JP4209161B2 - ガスエンジン油 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ガスエンジン油に関し、詳しくは、低灰分であって、高温条件下において使用される発電容量1000KW以下のガスエンジン油の酸化安定性を長期間にわたって維持することができる長寿命ガスエンジン油に関する。
【0002】
【技術背景】
ガスエンジンシステムは、燃焼性が良く、燃焼温度もガソリンエンジンや陸上ディーゼルエンジンよりも高いため、高温酸化やNOxの発生が激しく、液体燃料を使用するエンジンに比較して、エンジン用潤滑油、すなわちエンジン油の劣化がより促進される。
従って、ガスエンジン油の長寿命化を実現するには、耐酸化性や耐NOx性に優れた特性を持たせることが必須となる。
【0003】
また、ガスエンジン油中の金属分、すなわち硫酸灰分は、ピストン上部や排気バルブへの硬質化合物の堆積量に関与し、多すぎると、このような硬質化合物の堆積により、ガスエンジン内の清浄性が損なわれる虞れがあるだけでなく、エンジン耐久性に影響を与える場合がある。
しかも、硫酸灰分が多すぎると、NOx還元触媒等の排ガス後処理装置の目詰まりが起こり易くなるため、ガスエンジン油の硫酸灰分量の低減、すなわち低灰分化が必須となる。
【0004】
従来、潤滑油の酸化安定性を改善するために、一般には、アミン系やフェノール系の酸化防止剤を配合することや、基油に合成系潤滑油を使用することが行われている。
【0005】
そして、例えば、特許第2970991号においては、特定の塩基価を持つサリシレート、特定のアルケニルコハク酸イミド、特定のジアルキルジチオリン酸亜鉛、および特定のヒンダードフェノール化合物を特定量配合することを特徴とするガスエンジン油を提案しており、このガスエンジン油は、優れた耐酸化性や耐NOx性を発現することができる。
【0006】
しかし、近年のガスエンジン油の使用温度条件は、さらに苛酷となってきており、より一層の耐熱性、耐酸化性、耐NOx性の向上が求められている。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、上記のような現状の下で、メンテナンスの容易性をもたらす更油間隔の延長、あるいはエンジンや排ガス後処理装置の耐久性への配慮等の面から、低灰分であって、かつ長期にわたって優れた耐熱性、耐酸化性、耐NOx性を維持することができるエンジン油を提案することを目的とする。
【0008】
【発明の概要】
本発明は、上記の目的を達成するために検討を重ねた結果、特定の合成系潤滑油基油に、特定の全塩基価をもつカルシウムサリシレート、特定のアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛、特定の高分子ヒンダードフェノ−ル化合物、アルケニルコハク酸イミドまたはその誘導体を、特定の組合せで添加することにより、低灰分であって、耐熱性、耐酸化性、耐NOx性に対し飛躍的な効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)合成系潤滑油基油として、(1)ポリαオレフィンと、(2)脂肪酸エステルを使用した潤滑油基油に、少なくとも下記の成分が含有されていることを特徴とするガスエンジン油を要旨とする。
(B)金属型清浄剤として、塩基性カルシウムサリシレートをカルシウム濃度換算で1300〜2000質量ppm;
(C)摩耗防止剤として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン濃度換算で400〜1000質量ppm;
(D)非金属系酸化防止剤を0.1〜5質量%;
(E)分散剤として、ビスタイプのコハク酸イミドまたはその誘導体を窒素濃度換算で500〜1500重量ppm。
このとき、上記(A)の合成系潤滑油基油は、(1)100℃における動粘度が3〜20mm2/sのポリαオレフィンを65〜95質量%と、(2)100℃における動粘度が3〜10mm2/sであって、ネオペンチル骨格をもつ多価アルコールと飽和脂肪酸とのエステル化合物である脂肪酸エステルを5〜35質量%とからなることが好ましく、上記(B)の金属型清浄剤は、全塩基価100〜200mgKOH/gの塩基性カルシウムサリシレートであることが好ましく、上記(C)の摩耗防止剤は、炭素数4〜12のプライマリータイプのアルキル基を分子中にもつジアルキルジチオリン酸亜鉛であることが好ましく、上記(D)の非金属系酸化防止剤が、高分子ヒンダードフェノール化合物であることが好ましい。
そして、本発明のガスエンジン油は、硫酸灰分量が0.8重量%以下であることが好ましい。
【0010】
上記(A)の合成系潤滑油基油を構成する一方の成分(1)のポリαオレフィンは、炭素数3〜12のα−オレフィンの重合体であるα−オレフィンオリゴマーであり、100℃における動粘度(JIS−K−2283−5)が3〜20mm2/s、好ましくは5〜15mm2/s、より好ましくは7〜12mm2/sのものである。
【0011】
他方の成分(2)の脂肪酸エステルは、アルコール化合物と脂肪酸とのエステル化合物である。
