JP4207107B2 - Icテスタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被試験対象、例えば、コンパレータ、A/D変換器、D/A変換器、オーディオIC、LSI等を試験するICテスタに関し、ノイズの影響を抑えて試験することができるICテスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ICテスタは、IC、LSI等の被試験対象(以下DUT)に試験信号を与え、DUTの出力により、DUTの良否の判定を行っている。このような装置を図6に示し説明する。
【0003】
図6において、本体1は、図示しない制御部、信号発生部、測定部等が設けられ、装置全体の制御、信号の発生、信号の測定等を行う。
【0004】
テストヘッド2は、本体1とケーブル3,4により接続し、ドライバ、コンパレータ等を有すピンエレクトロニクスボード(図示せず)が複数設けられる。
【0005】
パフォーマンスボード5は、テストヘッド2と電気的に接続し、ピンエレクトロニクスボードと電気的に接続し、DUT6が取り付けられ、電気的に接続する。ここで、通常、DUT6がパッケージの場合は、パフォーマンスボード5にはソケットが設けられ、DUT6がウェハーの場合は、パフォーマンスボード5にはプローブが設けられている。
【0006】
さらに電気的接続関係を、図7を用いて説明する。図7において、本体1の出力ピン11が、ケーブル3、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、DUT6の入力端に電気的に接続する。そして、本体1の入力ピン12が、ケーブル4、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、DUT6の出力端に電気的に接続する。
【0007】
このような装置の動作を以下に説明する。ここで、DUT6はアナログ入出力する装置とする。
【0008】
テストヘッド2は、図示しない搬送装置(ハンドラ、プローバ等)に接続され、搬送装置がDUT6を搬送して、パフォーマンスボード5に電気的に接続する。
【0009】
本体1が、出力ピン11からアナログの試験信号(交流)を出力し、ケーブル3、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、DUT6の入力端に入力する。そして、DUT6は、入力した試験信号に基づいて、アナログ信号(交流)を出力し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2、ケーブル4を介して、本体1の入力ピン12に入力する。そして、本体1は、DUT6からの信号に基づいて、良否の判定を行う。
【0010】
そして、搬送装置が、DUT6を切り替えて、パフォーマンスボード5に電気的に接続する。このような動作を繰り返し、DUT6の試験を行う。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような装置では、搬送装置と接続するためにケーブル3,4が長く、本体1からテストヘッド2までのケーブル3,4にグランドループによるコモンノイズの飛び込みがある。この対策として、本体1、テストヘッド2の信号を受ける部分で信号とグランドとをフローティングにより受け、コモンノイズの影響を防止している。
【0012】
従来のDUT6の試験においては、THD(Total Harmonic Distortion)+N(Noise)やS/Nが80[dB]までの試験で、フローティングによるノイズ対策で問題が発生していなかった。しかし、近年、携帯電話やデジタルサウンド機器(CD、MD、DVD等のオーディオ機器)に用いられるICやLSI等の高精度化により、THD+NやS/Nが100[dB]までの試験を行う必要が生じ、フローティングによるコモンノイズの防止では防止できない低ノイズの問題が発生した。
【0013】
また、本体1、テストヘッド2、パフォーマンスボード5で、テスタをコントロールする時に発生するデジタルノイズ、主にパルス性ノイズの飛び込みがある。測定するまで、テスタの制御を止めていれば、デジタルノイズが発生せず、ノイズ問題はないとされていた。しかし、測定時に制御動作を行うため、デジタルノイズが発生し、測定誤差になっていた。例えば、A/D変換器、D/A変換器、コンパレータ等を試験する場合、パルス性ノイズにより良品を不良品と判定してしまっていた。
【0014】
そこで、本発明の目的は、ノイズの影響を抑えて試験することができるICテスタを実現することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、
本体から、ノイズが混入する第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、第1のアンプに試験信号を与え、第1のアンプの試験を行うICテスタにおいて、
前記パフォーマンスボードに設けられ、前記第1のアンプの出力を入力し、前記パフォーマンスボード、前記テストヘッド、ノイズが混入する第2のケーブルを介して、前記本体に信号を反転して出力する第2のアンプを設けたことを特徴とするものである。
【0016】
第2の本発明は、
