JP4219837B2 - バリア性包装袋またはバリア性包装容器およびその製造方法 - Google Patents

バリア性包装袋またはバリア性包装容器およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定のバリア性包装用積層フィルムまたはバリア性包装用積層シ−トから成るバリア性包装袋またはバリア性包装容器に関するものである。
食品分野を筆頭に、押出ラミネ−ト法によるバリア性軟包装フィルムやそれを含むシ−トが盛んに生産されている。
バリア性軟包装フィルムとしては、具体的には醤油などの液体包装、わさびやみそ汁などの粘体物包装、漬け物などの水物包装、医薬品などの粉末包装、魚介乾燥品などの乾物包装、などの包装用フィルムが挙げられる。これらの包装においては酸素や二酸化炭素などのガスや水蒸気に関するバリア性が要求されるため、二軸延伸ナイロン(以下、ONy)や二軸延伸PET(以下、OPET)、二軸延伸ポリプロピレン(以下、OPP)などを主とする基材と、主としてヒ−トシ−ル性に優れるポリエチレンに、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体フィルム(以下、EVOH)や塩化ビニリデンコ−トを上記基材に薄層コ−トしたフィルム(以下、Kコ−トフィルム)やアルミ箔や無機蒸着バリアフィルム、ナノコンポジット有機コ−ティングフィルムなどのバリア性フィルムを、単層もしくは複層積層する構成を採っている。この際ポリエチレンと基材やバリア性フィルムは異種材料であるために、接着するために主として基材側にアンカ−コ−ト剤を塗布することが行われている。
一方バリア性シ−トとしては、液体紙器が挙げられる。これはバリア層として無機蒸着バリアフィルムやナノコンポジット有機コ−ティングフィルム、EVOHやKコ−トフィルムに、主としてポリエチレンを介して紙と積層する構成を採っている。用途は酒やジュ−スなどの食品パッケ−ジが主であり、工業用オイルのパッケ−ジとして使用される例もある。これらの液体紙器においても、ポリエチレンとバリア基材は異種材料の接着となるために、アンカ−コ−ト剤が使用される。
これらの積層方法としては、ドライラミネ−ト法に代表される貼合ラミネ−ト法も使用されるが、押出ラミネ−ト法によることが多い。
この際、特にアルミ箔と、蒸着面の表面にプラスチック材料による薄層コ−ト(プライマ−処理)が施されていない蒸着バリアフィルムについては、ポリエチレンを押出ラミネ−トした時の接着強度が得られにくく、バリア基材側にアンカ−コ−ト剤を塗布することが行われている。
ところが最近は、エコロジ−性を重視する傾向や内容物への抽出など衛生性の問題、加工作業者の健康問題、さらには自治体による有機溶媒の排出規制条例の施行など、生産を行うには諸々の規制を受けやすい時勢となっている
よってコンバ−タ−は水溶媒系アンカ−コ−ト剤への切替を迫られることになるが、耐ボイル性や接着強度の観点から、水溶媒系よりも有機溶媒系のアンカ−コ−ト剤の使用が主流である。しかしこの場合には上記問題に対処するためには、有機溶剤の完全除外装置の導入などの対応が必要となり、高額の出資が必要となる。その結果として、樹脂原料メ−カ−へのアンカ−コ−ト剤を使用せずに押出ラミネ−トが可能な樹脂または加工技術の開発が求められている。
特許第3125636号公報
本発明は、アンカ−コ−ト剤を使用せずに押出ラミネ−ト加工を可能とする、樹脂組成物とバリア性包装袋またはバリア性包装容器の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、下記バリア性包装用積層フィルムまたはバリア性包装用積層シ−トの製造方法に関する。
1.結晶化度が25%〜60%であり、且つ(A)密度が910〜930(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンが10〜99(wt%)、(B)密度が860〜890(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある低密度ポリエチレンが1〜90(wt%)、
から成るポリエチレン樹脂組成物を、下記工程(1)〜(3)により、バリア性基材(D)上に、アンカーコート剤を使用せずに押出ラミネートし、ラミネート樹脂層を形成する積層フィルムまたは積層シートの製造方法;
(1)表面酸化処理工程:基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程、
(2)ガス処理工程:押出ラミネート用樹脂を180℃〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも1面にガス処理を施す工程、
(3)圧着工程:表面酸化処理工程で得られた基材の表面酸化処理面とガス処理工程で得られたフィルムのガス処理面とを接触させ、該基材と該フィルムを圧着する工程。
2.結晶化度が25%〜60%であり、且つ(A)密度が910〜930(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンが10〜90(wt%)、(B)密度が860〜890(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある低密度ポリエチレンが0〜80(wt%)、(C)密度が890を超えて990(kg/m3)以下、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)のポリエチレンが10〜90(wt%)%)[ただし(C)は(A)とは密度が異なる]、
から成るポリエチレン樹脂組成物を、下記工程(1)〜(3)により、バリア性基材(D)上に、アンカーコート剤を使用せずに押出ラミネートし、ラミネート樹脂層を形成する積層フィルムまたは積層シートの製造方法;
(1)表面酸化処理工程:基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程、
(2)ガス処理工程:押出ラミネート用樹脂を180℃〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも1面にガス処理を施す工程、
(3)圧着工程:表面酸化処理工程で得られた基材の表面酸化処理面とガス処理工程で得られたフィルムのガス処理面とを接触させ、該基材と該フィルムを圧着する工程。
本発明の好ましい態様を以下に記す。
3.上記1.と2.のポリエチレン樹脂組成物と製造方法によるバリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート。
4.そのバリア性積層フィルムまたはバリア性積層シートを少なくとも1層含む、バリア性包装用積層フィルムまたはバリア性包装用積層シート。
5.表面酸化処理工程の前に、表面酸化処理工程に付すべき基材を、40℃以上かつ基材の融点以下の温度で加熱する工程を有する、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シートの製造方法。
6.圧着工程の後に、圧着工程で得られるバリア性積層フィルム又はバリア性積層シートを、保温下、熟成する工程を有する、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
7.また6.の熟成温度が、30℃以上かつ50℃未満である製造方法。
8.表面酸化処理工程の前に5.の表面酸化前加熱工程を有し、かつ圧着工程の後に6.の熟成工程を有する、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
9.表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
10.そのコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が40(W・分/m2)以上である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
11.表面酸化処理工程の前に5.の表面酸化前加熱工程を有し、表面酸化処理工程が9.のコロナ放電処理工程であり、かつコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が10(W・分/m2)以上である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
