を形成することもできるし、互いに独立したままにすることもできる。例えば、
図1の構成では、まず、プラスチック製で突刺を有するフェルールにLCを充填
した後、その他の部品と組み合わせるか、あるいは、プラスチック製で突刺を有
するフェルールを取外しと交換が可能な使い捨て部品となるように構成した。
【0062】 微量分取装置の収集手段 化合物を結合または保持することが可能な材料であれば何でも本発明の収集手
段に適している。その例としては、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹
脂及びその誘導体、頻繁に架橋されたポリスチレン(ポリスチレン、スチレン、
ジビニルベンゼン)、架橋ポリサッカリド及びその誘導体(セルロース、デキス
トラン、アガロース)、架橋アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレー
ト及びその誘導体、ポリヒドロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニル
アルコール及びその誘導体等がある。
【0063】 噴射管のガラスは、収集手段がその管内に形成されるように材料や反応性基を
加えるのに特に適している。そのような適切な化学反応の例としては、様々な有
機クロロシランとの反応によるシリカゲルのヒドロキシル基の化学的改質がある
。いくつかの例を以下に示す。
【0064】 (I)アナリティカル・バイオケミストリー(Anal Biochem) 1997 5; 247(1):
96-101 ハイブリッド形成可能なオリゴヌクレオチドのガラス支持体への共有
結合(Covalent attachment of hybridizable oligonucleotides to glass suppo
rts) ジョー(Joos) B.、キュスター(Kuster) H.、コーン(Cone) R. スライドガラスは、アミノフェニルシランまたはアミノプロピルシランで誘導
体化可能であり、5'−スクシニル化された目標のオリゴヌクレオチドと、カル
ボジイミドを媒介とするカップリングによって(この種の化学反応は加えられた
目標のオリゴヌクレオチドの約40%ないし50%を誘導体化ガラスと共有結合
させることができる)結合可能である。カルボジイミドを媒介とするカップリン
グは、カルボン酸をアミンにカップリングするために利用可能である。したがっ
て、アミンまたはカルボキシ官能基でガラス表面を誘導体化することにより、カ
ルボジイミドを媒介とするタンパク質またはペプチドのカップリングが可能にな
る。
【0065】 (III)バイオセンサーズ・アンド・バイオエレクトロニクス(Biosens Bioele
ctron) 1999 14(8-9): 703-13 有機燐酸塩の直接検出用センサの開発(Developm
ent of sensors for direct detection of organophosphates) パートI:シリ
カ支持体上のアセチルコリンエストラーゼ及び有機燐酸塩ヒドロラーゼの固定化
、特性決定及び安定化(Immobilization, characterization and stabilization
of acetylcholinestrase and organophosphate hydrolase on silica supports) シン(Singh) A.K.、フルーンダース(Flounders) A.W.、ヴォルポーニ(Vol
poni) J.V.、アシュリー(Ashley) C.S.、ウォリー(Wally) K.、ショーニガ
ー(Schoeniger) J.S. アメリカ合衆国カリフォルニア州94551-0969リヴァモ
ア、サンディア・ナショナル・ラボラトリーズ(Sandia National Laboratories)
、ケミカル・アンド・ラディエーション・ディテクション・ラボラトリー(Chemi
cal and Radiation Detection Laboratory) 2種類の共有結合型の化学反応を利用してAChEとOPHを多孔質及び非多孔質シ
リカガラスに固定化することができる。第1の化学反応は、シリカをアミンシラ
ン処理した後、同質二官能価のリンカであるグルタルアルデヒドを使用して酵素
を結合させることである。第2の化学反応は、スルフヒドリルシラン処理した後
、異質二官能価のリンカであるN−γ−マレイミドブチリロキシスクシンイミド
エステル(GMBS)を使用して酵素を結合させることである。表面は、全固定化酵
素、総酵素活性と比酵素活性及び酵素活性の長期間安定性の面で特性を同定する
ことができる。アミン誘導体化後にグルタルアルデヒドで架橋することにより、
支持体の固定化酵素量と活性が増大する。多孔質支持体を使用したことにより、
支持体の固定化酵素量と活性が増大しただけでなく、酵素活性の長期間安定性も
大幅に向上した。酵素は、ゾル−ゲル被覆されたガラスにも固定化することがで
きる。固定化酵素の質量は被膜の厚さに比例して増加させることができる。
【0066】 滑らかなナノメータサイズのポリマーフィルムを成長させる表面閉じ込めリビ
ングラジカル重合 最終的に化学的分離を高速かつ効率的にするため、表面構造をナノメータ長の
規模で制御する必要がある。ポリマーは化学的に汎用性のある材料であるが、そ
の鎖が制御不可能な状態で成長し、その重合が溶液中でも表面上でも発生するの
で、HPLCでは使用されていない。溶液からのポリマーは共有結合して表面粗さの
特徴をもたらし、物理吸着して表面上でのポリマーの成長を阻害する。HPLCで使
用される微小多孔質シリカは、従来の重合法では均一に被覆することはできない
。毛細管電気泳動の場合、ポリマー薄膜がタンパク質の吸着を妨げ、従来の重合
法では、狭い毛細管が詰まるので、架橋が不可能である。
【0067】 発明者らは、収集材として使用されるよう表面上にポリマーフィルムを均一か
つ制御可能に成長させる手段を考案した。微小多孔質シリカゲル上にリビングポ
リアクリルアミドフィルムを形成し、タンパク質の高速サイズ排除分離、すなわ
ち、クロマトグラフィ性能を達成した。また、本発明の装置に毛細管電気泳動機
能を付与することによって、タンパク質の毛細管電気泳動用の架橋ポリアクリル
アミドフィルムを作成した。
【0068】 シリカ上でのポリマー成長を表面で閉じ込めることにより、ポリマー材の化学
的利点がシリカの分離効率と結び付けられる。表面閉じ込めリビングラジカル重
合がスチレンに適用された。ポリスチレンが被覆された多孔質シリカ上でのタン
パク質のクロマトグラフ分離は、従来のポリスチレンまたはジビニルベンゼン樹
脂によるもの、すなわち、ポリスチレンフィルム上でのクロマトグラフィよりも
はるかに効率的である。また、シリカゲル上のイオン交換ポリマーフィルムを利
用して、本発明にかかる装置で重金属イオンを固定相で抽出することができる。
【0069】 微量分取装置の使用法 図5は、本発明にかかる方法の一実施形態の概略図を示す。システムは、生体
分子アレイ(100)と、コンピュータ(200)と、動作制御ステージ(30
0)と、複数の微量分取すなわち噴射制御装置(400)と、クロマトグラフィ
パッキン(600)が取り付けまたは組み込まれた複数の化学的微量分取すなわ
ち噴射装置(500)と、分取された生体分子を収集する捕獲装置(700)と
、分析器制御装置(800)と、分析器(900)とを備えている。
【0070】 生体分子アレイ(100)は、分取装置(500)の上もしくはその近傍でク
ロマトグラフィパッキン(600)の上流側に配置されている。試料(100)
は、液体クロマトグラフィ技術にとって公知の任意の移動相を用いて、小型ステ
ップモータ制御のシリンジポンプ等の従来の微小流体容積式ポンプによって、あ
るいは、圧電性分取装置(500)による流体の微量分取処理により試料をクロ
マトグラフィパッキン(600)を横断して積極的に吸引する手段によって、ク
ロマトグラフィパッキン(600)に送給される。移動相の化学的特性を変更す
ることにより、生体分子をクロマトグラフィパッキン(600)から微量分取装
置(500)に溶離させることができる。微量分取装置(500)は微量分取制
御装置(400)の制御下にあり、微量分取制御装置(400)は、コンピュー
タ(200)によって制御されて試料の成分を捕獲装置(700)上に分取する
。捕獲装置(700)または微量分取装置(500)は動作制御ステージ(30
0)の制御下にあり、動作制御ステージ(300)は、微量分取装置(500)
から捕獲装置(700)上への試料の沈着を可能にする具体的な所定の座標に移
動する。全ての生体分子試料が捕獲装置(700)の特定の座標上に分取される
と、これらの座標を利用して分析制御装置(800)をプログラム化することに
より、各試料を分析器(900)の経路上に配置する。
【0071】 本発明にかかる方法及びシステムの一実施形態では、動作制御ステージ、MALD
I-TOF MS捕獲装置、微量分取制御装置、分取装置及び試料アレイが全てコンピュ
ータの制御下にあるように図5で示されている。試料アレイ(102)は、試料
入口管(502)を介して試料アレイに連通される分取装置(501)に対して
あるいはその近傍に固定されている。微量分取装置(501)の電子的操作は、
両極性台形状のパルスを印加する微量分取制御装置(402)によって行われる
。パルスは、微量分取装置(501)内に保持された圧電(PZT)素子(50
3)に送信される。微量分取装置(501)には、固定相の微小カラム(601
)が取り付けまたは組み込まれている。PZT素子(503)の振動により、生
体分子断片からなる試料(102)をカラム(601)内に引き込む音波が生成
される。マイクロスイッチ弁(110)により、生体分子断片溶液(102)か
ら廃棄部(310)へ塩を取り除く洗浄液(111)と溶離液(112)との間
で切換えができる。溶離液がカラム(601)に達すると、微量分取装置(50
1)がz軸駆動装置(302)の制御により降下し、微量分取装置のオリフィス
(504)がMALDI目標(702)から数mmの範囲内に位置する。所定アレイ
状のMALDI目標のX−Y座標上に、画分が時間に応じてまたは量に応じて(噴出
される滴の量は数ピコリットル単位である)分取される。したがって、各X−Y
座標は生体分子消化物(102)の画分を表す。所定の試料液滴アレイをMALDI
目標上に分取した後、3軸制御装置(301)とx軸、y軸及びz軸駆動装置(
302)の制御により、微量分取装置の入口管(502)を新しい試料ウェル(
102)内に移動させる。微量分取装置の入口管(502)をマイクロタイター
プレート試料アレイ(102)の次の試料内へ移動させることは、微量分取装置
オリフィス(504)を新たなMALDI目標位置(702)の直上に移動させるこ
とと一致する。分取速度は、両極性台形パルスの電圧、周波数及び保圧を変化さ
せる電子系(402)から制御される。コンピュータ(202)は、動作制御ス
テージ制御装置(301)、微量分取装置電子系(402)及びマイクロスイッ
チ弁(110)を制御する。
【0072】 溶離液(112)は、紫外線(代表的には、窒素レーザ)の照射から熱エネル
ギーを吸収するマトリックスを含んだ緩衝液であってもよい。溶離液(112)
が熱エネルギー吸収マトリックスを含まない場合は、さらに別の微量分取装置を
使用して、試料断片のMALDI目標(702)への分取前または後にマトリックス
溶液を分取してもよい。目標は、金属であっても、金属製目標に貼着された膜で
あっても、使い捨ての膜からなる目標であってもよい。
【0073】 分取されたアレイの分析例を図7に示す。図6に示す構成の微量分取装置に対
して、大腸菌の全細胞溶解物から2-D PAGEによって精製された大腸菌外膜タンパ
ク質OmpAのトリプシン消化物が装填された。2マイクロリットルのOmpA消化物を
、10マイクロリットルの脱イオン水に希釈し、収集材としてC18パッキンを
有する噴射管に導入した。分取のための電子的条件は、立上り及び立下りが0.
