JP4211263B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、それを用いた画像形成装置、携帯端末 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、それを用いた画像形成装置、携帯端末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の画像形成装置や画像形成装置の光源又はバックライト、若しくは光通信機器に使用される発光素子等に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子、それを用いた画像形成装置、携帯端末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス素子とは、固体蛍光性物質の電界発光を利用した発光デバイスであり、現在無機系材料を発光体として用いた無機エレクトロルミネッセンスが実用化され、液晶ディスプレイのバックライトやフラットディスプレイ等への応用展開が一部で図られている。しかし、無機エレクトロルミネッセンスは発光させるために必要な電圧が100V以上と高く、しかも青色発光が難しいため、RGBの三原色によるフルカラー化が困難である。また、無機エレクトロルミネッセンスは、発光体として用いる材料の屈折率が非常に大きいため、界面での全反射等の影響を強く受け、実際の発光に対する空気中への光の取り出し効率が10〜20%程度と低く高効率化が困難である。
【0003】
一方、有機材料を用いたエレクトロルミネッセンスに関する研究も古くから注目され、様々な検討が行われてきたが、発光効率が非常に悪いことから本格的な実用化研究へは進展しなかった。
【0004】
しかし、1987年にコダック社のC.W.Tangらにより、有機材料を正孔輸送層と発光層の2層に分けた機能分離型の積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子が提案され、10V以下の低電圧にもかかわらず1000cd/m2以上の高い発光輝度が得られることが明らかとなった〔C.W.Tang and S.A.Vanslyke:Appl.Phys.Lett、51(1987)913等参照〕。これ以降、有機エレクトロルミネッセンス素子が俄然注目され始め、現在も同様な機能分離型の積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子についての研究が盛んに行われており、特に有機エレクトロルミネッセンス素子の実用化のためには不可欠である高効率化・長寿命化についても十分検討がなされており、近年、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたディスプレイ等が製作されている。
【0005】
ここで、従来の一般的な有機エレクトロルミネッセンス素子の構成について図6を用いて説明する。
【0006】
図6は従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の要部断面図である。
【0007】
図6において、1はガラス基板1はガラス基板1上に形成された陽極、3は陽極2上に形成された正孔輸送層、4は正孔輸送層3上に形成された発光層、5は発光層4上に形成された陰極である。
【0008】
図6に示すように有機エレクトロルミネッセンス素子は、ガラス基板1上にスパッタリング法や抵抗加熱蒸着法等により形成されたITO等の透明な導電性膜からなる陽極2と、陽極2上に同じく抵抗加熱蒸着法等により形成されたN、N’−ジフェニル−N、N’−ビス(3−メチルフェニル)−1、1’−ジフェニル−4、4’−ジアミン(以下、TPDという)等からなる正孔輸送層3と、正孔輸送層3上に抵抗加熱蒸着法等により形成された8−Hydroxyquinoline Aluminum(以下、Alq3という)等からなる発光層4と、発光層4上に抵抗加熱蒸着法等により形成された100〜300nmの膜厚の金属膜からなる陰極5とを備えている。
【0009】
上記構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極2をプラス極として、また陰極5をマイナス極として直流電圧又は直流電流を印加すると、陽極2から正孔輸送層3を介して発光層4に正孔が注入され、陰極5から発光層4に電子が注入される。発光層4では正孔と電子の再結合が生じ、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際に発光現象が起こる。
【0010】
このような有機エレクトロルミネッセンス素子において、通常、発光層中の蛍光体から放射される光は、蛍光体を中心とした全方位に出射され、正孔輸送層、陽極、ガラス基板を経由して、あるいは、一旦光取り出し方向とは逆方向へ向かい、陰極で反射され、発光層、正孔輸送層、陽極、ガラス基板を経由して、空気中へ放射される。しかし、光が各媒質の境界面を通過する際、入射側の媒質の屈折率が出射側の屈折率より大きい場合には、屈折波の出射角が90となる角度、つまり臨界角よりも大きな角度で入射する光は全反射されるので、境界面を透過することができず、空気中へ取り出されない。
【0011】
ここで、異なる媒質の境界面における、光の屈折角と、媒質の屈折率の関係は、スネルの法則に従う。スネルの法則によると、屈折率n1の媒質から屈折率n2の媒質へ光が進行する場合、入射角θ1と屈折角θ2の間に、n1sinθ1=n2sinθ2なる関係が成り立つ。したがって、n1>n2が成り立つ場合、θ2=90°となる入射角θ1=sin−1(n2/n1)は、臨界角としてよく知られており、入射角がこれよりも大きな場合、光は媒質間の境界面において全反射されることとなる。
【0012】
したがって、等方的に光の放射される有機エレクトロルミネッセンス素子において、この臨界角よりも大きな角度で放射される光は、境界面における全反射を繰り返し、素子内部に閉じ込められ、空気中へ放射されなくなる。
【0013】
図7は従来の有機エレクトロルミネセンス素子の要部断面における代表的な光線経路を示す模式図である。
【0014】
図7において、1はガラス基板1は陽極、3は正孔輸送層、4は発光層、5は陰極である。図7に示すように、発光層4中から放射された光の光源8から放射された光が、陽極2とガラス基板1との界面(ITO/ガラス界面)、および、ガラス基板1と空気との界面(ガラス/空気界面)などの各境界面において、光が入射側の媒質の屈折率が出射側の屈折率より大きい場合には、屈折波の出射角が臨界角よりも大きな角度で入射ときのは、全反射されるので、境界面を透過することができず、空気中へ取り出されない。
【0015】
このことは、発光層中で放射される光が素子外部へ放射されず、有機エレクトロルミネッセンス素子として、見かけ上の効率低下の原因となる。一般に、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層で得られる放射光は、大部分が全反射によって素子内部に閉じ込められ、有効な放射光として利用されるのは、17%から20%程度であることが知られている〔Advanced Material6(1994)491等参照〕。
【0016】
そこで、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板に光の出射角度を変換する手段を設けることで、上述した問題点の解決を図ることが提案されている。
【0017】
従来の有機エレクトロルミネッセンス素子としては、特許2773720号公報には、「セグメントやドット表示等の光源に用いる有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子」が開示され、基板の光取り出し側にレンズ構造を形成することで光取り出し効率を向上させる有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。
【0018】
また、特許2991183号公報には、「発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子」が開示され、素子界面の全反射を抑制する位置に回折格子等を形成することで光取り出し効率を向上させた有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。
【0019】
また、特開平9−129375号公報には、「有機エレクトロルミネッセンス素子」が開示され、光取り出し側表面を乱反射面あるいは反射・屈折角に乱れを生じさせることで光取り出し効率を向上させた有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。
【0020】
また、特開平10−189251号公報には、「有機エレクトロルミネッセンス素子等を用いるディスプレイ装置」が開示され、透明基板内に光出射角度を変換する手段を形成することが記載されている。
【0021】
また、特開平10−308286号公報には、「民生用、工業用の表示機器、カラーディスプレイに好適に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子発光装置」が開示され、下部電極側面に光反射層を形成することで、光取り出し効率を向上させる有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の有機エレクトロルミネッセンス素子では、以下の課題を有していた。
【0023】
(1)ディスプレイなどの画像形成装置に用いる場合、メサ構造は基板面の素子側に逆V字形構造体があるため、メサ構造の効果を保持したまま電極を形成することは困難であるという課題を有していた。
【0024】
(2)アクティブマトリックス方式による画像形成装置に用いる場合、メサ構造の効果を保持したまま駆動回路を形成することは非常に困難であるという課題を有していた。
【0025】
(3)基板上にメサ構造を形成した場合、有機エレクトロルミネッセンス素子からの発光は、少なくともメサ構造および基板の両方を透過して空気中へ取り出されることになるため、基板を経由する分、光をロスすることとなり、発光効率が悪くなるという課題を有していた。
【0026】
(4)ディスプレイなどの画像形成装置として前記基板上にメサ構造を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる場合、任意の画素から放射された光が少なくともメサ構造及び基板の両方を透過して空気中へ取り出されるため、全反射する光は基板を経由して別の画素に到達し、その画素から空気中へ放射される、いわゆる迷光の原因となり、コントラストの低下等の不具合をもたらすという課題を有していた。
【0027】
(5)メサ構造と有機エレクトロルミネッセンス素子を別々に形成した場合、貼り合わせ時の位置合わせが困難であり、貼り合わせのズレによるモアレ等の視覚特性の劣化が生じるという課題を有していた。また、応力によるはがれ等の不具合も生じ易いという課題を有していた。