このアルコール化合物は、多価アルコールが好ましく、ネオペンチル骨格をもつものがより好ましい。ネオペンチル骨格をもつ多価アルコールは、例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ジペンタエリスリトールが挙げられ、ペンタエリスリトールが好ましい。
これらのアルコール化合物とエステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸が好適である。脂肪酸の炭素数は特に限定されず、脂肪酸エステルの100℃における動粘度(JIS−K−2283−5)が3〜10mm2/s、好ましくは3.5〜9mm2/s、より好ましくは4〜8mm2/sのものが適している。
【0012】
(A)の合成系潤滑油基油は、成分(1)を基油中の割合として65〜95質量%、好ましくは75〜90質量%、より好ましくは78〜82質量%と、成分(2)を基油中の割合として35〜5質量%、好ましくは25〜10質量%、より好ましくは22〜18質量%とを配合したものである。
成分(2)が多すぎると耐熱性が悪くなり、少なすぎると各成分の溶解性が低下し、本発明のガスエンジン油の耐熱性、耐酸化性が悪くなる。
【0013】
上記(A)の合成系潤滑油基油に配合する必須成分の一つである(B)成分の金属型清浄剤としての塩基性カルシウムサリシレートは、炭素数10〜24のα−オレフィンであって、フェノールをアルキル化し、次いでコルベ−シュミット反応でカルボキシル基を導入した後、複分解等によりカルシウム塩としたものが使用される(イギリス特許第734,598号公報、イギリス特許第734,622号公報等参照)。
塩基性カルシウムサリシレートの全塩基価は、過塩素酸法(JIS−K−2501−7)による全塩基価が100〜200mgKOH/g、好ましくは120〜190mgKOH/g、より好ましくは160〜180mgKOH/gである。
このカルシウムサリシレートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルシウムサリシレートの配合割合は、カルシウム濃度換算で1300〜2000質量ppm、好ましくは1400〜1900質量ppm、より好ましくは1500〜1800質量ppmである。カルシウムサリシレートが少なすぎると耐熱性や耐酸化性が悪くなり、多すぎると硫酸灰分が増加する。
なお、金属型清浄剤として、上記の塩基性カルシウムサリシレートに代えて、塩基性スルフォネート、塩基性フェネートを使用すると耐熱性、耐酸化性が悪くなる。
【0014】
また、必須成分の一つである(C)成分の摩耗防止剤としてのジアルキルジチオリン酸亜鉛は、次の一般式(1)で表される。
式中、Rはアルキル基を示し、好ましくはプライマリータイプの炭素数4〜12、より好ましくはプライマリータイプの炭素数6〜10のアルキル基であり、同一分子内においてRは同一でも異なってもよい。炭素数が小さすぎると耐熱性、耐酸化性が不足し、大きすぎると耐摩耗性効果が得られなくなる。
【化1】
一般式(1)
Zn〔(RO)2PS2〕2
【0015】
ジアルキルジチオリン酸亜鉛の配合量は、リン濃度換算で、400〜1000質量ppm、好ましくは500〜950質量ppm、より好ましくは550〜900質量ppmである。配合量が少ないと優れた耐熱性、耐酸化性および耐摩耗性効果が得られず、多すぎると配合量に見合った効果が得られないばかりか、硫酸灰分が増加する。
【0016】
更に、必須成分の一つである(D)成分の非金属系酸化防止剤としては、高分子ヒンダードフェノール化合物、ナフチルアミン化合物、芳香族アミン化合物等が挙げられる。 中でも、高分子ヒンダードフェノール化合物が好ましく、より好ましくは平均分子量が200〜1200、好ましくは300〜700のものである。平均分子量が小さすぎると潤滑油使用温度で昇華し、良好な酸化防止性能が得られず、大きすぎると基油への溶解性が悪化する。
この高分子ヒンダードフェノール化合物は、例えば次の一般式(2),(3)で表されるものが使用され、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
【化2】
一般式(2)
(式中、R1、R2はHまたはt−ブチル基、nは1〜4の整数を示す。)
【化3】
一般式(3)
(式中、R1、R2はHまたはt−ブチル基を示し、R3はHまたは炭素数1〜20、好ましくは1〜16、より好ましくは1〜12のアルキル基を示し、直鎖であっても、分岐を持ってもよい。)
【0018】
非金属系酸化防止剤としての高分子ヒンダードフェノール化合物は、配合割合が0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜2質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%であり、0.1質量%未満では高分子ヒンダードフェノール化合物による耐酸化効果は小さくなり、5質量%より多くても効果の向上は得られず、経済的に不利となる。
【0019】