1μs、電圧が100V、周波数が100Hz、保圧が100μs、トリガー設
定あたりの液滴数が255であった。試料が収集材上に装填されると、上述の電
子的設定を利用して、噴射管を10マイクロリットルの脱イオン水で3回洗浄し
た。0.5%(v/v)のトリフロオロ酢酸を含む50%(v/v)アセトニト
リルの緩衝液を用いて、収集材から時間依存でペプチドを溶離した。溶離緩衝液
を分取する電子的設定は上記と同じであった。各画分を、0.5%(v/v)の
トリフロオロ酢酸を含む50%(v/v)アセトニトリル内に10mg/mL-1
の濃度で数百ナノリットルの有機酸、α−シアノ−4−ヒロキシ経皮酸(alpha-c
yano-4-hyroxycinnamic acid)を含有する目標に収集した。
【0074】 ペプチド消化物の分離について理解しやすくするため、いくつかのピーク点に
その観測質量値を付した(図7)。それぞれ異なる画分において、一部の質量値
が優先的に溶離しているのが明らかにわかる。例えば、ペプチドイオン1654.8は
画分3ないし5で顕著に溶離する一方、ペプチドイオン1409.6はほぼ画分2での
み溶離している。
【0075】 結果は、本発明のシステム及び装置を利用して少量のペプチド画分を試料採取
、収集及び分析することが可能であることを示している。
【0076】 具体的な実施形態で示すような本発明に対して、広く記載された本発明の精神
や範囲から逸脱することなく多数の変更や改造を行い得ることは、当分野の技術
者には理解できるであろう。したがって、本発明の実施形態はあらゆる点で例示
と見なされるべきであり、限定するものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、固体の支持体形状の収集材が噴射管の開口近傍の変換器の上方に組み
込まれている微量分取装置の一実施形態の概略図である。
【図2】 図2は、固体の支持体形状の収集材が噴射管のオリフィス近傍の変換器の下方
に組み込まれている微量分取装置の別の実施形態の概略図である。
【図3】 図3は、噴射管の内面の少なくとも一部が収集材で誘導体化されている微量分
取装置の一実施形態の概略図である。
【図4】 図4は、本発明にかかる微量分取装置における噴射管の長さに対する電圧の影
響を示す。
【図5】 図5は、試料のアレイから少なくとも1つの試料を微量分取するようにして高
密度の化合物アレイを得る方法の概略図である。
【図6】 図6は、収集された化合物のアレイを目標の上に微量分取するシステムの概略
図である。
【図7】 図7は、タンパク質のトリプシン消化物に由来するペプチド断片のアレイが本
発明にかかる微量分取装置から5分間にわたって分取された結果を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年5月21日(2001.5.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】 (発明の開示) 第1の特徴では、本発明は、(a)一端に液体を分取するオリフィスを備え、 他端に開口を備えた噴射管と、(b)上記噴射管に連結され、印加された電気信 号に応答して該噴射管に圧力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移 動させるよう構成された変換器とを備え、少量の液体化合物を試料採取し、収集 し、分取する微量分取装置であって、 (c) 上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または
少なくとも一時的に保持する保持手段を備えており、 上記変換器は上記保持手段と上記噴射管のオリフィスとの間に配設されている ことを特徴とする微量分取装置を提供する。 関連する特徴では、(a)一端に液体を分取するオリフィスを備え、他端に開 口を備えた噴射管と、(b)上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答 して該噴射管に圧力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させる よう構成された変換器とを備え、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取 する微量分取装置であって、 (c) 上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または 少なくとも一時的に保持する保持手段を備えており、 上記保持手段は上記噴射管の内面の一部を形成するとともに該内面を改質して おり、上記改質された内面の少なくとも一部は上記噴射管の開口と上記変換器と の間に広がって位置していることを特徴とする微量分配装置が提供される。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年8月1日(2001.8.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
請求項8】 上記固定相は、クロマトグラフィ材料、基質、化合物を結合
及び遊離可能な反応性基、化合物を結合及び遊離可能な表面活性基、固定化型配
位子等を有する物理的パッキン及び誘導体化表面からなる群から選択される請求
記載の装置。
請求項10】 同じあるいは別個の変換器に制御される複数の噴射管を備
えている請求項1ないしのいずれかに記載の装置。
請求項11】 上記複数の噴射管は、1つ以上の化合物を収集、捕獲また
は保持する同じあるいは別々の手段を有している請求項10記載の装置。
請求項12】 化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品と、タンパク質、ペプ
チド、グリコペプチド及びその他の改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホル
モン、ステロイド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子
と、それらの断片とからなる群から選択された化合物を収集して分取するように
構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の装置。
請求項13】 少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取するシステ
ムであって、 (a) 一端に位置して液体を分取するオリフィスと他端に位置する開口から
構成された噴射管と、上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答して該
噴射管に圧力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させるよう構
成された変換器と、上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕 獲または少なくとも一時的に保持する保持手段とを備え、上記変換器が上記保持 手段と上記噴射管のオリフィスとの間に配設されている微量分取装置と、 (b) 上記変換器に電気信号を印加する手段と、 (c) 上記噴射管へのあるいは上記噴射管からの液体の精確な移動を制御す
るよう上記電気信号の強度と周波数を制御する手段と、 (d) 試料内の少なくとも一部の化合物が上記微量分取装置の収集手段によ
り捕獲または保持されるように、上記噴射管に対して上記試料を付与する手段と
、 (e) 上記管が洗浄されかつ上記収集手段によって捕獲または保持された化
合物が溶離または除去されるように、上記噴射管へあるいは上記噴射管から液体
を送給する手段とを備えたシステム。
請求項14】 上記微量分取装置は請求項3ないし12のいずれかに記載
のものである請求項13記載のシステム。
請求項15】 (f) 溶離された化合物を捕獲装置上に、好ましくはX
−Y目標上に配列する手段をさらに備えている請求項13または14記載のシス
テム。
請求項16】 上記捕獲装置は、膜、マイクロタイタープレート、マイク
ロ化学分析システム、金属及びガラス表面、ガラス毛細管及びその誘導体化表面
、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹脂及びその誘導体、架橋ポリスチ
レン、スチレン、ジビニルベンゼン、架橋ポリサッカリド及びその誘導体、架橋
アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレート及びその誘導体、ポリヒド
ロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、
常磁性ビーズ及びその誘導体からなる群から選択される請求項15記載のシステ
ム。
請求項17】 上記膜は、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ニトロ
セルロース、ナイロン、テフロン(R)、ゴアテックスまたはそれらの組合せか
ら形成されている請求項16記載のシステム。
請求項18】 (g) 手段(d)、手段(e)及び手段(f)を制御す
る手段をさらに備えている請求項13ないし17のいずれかに記載のシステム。
請求項19】 上記手段(g)はコンピュータである請求項18記載のシ
ステム。
請求項20】 (h) 上記溶離された化合物を分析する手段をさらに備
えている請求項13ないし19のいずれかに記載のシステム。
請求項21】 上記捕獲装置は、分析器(h)に挿入されるよう構成され
た装置である請求項20記載のシステム。
請求項22】 上記分析器は、光電式装置、光化学式装置、レーザ装置、
放射化学式装置及び質量分析装置からなる群から選択される請求項21記載のシ
ステム。
請求項23】 上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である請求項22記載のシステム。
請求項24】 液体試料内の少量の化合物を採取し、収集し、目標の上に
配列する方法であって、 (a) 一端に液体を分取するオリフィスを備え、他端に開口を備えた噴射管
と、上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答して該噴射管に圧力パル
スを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させるよう構成された変換器と
上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する 保持手段とを備え、上記噴射管内の 液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲また
少なくとも一時的に保持する手段と上記噴射管のオリフィスとの間に上記変換 器が配設された 微量分取装置を提供する工程と、 (b) 液体試料に含まれる化合物の少なくとも一部が上記収集手段によって
保持されるように、上記液体試料を上記微量分取装置の噴射管に付与する工程と
、 (c) 場合に応じて、上記噴射管を洗浄して該噴射管内に存在する非結合物
質を除去する工程と、 (d) 上記収集手段から保持された化合物を溶離する工程と、 (e) 上記溶離された少量の化合物を捕獲装置上に配列する工程とを備えた
方法。
請求項25】 上記微量分取装置は請求項3ないし12のいずれかに記載
のものである請求項24記載の方法。
請求項26】 上記工程(b)ないし工程(e)は、複数の異なる試料の
連続的な分離を実行するように繰り返されるかあるいは循環される請求項24ま たは25 記載の方法。
請求項27】 (f) 上記配列され溶離された化合物を分析する工程を
さらに備えている請求項24ないし26のいずれかに記載の方法。
請求項28】 上記捕獲装置は、分析器に挿入されるよう構成されている
請求項24ないし27のいずれかに記載の方法。
請求項29】 上記分析器は、光電式装置、光化学式装置、レーザ装置、
放射化学式装置及び質量分析装置からなる群から選択される請求項28記載の方
法。
請求項30】 上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である請求項27記載の方法。
請求項31】 上記試料は、上記噴射管のオリフィスから上記収集手段に
対して付与され、上記化合物は上記オリフィスから溶離される請求項24ないし 30 のいずれかに記載の方法。
請求項32】 上記化合物は、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品と、タ
ンパク質、ペプチド、グリコペプチド及びその他の改質ペプチド類、糖タンパク
質、核酸、ホルモン、ステロイド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗
体等の生体分子と、それらの断片からなる群から選択される請求項24ないし3 のいずれかに記載の方法。
請求項33】 上記化合物は、タンパク質から切断された1つ以上のペプ
チドあるいは改質ペプチドである請求項32記載の方法。
請求項34】 上記液体試料は、環境上の試料、尿、血漿、血液製剤等の
臨床上の試料、可溶化された組織、タンパク質のペプチド断片の溶液、及び遺伝
子断片の溶液からなる群から選択される請求項24ないし33のいずれかに記載
の方法。
請求項40】 上記変換器は、圧電式、磁歪式、電歪式及び電気機械式か らなる群から選択される請求項38ないし39のいずれかに記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、微量分取装置及びシステムを用いて化合物、特に、生体分子を分離
及び分析する装置と方法に関する。
【0002】 (背景技術) 分析用の高感度システムの開発により、化合物分析の感度と特異性が向上しつ
つある。残念なことに、極めて低濃度で非常に少量の化合物を取り扱うシステム
の開発は、分析技術にまだ追いついていない。検査や分析のために限られた濃度
の化合物を含む少量の試料しか利用できないという状況は多数存在する。現在の
試料採取技術は、これらの状況の多くで限定的に利用されている。
【0003】 質量分析法(MS)は、タンパク質、ペプチド、グリコペプチド及びその他変性
を有するペプチド、脂質、オリゴ糖及びオリゴヌクレオチド(本明細書では、総
称的に生体分子と呼ぶ)の断片を分析して非常に精確な質量を得ることができる
ので、それらの特性を同定する好ましい方法である。このデータは、生体分子の
断片形成パターンとともに、既知の全ての生体分子の配列を収めたデータベース
を照会する。
【0004】 生体分子は、MSによる検査の前に、様々なクロマトグラフィ技術を利用して互
いに分離されるとともにその緩衝となる環境からも分離されるのが普通である。
そのような精製された生体分子の特性同定は、その断片を分析することで行われ
る場合が多い。それには、タンパク質の場合、タンパク質を特異的に切断して断
片化するトリプシン等の酵素を利用することが必要である。混合物から生体分子
断片を分離するため、その断片が、官能基で誘導体化されたシリカビーズ等の固
定相を通り抜けるようにしてもよい。
【0005】 通常、断片の分離は、液体クロマトグラフィ法−エレクトロスプレーイオン化
法−質量分析法(LC-ESI-MS)によるペプチドの分析のために利用される。LC-ES I-MSの場合、ペプチドの試料は、質量分析計に入る前に電荷を吸収する液滴の形
で導入される。しかしながら、この手法は、液体界面がないマトリックス支援レ
ーザ脱離イオン化法(MALDI)の場合には機能しない。上記と異なり、ペプチド
は紫外線吸収マトリックスを介して荷電状態を呈する。MALDIにおいては、一般
的に、ポストソース分解(PSD)と呼ばれる技術を使用して断片形成データを作
成する。PSD実験を実施する前にペプチドを分離する必要はないが(イオン選択
によって候補ペプチドが選択される)、その工程は自動化されていないし、ロバ
ストでもない。多数の候補ペプチドが近傍のイオンによって抑制されるため、選
択するのに足りるほどにはイオン化されない。
【0006】 いくつかの研究グループは、試料が液体クロマトグラフィ(LC)カラムから収
集され、MALDI-TOF MS(MALDI−飛行時間型質量分析法)試料プレート上に手動
で沈着されるLCインタフェースをMALDIに対して実施している。その後、紫外線
吸収マトリックスが手動で加えられる。最近では、LCカラムからの画分とMALDI
マトリックスの両方をMALDI-TOF MS試料プレート上に自動的に点在させる装置が
開発されている。しかしながら、分取量が1μL程度と多く、ペプチドを含まな
