JP4220453B2 - 積層型インダクタの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インダクタ部品及びその製造方法に関する。
インダクタ部品として、コイル状導体と当該コイル状導体の両端に位置する引き出し導体とを含むコイル部と、コイル部を覆う外装部と、各引き出し導体と電気的にそれぞれ接続される複数の外部電極とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載されたコイル部品は積層型インダクタである。この積層型インダクタでは、電気絶縁層と導体パターンが交互に積層され、各導体パターンの端部が順次接続されて電気絶縁層体(外装部)中に積層方向に重畳したコイル(コイル状導体)が形成されている。コイルの端部は、引き出し導体によってチップ両端の外部電極に接続されている。外部電極は、コイルの軸方向と平行な実装面のみに形成されている。引き出し導体の端部は、実装面とチップ側面とに露出しており、チップ側面の露出導体は、帯状の電極により外部電極に接続されている。コイルの軸方向から見て、引き出し導体の幅はコイル状導体の幅よりも広い。
特開2002−305111号公報
通常、上述したような構成のコイル部品は、外部電極を回路基板に形成された電極パッドにはんだ付けすることにより、回路基板に電気的及び機械的に接続されて実装される。特許文献1に記載されたコイル部品の場合、実装面に形成された外部電極及び帯状の電極がはんだ付けされるが、各電極とも幅が狭く小さいため、はんだ付け面積が狭くなってしまう。このため、コイル部品の実装強度を確保できない懼れがある。
また、特許文献1に記載されたコイル部品では、コイルの軸方向から見て、引き出し導体の幅がコイル状導体の幅よりも広い。このため、幅広の引き出し導体がコイル状導体に発生するフラックスを阻害し、コイル部品の重要な特性であるQ(quality factor)を低下させてしまう。
また、外部電極も、コイル状導体に発生するフラックスを阻害し、Qを低下させる要因となる。外部電極がフラックスを阻害する度合いは、当該外部電極が形成される位置(外装部の側面)に大きく依存する。
更に、特許文献1に記載されたコイル部品では、実装面にのみ外部電極が形成されており、外装部の角部には外部電極が形成されていないので、角部の欠け等の不具合が発生する懼れがある。
そこで、本発明では、実装強度を確保しつつ、角部の欠け等の不具合を抑制すると共に、Qの低下を抑制することが可能なインダクタ部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のインダクタ部品は、インダクタンスを形成するインダクタンス導体と、インダクタンス導体の両端に位置する引き出し導体とを含むインダクタ部と、インダクタ部を覆うと共に電気絶縁性を有する外装部と、各引き出し導体と電気的にそれぞれ接続される複数の外部電極と、を備えており、外装部は、インダクタンス導体の軸心方向に沿い且つ互いに隣り合わない2つの第1の側面と、2つの第1の側面それぞれと隣り合う第2の側面と、インダクタンス導体の軸心方向に交差し且つ2つの第1の側面及び第2の側面それぞれと隣り合う第3の側面とを有し、各外部電極は、各第1の側面から第2の側面に渡って形成されている電極部分と、電極部分に繋がるように第3の側面に形成されている回り込み部分と、を有し、回り込み部分は、第2の側面と第3の側面との境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されている。
本発明のインダクタ部品によれば、インダクタ部に電気的に接続される外部電極が、外装部の第1の側面及び第2の側面に連続的に形成される電極部分を有するので、はんだ付け面積をより広く確保できる。また、外部電極は電極部分に繋がるように形成されている回り込み部を有し、その回り込み部は外装部の第1の側面及び第2の側面と隣り合う第3の側面に形成されているので、第1の側面、第2の側面、及び第3の側面によって形成される角部を保護できる。また、回り込み部は、第2の側面と第3の側面との境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されているので、インダクタ導体の軸心に向かうに従ってその外縁が軸心から遠ざかり、インダクタ導体が発生するフラックスの阻害を低減できる。
また本発明のインダクタ部品では、外装部は、第2の側面に対向し且つ2つの第1の側面及び第3の側面それぞれと隣り合う第4の側面を有し、各外部電極は、各第1の側面から第4の側面に渡って形成されている電極部分と、電極部分に繋がるように第3の側面に形成されている回り込み部分と、を有し、回り込み部分は、第4の側面と第3の側面との境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されることも好ましい。