12.圧着工程の後に6.の熟成工程を有し、表面酸化処理工程が9.のコロナ放電処理工程であり、且つコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が、10(W・分/m2)以上である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
13.表面酸化処理工程の前に5.の表面酸化前加熱工程を有し、圧着工程の後に6.の熟成工程を有し、表面酸化処理工程が9.のコロナ放電処理工程であり、且つコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が10(W・分/m2)以上である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
14.表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面にプラズマ処理を施す工程である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
15.表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面にフレームプラズマ処理を施す工程である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
16.表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面に電子線照射処理を施す工程である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
17.表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面に紫外線照射処理を施す工程である、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シート製造方法。
18.ガス処理工程がオゾン吹き付け処理であって、オゾン処理量が下式(C-1)を満たす、バリア性積層フィルムまたはバリア性積層シートの製造方法。
(C-1) 1≦オゾン処理量(mg/m2)≦−0.5×Tx+170
(Txはオゾン処理を行うポリエチレンのダイ直下樹脂温度、単位:℃)
上記ポリエチレン樹脂組成物と、バリア性包装用積層フィルムまたはバリア性包装用積層シートの製造方法は、積層体をアンカ−コ−ト剤を使用せずに作製するのに好適である。
本発明を用いることで、アルミ箔等金属面への接着強度は大きく向上する。また無機蒸着バリアフィルムのプライマ−処理が施されていない蒸着面には、従来押出ラミネ−トでは接着強度が得られなかったが、包装用途に実用的な強度が得られる。
以下、本発明に係るポリエチレンについて具体的に説明する。
高圧法低密度ポリエチレン(A)
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(A)は、エチレンをラジカル重合触媒の存在下、高圧の下で製造したポリエチレンであって、必要に応じ他のビニルモノマーを少量共重合してあってもよい。
重合に用いる反応器としては、オ−トクレ−ブ型反応器でもチュ−ブラ−型反応器でも良い。オ−トクレ−ブ型反応器で重合される場合、一般にチュ−ブラ−型反応器による重合品よりも溶融張力が高くなるために、押出ラミネ−ションには好適である。一方チュ−ブラ−型反応器でも、重合条件によって押出ラミネ−ションに適する高い溶融張力を得ることも出来る。
本発明で用いられる高圧法低密度ポリエチレン(A)は、密度(ASTM D 1505)が910〜930(kg/m3)の範囲にあり、好ましくは915〜925(kg/m3)の範囲にある。密度が上記範囲にある高圧法低密度ポリエチレン(A)を用いると、耐ブロッキング性および押出加工性に優れたポリエチレン樹脂組成物が得られる。
なお密度は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを沸騰水で30分熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
また、この高圧法低密度ポリエチレン(A)のメルトフローレート(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、0.1〜100(g/10分)、好ましくは1〜30(g/10分)の範囲にある。メルトフローレートが上記範囲にある高圧法低密度ポリエチレン(A)を用いると、押出加工性が向上する。
低密度ポリエチレン(B)
本発明で用いられる低密度ポリエチレン(B)は、メタロセン系やチタン系、クロム系およびフェノキシイミン系等のオレフィン重合用触媒を用いて調製されたエチレン単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合して得られる低密度エチレン・α- オレフィン共重合体である。この低密度エチレン・α- オレフィン共重合体は、直鎖状あるいは分岐状低密度ポリエチレンであってもよい。
また低密度ポリエチレン(B)で、特にメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて調整すると分布の狭い重合体が得られるために低分子量低密度成分の生成が少なく、本願に関する用途には有効である。
メタロセン系触媒は、通常、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物からなるメタロセン触媒成分(a1)、有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)、微粒子状担体(c)、および必要に応じて有機アルミニウム化合物触媒成分(d)、イオン化イオン性化合物触媒成分(e)から形成される。
本発明で好ましく用いられるメタロセン触媒成分(a1)としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物がある。このような遷移金属化合物としては、たとえば下記の一般式[I]で示される遷移金属化合物が挙げられる。
MLx ・・・[I]
式中、xは、遷移金属原子Mの原子価である。
Mは、周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタン、ハフニウムである。中でも、ジルコニウムが好ましい。
L1は、遷移金属原子Mに配位する配位子であり、これらのうち、少なくとも1個の配位子L1は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。
上記のような遷移金属原子Mに配位するシクロペンタジエニル骨格を有する配位子L1としては、具体的には、シクロペンタジエニル基またはアルキル置換シクロペンタジエニル基、あるいはインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されてもよい。
上記一般式[I]で表される化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分(b)としては、アルミノオキサンが好ましく用いられる。具体的には、式
−[Al(R)O]− [但し、Rはアルキル基である]
で表される繰り返し単位が通常3〜50程度のメチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、メチルエチルアルミノオキサンなどが用いられる。
オレフィン重合用触媒の調整で用いられる微粒子状担体(c)は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が通常10〜300μm程度であり、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないし微粒子状の固体である。
無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2等を例示することができる。
オレフィン重合用触媒の調整において必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物触媒成分(d)としては、具体的には、トリメチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド等を例示することができる。