い大量の溶液も沈着される。
【0007】 発明者らは化合物捕獲機能が組み込まれた微量分取装置を開発した。本微量分
取装置は、適切なシステム内で使用される場合は、試料から分離された化合物の
1個のあるいは多数個のスポット(spot)を、好ましくはアレイ状に、目標の上に
沈着させることができる。捕獲機能を組み込んだことにより、生体分子断片など
の化合物の分離と凝縮が可能になり、質量分析法あるいは酵素的手法を利用して
その後の断片化実験にとって理想的な基質を提供することができる。画分が直接
目標の上に収集されるので、システム次第では、MALDIの高スループット特性を
犠牲にすることなく、LC-ESI-MS手法の場合と同様に、分析を非常に高感度にす
ることができる。
【0008】 (発明の開示) 第1の特徴では、本発明は、(a)一端に液体を分取するオリフィスを備え、
他端に開口を備えた噴射管と、(b)上記噴射管に連結され、印加された電気信
号に応答して該噴射管に圧力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移
動させるよう構成された変換器とを備え、少量の液体化合物を試料採取し、収集
し、分取する微量分取装置であって、 (c) 上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または
少なくとも一時的に保持する保持手段を備えており、 上記変換器は上記保持手段と上記噴射管のオリフィスとの間に配設されている
ことを特徴とする微量分取装置を提供する。
【0009】 関連する特徴では、(a)一端に液体を分取するオリフィスを備え、他端に開
口を備えた噴射管と、(b)上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答
して該噴射管に圧力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させる
よう構成された変換器とを備え、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取
する微量分取装置であって、 (c) 上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または
少なくとも一時的に保持する保持手段を備えており、 上記保持手段は上記噴射管の内面の一部を形成するとともに該内面を改質して
おり、上記改質された内面の少なくとも一部は上記噴射管の開口と上記変換器と
の間に広がって位置していることを特徴とする微量分配装置が提供される。
【0010】 好ましい実施形態では、上記微量分取装置は、少なくとも直径約5μMの滴状
の精確な量の液体を分取するよう構成されている。一般に、化学及び生物学用途
では、約50ないし200μMの滴径が使用される。この滴径は質量分析計器で
のレーザ検査に都合がよい。好ましい形態では、沈着量は、レーザビームの径が
沈着スポット(約50ないし100μM)に等しくなるにようにされる。液体を
オリフィスに通過させると、小さな液滴が形成される。
【0011】 少量とは、通常、約1μL未満であり、好ましくは、状況により約0.1μM
あるいは約0.1μM未満である。本装置は、スプレー状に使用される場合、液
滴状ではない形で多量に分取することができる。この種の液体分取方法を利用す
ることにより、噴射管を洗浄もしくは軽く洗浄することができる。上記噴射管は
、通常、ガラス製であるが、金属、プラスチック等、その他の物質が使用されて
もよい。
【0012】 本発明に適した変換器は、圧電式、磁歪式、電歪式または電気機械式である。
好ましくは、圧電式である。変換器用の適切な圧電材料には、ジルコン酸チタン
酸鉛(pzt材料)等がある。
【0013】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、どのような形の反
応性材料であってもよく、一般には、固定相の形で提供される。適切な固定相材
料としては、以下に限定されるものではないが、クロマトグラフィ材料、基質や
、化合物を結合及び遊離可能な反応性基、化合物を結合及び遊離可能な表面活性
基、固定化型配位子等を有する物理的パッキンや、誘導体化表面等がある。
【0014】 上記固定相は、好ましくは、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)カラムパッ
キンの形をした誘導体化固定相材料である。
【0015】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、上記噴射管と関連
していたり、噴射管内のどこかに配置されたり、噴射管の内面の一部を形成する
ことができる。
【0016】 上記微量分取装置は、同じあるいは別個の変換器に制御される複数の噴射管を
備えていてもよい。上記複数の噴射管は、1つ以上の化合物を収集、捕獲または
保持する同じあるいは別々の手段を有していてもよい。
【0017】 上記装置は、再利用されてもよいし、廃棄されてもよいし、異なる噴射管を受
け入れるように構成されてもよい。
【0018】 上記本発明の第1の特徴にかかる装置の利点は、微量の化合物を有する微小な
試料を精確に採取できることである。本装置によって保持された化合物は、さら
なる分析のため、精確な少量の凝縮された形で溶離させることができる。相対的
に多量(μL範囲)の試料を噴射管に通過させ、目的の化合物を上記収集手段に
捕獲させることができる。使用される収集手段次第では、噴射管を通過する液体
の状態の変化によって、保持した化合物を放出させることができる。溶離条件と
しては、以下に限定されないが、イオン強度、溶剤、塩、界面活性剤、化学剥離
、圧力降下または上昇等がある。
【0019】 本発明の第1の特徴にかかる装置は、何らかの物理的手段により捕獲可能な全
ての化合物の収集及び分析に適している。化合物の例としては、以下に限定され
ないが、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品や、タンパク質、ペプチド、グリコ
ペプチド及びその他改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホルモン、ステロイ
ド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子や、それらの断
片がある。
【0020】 分析可能な試料としては、以下に限定されないが、環境上の試料、尿、血漿、
血液製剤等の臨床上の試料、可溶化された組織サンプル、ペプチド断片の溶液、
遺伝子断片の溶液等が含まれる。
【0021】 試料は、上記噴射管の開口から付与されて、上記収集手段を通過し、上記オリ
フィスから制御された状態で出ることができる。あるいは、試料がオリフィスか
ら上記収集手段に付与された後、溶離されてオリフィスから戻される“浸漬及び
吸引”法によって試料採取するように上記装置を使用することも可能である。
【0022】 第2の特徴では、本発明は、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取す
るシステムであって、 (a) 本発明の第1の特徴にかかる微量分取装置と、 (b) 上記変換器に電気信号を印加する手段と、 (c) 上記微量分取装置の噴射管内部でのあるいは該噴射管へのあるいは該
噴射管からの液体の精確な移動を制御するよう上記電気信号の強度と周波数を調
整する手段と、 (d) 試料内の少なくとも一部の化合物が上記微量分取装置の収集手段によ
り捕獲または保持されるように、上記噴射管に対して上記試料を付与する手段と
、 (e) 上記管が洗浄されかつ上記収集手段によって捕獲または保持された化
合物が溶離または除去されるように、上記噴射管へあるいは上記噴射管から液体
を送給する手段とを備えたシステムを提供する。
【0023】 好ましい実施形態では、上記システムは、 (f) 溶離された化合物を捕獲装置上に、好ましくはX−Y目標上に配列す
る手段をさらに備えている。
【0024】 別の好ましい実施形態では、上記システムは、 (g) 手段(d)、手段(e)及び手段(f)を制御する手段をさらに備え
ている。
【0025】 好ましくは、上記手段(g)はコンピュータである。
【0026】 好ましい実施形態では、上記システムは、 (h) 上記溶離された化合物を分析する手段をさらに備えている。
【0027】 本発明のさらに好ましい実施形態では、上記捕獲装置は、上記分析器(h)に
挿入されるよう構成された装置である。適切な例としては、光電式装置、光化学
式装置、レーザ装置、放射化学式装置及び質量分析装置の利用が含まれる。明ら
かに、上記分析工程は、化合物の配列後のいつかに実行することができる。
【0028】 好ましい形態では、上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である。
【0029】 第3の特徴では、本発明は、液体試料内の1つ以上の少量の化合物を採取し、
収集し、目標の上に配列する方法であって、 (a) 本発明の第1の特徴にかかる微量分取装置を提供する工程と、 (b) 液体試料に含まれる1つ以上の化合物の少なくとも一部が上記微量分
取装置の収集手段によって保持されるように、上記液体試料を上記微量分取装置
の噴射管に付与する工程と、 (c) 場合に応じて、上記噴射管を洗浄して該噴射管内に存在する非結合物
質を除去する工程と、 (d) 上記収集手段から保持された化合物を溶離する工程と、 (e) 上記溶離された少量の化合物を捕獲装置上に配列する工程とを備えた
方法を提供する。
【0030】 上記工程(b)ないし工程(e)は、複数の異なる試料の連続的な分離を実行
するように繰り返されるかあるいは循環されてもよい。
【0031】 好ましい実施形態では、上記方法は、 (f) 上記配列され溶離された化合物を分析する手段をさらに備えている。
【0032】 適切な捕獲装置の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ニトロ
セルロース、ナイロン、テフロン(R)、ゴアテックス(gortex)等の膜、96個
、384個及び1536個の微容積ウェルからなる標準マイクロタイタープレー
ト類、マイクロ化学分析システム(μ-TAS)、金属及びガラス表面、ガラス毛細
管及びその誘導体化表面、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹脂及びそ
の誘導体、頻繁に架橋されたポリスチレン(ポリスチレン、スチレン、ジビニル
ベンゼン)、架橋ポリサッカリド及びその誘導体(セルロース、デキストラン、
アガロース)、架橋アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレート及びそ
の誘導体、ポリヒドロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニルアルコー
ル及びその誘導体、常磁性ビーズ及びその誘導体等がある。
【0033】 さらに好ましい実施形態では、上記捕獲装置は、分析器に挿入されるよう構成
された装置である。適切な例としては、光電式装置、光化学式装置、レーザ装置
、放射化学式装置及び質量分析装置の利用が含まれる。
【0034】 好ましい形態では、上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である。
【0035】 本発明の第3の特徴にかかる方法は、何らかの物理的手段により捕獲可能な全
ての化合物の収集及び分析に適している。化合物の例としては、以下に限定され
ないが、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品や、タンパク質、ペプチド、グリコ
ペプチド及びその他の改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホルモン、ステロ
イド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子や、それらの
断片がある。
【0036】 上記化合物は、好ましくは、タンパク質から切断された1つ以上のペプチド(
あるいは改質ペプチド)である。
【0037】 分析可能な試料としては、以下に限定されないが、環境上の試料、尿、血漿、
血液製剤等の臨床上の試料、可溶化された組織、ペプチド断片の溶液、遺伝子断
片の溶液が含まれる。
【0038】 試料は、上記噴射管の開口から付与されて、上記収集手段を通過し、上記オリ
フィスから制御された状態で出ることができる。あるいは、試料がオリフィスか
ら上記収集手段に付与された後、溶離されてオリフィスから戻される“浸漬及び
吸引”法によって試料を採取するように上記装置を使用することも可能である。
【0039】 試料を微量分取する必要性のある典型的な例の1つは、2次元ポリアクリルア
ミド電気泳動(2-D PAGE)によって分離されたタンパク質の最終分析に対するも
のである。タンパク質分析における重要な条件としては、ペプチドの純度や(改
質ペプチドを含む)総ペプチド対象範囲が含まれ、すなわち、回収されるペプチ
ド類が多いほど、タンパク質の同一性推定に対する信頼性が高まる。また、微小
試料の分析を利用してタンパク質を同定してもよい。
【0040】 ペプチドの質量分析に由来する断片化または酵素分解により生成された短い一
続きの配列である“配列タグ”を作成して、タンパク質の同定を容易にしたり目
的のペプチドに対する翻訳後の改質を研究する必要性がますます高まっている。
しかしながら、MALDIで断片データを作成することは些細なことではない。それ
には、2つの手法がある。すなわち、第1の手法は、ポストソース分解と呼ばれ
る実験で、質量分析検出器を有効に調節してレーザ脱離により誘導された準安定
性の断片を検出するものである。第2の手法は、目標生体分子をそのまま酵素(
プロテアーゼ)分解するもので、ペプチドラダーを生成し、アミノ酸を酵素によ
って遊離させることで断片間に質量差を発生させる。ペプチド断片が不純物の混
じったペプチドからの分離を容易化するように配列されるならば、両手法ともに
単純化されることになる。さらに、ペプチド混合物を時間依存的、すなわち、空
間的により単純な成分に分離する処理によってイオン抑制の問題が対処されるの
で、ペプチドを配列する機能によってタンパク質対象範囲が拡大されることにな
る。
【0041】 第4の特徴では、本発明は、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取す
る際に、本発明の第1の特徴にかかる装置または本発明の第2の特徴にかかるシ
ステムを使用するものである。
【0042】 本明細書中の従来の文書に関する記述は、それらの文書がオーストラリアにお
ける関連技術の共通の一般知識の一部を構成することを容認するものではない。
【0043】 本明細書を通じて、特に文脈上必要とされない限り、“備える”という言葉や
“備えている”等の変形は、記述した要素、完全体または工程、あるいは、要素
、完全体または工程の群を包含するが、その他のあらゆる要素、完全体または工
程、あるいは、要素、完全体または工程の群を排除しないことを意味すると解さ
れる。
【0044】 本発明をより深く理解するために、好ましい形態を以下の実施例と図面に基づ
いて説明する。
【0045】 (発明の実施の形態) 微量分取装置 1タイプの微量分取装置の実施形態は、クロマトグラフィパッキン材の形状の
収集手段が微量分取装置の開口に接続されているものであり、図1に示されてい
る。PZT管(503)がガラス毛細噴射管(505)に同軸状に接合されてお
り、噴射管(505)は一端にオリフィス(504)を備えている。PZT電極
上のリード(506)は電気接続用である。この単位体はケース(507)内に
収容されている。突刺を有するフェルール(508)が流体連通をもたらすとと
もに、LC樹脂製収集材(601)と接続している。収集材(601)の長さは
、化合物分離の要件に応じて変更可能である。PZT管(503)の長さ、そし
て、ガラス毛細噴射管(505)の長さも、不使用容積の削減と圧電駆動効率の
利得との間で釣合いをとるように選択される(短い管ほど不使用容積が小さくて
駆動効率が低く、その逆もしかりである)
【0046】 微量分取装置のもう1つの実施形態は、クロマトグラフィパッキン材が微量分
取装置の毛細管に組み入れられているものであって、図3に示されている。流体
分取の機能性は図1のものと同じである。この構成により、高い圧電駆動効率が
もたらされる。LC樹脂をオリフィスに近接して充填すれば、不使用容積を0.
