JP4211436B2 - 垂直磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関し、より詳細には、低ノイズ・高記録密度の垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録の高密度化を実現するための技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、記録磁化が媒体面内方向に垂直な垂直磁気記録方式が注目されている。垂直磁気記録媒体は、主として、硬質磁性材料の磁気記録層と、磁気記録層を構成する結晶粒の結晶軸を目的の方向に配向させるための下地層と、磁気記録層の表面を保護するための保護膜と、磁気へッドから発生する磁束を集中させた状態で磁気記録層への書込みを行わせるための軟磁性材料の裏打ち層とで構成される。なお、軟磁性裏打ち層を設けることで媒体性能は高まるが、この層は磁気記録に必須の層ではないため、軟磁性裏打ち層を設けずに垂直磁気記録媒体を構成することも可能である。軟磁性裏打ち層を設けない構成としたものは「単層垂直磁気記録媒体」と呼ばれ、軟磁性裏打ち層を設けた構成の「二層垂直磁気記録媒体」とは区別されている。
【0003】
垂直磁気記録媒体においても、長手磁気記録媒体と同様に、高記録密度化のためには高い熱安定性と低ノイズ化の両立を図ることが必要である。長手磁気記録媒体の磁気記録層の材料として実用化されているものはCoCrからなる合金(以下「CoCr」と略す)であり、このCoCr磁気記録層を成膜するに際しては、基板温度を300℃程度として成膜することで磁気記録層内での結晶粒界に非磁性のCrを偏析させて孤立化した磁性粒子を得ている。この他の長手磁気記録層材料として、粒界相に酸化物や窒化物などの非磁性非金属の物質を用いた「グラニュラー磁気記録層」と呼ばれる材料も提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、垂直磁気記録媒体の磁気記録層としては、CoCrPtB−O(特許文献2)やCoPt−CoX:X=O,N,C(特許文献3)等が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5,679,473号明細書
【0005】
【特許文献2】
特開平3−058316号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平7−235034号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、CoCrPtB−Oを用いて垂直磁気記録媒体の磁気記録層を構成した場合には、B添加により垂直磁気異方性が低下するため熱安定性が不安定となるという問題があり、CoPt−CoXを用いた磁気記録層では、良好な磁気特性を得るために数時間の熱処理が必要とされて生産性が低下するという問題がある。
【0008】
また、本発明者らの技術的検討によれば、垂直磁気記録媒体にグラニュラー磁気記録層を採用し、かつ、その磁気記録層の結晶配向を制御するための「配向制御層」の構成を工夫したり磁気記録層の成膜前にガス暴露を行うなどの手法により、従来のCoCr磁気記録層に比較して偏析構造に優れ低ノイズでかつ垂直磁気異方性が大きな垂直磁気記録媒体が得られること、および、この垂直磁気記録媒体は長時間の熱処理が不要で生産性にも優れていることが確認されている。
【0009】
しかしながら、上述のようなグラニュラー磁気記録層を単純に成膜しただけでは、本来は磁気記録層の粒界に偏析して非磁性非金属(酸化物あるいは窒化物)の粒界相となるべき金属元素が単体の状態で結晶粒内に留まり易いという問題がある。すなわち、5nm程度以下の下地層との界面付近(初期層領域)では、ガス暴露により非磁性非金属が形成され易い状態にすることは可能であるものの、それ以上の層厚となると、金属元素が単体の状態で結晶粒内に留まり易くなり偏析構造が形成されにくくなる。偏析構造の形成が不十分となると、磁気特性の劣化を招くことは勿論、結晶粒間での磁気的相互作用が増加するために低ノイズ化が妨げられて高記録密度化の障害となる。