本体から、ノイズが混入する第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、バランス変換回路に試験信号を与えバランス変換回路の試験を行うICテスタにおいて、
前記パフォーマンスボードまたは前記テストヘッドに設けられ、前記バランス変換回路の正相出力を入力し、ノイズが混入する第2のケーブルを介して、前記本体に信号を反転して出力する反転アンプと、
前記パフォーマンスボードまたは前記テストヘッドに設けられ、前記バランス変換回路の逆相出力を入力し、ノイズが混入する第3のケーブルを介して、前記本体に信号を出力するアンプと
を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
第3の本発明は、
被試験対象にデジタルの試験信号を与え、被試験対象のアナログ出力により、被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
パフォーマンスボードに設けられ、前記被試験対象のアナログ出力をプラス端子またはマイナス端子に入力し、本体からノイズが混入する第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、所望の電圧を、被試験対象のアナログ出力を入力する端子と逆のマイナス端子またはプラス端子に入力し、パフォーマンスボード、テストヘッド、ノイズが混入する第2のケーブルを介して、本体に出力するオペアンプを設けたことを特徴とするものである。
【0018】
第4の本発明は、
パフォーマンスボードに設けられる被試験対象にアナログの試験信号を与え、被試験対象の出力により被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
前記パフォーマンスボードに設けられ、本体から第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、前記試験信号をプラス端子またはマイナス端子に入力し、本体から第2のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、前記試験信号とほぼ同一経路を通過する所望の電圧を、試験信号を入力する端子と逆のマイナス端子またはプラス端子に入力し、試験信号として、被試験対象に出力するオペアンプを設けたことを特徴とするものである。
【0019】
第5の発明は、
パフォーマンスボードに設けられる被試験対象にアナログの試験信号を与え、被試験対象の出力により被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
テストヘッドに設けられ、本体から第1のケーブルを介して、前記試験信号をプラス端子またはマイナス端子に入力し、本体から第2のケーブルを介して、前記試験信号とほぼ同一経路を通過する所望の電圧を、試験信号を入力する端子と逆のマイナス端子またはプラス端子に入力し、試験信号として、被試験対象に出力するオペアンプを設けたことを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
[第1の実施例]図1は本発明の第1の実施例を示した構成図である。ここで、図6,7と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。なお、全体構成は図6と同様であることはいうまでもない。
【0022】
図1において、アンプ61が、DUT6に設けられ、本体1の出力ピン11とケーブル3、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、入力端に電気的に接続し、入力を1倍に増幅する。反転アンプ51は、パフォーマンスボード5に設けられ、DUT6のアンプ61の出力端に入力端を電気的に接続し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2、ケーブル4を介して、本体1の入力ピン12に電気的に接続し、入力を−1倍に増幅する。
【0023】
ここで、出力ピン11、入力ピン12に電気的に接続する本体1の信号発生部、測定部(図示せず)は、同一の電源により動作するものであることはいうまでもない。
【0024】
このような装置の動作を以下で説明する。本体1は、出力ピン11からアナログの試験信号(交流)をケーブル3に出力する。試験信号がケーブル3を通過するときに、試験信号にコモンノイズが混入する。コモンノイズが混入した試験信号が、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、DUT6の入力端に入力する。そして、DUT6のアンプ61は、入力した試験信号を1倍に増幅し、アナログ信号(交流)を出力する。
【0025】
このアナログ信号を、反転アンプ51は、−1倍に増幅し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、ケーブル4に出力する。アナログ信号が、ケーブル4を通過するときに、アナログ信号に再びコモンノイズが混入する。このとき、ケーブル3の通過時に混入したノイズが反転アンプ51で反転されているので、ケーブル4で混入するノイズと合わせて、ノイズがキャンセルされる。従って、ケーブル4から入力ピン12に入力されるアナログ信号は、ノイズが混入されていない信号が入力される。そして、本体1は、DUT6からの信号に基づいて、良否の判定を行う。