イオン化イオン性化合物触媒成分(e)としては、たとえばUSP5、321、106号公報に記載されたトリフェニルボロン、MgCl2、Al2O3、SiO2−Al2O3などのルイス酸;トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト等のイオン性化合物;ドデカボラン、ビス−n−ブチルアンモニウム(1−カルベドデカ)ボレ−ト等のカルボラン化合物が挙げられる。
チタン系触媒としては、炭化水素不溶性の固体担体に担持されたチタン系固体触媒と有機アルミニウム化合物からなる触媒を用いる。
チタン系固体触媒としては、ハロゲン化マグネシウム、特に塩化マグネシウムもしくは酸化マグネシウムを含有する化合物に担持されたチタン系触媒であって、Cl/Ti(重量比)が好ましくは5ないし150、Ti/Mg(モル比)が好ましくは3ないし90の範囲にあり、表面積が70m2/g以上、好適には150m2/g以上である。
また有機アルミニウム化合物としては実験式 RnAlX3-n (但し、Rはアルキル基のような炭化水素基、1≦n≦3、Xは水素、塩素、炭素数2ないし4のアルコキシ基)で示される有機アルミニウム化合物が共触媒として用いられる。平均組成がこれらの実験式になる限り、2以上の混合物であってもよい。
フェノキシイミン系触媒としては、(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、必要に応じて(B)(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる。
(A)遷移金属化合物
遷移金属化合物(A)は、例えば下記に記載する一般式(I)で表される。
一般式(I)は以下である。
Figure 0004219837
…(I)
式中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムである。
なお、N……Mは一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。
1は芳香族炭化水素基もしくは脂環族炭化水素基で置換されていてもよい脂肪族炭化水素基であって総炭素原子数5以上、好ましくは5〜30の基、または、芳香族炭化水素基もしくは脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい脂環族炭化水素基であって総炭素原子数7以上、好ましくは7〜30の基を示す。
ルが好ましい。
2〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基またはイオウ含有基を示す。
6は、炭化水素基または炭化水素置換シリル基を示し、具体的には上記R2〜R5として例示したものと同様のものが挙げられる。
2 〜R6 は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
mは、1または2を示し、好ましくは2である。
mが2の場合には、いずれか1つの配位子に属するR2〜R6 で示される基のうちの少なくとも1個の基と、他の配位子に属するR2〜R6 で示される基のうちの少なくとも1個の基とが連結されていてもよく、またmが2の場合には、R1 同士、R2 同士、R3 同士、R4 同士、R5 同士、R6 同士は、互いに同一でも異なっていてもよく、nはMの価数を満たす数であり、具体的には2〜4の整数であり、好ましくは2である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。
本発明では、上記のような化合物において、ジルコニウム金属をチタン、ハフニウムなどのジルコニウム以外の金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
(B-1) 有機金属化合物
本発明で用いられる(B-1) 有機金属化合物として、具体的には下記のような周期表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(B-1a) 一般式 Ra m Al(ORb)npq
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
(B-1b) 一般式 M2 AlRa 4
(式中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
で表される1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(B-1c) 一般式 Rab3
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3 はMg、ZnまたはCdを示す。)
で表される2族または12族金属のジアルキル化合物。
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で用いられる(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
(B-3) 遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3) (以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
エチレンとの共重合に用いられる炭素原子数3〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1- ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられる。これらの中では、炭素原子数3〜10のα- オレフィン、特に炭素原子数4〜8のα- オレフィンが好ましい。
上記のようなα- オレフィンは、単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
本発明で用いられる低密度ポリエチレン(B)は、エチレンから導かれる構成単位が86モル%〜92モル%、好ましくは86モル%〜89モル%の量で存在し、炭素原子数3〜20のα- オレフィンから導かれる構成単位が8モル%〜14モル%、好ましくは11モル%〜14モル%の量で存在することが望ましい。
本発明で用いられる低密度ポリエチレン(B)は、密度(ASTM D 1505)が860〜890(kg/m3) 、好ましくは860〜875(kg/m3) である。密度が上記範囲にある低密度ポリエチレン(B)を用いると、ブレンド後の樹脂組成物の結晶化度が低下し、良好な接着強度が得られる。
密度はエチレン系重合体のα-オレフィン含量に依存しており、α-オレフィン含量が少ないほど密度は高く、α-オレフィン含量が多いほど密度は低くなる。また、エチレン系重合体中のα-オレフィン含量は、重合系内におけるα-オレフィンとエチレンとのガス組成比(α-オレフィン/エチレン)により決定されることが知られている(例えばWalter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。このため、α-オレフィン/エチレンを増減させることで、請求範囲の下限・上限の密度を有するポリエチレンを製造することが可能である。
なお密度は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを沸騰水で30分熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
また、この低密度ポリエチレン(B)のMFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜100(g/10分)、好ましくは1〜30(g/10分)の範囲にある。
メルトフローレート(MFR)は分子量に強く依存しており、メルトフローレート(MFR)が小さいほど分子量は大きく、メルトフローレート(MFR)が大きいほど分子量は小さくなる。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとのガス組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、Kazuo Soga, KODANSHA”CATALYTIC OLEFIN POLYMERIZATION”,p376(1990))。このため、水素/エチレンを増減させることで、請求範囲の上限・下限のメルトフローレート(MFR)を有するポリエチレンを製造することが可能である。