【0028】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、視認性に優れた高効率な発光性能を維持することができる有機エレクトロルミネッセンス素子の提供、視認性の優れた、高効率の発光性能を維持することができる画像形成装置の提供、重量が軽く、使用時間の長い携帯端末を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層から放射される光は基板と対向する面から取り出され、前記発光層よりも高さの高い逆V字形構造体が前記基板の素子形成面の少なくとも一部に形成されるとともに、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出し面は、透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平坦化され、前記逆V字形構造体は前記透明平坦化構造体よりも低屈折率の材料で形成されている構成よりなる。
【0030】
この構成により、視認性に優れた高効率な発光性能を維持することができる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
【0031】
また、本発明の画像形成装置は、基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層から放射される光は基板と対向する面から取り出され、前記基板の素子形成面の少なくとも一部に発光層よりも高い逆V字形構造体が形成されている有機エレクトロルミネッセンス素子の前記陽極及び前記陰極が、ストライプ状に個々電気的に分離されて構成され、複数の画素からなる画像表示配列を有し、前記逆V字形構造体の基板面内での方向と、ストライプ電極により形成される画素の方向とが同じである構成よりなる。
【0032】
この構成により、視認性の優れた、高効率の発光性能を維持することができる画像形成装置の提供を提供することができる。
【0033】
また、本発明の画像形成装置は、基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層から放射される光は基板と対向する面から取り出され、前記基板の素子形成面の少なくとも一部に発光層よりも高い逆V字形構造体が形成されている有機エレクトロルミネッセンス素子の前記陽極又は前記陰極が、個々電気的に画素毎に分離されて構成され、前記陽極又は前記陰極は、少なくとも1つ以上のスイッチング素子を介して走査されることで、画像表示配列を有し、前記逆V字形構造体の基板面内での方向と、画素の方向とが同じである構成よりなる。
【0034】
この構成により、視認性の優れた、高効率の発光性能を維持することができる画像形成装置の提供を提供することができる。
【0035】
また、本発明の携帯端末は、基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層から放射される光は基板と対向する面から取り出され、前記基板の素子形成面の少なくとも一部に発光層よりも高い逆V字形構造体が形成されている有機エレクトロルミネッセンス素子の前記陽極及び前記陰極が、ストライプ状に個々電気的に分離されて構成され、複数の画素からなる画像表示配列を有し、前記逆V字形構造体の基板面内での方向と、ストライプ電極により形成される画素の方向とが同じである画像形成装置、あるいは、個々電気的に画素毎に分離されて構成され、前記分離された電極は、少なくとも1つ以上のスイッチング素子を介して走査されることで、画像表示配列を有し、前記逆V字形構造体の基板面内での方向と、画素の方向とが同じである画像形成装置で構成された携帯端末であって、音声を音声信号に変換する音声信号変換手段と、電話番号等を入力する操作手段と、着信表示や電話番号等を表示する表示手段と、音声信号を送信信号に変換する通信手段と、受信信号を音声信号に変換する受信手段と、前記送信信号及び前記受信信号を送受信するアンテナと、各部を制御する制御手段を備えた構成よりなる。
【0036】
この構成により、重量が軽く、使用時間が長い携帯端末を提供することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
この目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層から放射される光は基板と対向する面から取り出され、前記発光層よりも高さの高い逆V字形構造体が前記基板の素子形成面の少なくとも一部に形成されるとともに、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出し面は、透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平坦化され、前記逆V字形構造体は前記透明平坦化構造体よりも低屈折率の材料で形成されている構成としたものである。
【0038】
この構成により、以下のような作用が得られる。
【0039】
(1)基板の素子形成面の少なくとも一部に発光層よりも高い逆V字形構造体が形成されているので、開口部から空気中へ放出された光が、逆V字形構造体に到達し、光の配向が変わることで、正面方向の輝度が向上し、実効的な素子効率が上がる。
【0040】
(2)素子を正面方向から見たときに、素子から直接放出される光と、逆V字形構造体で反射して放出される光の両方が見えるため、素子の見た目の発光面積が大きくなる。
【0041】
ここで、基板としては、光の取り出し面として用いないため、透明あるいは不透明、いずれの基板も用いることができ、有機エレクトロルミネッセンス素子を保持できる強度があればよい。
【0042】
基板の材料としては、透明または半透明のソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の、無機酸化物ガラス、無機フッ化物ガラス、等の無機ガラス、あるいは、透明または半透明のポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリフッ化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、非晶質ポリオレフィン、フッ素系樹脂等の高分子フィルム等、あるいは、透明または半透明のAs23、As4010、S40Ge10等のカルコゲノイドガラス、ZnO、Nb25、Ta25、SiO、Si34、HfO2、TiO2等の金属酸化物および窒化物等の材料、あるいは、不透明のシリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体材料、あるいは、顔料等を含んだ透明基板材料、表面に絶縁処理を施した金属材料等から適宜選択して用いることができ、複数の基板材料を積層した積層基板を用いることもできる。また、この基板表面、あるいは、基板内部には、有機エレクトロルミネッセンス素子を駆動するための抵抗・コンデンサ・インダクタ・ダイオード・トランジスタ等からなる回路を形成していてもよい。
【0043】
陽極とは、正孔を注入する電極であり、正孔を効率良く発光層或いは正孔輸送層に注入することが必要である。
【0044】
陽極としては、透明電極を用いることができる。透明電極の材料としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、あるいは、SnO:Sb(アンチモン)、ZnO:Al(アルミニウム)といった混合物からなる透明導電膜や、あるいは、透明度を損なわない程度の厚さのAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Ag(銀)といった金属薄膜や、これら金属の混合薄膜、積層薄膜といった金属薄膜や、あるいは、ポリピロール等の導電性高分子等を用いることができる。また、複数の前述透明電極材料を積層することで透明電極とすることもでき、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ法または電界重合法等の各種の重合法等により形成する。また、透明電極は、十分な導電性を持たせるため、または、基板表面の凹凸による不均一発光を防ぐために、1nm以上の厚さにすることが望ましい。また、十分な透明性を持たせるために500nm以下の厚さにすることが望ましい。
【0045】
更に、陽極としては、透明電極以外にも、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Sn(錫)、W(タングステン)、Au(金)等の仕事関数の大きな金属、あるいはその合金、酸化物等を用いることができ、これら陽極材料を用いた複数の材料による積層構造も用いることができる。ただし、陽極として透明電極を用いない場合、光の角度変換手段の効果を最大限に利用するためには、陽極は光を反射する材料で形成することが好ましい。なお、陽極として透明電極を用いない場合には、陰極が透明電極であればよい。
【0046】
また、陽極に非晶質炭素膜を設けてもよい。この場合には、共に正孔注入電極としての機能を有する。即ち、陽極から非晶質炭素膜を介して発光層或いは正孔輸送層に正孔が注入される。また、非晶質炭素膜は、陽極と発光層或いは正孔輸送層との間にスパッタ法により形成されてなる。スパッタリングによるカーボンターゲットとしては、等方性グラファイト、異方性グラファイト、ガラス状カーボン等があり、特に限定するものではないが、純度の高い等方性グラファイトが適している。非晶質炭素膜が優れている点を具体的に示すと、理研計器製の表面分析装置AC−1を使って、非晶質炭素膜の仕事関数を測定すると、非晶質炭素膜の仕事関数は、Wc=5.40eVである。ここで、一般に陽極としてよく用いられているITOの仕事関数は、WITO=5.05eVであるので、非晶質炭素膜を用いた方が発光層或いは正孔輸送層に効率よく正孔を注入できる。また、非晶質炭素膜をスパッタリング法にて形成する際、非晶質炭素膜の電気抵抗値を制御するために、窒素あるいは水素とアルゴンの混合ガス雰囲気下で反応性スパッタリングする。さらに、スパッタリング法などによる薄膜形成技術では、膜厚を5nm以下にすると膜が島状構造となり均質な膜が得られない。そのため、非晶質炭素膜の膜厚が5nm以下では、効率のよい発光が得られず、非晶質炭素膜の効果が期待できない。また、非晶質炭素膜の膜厚を200nm以上とすると、膜の色が黒味を帯び、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光が十分に透過しなくなる。
【0047】
