以下に、本発明による流体用ガスケット、及びそれを用いた流体デバイスどうしの接続構造の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1〜図3は実施例1による接続構造関係の図を、図4,5は実施例2による接続構造関係の図を、図6〜図8は実施例3による接続構造関係の図を、図9,10は実施例4による接続構造関係の図をそれぞれ示す。図11〜図13は、流体用ガスケットと流体デバイスとの種々の別嵌合構造を示す要部の断面図である。なお、本発明における「流体デバイス」とは、集積パネル、バルブ、ポンプ、アキュムレータ、流体貯留容器、熱交換器、レギュレータ、圧力計、流量計、ヒーター、フランジ配管等のあらゆる流体関係のものの総称と定義する。
〔実施例1〕
実施例1による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図1、図2に示す。即ち、この接続構造は、一対の円管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル(流体デバイスの一例)1と、これの上面1aにリング状の流体用ガスケットGを介して搭載される開閉バルブ、ストップバルブ等のバルブ(流体デバイスの一例)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する単流路型のものである。つまり、給排用として一対の接続構造が互いに同一のものとして構成されている。
集積パネル1は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3a,4aと横向きの横通路3b,4bとから成る一対の円管状の供給側流体通路(第1流体通路の一例)3,4が形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路3,4が開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、円管状の縦通路3a,4aのそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起21を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。
バルブ(流体デバイスの一例)2は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aから下方突出する状態で縦向きに配された円管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の横側方に離れて開口する状態で縦向きに配された円管状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、円管状の供給側流体通路(第2流体通路の一例)7,8のそれぞれが軸心Pを有する通路に形成されている。つまり、バルブケース6下端には、一対のボルト挿通孔9aを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製の取付フランジ9の一対が下方突出形成されており、流体通路7,8を有する管部9Aとフランジ部(外向きフランジ)9Bとで各取付フランジ9が形成されている。供給側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起(第2環状突起の一例)11を有する上第1シール端部t11に形成され、排出側の取付フランジ9が、下方突出する環状突起(第2環状突起の一例)11を有する上第2シール端部t12に形成されている。
一対の流体用ガスケットGは互いに同一のものであり、その構造を供給側の流体用ガスケットGを例に挙げて説明する。さて、流体用ガスケットGは、供給側の上下の流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路Wと、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1シール端部t11の環状突起11と下第1シール端部t21の上方突出する環状突起(第1環状突起の一例)21のそれぞれに嵌合すべく流体経路Wの外径側部分に形成された上環状溝(第2環状溝の一例)51、及び下環状溝(第1環状溝の一例)51を有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
つまり、流体用ガスケットGの断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅が同一となる上下対称であり、かつ、内及び外周壁54,55も左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向、即ち流体経路Wの軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い)となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路Wの上下端部が先拡がり状に外向き傾斜するテーパ内周面(テーパ周面の一例)52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜するテーパ外周面(テーパ周面の一例)53a,53aに形成されている。