5μL未満にすることができる。
【0047】 本発明にかかる収集手段を有するように改造可能な微量分取装置の構成は、ゾ
ルタン(Zoltan)による特許(US 3902083)及びヘイズ(Hayes)による特許(US 48 77745)に記載されている。本発明は、キーザ(Kyser)(US 3946398)やピーズ(P ies)(US 5235352)等、ほぼ全てのインクジェット印刷ヘッド構成に適応可能で
ある。
【0048】 適切な微量分取装置の作動特性は、ASME公報89-WA/FE-4、1989年12月、
D.B.ウォレス(Wallace)“完全液滴形成方法を用いたオンデマンド型インクジ
ェット装置の特徴モデル方法(A Method of Characteristics Model of a Drop-O n-demand Ink-Jet Device Using an Integral Drop Formation Method)”、及び
、1995年10月、IS&T第11回非衝撃式印刷技術国際会議(Int. Congress i n Non-Impact Printing Technologies)議事録、D.B.ウォレス(Wallace)、V.
シャー(Shah)、D.J.ヘイズ(Hayes)及びM.E.グローブ(Grove)“動的スポット
サイズ制御による写真現実的インクジェット印刷(Photo-Realistic Ink Jet Pri nting Through Dynamic Spot Size control)”、及び、ジャーナル・オブ・イメ
ージングサイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Imaging Science & Te chnology)40巻5号390-395ページ、1996年、及び、IBMジャーナル(IBM Journ.) Res. Develop.29巻314-321ページ、1984年、D.B.ボギー(Bogy )及びF.E.タルク(Talke)"オンデマンド型インクジェット装置の波動現象の実
験的及び理論的考察(Experimental and Theoretical Study of Wave Propagatio n Phenomena in Drop-On-Demand Ink Jet Devices)"、及び、ジャーナル・オブ
・フルイドメカニクス(Journ. Fluid Mech.)139巻、173-191ページ、198
4年、J.F.ディクスマン(Dijksman) "小型チューブラポンプの流体力学(Hydro dynamics of Small Tubular Pumps)"において見ることができる。
【0049】 圧電式LC装置は、微小液滴の分取と化合物の分別という2つの基本的な機能
をもたらすので、ペプチドやその他生体分子の収集と分取にとって好ましい。圧
電式LC装置であれば、大部分の分析、特にMALDI分析の場合に、化合物アレイ
を印刷できる。装置の分取部は、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)管とガラス毛
細管とが同軸状に接合された単位体である。ガラス毛細管の一端には、オリフィ
スが形成されている。PZTの圧電性変位により、ガラス毛細管内部の流体に圧
力波が発生し、オリフィスからの滴の吐出が誘発される。装置の分別部は、高分
子スキャホールド内に固定されたシリカビーズからなるLC樹脂カラムである。
一実施形態では、LC樹脂材料はミリポア社(Millipore Corporation)の有標製
品である。本発明にかかるシステムは、液滴分取機構をLC機能と効果的に統合
して高分解能MALDI分析用単体装置を形成する場合に適している。
【0050】 微量分取装置の様々な構成と基本型が製造された(図1及び図3参照)。
【0051】 PZT管は、一端にオリフィスを備えたガラス毛細管と同軸状に接合された。
PZT電極にはんだ付けされたリードは電気接続用である。この単位体がケース
内に収容された。突刺を有するフェルールは、流体連通をもたらすとともに、捕
獲手段を形成するLC樹脂材料も収容している。一実施例(図1)では、LC樹
脂材料は、フェルールへの直付けあるいは中間管類を介することにより断続状態
のガラス毛細管の上方に詰め込まれた。材料の長さは、化合物分離の要件に応じ
て変更可能である。PZT管の長さ、そして、ガラス毛細管の長さも、不使用容
積の削減と圧電駆動効率の利得との間で釣合いをとるように選択される(短い管
ほど不使用容積が小さくて駆動効率が低く、その逆もしかりである)。この構成
には、製造が容易であるという利点がある
【0052】
表1
【0053】 上述の装置の実施例の原理は分取装置の他の構成にも適用可能である。例えば
、複数の噴射管を有するアレイ印刷ヘッドに対して適用可能である。
【0054】 表2は、微量分取装置の一般的な寸法と範囲の例を示す。
【0055】
表2
【0056】 表2に列挙した寸法は、例示に過ぎず、装置が有効に駆動可能でかつ化合物が
精確に分取可能である限りは変更可能である。
【0057】 圧電性LC装置は単純な台形パルスで駆動可能である。装置評価のための分取
用流体として蒸留水を使用した。パルスの立上り時間と立下り時間はともに3μ
sに設定されている。標準的なルーチンでは、パルス幅は最大滴下速度を得るよ
うに調整された一方、パルス高は目標滴下速度を得るように調整された。250
Hzで2m/sの割合で水を分取する際の代表的なデータは、図1の第1の実施
例の場合、パルス高20Vでパルス幅25μsであった。
【0058】 図1の構成では、LCカラムは、装置の圧電性かつ流体力学的機能領域の外側
に配置されている。したがって、この付加的な上流側収集材によっては、装置の
オンデマンド滴下性能は影響されない。250Hzで2m/sの滴下速度で水を
分取する場合、装置は、通常、20ないし60μsの単純な台形パルスで駆動さ
れた。
【0059】 挿入した全ての場合に、250Hzでの水分取を、2m/sの同じ滴下速度に なるように調整した。それぞれの場合の駆動電源対対応するカラム長を図4に示 す。長さ零は(充填物のない)空のPEEK管を指す。カラム長が約5mmのとき、 電圧は、単極性駆動パルスの場合に170Vを超えている。この駆動電圧は、カ ラム長が1mmまで減少すると、70Vまで降下した。この測定を他の装置でも 繰り返した。具体的な電圧値は異なったが、その傾向は変わらない。PEEK管の内 部断面積は0.22mm2であった。その結果、使用した1mm長のカラムの量 は、使用した最小樹脂量である0.2μLであった。したがって、タンパク質分 離精度と装置駆動利便性の両方を満たすカラム長を求めることが可能である。
【0060】 ず、圧電装置とLCカラムが別々に製造され、その後、組み立てられた。さ
らに発展させた形では、これら2つの部品を永久結合して単一装置を形成するこ
ともできるし、互いに独立したままにすることもできる。例えば、図1の構成で
は、まず、プラスチック製で突刺を有するフェルールにLCを充填した後、その
他の部品と組み合わせるか、あるいは、プラスチック製で突刺を有するフェルー
ルを取外しと交換が可能な使い捨て部品となるように構成した。
【0061】 微量分取装置の収集手段 化合物を結合または保持することが可能な材料であれば何でも本発明の収集手
段に適している。その例としては、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹
脂及びその誘導体、頻繁に架橋されたポリスチレン(ポリスチレン、スチレン、
ジビニルベンゼン)、架橋ポリサッカリド及びその誘導体(セルロース、デキス
トラン、アガロース)、架橋アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレー
ト及びその誘導体、ポリヒドロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニル
アルコール及びその誘導体等がある。
【0062】 噴射管のガラスは、収集手段がその管内に形成されるように材料や反応性基を
加えるのに特に適している。そのような適切な化学反応の例としては、様々な有
機クロロシランとの反応によるシリカゲルのヒドロキシル基の化学的改質がある
。いくつかの例を以下に示す。
【0063】 (I)アナリティカル・バイオケミストリー(Anal Biochem) 1997 5; 247(1): 96-101 ハイブリッド形成可能なオリゴヌクレオチドのガラス支持体への共有結
合(Covalent attachment of hybridizable oligonucleotides to glass support s) ジョー(Joos) B.、キュスター(Kuster) H.、コーン(Cone) R. スライドガラスは、アミノフェニルシランまたはアミノプロピルシランで誘導
体化可能であり、5'−スクシニル化された目標のオリゴヌクレオチドと、カル
ボジイミドを媒介とするカップリングによって(この種の化学反応は加えられた
目標のオリゴヌクレオチドの約40%ないし50%を誘導体化ガラスと共有結合
させることができる)結合可能である。カルボジイミドを媒介とするカップリン
グは、カルボン酸をアミンにカップリングするために利用可能である。したがっ
て、アミンまたはカルボキシ官能基でガラス表面を誘導体化することにより、カ
ルボジイミドを媒介とするタンパク質またはペプチドのカップリングが可能にな
る。
【0064】 (III)バイオセンサーズ・アンド・バイオエレクトロニクス(Biosens Bioele ctron) 1999 14(8-9): 703-13 有機燐酸塩の直接検出用センサの開発(Developm ent of sensors for direct detection of organophosphates) パートI:シリ
カ支持体上のアセチルコリンエストラーゼ及び有機燐酸塩ヒドロラーゼの固定化
、特性決定及び安定化(Immobilization, characterization and stabilization of acetylcholinestrase and organophosphate hydrolase on silica supports) シン(Singh) A.K.、フルーンダース(Flounders) A.W.、ヴォルポーニ(Vol poni) J.V.、アシュリー(Ashley) C.S.、ウォリー(Wally) K.、ショーニガ
ー(Schoeniger) J.S. アメリカ合衆国カリフォルニア州94551-0969リヴァモ
ア、サンディア・ナショナル・ラボラトリーズ(Sandia National Laboratories) 、ケミカル・アンド・ラディエーション・ディテクション・ラボラトリー(Chemi cal and Radiation Detection Laboratory) 2種類の共有結合型の化学反応を利用してAChEとOPHを多孔質及び非多孔質シ
リカガラスに固定化することができる。第1の化学反応は、シリカをアミンシラ
ン処理した後、同質二官能価のリンカであるグルタルアルデヒドを使用して酵素
を結合させることである。第2の化学反応は、スルフヒドリルシラン処理した後
、異質二官能価のリンカであるN−γ−マレイミドブチリロキシスクシンイミド
エステル(GMBS)を使用して酵素を結合させることである。表面は、全固定化酵
素、総酵素活性と比酵素活性及び酵素活性の長期間安定性の面で特性を同定する
ことができる。アミン誘導体化後にグルタルアルデヒドで架橋することにより、
支持体の固定化酵素量と活性が増大する。多孔質支持体を使用したことにより、
支持体の固定化酵素量と活性が増大しただけでなく、酵素活性の長期間安定性も
大幅に向上した。酵素は、ゾル−ゲル被覆されたガラスにも固定化することがで
きる。固定化酵素の質量は被膜の厚さに比例して増加させることができる
【0065】 滑らかなナノメータサイズのポリマーフィルムを成長させる表面閉じ込めリビ
ングラジカル重
【0066】 微量分取装置の使用法 図5は、本発明にかかる方法の一実施形態の概略図を示す。システムは、生体
分子アレイ(100)と、コンピュータ(200)と、動作制御ステージ(30
0)と、複数の微量分取すなわち噴射制御装置(400)と、クロマトグラフィ
パッキン(600)が取り付けまたは組み込まれた複数の化学的微量分取すなわ
ち噴射装置(500)と、分取された生体分子を収集する捕獲装置(700)と
、分析器制御装置(800)と、分析器(900)とを備えている。
【0067】 生体分子アレイ(100)は、分取装置(500)の上もしくはその近傍でク
ロマトグラフィパッキン(600)の上流側に配置されている。試料(100)
は、液体クロマトグラフィ技術にとって公知の任意の移動相を用いて、小型ステ
ップモータ制御のシリンジポンプ等の従来の微小流体容積式ポンプによって、あ
るいは、圧電性分取装置(500)による流体の微量分取処理により試料をクロ
マトグラフィパッキン(600)を横断して積極的に吸引する手段によって、ク
ロマトグラフィパッキン(600)に送給される。移動相の化学的特性を変更す
ることにより、生体分子をクロマトグラフィパッキン(600)から微量分取装
置(500)に溶離させることができる。微量分取装置(500)は微量分取制