ここで、発光層としては、可視領域で蛍光特性を有し、かつ成膜性のよい蛍光体からなるものが好ましく、Alq3やBe−ベンゾキノリノール(BeBq2)の他に、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−ベンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス〔5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル〕スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ベンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフィン、2,5−ビス(〔5−α,α−ジメチルベンジル〕−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス〔5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル〕−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサイゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−〔2−〔4−(5−メチル−2−ベンゾオキサイゾリル)フェニル〕ビニル〕ベンゾオキサイゾリル、2−〔2−(4−クロロフェニル)ビニル〕ナフト〔1,2−d〕オキサゾール等のベンゾオキサゾール系、2,2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系、2−〔2−〔4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル〕ビニル〕ベンゾイミダゾール、2−〔2−(4−カルボキシフェニル)ビニル〕ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系等の蛍光増白剤や、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノール)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、8−キノリノールリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノール)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシウム、ポリ〔亜鉛−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリノニル)メタン〕等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体やジリチウムエピンドリジオン等の金属キレート化オキシノイド化合物や、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)2−メチルベンゼン等のスチリルベンゼン系化合物や、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス〔2−(1−ナフチル)ビニル〕ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス〔2−(4−ビフェニル)ビニル〕ピラジン、2,5−ビス〔2−(1−ピレニル)ビニル〕ピラジン等のジスチルピラジン誘導体や、ナフタルイミド誘導体や、ペリレン誘導体や、オキサジアゾール誘導体や、アルダジン誘導体や、シクロペンタジエン誘導体や、スチリルアミン誘導体や、クマリン系誘導体や、芳香族ジメチリディン誘導体等が用いられる。さらに、アントラセン、サリチル酸塩、ピレン、コロネン等も用いられる。あるいは、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム等の燐光発光材料を用いてもよい。
【0048】
また、発光層のみの単層構造の他に、正孔輸送層と発光層又は発光層と電子輸送層の2層構造や、正孔輸送層と発光層と電子輸送層の3層構造のいずれの構造でもよい。但し、このような2層構造又は3層構造の場合には、正孔輸送層と陽極が、又は電子輸送層と陰極が接するように積層して形成される。
【0049】
ここで、陰極としては、電子を注入する電極であり、電子を効率良く発光層或いは電子輸送層に注入することが必要であり、仕事関数の小さいAl(アルミニウム)、In(インジウム)、Mg(マグネシウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)等の金属、あるいは、これらの金属の酸化物やフッ化物およびその合金、積層体等が一般に用いられる。光の角度変換手段の効果を最大限に利用するためには、陰極は光を反射する材料で形成することが好ましい。光の角度変換手段を形成した場合、すべての光に対して有効な角度変換を行うことは困難であり、そのため、一度の光の角度変換で取出されなかった光は、空気との界面で全反射され、再び素子内部へと伝播し陰極へと到達する。或いは、発光層において、光は等方的に放射されるため、発光層で放射される光のうち半分は、光取り出し面に到達する前に陰極へと到達する。このとき、陰極が光を反射する材料で形成されていた場合、この陰極へ到達した光は反射され、再び、光取出し面方向へと伝播することができ、有効な光として利用される可能性がある。この効果を有効にするためには、陰極は光を反射する材料で形成することが好ましく、更に、光の反射率が50%以上であることが好ましい。これは、光の角度変換による効率向上率が2倍程度であることから、光の反射率が50%以上、つまり陰極における光のロスが50%以下であれば有効な光取出しができる。従来の有機エレクトロルミネッセンス素子では、陰極の反射率は極めて高いことが要求されたが、光取り出し効率が向上することによって、陰極の材料、膜厚、形成方法等の選択性を拡大することもできる。なお、以上のことは、陰極を透明電極として用いた場合には、陽極に適用される。
【0050】
また、陰極としては、発光層或いは電子輸送層と接する界面に、仕事関数の小さい金属を用いた光透過性の高い超薄膜を形成し、その上部に透明電極を積層することで、透明陰極を形成することもできる。特に仕事関数の小さなMg、Mg−Ag合金、特開平5−121172号公報記載のAl−Li合金やSr−Mg合金あるいはAl−Sr合金、Al−Ba合金等あるいはLiO2/AlやLiF/Al等の積層構造は陰極材料として好適である。
【0051】
更に、これら陰極の成膜方法としては抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ法が用いられる。
【0052】
なお、陽極及び陰極は少なくとも一方が透明電極であればよい。更に、共に透明電極であってもよいが、光の取り出し効率を向上させるためには、一方が透明電極であれば、他方が光を反射する材料で形成することが好ましい。
【0053】
逆V字形構造体としては、反射型あるいは透過型の2つの構造のいずれを用いることができる。
【0054】
また、逆V字形構造体とは、その断面形状が、素子形成面に対して上に凸となるように配置された2つの面からなる構造体のことである。
【0055】
ここで、反射型の逆V字形構造体の材料としては、金属反射を利用した、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Au(金)、Pt(白金)、Cu(銅)、Li(リチウム)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Fe(鉄)、Ge(ゲルマニウム)、In(インジウム)、Mg(マグネシウム)、Ba(バリウム)、Ni(ニッケル)、Si(シリコン)、Sn(錫)、W(タングステン)、Zn(亜鉛)、Mo(モリブデン)、Ta(タンタル)等、1種類以上の金属または合金あるいはこれらの膜を積層してなる積層体といった金属反射を利用した金属反射材料、あるいは、少なくとも金属粉末等の導電性微粒子を樹脂に分散させてできる導電性樹脂の光反射を利用した樹脂等、あるいは、導電性樹脂に白色顔料などを分散させてできる白色樹脂の白色反射を利用した樹脂等などから、適宜選択して用いることができ、あるいは反射型逆V字形構造体は任意の材料の表面に反射型材料を形成できる。
【0056】
また、透過型の逆V字形構造体の材料としては、透明または半透明の基板の材料から適宜選択して用いることができ、あるいは、透明レジスト等の硬化型樹脂等も用いることができる。ただし、透過型構造体に用いる材料の屈折率は、透明平坦化材料の屈折率よりも小さい材料を選択しなければならない。
【0057】
正孔輸送層としては、正孔移動度が高く、透明で成膜性のよいものが好ましい。TPDの他に、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物や、1,1−ビス{4−(ジ−P−トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサン、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(P−トリル)−P−フェニレンジアミン、1−(N,N−ジ−P−トリルアミノ)ナフタレン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−2−2’−ジメチルトリフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−m−トリル−4,N,N−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−4,4’−ジアミン、4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾ−ル等の芳香族第三級アミンや、4−ジ−P−トリルアミノスチルベン、4−(ジ−P−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−P−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン等のスチルベン化合物や、トリアゾール誘導体や、オキサジザゾール誘導体や、イミダゾール誘導体や、ポリアリールアルカン誘導体や、ピラゾリン誘導体や、ピラゾロン誘導体や、フェニレンジアミン誘導体や、アニールアミン誘導体や、アミノ置換カルコン誘導体や、オキサゾール誘導体や、スチリルアントラセン誘導体や、フルオレノン誘導体や、ヒドラゾン誘導体や、シラザン誘導体や、ポリシラン系アニリン系共重合体や、高分子オリゴマーや、スチリルアミン化合物や、芳香族ジメチリディン系化合物や、ポリ3−メチルチオフェン等の有機材料が用いられる。また、ポリカーボネート等の高分子中に低分子の正孔輸送層用の有機材料を分散させた、高分子分散系の正孔輸送層も用いられる。
【0058】
また、電子輸送層としては、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体等が用いられる。
【0059】
ここで、本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する材料の透明または半透明とは、有機エレクトロルミネッセンス素子による発光の視認を妨げない程度の透明性を示すものである。
【0060】
さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出し面は、透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平坦化されている。
【0061】
この構成により以下の作用が得られる。
【0062】
(1)逆V字形構造体により形成される凹凸部を、透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平面とすることで、光の配向及び取り出し効率が向上する。
【0063】
(2)光の配向性がよくなり、正面方向の輝度が向上するので、実効的な素子効率は非常に上がる。
【0064】