集積パネル1の第1流体給排口部1Aの下第1シール端部t21の環状突起21及びバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1シール端部t11における環状突起11の内及び外径側に、流体用ガスケットGにおける環状溝51を形成するために軸心P方向に突出形成された内外の周壁端部52a,53aが、環状溝51と環状突起11,21との嵌合によって拡がり変形するのを阻止する環状押え突起(支え部の一例)12,13,22,23が形成されている。
上記環状押え突起に関する構造を、流体用ガスケットGと上第1シール端部t11とについて説明する。内外の環状押え突起12,13は対称のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜したテーパ外周面12a及びテーパ内周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1シール端部t11は、環状突起11とその内外の両側に形成される環状押え突起12,13及び谷部14,15の総称である。
流体用ガスケットGの内外の周壁54,55の上端部は、環状押え突起12,13のテーパ外周面12aとテーパ内周面13aのそれぞれに当接するテーパ内周面52aとテーパ外周面53aを有して谷部14,15に入り込み自在な断面形状が先窄まり状の周壁端部(拡張規制部Kの一例)52,53に形成されている。これにより、接合状態(図1参照)においては、内外の周壁54,55の上端部である周壁端部52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1シール端部t11のテーパ外周面12aと内周壁端部52のテーパ内周面52aとが圧接され、かつ、上第1シール端部t11のテーパ内周面13aと外周壁端部53のテーパ外周面53aとが圧接されるように構成されている。
つまり、流体用ガスケットGの上端部には、環状溝51とその内外の環状シール突起52,53とで上シール部(第2端部の一例)g11が形成されており、同様に下端部には下シール部(第1端部の一例)g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と圧接嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と圧接嵌合して嵌合シール部10を形成する。
嵌合シール部10の嵌合構造を、上第1シール端部t11と流体用ガスケットGの上シール部g11について詳細に説明すると、図2、図3に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の周壁端部52,53どうしはそれぞれが互いに対称であって、内外の谷部14,15全体の挟角α°と内外の周壁端部52,53全体の尖り角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(5〜15°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1シール端部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、上内環状押え突起12と上内周壁端部52とは、それらのテーパ外周面12aとテーパ内周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図3の仮想線を参照)、流体通路Wを通る流体がこれら外内のテーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むことをも阻止する二次シール部S2として機能する利点が得られる。
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1>d2という関係が設定されており、好ましくはd1×(0.6〜0.8)=d2という関係に設定すると良い。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。これらの構成により、上環状突起11と上環状溝51とが、詳しくは、上環状突起11の内外の両側周面と相対応する上環状溝51の内外の側周面とが強く圧接され、流体の漏れを阻止する優れたシール性能を発揮する一次シール部S1が形成されるとともに、上内環状押え突起12のテーパ外周面12aと上内周壁端部52のテーパ内周面52aとが圧接することになり、前述した二次シール部S2が良好に形成される利点がある。
また、内側の環状押え突起12の先端、及び周壁端部52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b、並びにカット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状押え突起12の先端が流体通路W1側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路W1途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bとテーパ内周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内角及び外角は面取り加工された形状11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
