JP4211898B2 - ウェブの保持および調節方法と、保持および調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、ウェブの保持及び調節のための方法および装置、特に、ウェブに係合するように付勢された弾性突起によってウェブ上の摩擦を増大してバックルのようなボデーに通されたウェブの滑りを防止するための方法および装置に関し、このとき、弾性突起は、ウェブの調節を容易にするために可撓性を有しウェブから離れる方向に移動可能になっている。
【0002】
【従来の技術】
バックルは、乗客や積荷の拘束物として、又、救命胴衣その他の衣服類を含む無数の用途においてベルト、その他のストラップなどのウェブの1つまたはそれ以上の自由端を定着するために周知である。バックルは、一般に、ウェブの1つまたはそれ以上の端部がそのまわりに固定される幾つかの横棒部材を有するフレームを備えている。代表的に、ウェブの第1端部は、1本の横棒部材のまわりに巻付けて縫着などの周知の手段によってそれ自体へ固定され、ウェブの第2端部は、該第2端部に摩擦係合して滑りを防止する2本またはそれ以上の横棒部材の組合せの間に調節可能に通される。ウェブの摩擦係合を改善するため、米国特許第3,349,449号、第4,791,709号は、フレームの内側部分に沿って案内スロット内を移動してウェブに係合可能な摺動する横棒部材を開示し、このとき、ウェブ上の張力が増大すれば摺動可能な横棒部材との摩擦を増大する傾向がある。張力の一層小さい量の下でのウェブの係合を保証するため、米国特許第3,163,905号、第5,170,539号(特公平7−63406号)は、ばね装置によってウェブに係合するように付勢された摺動可能な横棒部材を開示している。しかしながら、別体の横棒部材を、食い込みによってバックルの破損を生じ得る案内スロット内に取付けねばならない欠点を有する。更に、摺動可能な横棒部材や、ばね装置のような別個の部品は、付加的な製造ないし製作の段階を必要とし、信頼性のある操作を保証するために狭い公差に合致せねばならず、その上、付加的な組立てを必要とし、それら総てによりコストが嵩む。
【0003】
上述の幾つかの問題は、本出願の図5に示されるように、上側と下側とを有するボデーを形成するために相対向した両側部4,5を相互に結合する第1,第2の横棒部材2,3を備えた単体のバックル1を開示した米国特許第4,171,555号(特公昭63−58561号)によって克服される。この単体のバックルは、図5Bに示したように、ウェブの端部をバックルの第2横棒部材3を越えて下から上に通し、次に折返して第1,第2の横棒部材の間を下向きに通した後に、ウェブの端部をウェブと第1横棒部材の下側面6との間に介在させるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した単体のバックルの第1横棒部材2は、張力Tの下でウェブが滑るのを防止するのに十分な摩擦が生じるようなウェブの通路を形成するように第2横棒部材3に対して設置する。しかしながら、このバックルは、ウェブが第1,第2の横棒部材と摩擦係合して滑りを防止される以前に、最小の量の張力がウェブに加えられることを必要とする。従って、ウェブは、僅かな張力、または無張力の下でバックルを経て滑る傾向を有し、これは、ウェブを固定するための努力を空しくし得る。ウェブの摩擦を低減するには図5Cに示したように、バックルの向きを図5Bの状態から大きな角度θだけ引き起こすことが必要である。この角度θはウェブの解放角度と呼ばれる。しかしながら、ウェブの解放角度がこのように大きいと、特にウェブが僅かな張力、または無張力の下にあるとき、またウェブによって緩く拘束される活発な子供の場合の様な動きにさらされるときにウェブの緩みを完全には防止しない。更に、このように大きい解放角度にバックルを引き起こすことは狭い場所では困難であると共に、このように大きい解放角度でバックルを引き起こすと、ウェブの張力は一時的に高まり、これは、不快を生じさせて障害ないし損傷を生じ得る。
【0005】