本発明のこの好ましい態様によれば、外部電極の電極部分が第2の側面に対向する第4の側面から第1の側面に連続的に形成されているので、外装部の上下に係わらずはんだ付け面積をより広く確保できる。また、回り込み部は、第4の側面と第3の側面との境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されているので、インダクタ導体の軸心に向かうに従ってその外縁が軸心から遠ざかり、インダクタ導体が発生するフラックスの阻害を低減できる。
本発明のインダクタ部品は、インダクタンスを形成するインダクタンス導体と、インダクタンス導体の両端に位置する引き出し導体とを含むインダクタ部と、インダクタ部を覆うと共に電気絶縁性を有する外装部と、各引き出し導体と電気的にそれぞれ接続される複数の外部電極と、を備えており、外装部は、インダクタンス導体の軸心方向に沿い且つ互いに隣り合わない2つの第1の側面と、インダクタンス導体の軸心方向に沿い且つ2つの第1の側面それぞれと隣り合う第2の側面と、インダクタンス導体の軸心方向に交差する第3の側面と、第2の側面に対向し且つ2つの第1の側面それぞれと隣り合う第4の側面と、を有し、各外部電極は、各第1の側面から第2の側面及び第4の側面に渡って形成されている電極部分と、電極部分に繋がるように第3の側面に形成されている回り込み部分と、を有し、回り込み部分は、第2の側面と第3の側面との境界及び第4の側面と第3の側面との境界それぞれから、他方の境界に近づくに従ってその幅が狭くなるように形成されている。
本発明のインダクタ部品によれば、インダクタ部に電気的に接続される外部電極が、外装部の第1の側面から第2の側面を経て第4の側面まで連続的に形成される電極部分を有するので、はんだ付け面積をより広く確保できる。また、外部電極は電極部分に繋がるように形成されている回り込み部を有し、その回り込み部は外装部の第1の側面、第2の側面及び第4の側面と隣り合う第3の側面に形成されているので、第1の側面、第2の側面、第4の側面、及び第3の側面によって形成される角部を保護できる。また、回り込み部は、第2の側面と第3の側面との境界及び第4の側面と第3の側面との境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されているので、インダクタ導体の軸心に向かうに従ってその外縁が軸心から遠ざかり、インダクタ導体が発生するフラックスの阻害を低減できる。
本発明のインダクタ部品の製造方法は、接着層を主面に形成した第1の台板を準備する工程と、インダクタンスを形成するインダクタンス導体と、インダクタンス導体の両端に位置する引き出し導体とを含むインダクタ部、及びインダクタ部を覆うと共に電気絶縁性を有する外装部からなる素子を準備する工程と、素子を第1の台板の接着層に接着する工程と、弾力性を有する第2の台板に、素子の幅に応じた一対の溝を形成し、当該形成した溝に導電性材料を充填する工程と、当該導電性材料を充填した第2の台板を素子が接着された接着層に対向するように配置する工程と、第2の台板と第1の台板とを互いに接近させて、素子を第2の台板に押付け、導電性材料を素子の少なくとも角部を覆うように塗布し、引き出し導体に電気的に接続される外部電極を形成する工程と、を備える。
第1の台板に接着された素子を、弾力性を有する第2の台板に押付けるので、素子が第2の台板にめり込むように埋没する。第2の台板の素子に対応した溝に充填された導電性材料は、素子のめり込みに応じて素子の稜線や角部を覆うように塗布される。
本発明によれば、実装強度を確保しつつ、角部の欠け等の不具合を抑制すると共に、Qの低下を抑制することが可能なインダクタ部品を提供することができる。
本発明の知見は、例示のみのために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
(第1実施形態) 本発明の第1実施形態である積層型インダクタ(インダクタ部品)について図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態の積層型インダクタL1を示した斜視図である。図2は、積層型インダクタL1の断面構成を説明するための図である。図3は、積層型インダクタL1に含まれる素子を示す分解斜視図である。図4は、積層型インダクタL1に含まれる外装部を示した斜視図である。
図1に示すように、積層型インダクタL1は、直方体形状の素子1と、一対の端子電極(外部電極)3,5とを備えている。図2に示すように、素子1は、コイル部10(インダクタ部)と、外装部20とを有している。図3に示すように、コイル部10は、コイル状導体11(インダクタンス導体)と、当該コイル状導体11の両端に位置する引き出し導体13,14を含んでいる。外装部20は、積層される複数(本実施形態においては、8層)の非磁性体グリーンシート21〜28を含んでいる。
