JP4206344B2 - 紙の製造方法及び歩留り向上剤 - Google Patents
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Description
本発明は、紙の製造方法及び歩留り向上剤に関し、詳しくは、微細繊維や填料の歩留りを著しく向上させることが可能な紙の製造方法及びその製造方法に使用することのできる歩留り向上剤である。
背景技術
紙の製造工程において、その生産性を高めるために、製紙工程のパルプスラリー中の微細繊維や填料等の歩留りを向上させることが強く要求されている。ここで、歩留りというのは、抄紙の際にワイヤーに形成されるパルプ層を通過しない微細パルプ及び填料等の固形分の割合を言い、前記固形分の量が多いほど歩留まりが良いと称する。
一方、紙を抄造する際、系外に排出する水を減少させるためにパルプスラリーの調製に白水を循環使用するクローズド化策が進められている。このクローズド化においては、抄紙後の白水を処理して再使用するので、製紙工程で紙中に歩留らずに白水中に残される微細繊維及び填料をできる限り少なくすることが重要となる。
上記微細繊維及び填料をより多く紙中に歩留めるために、シリカゾルとカチオン性又はアニオン性の高分子アクリルアミド系化合物等の添加剤とを歩留り向上剤としてパルプスラリーに添加する方法が種々提案されている。
例えば、
▲1▼填料内添紙におけるカチオン性澱粉とコロイド状ケイ酸の使用(特開昭57−51900号公報)
▲2▼カチオン又は両性炭水化物とアルミニウム変性コロイド状ケイ酸の使用(特開平2−19238号公報)
▲3▼カチオン性(メタ)アクリルアミド系化合物とコロイド状ケイ酸の使用(特開昭62−15391号公報)
▲4▼カチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤と珪酸アルミニウム又はアルミニウム変性コロイド状ケイ酸の使用(特表昭63−500190号公報)
▲5▼カチオン性アクリルアミド系化合物又はポリエチレンイミン等の歩留り向上剤とポリアルミニウム化合物及びコロイド状ケイ酸、アルミニウム変性コロイド状ケイ酸の使用(特表平1−502519号公報)
▲6▼カチオン性ポリアクリルアミド系歩留り向上剤を含むカチオン性合成化合物、アルミネート、及び無機コロイドの使用(特開平2−99692号公報)
▲7▼アルミニウム化合物、陽イオン重合体歩留り向上剤、及び比表面積が1050m2/g以上の重合体珪酸の使用(特公平6−11957号公報)
▲8▼水溶性陽イオンポリマーと水溶性ポリシリケート微細ゲルの使用(特開平2−229297号公報)
等が挙げられる。
上述のシリカゾルと添加剤とからなる組成物を歩留り向上剤として使用する方法を採用することにより抄紙時の歩留り向上効果はある程度認められるものの、十分ではなく、未だ改良の余地があった。
したがって、本発明の目的は、パルプスラリーにシリカゾルとカチオン性及び/又は両性化合物とを含有する組成物を歩留り向上剤として添加して抄紙する紙の製造方法において、前記パルプスラリー中の微細繊維及び填料等に対しても極めて高い歩留り効果を奏することが可能な方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記方法に好適に使用することのできる歩留り向上剤を提供することにある。
発明の開示
本発明者等は、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、ケイ酸ソーダと鉱酸とから得られたシリカゾルが、所定の濃度において特定範囲内の粘度を有するときには、その高濃度のシリカゾルをそのまま使用するにせよ、或いは希釈して使用するにせよ、そのようなシリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物とをパルプスラリーに添加混合することにより、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸との反応によって得られ、SiO2濃度[C]が15〜50g/Lにおいて25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下のシリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物とをパルプスラリーに添加して抄紙することを特徴とする紙の製造方法である。
尚、本明細書において、シリカゾルの粘度は東京計器製造所製BL型粘度計を使用してNo.1ローター、回転数60rpm及び25℃の測定条件にて測定した値である。
他の本発明は、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸との反応によって得られ、SiO2濃度[C]が15〜50g/Lであって、この濃度において25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下のシリカゾルを含有することを特徴とする歩留り向上剤である。
発明を実施するための最良の形態
<シリカゾル>
本発明におけるシリカゾルは、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸との反応によって得られたゾル液であり、そのゾル液におけるSiO2濃度[C]を15〜50g/Lに調整したときにおいて25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上、好ましくは、0.15×[C]mPa・s以上で且つ、15mPa・s以下であることが極めて重要である。
