JP4213635B2 - 横葺き外装材の施工方法及び横葺き外装構造の施工方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、外装材の一方の側縁に、別体の水切り片をかしめ嵌合させて一体化させ、側縁と水切り片の間に、隣接する外装材の他方の側縁の突片を差し込んで接続するものであるが、施工後の外装材の接続部分が段差違いに形成され、美観上(意匠上)好ましくないものであった。
さらに、この接続法は、外装材を棟側へスライドさせただけでは、挿入が斜めであったり全体がずれている場合もあり、上向き折返し縁の端部を下向き折返し縁の奥に当接させるように外装材を桁行き方向に引っ張って位置決めする必要があるため、実質的に棟側へと桁行き方向への2方向へのスライドによる作業が必要であった。
また、使用する外装材は、短手方向及び長手方向の両方向の端縁に折り返し状の加工部を形成した構造であるため、成形スピードの高速化が図れず、結果として製造コストの上昇が避けられないものである。
また、前述のように交差部材(24a,24b)の先端が下方へ延びるような形状では、先にプレス加工を行うと、その加工先端がロール成形にて変形してしまう。また、上述のようなプレス成形は極めて面倒であった。
尚、短手方向の端縁とは、長手方向に沿う側縁であり、長手方向の端縁とは、短手方向に沿う側縁である。また、凸状部分を差し込むとは、凹状部分であれば凸状部分をその裏面側に位置させることを意味し、挿入孔であれば凸状部分を挿入してその裏面側に位置させることを意味する。
また、接続部及び接続受部は段部を介して設けられているので、接続構造において他方の接続受部の凹状部分又は挿入孔の裏面に沿わせる部分が平行状となり、近接もしくは当接する状態となり、凸状部分の基端に歪みが生ずることがなく、外装(接続)面はほぼ平坦になる。さらに、凹凸のかみ合いが適正に行われるので、作業性が向上し、しかも切断面が露出せず意匠性に優れた接続構造を形成できる。
尚、図示実施例では、短手方向とは水流れ方向(軒棟方向)を指し、長手方向とは左右方向(桁行き方向)を指す。
本発明における重合成形部は、係合又は嵌合により接続するものであれば特にその形状等について限定するものではなく、さらに詳しくは、その接続状態において一部が重合状に組み合わされて係合又は嵌合されるものである。そのため、軒側成形部12も棟側成形部13もそれに準ずる。
図示実施例の軒側成形部12は、面板部11の軒縁を下方へ略鉛直状に曲げ成形した折り下げ片121と、その下端を棟側へ曲げ成形して略水平状に延在させ、さらにその先端を裏面側へ折り返した水平片122とからなる構成とした。
また、棟側成形部13は、面板部11の端縁を表面側へ折り返し状に曲げ成形して延在した軒向き片131と、その軒端を棟側へ折り返し状に曲げ成形して延在させ、その上端を緩く上方へ折り曲げた棟向き片132とからなる構成とした。
図示実施例では、ブランク加工により、長手(桁行き)方向の一方(図面左側)の接続部14には、3つの略矩形状の凸状部分14Aと2つの凹状部分が形成され、他方(図面右側)の接続受部15には、2つの略矩形状の凸状部分15Aと3つの凹状部分15Bが形成される場合であり、凸状部分14Aと凹状部分15B、凹状部分14Bと凸状部分15Aとは、それぞれ短手方向に同位状に設けられている。また、各凸状部分14A,15Aは段部16を介して設けられている。そのため、各凸状部分14A,15Aは、面板部11に対して段部16分だけ裏面側に位置する略平坦状である。さらに、これら接続部14及び接続受部15では、軒側成形部12の水平片122が欠除され、棟側成形部13の棟向き片132が欠除される構成である。即ち長手(桁行き)方向の両端縁の軒側成形部12、棟側成形部13の折り返し部分となる部位が欠除する構成である。
尚、上記図示実施例の説明においては、図面左側の端部を一方側及び接続部14と説明し、図面右側の端部を他方側及び接続受部15と説明したが、この図1,2の実施例、或いは後述する図4や図5の各実施例のように、外装材1の両端縁に凸状部分及び凹状部分が形成される態様においては、何れの端部を接続部、接続受部としてもよく、説明上、便宜的に区別しているに過ぎない。
まず、外装材1の金属材料素材としては、代表的には概ね0.4〜1.6mm程度の溶融亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板等の防錆処理鋼板、特殊鋼、非鉄金属、ステンレス鋼板、耐候性鋼板、銅板、アルミニウム合金板、鉛板、亜鉛板、チタニウム板などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは殆ど長尺なコイル状形態で供給される。また、これら各種の長尺なコイル状の金属材料の裏面に、結露防止、防音、防火対策上の理由により、必要に応じてポリエチレンフォーム、グラスウールシート等の裏貼り材を添装してもよい。