(3)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0065】
(4)素子表面を平坦とすることで、素子の強度が向上し、ゴミが付着し難い等の効果がある。
【0066】
(5)平坦化構造が十分に薄いため、光のにじみ等が生じ難い。
【0067】
ここで、透明平坦化構造体は、逆V字形構造体により形成された凹凸構造を平坦化するもので、(6)逆V字形構造体は透明平坦化構造体よりも低屈折率な材料で形成されているので、メサ構造の側面で光は全反射され、光の取り出し効率および正面輝度が向上する。(7)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。(8)反射面のように、表面反射による反射でないため反射ロスが小さい。(9)屈折率を設計することにより、迷光の影響を低減することが可能である。(10)透明であるため、画素の周辺部だけでなく、画素内部にも形成することが可能である、という作用が得られる。
【0068】
また、透明平坦化構造体の材料としては、透明または半透明の基板の材料や透明レジスト材料、紫外線硬化型、熱硬化型等の光学接着剤、あるいは、それらを複合させた透明材料を用いることができる。
【0069】
ここで、異なる媒質の境界面における光の屈折角と媒質の屈折率の関係は、スネルの法則に従う。よって、等方的に光の放射される有機エレクトロルミネッセンス素子において、臨界角よりも大きな角度で放射される光は、境界面における全反射を繰り返し、素子内部に閉じ込められ、空気中へ放射されなくなる。したがって、界面における光の角度変換する手段を用いて光の角度を変化させることで、光取り出し面/空気界面に到達する光の角度を変え、空気中へ放射される光の角度・量を変化させることは、有機エレクトロルミネッセンス素子の効率の向上において重要な課題である。この光の角度変換手段については、基板上におけるレンズ構造・メサ構造・プリズム構造等の構造が提案されているが、特にこれらの中でも、メサ型構造体は、光の取り出し効率向上に対する効果が大きいことと、正面方向の輝度向上に対する効果が大きいことなどの理由により、有効な光取り出し効率向上の手段である。しかしながら、基板上にこれらの構造を形成する場合、構造体に用いる材料・形成方法に対する制約、および、有機エレクトロルミネッセンス素子の形成方法に対する制約等が生じるため、形成が困難である。特にアクティブマトリックス方式による画像形成装置に用いる場合、メサ構造の効果を保持したまま駆動回路を形成することは非常に困難である。
【0070】
ここで、メサ構造とはピラミッドの上部を切り取ったような構造であり、四角錐台、円錐台とも表記できる。ここでは、四角錐台をメサと表現している。
【0071】
次に、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子は、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、透明平坦化構造体は、平均屈折率1.4〜2.5の透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平坦化されている構成としたものである。そこで、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成に基づき、透明平坦化構造体の屈折率を変えた場合についての光の取り出し効率に関する光学シミュレーションを行った。
【0072】
図2にこの光学シミュレーションの結果を示す。なお、図2は光学シミュレーションの結果を示すグラフであり、透明平坦化構造体の屈折率を変えた場合の光の取り出し効率を、メサ構造のない平板基板における光の取り出し効率に対する相対値で示してある。
【0073】
ここで、光学シミュレーションの条件について具体的に説明する。各層の屈折率は、発光層=1.7,ITO=2.0,基板=1.5、空気=1.0とし、また、各層の膜厚は、発光層=150nm,ITO=150nm、基板=1mm、逆V字形構造体=100μmであり、逆V字形構造体のテーパ角、すなわち、逆V字形構造体の頂角部分の角度を40°とした。なお、発光層からの光は、発光層と陰極との界面で全て反射されるものとし、発光層、ITOおよび基板における吸収のみを考慮した。即ち、陰極は反射率100%、発光層、ITO、基板、透明平坦化構造体の透過率は、それぞれ80%,97%,97%、97%である。ここで、透明平坦化構造体=1.3、1.5、1.7、1.9として、シミュレーションを行った。
【0074】
以上のような条件において、図2においては、透明平坦化構造体の屈折率を変化させたときの取り出し効率の値を計算したものであり、屈折率が大きくなるにつれて取り出し効率の値は大きくなり、屈折率の値が1.7付近において変曲点を持ち、取り出し効率の向上率が低下することがわかる。以上の計算結果より、光の取り出し効率は、透明平坦化構造体の屈折率が大きいと向上するため、透明平坦化構造体の屈折率は1.4〜2.5であることが好ましく、さらに好ましくは1.7〜1.9である。
【0075】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、逆V字形構造体は光を反射する構成としたものである。
【0076】
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下の作用が得られる。
【0077】
(1)逆V字形構造体はメサ型構造を形成し、光を反射する材料で形成されるので、光は効率よく反射され、光の取り出し効率および正面輝度が向上する。
【0078】
(2)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0079】
(3)透明の場合のように、屈折率を考慮しなくて良いため、材料選択の自由度が高く軽量化等に効果を上げ易い。
【0080】
ここで、光を反射する逆V字形構造体の材料としては、前述した反射型の逆V字形構造体の材料を用いることができる。また、任意の媒質で形成することが可能である。そのため、V字形構造体内部に配線や回路を配置することも可能である。
【0081】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記透明平坦化構造体は、前記逆V字形構造体に流動性をもつ材料が流し込まれて硬化させられた構成したものである。
【0082】
この構成により、請求項1乃至3の内いずれかの作用に加え、以下の作用が得られる。
【0083】
異なる媒質の境界面における光の屈折角と媒質の屈折率の関係は、スネルの法則に従う。よって、等方的に光の放射される有機エレクトロルミネッセンス素子において、臨界角よりも大きな角度で放射される光は、境界面における全反射を繰り返し、素子内部に閉じ込められ、空気中へ放射されなくなる。空気中へ放射される光の角度・量を変化させることは、有機エレクトロルミネッセンス素子の効率の向上において重要である。メサ型構造体は、光の取り出し効率向上に対する効果が大きいことと、正面方向の輝度向上に対する効果が大きいことなどの理由により、有効な光取り出し効率向上の手段であるが、基板上にこれらの構造を形成する場合、構造体に用いる材料・形成方法に対する制約、および、有機エレクトロルミネッセンス素子の形成方法に対する制約等が生じるため、形成が困難であった。特にアクティブマトリックス方式による画像形成装置に用いる場合、メサ構造の効果を保持したまま駆動回路を形成することは非常に困難であった。しかし、本発明の構成では、逆V字形構造体に流動性をもつ材料を流し込んで硬化するので、メサ構造と有機エレクトロルミネッセンス素子を別々に形成した場合、貼り合わせ時の位置合わせが困難であったり、貼り合わせのズレによるモアレ等の視覚特性の劣化が生じたりする、ということもない。
【0088】
請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、透明平坦化構造体は、有機エレクトロルミネッセンス素子表面に形成された保護膜上に形成されている構成としたものである。
【0089】
この構成により、請求項乃至4の内いずれか1の作用に加え、以下の作用が得られる。
【0090】
(1)保護膜を形成し、その上面に透明平坦化膜を形成するので、透明電極や下部有機層に熱や応力等のダメージを与えずに有機エレクトロルミネッセンスを製造することができる。
【0091】
(2)保護膜上に形成する形成方法や形成材料を自由に選択することができる。
【0092】
(3)保護膜が形成されているので、有機エレクトロルミネッセンス素子を外気から遮断でき、長時間安定性に優れる。
【0093】
ここで、保護膜の材料としては、SiON、SiO、SiN、SiO2、Al23、LiF等の無機酸化物、無機窒化物、無機フッ化物からなる薄膜、あるいは、無機酸化物、無機窒化物、無機フッ化物等、あるいは、それらの混合物等からなるガラス膜、あるいは、熱硬化性、光硬化性の樹脂や封止効果のあるシラン系の高分子材料等が挙げられ蒸着やスパッタリング等もしくは塗布法により形成される。
【0094】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、逆V字形構造体は、左右対称に形成されている構成としたものである。
【0095】
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1の作用に加え、以下の作用が得られる。
【0096】
(1)逆V字形構造体が、凹凸構造を左右対称な形状で形成されているので、光の配向を正面方向に強い指向性をもたせることができる。
【0097】
(2)光の指向性を制御することができ、素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0098】
(3)左右方向、上下方向に傾けた時の見え方が同じであるため、目が疲れる等の不具合がなく、視認性に優れる。
【0099】
(4)複雑な光学設計を必要とせず、また、構造体の作成も容易である。
【0100】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、逆V字形構造体は、左右非対称に形成されている構成としたものである。
【0101】
この構成により請求項1乃至5の内いずれか1の作用に加え、以下の作用が得られる。
【0102】
(1)逆V字形構造体が、凹凸構造を左右非対称な形状で形成されているので、光の配向方向を変化させることができ、凹凸構造を左右非対称かつランダムに配置することで光を等方的に放射させることができる。
【0103】
(2)外光に対する影響を低減でき、素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0104】
(3)エリアに合わせてV字形溝の傾きを設計することにより、実際の発光以上に明るく感じる等の特殊な視覚特性を持たせることが可能である。
【0105】
(4)多少ズレても良いので、作成が容易であり、歩留まりも高くなる。
【0106】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子であって、逆V字形構造体は、その断面形状がV字形の2つの直線状に形成されている構成としたものである。
【0107】
この構成により、請求項1乃至7の内いずれか1の作用に加え、以下の作用が得られる。