上記のような低密度ポリエチレン(B)は、たとえば特開平6−9724号公報、特開平6−136195号公報、特開平6−136196号公報、特開平6−207057号公報等に記載されているメタロセン触媒成分を含む、いわゆるメタロセン系オレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合させることによって製造することができる。
低密度ポリエチレン(B)の製造を行う重合反応器については、有機溶媒に重合生成物を溶解させながら重合を行う「溶液法」や、溶媒を用いない「気相法(連続流動床方式、高圧イオン重合法)」が好適である。有機溶媒を用いながら重合生成物を溶解させずに重合させる「スラリ−法」は、低密度ポリエチレン(B)の密度が低いために一般には適用が困難である。しかしスラリ−法においても、重合条件を調整して、例えば非常な低温度で重合するなどの手法で低密度ポリエチレン(B)を得ることが出来れば、本発明に使用することは問題はない。
ポリエチレン(C)
本発明で用いられるポリエチレン(C)は、メタロセン系やチタン系、クロム系およびフェノキシイミン系等のエチレン重合用触媒を用いて調整したエチレン単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合して得られる高密度エチレン・α- オレフィン共重合体である。この高密度エチレン・α- オレフィン共重合体は、直鎖状あるいは分岐状高密度ポリエチレンであってもよい。
ポリエチレン(C)の製造に関わる触媒や方法については、低密度ポリエチレン(B)の項に記載した内容と同一の手法を取ることができる。
但し、ポリエチレン(C)の製造を行う重合反応器については、有機溶媒に重合生成物を溶解させながら重合を行う「溶液法」や、溶媒を用いない「気相法(連続流動床方式、高圧イオン重合法)」、有機溶媒を用いながら重合生成物を溶解させずに重合させる「スラリ−法」など、上記触媒や方法を満たしていれば、いずれの重合反応器による重合品でも本発明に使用することは問題はない。
同じく密度やMFRの調整についても、低密度ポリエチレン(B)の項に記載した内容と同一の手法を取ることができる。
エチレンとの共重合に用いられる炭素原子数3〜20のα- オレフィンの具体例としては、上述した低密度ポリエチレン(B)の具体例と同様のα- オレフィンを挙げることができ、中でも、炭素原子数3〜10のα- オレフィン、特に炭素原子数4〜8のα- オレフィンが好ましい。
上記のようなα- オレフィンは、単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
本発明で用いられるポリエチレン(C)は、エチレンから導かれる構成単位が92モル%〜100モル%、好ましくは92モル%〜100モル%未満、さらに好ましくは92モル%〜98モル%で存在し、炭素原子数3〜20のα- オレフィンから導かれる構成単位が0モル%〜8モル%、好ましくは0モル%〜8モル%、さらに好ましくは2モル%〜8モル%の量で存在することが望ましい。
本発明で用いられるポリエチレン(C)は、密度(ASTM D 1505)が890〜990(kg/m3)、好ましくは890〜945(kg/m3)であり、さらに好ましくは890〜925(kg/m3)である。密度が上記範囲にあるポリエチレン(C)を用いると、フィルム強度など機械物性に優れる押出ラミネ−ト用樹脂組成物が得られる。
また、このポリエチレン(C)のMFR(ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1〜100(g/10分)、好ましくは1〜30(g/10分)の範囲にある。
なお密度は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)測定時に得られるストランドを沸騰水で30分熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
ポリエチレン樹脂組成物
本発明に係るポリエチレン樹脂組成物は、結晶化度が25%〜60%であり、好ましくは30%〜40%であり、且つ(A)密度が910〜930(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンが10〜99(wt%)、(B)密度が860〜890(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある低密度ポリエチレンが1〜90(wt%)であることを特徴とする。
あるいは結晶化度が25%〜60%であり、好ましくは30%〜40%であり、且つ(A)密度が910〜930(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンが10〜90(wt%)、(B)密度が860〜890(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある低密度ポリエチレンが0〜80(wt%)、(C)密度が890〜990(kg/m3)、メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)のポリエチレンが10〜90(wt%)であることを特徴とする。
この様な割合とすることで結晶化度が適当な値となり、且つ溶融張力も適当な値となるために押出ラミネ−ト適性も得られ、アンカ−コ−ト剤を使用せずに異種材料に直接ラミネ−ト成形を行うに優れる樹脂組成物となる。
押出ラミネ−ト用樹脂の結晶化度を選定することで、冷却工程時のエチレンの収縮を抑制してラミネ−ト界面の歪みを抑えることが可能となり、ラミネ−ト樹脂層と基材間の接着強度が向上する。
結晶化度が60%を超えると、アンカ−コ−ト剤を使用せずに異種基材に押出ラミネ−トしても接着強度は得られない。これは結晶化による収縮が大きいためである。
一方結晶化度が25%より下がると、ポリエチレンの重合時に低分子量低密度成分が副生物として多量に生成する。この副生物はアンカ−コ−ト剤を使用せずに押出ラミネ−トした基材との界面にブリ−ドして蓄積されるために、やはり接着強度が低下する。
低密度ポリエチレン(B)を、特にメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて調整すると、分布の狭い重合体が得られるために低分子量低密度成分の生成が少なく、本願に関する用途には有効である。
高圧法低密度ポリエチレン(A)と低密度ポリエチレン(B)から成るポリエチレン樹脂組成物では、高圧法低密度ポリエチレン(A)の効果によって、特に加工性に優れる特徴が得られる。
高圧法低密度ポリエチレン(A)と低密度ポリエチレン(B)およびポリエチレン(C)から成るポリエチレン樹脂組成物では、ポリエチレン(C)の効果によって、特に積層フィルムや積層シ−トに仕上げた際の機械物性に優れる特徴が得られる。例えば破袋強度や耐突き刺し強度、耐ピンホ−ル性などが挙げられる。
結晶化度は、樹脂組成物を構成する(A)〜(C)のポリエチレンの密度と混合比によって、調整することができる。
本発明に係るポリエチレン樹脂組成物は、高圧法低密度ポリエチレン(A)と低密度ポリエチレン(B)、またはポリエチレン(C)と低密度ポリエチレン(B)と高圧法低密度ポリエチレン(A)を、必要により酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤などの上記添加剤とともに、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダーおよび押出機等の混合装置を用いて、常温〜250℃で混合することにより得られる。この際窒素シ−ルや真空シ−ルを実施することで、ポリエチレンの劣化に由来するゲルの発生を防ぐことができる。
また、本発明に係る樹脂組成物中に、必要に応じて、従来公知のアンチブロッキング剤、防曇剤、静電防止剤、酸化防止剤、耐候安定剤、熱安定剤、滑剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明のバリア基材とは、バリア性包装材料のベースとなるフィルムやシートのことであり、金属ないし無機物からなる層を少なくとも1層有する。具体的には次の様なものを指す;
(1)アルミ箔、シリカ薄膜などの金属ないし無機物のみからなるフィルムまたはシート。
(2)ナイロンやポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチック材料に金属ないし無機物が積層コ−ティングされた複数層からなるフィルム;または紙の上に、直接または高分子材料を介して、金属ないし無機物が積層コ−ティングされた複数層からなるシート。金属ないし無機物の積層には蒸着、スパッタリング、MOCVDなどの方法を用いる事が出来る。