即ち、シリカゾルが珪酸ソーダ水溶液と鉱酸との反応によって得られたゾル液であっても、上記濃度範囲に調整されたそのゾル液の粘度が0.12×[C]mPa・sより低い場合、後で詳述するカチオン性化合物及び/又は両性化合物と共に前記シリカゾルをそのまま、又は希釈してパルプスラリーに添加しても、歩留り効果が向上せず、本発明の目的を達成することができない。また、シリカゾルが珪酸ソーダ水溶液と鉱酸との反応によって得られたゾル液であっても、上記濃度範囲に調整されたそのゾル液の粘度が15mPa・sより高い場合、シリカゾルの保存安定性が低下するばかりでなく、歩留り効果も頭打ちとなり、経済的に不利となる。
上記のように本発明におけるシリカゾルは、前記濃度に調整されたときの粘度が、従来の歩留り向上剤として使用されていたシリカゾルに対して相対的に高いことに特徴がある。即ち、従来使用されていたシリカゾルのSiO2濃度25g/Lにおける粘度は高くとも、2.5mPa・s未満である。
なお、本発明において、前記シリカゾルにおけるSiO2濃度の範囲は、シリカゾルの粘度を特定するための条件として規定されるのであって、パルプスラリーに添加する際のシリカゾルの濃度範囲を規定するのではない。その意味で、粘度を測定するときのシリカゾルの濃度を基準濃度と称することができる。即ち、本発明におけるシリカゾルは、後述するように、特定の濃度及び粘度を有する高濃度シリカゾルを製造した後に、これを希釈して保存し、使用される態様を含む。前記希釈に際する希釈の程度は、適宜に決定される。
本発明において使用されるシリカゾルにおいて、その基準濃度における粘度が高いのは、従来のシリカゾルに比べてシリカの重合がより進み、鎖状にシリカが結合してなる構造が増大したことによるものと推定される。そして、上記のように高度に発達した鎖状の構造を有するシリカを含有するシリカゾルと、カチオン性化合物及び/又は両性化合物とを共にパルプスラリーに添加した場合に、高い歩留り効果が奏されるものと推定される。
これに対して、コロイド状シリカ、或いはイオン交換樹脂によって得られる比較的低いSiO2濃度のシリカゾルは、前記濃度に対応する粘度は小さく、本発明におけるシリカゾルとは、明確に区別することができる。
本発明におけるシリカゾルは、その製造方法につき特に制限されるものではなく、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸水溶液を高濃度で反応させて、SiO2濃度[C]が100〜200g/Lに調製し、これを熟成することにより、この濃度において25℃で測定される粘度が0.06×[C]mPa・s以上で、30mPa・s以下である高濃度シリカゾルを調製し、次いで前記高濃度シリカゾルを希釈することによって好適に得ることができる。ここで、前記反応後に得られるシリカゾルのpHは1.3〜3、特に1.3〜2.5であると、100〜200g/Lもの高濃度でありながら容易にゲル化せずに安定なシリカゾルにすることができ、安定なシリカゾルであることによって熟成することが可能になる。
前記鉱酸としては、例えば、硫酸、塩酸等が挙げられ、特に硫酸が好適に用いられる。
珪酸ソーダ水溶液と鉱酸水溶液とを反応させる際のその珪酸ソーダ水溶液の濃度及び鉱酸水溶液の濃度は、得られる高濃度シリカゾルのSiO2濃度[C]が100〜200g/Lの範囲内になるように、適宜に決定される。好適な一例を挙げると、珪酸ソーダ水溶液は、その濃度として、通常の場合、一般式SiO2/Na2Oのモル比が2.5〜4.0であり、SiO2濃度が100〜300g/Lであり、好ましくは200〜290g/Lであり、鉱酸水溶液における鉱酸濃度は、通常、100g/L〜250g/Lであり、好ましくは150g/L〜220g/Lである。
珪酸ソーダ水溶液と鉱酸水溶液との反応は、これら両水溶液を通常、20〜40℃の温度範囲で常圧下に混合した後、熟成することにより進行する。好適には、激しく衝突混合することにより、部分ゲル化を起こさずに前記反応を進行させることができ、均一な混合物が得られる。
珪酸ソーダ水溶液と鉱酸水溶液との反応は例えば以下のようにして好適に行うことができる。
すなわち、上記鉱酸と珪酸ソーダ水溶液とを反応せしめて、前記範囲のSiO2濃度とpHとを有し、均一な高濃度シリカゾルを製造するために有効な方法として、図1に示すような、二つの原料供給管1,2の合流部3を有し、前記合流部にて一つの排出管4と連結してなるY字型の反応装置を使用し、鉱酸及び珪酸ソーダ水溶液をそれぞれ二つの原料供給管より同時に供給して衝突反応させ、排出管より取り出す方法が最適である。
また、上記Y字型の反応装置は、原料供給管内を流通する流体の流速を速め、衝突による反応を十分行わせるため、それぞれの供給管に絞り部1a,2aを設けることが好ましい。
前記方法において、原料供給管に各々供給される鉱酸と珪酸ソーダ水溶液との流速は10m/秒以上であることが好ましい。また、衝突により反応した反応生成物が合流部より1m/秒以上の流速で排出されるようにすることが好ましい。
かくして得られた高濃度シリカゾルは、SiO2濃度[C]が100〜200g/Lの範囲内に調製されている。