【0026】
このように、反転アンプ51により、入力側でケーブル3に混入されたコモンノイズが反転され、測定側のケーブル4で乗るノイズと逆位相の信号となるため、ノイズ同士が打ち消しあって、ノイズがない信号により試験を行うことができる。これにより、高精度の試験を行うことができる。
【0027】
低ノイズ対策として、従来、ケーブル3,4の位置関係の調整により、ノイズを抑えていたが、この調整は微妙であり、ノウハウを必要とした。また、試験環境が変化した場合もノイズが変化し、ノイズが増えてしまい、試験精度を悪化させていた。しかし、反転アンプ51により、ケーブル3,4の位置関係の調整が不要になり、ノウハウが必要なく、試験環境にも影響せずに、精度よく試験を行うことができる。
【0028】
ここで、コモンノイズについて説明したが、デジタルノイズの場合も、ノイズが混入する位置が異なるだけで、同じようにノイズがキャンセルされる。
【0029】
[第2の実施例]図2は本発明の第2の実施例を示した構成図である。ここで、前述と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。
【0030】
図2において、DUT7はBTL(Bridged Transless;バランス変換)回路で、パフォーマンスボード5上に設けられ、アンプ71、反転アンプ72を有する。アンプ71は、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、ケーブル3に入力端を電気的に接続し、1倍に増幅する。反転アンプ72は、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、ケーブル3に入力端を電気的に接続し、−1倍に増幅する。反転アンプ52は、パフォーマンスボード5上に設けられ、DUT7のアンプ71の出力端に入力端を電気的に接続し、−1倍に増幅する。アンプ53は、パフォーマンスボード5上に設けられ、DUT7の反転アンプ72の出力端に入力端を電気的に接続し、1倍に増幅する。
【0031】
ケーブル41は、反転アンプ52の出力端に、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、一端を電気的に接続し、他端を本体1の入力ピン13に電気的に接続する。ケーブル42は、アンプ53の出力端に、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、一端を電気的に接続し、他端を本体1の入力ピン14に電気的に接続する。ケーブル41,42はケーブル4を構成する。また、切り替え器により、1本のケーブル4を切り替えて、ケーブル41,42の代わりにする構成でもよい。
【0032】
ここで、図1に示す装置と同様に、出力ピン11、入力ピン13,14に電気的に接続する本体1の信号発生部、測定部は、同一の電源により動作するものであることはいうまでもない。
【0033】
このような装置の動作を以下に説明する。本体1は、出力ピン11からアナログの試験信号(交流)をケーブル3に出力する。試験信号がケーブル3を通過するときに、試験信号にコモンノイズが混入する。コモンノイズが混入した試験信号が、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、DUT7の入力端に入力する。そして、DUT7のアンプ71は、入力した試験信号を1倍に増幅し、アナログ信号(交流)を正相出力とする。また、DUT7の反転アンプ72は、入力した試験信号を−1倍に増幅し、アナログ信号(交流)を逆相出力とする。
【0034】
そして、反転アンプ52が、正相出力を−1倍に増幅し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、ケーブル41に出力する。正相出力が、ケーブル41を通過するときに、正相出力にコモンノイズが混入する。このとき、ケーブル3の通過時に混入したノイズが反転アンプ52で反転されているので、ケーブル41で混入するノイズと合わせて、ノイズがキャンセルされる。従って、ケーブル41から入力ピン13に入力される正相出力は、ノイズが混入されていない信号が入力される。
【0035】
また、アンプ53が、逆相出力を1倍に増幅し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、ケーブル42に出力する。逆相出力が、ケーブル42を通過するときに、逆相出力にコモンノイズが混入する。このとき、ケーブル3の通過時に混入したノイズがDUT7の反転アンプ72で反転されているので、ケーブル42で混入するノイズと合わせて、ノイズがキャンセルされる。従って、ケーブル42から入力ピン14に入力される逆相出力は、ノイズが混入されていない信号が入力される。
【0036】
そして、本体1は、DUT7からの正相出力、逆相出力に基づいて、良否の判定を行う。
【0037】
このように、DUT7の正相出力、逆相出力に、それぞれ反転アンプ52、アンプ53を設け、逆相出力側にもアンプ53を設けたので、出力負荷を同一にして、試験条件を同じにしたので、正確な試験を行うことができる。
【0038】
ここで、図1に示す装置と同様に、コモンノイズについて説明したが、デジタルノイズの場合も、ノイズが混入する位置が異なるだけで、同じようにノイズがキャンセルされる。