上述に鑑み、ウェブの保持および調節の技術における進歩に関して実証される必要性が存在する。従って、本発明の目的は、従来技術における問題を克服するウェブの保持および調節のための新規な方法および装置を提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、ウェブに加えられる張力が僅かなときでも、無張力のときでも、少なくとも一方向においてウェブ上の摩擦を増大してウェブの滑りを防止するウェブの保持および調節のための新規な方法および装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、ウェブを調節するのに必要な解放角度を小さくし、ウェブ上の摩擦を低減することによってウェブの調節を容易にする滑り防止のウェブの保持および調節のための新規な方法および装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、製造するのに経済的であって信頼性があり、別体の構成要素の組立てを必要としない滑り防止のウェブの調節のための新規な方法および装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、少なくとも第1,第2の横棒部材により相互に結合されて相対向する二つの側部を有するボデーを備えたウェブの保持および調節のための方法および装置へ向けられる。該ボデーは、上側と、下側とを有し、このとき、該第1横棒部材の下側部分は、ウェブとの接触面を形成する。弾性突起は、ボデーの下側から上方へ延び、ウェブ上の張力が僅かであっても、無張力であっても少なくとも一方向におけるウェブの滑りを防止するために弾性突起と第2横棒部材との間のウェブの部分に前側部分が係合するように第2横棒部材に向って付勢されている。弾性突起は、ウェブを調節するのに必要なウェブ上の摩擦を低減してウェブの解放角度を小さくすることによりウェブの調節を容易にするためにウェブを少なくとも部分的に解放するように可撓性を有し、第2横棒部材から離れることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
一実施例では、弾性突起の前側部分は、下側面を有する顎とこの顎からボデーの下側に向って延びる下側前面と、前記顎からボデーの上側に向って延びる上側前面とを有し、弾性突起は、その前側部分の少なくとも一部分がウェブに係合可能であって、少なくとも一方向においてウェブ上の摩擦を増大してウェブの滑りを防止するように第2横棒部材に向って付勢されている。他の実施例では、第2横棒部材の前側部分は、該前側部分が弾性突起の前側部分に少なくとも部分的に相補状であるように、上側面を有する棚と、該棚からボデーの上側に向って延びる上側前面と、該棚からボデーの下側に向って延びる下側前面とを備えている。一実施例では、ウェブは、弾性突起が第2横棒部材に向って設置されるとき、第1方向において滑りを防止されて、第2方向において調節可能であり、このとき、弾性突起は、第1,第2の方向におけるウェブの調節を容易にするように可撓性を有し、第2横棒部材から離れることが可能である。ボデーは相対向した両側部を相互に結合する第3横棒部材を有する単体のプラスチックバックルとして形成されてもよく、このとき、他のウェブ部分は、第3横棒部材のまわりに巻付けられ、縫付けまたは周知のその他の手段によって第3横棒部材に固定される。他の実施例では、ボデーは、噛合って結合、分離可能な雄部材と雌部材からなるバックル装置の一部として形成することができる。
【0011】
本発明のこれ等およびその他の目的、特徴および利点は、同様な構造および手順を対応する符号および記号によって示す添付図面による本発明の下記の詳細な説明を考察する際に一層完全に明らかになる。
【0012】
【実施例】
図示の各実施例のウェブの保持調節装置10は、第1横棒部材(第1バー)20と、第2横棒部材(第2バー)30とによって相互に結合された少なくとも2つの相対向した側部12,14を有するボデーを備えている。
【0013】