前記SiO2濃度[C]が100g/Lより小さい場合、その後の熟成の際にシリカの重合が十分に進まず、得られるシリカゾルの歩留り効果が十分に発揮できないことがある。また、SiO2濃度[C]が200g/L以上になるとゲル化が起こり易くなり、粘度の制御が困難となることがある。
熟成は、前記高濃度シリカゲルの粘度が、0.06×[C]mPa・s以上で、30mPa・s以下となるように、行われる。かかる粘度とするための熟成時間は、一般的には、30〜200分、特に好ましくは、60〜200分である。
この場合、前述したように、SiO2濃度[C]が100〜200g/Lの範囲内に調製されたシリカゾルのpHが3以下、好ましくは1.3〜3、特に好ましくは1.3〜2.5の範囲になるように、調整しておくと、その後の熟成においてシリカゾルをゲル化させること無く、シリカの重合を十分に行うことができる。
これに対して、希釈後のpHが3を超えるシリカゾルとして、例えば、前記▲8▼の文献において使用されるシリカゾルが挙げられるが、このシリカゾルは、その製造方法に起因して、製造直後より部分ゲルを含有するほどの不安定なものであり、上記高濃度シリカゾルを製造するのは困難である。また、仮に製造できたとしても、十分な時間をかけて熟成可能である安定なシリカゲルを得られず、その結果、濃度に対して高い粘度を有する経時的に安定したシリカゾルを得ることができない。
前記高濃度シリカゾルは、これを希釈して保存又はパルプスラリーに添加される。
前記高濃度シリカゾルは、保存を目的とする場合には、SiO2濃度[C]が15〜50g/Lとなるように、希釈するのがよい。このような濃度範囲となるように高濃度シリカゾルを希釈すると、保存安定性が良好となり、しかもシリカゾルの取り扱いが容易になるからである。なお、上記のように希釈されたシリカゾルは、25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下である。
また、本発明で使用するシリカゾルの前記濃度範囲におけるpHは、3以下、好ましくは1.5〜3、さらに好ましくは、1.5〜2.5であることが、保存安定性を向上するために好ましい。換言すると本発明におけるシリカゾルの前記濃度範囲におけるpHが3以下であると、長期にわたって前記シリカゾルがゲル化を起こさず、したがって、シリカゾルを調製してからパルプスラリーに添加するまでの貯蔵時間を長くとることができる。
したがって、本発明におけるシリカゾルは、前記した特定のSiO2濃度を有することにより、歩留り向上剤としての商業的流通が可能となる。
即ち、本発明によれば、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸との反応によって得られ、SiO2濃度[C]が15〜50g/Lであって、この濃度において25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下のシリカゾルを含有することを特徴とする歩留り向上剤が提供される。
上記15〜50g/LというSiO2濃度で保存している期間中、シリカゾルは条件によっては熟成(前記高濃度シリカゾルを調製する際の熟成を第1段熟成とすると、この段階での熟成は、第2段熟成である。)が進み、歩留り向上効果が一層向上する場合もある。この第2段熟成においては、重合により形成されたシリカの鎖状態が維持され、また場合によってはさらに重合が進んでシリカの鎖が伸びることもある。
上記の濃度を有するシリカゾルは、保存後にパルプスラリーに添加する場合は、前記濃度を有するシリカゾルをそのまま直接にパルプスラリーに後述するカチオン性化合物及び/又は両性化合物と共に添加することもできるが、また、パルプスラリーにより一層均一に添加するために、0.001g/L以上、15g/L未満、好ましくは0.001〜10g/Lの濃度に希釈して添加することが好ましい。
即ち、本発明によれば、SiO2濃度[C]が100〜200g/Lであって、25℃で測定される粘度が0.06×[C]mPa・s以上で、30mPa・s以下の高濃度シリカゾルを調製し、前記高濃度シリカゾルを希釈してSiO2濃度[C]が15〜50g/Lにおいて25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下のシリカゾルとして保存し、前記シリカゾルを更に希釈してカチオン性化合物及び/又は両性化合物と共にパルプスラリーに添加することを特徴とする紙の製造方法も提供される。
上記方法は、前記高濃度シリカゾルを15〜50g/Lの濃度に希釈し、これを更に希釈してパルプスラリーに添加する態様を示したが、本発明においては、そのシリカゾルの基準濃度における粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下である限り、該高濃度シリカゾルを一度に0.001g/L以上、15g/L未満、好ましくは0.001〜10g/Lとなるように希釈してパルプスラリーに添加する態様を含むものである。
<カチオン性化合物及び/又は両性化合物>
次に本発明に用いられるカチオン性化合物及び/又は両性化合物について説明する。
