JP4216416B2 - 紙製パレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、段ボールを用いて構成される紙製のパレット、特に片面使用形二方差しのパレットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の紙製パレットは、パレットの長さ方向に向けて複数の紙製の桁又は脚を、隣り合う桁又は脚間にフォークリフトのフォーク挿入領域を設けて並列状に配置し、これら桁又は脚の上面側及び下面側双方に夫々紙製のデッキボードを接着して構成されているのが一般的である。
【0003】
しかし乍ら、上記のような構造の従来の片面使用形二方差しパレットは、その長さ方向には桁又は脚が通っているため、長さ方向の強度は十分あり、前後が撓むようなことはないが、幅方向の強度を補強する構造物を備えないため、幅方向の曲げ強度に問題があり、左右が撓む恐れがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述したような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、長さ方向及び幅方向について必要充分な強度を有し、構造が簡単で、容易に製造することが出来る紙製の片面使用形二方差しパレットを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の紙製パレットは、請求項1記載のように、平坦な上縁と、両端及び中央部に適宜幅を残してフォークリフトのフォークを受け入れるためのフォーク受け入れ領域を構成する切欠きを設けることにより凹凸状に形成された下縁を備え、パレットの幅方向を向いて順次所定の間隔で並列状に配置された段ボール製の多数のリブと、パレットの長さ方向における前後面側を除き上記リブ全体を一括して覆うように設けられた段ボール製の内側シェルと、夫々平坦な上面側デッキボード部と下面側デッキボード部とを備え、パレットの長さ方向における前後面側を除き上記内側シェルを覆って設けられた段ボール製の外側シェルとからなり、上記内側シェルは、段ボールをリブの形状に対応する形状に折り曲げ形成すると共にその山折り角部を傾斜面に形成して、当該傾斜面には所定間隔でリブの数分のスリットを設け、当該スリットに前記リブの角部を係合するものである。
【0006】
また、この紙製パレットは、請求項2に記載するように、各リブの上下両縁に夫々内側シェル係止用スリットを、リブを厚さ方向に横断して切り込み形成すると共に、内側シェルを幅方向に2分割されて相互に突き合わせ状に組み合せられる二つのパーツで構成し、各パーツの突き合わせ端部に掛止片を折曲形成して、当該掛止片を上記リブの内側シェル係止用スリットに差し込み掛止させるようにすることが出来る。
【0007】
【発明の作用及び効果】
以上のように構成した請求項1の紙製パレットは、パレットの幅方向に多数のリブを有するため、幅方向の曲げ強度が極めて高く、幅方向の撓みを防止することが出来る。
また、パレットには、切り欠かれることなく残された各リブの両端及び中央部をその周縁に沿って折り曲げられて当該部分を覆う内側シェルにより、パレットの長さ方向に延びる桁状の部分が形成され、しかもこの桁上部分は多数のリブにより補強された構造となるため、長さ方向においても充分に満足のいく強度を有することが出来る。
従って、このパレットは、長さ方向及び幅方向について必要充分な強度を有する。
更に、この発明のパレットは、内側シェルの山折り角部を傾斜面に形成して、当該傾斜面に所定間隔でリブの数に相当する数のスリットを設けてあり、このスリットにリブの角部を係合させるので、リブをパレットの幅方向を向いて順次所定の間隔で並列状に配置して起立設置することが簡単であり、しかも、リブの固定及びリブ相互の連結を接着剤による接着や、特別な部品・部材を用いることなく簡単に行なうことが出来る。
【0008】
また、請求項2記載のように構成した場合、内側シェルが左右二つのパーツからなり、各パーツを夫々の両端部に折曲形成した掛止片をリブの上縁及び下縁夫々の中央部に設けた内側シェル係止用スリットに差し込み掛止してリブに固定するので、二つのパーツを突き合せ状に配置して、夫々のパーツの下面側となる端部の掛止片を折り曲げ起立させ、これら両パーツの掛止片を下縁側の内側シェル係止用スリットに掛止させつつ各リブを起立させて、その角部を内側シェルのスリットに係合させて行くことが出来、組立てが一層容易になり、内側シェルの固定もリブの内側シェル係止用スリットに掛止片を掛止させるだけで良いので簡単である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図において本発明の紙製パレットは、全体を符号Aで示されており、片面使用形二方差しのパレットの態様を備えている。