【0039】
[第3の実施例]図3は本発明の第3の実施例を示した構成図である。ここで、前述と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。
【0040】
図3において、ケーブル31,32は、ケーブル3を構成し、それぞれ本体1の出力ピン15,16に一端を電気的に接続する。DUT8は、パフォーマンスボード5上に設けられ、D/A変換器81を有する。D/A変換器81は、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、ケーブル31の他端に入力端を電気的に接続し、Lch、Rchの2系統出力を行う。
【0041】
オペアンプ54,55は、パフォーマンスボード5上に設けられ、それぞれ、D/A変換器81のLch、Rch出力端にプラス端を電気的に接続し、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、ケーブル32の他端にマイナス端子を電気的に接続する。ケーブル41,42は、それぞれオペアンプ54,55の出力端に一端を電気的に接続する。
【0042】
ここで、図1,2に示す装置と同様に、出力ピン16、入力ピン13,14に電気的に接続する本体1の信号発生部、測定部(図示せず)は、同一の電源により動作することはいうまでもない。
【0043】
このような装置の動作を以下に説明する。本体1は、出力ピン15からデジタルの試験信号を、ケーブル31、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、DUT8に出力する。DUT8のD/A変換器81は、試験信号に基づいて、Lch、Rchの2系統のアナログ信号を出力する。
【0044】
同時に、本体1は、入力ピン13,14と電源を同じにする出力ピン16から所望の電圧、ここでは、直流電圧0V(グランド以外)をケーブル32に出力する。出力ピン16からの電圧がケーブル32を通過するときに、コモンノイズが混入し、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、オペアンプ54,55のマイナス端に入力する。
【0045】
そして、オペアンプ54が、D/A変換器81のLch出力をプラス端に入力し、ケーブル32を通過した電圧がマイナス端に入力しているので、ケーブル32を通過した電圧に混入しているノイズが逆位相で、Lch出力に混入し、出力される。同様に、オペアンプ55が、D/A変換器81のRch出力をプラス端に入力し、ケーブル32を通過した電圧がマイナス端に入力しているので、ケーブル32を通過した電圧に混入しているノイズが逆位相で、Rch出力に混入し、出力される。
【0046】
オペアンプ54,55の出力が、それぞれケーブル41,42を通過するときに、出力にコモンノイズが混入する。このとき、ケーブル32を通過した電圧に混入したノイズが、オペアンプ54,54の出力に逆位相で混入しているので、ケーブル41,42で混入するノイズと合わせて、ノイズがキャンセルされる。従って、ケーブル41,42から入力ピン13,14に入力される出力は、ノイズが混入されていない信号が入力される。そして、本体1は、DUT8からの出力に基づいて、良否の判定を行う。
【0047】
このように、試験信号がデジタルで、ノイズが関係ない場合でもノイズを混入した信号をオペアンプ54,55に入力し、DUT8の出力に逆位相のノイズをミックスする。この結果、ケーブル41,42に乗るノイズと打ち消しあって、ノイズのない信号により試験を行うことができる。
【0048】
ここで、図1,2に示す装置と同様に、コモンノイズについて説明したが、デジタルノイズの場合も、ノイズが混入する位置が異なるだけで、同じようにノイズがキャンセルされる。
【0049】
[第4の実施例]図4は本発明の第4の実施例を示した構成図である。ここで、前述と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。
【0050】
図4において、DUT9は、パフォーマンスボード5上に設けられ、アンプ91を有する。アンプ91は、パフォーマンスボード5、テストヘッド2、ケーブル3を介して、本体1の出力ピン11に入力端を電気的に接続し、入力を2倍に増幅する。反転アンプ56は、パフォーマンスボード5上に設けられ、DTU9のアンプ91の出力端に入力端を電気的に接続し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2、ケーブル4を介して、本体1の入力ピン12に電気的に接続し、入力を−1/2倍に増幅する。
【0051】
このような装置の動作を以下に説明する。本体1は、出力ピン11からアナログの試験信号(交流)をケーブル3に出力する。試験信号がケーブル3を通過するときに、試験信号にコモンノイズが混入する。コモンノイズが混入した試験信号が、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、DUT9の入力端に入力する。そして、DUT9のアンプ91は、入力した試験信号を2倍に増幅し、アナログ信号(交流)を出力する。このとき、ノイズも2倍に増幅される。
【0052】