外側の環状押え突起13は、環状押え突起13のテーパ内周面13aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部9bが存在しており、内側の環状押え突起12とは全体としての形状は異なる。そして、下第1シール端部t21に関しても、環状押え突起23のテーパ内周面23aに続く状態で、パネル材5の上端部を形成するための上端内周部5bが存在しており、やはり、内側の環状押え突起22とは全体としての形状が異なる。これら上及び下端内周部5b,9bは、流体用ガスケットGの上及び下シール部g11,g12を上及び下第1シール端部t11,t21に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、テーパ内周面13a,23aと共に流体用ガスケットGの外周壁55の拡がり変形を阻止する機能も発揮可能である。
なお、図1に仮想線で示すように、流体用ガスケットGの外周壁55に横突出するリング状の脱着フランジ1fを一体形成しておけば、第1又は第2流体給排口部1A,2Aから流体用ガスケットGを抜出す際に、工具や手指でフランジ1fを引張る等して外し易くすることができるという利点がある。この場合、脱着フランジ1fの厚みは、接合状態における第1及び第2流体給排口部1A,2Aどうしの間隙よりも小さい値とする。
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図2、図3に示すように、集積パネル1の第1流体給排口部1Aとバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いに流体用ガスケットGを介して引寄せるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1シール端部t11と、流体用ガスケットGの上シール部g11とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1シール端部t21と、流体用ガスケットGの下シール部g12とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合シール部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排雄口部2Aの環状突起11と流体用ガスケットGの上側の環状溝51とが、及び第1流体給排雄口部1Aの環状突起21と流体用ガスケットGの下側の環状溝51とがそれぞれ嵌め合わされる。
維持手段Iの具体構造は、第2流体給排口部2Aのフランジ部9Bのボルト挿通孔9aに挿通される一対のボルト66と、一対のボルト挿通孔9a,9aに対応して第1流体給排口部1Aに(パネル材5に)形成されたナット部67,67とで構成されており、ボルト66をナット部67に螺着させての締め付け操作により、バルブ2を集積パネル1に引寄せ、かつ、その引寄せ状態を維持することができる引寄せ機能付の維持手段Iに構成されている。また、経時変化やクリープ等が生じて各嵌合シール部10の圧接力が低下した場合には、ボルト66を増し締めすることで対処することができ、良好なシール性能を維持することが可能である。
〔実施例2〕
実施例2による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図4,5に示す。これは実施例1によるものと維持手段Iが異なるのみであり、その別構造の維持手段Iについて説明する。なお、図4,5においては、図1〜3に示す実施例1のものと対応する箇所には対応する符号を付してある。
さて、別構造による維持手段Iは、図4及び図5に示すように、集積パネル1の上面に形成された平面視で円形を呈する突起状の第1流体給排口部1Aの外周部に雄ネジ1nを形成し、その雄ネジ1nに螺合自在な雌ネジ81nを備えた筒状ナット81と、バルブ2のバルブケース6の下端部に形成された外向きフランジ9に、環状の流体通路7の軸心P方向で干渉する二つ割り、または三つ割り以上の割型リング82とから構成されている。第1流体給排口部1Aの雄ネジ1nに雌ネジ81nを螺着させての筒状ナット81の締付け操作により、両流体給排口部1A,2Aを互いに流体用ガスケットGを介して接近する方向に引寄せ可能に、かつ、引寄せ状態を維持可能な引寄せ機能付きの維持手段Iに構成されている。
筒状ナット81のバルブ2側(上側)に形成される内向きフランジ83の開口部83aは、外向きフランジ9の通過を許容するに足りる最小限の内径寸法に設定されている。割型リング82の外径は、筒状ナット81に入り込み自在となるよう雌ネジ81nの内径よりも僅かに小さい寸法に設定され、かつ、内径は、バルブ2の円形の第2流体給排口部2Aの外径部に外嵌自在となる最小限の寸法に設定されている。この場合、割型リング82を装備するには、第2流体給排口部2Aにおける外向きフランジ9を除いた径の細い部分の軸方向長さが、筒状ナット81の軸方向長さと割型リング82の厚さとの和を上回る値とすることが必要である。具体的には、図5(b)に示すように、バルブケース6の付根部6tに当接させた状態の筒状ナット81と外向きフランジ9との間の長さd3が、割型リング82の厚さd4よりも大きいこと(d3>d4)が条件となる。