図1に示した第1実施例では、第1横棒部材は、少なくとも一方向においてウェブの滑りを防止するようにウェブ上の摩擦を増大するために第2横棒部材30に向って付勢されて、下記で更に述べるようにウェブの調節を容易にするために第2横棒部材から遠くへ手動で撓める事ができる弾性突起40を有している。該弾性突起は、ウェブ上の摩擦を増大するために少なくとも第2横棒部材に向って付勢され、ウェブに接触して係合する。図1Bは、図1Aの線B−Bに沿う断面図であり、摩擦を増大してウェブの滑りを防止するように第2横棒部材に向って設置された弾性突起40の少なくとも一部分によって係合されたウェブWを示している。該ボデーは、上側16と下側18とを有している。第1横棒部材20は、ウェブとの接触面を形成する下側部分22と、図1Cの矢印Fの方向へ弾性突起40が撓めるようにするため、下側部分から上方へ傾斜して第2横棒部材から次第に離れる内側部分24とを有している。ウェブを調節するために装置を手で掴んでウェブの解放角度に装置を方向付けるのを容易にするように第1横棒部材20はボデーの端部に肥厚したリップ部28(図1B)を形成する前側部分26を備えている。第1横棒部材20は、ボデーの端部の中間の幾つかの横棒部材の内の1つでもよく、弾性突起は、ボデーの下側部分から延びていてもよい。
【0014】
図1の実施例では、弾性突起40は、第1横棒部材20の下側部分から上方へ延び、第2横棒部材30に面する前側部分42を有している。弾性突起の横の側部43,44は、第2横棒部材30に対して弾性突起40を遠近両方向に動ける様に、相対向した側部部材12,14へは結合されず、図1Aで明らかなように僅かに離れている。弾性突起の上部41(図1C)は、弾性突起を手で掴んで第2横棒部材から遠くへ撓ませ易くするように、相対向した両側部12,14よりも上方へ突出している。弾性突起が相対向した両側部よりも上方へ突出する長さを増大させれば、弾性突起を付勢に抗して撓めるのに必要な力は低減する。弾性突起は、第2横棒部材30に向って付勢され、その前側部分42は弾性突起と第2横棒部材との間のウェブの部分に係合可能な表面部分を有している。弾性突起が第2横棒部材に向って付勢されてウェブに接触する幾つかの実施例では、ウェブの滑りを防止するために第1横棒部材の下側部分22に沿って第2横棒部材30のまわりにウェブが巻付く際にウェブ上の摩擦を増大するように、第2横棒部材に向ってウェブを押付ける。また、弾性突起は、ウェブに加えられる張力が僅か、または無いときでもウェブの滑りを防止する。ウェブ上の張力が矢印Tの方向に増大される際、装置が図1Bにおけるようにウェブに対して方向づけられるときに、ウェブは装置によって一層強固に係合される。一実施例では、弾性突起の前側部分は、ウェブ上の摩擦を増大してウェブの滑りを防止する曲がりくねった通路を形成するように、第2横棒部材30の表面部分に少なくとも部分的に相補状にしてある。1つまたはそれ以上のとげまたは稜を、ウェブ上の摩擦を更に増大するために、弾性突起および第2横棒部材のどちらか、または双方の前側部分上に交互にまたは累積的に配置してもよい。図1の実施例では、弾性突起40の前側部分42は、ボデーの下側18に向いた下側面を有する顎46と、ボデーの下側18に向って顎から延びる下側前面47と、ボデーの上側16に向って顎から延びて傾斜する上側前面48とを備えている。傾斜する上側前面48と下側面の顎46の一部との間の鋭角によって形成される少なくともエッジ49は、弾性突起が第2横棒部材に向って設置されたとき、ウェブが矢印Tの方向に張力を受けたときウェブ上の摩擦を増大してウェブの滑りを防止するように、ウェブに食い込み、ウェブを第2横棒部材に向って押付ける。弾性突起が第2横棒部材に向って設置されるときに少なくとも矢印Tの方向へのウェブの滑りを防止するために前側部分42がウェブに係合して摩擦を増大し、弾性突起40が下記のようにウェブの調節を容易にするために第2横棒部材30から付勢に抗して撓められるときにウェブ上の摩擦を低減して少なくとも部分的な解放を可能にするように、前側部分42が第2横棒部材と協働する限り前側部分42の幾何学的形状は変更してもよい。
【0015】