図1及び図4に示すように、外装部20(素子1)は、2つの第1の側面20a,20bと、2つの第3の側面20c,20dと、第2の側面20e及び第4の側面20fと、を有している。第1の側面20a,20b同士は、X軸方向で見て互いに対向するように位置している。第3の側面20c,20d同士は、Y軸方向で見て互いに対向するように位置している。第2の側面20eと第4の側面20fとは、Z軸方向で見て互いに対向するように位置している。したがって、第1の側面20a,20b同士は互いに隣り合わず、また、第3の側面20c,20d同士も互いに隣り合わない。第2の側面20eと第4の側面20fとも、互いに隣り合わない。第1の側面20a,20bと第2の側面20eとは互いに隣り合い、第1の側面20a,20bと第4の側面20fとも互いに隣り合う。
第1の側面20a,20b、第2の側面20e及び第4の側面20fは、コイル状導体11の軸心方向と平行である。第3の側面20c,20dは、コイル状導体11の軸心方向に交差している(例えば、直交している)。第2の側面20eは、積層型インダクタL1が回路基板(図示せず)に実装されたときに、当該回路基板に対向する面(実装面)である。
図1及び図2に示すように、各端子電極3,5は、互いに電気的に連続する第1の電極部分3a,5aと、第2の電極部分3b,5bと、第1の電極部分3a,5a及び第2の電極部分3b,5bにそれぞれ繋がるように形成されている回り込み部分3c,5cと、を含んでいる。
第1の電極部分3a,5aは、第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向に直交する方向にそれぞれ形成されている。本実施形態の場合にはこの方向において、第1の電極部分3a,5aは、第1の側面20a,20bの半分程度を覆うように形成されている。また、第1の電極部分3a,5aは、第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向にわたってそれぞれ形成されている。これにより、本実施形態では、第1の電極部分3a,5aは、第1の側面20a,20bの略半分を覆うように形成されることとなる。
第2の電極部分3b,5bは、第2の側面20eの一部に形成されている。より具体的には、第2の電極部分3b,5bは、第2の側面20e上で第1の側面20a,20bとの稜に沿ってそれぞれ形成されている。第2の電極部分3b,5b同士は、互いに所定の間隔を有し、電気的に絶縁されている。
回り込み部分3c,5cは、第3の側面20c,20dの一部に形成されている。より具体的には、回り込み部分3c,5cは、第3の側面20c,20d上において、第1の電極部分3a,5aの先端部分(第1の側面20a,20b及び第2の側面20eの稜から延びる方向における先端部分)と、第2の電極部分3b,5bの先端部分(第1の側面20a,20b及び第2の側面20eの稜から延びる方向における先端部分)と、第1の電極部分3a,5a及び第2の電極部分3b,5bが交わる部分とのそれぞれを結んだ略三角形の領域に形成されている。
回り込み部分3c,5cは、この略三角形の領域において第3の平面20c,20d上にある辺が略三角形の内側にえぐれるように湾曲している。従って、回り込み部分3c,5cは、第2の側面20eと第3の側面20cとの境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されている。図2に示すように、回り込み部分3c,5cはコイル状導体11に、このコイル状導体11の軸心方向からみて重ならないように配置されている。
図3に示すように、コイル状導体11は、非磁性体グリーンシート23〜26に形成された導体パターン11a〜11dにより構成される。また、引き出し導体13,14は、非磁性体グリーンシート23,26に形成された導体パターン13a,14aにより構成される。本実施形態においては、導体パターン11aと導体パターン13aとが一体に連続して形成され、導体パターン11dと導体パターン14aとが一体に連続して形成されている。
導体パターン11aは、コイル状導体11の略1/2ターン分に相当し、非磁性体グリーンシート23上で略L字状に伸びている。導体パターン11bは、コイル状導体11の略3/4ターン分に相当し、非磁性体グリーンシート24上で略U字状に伸びている。導体パターン11cは、コイル状導体11の略3/4ターン分に相当し、非磁性体グリーンシート25上で略C字状に伸びている。導体パターン11dは、コイル状導体11の略1/4ターン分に相当し、非磁性体グリーンシート26上で略I字状に伸びている。導体パターン11a〜11dは、その端部同士が非磁性体グリーンシート23〜25にそれぞれ形成された貫通電極15a〜15cにより電気的に接続される。導体パターン11a〜11dは、相互に電気的に接続されることで、コイル状導体11を構成することとなる。
導体パターン13aは、非磁性体グリーンシート23上で、導体パターン11aの一端から連続して略I字状に伸びている。導体パターン13aの一端は、非磁性体グリーンシート23の縁部に引き出され、非磁性体グリーンシート23の端面に露出している。導体パターン13aは、素子1の第1の側面20aまで引き出されており、一方の端子電極3に電気的に接続される。導体パターン13a(引き出し導体13)は、コイル状導体11の軸心方向から見て、導体パターン11a(コイル状導体11)と同じ幅を有している。