上記各種の長尺なコイル状の金属材料を定尺切断する等して、一定幅で所定長さの金属材を作成し、これを成形材料とする。
この成形材料に、長手方向の両端縁にブランク加工を施して前記構成の接続部14、接続受部15が形成されるようにする。尚、これらのブランク加工は、各端縁それぞれに行うようにしてもよいし、接続部14,15は、一方の凹状部分と他方の凸状部分とが短手方向に同位状になるように設けるので、一度のジグザグ状の切断にて形成するようにしてもよい。
図2(a)に示すように、既に左側に配された外装材1の右端の接続受部15に、右側に配する外装材1の左端の接続部14を接続するに際し、まず、第一の工程として、右側の外装材1の接続部14の最軒側の凸状部分14Aの軒縁を、左側の外装材1の接続受部15の最軒側の凹状部分15Bの軒縁に差し込む。より詳しくは、左側の外装材1の軒棟方向に配された接続受部15に対し、右側の外装材1を、接続部14が傾斜状になるように臨ませ、凸状部分14Aを凹状部分15Bに完全に差し込むのではなく、その軒縁のみを差し込むようにする。
次に、第二の工程として、第一の工程で差し込んだ部分を支点Fとして右側の外装材1を反時計回りに回動させる。その際、右側の外装材1は、凸状部分14Aが略平坦状であるため下地に載置した状態で回動させればよいので、作業に多人数を要することなく容易に実施できる。
そして、第三の工程として、最軒側の凸状部分14Aの軒縁以外を、凹状部分15Bに差し込んで接続する。尚、この実施例では、接続部14及び接続受部15のそれぞれに凸状部分14A,15A、凹状部分14B,15Bを設けたので、各凸状部分14A,15Aを各凹状部分15B,14Bの裏面側へ沿わせるように差し込んで接続し、図2(b)に示すような略平坦状の外装面を施工する。
この図示実施例の外装材1は、軒側から棟側へ向かって順次敷設するので、前述のような長手(桁行き)方向の接続に際してその軒側には既に外装材1が敷設されている。したがって、既に敷設された軒側の外装材1の棟側成形部13に対し、その軒側成形部12が係合するように左側の外装材1を敷設した後、前述の第一〜第三の工程により右側の外装材1を接続するが、その際、右側の外装材1は既に敷設された軒側の外装材1の棟側成形部13に対し、その軒側成形部12の右端を係合させつつ、前述のように接続部14の最軒側の凸状部分14Aの軒縁を、左側の外装材1の接続受部15の最軒側の凹状部分15Bの軒縁に差し込む。
尚、長手(桁行き)方向の接続位置は、通りを揃えてもよいが、一般的には、軒棟方向に隣り合う外装材の接続の通りと同じにならないよう1段ごとに位相させることが好ましい。
段部16がない場合は、他方側の裏面に位置する凸状部分14A,15Aは先端に向かって下降する傾斜状に配される場合もあると推察される。これに対して段部16があると、均一長さの凸状部分14A,15Aが段部16の分だけ他方側の裏面側に平行状に近接もしくは当接する状態となっている。そして、凸状部分14A,15Aの基端に歪みが生ずることがなく、外装(接続)面はほぼ平坦になり、切断面が露出せず意匠性に優れた接続構造を形成できる。また、段部16により、凹凸のかみ合いが適正に行われるので、作業性が向上する。尚、このような段部16は、1つに限定するものではなく、複数設けるようにしてもよい(複数設けた場合の効果は、後述する図5及び図6の各実施例にて説明する)。
捨板2は、図3に示すように矩形状の平板部21の左右側縁を表面側へ折り返した折返し部22,22、平板部21の棟縁を表面側へ折り返した水返し部23が形成され、さらに軒縁を裏面側へ折り返し状に折曲して前記外装材1の軒側成形部12の内部に位置する軒側係合部24が設けられた構成である。
したがって、長手方向の接続部から浸入した雨水等は、この捨板2上に導かれ、下段側の外装材1の面板部11上に流下させることができる。
また、この実施例では、接続部14及び接続受部15が、それぞれ2段の段部16を有する構成であり、この場合、以下のような施工作業となる。尚、段部16は、面板部11側から1段目、2段目と表記する。