このパレットAは、パレットAの幅方向を向いて長さ方向に順次所定の間隔で並列状に配置された多数のリブ1と、これら多数のリブ1を内包し、且つリブ1相互を連結結合する内側シェル2と、内側シェル2の外方にこれを覆って設けられた外側シェル3とからなっており、いずれも段ボールで構成され、特にリブ1は三層段ボールで構成されている。
【0010】
上記リブ1は各々パレットAの幅と高さに対して内側シェル2及び外側シェル3を構成する段ボールの厚さの和の2倍に相当する分だけ小さな横幅と高さを有しており、その上縁は平坦に形成され、下縁はパレットAの前面び背面に開口するフォークリフト車輌のフォークBを受け入れるためのフォーク受け入れ領域4を構成する切り欠き41を備える凹凸状に形成されている。
上記切り欠き41は、リブ1下縁にその左右両端部及び中央部を脚部12,13として所定幅残して、これら脚部12,13間に形成されており、少なくともフォークリフトのフォークBを導入し得る幅及び高さを有している。
【0011】
また、リブ1には、その上縁中心部と、下縁側中央に残された脚部13の中心部に、内側シェル係止用のスリット14,15がリブ1を厚さ方向に横断して切り込み形成されている。
上記リブ1は、角部を内側シェル2に設ける後述のスリット21に係止せしめて、各々パレットAの幅方向を向くように当該内側シェル2内に順次所定の間隔で並列状に多数(図示例においては7枚)配列配置される。
尚、パレットAの長さ方向両端側に配置される2枚のリブ1a,1bには、片面に補強用の添え板16が取付けられている。
添え板16はリブ1と殆ど同じ形状大きさであるが、角部が斜めにカットされている。
【0012】
内側シェル2は、左右一対のパーツ2a,2bからなり、夫々所要の大きさに裁断した四角形の段ボールをその側端縁に対して夫々平行に設けた罫線a〜j及びミシン目線k〜lにより折り曲げて形成されて左右対称をなしており、両パーツが突き合わせ状に組み合せられた状態において、パレットAの幅方向を向いて並列配置された各リブ1の下縁を繋いで形成されるリブ群下面に対応する凹凸を有する下面部22、各リブ1の幅方向端縁を繋いで形成されるリブ群側端面に沿う左右の側面部23,24、各リブ1の上縁を繋いで形成されるリブ群上面に沿う平坦な上面部25を有し、これら下面部22、左右両側面部23,24、上面部25により囲まれる空隙部に上記リブ1が配置されている。即ち、内側シェル2は、左側のパーツ2aによりリブ群の左半分を、右側のパーツ2bによりリブ群の右半分を、夫々パレットの長さ方向前後面側に相当する面を除いて包み込んでいる。
従って、この内側シェル2の下面側には、その左右両側部及び中央部にリブ1の脚部12,13に沿ってパレットの長さ方向に延びる桁状部分26,27が設けられ、桁状部分26,27間にフォーク受け入れ領域4を構成する下方に開いた溝状凹部
42が設けられる。
【0013】
上記内側シェル2を構成する左右一対のパーツ2a,2bは、上面部の相互に突き合わせられる側端縁にその端縁と平行に設けた罫線を介して下向き直角に折り曲げられる上部掛止片28を、下面部の相互に突き合わせられる側端縁にその端縁と平行に設けた罫線を介して上向き直角に折り曲げられる下部掛止片29を備え、上記上部掛止片28をリブ上縁中央のスリット14に、下部掛止片29をリブ下縁中央の内側シェル係止用スリット15に夫々差し込み係止して、リブ1に一体的に固定されている。
【0014】
また、上記内側シェル2は、その山折れ角部が傾斜面20に形成されており、各傾斜面には前記リブ群を構成する各リブ1各々の角部に対応してリブ1の数と同数のスリット5が打ち抜き形成され、夫々のスリット5に対応するリブ1の角部を嵌合係止している。このとき、パレットAの長さ方向両端側に配置される2枚のリブ1a,1bに設けられた添え板16の斜めにカットされた角部が、上記傾斜面に当接するようなっている。尚、上記添え板16は無くてもよい。
内側シェル2にスリット5を設けてリブ1の角部を嵌合係止するようにしたこのような構造は、リブ1の位置決め、組立て時におけるリブ1の自立性確保、組立て後におけるリブ1の倒れ防止を可能にし、組立ての容易性、組立て後の強度保持に大きな効果を発揮する。
リブ1と内側シェル2は接着剤で接着固定される。
【0015】