本発明に使用するカチオン性化合物としては、例えば▲1▼カチオン性澱粉、▲2▼カチオン性アクリルアミド系化合物、▲3▼一種又は二種以上のカチオン性単量体を重合することにより得られる高カチオン性重合体、▲4▼アミン−エピハロヒドリン樹脂、及び▲5▼ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂が挙げられ、また本発明に使用する両性化合物としては、例えば▲6▼両性澱粉、及び▲7▼両性アクリルアミド系化合物等が挙げられる。本発明においては、カチオン性化合物及び/又は両性化合物として、前記▲1▼〜▲7▼から選択される一種のグループに属する一種又は複数種の化合物を使用することができるし、また、前記▲1▼〜▲7▼から選択される二種以上のグループそれぞれに属する一種又は二種以上の化合物を使用することができる。
▲1▼カチオン性澱粉
本発明に使用するカチオン性澱粉としては、通常の澱粉、例えばとうもろこし澱粉、もちとうもろこし澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等をカチオン化剤でカチオン化することにより製造することができる。その際のカチオン化剤としては、ジメチルアミノエチルクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド等が用いられ、カチオン性基の置換度は0.01〜1.0、好ましくは0.02〜0.5である。
▲2▼カチオン性アクリルアミド系化合物
本発明に使用するカチオン性アクリルアミド系化合物としては、カチオン性単量体とアクリルアミド類とを共重合させて得られる共重合体、アクリルアミド系化合物のホフマン転位、マンニッヒ変性又はポリアミンによるアミド交換反応により得られる反応生成物を挙げることができる。
本発明に使用するカチオン性アクリルアミド系化合物を得る方法としては、カチオン性単量体とアクリルアミド類とを共重合させる方法が挙げられる。ここで用いられるカチオン性単量体としては、下記一般式(1)、(2)、(3)で示される化合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、及びジアリルアミン等が挙げられ、これらは単独でも用いられるが二種以上を併用することができる。
(但し、式中、Aは酸素又はNH、nは2〜4の整数、R1は水素原子又はメチル基、R2、R3、R4、R5、及びR6は同一又は異なる炭素数1〜3の低級アルキル基、X−及びY−は同一又は異なるアニオン性基を示す。)
(但し、式中、Aは酸素又はNH、nは2〜4の整数、R7は水素原子又はメチル基、R8及びR9は同一又は異なる炭素数1〜3の低級アルキル基を示す。)
(但し、式中、Aは酸素又はNH、nは2〜4の整数、R10は水素原子又はメチル基、R11及びR12は同一又は異なる炭素数1〜3の低級アルキル基、R13は低級アルキル基又はベンジル基、Z−はアニオン性基を示す。)
前記一般式(1)に対応するカチオン性単量体としては、2−ヒドロキシ−N,N,N,N’,N’−ペンタメチル−N′−(3−(メタ)アクリロイルアミノプロピル)−1,3−プロパンジアンモニウムジクロライド、2−ヒドロキシ−N−ベンジル−N,N−ジエチル−N′,N′−ジメチル−N′−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−1,3−プロパンジアンモニウムジブロマイドなどが挙げられる。
上記一般式(2)に属するカチオン性単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、上記一般式(3)に属するカチオン性単量体としては、上記一般式(1)で示されるカチオン性単量体を適当な4級化剤、例えばアルキルハライド、ジアルキルカーボネート、アルキルトシレート、アルキルメシレート、ジアルキル硫酸、ベンジルハライドなどにより4級化することにより得られ、例えばN−エチル−N,N−ジメチル−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アンモニウムブロマイド、N−ベンジル−N,N−ジメチル−(3−(メタ)アクリロイルアミノプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げられる。
さらには、前記のように一般式(2)に属するカチオン性単量体を前記4級化剤により4級化してからアクリルアミド類と重合反応を行うのみならず、アクリルアミド類と上記一般式(2)に属するカチオン性単量体等を重合反応させる途中又は重合反応後に上記4級化剤を用いて4級化することもできる。この場合全部を4級化しても良いが、一部を4級化しても良い。
本発明においては、上記一般式(1)、(2)、(3)で表されるカチオン性単量体のほかに、他のカチオン性単量体を用いることもできる。またN−ビニルホルムアミドをモノマーとして使用し、重合後加水分解してカチオン基を導入することもできる。
本発明で用いるカチオン性アクリルアミド系化合物に用いるアクリルアミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミドが挙げられる。また、これらの他にアクリルアミド類としては、N−エチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のN置換低級アルキルアクリルアミド等が挙げられ、これらを一種又は二種以上併用することができる。また、カチオン性単量体の水溶性を阻害しない程度に非イオン性単量体であるアクリルニトリル、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル等を併用することができる。