また、筒状ナット81における雌ネジ81nの内奥端部と内向きフランジ83との間に、割型リング82に軸方向に摺動自在で、かつ、割型リング82の幅寸法をカバーする軸心P方向長さを有する内周面部81mが軸心Pと同心にフラットな内周面に形成されている。すなわち、筒状ナット81の雌ネジ81nと内向きフランジ83との間における内径部81aが供給側流体通路7と同心にフラットな内周面に形成され、かつ、その内周面部81mの内径が断面矩形に形成された割型リング82の外径よりも極僅かに大きくした嵌め合い公差状態に寸法設定される一方、第2流体給排口部2Aの外径部が供給側流体通路7と同心にフラットな外周面に形成され、かつ,その外径部の外径と、割型リング82の内径とがほぼ同一径に形成される。これにより、筒状ナット81を螺進させた際に割型リング82が傾いて抉るような状態になったり、外向きフランジ9に筒状ナット81の螺進による軸心P方向の押圧力がうまく伝わらなかったりする、という不都合が生じることが防止され、有効に外向きフランジ9を押して、第1、第2流体給排口部1A,2Aを互いに接近する方向に良好に引寄せることができるようにされている。
第1別構造の維持手段Iを用いて両流体給排口部1A,2Aどうしを接続連結する操作手順は次のようである。先ず、図5(a)に示すように、外向きフランジ9をやり過ごして筒状ナット81をバルブ2の第2流体給排口部2Aの外周に嵌装し、その最内奥側まで(付根部6tに当接するまで)移動させる。次いで、図5(b)に示すように、割型リング82を、外向きフランジ9と筒状ナット81の先端との間を通して第2流体給排口部2Aに外嵌装備させる。このとき又はその前に流体用ガスケットGをいずれかの流体給排口部1A,2Aの端面に環状突起11,21,31,41と環状溝51,61との仮嵌合を介して装着させておいてもよい。次いで、流体用ガスケットGを介して第1流体給排口部1Aを第2流体給排口部2Aにあてがい、その状態で筒状ナット81をスライド移動させてから締付け操作[図5(c)参照]することにより、図4に示す接続状態が得られる。なお、図5においては、上下に積層される集積パネル1とバルブ2とを、図面記載都合により横倒し状態で描いてある。
〔実施例3〕
実施例3による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図6、図7に示す。この接続構造は、複数の管状の流体通路3,4が内部形成された集積パネル(流体デバイスの一例)1と、これの上面1aに内外の計2個のリング状の流体用ガスケットG1,G2を介して搭載される開閉バルブ、ストップバルブ等のバルブ(流体デバイスの一例)2とに跨って構成された縦向きの軸心Pを共有する同心状二重流路型のものである。
集積パネル1は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製のパネル材(又はブロック材)5の内部に、パネル上面1aに開口する上下向きの縦通路3aと横向きの横通路3bとから成る管状の供給側流体通路3と、縦通路3aの外径側に形成されてパネル上面1aに開口する環状の縦リング通路4aとこれの底部に連通される横向きの横通路4bとで成る排出側流体通路4とが形成されたものである。この集積パネル1における給排流体通路(第1流体通路の一例)3,4が二重配管状に開口する部分を第1流体給排口部1Aと称するものとし、この第1流体給排口部1Aにおいては、管状の縦通路3aと環状の縦リング通路4aとが互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。また、第1流体給排口部1Aには、その上端面に開口する各流体通路3,4の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、上方に突出した内外の環状突起(第1環状突起の一例)21,41を有する下第1シール端部t21及び下第2シール端部t22が形成されている。
バルブ(流体デバイスの一例)2は、図1、図2に示すように、PFAやPTFE等のフッ素樹脂製で上下方向視形状が円形のバルブケース6を有しており、そのバルブケース6の下端部は、底面6aに開口する状態でその中心に縦向きに配された管状の供給側流体通路7と、この供給側流体通路7の外径側に形成されて底面6aに開口する状態で縦向きに配された環状の排出側流体通路8とを有した第2流体給排口部2Aに形成されている。つまり、この第2流体給排口部2Aにおいては、管状の供給側流体通路7と環状の排出側流体通路8が互いに同一の軸心Pを有する同心状の通路に形成されている。そして、バルブケース6下端の外周部には、一対のボルト挿通孔9aを有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製の取付フランジ9が融着によって一体化されている。尚、バルブケース6と取付フランジ9とは、切削加工や成形加工によって一体形成された一体型のものでも良い。また、第2流体給排口部2Aには、その下端面に開口する各流体通路(第2流体通路の一例)7,8の外径側部分のそれぞれには、軸心Pを中心とする環状で、かつ、下方に突出した内外の環状突起(第2環状突起の一例)11,31を有する上第1シール端部t11及び上第2シール端部t12が形成されている。