一方、前記外側シェル3は、夫々平坦な上面側デッキボード部31と、下面側デッキボード部32と、上記上面側及び下面側デッキボード部31,32をパレットAの幅方向両端において夫々連絡する左右の側面部33,34とを有し、パレットAの長さ方向における前後面側を除き内側シェル2の外側にこれを覆って設けられ、上面側デッキボード部31の裏面を内側シェル2の上面部25表面に、側面部裏面33,34を内側シェル2の側面部23,24表面に、下面側デッキボード部32の裏面を内側シェル2の桁状部分26,27底面に夫々接着固定してある。
これにより、内側シェル2に形成された溝状状凹部42の開放された下面が下面側デッキボード部32により閉鎖され、パレットAには前後二方に開口するトンネル状のフォーク差し込み領域4が形成される。即ち片面使用形二方差しのパレットが構成されることになる。
【0016】
以上説明した実施の形態では、リブ1の上縁中心部と、下縁側中央に残された脚部13の中心部に、夫々内側シェル係止用のスリット14,15をリブ1を厚さ方向に横断して切り込み形成し、この内側シェル係止用のスリット14,15に内側シェル2に設けた上部掛止片28と下部掛止片29を夫々差し込み係止するように構成したが、図10に示すように、上記のようなリブ1の内側シェル係止用のスリット14,15や内側シェル2の上部及び下部掛止片28,29を設けることなく、内側シェル2をリブ1の周縁に沿わせ両者を接着固定するだけの構造とすることも任意である。このような構造は、先に説明した実施の形態に比べて多少組立て性に劣るところはあるものの、リブ1がスリット14,15を有していない分強度的には優れたものとなる。
また、内側シェル2を構成する二つのパーツ2a,2bが突き合わせられる位置を、荷重が集中するパレットAの幅方向中央部からずらせた位置とすることにより、強度を更に大きくすることが出来る。更に、両パーツの突き合わせ部に補強板を介在させることにより、一層の強度のアップを図ることが出来る。尚、内側シェル2を三つ以上のパーツで構成することも可能である。
更に、先に説明した実施形態では、図面上、外側シェル3は左右二つのパーツ3a,3bに分割構成されているが、一枚の段ボールブランクを折り曲げて形成する一体物に構成することも勿論任意である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す紙製パレットの斜視図。
【図2】一部切欠して示す平面図。
【図3】正面図で要部を一部拡大して示している。
【図4】図2の(4)−(4)線断面図で要部を一部拡大して示している。
【図5】組立て状態を説明する斜視図で、内側シェル及び外側シェルは夫々一方のパーツのみを示している。
【図6】リブと内側シェルとの組立て状態を説明する斜視図。
【図7】リブと内側シェルとの組立て状態を工程に従って説明する要部の拡大断面図。
【図8】リブと内側シェルを組立てた状体の斜視図。
【図9】内側シェルの外側に外側シェルを組立てる状態を説明する斜視図。
【図10】他の実施形態を示す紙製パレットの斜視図。
【符号の説明】
A:パレット
B:フォークリフト車輌のフォーク
1:リブ
2:内側シェル
2a:内側シェルのパーツ
2b:内側シェルのパーツ
3:外側シェル
4:フォーク受け入れ領域
14:内側シェル係止用スリット
15:内側シェル係止用スリット
20:傾斜面
21:スリット
28:上部掛止片
29:上部掛止片
41:切り欠き
Claims (2)
- 平坦な上縁と、両端及び中央部に適宜幅を残してフォークリフトのフォークを受け入れるためのフォーク受け入れ領域を構成する切欠きを設けることにより凹凸状に形成された下縁を備え、パレットの幅方向を向いて順次所定の間隔で並列状に配置された段ボール製の多数のリブと、
パレットの長さ方向における前後面側を除き上記リブ全体を各リブの周縁に沿って一括して覆うように設けられた段ボール製の内側シェルと、
夫々平坦な上面側デッキボード部と下面側デッキボード部とを備え、パレットの長さ方向における前後面側を除き上記内側シェルを覆って設けられた段ボール製の外側シェルとからなり、
上記内側シェルは、段ボールをリブの形状に対応する形状に折り曲げ形成すると共にその山折り角部を傾斜面に形成して、当該傾斜面には所定間隔でリブの数分のスリットを設け、当該スリットに前記リブの角部を係合したことを特徴とする紙製パレット。 - 各リブの上下両縁に夫々内側シェル係止用スリットが、リブを厚さ方向に横断して切り込み形成され、
内側シェルは、幅方向に2分割されて相互に突き合わせ状に組み合せられる二つのパーツからなり、各パーツの突き合わせ端部には掛止片が折曲形成され、当該掛止片が上記リブの内側シェル係止用スリットに差し込み掛止されることを特徴とする請求項1記載の紙製パレット。
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