導体パターン14aは、非磁性体グリーンシート26上で、導体パターン11dの他端から連続して略I字状に伸びている。導体パターン14aの他端は、非磁性体グリーンシート26の縁部に引き出され、非磁性体グリーンシート26の端面に露出している。導体パターン14aは、素子1の第1の側面20bまで引き出されており、他方の端子電極5に電気的に接続される。導体パターン14a(引き出し導体14)は、コイル状導体11の軸心方向から見て、導体パターン11d(コイル状導体11)と同じ幅を有している。
図2に示すように、各引き出し導体13,14は、第1の側面20a,20bに向かって伸びると共に第1の側面20a,20bに形成された第1の電極部分3a,5aに接続することにより、対応する端子電極3,5に電気的に接続している。
導体パターン13a,14a(引き出し導体13,14)は、当該導体パターン13a,14aが伸びる方向にわたって導体パターン11a,11d(コイル状導体11)と同じ幅である必要はなく、非磁性体グリーンシート23,26の縁部近傍、すなわち第1の電極部分3a,5aの近傍で若干幅広に形成されていてもよい。このように、導体パターン13a,14aを第1の電極部分3a,5aの近傍で若干幅広とすることにより、第1の電極部分3a,5aとの接続信頼性が向上される。
非磁性体グリーンシート21〜28は、電気絶縁性を有するガラス系セラミックグリーンシートである。非磁性体グリーンシート21〜28の組成は、例えば、ストロンチウム、カルシウム及び酸化珪素からなるガラス70wt%、アルミナ粉30wt%である。非磁性体グリーンシート21〜28の厚みは、例えば30μm程度である。非磁性体グリーンシート21〜28の替わりに、例えばフェライト(例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、又は、Ni−Cu系フェライト等)粉末を原料としたスラリーをフィルム上にドクターブレード法により塗布して形成した磁性体グリーンシートを用いることができる。
続いて、上述した構成の積層型インダクタL1の製造方法について説明する。まず、各非磁性体グリーンシート21〜28を用意する。次に、非磁性体グリーンシート23〜25の所定の位置、すなわち貫通電極15a〜15cを形成する予定位置に、レーザー加工等によってスルーホールを形成する。
次に、非磁性体グリーンシート23〜26に、導体パターン11a〜11d、引き出し導体13,14及び貫通電極15a〜15cに対応する電極部分を複数(後述する分割チップ数に対応する数)形成する。導体パターン11a〜11d、引き出し導体13,14及び貫通電極15a〜15cに対応する電極部分は、例えば、銀を主成分とする導体ペーストをスクリーン印刷した後、乾燥することによって形成される。非磁性体グリーンシート21,22,27,28には、電極部分が形成されていない。尚、本実施形態では導体ペーストとして銀を使用したが、ニッケルのペーストを用いてもよい。
次に、各非磁性体グリーンシート21〜28を、図3に示すように積層して圧着し、チップ単位に切断した後に所定温度(例えば、800〜900℃)にて焼成する。これにより、素子1が得られることとなる。素子1は、例えば、焼成後における長手方向の長さが0.6mm、幅が0.3mm、高さが0.3mmとなるようにする。導体パターン11a〜11d及び引き出し導体13,14の焼成後における幅は、例えば40μ程度に設定される。導体パターン11a〜11d及び引き出し導体13,14の焼成後における厚みは、例えば12μ程度に設定される。コイル状導体11の内径は、例えば、長軸方向での長さが320μm程度であり、短軸方向での長さが120μm程度に設定される。
次に、素子1に端子電極3,5を形成する。これにより、積層型インダクタL1が形成されることとなる。
続いて、素子1へ端子電極3,5を形成する方法について図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、素子1へ端子電極3,5を形成する方法を巨視的に示した図である。図6は、素子1へ端子電極3,5を形成する方法を素子1個について拡大して示した図である。
図5の(A)に示すように、熱剥離シートからなる接着層61を主面に形成した整列用台板60(第1の台板)を準備する。本実施形態では接着層61として熱剥離シートを用いているけれども、UV剥離シートといったように光や熱で接着状況が変化するシートを用いることができる。
図5の(B)に示すように、素子1を整列させて接着層61に接着する。素子1を整列させて接着するためには、自動装着機(図示しない)が用いられる。自動装着機(図示しない)を用いて素子1を整列させて接着する際には、素子1の方向識別用マーク(図示しない)を認識しながら接着する。また、自動装着機(図示しない)を用いずに、整列治具(図示しない)を用いてもよい。