内外の流体用ガスケットG1,G2は径が異なるのみで断面形状は同一のものに形成されている。その構造を内側の第1流体用ガスケットG1を例に挙げて説明する。尚、説明を省略する外側の第2流体用ガスケットG2には、第1流体用ガスケットG1に対応する箇所には対応した符号を付す(例:54a→64a)ものとする。さて、第1流体用ガスケットG1は、第1,第2流体給排口部1A,2Aの相対応する流体通路である縦通路3a及び供給側流体通路7どうしを連通すべく形成された管状の流体経路W1と、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの端面に形成された上第1シール端部t11の環状突起11と上第2シール端部t12の環状突起31のそれぞれに嵌合すべく流体経路W1の外径側部分に形成された上環状溝(第2環状溝の一例)51、及び下環状溝(第1環状溝の一例)51を有するPFAやPTFE等のフッ素樹脂製のものに構成されている。
つまり、第1流体用ガスケットG1の断面形状は、上下一対の環状溝51,51と、これら環状溝51,51を形成するための内周壁54及び外周壁55とを有するとともに、上下の環状溝51,51は深さ及び幅が同一となる上下対称であり、かつ、内及び外周壁54,55も左右対称であって、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの軸心P方向、即ち流体経路W1,W2の軸心P方向に沿う縦中心Z、及び、その縦中心線Zに直交する横中心線Xの双方に関して線対称(ほぼ線対称でも良い))となる略H状の形状に形成されている。内周壁54の上下端部は、内周面54aである流体経路W1の上下端部が先拡がり状に外向き傾斜するテーパ内周面52a,52aに形成されるとともに、外周壁55の上下端部も、その外周面55aの上下端部が内向き傾斜するテーパ外周面53a,53aに形成されている。
集積パネル1の第1流体給排口部1Aの下第1及び下第2シール端部t21,t22の環状突起21,41及びバルブ2の第2流体給排口部2Aの上第1及び上第2シール端部t11、t12における環状突起11,31の内及び外径側に、各流体用ガスケットG1,G2における環状溝51,61を形成するために軸心P方向に突出形成された内外の周壁端部(拡張規制部Kの一例)52,53,62,63が、相対応する環状溝51,61と相対応する環状突起11,21,31,41との嵌合によって拡がり変形するのを阻止する環状押え突起(支え部の一例)12,13,22,23,32,33,42,43が形成されている。
上記環状押え突起に関する構造を、第1流体用ガスケットG1と上第1シール端部t11とについて説明する。内外の環状押え突起12,13は対称のものであり、これらと環状突起11とで囲まれた谷部14,15が奥窄まり状(上窄まり状)となるように環状突起側の側周面が傾斜したテーパ外周面12a及びテーパ内周面13aを有する先窄まり状の環状突起に形成されている。つまり、上第1シール端部t11は、環状時突起11とその内外の両側に形成される環状押え突起12,13及び谷部14,15の総称である。
第1流体用ガスケットG1の内外の周壁54,55の上端部は、環状押え突起12,13のテーパ外周面12aとテーパ内周面13aのそれぞれに当接するテーパ内周面52aとテーパ外周面53aを有して14,15に入り込み自在な先窄まり状の周壁端部52,53を有し、接合状態(図1参照)においては、内外の周壁54,55の上端部である周壁端部52,53が対応する谷部14,15に入り込み、上第1シール端部t11のテーパ外周面12aと第1流体用ガスケットG1のテーパ内周面52aとが圧接され、かつ、上第1シール端部t11のテーパ内周面13aと第1流体用ガスケットG1のテーパ外周面53aとが圧接されるように構成されている。
つまり、第1流体用ガスケットG1の上端部には、環状溝51とその内外の周壁端部52,53とで上シール部(第2端部の一例)g11が形成されており、同様に下端部には下シール部(第1端部の一例)g12が形成されている。上シール部g11は上第1シール端部t11と嵌合して嵌合シール部10を形成し、下シール部g12は下第2シール端部t21と嵌合して嵌合シール部10を形成する。同様に、第2流体用ガスケットにも上シール部(第2端部の一例)g21と下シール部(第1端部の一例)g22とが形成されており、それぞれ上第2シール端部t12と下第2シール端部t22と嵌合して嵌合シール部10を形成する。
嵌合シール部10の嵌合構造を、上第1シール端部t11と第1流体用ガスケットG1の上シール部g11について詳細に説明すると、図7、図8に示すように、内外の谷部14,15どうし、及び内外の周壁端部52,53どうしは互いに対称であって、内外の谷部14,15全体の挟角α°と内外の周壁端部52,53全体の尖り角β°との間には、α°<β°という関係が設定されており、好ましくはα°+(5〜15°)=β°という関係に設定すると良い。この構成により、上第1シール端部t11の上環状突起11と環状溝51とが嵌り合った接合状態(後述)では、上内環状押え突起12と上内周壁端部52とは、それらのテーパ外周面12aとテーパ内周面52aとが最内径側部分で圧接される状態となり(図8の仮想線を参照)、流体通路W1(W)を通る流体がこれら外内のテーパ周面12a,52aどうしの間に入り込むのことをも阻止する二次シール部S2として機能する利点が得られる。