加えて、必須成分の一つである(E)成分の分散剤としてのビスタイプのコハク酸イミドは、下記の一般式(4)で表されるビスイミド等の化合物が使用でき、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(4)中、R1、R2は平均分子量800〜2600、好ましくは900〜2550、より好ましくは1200〜2500のポリブテニル基で、R1とR2は同一であっても異なってもよく、R3は炭素数2〜5のアルキレン基を表し、xは1〜10の整数である。
R1、R2の平均分子量が小さすぎると清浄性が悪くなり、大きすぎると低温流動性が悪くなる。
【0020】
【化4】
一般式(4)
【0021】
ビスタイプのコハク酸イミドの誘導体としては、ホウ素化合物で処理したもの等を挙げることができる。このホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸無水物、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸エステル、ホウ酸アミド、酸化ホウ素等が挙げられる。
【0022】
上記成分(E)の配合割合は、窒素濃度換算で500〜1500質量ppm、好ましくは600〜1400質量ppm、より好ましくは700〜1300質量ppmである。
配合割合が少な過ぎると清浄性、耐熱性、耐酸化性が悪くなり、逆に多過ぎると配合量に見合った清浄性効果が得られないばかりか、低温流動性が悪くなる。
なお、ビスタイプのコハク酸イミドに代えて、モノタイプのコハク酸イミドを配合すると、清浄性、耐熱性、耐酸化性が悪くなる。
【0023】
本発明のガスエンジン油の硫酸灰分量は、JIS K2272(1998)による試験方法によって測定された灰分量を意味し、0.8質量%以下が好ましく、0.4〜0.7質量%がより好ましい。
硫酸灰分量が多すぎると、清浄性、耐熱性や耐酸化性が低下する。
【0024】
本発明のガスエンジン油は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記した(B)〜(E)成分の他に、必要に応じて各種公知の添加剤、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属ホスホネート等の金属系清浄剤;アルケニルこはく酸イミド、ベンジルアミン、アルキルポリアミン等他の無灰型分散剤、リン系、硫黄系、アミン系、エステル系等の各種摩耗防止剤;モリブテンジチオホスフェート、モリブテンジチオカルバメート、長鎖脂肪族アミン、長鎖脂肪族酸、長鎖脂肪族酸エステル、長鎖脂肪族アルコール等の摩擦調整剤;ポリメタクリレート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネート等のフェノール系化合物、ナフチルアミン類やジアルキルジフェニルアミン類等の芳香族アミン化合物等の各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油脂、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛等の極圧剤;ステアリン酸を始めとするカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールのカルボン酸部分エステル、リン酸エステル等の各種錆止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール等の各種腐食防止剤;シリコーン油等の各種消泡剤等を1種単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。
【0025】
本発明のガスエンジン油の調製方法は、上記必須成分及び必要に応じて各種添加剤を適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定されるものではなく、合成系潤滑油基油に必須成分を順次混合してもよく、必須成分を予め混合したものを合成系潤滑油基油に混合してもよい。
また、各種添加剤についても、予め合成系潤滑油基油や必須成分に添加してもよいし、合成系潤滑油基油と必須成分とを混合した後に添加してもよい。
【0026】
以上の本発明のガスエンジン油は、家庭用、民生用(すなわち、病院、学校、スポーツセンター等の民間の施設用)、業務用、産業用等のコジェネレーションシステム、ガスヒートポンプシステム等におけるガスエンジンに使用できるが、特に発電容量が1000KW以下、好ましくは500KW以下のガスエンジンに好適に使用することができる。
【0027】
【実施例】
下記の成分を表1〜3に示す割合で配合してガスエンジン油を調製した。
なお、表1〜3中の各成分についての記号は、下記成分中カッコ内に記した略語であり、数値は、下記成分中カッコ内に記した単位による配合割合である。
【0028】
〔基油、必須成分及びその他添加剤〕
1.ポリαオレフィン(αO)(質量%で、基油中の割合)
100℃の動粘度が9.60mm2/s、40℃の動粘度が62.9mm2/sのものを使用した。
2.ペンタエリストールエステル(飽和)(EE飽和)(質量%で、基油中の割合)