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、低ノイズかつ高記録密度の垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、垂直磁気記録媒体の製造方法であって、六方最密充填構造をとるRu金属あるいはRu金属の合金からなる下地層成膜後に当該下地層の表面を少なくとも酸素ガスにガス暴露するステップと、前記ガス暴露された下地層表面上に、希ガスに酸素ガスを添加した混合ガス雰囲気中でグラニュラー磁気記録層を成膜するステップとを備え、前記混合ガスの酸素分圧比O/(希ガス+O)が0.05〜2.00体積%であることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法によって製造された垂直磁気記録媒体であって、前記グラニュラー磁気記録層が、CoPt合金またはFePt合金もしくはCr、Ni、Nb、Ta、Bのうちの少なくとも1種の元素を添加したCoPt合金またはFePt合金からなる強磁性結晶粒と、Cr、Co、Si、Al、Ti、Ta、Hf、Zr、Y、Ceのうちの少なくとも1種の酸化物からなる非磁性粒界とからなることを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の垂直磁気記録媒体において、前記Ru金属の合金は、RuW、RuCu、RuC、RuB、RuCoCrの何れかの合金であることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項2または3に記載の垂直磁気記録媒体において、前記下地層の直下に、NiFe、NiFeNb、NiFeB、NiFeCr、NiFeSi、NiFeAlのうちの何れかのNi基合金からなるシード層を備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の垂直磁気記録媒体において、前記シード層と非磁性基体との間に軟磁性裏打ち層を備え、当該軟磁性裏打ち層は、結晶のNiFe合金またはセンダスト(FeSiAl)合金、微結晶のFeTaCまたはCoTaZr、非晶質のCoZrNb、のうちの何れかの材料で構成されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を説明するための断面図で、この垂直磁気記録媒体は、非磁性基体11上に、少なくとも、下地層12と、磁気記録層13と、保護膜14とが順次積層されており、保護層14の上には、液体潤滑剤層15が設けられている。なお、下地層12の結晶配向性を向上させる目的で下地層12の直下にシード層16を設けたり、二層垂直磁気記録媒体とする場合には、非磁性基体11の上方に軟磁性裏打ち層17を設けるようにしてもよい。
【0021】
非磁性基体11としては、通常の磁気記録媒体用基板として用いられる、NiPメッキを施したAl合金や強化ガラスあるいは結晶化ガラス等の基板を用いることができる。また、基板の加熱温度が100℃程度である場合には、ポリカーボネイトやポリオレフィン等の樹脂からなるプラスチック基板を用いることも可能である。
【0022】
下地層12としては、例えば、六方最密充填構造をとる金属あるいはその合金材料か、若しくは、面心立方格子構造をとる金属あるいはその合金材料が好ましく用いられる。上述の六方最密充填構造をとる金属としては、例えばTi、Zr、Ru、Zn、Tc、Reなどがあり、面心立方格子構造をとる金属としては、Cu、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Ni、Co等がある。これらの金属のうち、RuまたはRuを含む合金(例えば、RuW、RuCu、RuC、RuB、RuCoCr)は、後述する暴露ガスである酸素ガスあるいは窒素ガスとの反応性が小さいため、特性向上のために好ましい効果が得られる。下地層12の膜厚は薄い方が好ましいが、十分な結晶成長が得られる膜厚である3nm以上とすることが好ましい。
【0023】
磁気記録層13には、強磁性を示す結晶粒とその結晶粒を取り巻く非磁性の粒界をもつ構造を有し、その非磁性粒界が非磁性非金属で構成されているグラニュラー磁気記録層を用いる。強磁性を示す結晶としては、例えば、CoPtやFePt合金、及びそれらにCr、Ni、Nb、Ta、B等の元素を添加した合金が好ましく用いられる。また、非磁性粒界の非磁性非金属としては、酸化物若しくは窒化物が好ましく用いられ、具体的には、Cr、Co、Si、Al、Ti、Ta、Hf、Zr、Y、Ceの酸化物若しくは窒化物が好ましく用いられる。なお、垂直磁気記録媒体の磁気記録層であるから、強磁性の結晶粒は膜面に対して垂直異方性をもつように成膜される。
【0024】
本発明においては、この磁気記録層13の形成に先立って、予め、下地層12の表面を、OあるいはN雰囲気、若しくは、希ガスにOあるいはNを添加した混合ガス雰囲気に暴露する。この「ガス暴露」により、OあるいはNを非磁性非金属形成のための核として付帯させることができる。そして、この核付帯後に磁気記録層13を形成することにより、下地層との界面から強磁性の結晶粒と非磁性非金属の粒界とが形成されるようになり、良好な偏析構造をもつ磁気記録層13を得ることができるようになる。