第2横棒部材は、上側部分31(図1C)と、弾性突起に面する前側部分32と、面しない後側部分34とを有している。一実施例では、上側部分31は、ウェブに接触する表面領域を増大し、且つ第2横棒部材上でのウェブの横滑りおよびひだ付けを防止するための複数の平行な溝33(図1A)を有している。図示してない同様な溝を、同じ目的のために上述の第1横棒部材のウェブとの接触面22に設けてもよい。上側部分31は、ウェブがボデーから突出すのを防止するように、相対向した両側部の上側16と下側18との中間に配置してもよい。第2横棒部材の後側部分34は、上側部分31に結合する上側面と、前側部分32に結合する下側面とを有している。弾性突起が第2横棒部材に向って設置されるときに少なくとも矢印Tの方向へのウェブの滑りを防止するために前側部分32がウェブに係合して摩擦を増大し、弾性突起40が下記のようにウェブの調節を容易にするために付勢に抗して第2横棒部材30から遠くへ撓められるときにウェブ上の摩擦の低減および少なくとも部分的な解放を可能にするように、前側部分32が弾性突起と協働する限り、前側部分32の幾何学的形状は変更されてもよい。図示の実施例では、第2横棒部材の前側部分32は、ボデーの上側16に向いた上面を有する棚36と、ボデーの上側16に向って棚から延びる上側前面37と、ボデーの下側18に向って棚から傾斜して延びる下側前面38とを備えている。棚36と傾斜した下側前面38との間の鋭角によって形成される少なくともエッジ39は、弾性突起が第2横棒部材に向って設置されるときに少なくとも矢印Tの方向にウェブWが張力を受けた際、ウェブ上の摩擦を増大してウェブの滑りを防止するために少なくともウェブに食い込んで弾性突起に向ってウェブを押付ける。
【0016】
図1Cには、ボデーの下側18(図1B)から第2横棒部材30の後側部分34に沿って上へ延び、上側部分31を越えて下へ折返すウェブWの端部を示す。第2横棒部材と弾性突起との間をウェブが下向きに通過するのを容易にするように、弾性突起40は矢印Fの方向へ付勢に抗して手で撓めることができる。次に、ウェブは、第1横棒部材20と、ウェブWとの間のウェブ接触面22に沿って矢印P(図1C)の方向へ延びる。図1Bでは、弾性突起40は、その前側部分42の少なくとも一部分がウェブ上の摩擦を増大して少なくとも矢印Tの方向へのウェブの滑りを防止するために第2横棒部材30に向って付勢され、第2横棒部材の少なくとも前側部分32(図1C)にウェブの一部分を押付けて接触する。ウェブが通されて弾性突起が第2横棒部材に向ってスプリングバックする際、ウェブ上の摩擦を増大してウェブの滑りを防止するために、弾性突起の下側面の顎46(図1B)の一部分は、第2横棒部材の上側面の棚36(図1C)に向って下向きの力をウェブ上に加え、弾性突起の下側面部分47(図1B)は、第2横棒部材の傾斜した下側面部分38(図1C)に向ってウェブ上に横方向の力を加え、弾性突起の傾斜した上側面部分48(図1B)は、第2横棒部材の上側面部分37(図1C)に向ってウェブ上に横方向の力を加える。第2横棒部材の相補状の前側部分32(図1C)は、ウェブが第2横棒部材の前側部分に接触する場所でウェブ上に対応する反作用力を同様に加える。これによりウェブは弾性突起40を第2横棒部材から離れるように付勢に抗して撓めることなく矢印Pの方向へ調節可能であるが、少なくとも矢印Tの方向におけるウェブの滑りを防止するために弾性突起と第2横棒部材とはウェブW上の摩擦を増大して少なくとも部分的にウェブと係合するように協働する。矢印Fの方向への弾性突起40の移動は、ウェブ上の摩擦を低減することによって矢印Pの方向へのウェブの調節を容易にする。図3Cに示したように、ウェブに対する適切なウェブ解放角度に装置の向きを変えて弾性突起を第2横棒部材に向って位置させると、ウェブはTとPの両方の方向へ調節可能である。この場合、第2横棒部材から遠くへ弾性突起を付勢に抗して撓めると、ウェブ上の摩擦は低減し、小さな解放角度でウェブを上記T,P両方向に容易に調節できる。弾性突起がウェブ上の摩擦を低減し、従って装置とウェブとの間のウェブの解放角度が小さくなることによってウェブの調節が容易になる程度は、弾性突起を付勢に抗して撓め、第2横棒部材から遠くへ離すことができる程度に依存する。