上記カチオン性単量体は、全単量体即ちカチオン性単量体とアクリルアミド類との全量に対し0.5〜90モル%用いられ、好ましくは5〜50モル%である。
本発明に用いられるマンニッヒ変性アクリルアミド系化合物は、アクリルアミド系化合物をホルムアルデヒド及びアミン類を用いて常法によりマンニッヒ変性することにより得られる。
アクリルアミド系化合物としては、前記のカチオン性アクリルアミド系化合物を使用することができる。上記マンニッヒ反応に用いられるアミン類として代表的なものとして、ジメチルアミン、ジエチルアミンのような脂肪族2級アミンが挙げられるが、さらに公知の1級アミンを併用しても良い。マンニッヒ変性率としては1モル%以上、好ましくは、10モル%以上が適当である。マンニッヒ変性率が、1モル%未満では十分な濾水性向上効果が得られない場合がある。なお、マンニッヒ変性率とは、アクリルアミド系化合物中のアミド基に対して用いられるホルムアルデヒド及びアミン類のモル%を示すものである。
▲3▼高カチオン性重合体
本発明に用いられる高カチオン性重合体に用いられるカチオン性単量体としては、前記カチオン性アクリルアミド系化合物に用いたカチオン性単量体が挙げられ、これらは単独でも用いられるが、二種以上を併用することもできる。なお、カチオン性単量体は90モル%以上使用していればよく、10モル%以下の範囲でアクリルニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチルエステル、及び(メタ)アクリル酸エチルエステル等の非イオン性単量体、アクリル酸、及びメタクリル酸などのα、β−不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸などのα、β−不飽和ジカルボン酸、並びにスチレンスルホン酸、及びビニルスルホン酸などの不飽和スルホン酸及びそれらの塩類、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩等のアニオン性単量体を使用してもよい。
▲4▼アミン−エピハロヒドリン樹脂
本発明に用いられるアミン−エピハロヒドリン樹脂としては、アミン類とエピハロヒドリンとを反応させることにより得られる。アミン類として用いることのできるアミンは、分子中に少なくとも1個のエピハロヒドリンと反応可能なアミノ基を有するアミンであれば特に制限はないが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンよりなる群から選択された一種以上のアミンを用いることができる。前記アミン類は、少なくとも一種類の第二級アミンを含有することが好ましく、又、前記第二級アミンと、第二級アミン以外のアミン類、例えば、第一級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンよりなる群から選択された一種以上のアミン(以下「第一級アミン等」という)とを含有することが好ましい。前記第二級アミンとしては、例えば脂肪族第二級アミン、芳香族第二級アミン、脂環式第二級アミン、及び環式第二級アミンが挙げられ、中でも脂肪族第二級アミンを好ましい例として挙げることができる。これらの第二級アミンは、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。脂肪族第二級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基を有するジアルキルアミンが挙げられ、具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、及びジベンジルアミン等が挙げられる。これらのジアルキルアミンの内では、ジメチルアミン及びジエチルアミンが特に好ましい。芳香族第二級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基が窒素原子に結合してなる、N−アルキルアニリン、N−アルキルトルイジン、若しくはN−アルキルナフチルアミン等が挙げられ、具体的には、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリン、N−ペンチルアニリン、N−ヘキシルアニリン、N−オクチルアニリン、N−デシルアニリン、N−ラウリルアニリン、N−ベンジルアニリン、N−メチルトルイジン、N−エチルトルイジン、N−プロピルトルイジン、N−ブチルトルイジン、N−ペンチルトルイジン、N−ヘキシルトルイジン、N−オクチルトルイジン、N−デシルトルイジン、N−ラウリルトルイジン、N−ベンジルトルイジン、N−メチルナフチルアミン、N−エチルナフチルアミン、N−プロピルナフチルアミン、N−ブチルナフチルアミン、N−ペンチルナフチルアミン、N−ヘキシルナフチルアミン、N−オクチルナフチルアミン、N−デシルナフチルアミン、N−ラウリルナフチルアミン、及びN−ベンジルナフチルアミン等が挙げられる。これらのN−アルキルアニリンの内、とくにN−メチルアニリン及びN−エチルアニリンが好ましい。芳香族第二級アミンとして、他には、芳香環が窒素原子に2個結合してなるアミンを挙げることができ、具体的には、ジフェニルアミン、N−フェニル−o−トルイジン、N−フェニル−m−トルイジン、N−フェニル−p−トルイジン、N−トルイル−o−トルイジン、N−トルイル−m−トルイジン、N−トルイル−p−トルイジン、N−フェニルアミノピリジン、N−トルイルアミノピリジン、N−フェニルナフチルアミン、及びN−トルイルナフチルアミン等を挙げることができる。