【0025】
また、本発明の垂直磁気記録媒体が備えるグラニュラーの磁気記録層13は、希ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中で形成される。希ガスに酸素ガスを添加することにより、添加された酸素ガスが、酸化物(あるいは窒化物)とならずに結晶粒内に存在していた金属元素と反応し、酸化物となって粒界に偏析することとなる。これにより、偏析構造の形成が促進され、その結果、磁気特性が向上するとともに低ノイズ化を図ることが可能となる。
【0026】
ここで、混合ガス中の酸素ガスの濃度が高すぎる場合には、粒内の強磁性材料までが酸化されて磁気特性が劣化することが生じ得る。好ましい酸素ガスの濃度範囲は磁気記録層形成前のガス暴露の有無により異なり、ガス暴露を行わない場合の分圧比(O/(希ガス+O))は0.25〜4.00体積%、ガス暴露を行う場合の分圧比(O/(希ガス+O))は0.05〜2.00体積%である。
【0027】
保護膜14には、例えばカーボンを主体とする薄膜が用いられ、液体潤滑剤層15には、例えばパーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を用いることができる。
【0028】
シード層16は、下地層12の結晶配向性を向上させるために設けられる層で、非磁性であってもよいが、二層垂直磁気記録媒体とする場合は、軟磁性裏打ち層17の一部としての働きをも担い得るように、軟磁気特性を示す材料を用いることが好ましい。このような軟磁気特性を示すシード層16の例としては、NiFe、NiFeNb、NiFeB、NiFeCr、NiFeSi、NiFeAlなどのNi基合金がある。
【0029】
軟磁性裏打ち層17は、二層垂直磁気記録媒体とする場合に設けられる層で、磁気へッドが発生する磁束を集中させる役割を担う層である。このような軟磁性裏打ち層17としては、例えば、結晶のNiFe合金やセンダスト(FeSiAl)合金など、微結晶のFeTaCやCoTaZr、非晶質のCo合金であるCoZrNbなどがある。また、軟磁性裏打ち層17の最適な膜厚は記録に使用する磁気へッドの構造や特性に依存するが、生産性との兼合いからは、概ね10nm〜500nm程度とすることが好ましい。
【0030】
【実施例】
以下に、参考例としての実施例1及び実施例3を含む実施例により、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
非磁性基体として表面が平滑な化学強化ガラス基板を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入し、Co5Zr9Nbターゲットを用いてArガス圧5mTorr下でCoZrNbの軟磁性裏打ち層を200nm形成した後、軟磁性のNi基合金であるNi12Fe7Nbターゲットを用い、Arガス圧20mTorr下でNiFeNbのシード層を15nm成膜した。さらに、Ruターゲットを用い、Arガス圧30mTorr下でRuの下地層を15nm成膜した。
【0031】
磁気記録層には、92(Co11Cr17Pt)−8SiOターゲットを用いてCoCrPt−SiO層をガス圧30mTorrで12nm成膜した。この時、ArガスにOを添加した混合ガスを用い、添加するO濃度を0.05〜10%まで変化させた。また、比較のため、O添加を行わず、純Arガス雰囲気中で磁気記録層を成膜した媒体も作製した。
【0032】
最後に、カーボンターゲットを用いてカーボンからなる保護膜を7nm成膜後、真空装置から取り出し、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑剤層2nmをディップ法により形成して、二層垂直磁気記録媒体とした。
【0033】
なお、磁気記録層の成膜はRFマグネトロンスパッタリング法で実行し、それ以外の各層は全てDCマグネトロンスパッタリング法で成膜した。
【0034】
(実施例2)
Ruの下地層を形成した後、磁気記録層の形成前に、Arガスに2%のOガスを添加した混合ガス雰囲気中(圧力5mTorr、流量60sccm)で10秒間暴露(ガス暴露)した後にCoCrPt−SiOの磁気記録層を成膜したこと以外は全て実施例1と同様の条件で二層垂直磁気記録媒体を作製した。また、比較のため、O添加を行わず、純Arガスを用いて磁気記録層を成膜した媒体も作製した。
【0035】