【0017】
弾性突起および第2横棒部材は、装置をウェブに対してウェブの解放角度に向けない限り、ウェブ上の摩擦を増大して係合し、P,T両方向におけるウェブWの滑りを防止する様に形成してもよい。例えば、上側面の棚36、下側面の顎46およびエッジ39,49の間に、ウェブの移動をT,Pいずれかの方向又はT,Pいずれの方向にも防止するために弾性突起と第2横棒部材との間に一層曲がりくねった通路を形成し、そこにウェブに係合して食い込むとげを配置してもよい。上述のように、弾性突起は、ウェブ上の摩擦の低減およびウェブの解放角度を小さくすることによってウェブの調節を容易にするように付勢に抗して第2横棒部材から遠くへ移動可能である。
【0018】
図2は本発明の第2実施例を示す。この第2実施例が図1の第1実施例と相違するのは、弾性突起40が第1横棒部材20の下端から起立するのではなく、第1横棒部材の下端から第2横棒部材30に向かって少し離れたボデーの相対向した側部12,14の下端間に渡設された支持横棒部材40´から起立することである。それ以外の構成は前述した第1実施例と同じで、弾性突起40は第2横棒部材に向かって付勢されている。
【0019】
又、図3は本発明の第3実施例を示す。この第3実施例の弾性突起40は第2実施例と同様に第1横棒部材20から起立するのではなく、ボデーの相対向した側部12,14の下端間に渡設された支持横棒40´から起立しているが、支持横棒部材40´は第1横棒部材20の下端から大きく離れ、第2横棒部材30は第1横棒部材20と弾性突起40との間に配置されている。このため弾性突起40の顎46と、第2横棒部材30の棚36は、図1,図2の第1実施例、第2実施例とは正反対の向きで対向する。勿論、弾性突起40は第2横棒部材30に向かって付勢され、ウェブを調節するため付勢に抗して弾性突起40を撓める方向Fは第1,第2実施例とは逆になる。
従って、この実施例ではウェブの端部は弾性突起40と第2横棒部材30の間を上に通し、第2横棒部材の上で下向きに折返して第1横棒部材20と、ウェブWとの間の接触面22に沿って矢印Pの方向へ延びる。
【0020】
こゝに開示された実施例では、装置はウェブWに加えられる張力が僅かなときでも、無張力のときでも少なくとも一方向におけるウェブの滑りを防止するようにウェブ上の全体の摩擦を増大して係合する。弾性突起は、付勢に抗して第2横棒部材から遠くへ動かされるとき、ウェブ上の摩擦を低減し、ウェブを調節するのに必要な解放角度を小さくすることによってウェブの調節を容易にする。
【0021】
図1,図2,図3の各実施例は、ボデーの相対向した側部12,14を相互に結合する第3横棒部材50と、第4横棒部材52とを有する一体のバックルである。各第3横棒部材50のまわりに巻付けられ、縫付け、その他の周知の手段によって第3横棒部材へ固定されるウェブの端部は、弾性突起40によって保持されるウェブの一部であってもよいし、一部でない別のウェブでもよい。また、バックルの不時の引掛りを防止する低い輪郭と、快適さとを与えるような輪郭付きの上側面16をバックルが有してもよいことを示す。更に、相対向した両側部12,14は、バックルの機能的な輪郭を一層向上するために、ウェブが上側16よりも上に、下側18よりも下に突出すのを防止するような寸法にしてもよい。
【0022】
図4は雄端部58と、雌端部56とが結合、分離可能な雄、雌の二部材からなる公知のバックルに本発明を実施した実施例である。各部材の噛合い端部56,58は相対向した側部13,15を有している。図4では図1,図2,図3と同様に、雄部材の相対向した側部13,15の間に弾性突起40、第1横棒部材20、第2横棒部材30を設け、雌部材の相対向した側部13,15の間に第3横棒部材50と、第4横棒部材52を設けてある。しかし、これに限定されず弾性突起40、第1横棒部材20、第2横棒部材30は雄部材の相対向した側部の間と、雌部材の相対向した側部の間の両方に設けてもよい。本発明の実施例は、成形、鋳造及び当該技術で周知のその他の手段によって形成されるプラスチック、金属またはその他の材料から成ってもよい。1つ物のバックルの実施例は、好ましくは単体のプラスチックで形成され、二部品バックルの実施例は、好ましくは2つの別個の単体プラスチックで形成される。