プラスチック材料としては、例えばナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン系共重合体、アイオノマー樹脂、セロハン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブテン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、アセチルセルロースなどの樹脂の単体及びこれらの積層フィルム又はシート、更にその延伸物、塗工物、織物、不織布などが用いられる。また、更にこれらプラスチック基材とアルミニウム、鉄、紙などとの貼合品であって、これら樹脂を接合面に設けた積層体などが用いられる。
基材の肉厚は押出ラミネート加工が可能であれば特に制約を受けるものではないが、好ましくは1〜10000μm、更に好ましくは5〜500μmの範囲がよい。
本発明に係る積層フィルムまたは積層シートは、上記バリア基材に、前記高圧法低密度ポリエチレン樹脂(A)および低密度ポリエチレン(B)からなる樹脂組成物を、アンカーコート剤を使用せずに押出しラミネートして得られる。本発明に係る積層フィルムまたは積層シートは、液体包装用、粘体物包装、粉末包装、乾物包装等の、酸素や二酸化炭素などのガスや水蒸気に対するバリア性が要求される包装用途のフィルムまたはシートとして用いる事が出来る。
成形方法
本発明においては、上記樹脂を使用するとともに、下記(1)〜(3)の成形方法を併用することで、押出ラミネ−トにおける良好な接着強度が得られる。
(1)表面酸化処理工程:基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程、
(2)ガス処理工程:押出ラミネート用樹脂を180℃〜340(℃)の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも1面にガス処理を施す工程、
(3)圧着工程:表面酸化処理工程で得られた基材の表面酸化処理面とガス処理工程で得られたフィルムのガス処理面とを接触させ、該基材と該フィルムを圧着する工程。
また、表面酸化処理工程の前に、表面酸化処理工程に付すべき基材を40℃以上且つ基材の融点以下の温度で加熱する工程。
また、圧着工程の後に、圧着工程で得られる積層フィルム又は積層シートを、保温下、熟成する工程。
また、上記熟成温度が30℃以上かつ50℃未満である工程。
また、表面酸化処理工程の前に表面酸化処理工程に付すべき基材を40℃以上且つ基材の融点以下の温度で加熱する工程を有し、且つ圧着工程の後に圧着工程で得られる積層フィルム又は積層シートを、保温下、熟成する工程。
また、表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程。
また、上記コロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が40(W・分/m2)以上である工程。
また、表面酸化処理工程の前に表面酸化処理工程に付すべき基材を40℃以上且つ基材の融点以下の温度で加熱する工程を有し、表面酸化処理工程が基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程であり、且つコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が10(W・分/m2)以上である工程。
また、圧着工程の後に圧着工程で得られる積層フィルム又は積層シートを、保温下、熟成する工程を有し、表面酸化処理工程が基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程であり、且つコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が、10(W・分/m2)以上である工程。
また、表面酸化処理工程の前に表面酸化処理工程に付すべき基材を40℃以上且つ基材の融点以下の温度で加熱する工程を有し、圧着工程の後に圧着工程で得られる積層フィルム又は積層シートを、保温下、熟成する工程を有し、表面酸化処理工程が基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程であり、且つコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が10(W・分/m2)以上である工程。
また、表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面にプラズマ処理を施す工程。
また、表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面にフレームプラズマ処理を施す工程。
また、表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面に電子線照射処理を施す工程。
また、表面酸化処理工程が、基材の少なくとも一面に紫外線照射処理を施す工程。
また、ガス処理工程がオゾン吹き付け処理であって、オゾン処理量が下式(C-1)を満たす工程。
(C-1) 1≦オゾン処理量(mg/m2)≦−0.5×Tx+170
(Txはオゾン処理を行うポリエチレンのダイ直下樹脂温度、℃)
以下に各工程について詳述する。
(1)表面酸化処理工程
本発明の表面酸化処理工程は、基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施すことにより、基材の接着面に一定レベル以上の酸化活性化点を発生させ、強固な接着を可能にする工程である。表面酸化処理工程は、具体的には、コロナ放電処理工程、プラズマ処理工程、フレームプラズマ処理工程、電子線照射処理工程、紫外線照射処理工程などにより実施される。以下に、表面酸化処理工程の具体的実施態様について説明する。
コロナ放電処理工程は、基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程である。コロナ放電処理は、例えば公知のコロナ放電処理器を用い、発生させたコロナ雰囲気に基材を通過させることにより行われる。ここで、接着強度を高水準に維持するという観点からは、コロナ放電密度は、40(W・分/m2 )以上が好ましく、更に好ましくは50(W・分/m2 )以上である。コロナ放電密度の上限は特にないが、経済性の観点から200(W・分/m2 )以下が好ましい。ただし、表面酸化前加熱工程(後述)及び/又は熟成工程(後述)を用いる場合の好ましいコロナ放電密度は、10(W・分/m2 )以上である。
プラズマ処理工程は、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスを、基材の表面に吹きつけることにより実施できる。
フレームプラズマ処理工程は、天然ガスやプロパンなどの可燃性ガスを燃焼させた時に生じる火炎内のイオン化したプラズマを、基材の表面に吹きつけることにより実施できる。
電子線照射処理工程は、基材の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射することにより行われる。電子線照射装置としては、例えば、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロンカーテン」(商品名)を使用することができる。
紫外線照射処理工程は、例えば200〜400μmの波長の紫外線を、基材の表面に照射することにより実施される。
これらの表面酸化処理工程の中では、コロナ放電処理が好ましい。
本発明においては、接着強度を一層向上させる観点から、表面酸化処理工程の前に、表面酸化処理工程に付すべき基材を40℃以上に加熱する、表面酸化前加熱工程を設けることが好ましい。且つプラスチック基材が含まれる場合には、温度は融点以下とする必要がある。
加熱温度は、40℃以上、好ましくは60℃以上である。且つプラスチック基材が含まれる場合には融点以下の温度であり、好ましくは基材の融点より30℃低い温度以下である。
ここで、該温度は基材の表面温度を指し、例えば接触式温度計により測定することができる。
加熱温度が低過ぎると得られる積層フィルム又は積層シートにおける基材と押出ラミネート樹脂との接着強度の改善が不十分であることがあり、一方高過ぎると基材の収縮やカールなどの問題が発生することがある。