このアナログ信号を、反転アンプ56は、−1/2倍に増幅し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2を介して、ケーブル4に出力する。これにより、ノイズは元の倍率に戻される。アナログ信号が、ケーブル4を通過するときに、アナログ信号に再びコモンノイズが混入する。このとき、ケーブル3の通過時に混入したノイズが反転アンプ56で反転されているので、ケーブル4で混入するノイズと合わせて、ノイズがキャンセルされる。従って、ケーブル4から入力ピン12に入力されるアナログ信号は、ノイズが混入されていない信号が入力される。そして、本体1の入力ピン12に入力される信号は、DUT9のアンプ91の出力より1/2倍となっているので、元の倍率にする演算等を施して、良否の判定を行う。
【0053】
このように、DUT9の内部で、試験信号を所望の倍率で増幅しても、反転アンプ56で、元の倍率に戻すので、ノイズの影響を除去できる。
【0054】
ここで、図1〜3に示す装置と同様に、コモンノイズについて説明したが、デジタルノイズの場合も、ノイズが混入する位置が異なるだけで、同じようにノイズがキャンセルされる。
【0055】
[第5の実施例]図5は本発明の第5の実施例を示した構成図である。ここで、前述と同一のものは同一符号を付し説明を省略する。
【0056】
図5において、出力ピン17は、本体1に設けられ、ケーブル31の一端に電気的に接続する。オペアンプ57は、パフォーマンスボード5上に設けられ、プラス端をケーブル31の他端に電気的に接続し、マイナス端をケーブル32の他端に電気的に接続する。DUT10は、パフォーマンスボード5上に設けられ、抵抗R1,R2、コンパレータ101を有する。抵抗R1,R2は直列に接続され、電圧を分圧する。コンパレータ101は、プラス端をオペアンプ57の出力端に接続し、マイナス端を抵抗R1,R2の接続点に接続し、パフォーマンスボード5、テストヘッド2、ケーブル4を介して、出力端を本体1の入力ピン19に接続する。
【0057】
ここで、出力ピン16,17は、同一の信号発生部(同一電源)から出力されることはいうまでもない。
【0058】
このような装置の動作を以下に説明する。本体1は、出力ピン17からアナログの試験信号を、ケーブル31、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、オペアンプ57のプラス端に出力する。このとき、本体1、テストヘッド2の経路中で、テスタを動作させる時に発生するデジタルノイズ、パルス性ノイズが混入する。
【0059】
同時に、本体1は、出力ピン16から所望の電圧、ここでは、直流電圧0V(グランド以外)をケーブル32、テストヘッド2、パフォーマンスボード5を介して、オペアンプ57のマイナス端に入力される。このとき、同様に、本体1、テストヘッド2における信号の経路中で、テスタを動作させる時に発生するデジタルノイズが混入する。
【0060】
そして、オペアンプ57が、プラス端、マイナス端に入力する信号のノイズ同士によりノイズをキャンセルし、DUT10に出力する。DUT10のコンパレータ101は、試験信号と抵抗R1,R2の分圧とを比較し、ケーブル4を介して、入力ピン19に出力する。そして、本体1は、DUT10からの出力に基づいて、良否の判定を行う。
【0061】
例えば、被試験対象がA/D変換器で、ノイズが100[dB]のレベルのとき、影響を受ける場合は、A/D変換器が17[bit]以上の場合である。
【0062】
また、DUT10がコンパレータ101により構成された場合、デジタルノイズがパルス状ノイズのため、値が簡単に変わってしまい、良品が不良品と判定されてしまう。
【0063】
そこで、試験信号とほぼ同一経路でノイズが混入した電圧を、オペアンプ57に入力し、試験信号に逆位相のノイズをミックスする。この結果、ノイズが打ち消しあって、ノイズがない試験信号により、正確な試験を行うことができる。
【0064】
ここで、デジタルノイズについて説明したが、コモンノイズの場合も、ノイズが混入する位置が異なるだけで、同じようにノイズがキャンセルされることはいうまでもない。
【0065】
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、パフォーマンスボード5上に反転アンプ51,52,56、アンプ53、オペアンプ54,55,57を設ける構成を示したが、テストヘッド2内に設ける構成でもよい。
【0066】
また、DUTがアナログ入出力の場合、内部が増幅回路だけでない場合、図3,5に示す装置のオペアンプ54,55,57を組み合わせ、DUTの入出力側に設ける構成にしてもよい。
【0067】
そして、図3に示す装置のオペアンプ54,55のプラス端子とマイナス端子の接続関係を逆転させてもよい。この場合、オペアンプ54,55の出力が反転するので、本体1側で演算等を行い、被試験対象の良否の判定を行う構成にすればよい。
【0068】
さらに、アナログ信号として交流の場合について説明したが、直流の場合でもよいことはいうまでもない。なお、この場合、本体1でDUTが実際に出力する信号と異なる信号になるが、本体1側で演算する構成にすればよいことはいうまでもない。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、以下のような効果がある。