図2は実施例1および実施例2の二層垂直磁気記録媒体の保磁力Hcの添加酸素濃度依存性を説明するための図であり、図3は実施例1および実施例2の二層垂直磁気記録媒体の角型比Sの添加酸素濃度依存性を説明するための図である。なお、これらのHcおよびSは、Kerr効果測定のヒステリシスループを基に求めている。
【0036】
Hcについては、実施例1及び実施例2の二層垂直磁気記録媒体とも同様の傾向が認められ、添加酸素濃度の増加に伴い大きくなり、実施例1では2.5%付近、実施例2では0.5%付近でピークをとり、その後減少していく。また、Sについても、実施例1及び実施例2の二層垂直磁気記録媒体とも同様の傾向が認められ、Hcがピークをとる酸素濃度まではS=1を保つものの、それ以降は小さくなっていく。Hcが増加傾向にあり、1に近いSを維持している酸素濃度範囲では、酸素は粒界相となるSiと優先的に反応し偏析が促進されているものと考えられる。
【0037】
この酸素濃度の適正範囲は、磁気記録層成膜前のガス暴露の有無(すなわち、実施例1と実施例2)により異なり、ガス暴露を行わない場合(実施例1)は0.25〜4.00%、行った場合(実施例2)は0.05〜2.00%と結論される。添加酸素濃度がこの範囲を超えて大きくなると、HcとSが共に小さくなるのは、酸素が供給過剰となり、粒内のCoとも反応して垂直異方性が小さくなってしまうためと考えられる。
【0038】
実施例1と実施例2とを比較すると、Hcのピーク値はガス暴露を行った実施例2の方が大きい。従って、単に酸素添加成膜を行っただけの実施例1では、磁気記録層において、特に下地層との界面付近での偏析が十分とはいえず、実施例2のように磁気記録層成膜前のガス暴露を併用することにより、膜厚方向全域に渡り良好な偏析構造が形成されるものと考えられる。
【0039】
(実施例3)
実施例1のうち、Hcの最も大きな二層垂直磁気記録媒体、すなわち、混合ガス中の酸素添加濃度2.5%の場合の媒体を、改めて実施例3とする。
【0040】
(実施例4)
実施例2のうち、Hcの最も大きな二層垂直磁気記録媒体、すなわち、混合ガス中の酸素添加濃度0.5%の場合の媒体を、改めて実施例4とする。
【0041】
(比較例1)
本発明の比較例として、実施例1の二層垂直磁気記録媒体のうちの、酸素添加を行わずに磁気記録層を成膜した媒体を、改めて比較例1とする。
【0042】
(比較例2)
本発明の比較例として、実施例2の二層垂直磁気記録媒体のうちの、酸素添加を行わずに磁気記録層を成膜した媒体を、改めて比較例2とする。
【0043】
表1は、各媒体の磁気記録層について、TEM(透過型電子顕微鏡:スポット径φ1.0nm)に付属するEDX(エネルギー分散型X線分析)による結晶粒内及び粒界の組成分析を実行した結果を纏めたものである。
【0044】
【表1】
Figure 0004211436
【0045】
この測定は点分析であり、各測定点毎に5回の測定を行い、これを4ヶ所(計20回の測定)実行してそれらの平均を求めた。
【0046】
ここで示した実施例3の媒体と比較例1の媒体とを比較すると、いずれの媒体においても結晶粒内よりも粒界の方にSiが多く検出されているが、実施例3の方が、結晶粒内では少なく粒界では多くSiが検出される傾向が顕著である。これは、酸素添加成膜によりSiOの粒界偏析が促進されるためである。同様に、実施例4と比較例2とを比較した場合にも、酸素添加成膜を行った場合の方が、粒内のSi濃度が減少し粒界のSi濃度が増えている。
【0047】
なお、これらの各試料についてTEMによる磁気記録層の平面観察を行った結果、各試料とも、平均結晶粒界幅1.9nm、粒界を除いた平均結晶粒径6.5nmで、ほとんど等しい平均結晶粒界幅と平均結晶粒径となっていることが確認された。
【0048】
表2は、実施例3と実施例4および比較例1と比較例2の、Hcおよび規格化ノイズならびにSNR(信号対雑音比)について纏めたものである。
【0049】
【表2】
Figure 0004211436
【0050】
ここで、電磁変換特性は、GMRへッドを用いてスピンスタンドテスターで測定している。なお、規格化ノイズ及びSNRは、線記録密度400kFCIでの値である。また、Hcは上述したKerr測定結果の値であり、表2には特に記載していないがSは全て1である。
【0051】
酸素添加成膜を行っていない比較例1に比較して、酸素添加成膜を行った実施例3では、Hcが増加すると共にノイズが低下しSNRが向上している。この結果は、上述のTEM/EDXの分析結果を支持するものであり、酸素添加成膜の効果で偏析が促進され、粒間相互作用が低減したことがわかる。
【0052】