御装置(400)の制御下にあり、微量分取制御装置(400)は、コンピュー
タ(200)によって制御されて試料の成分を捕獲装置(700)上に分取する
。捕獲装置(700)または微量分取装置(500)は動作制御ステージ(30
0)の制御下にあり、動作制御ステージ(300)は、微量分取装置(500)
から捕獲装置(700)上への試料の沈着を可能にする具体的な所定の座標に移
動する。全ての生体分子試料が捕獲装置(700)の特定の座標上に分取される
と、これらの座標を利用して分析制御装置(800)をプログラム化することに
より、各試料を分析器(900)の経路上に配置する。
【0068】 本発明にかかる方法及びシステムの一実施形態では、動作制御ステージ、MALD I-TOF MS捕獲装置、微量分取制御装置、分取装置及び試料アレイが全てコンピュ
ータの制御下にあるように図5で示されている。試料アレイ(102)は、試料
入口管(502)を介して試料アレイに連通される分取装置(501)に対して
あるいはその近傍に固定されている。微量分取装置(501)の電子的操作は、
両極性台形状のパルスを印加する微量分取制御装置(402)によって行われる
。パルスは、微量分取装置(501)内に保持された圧電(PZT)素子(50
3)に送信される。微量分取装置(501)には、固定相の微小カラム(601
)が取り付けまたは組み込まれている。PZT素子(503)の振動により、生
体分子断片からなる試料(102)をカラム(601)内に引き込む音波が生成
される。マイクロスイッチ弁(110)により、生体分子断片溶液(102)か
ら廃棄部(310)へ塩を取り除く洗浄液(111)と溶離液(112)との間
で切換えができる。溶離液がカラム(601)に達すると、微量分取装置(50
1)がz軸駆動装置(302)の制御により降下し、微量分取装置のオリフィス
(504)がMALDI目標(702)から数mmの範囲内に位置する。所定アレイ
状のMALDI目標のX−Y座標上に、画分が時間に応じてまたは量に応じて(噴出
される滴の量は数ピコリットル単位である)分取される。したがって、各X−Y
座標は生体分子消化物(102)の画分を表す。所定の試料液滴アレイをMALDI
目標上に分取した後、3軸制御装置(301)とx軸、y軸及びz軸駆動装置(
302)の制御により、微量分取装置の入口管(502)を新しい試料ウェル(
102)内に移動させる。微量分取装置の入口管(502)をマイクロタイター
プレート試料アレイ(102)の次の試料内へ移動させることは、微量分取装置
オリフィス(504)を新たなMALDI目標位置(702)の直上に移動させるこ
とと一致する。分取速度は、両極性台形パルスの電圧、周波数及び保圧を変化さ
せる電子系(402)から制御される。コンピュータ(202)は、動作制御ス
テージ制御装置(301)、微量分取装置電子系(402)及びマイクロスイッ
チ弁(110)を制御する。
【0069】 溶離液(112)は、紫外線(代表的には、窒素レーザ)の照射から熱エネル
ギーを吸収するマトリックスを含んだ緩衝液であってもよい。溶離液(112)
が熱エネルギー吸収マトリックスを含まない場合は、さらに別の微量分取装置を
使用して、試料断片のMALDI目標(702)への分取前または後にマトリックス
溶液を分取してもよい。目標は、金属であっても、金属製目標に貼着された膜で
あっても、使い捨ての膜からなる目標であってもよい。
【0070】 分取されたアレイの分析例を図7に示す。図6に示す構成の微量分取装置に対
して、大腸菌の全細胞溶解物から2-D PAGEによって精製された大腸菌外膜タンパ
ク質OmpAのトリプシン消化物が装填された。2マイクロリットルのOmpA消化物を
、10マイクロリットルの脱イオン水に希釈し、収集材としてC18パッキンを
有する噴射管に導入した。分取のための電子的条件は、立上り及び立下りが0.
1μs、電圧が100V、周波数が100Hz、保圧が100μs、トリガー設
定あたりの液滴数が255であった。試料が収集材上に装填されると、上述の電
子的設定を利用して、噴射管を10マイクロリットルの脱イオン水で3回洗浄し
た。0.5%(v/v)のトリフロオロ酢酸を含む50%(v/v)アセトニト
リルの緩衝液を用いて、収集材から時間依存でペプチドを溶離した。溶離緩衝液
を分取する電子的設定は上記と同じであった。各画分を、0.5%(v/v)の
トリフロオロ酢酸を含む50%(v/v)アセトニトリル内に10mg/mL-1 の濃度で数百ナノリットルの有機酸、α−シアノ−4−ヒロキシ経皮酸(alpha-c yano-4-hyroxycinnamic acid)を含有する目標に収集した。
【0071】 ペプチド消化物の分離について理解しやすくするため、いくつかのピーク点に
その観測質量値を付した(図7)。それぞれ異なる画分において、一部の質量値
が優先的に溶離しているのが明らかにわかる。例えば、ペプチドイオン1654.8は
画分3ないし5で顕著に溶離する一方、ペプチドイオン1409.6はほぼ画分2での
み溶離している。
【0072】 結果は、本発明のシステム及び装置を利用して少量のペプチド画分を試料採取
、収集及び分析することが可能であることを示している。
【0073】 具体的な実施形態で示すような本発明に対して、広く記載された本発明の精神
や範囲から逸脱することなく多数の変更や改造を行い得ることは、当分野の技術
者には理解できるであろう。したがって、本発明の実施形態はあらゆる点で例示
と見なされるべきであり、限定するものと見なされるべきではない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】削除
【手続補正書】
【提出日】平成14年7月9日(2002.7.9)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、微量分取装置及びシステムを用いて化合物、特に、生体分子を分離
及び分析する装置と方法に関する。
【0002】 (背景技術) 分析用の高感度システムの開発により、化合物分析の感度と特異性が向上しつ
つある。残念なことに、極めて低濃度で非常に少量の化合物を取り扱うシステム
の開発は、分析技術にまだ追いついていない。検査や分析のために限られた濃度
の化合物を含む少量の試料しか利用できないという状況は多数存在する。現在の
試料採取技術は、これらの状況の多くで限定的に利用されている。
【0003】 質量分析法(MS)は、タンパク質、ペプチド、グリコペプチド及びその他変性
を有するペプチド、脂質、オリゴ糖及びオリゴヌクレオチド(本明細書では、総
称的に生体分子と呼ぶ)の断片を分析して非常に精確な質量を得ることができる
ので、それらの特性を同定する好ましい方法である。このデータは、生体分子の
断片形成パターンとともに、既知の全ての生体分子の配列を収めたデータベース
を照会する。
【0004】 生体分子は、MSによる検査の前に、様々なクロマトグラフィ技術を利用して互
いに分離されるとともにその緩衝となる環境からも分離されるのが普通である。
そのような精製された生体分子の特性同定は、その断片を分析することで行われ
る場合が多い。それには、タンパク質の場合、タンパク質を特異的に切断して断
片化するトリプシン等の酵素を利用することが必要である。混合物から生体分子
断片を分離するため、その断片が、官能基で誘導体化されたシリカビーズ等の固
定相を通り抜けるようにしてもよい。
【0005】 通常、断片の分離は、液体クロマトグラフィ法−エレクトロスプレーイオン化
法−質量分析法(LC-ESI-MS)によるペプチドの分析のために利用される。LC-ES
I-MSの場合、ペプチドの試料は、質量分析計に入る前に電荷を吸収する液滴の形
で導入される。しかしながら、この手法は、液体界面がないマトリックス支援レ
ーザ脱離イオン化法(MALDI)の場合には機能しない。上記と異なり、ペプチド
は紫外線吸収マトリックスを介して荷電状態を呈する。MALDIにおいては、一般
的に、ポストソース分解(PSD)と呼ばれる技術を使用して断片形成データを作
成する。PSD実験を実施する前にペプチドを分離する必要はないが(イオン選択
によって候補ペプチドが選択される)、その工程は自動化されていないし、ロバ
ストでもない。多数の候補ペプチドが近傍のイオンによって抑制されるため、選
択するのに足りるほどにはイオン化されない。
【0006】 いくつかの研究グループは、試料が液体クロマトグラフィ(LC)カラムから収
集され、MALDI-TOF MS(MALDI−飛行時間型質量分析法)試料プレート上に手動
で沈着されるLCインタフェースをMALDIに対して実施している。その後、紫外線
吸収マトリックスが手動で加えられる。最近では、LCカラムからの画分とMALDI
マトリックスの両方をMALDI-TOF MS試料プレート上に自動的に点在させる装置が
開発されている。しかしながら、分取量が1μL程度と多く、ペプチドを含まな
い大量の溶液も沈着される。
【0007】 発明者らは化合物捕獲機能が組み込まれた微量分取装置を開発した。本微量分
取装置は、適切なシステム内で使用される場合は、試料から分離された化合物の
1個のあるいは多数個のスポット(spot)を、好ましくはアレイ状に、目標の上に
沈着させることができる。捕獲機能を組み込んだことにより、生体分子断片など
の化合物の分離と凝縮が可能になり、質量分析法あるいは酵素的手法を利用して
その後の断片化実験にとって理想的な基質を提供することができる。画分が直接
目標の上に収集されるので、システム次第では、MALDIの高スループット特性を
犠牲にすることなく、LC-ESI-MS手法の場合と同様に、分析を非常に高感度にす
ることができる。
【0008】 (発明の開示) 第1の特徴では、本発明は、(a)一端に液体を分取するオリフィスを備え、
他端に開口を備えた噴射管と、(b)上記噴射管に連結され、印加された電気信
号に応答して該噴射管に圧力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移
動させるよう構成された変換器とを備え、少量の液体化合物を試料採取し、収集
し、分取する微量分取装置であって、 (c) 上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または
少なくとも一時的に保持する保持手段を備えており、 上記変換器は上記保持手段と上記噴射管のオリフィスとの間に配設されている
ことを特徴とする微量分取装置を提供する。 関連する特徴では、(a)一端に液体を分取するオリフィスを備え、他端に開
口を備えた噴射管と、(b)上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答
して該噴射管に圧力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させる
よう構成された変換器とを備え、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取
する微量分取装置であって、 (c) 上記装置内で接触する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または
少なくとも一時的に保持する保持手段を備えており、 上記保持手段は上記噴射管の内面の一部を形成するとともに該内面を改質して
おり、上記改質された内面の少なくとも一部は上記噴射管の開口と上記変換器と
の間に広がって位置していることを特徴とする微量分配装置が提供される。
【0009】 好ましい実施形態では、上記微量分取装置は、少なくとも直径約5μMの滴状
の精確な量の液体を分取するよう構成されている。一般に、化学及び生物学用途
では、約50ないし200μMの滴径が使用される。この滴径は質量分析計器で
のレーザ検査に都合がよい。好ましい形態では、沈着量は、レーザビームの径が
沈着スポット(約50ないし100μM)に等しくなるにようにされる。液体を
オリフィスに通過させると、小さな液滴が形成される。
【0010】 少量とは、通常、約1μL未満であり、好ましくは、状況により約0.1μM
あるいは約0.1μM未満である。本装置は、スプレー状に使用される場合、液
滴状ではない形で多量に分取することができる。この種の液体分取方法を利用す
ることにより、噴射管を洗浄もしくは軽く洗浄することができる。上記噴射管は
、通常、ガラス製であるが、金属、プラスチック等、その他の物質が使用されて
もよい。
【0011】 本発明に適した変換器は、圧電式、磁歪式、電歪式または電気機械式である。
好ましくは、圧電式である。変換器用の適切な圧電材料には、ジルコン酸チタン
酸鉛(pzt材料)等がある。
【0012】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、どのような形の反
応性材料であってもよく、一般には、固定相の形で提供される。適切な固定相材
料としては、以下に限定されるものではないが、クロマトグラフィ材料、基質や
、化合物を結合及び遊離可能な反応性基、化合物を結合及び遊離可能な表面活性
基、固定化型配位子等を有する物理的パッキンや、誘導体化表面等がある。
【0013】 上記固定相は、好ましくは、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)カラムパッ
キンの形をした誘導体化固定相材料である。