そして、上環状突起11の幅d1と上環状溝51の幅d2との間には、d1>d2という関係が設定されており、好ましくはd1×(0.6〜0.8)=d2という関係に設定すると良い。そして、上環状突起11の突出長さh1と上環状溝51の深さh2との間にはh1<h2という関係が設定されている。これらの構成により、上環状突起11と上環状溝51とが、詳しくは、上環状突起11の内外の両側周面と相対応する上環状溝51の内外の側周面とが強く圧接され、流体の漏れを阻止する優れたシール性能を発揮する一次シール部S1が形成されるとともに、上内環状押え突起12のテーパ外周面12aと上内周壁端部52のテーパ内周面52aとが必ず当接することになり、前述した二次シール部S2が良好に形成される利点がある。
また、環状押え突起12,13の先端、及び周壁端部52,53の先端はピン角とならないようにカットされた形状、即ち、傾斜カット面12b,13b、並びにカット面52b,53bに形成されている。これらの構成により、上内環状押え突起12の先端が流体通路W1側に若干広がり変形したとしても、もともとカットされた形状であることから、流体通路W1途中に大きく開いた断面三角形状の凹みができるだけとなり、その凹みに存在する流体が容易に流れ出すようになって実質的に液溜りが生じないようになる。加えて、その凹みの開き角度、即ち、傾斜カット面12bとテーパ内周面52aとの挟角は十分に大きく、表面張力による液溜りのおそれも回避される。また、環状突起11先端の内角及び外角は面取り加工された形状11aとしてあるので、幅の狭い環状溝51への圧入移動をかじり等の不都合なく円滑に行えるものとなっている。
以上述べた嵌合シール部10の構造は、第1流体用ガスケットG1の下側、及び第2流体用ガスケットG2においても同様に構成されており、対応する箇所には対応する符号を付すものとする。第2流体用ガスケットG2は、径は異なるが断面形状に関しては第1流体用ガスケットG1のものと全く同じである。但し、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの上第2シール端部t12と下第2シール端部t22については、その外周側に流体通路が存在しないので、それぞれ上第1シール端部t11と下第2シール端部t21とやや形状が異なる(図3参照)。
即ち、図7に示すように、上第2シール端部t12に関しては、環状押え突起33のテーパ内周面33aに続く状態で、バルブケース6の下端部を形成するための下端内周部6bが存在している点である。この下端内周部6bは、第2流体用ガスケットG2の上シール部g21を上第2シール端部t12に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、テーパ内周面33aと共に第2流体用ガスケットG2の外周壁65の拡がり変形を阻止する機能も発揮可能である(図3参照)。そして、下第2シール端部t22に関しては、外側の環状押え突起43の外周側にパネル材5、及びその上端部を形成するための上端内周部5bが存在している点である。上端内周部5bは、第2流体用ガスケットG2の下シール部g22を下第2シール端部t22に嵌め合わす際のガイドとして機能するとともに、下シール部g22と下第2シール端部t22との嵌め合せ時に、第2流体用ガスケットG2の下シール部g22の外周壁端部63の拡がり変形がテーパ内周面43aによって阻止される作用効果が強化されるのである。
一方、第1及び第2流体用ガスケットG1,G2のうち、接合状態において内径側及び外径側の双方に流体通路7,8が存在する中間流体用ガスケットである第1流体用ガスケットG1は、これの外周部である外周面55aが、第1流体用ガスケットG1の外径側に存する第1流体給排口部1Aの環状の流体通路4aと第2流体給排口部2Aの環状の流体通路8とを連通する環状の流体経路W2を形成するための壁面となる状態に形成されている。このように第1流体用ガスケットG1の内外周面54a,55aの双方が流体通路W1,W2を形成する壁面を兼ねる構成とすれば、「第1流体用ガスケットG1の厚み」=「環状流体通路3a,7と管状流体通路4a,8との間隔」となり、第1及び第2流体給排口部1A,2Aの接続部をよりコンパクト化することが可能になる。なお、図6に仮想線で示すように、第2流体用ガスケットG2の外周壁65に横突出するリング状の脱着フランジ1fを一体形成しておけば、第1又は第2流体給排口部1A,2Aから第2流体用ガスケットG2を抜出す際に、工具や手指でフランジ1fを引張る等して外し易くすることができるという利点がある。この場合、脱着フランジ1fの厚みは、接合状態における第1及び第2流体給排口部1A,2Aどうしの間隙よりも小さい値とする。
次に、維持手段Iについて説明する。維持手段Iは、図6、図7に示すように、集積パネル1の第1流体給排口部1Aとバルブ2の第2流体給排口部2Aとが互いに第1及び第2流体用ガスケットG1,G2を介して引寄せるとともに、その引寄せ作用によって、第1流体給排口部1Aの上第1シール端部t11及び上第2シール端部t12と、第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の上シール部g11,g21とが、及び第2流体給排口部2Aの下第1及び下第2シール端部t21,t22と、第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の下シール部g12,g22とがそれぞれ嵌め合わされて各嵌合シール部10が形成される接合状態を維持するものに構成されている。即ち、第2流体給排雄口部2Aの環状突起11,31と第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の上側の環状溝51,61とが、及び第1流体給排雄口部1Aの環状突起21,41と第1及び第2流体用ガスケットG1,G2の下側の環状溝51,61とがそれぞれ嵌め合わされる。