【0023】
本発明の前述の説明により、本発明の最良の様式であるように現在見做されるものを製造して使用することは当該技術の任意の熟達者にとって可能であるが、こゝに開示された特定の好例の実施例の精神および範囲内で変更、組合せ、変形および同等のものが存在することは、当該技術の熟達者によって認められかつ理解される。従って、本発明は、こゝに開示された特定の好例の実施例に限らず、特許請求の範囲に記載された技術思想に則った総ての実施例を含むものであることに留意されたい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明のバックルの場合別体の横棒部材や別個のバネを持たないので組立てる必要がない。ウェブをセットした際、ボデーと一体の弾性突起によりウェブを付勢し、ウェブに張力がかかっていなくてもウェブが抜けないように滑りを防止し得る。
また、従来よりも小さい解放角度でウェブを調節できるので、狭い場所でも使えるし、調節による不快感もない。
さらに、製造コストは安くプラスチック製のため腐蝕性環境でも使える。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aはこの発明のウェブの調節および保持装置(バックル)の単体型の第1実施例の平面図、Bは図1AのB−B線での断面図、Cはウェブを調節するため弾性突起を付勢に抗して撓めた状態の断面図である。
【図2】Aはこの発明のウェブの調節および保持装置(バックル)の単体型の第2実施例の平面図、Bは図2AのB−B線での断面図である。
【図3】この発明のウェブの調節および保持装置(バックル)の単体型の第3実施例の図2AのB−B線と同様な線での断面図である。
【図4】この発明のウェブ調節および保持装置(バックル)の雌、雄二体型の一実施例の平面図である。
【図5】Aは従来の単体型のバックルの平面図、Bは図5AのB−B線での断面図、Cはバックルをウェブの解放角度にした状態の断面図である。
【符号の説明】
10 保持調節装置(バックル)
12 バックルの側部
14 バックルの側部
16 バックルの上側
18 バックルの下側
20 第1横棒部材
22 第1横棒部材のウェブとの接触面
30 第2横棒部材
32 第2横棒部材の前側部分
36 第2横棒部材の棚(上側面)
37 第2横棒部材の上側前面
38 第2横棒部材の下側前面
39 第2横棒部材のエッジ
40 弾性突起
42 弾性突起の前側部分
46 弾性突起の顎(下側面)
47 弾性突起の下側前面
48 弾性突起の上側前面
49 弾性突起のエッジ
50 第3横棒部材
56 雌部材
58 雄部材
W ウェブ
Claims (12)
- 一端に保持用のウェブが係着され、他端に長さ調整用のウェブが係止されるウェブの保持および調節装置において、それぞれ平行に配設された第1横棒部材、第2横棒部材、第3横棒部材、第4横棒部材を有するボデーを備え、
前記ボデーが、上側と、下側とを有し、前記第1横棒部材の下側部分が長さ調整用のウェブとの接触面を形成し、更に、長さ調整用のウェブの巻回される第2横棒部材と、前記第1横棒部材または支持横棒部材から一体的に起立するとともに前記第2横棒部材の方に向って付勢された弾性突起とを備え、
前記第3横棒部材、第4横棒部材によって保持用のウェブを係着すると共に、前記弾性突起が、前記弾性突起の少なくとも一部分が、前記第2横棒部材に巻回された長さ調整用のウェブの摩擦を増大して少なくとも一方向にウェブが滑るのを防止するように、該弾性突起と該第2横棒部材との間の長さ調整用のウェブの一部分に係合可能であり、前記弾性突起が、付勢力に抗して該第2横棒部材から離隔する方向へ可撓となって、該ウェブを調節するのに必要である前記第2横棒部材と前記弾性突起との間の摩擦の低減と、ウェブの解放角度を小さくして長さ調整用のウェブの調節を容易としたことを特徴とするウェブの保持および調節装置。 - 請求項1に記載の装置において、前記弾性突起が、前記第2横棒部材に向って設置されるとき、第1方向での前記ウェブの滑りを防止するが第2方向での該ウェブの調節を可能にするように、該第2横棒部材の前側部分に面する前側部分を有し、該弾性突起が、該第1,第2の方向におけるウェブの調節を容易にするように、該第2横棒部材から遠くへ可撓である装置。