基材の加熱は遠赤外線ヒーターや加熱ロールなどを用いることにより最適に行われる。例えば、基材を表面酸化処理工程へ搬送する過程で遠赤外線ヒーターの下を通過させれば良く、例えば基材巾500mmの材料であれば遠赤外線ヒーターの出力としては1〜30kW程度のもの(複数のヒーターを用いる場合はその合計出力)を用い、ヒーターと基材表面の距離を1〜30cm程度に保ち、0.05〜5秒程度加熱すればよい。
また接着強度を一層向上させる観点から、圧着工程の後に、圧着工程で得られる積層フィルム又は積層シートを、保温条件下で熟成する工程である、熟成工程を設けることが好ましい。本発明で熟成とは、積層フィルム又は積層シートを一定温度にて一定時間保持することをいう。
熟成温度は、通常30℃以上且つ50℃未満であり、好ましくは40〜45℃である。熟成温度が低過ぎる場合は接着強度の改善が不十分であることがあり、一方高過ぎる場合は、ラミネートした樹脂のヒートシール性能やホットタック性能の低下を招くことがある。更にラミネートフィルムがカールしたり、スリット工程や内容物の充填工程で不都合を生じることがあり、またラミネート樹脂が変質し、臭気問題を生じることがある。
熟成時間は、通常1〜192時間、好ましくは10〜120時間である。熟成時間が短か過ぎる場合は接着強度の改善が不十分であることがあり、一方、長過ぎる場合は、押出ラミネートした樹脂が変質することがあり、また生産性の点でも不利である。
熟成工程を実施するには、通常のオーブン又は温度調整が可能な部屋を用いればよい。
本発明で用いる基材としては、アルミ箔およびアルミ箔を片面若しくは両面に有する積層体、薄層コ−ト(プライマ−処理)が施されていない無機蒸着面をプラスチック基材の片面若しくは両面に設けられている無機蒸着バリアフィルムなどが挙げられる。
(2)ガス処理工程
ガス処理工程としては、シランガスやオゾンなどの接触物を酸化させる機能を有するガスを使用するが、オゾン処理が好適である。
本発明のオゾン処理工程は、押出ラミネート用樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも一面にオゾン処理を施す工程である。オゾン処理は、例えばTダイ下エアーギャップ間に設けたノズル又はスリット状の吹出し口からオゾンを含ませた気体(空気など)を、溶融フィルムに吹き付けることにより行われる。なお、オゾンノズルがTダイ下に設置できない場合は、圧着ラミネートする直前の基材上に吹きつけてもよい。吹きつけるオゾンの量は溶融フィルムの通過単位面積に対し1〜30mg/m2 が好ましく、更に好ましくは2〜12mg/m2 である。なお、押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出しする温度は180〜340℃、好ましくは280〜338℃、さらに好ましくは316〜336℃である。該温度が180℃未満では、樹脂の延展性が不良となり、肉厚が均一な溶融薄膜を得ることが困難であるばかりか、基材との接着強度が不十分となる。一方、340℃を超えると、溶融押出樹脂の表面の酸化が多くなって臭気が悪化したり、溶融押出樹脂自身の架橋劣化によるゲルの発生や分解劣化による溶融樹脂の安定成形性の低下(膜揺れ、耳揺れ)が発生することがある。
また、溶融押出樹脂の温度が280〜338℃の条件においては、オゾン処理量が下式(C-3)を満たすことが好適である。
(C-3) 1≦オゾン処理量(mg/m2)≦−0.5×Tx+170
(Txはオゾン処理を行うポリエチレンのダイ直下樹脂温度、℃)
ここで溶融押出樹脂の温度は、市販の接触温度計を用いて、樹脂が押し出されるTダイのリップ出口(ダイ下0mm)で測定される値である。
(3)圧着工程
本発明の圧着工程は、例えば冷却ロ−ルとゴムロ−ルを設置し、ゴムロ−ル側より表面酸化処理された基材を導入し、次いでガス処理された溶融押出樹脂を導入して前記のように各処理面を貼合し、直後にゴムロ−ルによって冷却ロ−ル圧着される。溶融押出樹脂を導入する位置は、冷却ロ−ルと圧着される点より20mm以内であり、好ましくは5mm以内である。冷却ロ−ルに溶融押出樹脂が基材より前に接触すると瞬時に保有熱量が下がるために粘度が向上し、十分な接着強度は得られない。
上記のように本発明においては、表面酸化処理工程及び圧着工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後の基材を直ちに圧着工程に付すことが好ましい。これにより、より高水準の接着強度が発現され、且つ好ましくない基材フィルムのブロッキングが防止される。なお、上記の「圧着工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後の基材を直ちに圧着工程に付す」とは、押出ラミネート加工において、基材の繰出し工程、表面酸化処理工程、圧着工程及び製品巻取り工程が基材の流れ方向に沿って同一ライン上に順次設置された装置を用い、これらの工程を速やかに一連の作業で行うことを意味する。すなわちこの一連の作業は、公知の押出ラミネーターを使用することができる。
本発明においては、表面酸化前加熱工程、表面酸化処理工程、オゾン処理工程、圧着工程及び熟成工程のすべてを組み合わせて実施することにより、一層強固な接着強度を実現することができる。
本発明においては、基材上に押出ラミネートした樹脂をバリア性積層フィルム又はシートのヒートシール層に適用することや、またバリア性積層フィルム又はシートの中間層に適用することもできるが、それらは樹脂のもつ機能、例えば易ヒートシール性、防湿性などによって使い分けされる。また、本発明においては、サンドイッチ押出ラミネーション法においても適用できる。
結晶化度
ポリエチレン樹脂組成物または樹脂の結晶化度は、以下の手法、条件にて測定される。
1.装置仕様
システム:理学電機株式会社製 X線回折装置 RINT2500VHF/PC
測定装置:縦型WAXDゴニオメ−タ
フォ−カス:ラインフォ−カス
検出器:シンチレ−ションカウンタ
モノクロメ−タ:湾曲グラファイトモノクロメ−タ
管球:Cu
スリット系:発散・散乱スリット・・・可変スリット、受光スリット・・・0.8mm
2.測定条件
管電圧値/管電流値=50kV/100mA
測定範囲(2θ)=5度〜35度
スキャンスピ−ド=1度/分
サンプリング幅=0.004度
3.解析方法
S.L.Aggarwal、G.P.Tilleyの方法による(Journal of Polymer Sciense No.18.p.17〜26、1955)
4.試料作製条件
プレスシ−ト:設定温度=150℃、予熱時間=5分、加圧時間=5分、加圧=50kgf/cm2、厚み=1mmt
冷却方法:25℃冷却水循環の冷却プレスにて5分間冷却
本発明におけるポリエチレン樹脂組成物の結晶化度は25%〜60%であり、好ましくは30%〜40%である。
押出ラミネ−ト用樹脂の結晶化度を選定することで、冷却工程時のエチレンの収縮を抑制してラミネ−ト界面の歪みを抑えることが可能となり、ラミネ−ト樹脂層と基材間の接着強度が向上する。
結晶化度が60%を超えると、アンカ−コ−ト剤を使用せずに異種基材に押出ラミネ−トしても接着強度は得られない。これは結晶化による収縮が大きいためである。
一方結晶化度が25%より下がると、ポリエチレンの重合時に低分子量低密度成分が副生物として多量に生成する。この副生物はアンカ−コ−ト剤を使用せずに押出ラミネ−トした基材との界面にブリ−ドして蓄積されるために、やはり接着強度が低下する。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
以下に示す実施例、比較例で得られた積層フィルムについて、基材への接着強度の試験を次の方法に従って行なった。各例の接着強度は表に示す。
<試験方法>
(1)接着強度(積層手順は後述する)
(i)試料構成
[ONy/ウレタン系アンカ-コ-ト剤/LLDPE(25μm)]
/ポリエチレン樹脂組成物もしくはポリエチレン(20μm)/各種基材
([ ]内の層は本発明の構成要素ではないが接着強度評価のために設けた)
(ii)評価条件
評価位置:ポリエチレン樹脂組成物もしくはポリエチレン/各種基材の層間
評価機械:東洋精機株式会社製引張試験機
剥離角度:180度
剥離速度:300mm/分
本発明に用いるポリエチレンは、前記ポリエチレン(A)、(B)および(C)の製法に従っていれば、既成の製造プラントによる製品で良く、プラントの重合反応器の形状や撹拌方法などは制限されない。以下実施例、比較例で使用する各ポリエチレンにも限定されない。