【0108】
(1)逆V字形構造体が直線状に形成されるので、構造の設計および形成がが容易にできる。
【0109】
(2)逆V字形構造体が直線的なメサ構造であるので、光の取り出し効率が向上する。
【0110】
(3)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0111】
ここで、逆V字形構造体の頂点部分が平面あるいは曲面等の面形状であっても、光取り出しに関する効果には影響が小さく、実用上問題はない。
【0118】
請求項に記載の画像形成装置は、請求項1乃至の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極及び陰極が、ストライプ状に個々電気的に分離されて構成され、複数の画素からなる画像表示配列を有し、逆V字形構造体の基板面内での方向と、ストライプ電極により形成される画素の方向とが同じであることを備えた構成としたものである。
【0119】
この構成により、以下の作用が得られる。
【0120】
(1)素子内部での光損失を減少させることができるため、高効率の発光性能を維持することができることができ、単純マトリックス方式での良好な照明を行うことができる。
【0121】
(2)マトリックス状の電極のすき間部分に逆V字形構造体を配置することができ、効果的に発光効率を向上させることが可能である。
【0122】
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子をディスプレイ等画像形成装置又はプリンタ光源等の照明装置として用いる場合、上記した光の配向についての設計が重要となる。例えば、携帯端末やキャッシュディスペンサーのディスプレイとして用いる場合、その表示状態は、使用者本人だけが認識できれば良く、周囲からの視認性は低いほうが好ましい、あるいは、プリンタ光源として用いる場合、開口部に対応する感光体の部分にのみ強い光を照射できることが求められるため、開口部から正面方向への輝度があればよく、周辺方向への光の放射が少ないことが好ましい。以上のような場合、開口部から放射される光は、概正面方向に強く周囲方向に弱く放射されることが好ましく、指向性の高い光取り出しがなされることが好ましい。
【0123】
請求項10に記載の画像形成装置は、請求項1乃至の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極又は陰極が、個々電気的に画素毎に分離されて構成され、陽極又は陰極は、少なくとも1つ以上のスイッチング素子を介して走査されることで、画像表示配列を有し、逆V字形構造体の基板面内での方向と、画素の方向とが同じであることを備えた構成としたものである。
【0124】
この構成により、以下の作用が得られる。
【0125】
(1)素子内部での光損失を減少させることができるため、高効率の発光性能を維持することができることができ、アクティブマトリックス方式での良好な照明を行うことができる。
【0126】
(2)各画素間のすき間や、スイッチング素子上部等の部分に逆V字形構造体を配置することができ、効果的に発光効率を向上させることが可能である。
【0127】
また、ディスプレイ等の画像形成装置にメサ構造を設ける場合、画素から放射される光を有効に利用することが重要であり、画素の方向と逆V字形構造体の方向は一致すると、画素内の発光部を減少させることなく逆V字形構造体を配置することができ、効率のよい光の角度変換効果をおこなうことができる。
【0128】
請求項11に記載の発明は、請求項又は10に記載の画像形成装置であって、逆V字形構造体の各方向のピッチは、各画素に対応する発光部の各方向のピッチと略等しく、逆V字形構造体の中心は、各画素の中心を結ぶ略中間点にある構成としたものである。
【0129】
この構成により、請求項又は10の作用に加え、以下の作用が得られる。
【0130】
(1)逆V字形構造体のピッチと画素のピッチを同じとすることで、発光部と逆V字形構造体の位置関係を同じにすることができ、どの画素においても同様な取り出し効率向上効果が得られ、良好な画像を得ることができる。
【0131】
(2)画素内における開口部を有効に配置することができ、素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0132】
請求項12に記載の発明は、請求項又は10に記載の画像形成装置であって、透明平坦化構造体の高さは、逆V字形構造体の高さと画素の平面方向の幅の和よりも低い構成としたものである。
【0133】
この構成により、請求項又は10の作用に加え、以下の作用が得られる。
【0134】
(1)透明平坦化構造体の高さを、逆V字形構造体の高さと画素の平面方向の幅の和以下とすると、迷光の影響を小さくできるので、コントラストの低下や光にじみ・ぼけ等の不具合が起こらない。
【0135】
(2)他の画素内へ進入する光を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0136】
ここで、ディスプレイなどの画像形成装置として基板上にメサ構造を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる場合、任意の画素から放射された光が基板を経由して別の画素に到達し、その画素から空気中へ放射される、いわゆる迷光の原因となり、コントラストの低下や光にじみ・ぼけ等の不具合をもたらすため、メサ構造から光取り出し面までの厚さは十分に薄いことが好ましい。特に逆V字形構造体を反射型とする場合は重要である。
【0137】
請求項13に記載の携帯端末は、表示手段が請求項乃至12の内いずれか1に記載の画像形成装置で構成された携帯端末であって、音声を音声信号に変換する音声信号変換手段と、電話番号等を入力する操作手段と、着信表示や電話番号等を表示する表示手段と、音声信号を送信信号に変換する通信手段と、受信信号を音声信号に変換する受信手段と、送信信号及び受信信号を送受信するアンテナと、各部を制御する制御手段を備えた構成としたものである。
【0138】
この構成により、以下の作用が得られる。
【0139】
(1)素子内部での光損失を減少させることができるため、高効率の発光性能を維持することができることができ、電池容量等の減量化による、軽量化あるいは長使用時間化を図ることができる。
【0140】
(2)視覚特性(光の配向)を適当に設計することで、周囲からは見にくいプライベートウインドウや、複数人でも見やすいウインドウ等として用途に応じて用いることができる。
【0141】
ここで、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、画像を表示する画像形成装置として用いることができ、これら画像形成装置は、携帯電話、PHS、PDA等の携帯情報端末のディスプレイ、テレビジョン、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション等のディスプレイ、ステレオ、ラジオ等のAV機器のディスプレイ等に用いることができる。
【0142】
更に、レーザプリンタ、スキャナ等の光源としての照明装置に用いることができる。或いは、室内灯、ライトスタンド等の照明器具のような単なる光源としての照明装置として用いることもできる。
【0143】
これらの中でも、有機エレクトロルミネッセンス素子の低消費電力、軽量薄型化が容易、応答速度が速い等の優位性を考慮すれば、様々な電子機器において画像を表示するディスプレイとしての画像形成装置や、レーザプリンタ、スキャナ等の光源としての照明装置に用いることが好ましい。
【0144】
以下に本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0145】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における有機エレクトロルミネッセンス素子について述べる。
【0146】
図1は、本発明の実施の形態1における有機エレクトロルミネッセンス素子の要部断面図である。
【0147】
図1において、1は基板1は基板1上に形成された陽極2、3は基板1上に形成された正孔輸送層、4は正孔輸送層3上に形成された発光層、5は発光層4上に形成された陰極、6は基板1上に形成された逆V字形構造体、7は陰極5上に形成された透明平坦化構造体である。
【0148】
実施の形態1における有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板1の素子側表面に光の取り出し効率向上の手段として逆V字形構造体6および透明平坦化構造体7からなるメサ構造を備えている。メサ構造により、発光層から放射される光の角度を、光取り出し面と空気との境界面において全反射を引き起こす臨界角よりも小さい角度に変換するようになっている。
【0149】
なお、本実施の形態のおいて、有機エレクトロルミネッセンス素子の構成材料及び形成方法はこれに限られるものではなく、上述した構成材料、形成方法や従来公知のものでもよい。
【0150】
更に、実施の形態1においては、正孔輸送層と発光層からなる二層構造の場合について説明したが、その構造については前述のように特にこれに限定されるものではない。
【0151】
また、実施の形態1においては、基板上面に陽極を形成する構造の場合について説明したが、その構造については前述のように特にこれに限定されるものではなく、基板上面に陰極を形成してもよい。
【0152】
また、封止の形態については、光取り出し面とガラスキャップとが密着しないようにして、ガラスキャップをUV硬化樹脂等で接着することで形成でき、あるいは、有機エレクトロルミネッセンス素子の表面に保護膜を形成して封止する等の適宜手段を採用することができる。他に保護膜とシールド材等との組み合わせであってもよい。また、保護膜を形成し、その上面に透明平坦化構造体を形成する構造であってもよい。
【0153】
以上のように、実施の形態1によれば、光を効率的に取り出すことができるため、高効率な発光性能を維持することができることができる。
【0154】
実施の形態1における有機エレクトロルミネッセンス素子は、照明装置や画像形成装置として用いることができる。
【0155】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置について述べる。
【0156】
図3は、本発明の実施の形態2における有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置の概略斜視図である。
【0157】
図3において、1は基板1は陽極、3は正孔輸送、4は発光層、5は陰極、6は逆V字形構造体、7は透明平坦化構造体である。
【0158】
実施の形態2においては、図3に示すように、陽極2は線状にパターニングされており、これに略直交する形で陰極5も同様に線状にパターニングされている。
【0159】
この画像形成装置の陽極2をプラス側、陰極5をマイナス側とし、図示しない駆動手段としての駆動回路(ドライバ)に接続し、選択した陽極2、陰極5に直流電圧または直流電流を印加すれば、直交する部分の発光層4が発光し、単純マトリックス方式の画像形成装置として使用することができる。
【0160】