- 請求項2に記載の装置において、前記弾性突起の前側部分が、下側面を持つ顎と、該顎から前記ボデーの下側へ向って延びる下側前面と、該顎からボデーの上側へ向かって延びる上側前面とを有し、前記ウェブが、該弾性突起の前側部分に係合可能であって、該弾性突起と前記第2横棒部材との間で少なくとも一方向において該ウェブ上の摩擦を増大してウェブの滑りを防止するように、該第2横棒部材の前側部分に向って少なくとも付勢されている装置。
- 請求項3に記載の装置において、前記第2横棒部材の前側部分が、前記弾性突起の前側部分に少なくとも部分的に相補状であるように、上側面を持つ棚と、該棚から前記ボデーの上側へ向って延びる上側前面と、該棚から該ボデーの下側へ向って延びる下側前面とを有する装置。
- 請求項4に記載の装置において、前記ボデーが、バックルを形成するように該ボデーの相対向した両側部を相互に結合する第3横棒部材を有し、前記第2横棒部材が、前記第1横棒部材と該第3横棒部材との中間にあり、ウェブが、該第3横棒部材のまわりに配置可能である装置。
- 請求項5に記載の装置において、前記装置が、単体のプラスチックで形成されている装置。
- 請求項1に記載の装置において、前記装置が、単体の部材で形成されている装置。
- 請求項1に記載の装置において、前記ボデーが、噛合う雄および雌の部材を有するバックル装置の一部である装置。
- 一端に保持用のウェブが係着され、他端に長さ調整用のウェブが係止されるウェブの保持および調節装置であり、それぞれ平行に配設された第1横棒部材、第2横棒部材、第3横棒部材、第4横棒部材を有するボデーを備え、
前記ボデーが、上側と、下側とを有し、前記第1横棒部材の下側部分が長さ調整用のウェブとの接触面を形成し、更に、長さ調整用のウェブの巻回される第2横棒部材と、前記第1横棒部材または支持横棒部材から一体的に起立するとともに前記第2横棒部材の方に向って付勢された弾性突起とを備えた請求項1に記載された装置において、
前記第3横棒部材、第4横棒部材によって保持用のウェブを係着すると共に、前記弾性突起が、前記弾性突起の少なくとも一部分が、前記第2横棒部材に巻回された長さ調整用のウェブの摩擦を増大して少なくとも一方向にウェブが滑るのを防止するように、該弾性突起と該第2横棒部材との間の長さ調整用のウェブの一部分に係合可能であり、前記弾性突起が、付勢力に抗して該第2横棒部材から離隔する方向へ可撓となって、該ウェブを調節するのに必要である前記第2横棒部材と前記弾性突起との間の摩擦の低減と、ウェブの解放角度を小さくして長さ調整用のウェブの調節を容易としたウェブの保持および調節方法。 - 請求項9に記載の方法において、第1方向における前記ウェブの滑りを防止するが第2方向におけるウェブの調節を可能にするように、前記第2横棒部材に向って面する前記弾性突起の前側部分に該ウェブの一部を係合し、該第1、第2の方向における該ウェブの調節を容易にするように該第2横棒部材から遠くへ該弾性突起を撓める手順を備えたことを特徴とするウェブの保持および調節方法。
- 請求項10に記載の方法において、前記弾性突起の前側部分による前記ウェブの係合の手順が、該弾性突起の前側部分のエッジと第2横棒部材との間で該ウェブに係合して、前記第2横棒部材に向ってウェブを付勢する手順を含むことを特徴とするウェブの保持および調節方法。
- 請求項11に記載の方法において、前記ウェブの調節を容易にするために前記第2横棒部材から遠くへ前記弾性突起を撓める手順が、前記エッジをウェブから部分的に解放する手順を含むことを特徴とするウェブの保持および調節方法。
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