図5の(C)に示すように、電極塗布用台板62(第2の台板)を素子1が整列接着された接着層61に対向するように配置する。電極塗布用台板62の素子1に対向する面には、一対の溝621が素子1ごとに対応するように設けられている。電極塗布用台板62に設けられている溝621にはそれぞれ導電性ペースト63が充填されており、導電性ペースト63の上面が電極塗布用台板62の面と略同一になるように余分な導電性ペーストがかき取られている。導電性ペースト63の材料としては、銀又は銅又はニッケルを用いるのが好ましく、本実施形態では銀を用いている。
電極塗布用台板62は弾力性のあるゴム系の材料で形成されることが好ましいため、本実施形態ではシリコンゴムで形成している。電極塗布用台板62に形成される溝の深さは、素子1に塗布する所望の塗布高さ(図1の端子電極3,5の高さ)よりも十分深くする。例えば、積層型インダクタL1の形状が0603であれば、所望の塗布高さは素子1の第1の側面20aの略半分の0.14〜0.17mmであるから、溝621の深さは0.5mm程度に設定される。尚、溝621の幅は0.5mmであり、素子1個に対する一対の溝621の間隔は0.3mmである。
図5の(D)に示すように、素子1が整列接着された整列用台板60を、電極塗布用台板62に接近させて、導電性ペースト63を素子1に塗布する。その後整列用台板60を電極塗布用台板62から引き離して、図5の(E)に示す状態となる。
図5の(D)〜(E)に示す工程の拡大図を図6に示す。素子1が整列接着された整列用台板60を電極塗布用台板62に接近させると、図6の(A)に示すように、素子1が対応する溝621に接近する。続いて、図6の(B)に示すように、素子1が押付けられて電極塗布用台板62の一対の溝621間が変形し、素子1が電極塗布用台板62にめり込んで、素子1の略半分の高さに導電性ペースト63が塗布される。その後、整列用台板60を電極塗布用台板62から引き離して乾燥させると、端子電極3,5が形成される。端子電極3,5が形成された素子1を電極塗布用台板62から取り外し、焼付け、電気めっきを行うことで積層型インダクタL1となる。
以上のように、本実施形態によれば、引き出し導体13,14(導体パターン13a,14a)が電気的に接続される各端子電極3,5が、第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向に直交する方向にわたって形成された第1の電極部分3a,5aをそれぞれ有するので、特許文献1に記載されたコイル部品に比してはんだ付け面積を確保し易くなる。また、外装部20が第1の側面20a,20bのコイル状導体11の軸心方向に直交する方向にわたり端子電極3,5を介して回路基板に機械的に接続されることとなる。これらの結果、積層型インダクタL1の実装強度を確保することができる。
また、本実施形態では、引き出し導体13,14(導体パターン13a,14a)がコイル状導体11(導体パターン11a,11d)と同じ幅を有するので、引き出し導体13,14がコイル状導体11に発生するフラックスを阻害するのを抑え、積層型インダクタL1におけるQの低下を抑制することができる。
また、本実施形態において、外装部20は、コイル状導体11の軸心方向に平行で且つ各第1の側面20a,20bと隣り合う第2の側面20eを有しており、各端子電極3,5は、第2の側面20eの一部に形成されると共に、第1の側面20a,20bに形成された第1の電極部分3a,5aに電気的に連続する第2の電極部分3b,5b及び3c,5cをそれぞれ更に有する。これにより、はんだ付け面積を更に確保し易くなる。また、第1の側面20a,20b及び第2の側面20eも、端子電極3,5を介して回路基板に機械的に接続されることとなる。これらの結果、積層型インダクタL1の実装強度を十分に確保することができる。
また、本実施形態において、外装部20は、積層される複数の非磁性体グリーンシート21〜28を含み、コイル状導体11及び引き出し導体13,14は、複数の非磁性体グリーンシート21〜28にそれぞれ形成された導体パターン11a〜11d,13a,14aにより構成される。この場合、コイル部品として積層型インダクタL1が実現されることとなる。端子電極3,5が第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向に直交する方向にわたって形成された第1の電極部分3a,5aを有しているので、当該第1の電極部分3a,5aが複数の非磁性体グリーンシート21〜28にわたって形成されることとなる。この結果、非磁性体グリーンシート21〜28の剥がれ等を防ぐことができ、積層型インダクタL1自体の強度が向上する。
また、本実施形態において、回り込み部分3c,5cは、第3の側面20c,20dの一部に形成されており、第2の側面20eと第3の側面20cとの境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されている。従って、図2を参照しながら説明したように、コイル状導体11の軸心方向から見れば、回り込み部分3c,5cはコイル状導体11と重ならないように形成されており、コイル状導体11に発生するフラックスを阻害するのを抑えることができる。