[実施例1]
オ−トクレ−ブ型重合反応器による高圧法低密度ポリエチレン(A−1):密度=917(kg/m3)、MFR=7.2(g/10分)と、気相法重合反応器による低密度ポリエチレン(B−1):密度=870(kg/m3)、MFR=7.0(g/10分)、コモノマ−=1−フ゛テンを、65mmφの単軸スクリュ−による押出混練機にて溶融混合し、ポリエチレン樹脂組成物<1>を用意した。
ポリエチレン樹脂組成物<1>の結晶化度は、理学電機株式会社製X線回折装置: RINT2500VHF/PCによって上記手法によって測定した結果、35.8%であった。
ポリエチレン樹脂組成物<1>を押出ラミネ−タ−に投入し、評価用フィルムを作製した。押出ラミネ−タ−には、住友重機(株)製ラミネ−タ−(65mmφ、800mm幅)を使用した。
以下、評価用フィルムの作製手順を記述する。
基材をライン速度=80m/分にて繰り出し、押出ラミネ−ト部にて溶融押出樹脂に接触する前に、コロナ処理によって表面酸化処理を行った。基材には昭和アルミ社製アルミ箔(20μm)の光沢面と、東洋メタライジング社製無機蒸着バリアフィルム:VM-PET1200(12μm)を使用した。コロナ放電処理密度は、143W・分/m2である。
ポリエチレン樹脂組成物<1>を押出ラミネ−タ−に付属する押出機によって溶融混練し、Tダイより押し出して320℃の溶融押出樹脂フィルムとし、ダイスの下を流れる基材に接触する前にオゾンによってガス処理を行った。オゾン吹き付けバ−(吹き付け用スリット入り)はダイスリップ下150mmに設置し、オゾン処理濃度は8.1mg/m2である。
コロナ処理を受けた基材とオゾン処理を受けた溶融押出樹脂フィルムを、接触直後に冷却ロ−ルとシリコンゴム製ニップロ−ルで圧着した。
また上記圧着時に、接着強度測定のために上記基材と溶融押出樹脂フィルムを挟んだ反対側から積層フィルムを導入した。導入する積層フィルムは予め同押出ラミネ−タ−で準備したもので、ONy(ユニチカ、エンブレムOMN、15μm)/ウレタン系アンカ−コ−ト剤/LLDPE(三井住友ポリオレフィン、UZ20100W、25μm)の構成であり、溶融押出樹脂側にLLDPE層が接触するように繰り出した。
以上の条件により、積層フィルムを作製した。
[実施例2]
オ−トクレ−ブ型重合反応器による高圧法低密度ポリエチレン(A−1):密度=917(kg/m3)、MFR=7.2(g/10分)と、気相法重合反応器による低密度ポリエチレン(B−1):密度=870(kg/m3)、MFR=7.0(g/10分)、コモノマ−=1−フ゛テンと、溶液法重合反応器によるポリエチレン(C−1):密度=915(kg/m3)、MFR=12.0(g/10分)、コモノマ−=4−メチル−1−ヘ゜ンテンを、ヘンシェルミキサ=によって30wt%/30wt%/40wt%の比率で撹拌混合し、さらに65mmφの単軸スクリュ−による押出混練機にて180℃の温度で溶融混合し、ポリエチレン樹脂組成物<2>を用意した。
ポリエチレン樹脂組成物<2>の結晶化度は、理学電機株式会社製X線回折装置: RINT2500VHF/PCによって上記手法によって測定した結果、34.3%であった。
ポリエチレン樹脂組成物<2>を、実施例1と同じ加工機、樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材および基材への表面酸化処理、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法によって、積層フィルムを作製した。
[実施例3]
実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物<1>を使用し、実施例2と同じ加工機において、コロナ放電処理の前に表面酸化前加熱工程を施した。すなわち、遠赤外線ヒーター(出力9.6KW)を用い、ヒーターと基材表面の距離を10cmに保ち加熱した。このときの基材表面の温度は90℃(表面接触式温度計により測定した)であった。表面酸化前加熱工程を加えたこと以外は、樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材および基材への表面酸化処理、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法を実施例2と同じにして、積層フィルムを作製した。
[実施例4]
実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物<1>を使用し、実施例2と同じ加工機、樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材および基材への表面酸化処理、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法によって、積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを、熱風乾燥器(オ−ブン)によって40℃で72時間の熟成を行った。
[実施例5]
実施例3で得られた積層フィルムを、熱風乾燥器(オ−ブン)によって40℃で72時間の熟成を行った。
[実施例6]
実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物<1>を使用し、実施例3と同じ表面酸化前加熱工程を加えた加工法で、コロナ放電処理条件を変更、コロナ放電密度を29W・分/m2として、積層フィルムを作製した。樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法は、実施例2と同じである。
[実施例7]
実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物<1>を使用し、実施例2の加工法においてコロナ放電処理条件を変更、コロナ放電密度を29W・分/m2として、積層フィルムを作製し、熱風乾燥器(オ−ブン)によって40℃で72時間の熟成を行った。樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法は、実施例2と同じである。
[実施例8]
実施例6で得られた積層フィルムを、熱風乾燥器(オ−ブン)によって40℃で72時間の熟成を行った。
[比較例1]
実施例1において、ポリエチレン樹脂組成物<1>を、オ−トクレ−ブ型重合反応器による高圧法低密度ポリエチレン(A−1):密度=917(kg/m3)、MFR=7.2(g/10分)を100wt%とし、実施例1と同じ加工機、樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材および基材への表面酸化処理、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法によって、積層フィルムを作製した。
高圧法低密度ポリエチレン(A−1)の結晶化度は、理学電機株式会社製X線回折装置: RINT2500VHF/PCによって上記手法によって測定した結果、44.8%であった。
[比較例2]
オ−トクレ−ブ型重合反応器による高圧法低密度ポリエチレン(A−1):密度=917(kg/m3)、MFR=7.2(g/10分)と、気相法重合反応器による低密度ポリエチレン(B−1):密度=870(kg/m3)、MFR=7.0(g/10分)、コモノマ−=1−フ゛テンと、溶液法重合反応器によるポリエチレン(C−1):密度=970(kg/m3)、MFR=15.0(g/10分)、コモノマ−=なし、をヘンシェルミキサ=によって10wt%/10wt%/80wt%の比率で撹拌混合し、さらに65mmφの単軸スクリュ−による押出混練機にて180℃の温度で溶融混合し、ポリエチレン樹脂組成物<3>を用意した。
ポリエチレン樹脂組成物<3>の結晶化度は、理学電機株式会社製X線回折装置: RINT2500VHF/PCによって上記手法によって測定した結果、71.9%であった。
ポリエチレン樹脂組成物<3>を、実施例2と同じ加工機、樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材および基材への表面酸化処理、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法によって、積層フィルムを作製した。
[比較例3]