【0014】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、上記噴射管と関連
していたり、噴射管内のどこかに配置されたり、噴射管の内面の一部を形成する
ことができる。
【0015】 上記微量分取装置は、同じあるいは別個の変換器に制御される複数の噴射管を
備えていてもよい。上記複数の噴射管は、1つ以上の化合物を収集、捕獲または
保持する同じあるいは別々の手段を有していてもよい。
【0016】 上記装置は、再利用されてもよいし、廃棄されてもよいし、異なる噴射管を受
け入れるように構成されてもよい。
【0017】 上記本発明の第1の特徴にかかる装置の利点は、微量の化合物を有する微小な
試料を精確に採取できることである。本装置によって保持された化合物は、さら
なる分析のため、精確な少量の凝縮された形で溶離させることができる。相対的
に多量(μL範囲)の試料を噴射管に通過させ、目的の化合物を上記収集手段に
捕獲させることができる。使用される収集手段次第では、噴射管を通過する液体
の状態の変化によって、保持した化合物を放出させることができる。溶離条件と
しては、以下に限定されないが、イオン強度、溶剤、塩、界面活性剤、化学剥離
、圧力降下または上昇等がある。
【0018】 本発明の第1の特徴にかかる装置は、何らかの物理的手段により捕獲可能な全
ての化合物の収集及び分析に適している。化合物の例としては、以下に限定され
ないが、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品や、タンパク質、ペプチド、グリコ
ペプチド及びその他改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホルモン、ステロイ
ド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子や、それらの断
片がある。
【0019】 分析可能な試料としては、以下に限定されないが、環境上の試料、尿、血漿、
血液製剤等の臨床上の試料、可溶化された組織サンプル、ペプチド断片の溶液、
遺伝子断片の溶液等が含まれる。
【0020】 試料は、上記噴射管の開口から付与されて、上記収集手段を通過し、上記オリ
フィスから制御された状態で出ることができる。あるいは、試料がオリフィスか
ら上記収集手段に付与された後、溶離されてオリフィスから戻される“浸漬及び
吸引”法によって試料採取するように上記装置を使用することも可能である。
【0021】 第2の特徴では、本発明は、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取す
るシステムであって、 (a) 本発明の第1の特徴にかかる微量分取装置と、 (b) 上記変換器に電気信号を印加する手段と、 (c) 上記微量分取装置の噴射管内部でのあるいは該噴射管へのあるいは該
噴射管からの液体の精確な移動を制御するよう上記電気信号の強度と周波数を調
整する手段と、 (d) 試料内の少なくとも一部の化合物が上記微量分取装置の収集手段によ
り捕獲または保持されるように、上記噴射管に対して上記試料を付与する手段と
、 (e) 上記管が洗浄されかつ上記収集手段によって捕獲または保持された化
合物が溶離または除去されるように、上記噴射管へあるいは上記噴射管から液体
を送給する手段とを備えたシステムを提供する。
【0022】 好ましい実施形態では、上記システムは、 (f) 溶離された化合物を捕獲装置上に、好ましくはX−Y目標上に配列す
る手段をさらに備えている。
【0023】 別の好ましい実施形態では、上記システムは、 (g) 手段(d)、手段(e)及び手段(f)を制御する手段をさらに備え
ている。
【0024】 好ましくは、上記手段(g)はコンピュータである。
【0025】 好ましい実施形態では、上記システムは、 (h) 上記溶離された化合物を分析する手段をさらに備えている。
【0026】 本発明のさらに好ましい実施形態では、上記捕獲装置は、上記分析器(h)に
挿入されるよう構成された装置である。適切な例としては、光電式装置、光化学
式装置、レーザ装置、放射化学式装置及び質量分析装置の利用が含まれる。明ら
かに、上記分析工程は、化合物の配列後のいつかに実行することができる。
【0027】 好ましい形態では、上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である。
【0028】 第3の特徴では、本発明は、液体試料内の1つ以上の少量の化合物を採取し、
収集し、目標の上に配列する方法であって、 (a) 本発明の第1の特徴にかかる微量分取装置を提供する工程と、 (b) 液体試料に含まれる1つ以上の化合物の少なくとも一部が上記微量分
取装置の収集手段によって保持されるように、上記液体試料を上記微量分取装置
の噴射管に付与する工程と、 (c) 場合に応じて、上記噴射管を洗浄して該噴射管内に存在する非結合物
質を除去する工程と、 (d) 上記収集手段から保持された化合物を溶離する工程と、 (e) 上記溶離された少量の化合物を捕獲装置上に配列する工程とを備えた
方法を提供する。
【0029】 上記工程(b)ないし工程(e)は、複数の異なる試料の連続的な分離を実行
するように繰り返されるかあるいは循環されてもよい。
【0030】 好ましい実施形態では、上記方法は、 (f) 上記配列され溶離された化合物を分析する手段をさらに備えている。
【0031】 適切な捕獲装置の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ニトロ
セルロース、ナイロン、テフロン(R)、ゴアテックス(gortex)等の膜、96個
、384個及び1536個の微容積ウェルからなる標準マイクロタイタープレー
ト類、マイクロ化学分析システム(μ-TAS)、金属及びガラス表面、ガラス毛細
管及びその誘導体化表面、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹脂及びそ
の誘導体、頻繁に架橋されたポリスチレン(ポリスチレン、スチレン、ジビニル
ベンゼン)、架橋ポリサッカリド及びその誘導体(セルロース、デキストラン、
アガロース)、架橋アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレート及びそ
の誘導体、ポリヒドロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニルアルコー
ル及びその誘導体、常磁性ビーズ及びその誘導体等がある。
【0032】 さらに好ましい実施形態では、上記捕獲装置は、分析器に挿入されるよう構成
された装置である。適切な例としては、光電式装置、光化学式装置、レーザ装置
、放射化学式装置及び質量分析装置の利用が含まれる。
【0033】 好ましい形態では、上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である。
【0034】 本発明の第3の特徴にかかる方法は、何らかの物理的手段により捕獲可能な全
ての化合物の収集及び分析に適している。化合物の例としては、以下に限定され
ないが、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品や、タンパク質、ペプチド、グリコ
ペプチド及びその他の改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホルモン、ステロ
イド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子や、それらの
断片がある。
【0035】 上記化合物は、好ましくは、タンパク質から切断された1つ以上のペプチド(
あるいは改質ペプチド)である。
【0036】 分析可能な試料としては、以下に限定されないが、環境上の試料、尿、血漿、
血液製剤等の臨床上の試料、可溶化された組織、ペプチド断片の溶液、遺伝子断
片の溶液が含まれる。
【0037】 試料は、上記噴射管の開口から付与されて、上記収集手段を通過し、上記オリ
フィスから制御された状態で出ることができる。あるいは、試料がオリフィスか
ら上記収集手段に付与された後、溶離されてオリフィスから戻される“浸漬及び
吸引”法によって試料を採取するように上記装置を使用することも可能である。
【0038】 試料を微量分取する必要性のある典型的な例の1つは、2次元ポリアクリルア
ミド電気泳動(2-D PAGE)によって分離されたタンパク質の最終分析に対するも
のである。タンパク質分析における重要な条件としては、ペプチドの純度や(改
質ペプチドを含む)総ペプチド対象範囲が含まれ、すなわち、回収されるペプチ
ド類が多いほど、タンパク質の同一性推定に対する信頼性が高まる。また、微小
試料の分析を利用してタンパク質を同定してもよい。
【0039】 ペプチドの質量分析に由来する断片化または酵素分解により生成された短い一
続きの配列である“配列タグ”を作成して、タンパク質の同定を容易にしたり目
的のペプチドに対する翻訳後の改質を研究する必要性がますます高まっている。
しかしながら、MALDIで断片データを作成することは些細なことではない。それ
には、2つの手法がある。すなわち、第1の手法は、ポストソース分解と呼ばれ
る実験で、質量分析検出器を有効に調節してレーザ脱離により誘導された準安定
性の断片を検出するものである。第2の手法は、目標生体分子をそのまま酵素(
プロテアーゼ)分解するもので、ペプチドラダーを生成し、アミノ酸を酵素によ
って遊離させることで断片間に質量差を発生させる。ペプチド断片が不純物の混
じったペプチドからの分離を容易化するように配列されるならば、両手法ともに
単純化されることになる。さらに、ペプチド混合物を時間依存的、すなわち、空
間的により単純な成分に分離する処理によってイオン抑制の問題が対処されるの
で、ペプチドを配列する機能によってタンパク質対象範囲が拡大されることにな
る。
【0040】 第4の特徴では、本発明は、少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取す
る際に、本発明の第1の特徴にかかる装置または本発明の第2の特徴にかかるシ
ステムを使用するものである。
【0041】 本明細書中の従来の文書に関する記述は、それらの文書がオーストラリアにお
ける関連技術の共通の一般知識の一部を構成することを容認するものではない。
【0042】 本明細書を通じて、特に文脈上必要とされない限り、“備える”という言葉や
“備えている”等の変形は、記述した要素、完全体または工程、あるいは、要素
、完全体または工程の群を包含するが、その他のあらゆる要素、完全体または工
程、あるいは、要素、完全体または工程の群を排除しないことを意味すると解さ
れる。
【0043】 本発明をより深く理解するために、好ましい形態を以下の実施例と図面に基づ
いて説明する。
【0044】 (発明の実施の形態) 微量分取装置 1タイプの微量分取装置の実施形態は、クロマトグラフィパッキン材の形状の
収集手段が微量分取装置の開口に接続されているものであり、図1に示されてい
る。PZT管(503)がガラス毛細噴射管(505)に同軸状に接合されてお
り、噴射管(505)は一端にオリフィス(504)を備えている。PZT電極
上のリード(506)は電気接続用である。この単位体はケース(507)内に
収容されている。突刺を有するフェルール(508)が流体連通をもたらすとと
もに、LC樹脂製収集材(601)と接続している。収集材(601)の長さは
、化合物分離の要件に応じて変更可能である。PZT管(503)の長さ、そし
て、ガラス毛細噴射管(505)の長さも、不使用容積の削減と圧電駆動効率の
利得との間で釣合いをとるように選択される(短い管ほど不使用容積が小さくて
駆動効率が低く、その逆もしかりである)。
【0045】 微量分取装置のもう1つの実施形態は、クロマトグラフィパッキン材が微量分
取装置の毛細管に組み入れられているものであって、図3に示されている。流体
分取の機能性は図1のものと同じである。この構成により、高い圧電駆動効率が
もたらされる。LC樹脂をオリフィスに近接して充填すれば、不使用容積を0.
5μL未満にすることができる。
【0046】 本発明にかかる収集手段を有するように改造可能な微量分取装置の構成は、ゾ
ルタン(Zoltan)による特許(US 3902083)及びヘイズ(Hayes)による特許(US 48
77745)に記載されている。本発明は、キーザ(Kyser)(US 3946398)やピーズ(P
ies)(US 5235352)等、ほぼ全てのインクジェット印刷ヘッド構成に適応可能で
ある。
【0047】 適切な微量分取装置の作動特性は、ASME公報89-WA/FE-4、1989年12月、
D.B.ウォレス(Wallace)“完全液滴形成方法を用いたオンデマンド型インクジ
ェット装置の特徴モデル方法(A Method of Characteristics Model of a Drop-O
n-demand Ink-Jet Device Using an Integral Drop Formation Method)”、及び
、1995年10月、IS&T第11回非衝撃式印刷技術国際会議(Int. Congress i
n Non-Impact Printing Technologies)議事録、D.B.ウォレス(Wallace)、V.