維持手段Iの具体構造は、第2流体給排口部2Aの取付フランジ9のボルト挿通孔9aに挿通される一対のボルト66と、一対のボルト挿通孔9a,9aに対応して第1流体給排口部1Aに(パネル材5に)形成されたナット部67,67とで構成されており、ボルト66をナット部67に螺着させての締め付け操作により、バルブ2を集積パネル1に引寄せ、かつ、その引寄せ状態を維持することができる。また、経時変化やクリープ等が生じて各嵌合シール部10の圧接力が低下した場合には、ボルト66を増し締めすることで対処することができ、良好なシール性能を維持することが可能である。
〔実施例4〕
実施例4による流体用ガスケットを用いた流体デバイスどうしの接続構造を図9に示す。これは実施例3によるものと維持手段Iが異なるのみであり、その別構造の維持手段Iについて説明する。なお、図9においては、図6,7に示す実施例3のものと対応する箇所には対応する符号を付してある。
さて、別構造による維持手段Iは、図9、図10に示すように、集積パネル1の上面に形成された平面視で円形を呈する突起状の第1流体給排口部1Aの外周部に雄ネジ1nを形成し、その雄ネジ1nに螺合自在な雌ネジ81nを備えた筒状ナット81と、バルブ2のバルブケース6の下端部に形成された外向きフランジ9に、環状の流体通路7の軸心P方向で干渉する二つ割り、または三つ割り以上の割型リング82とから構成されている。第1流体給排口部1Aの雄ネジ1nに雌ネジ81nを螺着させての筒状ナット81の締付け操作により、両流体給排口部1A,2Aを互いに2個の流体用ガスケットG1,G2を介して接近する方向に引寄せ可能に、かつ、引寄せ状態を維持可能な引寄せ機能付きの維持手段Iに構成されている。
筒状ナット81のバルブ2側(上側)に形成される内向きフランジ83の開口部83aは、外向きフランジ9の通過を許容するに足りる最小限の内径寸法に設定されている。割型リング82の外径は、筒状ナット81に入り込み自在となるよう雌ネジ81nの内径よりも僅かに小さい寸法に設定され、かつ、内径は、バルブ2の円形の第2流体給排口部2Aの外径部に外嵌自在となる最小限の寸法に設定されている。この場合、割型リング82を装備するには、第2流体給排口部2Aにおける外向きフランジ9を除いた径の細い部分の軸方向長さが、筒状ナット81の軸方向長さと割型リング82の厚さとの和を上回る値とすることが必要である。具体的には、図10(b)に示すように、バルブケース6の付根部6tに当接させた状態の筒状ナット81と外向きフランジ9との間の長さd3が、割型リング82の厚さd4よりも大きいこと(d3>d4)が条件となる。
また、筒状ナット81における雌ネジ81nの内奥端部と内向きフランジ83との間に、割型リング82に軸方向に摺動自在で、かつ、割型リング82の幅寸法をカバーする軸心P方向長さを有する内周面部81mが軸心Pと同心にフラットな内周面に形成されている。すなわち、筒状ナット81の雌ネジ81nと内向きフランジ83との間における内径部81aが供給側流体通路7と同心にフラットな内周面に形成され、かつ、その内周面部81mの内径が断面矩形に形成された割型リング82の外径よりも極僅かに大きくした嵌め合い公差状態に寸法設定される一方、第2流体給排口部2Aの外径部が供給側流体通路7と同心にフラットな外周面に形成され、かつ,その外径部の外径と、割型リング82の内径とがほぼ同一径に形成される。これにより、筒状ナット81を螺進させた際に割型リング82が傾いて抉るような状態になったり、外向きフランジ9に筒状ナット81の螺進による軸心P方向の押圧力がうまく伝わらなかったりする、という不都合が生じることが防止され、有効に外向きフランジ9を押して、第1、第2流体給排口部1A,2Aを互いに接近する方向に良好に引寄せることができるようにされている。
第1別構造の維持手段Iを用いて両流体給排口部1A,2Aどうしを接続連結する操作手順は次のようである。先ず、図10(a)に示すように、外向きフランジ9をやり過ごして筒状ナット81をバルブ2の第2流体給排口部2Aの外周に嵌装し、その最内奥側まで(付根部6tに当接するまで)移動させる。次いで、図10(b)に示すように、割型リング82を、外向きフランジ9と筒状ナット81の先端との間を通して第2流体給排口部2Aに外嵌装備させる。このとき又はその前に第1及び第2流体用ガスケットG1,G2をいずれかの流体給排口部1A,2Aの端面に環状突起11,21,31,41と環状溝51,61との仮嵌合を介して装着させておいてもよい。次いで、両流体用ガスケットG1,G2を介して第1流体給排口部1Aを第2流体給排口部2Aにあてがい、その状態で筒状ナット81をスライド移動させてから締付け操作[図10(c)参照]することにより、図9に示す接続状態が得られる。なお、図10においては、上下に積層される集積パネル1とバルブ2とを、図面記載都合により横倒し状態で描いてある。