実施例1に記載のポリエチレン樹脂組成物<1>を用い、実施例2と同じ加工機において、基材の表面酸化処理を行わずに、積層フィルムを作製した。表面酸化処理を行わないこと以外は、樹脂温度、ライン速度、コ−ト厚み、基材、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法は実施例2と同じである。
[実施例9]
実施例7において、コロナ放電出力とライン速度を調整し、コロナ放電密度を8W・分/m2として、積層フィルムを作製した。樹脂温度、コ−ト厚み、基材、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法は、実施例2と同じである。
[実施例10]
実施例6において、コロナ放電出力とライン速度を調整し、コロナ放電密度を8W・分/m2として、積層フィルムを作製し、熱風乾燥器(オ−ブン)によって40℃で72時間の熟成を行った。樹脂温度、コ−ト厚み、基材、溶融押出樹脂へのガス処理、評価装置および評価方法は、実施例2と同じである。
Figure 0004219837
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実施例と比較例で使用した基材は、以下の通りである。
アルミ箔:昭和アルミ社製アルミ箔(20μm)、光沢面
無機蒸着バリアフィルム:東洋メタライジング社製、VM-PET1200(12μm)

Claims (19)

  1. 結晶化度が25%〜60%であり、且つ(A)密度が910〜930(kg/m3)、
    メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンが10〜99(wt%)、(B)密度が860〜890(kg/m3)、メルトフロ
    ーレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある低密度ポリエチレンが1〜90(wt%)、から成るポリエチレン樹脂組成物を、下記工程(1)〜(3)により、バリア性基材(D)上に、アンカーコート剤を使用せずに押出ラミネートし、ラミネート樹脂層を形成する積層フィルムまたは積層シートの製造方法;
    (1)表面酸化処理工程:基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程、
    (2)ガス処理工程:押出ラミネート用樹脂を180℃〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも1面にガス処理を施す工程、
    (3)圧着工程:表面酸化処理工程で得られた基材の表面酸化処理面とガス処理工程で得られたフィルムのガス処理面とを接触させ、該基材と該フィルムを圧着する工程。
  2. 結晶化度が25%〜60%であり、且つ(A)密度が910〜930(kg/m3)、
    メルトフローレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンが10〜90(wt%)、(B)密度が860〜890(kg/m3)、メルトフロ
    ーレートが0.1〜100(g/10分)の範囲にある低密度ポリエチレンが0〜80(wt%)、(C)密度が890〜925(kg/m3)以下、メルトフローレートが0.
    1〜100(g/10分)のポリエチレンが10〜90(wt%)[ただし(C)は(A)とは密度が異なる]、から成るポリエチレン樹脂組成物を、下記工程(1)〜(3)により、バリア性基材(D)上に、アンカーコート剤を使用せずに押出ラミネートし、ラミネート樹脂層を形成する積層フィルムまたは積層シートの製造方法;
    (1)表面酸化処理工程:基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施す工程、
    (2)ガス処理工程:押出ラミネート用樹脂を180℃〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも1面にガス処理を施す工程、
    (3)圧着工程:表面酸化処理工程で得られた基材の表面酸化処理面とガス処理工程で得られたフィルムのガス処理面とを接触させ、該基材と該フィルムを圧着する工程。
  3. 前記ポリエチレン樹脂組成物の結晶化度が、30〜40%であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の方法で製造される積層フィルムまたは積層シート。
  5. 請求項に記載の積層フィルムまたは積層シートを少なくとも1層含む、包装用積層フィルムまたは包装用積層シート。
  6. 表面酸化処理工程の前に、40℃以上かつ基材の融点以下の温度で加熱する表面酸化前加熱工程を有する、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  7. 圧着工程の後に、圧着で得られる積層フィルム又は積層シートを、保温下、熟成する工程を有する請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  8. 熟成温度が30℃以上かつ50℃未満である、請求項記載の製造方法。
  9. 表面酸化処理工程の前に請求項記載の表面酸化前加熱工程を有し、かつ圧着工程の後に請求項記載の熟成工程を有する、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シート製造方法。
  10. 表面酸化処理工程がコロナ放電処理工程である、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  11. コロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が40(W・分/m2)以上である、請求
    10記載の積層フィルムまたは積層シート製造方法。
  12. 表面酸化処理工程の前に請求項記載の表面酸化前加熱工程を有し、表面酸化処理工程が請求項10記載のコロナ放電処理工程であり、かつコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が10(W・分/m2)以上である請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルム
    または積層シートの製造方法。
  13. 圧着工程の後に請求項記載の熟成工程を有し、表面酸化処理工程が請求項10記載のコロナ放電処理工程であり、かつコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が、10(W・分/m2)以上である、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シー
    トの製造方法。
  14. 表面酸化処理工程の前に請求項記載の表面酸化前加熱工程を有し、圧着工程の後に請求項記載の熟成工程を有し、表面酸化処理工程が請求項10記載のコロナ放電処理工程であり、且つコロナ放電処理工程におけるコロナ放電密度が10(W・分/m2)以上で
    ある、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  15. 表面酸化処理工程がプラズマ処理工程である、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  16. 表面酸化処理工程がフレームプラズマ処理工程である、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  17. 表面酸化処理工程が電子線照射処理工程である、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
  18. 表面酸化処理工程が紫外線照射処理工程である、請求項1〜3の何れかに記載の積層フ
    ィルムまたは積層シートの製造方法。
  19. ガス処理工程がオゾン吹き付け処理であって、オゾン処理量が下式(C−1)を満たす、請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムまたは積層シートの製造方法。
    (C−1) 1≦オゾン処理量(mg/m2)≦−0.5×Tx+170
    (Txはオゾン処理を行うポリエチレンのダイ直下樹脂温度、単位:℃)
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