(第2実施形態) 本発明の第2実施形態である積層型インダクタ(インダクタ部品)について図7及び図8を参照しながら説明する。また、第1実施形態の説明に用いた図3及び図4を適宜参照する。図7は、第2実施形態の積層型インダクタL2を示した斜視図である。図8は、積層型インダクタL2の断面構成を説明するための図である。
図7に示すように、積層型インダクタL2は、直方体形状の素子1と、一対の端子電極(外部電極)7,9とを備えている。図8に示すように、素子1は、コイル部10(インダクタ部)と、外装部20とを有している。素子1は第1実施形態(図3及び図4参照)と同様であるので、その説明を省略する。
図7及び図8に示すように、各端子電極7,9は、互いに電気的に連続する第1の電極部分7a,9aと、第2の電極部分7b,9bと、第1の電極部分7a,9a及び第2の電極部分7b,9bにそれぞれ繋がるように形成されている回り込み部分7c,9cと、を含んでいる。
第1の電極部分7a,9aは、第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向に直交する方向にそれぞれ形成されている。本実施形態の場合にはこの方向において、第1の電極部分7a,9aは、第1の側面20a,20bの一端から他端までを覆うように形成されている。また、第1の電極部分7a,9aは、第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向にわたってそれぞれ形成されている。これにより、本実施形態では、第1の電極部分7a,9aは、第1の側面20a,20bの全域を覆うように形成されることとなる。
第2の電極部分7b,9bは、第2の側面20e及び第4の側面20fそれぞれの一部に形成されている。より具体的には、第2の電極部分7b,9bは、第2の側面20e及び第4の側面20f上で第1の側面20a,20bとの稜に沿ってそれぞれ形成されている。第2の電極部分7b,9b同士は、互いに所定の間隔を有し、電気的に絶縁されている。
回り込み部分7c,9cは、第3の側面20c,20dの一部に形成されている。より具体的には、回り込み部分7c,9cは、第3の側面20c,20d上において、第1の電極部分7a,9aの略中間部分(軸心方向と直交する方向における第1の側面20a及び第2の側面20bの略中間部分)と、第2の電極部分7b,9bの先端部分(第1の側面20a,20b及び第2の側面20eの稜から延びる方向における先端部分)と、第1の電極部分7a,9a及び第2の電極部分7b,9bが交わる部分とのそれぞれを結んだ略三角形の領域に形成されている。
回り込み部分7c,9cは、この略三角形の領域において第3の平面20c,20d上にある辺が略三角形の内側にえぐれるように湾曲している。従って、回り込み部分7c,9cは、第2の側面20eと第3の側面20cとの境界及び第4の側面20fと第3の側面20cとの境界それぞれから遠ざかるに従って、その幅が狭くなるように形成されている。図8に示すように、回り込み部分7c,9cはコイル状導体11に、このコイル状導体11の軸心方向からみて重ならないように配置されている。
続いて、上述した構成の積層型インダクタL2の製造方法について説明する。素子1の製造方法は第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。製造した素子1に端子電極7,9を形成する。これにより、積層型インダクタL2が形成されることとなる。
続いて、素子1へ端子電極7,9を形成する方法について図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、素子1へ端子電極7,9を形成する方法を巨視的に示した図である。図10は、素子1へ端子電極7,9を形成する方法を素子1個について拡大して示した図である。
図9の(A)に示すように、熱剥離シートからなる接着層65を主面に形成した整列用台板64(第1の台板)を準備する。本実施形態では接着層65として熱剥離シートを用いているけれども、UV剥離シートといったように光や熱で接着状況が変化するシートを用いることができる。更に、整列用台板64の接着層65に対向するように、図5の(E)の状態の整列用台板60を配置する。整列用台板60の接着層61には、端子電極3,5が形成された素子1が整列接着されている。この素子1が整列用台板64の接着層65に向き合うように、整列用台板60を反転させる。
図9の(B)に示すように、整列用台板60及び整列用台板64を互いに接近させて、素子1を整列用台板64の接着層65に密着させる。接着層65の剥離温度は、接着層61の剥離温度よりも10〜50℃高くなるように熱剥離シートが選択されている。従って、素子1が接着層61からのみ剥離するように雰囲気温度を上昇させて、整列用台板60を引き離して、整列用台板64に素子1を整列接着させる。