実施の形態2においては、基板1の素子形成面に光の角度変換手段として逆V字形構造体6と透明平坦化構造体7からなるメサ構造を備えている。そのメサ構造が、発光層4から放射される光の角度を、高屈折率基板と空気との境界面において全反射を引き起こす臨界角よりも小さい角度に変換するようになっており、また、メサ構造は各画素毎に周期的に配置されている。
【0161】
なお、本実施の形態のおいて、有機エレクトロルミネッセンス素子の構成材料及び形成方法はこれに限られるものではなく、上述した構成材料、形成方法や従来公知のものでもよい。
【0162】
以上のように、実施の形態2の画像形成装置において、光を効率的に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上し、高効率な発光性能を維持することができる。また、光の配向が正面方向に強くなるため、光取り出し面における光透過性基板中における光伝播を抑制することができ、高効率な発光性能を維持することができることができるとともに、光にじみ等がなく、視認性がよくなる。
【0163】
また、実施の形態2においては、単純マトリックス方式の画像形成装置について説明したが、アクティブマトリックス方式の画像形成装置でもよく、基板の素子形成面のうち、例えば駆動に用いるTFT等の非発光部に逆V字形構造体6を配置することで、前記単純マトリックス方式と同様の高効率な発光性能を維持することができることができる。
【0164】
なお、実施の形態2の画像形成装置は、画像を表示する画像形成装置としてだけでなく、レーザプリンタ、スキャナ等の光源等の照明装置としても用いることができる。更に、陽極2及び陰極5を線状にパターニングさせずに、全面発光させて、単なる照明装置として用いてもよい。
【0165】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた携帯端末について述べる。
【0166】
図4は本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置を備えた携帯端末を示す斜視図であり、図5は本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置を備えた携帯端末を示すブロック図である。
【0167】
図4及び図5において、9は音声を音声信号に変換するマイク、10は音声信号を音声に変換するスピーカー、11はダイヤルボタン等から構成される操作部、12は着信等を表示する表示部であり本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置より構成されている、13はアンテナ、14はマイク9からの音声信号を送信信号に変換する送信部で、送信部14で作成された送信信号は、アンテナ13を通して外部に放出される。15はアンテナ13で受信した受信信号を音声信号に変換する受信部で、受信部15で作成された音声信号はスピーカー10にて音声に変換される。16は送信部14、受信部15、操作部11、表示部12を制御する制御部である。
【0168】
マイク9は、使用者(発信者)の通話時の音声等が入力され、スピーカー10からは相手側の音声や告知音が出力されて使用者(受信者)に伝達される。なお、携帯端末として、ページャーを用いる場合には、マイクは特に設けなくてもよい。
【0169】
更に、操作部11には、ダイヤルボタンとしてのテンキーや各種の機能キーを備えている。また、テンキーや各種の機能キーだけでなく、文字キー等を備えていてもよい。この操作部11から、電話番号、氏名、時刻、各種機能の設定、Eメールアドレス、URL等の所定のデータが入力される。更に操作部11は、このようなキーボードによる操作だけでなく、ペン入力装置、音声入力装置、磁気又は光学入力装置を用いてもよい。
【0170】
表示部12は、操作部11から入力される所定のデータやメモリに記憶された電話番号、Eメールアドレス、URL等のデータ或いはキャラクタアイコン等が表示される。
【0171】
また、アンテナ13は、電波の送信か受信の少なくとも一方を行う。なお、本実施の形態では、信号の送信、受信を電波で行うので、アンテナ(ヘリカルアンテナ、平面アンテナ等)を設けたが、光通信等を行う場合には、発光素子や受光素子をアンテナの代わりに設けてもよい。この場合には、発光素子で信号を他の通信機器などに送信し、受光素子で外部からの信号を受信する。
【0172】
送信部14、受信部15は、それぞれ、音声信号を送信信号に変換し、受信した受信信号を音声信号に変換する。
【0173】
更に、制御部16は、図示されていないCPUやメモリ等を用いた従来公知の手法により構成されており、送信部14、受信部15、及び、操作部11、表示部12を制御する。より具体的には、これら各部に設けられた図示しない各制御回路、駆動回路等に命令を与える。例えば、制御部16からの表示命令を受けた表示制御回路は、表示駆動回路を駆動し、表示部12に表示が行われる。
【0174】
以下その動作について説明する。
【0175】
先ず、着信があった場合には、受信部15から制御部16に着信信号を送出し、制御部16は、その着信信号に基づいて、表示部12に所定のキャラクタ等を表示させ、更に操作部11から着信を受ける旨のボタン等が押されると、信号が制御部16に送出されて、制御部16は、着信モードに各部を設定する。即ちアンテナ13で受信した信号は、受信部15で音声信号に変換され、音声信号はスピーカー10から音声として出力されると共に、マイク9から入力された音声は、音声信号に変換され、送信部14を介し、アンテナ13を通して外部に送出される。
【0176】
次に、発信する場合について説明する。
【0177】
まず、発信する場合には、操作部11から発信する旨の信号が、制御部16に入力される。続いて電話番号に相当する信号が操作部11から制御部16に送られてくると、制御部16は送信部14を介して、電話番号に対応する信号をアンテナ13から送出する。その送出信号によって、相手方との通信が確立されたら、その旨の信号がアンテナ13を介し受信部15を通して制御部16に送られると、制御部16は発信モードに各部を設定する。即ちアンテナ13で受信した信号は、受信部15で音声信号に変換され、音声信号はスピーカー10から音声として出力されると共に、マイク9から入力された音声は、音声信号に変換され、送信部14を介し、アンテナ13を通して外部に送出される。
【0178】
なお、実施の形態3では、音声を送信受信した例を示したが、音声に限らず、文字データ等の音声以外のデータの送信もしくは受信の少なくとも一方を行う携帯端末についても同様な効果を得ることができる。
【0179】
このような実施の形態3による携帯端末においては、高効率な発光性能を維持することができることができるため、バッテリー等の電力使用量を抑制することができる。これにより、携帯端末の長時間使用を可能にしたり、あるいは、バッテリーの小型化による軽量化を図ることが可能である。特に近年、携帯端末に用いる表示素子はより高画質で、かつ低消費電力であることが求められており、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出しに比べて、高画質・高効率化は大きなメリットをもたらす。高効率化によって、電池容量の減量化が可能となり、軽量化や長使用時間化を図ることができる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子の基板として、高分子フィルムを用いれば、飛躍的な軽量化をもたらすことが可能となる。
【0180】
また、携帯端末のような個人使用を目的とした携帯端末においては、使用者本人だけが情報を認識でき、周囲からは情報を認識できないような特性が要求されている。本発明における表示素子では、光の配向を正面方向に強くすることが可能であるため、上記したような用途に対し非常に有効である。
【0181】
【実施例】
(実施例1)
ポリカーボネートおよびポリイミドの複合材料からなる不透明基板上に、スピンコート法により透明ネガレジスト材(屈折率1.5)を塗布し、厚さ100μmのレジスト膜を形成し、マスク、露光、現像してレジスト膜を所定の形状にパターニングし、これを220℃に加熱したオーブンで1時間加熱することで、逆V字形構造体のテーパ角40〜50°である逆V字形構造体を形成した。
【0182】
次に、この基板を、洗剤(フルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合した溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロアーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥した。
【0183】
次に、V字型構造付きの基板を、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗加熱蒸着装置内にて、15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着源として、金属マスクによりパターニングされた陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0184】
次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、陰極上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚で形成し、その発光層上に正孔輸送層としてTPDを約50nmの膜厚で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共に0.2nm/sであった。
【0185】
次に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した低ダメージスパッタ装置内にて、金属マスクによりマスクし、正孔輸送層上に膜厚160nmのITO膜を成膜した。
【0186】
次に、同様に低ダメージスパッタ装置内にて、凹凸形状の有機エレクトロルミネッセンス素子上に、膜厚3μmの窒化シリコン膜を保護膜として成膜した。
【0187】
次に、保護膜の形成された有機エレクトロルミネッセンス素子を2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗加熱蒸着装置内にて、Alを蒸着源として、金属マスクにより逆V字形構造体の形状にパターニングされた100nmの膜厚の反射膜を形成した。
【0188】
(実施例2)
ポリカーボネートからなる透明基板上に、スピンコート法により透明ネガレジスト材(屈折率1.5)を塗布し、厚さ100μmのレジスト膜を形成し、マスク、露光、現像してレジスト膜を所定の形状にパターニングし、これを220℃に加熱したオーブンで1時間加熱することで、逆V字形構造体のテーパ角40〜50°である逆V字形構造体を形成した。
【0189】
次に、この基板を、洗剤(フルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合した溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロアーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥した。