請求項1,によれば、アンプにより、試験信号に混入されたノイズが反転され、被試験対象の出力で乗るノイズと逆位相の信号となるため、ノイズ同士が打ち消しあって、ノイズがない信号により試験を行うことができる。
【0070】
また、ケーブルの位置関係の調整が不要になり、ノウハウが必要なく、試験環境にも影響せずに、精度よく試験を行うことができる。
【0071】
請求項によれば、バランス変換回路の正相出力、逆相出力に、それぞれ反転アンプ、アンプを設け、逆相出力側にもアンプを設けたので、出力負荷を同一にして、試験条件を同じにしたので、正確な試験を行うことができる。
【0072】
請求項によればノイズを混入した信号をオペアンプに入力し、被試験対象の出力に逆位相のノイズをミックスする。この結果、被試験対象の出力に乗るノイズと打ち消しあって、ノイズのない信号により試験を行うことができる。
【0073】
請求項4,5によれば、試験信号とほぼ同一経路でノイズを混入した信号と、ノイズを混入した信号とをオペアンプに入力し、試験信号に逆位相のノイズをミックスする。この結果、試験信号に乗るノイズと打ち消しあって、ノイズのない試験信号により試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示した構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示した構成図である。
【図3】本発明の第3の実施例を示した構成図である。
【図4】本発明の第4の実施例を示した構成図である。
【図5】本発明の第5の実施例を示した構成図である。
【図6】ICテスタの構成を示した図である。
【図7】従来のICテスタの構成を示した図である。
【符号の説明】
1 本体
3,31,32,4,41,42 ケーブル
6〜10 DUT
51,52,56 反転アンプ
53 アンプ
54,55,57 オペアンプ

Claims (5)

  1. 本体から、ノイズが混入する第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、第1のアンプに試験信号を与え、第1のアンプの試験を行うICテスタにおいて、
    前記パフォーマンスボードに設けられ、前記第1のアンプの出力を入力し、前記パフォーマンスボード、前記テストヘッド、ノイズが混入する第2のケーブルを介して、前記本体に信号を反転して出力する第2のアンプを設けたことを特徴とするICテスタ。
  2. 本体から、ノイズが混入する第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、バランス変換回路に試験信号を与えバランス変換回路の試験を行うICテスタにおいて、
    前記パフォーマンスボードまたは前記テストヘッドに設けられ、前記バランス変換回路の正相出力を入力し、ノイズが混入する第2のケーブルを介して、前記本体に信号を反転して出力する反転アンプと、
    前記パフォーマンスボードまたは前記テストヘッドに設けられ、前記バランス変換回路の逆相出力を入力し、ノイズが混入する第3のケーブルを介して、前記本体に信号を出力するアンプと
    を設けたことを特徴とするICテスタ。
  3. 被試験対象にデジタルの試験信号を与え、被試験対象のアナログ出力により、被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
    パフォーマンスボードに設けられ、前記被試験対象のアナログ出力をプラス端子またはマイナス端子に入力し、本体からノイズが混入する第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、所望の電圧を、被試験対象のアナログ出力を入力する端子と逆のマイナス端子またはプラス端子に入力し、パフォーマンスボード、テストヘッド、ノイズが混入する第2のケーブルを介して、本体に出力するオペアンプを設けたことを特徴とするICテスタ。
  4. パフォーマンスボードに設けられる被試験対象にアナログの試験信号を与え、被試験対象の出力により被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
    前記パフォーマンスボードに設けられ、本体から第1のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、前記試験信号をプラス端子またはマイナス端子に入力し、本体から第2のケーブル、テストヘッド、パフォーマンスボードを介して、前記試験信号とほぼ同一経路を通過する所望の電圧を、試験信号を入力する端子と逆のマイナス端子またはプラス端子に入力し、試験信号として、被試験対象に出力するオペアンプを設けたことを特徴とするICテスタ。
  5. パフォーマンスボードに設けられる被試験対象にアナログの試験信号を与え、被試験対象の出力により被試験対象の試験を行うICテスタにおいて、
    テストヘッドに設けられ、本体から第1のケーブルを介して、前記試験信号をプラス端子またはマイナス端子に入力し、本体から第2のケーブルを介して、前記試験信号とほぼ同一経路を通過する所望の電圧を、試験信号を入力する端子と逆のマイナス端子またはプラス端子に入力し、試験信号として、被試験対象に出力するオペアンプを設けたことを特徴とするICテスタ。
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