100℃の動粘度が5.91mm2/s、40℃の動粘度が32.44mm2/sのものを使用した。なお、エステルを構成する脂肪酸は飽和脂肪酸を使用した。
3.ペンタエリストールエステル(不飽和)(EE不飽和)(質量%で、基油中の割合)
比較のために、動粘度は上記2と同じであるが、エステルを構成する脂肪酸は不飽和脂肪酸を使用した。
4.鉱油系基油(質量%で、基油中の割合)
100℃の動粘度が10.83mm2/s、40℃の動粘度が95.91mm2/sのものを使用した。
5.カルシウムサリシレート1(Ca1)(Ca換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
塩基価170mgKOH/gのカルシウムサリシレートを使用した。カルシウム含有量は5.8質量%であった。
6.カルシウムサリシレート2(Ca2)(Ca換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
塩基価60mgKOH/gのカルシウムサリシレートを使用した。カルシウム含有量は2.2重量%であった。
7.カルシウムサリシレート3(Ca3)(Ca換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
塩基価310mgKOH/gのカルシウムサリシレートを使用した。カルシウム含有量は11.4重量%であった。
8.カルシウムスルホネート(CaSu)(Ca換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
比較のために、塩基価300mgKOH/gのカルシウムスルホネートを使用した。カルシウム含有量は11.1質量%であった。
9.カルシウムフェネート(CaPh)(Ca換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
比較のために、塩基価260mgKOH/gのカルシウムフェネートを使用した。カルシウム含有量は8.7質量%であった。
10.ジアルキルジチオリン酸亜鉛1(TPZn1)(P換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
分子中に炭素数が8のプライマリータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。
11.ジアルキルジチオリン酸亜鉛2(TPZn2)(P換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
比較のために、分子中に炭素数が3と4のセカンダリータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。
12.ジアルキルジチオリン酸亜鉛3(TPZn3)(P換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
比較のために、分子中に炭素数が6のセカンダリータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。
13.酸化防止剤1(質量%で、ガスエンジン油中の割合)
平均分子量600の高分子ヒンダードフェノール化合物を使用した。
14.酸化防止剤3(質量%で、ガスエンジン油中の割合)
ジフェニルアミンを使用した。
15.コハク酸イミド1(SI1)(N換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
ポリブテニル基の平均分子量が800〜1500のビスタイプのポリアルケニルコハク酸イミドを使用した。窒素含有量は1.8重量%であった。
16.コハク酸イミド2(SI2)(N換算濃度での質量ppmで、ガスエンジン油中の割合)
比較のために、ポリブテニル基の平均分子量が600〜1000のモノタイプのポリアルケニルコハク酸イミドを使用した。窒素含有量は2.1重量%であった。
17.硫酸灰分量(質量%で、ガスエンジン油についての割合)
JIS K2272(1998)による試験方法によって測定した。
【0029】
〔評価試験〕
実施例および比較例のガスエンジン油の性能を以下に示す性能試験によって評価した。その結果を表1〜3に示した。
(1)ホットチューブ試験
JPI−5S−55−99に規定されるホットチューブ試験方法に準拠して評価を行った。なお、試験温度は330℃とし、ガラス管内に付着したラッカーを色見本と比較して、無色透明の場合を10点、黒色を0点として評点を付けた。評点が高いほど耐熱性および高温清浄性に優れることを意味する。
(2)酸化安定性試験
JIS K−2514に規定される内燃機関用潤滑油酸化安定度試験方法に準拠して評価を行った。なお、試験温度は165.5℃、試験時間は144時間として試験を実施し、試験前後の40℃における動粘度と全酸価(JIS K−2501)の変化率(%)によって評価した。変化率が小さいほど酸化安定性に優れることを意味する。
(3)耐NOx性試験