【0190】
次に、V字型構造付きの基板を、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗加熱蒸着装置内にて、15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着源として、金属マスクによりパターニングされた陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0191】
次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、陰極上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚で形成し、その発光層上に正孔輸送層としてTPDを約50nmの膜厚で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共に0.2nm/sであった。
【0192】
次に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した低ダメージスパッタ装置内にて、金属マスクによりマスクし、正孔輸送層上に膜厚160nmのITO膜を成膜した。
【0193】
次に、同様に低ダメージスパッタ装置内にて、凹凸形状の有機エレクトロルミネッセンス素子上に、膜厚3μmの窒化シリコン膜を保護膜として成膜した。
【0194】
次に、この保護膜により保護された凹凸形状の有機エレクトロルミネッセンス素子表面にUV硬化型透明樹脂(屈折率1.6)を塗布し、200μmのスペーサ付き平坦化冶具により200μmの厚の平坦化構造体とし、これにUV照射し硬化した。
【0195】
(実施例3)
ガラスからなる透明基板上に、Crからなる各画素電極が非晶質シリコンからなるTFTを介して信号線と結ばれたTFTアレイを形成した。
【0196】
次にこのTFTアレイ基板表面に、スピンコート法によりネガレジスト材を塗布し、厚さ5μmのレジスト膜を形成し、画素電極のない非発光部をマスク、露光、現像して、非発光部のみをレジスト膜により被覆したTFTアレイ基板とした。
【0197】
次に、このTFTアレイ基板を、洗剤(フルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロアーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥した。
【0198】
次に、TFTアレイ基板の表面に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗加熱蒸着装置内にて、Alを約100μmの膜厚で形成し、このアレイ基板表面に、レジスト材(東京応化社製、OFPR−800)をスピンコート法により塗布して厚さ10μmのレジスト膜を形成し、マスク、露光、現像してレジスト膜を非発光部を被覆するようにパターニングした。次に、この基板を60℃で50%のAlエッチャント中に浸漬して、レジスト膜が形成されていない部分のAl膜をエッチングした後、さらにしばらくの間エッチャント中でオーバーエッチングした後、レジスト膜も除去し、非発光部に逆V字形構造体のテーパ角30〜50°となるAlからなる逆V字形構造体の形成されたTFTアレイ基板を得た。
【0199】
次に、70℃の純水による5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロアーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥した。
【0200】
次に、V字型構造付きの基板を、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗加熱蒸着装置内にて、15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着源として、金属マスクによりパターニングされた陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0201】
次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、陰極上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚で形成し、その発光層上に正孔輸送層としてTPDを約50nmの膜厚で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共に0.2nm/sであった。
【0202】
次に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した低ダメージスパッタ装置内にて、金属マスクによりマスクし、正孔輸送層上に膜厚160nmのITO膜を成膜した。
【0203】
次に、同様に低ダメージスパッタ装置内にて、凹凸形状の有機エレクトロルミネッセンス素子上に、膜厚3μmの窒化シリコン膜を保護膜として成膜した。
【0204】
次に、この保護膜により保護された凹凸形状の有機エレクトロルミネッセンス素子表面に透明レジスト材を塗布し、200μmのスペーサ付き平坦化冶具により200μmの厚の平坦化構造体とし、これを100℃に熱したオーブンにて加熱硬化した。
【0205】
(比較例1)
ガラスからなる透明基板上に、実施例1と同様に、膜厚160nmのITO膜を形成した後、ITO膜上にレジスト材(東京応化社製、OFPR−800)をスピンコート法により塗布して厚さ10μmのレジスト膜を形成し、マスク、露光、現像してレジスト膜を所定の形状にパターニングした。次に、この基板を60℃で50%の塩酸中に浸漬して、レジスト膜が形成されていない部分のITO膜をエッチングした後、レジスト膜も除去し、所定のパターンのITO膜からなる陽極が形成されたパターニング基板を得た。
【0206】
次に、このパターニング基板を、洗剤(フルウチ化学社製、セミコクリーン)による5分間の超音波洗浄、純水による10分間の超音波洗浄、アンモニア水1(体積比)に対して過酸化水素水1と水5を混合した溶液による5分間の超音波洗浄、70℃の純水による5分間の超音波洗浄の順に洗浄処理した後、窒素ブロアーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥した。
【0207】
次に、パターニング基板の陽極側の表面に、2×10-6Torr以下の真空度まで減圧した抵抗加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層としてTPDを約50nmの膜厚で形成した。
【0208】
次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、正孔輸送層上に発光層としてAlq3を約60nmの膜厚で形成した。なお、TPDとAlq3の蒸着速度は、共に0.2nm/sであった。
【0209】
次に、同様に抵抗加熱蒸着装置内にて、発光層上に15at%のLiを含むAl−Li合金を蒸着源として、陰極を150nmの膜厚で成膜した。
【0210】
【表1】
Figure 0004211263
【0211】
ここで、(表1)の評価項目における評価方法及びその評価基準について説明する。
【0212】
素子の発光効率は、有機エレクトロルミネッセンス素子に一定電流を流したときの発光輝度を評価した。その評価基準は、比較例1の発光輝度に対して、◎:非常に優れている、○:優れている、△:許容できるである。
【0213】
発光面の視認性は、有機エレクトロルミネッセンス素子を300μmの画素からなる画像形成装置としたときの、光のにじみ、ぼけについて、視認性の程度を目視にて評価した。評価は、◎、○、△の三段階評価であり、その評価基準は、◎:非常に優れている、○:優れている、△:許容できるである。
【0214】
(表1)から明らかなように実施例1、2、3の各有機エレクトロルミネッセンス素子は、比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子に対して、発光輝度、発光面視認性において、すべて優れた結果となった。特に、実施例2及び3においては、発光輝度、発光面視認性が比較例1と比べて非常に優れた結果となった。本実施例の有機エレクトロルミネッセンス素子は比較例に対し顕著に発光効率が高く、視認性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子であることがわかる。
【0215】
【発明の効果】
以上のように、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、以下のような有利な効果が得られる。
【0216】
請求項1に記載の発明によれば、(1)基板の素子形成面の少なくとも一部に発光層よりも高さが高い逆V字形構造体が形成されているので、開口部から空気中へ放出された光が、前記逆V字形構造体に到達し、光の配向が変わることで、正面方向の輝度が向上し、実効的な素子効率が上がる。また、(2)素子を正面方向から見たときに、素子から直接放出される光と、逆V字形構造体で反射して放出される光の両方が見えるため、素子の見た目の発光面積が大きくなる。(3)逆V字形構造体により形成される凹凸部を、透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平面とすることで、光の配向及び取り出し効率が向上する。
【0217】
さらに、(4)逆V字形構造体は透明平坦化構造体よりも低屈折率な材料で形成されているので、メサ構造の側面で光は全反射され、光の取り出し効率および正面輝度が向上する。(5)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。(6)反射面のように、表面反射による反射でないため反射ロスが小さい。(7)屈折率を設計することにより、迷光の影響を低減することが可能である。
【0218】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)逆V字形構造体により形成される凹凸部を、透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平面とすることで、光の配向及び取り出し効率が向上する。
【0219】
(2)光の配向性がよくなり、正面方向の輝度が向上するので、実効的な素子効率は非常に上がる。
【0220】
(3)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0221】
(4)素子表面を平坦とすることで、素子の強度が向上し、ゴミが付着し難い等の効果がある。
【0222】
(5)平坦化構造が十分に薄いため、光のにじみ等が生じ難い。
【0223】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)逆V字形構造体はメサ型構造を形成し、光を反射する材料で形成されるので、光は効率よく反射され、光の取り出し効率および正面輝度が向上する。
【0224】
(2)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0225】