まず同図(a)に示すように、回動させる外装材1の最軒側の凸状部分14Aを、既に固定された左側の外装材1の最軒側の凹状部分15Bの軒縁に差し込む。この時、接続部14の軒側から2番目の凸状部分14Aの2段目の段部16の軒端は、接続受部15の最軒側の凸状部分15Aの2段目の段部16の棟端に当接している(この部分を図面では規制部分E1と記した)。そのため、凸状部分14A,15Aの2段目の段部16の先端が、互いの係合される状態を保持しながら回動することになり、凸状部分14A,15A同士の乗り越え重合も阻止され、右側の外装材1が軒側にずれたりすることがなく安定に回動させることができる。
次に、同図(b)に示される状態では、前述の接続部14の軒側から2番目の凸状部分14A及び接続受部15の最軒側の凸状部分15Aは、それぞれ対応する凹状部分15B,14Bの裏面側に既に差し込まれているが、この時点では接続部14の軒側から3番目の凸状部分14Aの2段目の段部16の軒端が接続受部15の軒側から2番目の凸状部分15Aの2段目の段部16の棟端に当接している(この部分を図面では規制部分E2と記した)。そのため、前記同図(a)の場合と同様の作用により、右側の外装材1を安定に回動させることができる。
続いて、同図(c)に示される状態では、前述の接続部14の軒側から3番目の凸状部分14A及び接続受部15の軒側から2番目の凸状部分15Aは、それぞれ対応する凹状部分15B,14Bの裏面側に既に差し込まれているが、この時点では接続部14の最棟側の凸状部分14Aの2段目の段部16の軒端が接続受部15の最棟側の凸状部分15Aの2段目の段部16の棟端に当接している(この当接部分を図面では規制部分E3と記した)。そのため、前記同図(a)及び(c)の場合と同様の作用により、右側の外装材1を安定に回動させることができる。
そして、同図(d)に示されるように、略平坦状の接続面が得られる。
このように段部16を複数設けることにより、凸状部分14A,15Aの軒側へのずれが防止され、適正箇所への差し込みが容易になり作業性が向上する。
また、接続部14及び接続受部15は、それぞれ2段の段部16を有する構成であり、前記図5の実施例と同様の施工作業となる。
即ち同図(b)に示すように、回動させる外装材1の最軒側の凸状部分14Aを、既に固定された左側の外装材1の最軒側の凹状部分15Bの軒縁に差し込む。この時、接続部14の軒側から2番目の凸状部分(挿入片)14A’の2段目の段部16の軒端は、接続受部15の最軒側の挿入孔15Cの軒端に当接している(この部分を図面では規制部分E4と記した)。そのため、軒側から2番目の凸状部分(挿入片)14A’の2段目の段部16の先端が、挿入孔15Cに係止される状態を保持しながら回動することになり、右側の外装材1が軒側にずれたりすることがなく回動させることができる。
11 面板部
12 軒側成形部
13 棟側成形部
14 接続部
15 接続受部
14A,15A 凸状部分
14B,15B 凹状部分
15C 挿入孔
16 段部
F 支点
Claims (3)
- 短手方向の端縁に重合成形部を形成した横葺き外装材の施工方法であって、
前記横葺き外装材は、長手方向の一方の端縁に、1以上の凸状部分を有する平面視凹凸状の接続部を、他方の端縁に前記凸状部分を差し込み可能な凹状部分又は挿入孔を有する接続受部を、一方の凸状部分と他方の凹状部分又は挿入孔とが短手方向に同位状になるように設け、前記接続部及び前記接続受部段部を設けることにより接続構造において他方の接続受部の凹状部分又は挿入孔の裏面に沿わせる凸状部分が平行状となり、
横葺き外装材の接続部の最軒側の凸状部分の軒縁を、長手方向に隣接する横葺き外装材の接続受部の凹状部分の軒縁又は挿入孔の軒縁に差し込む第一の工程と、差し込み部分を支点として横葺き外装材を回動させる第二の工程と、最軒側の凸状部分の軒縁以外を、凹状部分又は挿入孔に差し込んで接続する第三の工程と、からなることを特徴とする横葺き外装材の施工方法。 - 接続部及び接続受部は、2段以上の段部を有することを特徴とする請求項1に記載の横葺き外装材の施工方法。
- 一定幅で所定長さの金属材を成形材料とし、長手方向の両端縁にブランク加工を施して一方の端縁に1以上の凸状部分を有する平面視凹凸状の接続部を、他方の端縁に前記凸状部分が差し込み可能な凹状部分又は挿入孔を有する接続受部を、接続部の凸状部分と接続受部の凹状部分又は挿入孔とが短手方向に同位状になるように設け、前記接続部及び前記接続受部は段部を設けることにより接続構造において他方の接続受部の凹状部分又は挿入孔の裏面に沿わせる凸状部分が平行状となり、前記接続受部を成形後端として、短手方向の端縁に重合成形部をロール成形により形成して横葺き外装材を作製した後、前記請求項1又は2に記載の方法にて長手方向に隣接する横葺き外装材と接続することを特徴とする横葺き外装構造の施工方法。
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