200mLのベッセルに、試験油を40mL入れ、銅および鉄触媒を添加し、140℃で、96時間、0.8%NOガス5.7L/hrと、加湿空気15L/hrとを試験油中に吹込んで、試験前後の40℃における動粘度と全酸価(JIS K−2501)の変化率(%)によって評価した。変化率が小さいほど耐NOx性に優れることを意味する。
【0030】
【表1の1】
【0031】
【表1の2】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
表1は、実施例1,2と比較例1〜7のガスエンジン油の性能試験結果を示しており、実施例1,2は、比較例1〜7に比べ、ホットチューブ試験の評点が5.5以上で良好、酸化安定性試験および耐NOx性試験での40℃粘度変化率および全酸価変化率ともに小さく、耐熱性、耐酸化性、耐NOx性に優れていることが判る。この結果から、本発明の優れた効果は、特定の合成系潤滑油基油に、特定の清浄剤(カルシウムサリシレート)、摩耗防止剤(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)、酸化防止剤、特定のコハク酸イミドまたはその誘導体を特定量配合することによって初めて実現できるものであることが明らかである。
【0035】
表2は、実施例3と参考例1のガスエンジン油の性能試験結果を示しており、実施例3は、本発明における(A)成分の合成系潤滑油基油中の必須の(2)成分の脂肪酸エステルとして飽和脂肪酸エステルを使用したもの、参考例1は、不飽和脂肪酸エステルを使用したものであり、実施例3は、参考例1に比べ、ホットチューブ試験の評点、酸化安定性試験および耐NOx性試験での40℃粘度変化率および全酸価変化率ともに良好であり、耐熱性、耐酸化性、耐NOx性に優れていることが判る。
【0036】
表3は、実施例4と参考例2〜6のガスエンジン油の性能試験結果を示しており、実施例4は、本発明における(A)成分の合成系潤滑油基油中の必須の(2)成分の脂肪酸エステルとして飽和脂肪酸エステル、(B)成分として塩基価170mgKOH/gのカルシウムサリシレート、(C)成分として炭素数8のプライマリータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛、(D)成分として平均分子量600の高分子ヒンダードフェノール化合物を使用したものであり、これらの成分の何れか一つを含まない参考例2〜6に比して、ホットチューブ試験の評点、酸化安定性試験および耐NOx性試験での40℃粘度変化率および全酸価変化率ともに良好であり、耐熱性、耐酸化性、耐NOx性に優れていることが判る。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のガスエンジン油は、特定の成分を配合した基油を用いるものであって、次のような効果を奏することができる。
(1)このような基油に対し、ガスエンジン油に要求される各種の特性を付与すべく、各種の成分を配合するが、この成分の配合量を従来公知のガスエンジン油に比して低減することができる。
(2)各種成分の配合量を低減できる結果として、低灰分のガスエンジン油を提供することができる。
(3)各種成分の配合量を低減しても、ガスエンジン油に要求される各種の特性は、従来公知のガスエンジン油に比して何ら遜色ないものである。
Claims (5)
- (A)合成系潤滑油基油として、(1)ポリαオレフィンと、(2)ペンタエリスリトールと飽和脂肪酸とのエステルを使用し、
該基油に、少なくとも下記の成分が含有されていることを特徴とするガスエンジン油。
(B)金属型清浄剤として、塩基性カルシウムサリシレートをカルシウム濃度換算で1300〜2000質量ppm;
(C)摩耗防止剤として、ジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン濃度換算で400〜1000質量ppm;
(D)非金属系酸化防止剤として、高分子ヒンダードフェノール化合物を0.1〜5重量%;
(E)分散剤として、ビスタイプのコハク酸イミドまたはその誘導体を窒素濃度換算で500〜1500重量ppm。 - (A)の合成系潤滑油基油が、(1)100℃における動粘度が3〜20mm2/sのポ
リαオレフィンを65〜95質量%と、(2)100℃における動粘度が3〜10mm2
/sのペンタエリスリトールと飽和脂肪酸とのエステルを5〜35質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載のガスエンジン油。 - (B)金属型清浄剤が、全塩基価100〜200mgKOH/gの塩基性カルシウムサリシレートであることを特徴とする請求項1または2に記載のガスエンジン油。
- (C)摩耗防止剤が、炭素数4〜12のプライマリータイプのアルキル基を分子中にもつジアルキルジチオリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガスエンジン油。
- 硫酸灰分量が、0.8質量%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガスエンジン油。
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