(3)透明の場合のように、屈折率を考慮しなくて良いため、材料選択の自由度が高く軽量化等に効果を上げ易い。
【0226】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれかに記載の効果に加え、(1)基板上にメサ型構造体の構造を形成する場合、構造体に用いる材料・形成方法に対する制約、および、有機エレクトロルミネッセンス素子の形成方法に対する制約等が生じるため、形成は困難であったが、この構成では、逆V字形構造体に流動性をもつ材料を流し込んで硬化するのでこれが可能になる。
【0227】
(2)メサ構造と有機エレクトロルミネッセンス素子を別々に形成した場合、貼り合わせ時の位置合わせが困難であったり、貼り合わせのズレによるモアレ等の視覚特性の劣化が生じたりする、ということもない。
【0231】
請求項5に記載の発明によれば、請求項乃至4の内いずれか1の効果に加え、(1)保護膜を形成し、その上面に透明平坦化膜を形成するので、透明電極や下部有機層に熱や応力等のダメージを与えずに有機エレクトロルミネッセンスを製造することができる。
【0232】
(2)保護膜上に形成する形成方法や形成材料を自由に選択することができる。
【0233】
(3)保護膜が形成されているので、有機エレクトロルミネッセンス素子を外気から遮断でき、長時間安定性に優れる。
【0234】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)逆V字形構造体が、凹凸構造を左右対称な形状で形成されているので、光の配向を正面方向に強い指向性をもたせることができる。
【0235】
(2)光の指向性を制御することができ、素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0236】
(3)左右方向、上下方向に傾けた時の見え方が同じであるため、目が疲れる等の不具合がなく、視認性に優れる。
【0237】
(4)複雑な光学設計を必要とせず、また、構造体の作成も容易である。
【0238】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)逆V字形構造体が、凹凸構造を左右非対称な形状で形成されているので、光の配向方向を変化させることができ、凹凸構造を左右非対称かつランダムに配置することで光を等方的に放射させることができる。
【0239】
(2)外光に対する影響を低減でき、素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0240】
(3)エリアに合わせてV字形溝の傾きを設計することにより、実際の発光以上に明るく感じる等の特殊な視覚特性を持たせることが可能である。
【0241】
(4)多少ズレても良いので、作成が容易であり、歩留まりも高くなる。
【0242】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の内いずれか1の効果に加え、
(1)逆V字形構造体が直線状に形成されるので、構造の設計および形成がが容易にできる。
【0243】
(2)逆V字形構造体が直線的なメサ構造であるので、光の取り出し効率が向上する。
【0244】
(3)素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0248】
請求項に記載の発明によれば、(1)素子内部での光損失を減少させることができるため、高効率の発光性能を維持することができることができ、単純マトリックス方式での良好な照明を行うことができる。
【0249】
(2)マトリックス状の電極のすき間部分に逆V字形構造体を配置することができ、効果的に発光効率を向上させることが可能である。
【0250】
請求項10に記載の発明によれば、(1)素子内部での光損失を減少させることができるため、高効率の発光性能を維持することができることができ、アクティブマトリックス方式での良好な照明を行うことができる。
【0251】
(2)各画素間のすき間や、スイッチング素子上部等の部分に逆V字形構造体を配置することができ、効果的に発光効率を向上させることが可能である。
【0252】
請求項11に記載の発明によれば、請求項又は10の効果に加え、(1)逆V字形構造体のピッチと画素のピッチを同じとすることで、発光部と逆V字形構造体の位置関係を同じにすることができ、どの画素においても同様な取り出し効率向上効果が得られ、良好な画像を得ることができる。
【0253】
(2)画素内における開口部を有効に配置することができ、素子内部での光損失を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0254】
請求項12に記載の発明によれば、請求項又は10の効果に加え、(1)透明平坦化構造体の高さを、前記逆V字形構造体の高さと画素の平面方向の幅の和以下とすると、迷光の影響を小さくできるので、コントラストの低下や光にじみ・ぼけ等の不具合が起こらない。
【0255】
(2)他の画素内へ進入する光を減少させることができるため、視認性に優れた、高効率の発光性能を維持することができる。
【0256】
請求項13に記載の発明によれば、(1)素子内部での光損失を減少させることができるため、高効率の発光性能を維持することができることができ、電池容量等の減量化による、軽量化あるいは長使用時間化を図ることができる。
【0257】
(2)視覚特性(光の配向)を適当に設計することで、周囲からは見にくいプライベートウインドウや、複数人でも見やすいウインドウ等として用途に応じて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における有機エレクトロルミネッセンス素子の要部断面図
【図2】光学シミュレーションの結果を示すグラフ
【図3】本発明の実施の形態2における有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置の概略斜視図
【図4】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置を備えた携帯端末を示す斜視図
【図5】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた画像形成装置を備えた携帯端末を示すブロック図
【図6】従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の要部断面図
【図7】従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の要部断面における代表的な光線経路を示す模式図
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 陰極
6 逆V字形構造体
7 透明平坦化構造体
8 発光層から放射された光の光源
9 マイク
10 スピーカー
11 操作部
12 表示部
13 アンテナ
14 送信部
15 受信部
16 制御部

Claims (13)

  1. 基板上に、少なくとも正孔を注入する陽極と、発光領域を有する発光層と、電子を注入する陰極とを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層から放射される光は基板と対向する面から取り出され、前記発光層よりも高さの高い逆V字形構造体が前記基板の素子形成面の少なくとも一部に形成されるとともに、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出し面は、透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平坦化され、前記逆V字形構造体は前記透明平坦化構造体よりも低屈折率の材料で形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記透明平坦化構造体は平均屈折率1.4〜2.5の透明な材料で形成された透明平坦化構造体により平坦化されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記逆V字形構造体は、光を反射することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記透明平坦化構造体は、前記逆V字形構造体に流動性をもつ材料が流し込まれて硬化させられたことを特徴とする請求項1乃至3の内いずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記透明平坦化構造体は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子表面に形成された保護膜上に形成されていることを特徴とする請求項乃至4の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記逆V字形構造体は、左右対称に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記逆V字形構造体は、左右非対称に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記逆V字形構造体は、その断面形状がV字形の2つの直線状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項1乃至の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の前記陽極及び前記陰極が、ストライプ状に個々電気的に分離されて構成され、複数の画素からなる画像表示配列を有し、前記逆V字形構造体の基板面内での方向と、ストライプ電極により形成される画素の方向とが同じであることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至の内いずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の前記陽極又は前記陰極が、個々電気的に画素毎に分離されて構成され、前記分離された電極は、少なくとも1つ以上のスイッチング素子を介して走査されることで、画像表示配列を有し、前記逆V字形構造体の基板面内での方向と、画素の方向とが同じであることを特徴とする画像形成装置。
  11. 前記逆V字形構造体の各方向のピッチは、前記各画素に対応する前記発光部の各方向のピッチと略等しく、前記逆V字形構造体の中心は、前記各画素の中心を結ぶ略中間点にあることを特徴とする請求項又は10に記載の画像形成装置。
  12. 前記透明平坦化構造体の高さは、前記逆V字形構造体の高さと画素の平面方向の幅の和よりも低いことを特徴とする請求項又は10に記載の画像形成装置。
  13. 音声を音声信号に変換する音声信号変換手段と、電話番号等を入力する操作手段と、着信表示や電話番号等を表示する表示手段と、音声信号を送信信号に変換する通信手段と、受信信号を音声信号に変換する受信手段と、前記送信信号及び前記受信信号を送受信するアンテナと、各部を制御する制御手段を備えた携帯端末であって、前記表示手段が請求項乃至12の内いずれか1に記載の画像形成装置で構成されたことを特徴とする携帯端末。
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