シャー(Shah)、D.J.ヘイズ(Hayes)及びM.E.グローブ(Grove)“動的スポット
サイズ制御による写真現実的インクジェット印刷(Photo-Realistic Ink Jet Pri
nting Through Dynamic Spot Size control)”、及び、ジャーナル・オブ・イメ
ージングサイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Imaging Science & Te
chnology)40巻5号390-395ページ、1996年、及び、IBMジャーナル(IBM
Journ.) Res. Develop.29巻314-321ページ、1984年、D.B.ボギー(Bogy
)及びF.E.タルク(Talke)"オンデマンド型インクジェット装置の波動現象の実
験的及び理論的考察(Experimental and Theoretical Study of Wave Propagatio
n Phenomena in Drop-On-Demand Ink Jet Devices)"、及び、ジャーナル・オブ
・フルイドメカニクス(Journ. Fluid Mech.)139巻、173-191ページ、198
4年、J.F.ディクスマン(Dijksman) "小型チューブラポンプの流体力学(Hydro
dynamics of Small Tubular Pumps)"において見ることができる。
【0048】 圧電式LC装置は、微小液滴の分取と化合物の分別という2つの基本的な機能
をもたらすので、ペプチドやその他生体分子の収集と分取にとって好ましい。圧
電式LC装置であれば、大部分の分析、特にMALDI分析の場合に、化合物アレイ
を印刷できる。装置の分取部は、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)管とガラス毛
細管とが同軸状に接合された単位体である。ガラス毛細管の一端には、オリフィ
スが形成されている。PZTの圧電性変位により、ガラス毛細管内部の流体に圧
力波が発生し、オリフィスからの滴の吐出が誘発される。装置の分別部は、高分
子スキャホールド内に固定されたシリカビーズからなるLC樹脂カラムである。
一実施形態では、LC樹脂材料はミリポア社(Millipore Corporation)の有標製
品である。本発明にかかるシステムは、液滴分取機構をLC機能と効果的に統合
して高分解能MALDI分析用単体装置を形成する場合に適している。
【0049】 微量分取装置の様々な構成と基本型が製造された(図1及び図3参照)。
【0050】 PZT管は、一端にオリフィスを備えたガラス毛細管と同軸状に接合された。
PZT電極にはんだ付けされたリードは電気接続用である。この単位体がケース
内に収容された。突刺を有するフェルールは、流体連通をもたらすとともに、捕
獲手段を形成するLC樹脂材料も収容している。一実施例(図1)では、LC樹
脂材料は、フェルールへの直付けあるいは中間管類を介することにより断続状態
のガラス毛細管の上方に詰め込まれた。材料の長さは、化合物分離の要件に応じ
て変更可能である。PZT管の長さ、そして、ガラス毛細管の長さも、不使用容
積の削減と圧電駆動効率の利得との間で釣合いをとるように選択される(短い管
ほど不使用容積が小さくて駆動効率が低く、その逆もしかりである)。この構成
には、製造が容易であるという利点がある。
【0051】
【表1】
【0052】 上述の装置の実施例の原理は分取装置の他の構成にも適用可能である。例えば
、複数の噴射管を有するアレイ印刷ヘッドに対して適用可能である。
【0053】 表2は、微量分取装置の一般的な寸法と範囲の例を示す。
【0054】
【表2】
【0055】 表2に列挙した寸法は、例示に過ぎず、装置が有効に駆動可能でかつ化合物が
精確に分取可能である限りは変更可能である。
【0056】 圧電性LC装置は単純な台形パルスで駆動可能である。装置評価のための分取
用流体として蒸留水を使用した。パルスの立上り時間と立下り時間はともに3μ
sに設定されている。標準的なルーチンでは、パルス幅は最大滴下速度を得るよ
うに調整された一方、パルス高は目標滴下速度を得るように調整された。250
Hzで2m/sの割合で水を分取する際の代表的なデータは、図1の第1の実施
例の場合、パルス高20Vでパルス幅25μsであった。
【0057】 図1の構成では、LCカラムは、装置の圧電性かつ流体力学的機能領域の外側
に配置されている。したがって、この付加的な上流側収集材によっては、装置の
オンデマンド滴下性能は影響されない。250Hzで2m/sの滴下速度で水を
分取する場合、装置は、通常、20ないし60μsの単純な台形パルスで駆動さ
れた。
【0058】 挿入した全ての場合に、250Hzでの水分取を、2m/sの同じ滴下速度に
なるように調整した。それぞれの場合の駆動電源対対応するカラム長を図4に示
す。長さ零は(充填物のない)空のPEEK管を指す。カラム長が約5mmのとき、
電圧は、単極性駆動パルスの場合に170Vを超えている。この駆動電圧は、カ
ラム長が1mmまで減少すると、70Vまで降下した。この測定を他の装置でも
繰り返した。具体的な電圧値は異なったが、その傾向は変わらない。PEEK管の内
部断面積は0.22mm2であった。その結果、使用した1mm長のカラムの量
は、使用した最小樹脂量である0.2μLであった。したがって、タンパク質分
離精度と装置駆動利便性の両方を満たすカラム長を求めることが可能である。
【0059】 まず、圧電装置とLCカラムが別々に製造され、その後、組み立てられた。さ
らに発展させた形では、これら2つの部品を永久結合して単一装置を形成するこ
ともできるし、互いに独立したままにすることもできる。例えば、図1の構成で
は、まず、プラスチック製で突刺を有するフェルールにLCを充填した後、その
他の部品と組み合わせるか、あるいは、プラスチック製で突刺を有するフェルー
ルを取外しと交換が可能な使い捨て部品となるように構成した。
【0060】 微量分取装置の収集手段 化合物を結合または保持することが可能な材料であれば何でも本発明の収集手
段に適している。その例としては、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹
脂及びその誘導体、頻繁に架橋されたポリスチレン(ポリスチレン、スチレン、
ジビニルベンゼン)、架橋ポリサッカリド及びその誘導体(セルロース、デキス
トラン、アガロース)、架橋アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレー
ト及びその誘導体、ポリヒドロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニル
アルコール及びその誘導体等がある。
【0061】 噴射管のガラスは、収集手段がその管内に形成されるように材料や反応性基を
加えるのに特に適している。そのような適切な化学反応の例としては、様々な有
機クロロシランとの反応によるシリカゲルのヒドロキシル基の化学的改質がある
。いくつかの例を以下に示す。
【0062】 (I)アナリティカル・バイオケミストリー(Anal Biochem) 1997 5; 247(1):
96-101 ハイブリッド形成可能なオリゴヌクレオチドのガラス支持体への共有結
合(Covalent attachment of hybridizable oligonucleotides to glass support
s) ジョー(Joos) B.、キュスター(Kuster) H.、コーン(Cone) R. スライドガラスは、アミノフェニルシランまたはアミノプロピルシランで誘導
体化可能であり、5'−スクシニル化された目標のオリゴヌクレオチドと、カル
ボジイミドを媒介とするカップリングによって(この種の化学反応は加えられた
目標のオリゴヌクレオチドの約40%ないし50%を誘導体化ガラスと共有結合
させることができる)結合可能である。カルボジイミドを媒介とするカップリン
グは、カルボン酸をアミンにカップリングするために利用可能である。したがっ
て、アミンまたはカルボキシ官能基でガラス表面を誘導体化することにより、カ
ルボジイミドを媒介とするタンパク質またはペプチドのカップリングが可能にな
る。
【0063】 (III)バイオセンサーズ・アンド・バイオエレクトロニクス(Biosens Bioele
ctron) 1999 14(8-9): 703-13 有機燐酸塩の直接検出用センサの開発(Developm
ent of sensors for direct detection of organophosphates) パートI:シリ
カ支持体上のアセチルコリンエストラーゼ及び有機燐酸塩ヒドロラーゼの固定化
、特性決定及び安定化(Immobilization, characterization and stabilization
of acetylcholinestrase and organophosphate hydrolase on silica supports) シン(Singh) A.K.、フルーンダース(Flounders) A.W.、ヴォルポーニ(Vol
poni) J.V.、アシュリー(Ashley) C.S.、ウォリー(Wally) K.、ショーニガ
ー(Schoeniger) J.S. アメリカ合衆国カリフォルニア州94551-0969リヴァモ
ア、サンディア・ナショナル・ラボラトリーズ(Sandia National Laboratories)
、ケミカル・アンド・ラディエーション・ディテクション・ラボラトリー(Chemi
cal and Radiation Detection Laboratory) 2種類の共有結合型の化学反応を利用してAChEとOPHを多孔質及び非多孔質シ
リカガラスに固定化することができる。第1の化学反応は、シリカをアミンシラ
ン処理した後、同質二官能価のリンカであるグルタルアルデヒドを使用して酵素
を結合させることである。第2の化学反応は、スルフヒドリルシラン処理した後
、異質二官能価のリンカであるN−γ−マレイミドブチリロキシスクシンイミド
エステル(GMBS)を使用して酵素を結合させることである。表面は、全固定化酵
素、総酵素活性と比酵素活性及び酵素活性の長期間安定性の面で特性を同定する
ことができる。アミン誘導体化後にグルタルアルデヒドで架橋することにより、
支持体の固定化酵素量と活性が増大する。多孔質支持体を使用したことにより、
支持体の固定化酵素量と活性が増大しただけでなく、酵素活性の長期間安定性も
大幅に向上した。酵素は、ゾル−ゲル被覆されたガラスにも固定化することがで
きる。固定化酵素の質量は被膜の厚さに比例して増加させることができる。
【0064】 滑らかなナノメータサイズのポリマーフィルムを成長させる表面閉じ込めリビ
ングラジカル重合
【0065】 微量分取装置の使用法 図5は、本発明にかかる方法の一実施形態の概略図を示す。システムは、生体
分子アレイ(100)と、コンピュータ(200)と、動作制御ステージ(30
0)と、複数の微量分取すなわち噴射制御装置(400)と、クロマトグラフィ
パッキン(600)が取り付けまたは組み込まれた複数の化学的微量分取すなわ
ち噴射装置(500)と、分取された生体分子を収集する捕獲装置(700)と
、分析器制御装置(800)と、分析器(900)とを備えている。
【0066】 生体分子アレイ(100)は、分取装置(500)の上もしくはその近傍でク
ロマトグラフィパッキン(600)の上流側に配置されている。試料(100)
は、液体クロマトグラフィ技術にとって公知の任意の移動相を用いて、小型ステ
ップモータ制御のシリンジポンプ等の従来の微小流体容積式ポンプによって、あ
るいは、圧電性分取装置(500)による流体の微量分取処理により試料をクロ
マトグラフィパッキン(600)を横断して積極的に吸引する手段によって、ク
ロマトグラフィパッキン(600)に送給される。移動相の化学的特性を変更す
ることにより、生体分子をクロマトグラフィパッキン(600)から微量分取装
置(500)に溶離させることができる。微量分取装置(500)は微量分取制
御装置(400)の制御下にあり、微量分取制御装置(400)は、コンピュー
タ(200)によって制御されて試料の成分を捕獲装置(700)上に分取する
。捕獲装置(700)または微量分取装置(500)は動作制御ステージ(30
0)の制御下にあり、動作制御ステージ(300)は、微量分取装置(500)
から捕獲装置(700)上への試料の沈着を可能にする具体的な所定の座標に移
動する。全ての生体分子試料が捕獲装置(700)の特定の座標上に分取される
と、これらの座標を利用して分析制御装置(800)をプログラム化することに
より、各試料を分析器(900)の経路上に配置する。
【0067】 本発明にかかる方法及びシステムの一実施形態では、動作制御ステージ、MALD
I-TOF MS捕獲装置、微量分取制御装置、分取装置及び試料アレイが全てコンピュ
ータの制御下にあるように図5で示されている。試料アレイ(102)は、試料
入口管(502)を介して試料アレイに連通される分取装置(501)に対して
あるいはその近傍に固定されている。微量分取装置(501)の電子的操作は、
両極性台形状のパルスを印加する微量分取制御装置(402)によって行われる
。パルスは、微量分取装置(501)内に保持された圧電(PZT)素子(50
3)に送信される。微量分取装置(501)には、固定相の微小カラム(601
)が取り付けまたは組み込まれている。PZT素子(503)の振動により、生
体分子断片からなる試料(102)をカラム(601)内に引き込む音波が生成
される。マイクロスイッチ弁(110)により、生体分子断片溶液(102)か
ら廃棄部(310)へ塩を取り除く洗浄液(111)と溶離液(112)との間
で切換えができる。溶離液がカラム(601)に達すると、微量分取装置(50
1)がz軸駆動装置(302)の制御により降下し、微量分取装置のオリフィス
(504)がMALDI目標(702)から数mmの範囲内に位置する。所定アレイ
状のMALDI目標のX−Y座標上に、画分が時間に応じてまたは量に応じて(噴出
される滴の量は数ピコリットル単位である)分取される。したがって、各X−Y
座標は生体分子消化物(102)の画分を表す。所定の試料液滴アレイをMALDI
目標上に分取した後、3軸制御装置(301)とx軸、y軸及びz軸駆動装置(
302)の制御により、微量分取装置の入口管(502)を新しい試料ウェル(
102)内に移動させる。微量分取装置の入口管(502)をマイクロタイター
プレート試料アレイ(102)の次の試料内へ移動させることは、微量分取装置
オリフィス(504)を新たなMALDI目標位置(702)の直上に移動させるこ
とと一致する。分取速度は、両極性台形パルスの電圧、周波数及び保圧を変化さ
せる電子系(402)から制御される。コンピュータ(202)は、動作制御ス
テージ制御装置(301)、微量分取装置電子系(402)及びマイクロスイッ
チ弁(110)を制御する。
【0068】 溶離液(112)は、紫外線(代表的には、窒素レーザ)の照射から熱エネル
ギーを吸収するマトリックスを含んだ緩衝液であってもよい。溶離液(112)
が熱エネルギー吸収マトリックスを含まない場合は、さらに別の微量分取装置を
使用して、試料断片のMALDI目標(702)への分取前または後にマトリックス
溶液を分取してもよい。目標は、金属であっても、金属製目標に貼着された膜で
あっても、使い捨ての膜からなる目標であってもよい。
【0069】 分取されたアレイの分析例を図7に示す。図6に示す構成の微量分取装置に対
して、大腸菌の全細胞溶解物から2-D PAGEによって精製された大腸菌外膜タンパ
ク質OmpAのトリプシン消化物が装填された。2マイクロリットルのOmpA消化物を
、10マイクロリットルの脱イオン水に希釈し、収集材としてC18パッキンを
有する噴射管に導入した。分取のための電子的条件は、立上り及び立下りが0.