一方、実施例3を、ガス暴露(酸素暴露)を行い酸素添加成膜を行わなかった比較例2と比較すると、若干ノイズが大きく、SNRにおいて劣っている。このことは、酸素暴露の方が酸素添加成膜より下地層との界面付近での偏析構造形成に寄与する程度が大きいことを示している。
【0053】
最後に、酸素暴露と酸素添加成膜とを併用した実施例4を比較例2とを比較すると、実施例4の方がHcは大きく、かつ、ノイズが低下しSNRも大きい。このことは、酸素添加により、下地層との界面付近のみならず上層部領域においても偏析構造が促進されていることを示している。
【0054】
このように、膜厚方向全域に渡って偏析が促進されている実施例4が、最も高Hcで低ノイズかつ高SNRとなっている。
【0055】
なお、これまで説明してきた例では、CoCrPt−SiOの磁性層成膜時に希ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いているが、グラニュラー磁性層を構成する強磁性を有する結晶が、例えばCoPtやFePt合金、及びそれらにCr、Ni、Nb、Ta、B等の元素を添加した合金である場合や、非磁性粒界の非磁性非金属が例えばCr、Co、Si、Al、Ti、Ta、Hf、Zr、Y、Ceの酸化物若しくは窒化物である場合も、同様な効果を得ることが可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、グラニュラー磁気記録層の形成に先立って、予め下地層の表面を「ガス暴露」して非磁性非金属形成のための核付帯を行い、かつ、磁気記録層を、希ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中で形成することとしたので、添加された酸素ガスが、酸化物あるいは窒化物とならずに結晶粒内に存在していた金属元素と反応し、酸化物となって粒界に偏析することとなり、低ノイズかつ高記録密度の垂直磁気記録媒体およびその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直磁気記録媒体の構成例を説明するための断面図である。
【図2】実施例1および実施例2の二層垂直磁気記録媒体の保磁力Hcの添加酸素濃度依存性を説明するための図である。
【図3】実施例1および実施例2の二層垂直磁気記録媒体の角型比Sの添加酸素濃度依存性を説明するための図である。
【符号の説明】
11 非磁性基体
12 下地層
13 磁気記録層
14 保護膜
15 液体潤滑剤層
16 シード層
17 軟磁性裏打ち層

Claims (5)

  1. 六方最密充填構造をとるRu金属あるいはRu金属の合金からなる下地層成膜後に当該下地層の表面を少なくとも酸素ガスにガス暴露するステップと、
    前記ガス暴露された下地層表面上に、希ガスに酸素ガスを添加した混合ガス雰囲気中でグラニュラー磁気記録層を成膜するステップとを備え、
    前記混合ガスの酸素分圧比O/(希ガス+O)が0.05〜2.00体積%であることを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法によって製造された垂直磁気記録媒体であって、
    前記グラニュラー磁気記録層が、CoPt合金またはFePt合金もしくはCr、Ni、Nb、Ta、Bのうちの少なくとも1種の元素を添加したCoPt合金またはFePt合金からなる強磁性結晶粒と、Cr、Co、Si、Al、Ti、Ta、Hf、Zr、Y、Ceのうちの少なくとも1種の酸化物からなる非磁性粒界とからなることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  3. 前記Ru金属の合金は、RuW、RuCu、RuC、RuB、RuCoCrの何れかの合金であることを特徴とする請求項に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記下地層の直下に、NiFe、NiFeNb、NiFeB、NiFeCr、NiFeSi、NiFeAlのうちの何れかのNi基合金からなるシード層を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記シード層と非磁性基体との間に軟磁性裏打ち層を備え、当該軟磁性裏打ち層は、結晶のNiFe合金またはセンダスト(FeSiAl)合金、微結晶のFeTaCまたはCoTaZr、非晶質のCoZrNb、のうちの何れかの材料で構成されていることを特徴とする請求項に記載の垂直磁気記録媒体。
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