〔その他の実施例〕
以下に、流体用ガスケットの端部と流体デバイスの流体給排口部との嵌合構造の変形例の幾つかを、図面を参照しながら順に記載する。
(1) 図11(a)に示すように、流体デバイスであるバルブ2と流体用ガスケットGとの嵌合構造において、環状突起11として、その内外の側周面に圧接用の周突起11tが一又は複数形成された形状としても良い。接合状態では流体用ガスケットGの環状溝51とは周突起11tが強く当接して一次シール部S1が形成される。この構造では、環状突起11と環状溝51とは複数箇所で線接する触状態になるので、環状突起11を環状溝51に挿入する際の摩擦抵抗が面接触する場合よりも軽減される利点がある。なお、この構成は集積パネル1と流体用ガスケットGとの嵌合構造に適用しても良い。
(2) 図11(b)の左側部分に示すように、流体デバイスであるバルブ2と流体用ガスケットGとの嵌合構造において、テーパ周面12a,52aどうしが第2流体給排口部2Aの環状押え突起12のテーパ外周面12aに一又は複数の周突起12tを形成し、この周突起12tと流体用ガスケットGの周壁端部52のテーパ内周面52aとが圧接されて二次シール部S2を構成する構造も可能である。また、図11(b)の右側部分に示すように、前記とは逆に、流体用ガスケットGのテーパ内周面53aに一又は複数の周突起53tを形成し、この周突起53tと環状押え突起13のテーパ内周面13aとが圧接されて二次シール部S2を構成する構造でも良い。なお、この構成は集積パネル1と流体用ガスケットGとの嵌合構造に適用しても良いとともに、図11(a)と(b)との双方を備える構造も可能である。
(3) 図12(a)に示すように、流体デバイスであるバルブ2と流体用ガスケットGとの嵌合構造において、流体用ガスケットGの外側の周壁端部53を、外周壁55よりも横側方に突出させた環状側方突起に形成し、かつ、外径側の谷間15を円柱状に形成して、環状側方突起53と第2流体給排口部2Aの環状押え突起13の下端内周部9bとを圧接させる構造でも良い。この構造では、流体用ガスケットGの外周壁端部53と環状突起11との間に強い圧接力が作用するとともに、外周壁端部53以外の外周壁55は下端内周部9bと接触しないので、外周壁端部53を谷間15に挿入する際の摩擦抵抗を小さくできて、結果として環状突起11を環状溝51に挿入するための荷重が軽減され、組付け易いという利点がある。内周壁端部52と内周側の環状押え突起12との嵌合構造は、図1〜3に示す実施例1のものと同等である。
(4) 図12(b)に示すように、流体デバイスであるバルブ2と流体用ガスケットGとの嵌合構造において、流体用ガスケットGは、その内外周壁部54,55上端のそれぞれテーパ周面52a,53aが形成された左右対称のもの(実施例1による流体用ガスケットGと同じ)とし、円柱状の谷間15を形成する環状押え突起11の下端内周部9bと外周壁55の外周面55aとが面接触する構造でも良い。この場合、前記面接触により、環状突起11を環状溝51に挿入する操作力はやや大きくなるが、環状突起11と流体用ガスケットGの外周壁部53との間には十分な圧接力[図12(a)の構成の場合とほぼ同等]が作用する。なお、図12(a),(b)に示される構成を、集積パネル1と流体用ガスケットGとの嵌合構造に適用しても良い。
(5) 図13(a)に示すように、流体デバイスであるバルブ2と第1流体用ガスケットG1との嵌合構造において、第1流体用ガスケットG1の上シール部g11における内外の周壁端部52,53が、軸心P方向に突出する小環状突起(拡張規制部Kの一例)52b、53bと、それらの付根において内外に連なるテーパ頂面52c,53cとから成る構成とし、第2流体給排口部2Aの上第1シール端部t11における環状押え突起12,13が、小環状突起52b、53bに嵌合する環状凹溝12b,13bと、テーパ頂面52c,53cに当接するテーパ底面12c,13cを先端に備えた環状端壁(支え部の一例)12d,13dとから成る構成とされたものでも良い。
テーパ頂面52c,53cとテーパ底面12c,13cとが当接した状態では、小環状突起52b、53bと環状凹溝12b,13bとの間には軸心P方向に間隙があるように設定する。この構成では、小環状突起52b、53bと環状凹溝12b,13bとの嵌合によって内外の周壁端部52,53が開き変形することを阻止するので、環状突起11と環状溝51との強い当接による有効な一次シール部S1と、テーパ頂面52c,53cとテーパ底面12c,13cとの当接による有効な二次シール部S2とが形成され、液溜りなく良好にシールできる接続構造が実現できている。
(6) 図13(b)に示すように、バルブ2の第2流体給排口部2Aにおける環状突起11の両サイドが環状平坦肩部12,13に形成され、第1流体用ガスケットG1における環状溝51の両サイドの内外周壁端部52,53を平坦端面を有するものとして、これら内外の環状平坦肩部12,13と内外の周壁端部52,53とが基本的には面当りする構成とし、内外の周壁端部52,53の内外端に環状突起であるリップ12r、13rを形成した構造としても良い。この場合は、内側リップ12rと内周壁端部52とで、及び外側リップ13rと外周壁端部53とでそれぞれ二次シール部S2が形成される。