1μs、電圧が100V、周波数が100Hz、保圧が100μs、トリガー設
定あたりの液滴数が255であった。試料が収集材上に装填されると、上述の電
子的設定を利用して、噴射管を10マイクロリットルの脱イオン水で3回洗浄し
た。0.5%(v/v)のトリフロオロ酢酸を含む50%(v/v)アセトニト
リルの緩衝液を用いて、収集材から時間依存でペプチドを溶離した。溶離緩衝液
を分取する電子的設定は上記と同じであった。各画分を、0.5%(v/v)の
トリフロオロ酢酸を含む50%(v/v)アセトニトリル内に10mg/mL-1
の濃度で数百ナノリットルの有機酸、α−シアノ−4−ヒロキシ経皮酸(alpha-c
yano-4-hyroxycinnamic acid)を含有する目標に収集した。
【0070】 ペプチド消化物の分離について理解しやすくするため、いくつかのピーク点に
その観測質量値を付した(図7)。それぞれ異なる画分において、一部の質量値
が優先的に溶離しているのが明らかにわかる。例えば、ペプチドイオン1654.8は
画分3ないし5で顕著に溶離する一方、ペプチドイオン1409.6はほぼ画分2での
み溶離している。
【0071】 結果は、本発明のシステム及び装置を利用して少量のペプチド画分を試料採取
、収集及び分析することが可能であることを示している。
【0072】 具体的な実施形態で示すような本発明に対して、広く記載された本発明の精神
や範囲から逸脱することなく多数の変更や改造を行い得ることは、当分野の技術
者には理解できるであろう。したがって、本発明の実施形態はあらゆる点で例示
と見なされるべきであり、限定するものと見なされるべきではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 30/72 G01N 30/72 C 30/88 30/88 J 35/10 35/06 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 アンドリュー アーサー グーリィ オーストラリア国 ニューサウスウェール ズ州 2074,ターラマーラ カティーナス トリート 15 (72)発明者 フェミア ホップウッド オーストラリア国 ニューサウスウェール ズ州 2153ウィンストンヒルズ マルコー ニストリート 8 Fターム(参考) 2G052 AA00 AA28 CA08 CA28 GA11 GA24 GA26 GA27 2G058 AA09 EA02 EA11 EA14 EB00 ED11 4B029 AA07 AA09 BB16 BB20 CC03 CC08 FA12 HA09 4B063 QA01 QA18 QQ01 QQ21 QQ42 QQ52 QR82 QS10 QS12 QX02 QX04

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取する微量分取
    装置であって、 (a) 一端にオリフィスを備え、他端に開口を備えた噴射管と、 (b) 上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答して該噴射管に圧
    力パルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させるよう構成された変
    換器と、 (c) 上記噴射管を通過する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または
    保持する手段とを備えた微量分取装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも直径約5μMの滴状の精確な量の液体を分取する
    よう構成されている請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 約50ないし200μMの滴径が作成される請求項2記載の
    装置。
  4. 【請求項4】 上記噴射管はガラス毛細管の形で形成されている請求項1な
    いし3のいずれかに記載の装置。
  5. 【請求項5】 上記変換器は、圧電式、磁歪式、電歪式及び電気機械式から
    なる群から選択される請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
  6. 【請求項6】 上記変換器は圧電式である請求項5記載の装置。
  7. 【請求項7】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、
    化合物または化合物の混合物を保持することが可能な反応性材料から形成されて
    いる請求項1ないし6のいずれかに記載の装置。
  8. 【請求項8】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は、
    固定相である請求項7記載の装置。
  9. 【請求項9】 上記固定相は、クロマトグラフィ材料、基質、化合物を結合
    及び遊離可能な反応性基、化合物を結合及び遊離可能な表面活性基、固定化型配
    位子等を有する物理的パッキン及び誘導体化表面からなる群から選択される請求
    項8記載の装置。
  10. 【請求項10】 上記固定相は、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)カラ
    ムパッキンの形をした誘導体化固定相材料である請求項8記載の装置。
  11. 【請求項11】 上記1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段は
    、上記噴射管と関連しているか、噴射管内に配置されるか、あるいは、噴射管の
    内面の一部を形成している請求項1ないし10のいずれかに記載の装置。
  12. 【請求項12】 同じあるいは別個の変換器に制御される複数の噴射管を備
    えている請求項1ないし11のいずれかに記載の装置。
  13. 【請求項13】 上記複数の噴射管は、1つ以上の化合物を収集、捕獲また
    は保持する同じあるいは別々の手段を有している請求項12記載の装置。
  14. 【請求項14】 化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品と、タンパク質、ペプ
    チド、グリコペプチド及びその他の改質ペプチド類、糖タンパク質、核酸、ホル
    モン、ステロイド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗体等の生体分子
    と、それらの断片とからなる群から選択された化合物を収集して分取するように
    構成されている請求項1ないし13のいずれかに記載の装置。
  15. 【請求項15】 少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取するシステ
    ムであって、 (a) 一端に位置するオリフィスと他端に位置する開口から構成された噴射
    管と、上記噴射管に連結され、印加された電気信号に応答して該噴射管に圧力パ
    ルスを加えることにより上記噴射管内の液体を移動させるよう構成された変換器
    と、上記噴射管を通過する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持す
    る手段とを備えた微量分取装置と、 (b) 上記変換器に電気信号を印加する手段と、 (c) 上記噴射管へのあるいは上記噴射管からの液体の精確な移動を制御す
    るよう上記電気信号の強度と周波数を制御する手段と、 (d) 試料内の少なくとも一部の化合物が上記微量分取装置の収集手段によ
    り捕獲または保持されるように、上記噴射管に対して上記試料を付与する手段と
    、 (e) 上記管が洗浄されかつ上記収集手段によって捕獲または保持された化
    合物が溶離または除去されるように、上記噴射管へあるいは上記噴射管から液体
    を送給する手段とを備えたシステム。
  16. 【請求項16】 上記微量分取装置は請求項2ないし14のいずれかに記載
    のものである請求項15記載のシステム。
  17. 【請求項17】 (f) 溶離された化合物を捕獲装置上に、好ましくはX
    −Y目標上に配列する手段をさらに備えている請求項15または16記載のシス
    テム。
  18. 【請求項18】 上記捕獲装置は、膜、マイクロタイタープレート、マイク
    ロ化学分析システム、金属及びガラス表面、ガラス毛細管及びその誘導体化表面
    、シリカベースの媒質及びその誘導体、合成樹脂及びその誘導体、架橋ポリスチ
    レン、スチレン、ジビニルベンゼン、架橋ポリサッカリド及びその誘導体、架橋
    アクリルアミド及びその誘導体、ポリメタクリレート及びその誘導体、ポリヒド
    ロキシメタクリレート及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、
    常磁性ビーズ及びその誘導体からなる群から選択される請求項17記載のシステ
    ム。
  19. 【請求項19】 上記膜は、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ニトロ
    セルロース、ナイロン、テフロン(R)、ゴアテックスまたはそれらの組合せか
    ら形成されている請求項18記載のシステム。
  20. 【請求項20】 (g) 手段(d)、手段(e)及び手段(f)を制御す
    る手段をさらに備えている請求項15ないし19のいずれかに記載のシステム。
  21. 【請求項21】 上記手段(g)はコンピュータである請求項20記載のシ
    ステム。
  22. 【請求項22】 (h) 上記溶離された化合物を分析する手段をさらに備
    えている請求項15ないし21のいずれかに記載のシステム。
  23. 【請求項23】 上記捕獲装置は、分析器(h)に挿入されるよう構成され
    た装置である請求項22記載のシステム。
  24. 【請求項24】 上記分析器は、光電式装置、光化学式装置、レーザ装置、
    放射化学式装置及び質量分析装置からなる群から選択される請求項23記載のシ
    ステム。
  25. 【請求項25】 上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
    行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である請求項23記載のシステム。
  26. 【請求項26】 液体試料内の少量の化合物を採取し、収集し、目標の上に
    配列する方法であって、 (a) 一端にオリフィスを備え、他端に開口を備えた噴射管と、上記噴射管
    に連結され、印加された電気信号に応答して該噴射管に圧力パルスを加えること
    により上記噴射管内の液体を移動させるよう構成された変換器と、上記噴射管を
    通過する液体から1つ以上の化合物を収集、捕獲または保持する手段とを備えた
    微量分取装置を提供する工程と、 (b) 液体試料に含まれる化合物の少なくとも一部が上記収集手段によって
    保持されるように、上記液体試料を上記微量分取装置の噴射管に付与する工程と
    、 (c) 場合に応じて、上記噴射管を洗浄して該噴射管内に存在する非結合物
    質を除去する工程と、 (d) 上記収集手段から保持された化合物を溶離する工程と、 (e) 上記溶離された少量の化合物を捕獲装置上に配列する工程とを備えた
    方法。
  27. 【請求項27】 上記微量分取装置は請求項2ないし14のいずれかに記載
    のものである請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 上記工程(b)ないし工程(e)は、複数の異なる試料の
    連続的な分離を実行するように繰り返されるかあるいは循環される請求項26ま
    たは27記載の方法。
  29. 【請求項29】 (f) 上記配列され溶離された化合物を分析する工程を
    さらに備えている請求項26ないし28のいずれかに記載の方法。
  30. 【請求項30】 上記捕獲装置は、分析器に挿入されるよう構成されている
    請求項26ないし29のいずれかに記載の方法。
  31. 【請求項31】 上記分析器は、光電式装置、光化学式装置、レーザ装置、
    放射化学式装置及び質量分析装置からなる群から選択される請求項30記載の方
    法。
  32. 【請求項32】 上記分析器は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛
    行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)である請求項29記載の方法。
  33. 【請求項33】 上記試料は、上記噴射管の開口から上記収集手段に対して
    付与され、上記化合物は上記オリフィスから溶離されて出る請求項26ないし3
    2のいずれかに記載の方法。
  34. 【請求項34】 上記試料は、上記噴射管のオリフィスから上記収集手段に
    対して付与され、上記化合物は上記オリフィスから溶離される請求項26ないし
    33のいずれかに記載の方法。
  35. 【請求項35】 上記化合物は、化学薬品、殺虫剤、除草剤、医薬品と、タ
    ンパク質、ペプチド、グリコペプチド及びその他の改質ペプチド類、糖タンパク
    質、核酸、ホルモン、ステロイド、酵素、補因子、組換えタンパク質、抗原、抗
    体等の生体分子と、それらの断片からなる群から選択される請求項26ないし3
    4のいずれかに記載の方法。
  36. 【請求項36】 上記化合物は、タンパク質から切断された1つ以上のペプ
    チドあるいは改質ペプチドである請求項35記載の方法。
  37. 【請求項37】 上記液体試料は、環境上の試料、尿、血漿、血液製剤等の
    臨床上の試料、可溶化された組織、タンパク質のペプチド断片の溶液、及び遺伝
    子断片の溶液からなる群から選択される請求項26ないし36のいずれかに記載
    の方法。
  38. 【請求項38】 少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取するための
    請求項1ないし14のいずれかに記載の装置の使用。
  39. 【請求項39】 少量の液体化合物を試料採取し、収集し、分取するための
    請求項15ないし25のいずれかに記載のシステムの使用。
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