図9の(C)に示すように、電極塗布用台板62(第2の台板)を素子1が整列接着された接着層65に対向するように配置する。電極塗布用台板62の素子1に対向する面には、一対の溝621が素子1ごとに対応するように設けられている。電極塗布用台板62に設けられている溝621にはそれぞれ導電性ペースト63が充填されており、導電性ペースト63の上面が電極塗布用台板62の面と略同一になるように余分な導電性ペーストがかき取られている。
電極塗布用台板62は弾力性のあるゴム系の材料で形成されることが好ましいため、本実施形態ではシリコンゴムで形成している。電極塗布用台板62に形成される溝の深さは、素子1に塗布する所望の塗布高さよりも十分深くする。例えば、積層型インダクタL1の形状が0603であれば、所望の塗布高さは素子1の第1の側面20aの略半分の0.14〜0.17mmであるから、溝621の深さは0.5mm程度に設定される。尚、溝621の幅は0.5mmであり、素子1個に対する一対の溝621の間隔は0.3mmである。
図9の(D)に示すように、素子1が整列接着された整列用台板60を、電極塗布用台板62に接近させて、導電性ペースト63を素子1に塗布する。その後整列用台板60を電極塗布用台板62から引き離して、図9の(E)に示す状態となる。
図9の(D)〜(E)に示す工程の拡大図を図10に示す。素子1が整列接着された整列用台板64を電極塗布用台板62に接近させると、図10の(A)に示すように、素子1が対応する溝621に接近する。続いて、図10の(B)に示すように、素子1が押付けられて電極塗布用台板62の一対の溝621間が変形し、素子1が電極塗布用台板62にめり込んで、素子1の略半分の高さに導電性ペースト63が塗布され、既に形成されている端子電極3,5と繋がる。その後、整列用台板60を電極塗布用台板62から引き離して乾燥させると、端子電極7,9が形成される。端子電極7,9が形成された素子1を電極塗布用台板62から取り外し、焼付け、電気めっきを行うことで積層型インダクタL2となる。
以上のように、本実施形態によれば、引き出し導体13,14(導体パターン13a,14a)が電気的に接続される各端子電極7,9が、第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向に直交する方向にわたって形成された第1の電極部分7a,9aをそれぞれ有するので、特許文献1に記載されたコイル部品に比してはんだ付け面積を確保し易くなる。また、外装部20が第1の側面20a,20bのコイル状導体11の軸心方向に直交する方向にわたり端子電極7,9を介して回路基板に機械的に接続されることとなる。これらの結果、積層型インダクタL2の実装強度を確保することができる。
また、本実施形態では、引き出し導体13,14(導体パターン13a,14a)がコイル状導体11(導体パターン11a,11d)と同じ幅を有するので、引き出し導体13,14がコイル状導体11に発生するフラックスを阻害するのを抑え、積層型インダクタL1におけるQの低下を抑制することができる。
また、本実施形態において、外装部20は、コイル状導体11の軸心方向に平行で且つ各第1の側面20a,20bと隣り合う第2の側面20e及び第4の側面20fを有しており、各端子電極7,9は、第2の側面20e及び第4の側面20fの一部に形成されると共に、第1の側面20a,20bに形成された第1の電極部分7a,9aに電気的に連続する第2の電極部分7b,9b及び7c,9cをそれぞれ更に有する。これにより、はんだ付け面積を更に確保し易くなる。また、第1の側面20a,20b及び第2の側面20e(又は第4の側面20f)も、端子電極7,9を介して回路基板に機械的に接続されることとなる。これらの結果、積層型インダクタL2の実装強度を十分に確保することができる。
また、本実施形態において、外装部20は、積層される複数の非磁性体グリーンシート21〜28を含み、コイル状導体11及び引き出し導体13,14は、複数の非磁性体グリーンシート21〜28にそれぞれ形成された導体パターン11a〜11d,13a,14aにより構成される。この場合、コイル部品として積層型インダクタL1が実現されることとなる。端子電極3,5が、第1の側面20a,20b上でコイル状導体11の軸心方向に直交する方向において、第1の側面20a,20bの一端から他端まで形成された第1の電極部分7a,9aを有しているので、当該第1の電極部分7a,9aが複数の非磁性体グリーンシート21〜28全てにわたって形成されることとなる。この結果、非磁性体グリーンシート21〜28の剥がれ等を防ぐことができ、積層型インダクタL2自体の強度が向上する。
また、本実施形態において、回り込み部分7c,9cは、第3の側面20c,20dの一部に形成されており、第2の側面20eと第3の側面20cとの境界から遠ざかるに従ってその幅が狭くなるように形成されている。従って、図8を参照しながら説明したように、コイル状導体11の軸心方向から見れば、回り込み部分7c,9cはコイル状導体11と重ならないように形成されており、コイル状導体11に発生するフラックスを阻害するのを抑えることができる。
本実施形態の第1の変形例を図11に示す。図11は、第1の変形例である積層型インダクタL3の断面構成を説明するための図である。図11に示すように、積層型インダクタL3は素子8と、一対の端子電極(外部電極)7,9とを備えている。また、素子8は、コイル部80(インダクタ部)と、外装部20とを有している。
コイル部80は、コイル状導体81と、引き出し導体83,84を有している。コイル状導体81は、非磁性体グリーンシートに形成された導体パターンにより構成される。また、引き出し導体83,84は、非磁性体グリーンシートに形成された導体パターン83a,84aにより構成される。引き出し導体83は、外装部20の第2の側面20eに引き出されており、端子電極7の第2の電極部分7bに電気的に接続されている。また、引き出し導体84は、外装部20の第2の側面20eに引き出されており、端子電極9の第2の電極部分9bに電気的に接続されている。
本実施形態の第2の変形例を図12に示す。図12は、第2の変形例である積層型インダクタL4の断面構成を説明するための図であり、(A)は第3の側面20cに平行な断面構成を、(B)は第1の側面20aに平行な断面構成を示している。図12の(A)に示すように、積層型インダクタL4は素子8aと、一対の端子電極(外部電極)7,9とを備えている。また、素子8aは、インダクタ部85と、外装部20とを有している。
インダクタ部85は、外装部20の第1の側面20aから第1の側面20bに向けて直線的に設けられている。インダクタ部85は、外装部20の第1の側面20aにおいて端子電極7の第1の電極部分7aに電気的に接続されている。また、インダクタ部85は、外装部20の第1の側面20bにおいて端子電極9の第1の電極部分9aに電気的に接続されている。
本発明の第1の実施形態である積層型インダクタを示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態である積層型インダクタの断面構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態である積層型インダクタに含まれる素子を示す分解斜視図である。 本発明の第1の実施形態である積層型インダクタに含まれる外装部を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態である積層型インダクタの製造方法を説明する図である。 本発明の第1の実施形態である積層型インダクタの製造方法を説明する図である。 本発明の第2の実施形態である積層型インダクタを示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態である積層型インダクタの断面構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態である積層型インダクタの製造方法を説明する図である。 本発明の第2の実施形態である積層型インダクタの製造方法を説明する図である。 積層型インダクタの変形例についての断面構成を示す図である。 積層型インダクタの変形例についての断面構成を示す図である。
符号の説明
L1…積層型インダクタ、1…素子、3,5…端子電極、3a,5a…第1の電極部分、3b,5b…第2の電極部分、3c,5c…回り込み部分、20…外装部、20a,20b…第1の側面、20c,20d…第3の側面、20e…第2の側面、20f…第4の側面。

Claims (2)

  1. 接着層を主面に形成した第1の台板を準備する工程と、
    インダクタンスを形成するインダクタンス導体と、前記インダクタンス導体の両端に位置する引き出し導体とを含むインダクタ部、及び前記インダクタ部を覆うと共に電気絶縁性を有する外装部からなる直方体形状の素子を準備する工程と、
    前記素子を前記第1の台板の接着層に接着する工程と、
    弾力性を有する第2の台板に、前記素子の幅に応じた一対の溝を形成し、当該形成した溝に導電性材料を充填する工程と、
    当該導電性材料を充填した第2の台板を前記素子が整列接着された接着層に対向するように配置する工程と、
    前記第2の台板と前記第1の台板とを互いに接近させて、前記素子を前記第2の台板に押付け、前記素子の前記第2の台板に対向する1つの側面と当該1つの側面と隣り合い且つ前記素子の幅の方向で互いに対向する一対の側面とでなすそれぞれの角部を覆うように当該それぞれの角部に前記一対の溝に充填された前記導電性材料を一度に塗布し、前記引き出し導体に電気的に接続される外部電極を形成する工程と、
    を備える積層型インダクタの製造方法。
  2. 前記外部電極を形成する工程では、更に、前記素子の前記1つの側面に対向する1つの側面と前記一対の側面とでなすそれぞれの角部を覆うように当該それぞれの角部に前記一対の溝に充填された前記導電性材料を一度に塗布すること特徴とする請求項1に記載の積層型インダクタの製造方法
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