これらのアミンの内では、ジフェニルアミンが特に好ましい。脂環式第二級アミンとしては、炭素環が窒素原子に1個又は2個結合してなるアミンを挙げることができ、具体的には、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−プロピルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘキシルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロヘキシルアミン、N−デシルシクロヘキシルアミン、及びN−ラウリルシクロヘキシルアミン等のN−アルキルシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロオクチルアミン、N−エチルシクロオクチルアミン、N−プロピルシクロオクチルアミン、N−ブチルシクロオクチルアミン、N−ヘキシルシクロオクチルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−デシルシクロオクチルアミン、及びN−ラウリルシクロオクチルアミン等のN−アルキルシクロオクチルアミン、並びにジシクロヘキシルアミン及びジシクロオクチルアミン等のジシクロアルキルアミンを挙げることができる。これらの脂環式第二級アミンの内では、ジシクロヘキシルアミンが特に好ましい。環式第二級アミンとしては、ピペラジン、ピペリジン、メチルピペリジン等が挙げられる。
第一級アミン類としては、例えば、脂肪族第一級アミン、芳香族第一級アミン、及び脂環式第一級アミンを挙げることができ、これらの第一級アミンは、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。脂肪族第一級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基が窒素原子に結合してなる第一級アミンを挙げることができ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、N−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、2−ペンタンアミン、ヘキシルアミン、2−アミノヘキサン、3−アミノヘキサン、モノオクチルアミン、及びベンジルアミンを挙げることができる。これらの脂肪族第一級アミンの内では、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、N−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、及びtert−ブチルアミンが特に好ましい。芳香族第一級アミンとしては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、又は複合芳香環が窒素原子に結合してなる第一級アミンを挙げることができ、具体的には、アニリン、トルイジン、ビフェニルアミン、ナフチルアミン、アミノピリジン、アミノピコリン等が挙げられる。脂環式第一級アミン類としては、窒素原子に炭素環が結合してなる第一級アミンであり、具体的にはシクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン等が挙げられる。第三級アミン類としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、脂環式第三級アミンを挙げることができ、これらの第三級アミンは、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。脂肪族第三級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基が窒素原子に3個結合してなるアミンを挙げることができ、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−N−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、及びトリベンジルアミンを挙げることができる。これらの脂肪族第三級アミンの内では、トリメチルアミン及びトリエチルアミンが特に好ましい。芳香族第三級アミンとしては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、又は複合芳香環が窒素原子に少なくとも1個結合してなる第三級アミンを挙げることができ、具体的には、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチルトルイジン、ジエチルトルイジン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、N−メチルジトリルアミン、N−エチルジトリルアミン、トリフェニルアミン等が挙げられる。脂環式第三級アミン類としては、窒素原子に炭素環が少なくとも1個結合してなる第三級アミンを挙げるころができ、具体的にはジメチルアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルアミノメタン、ジメチルアミノシクロオクタン、ジシクロオクチルアミノメタン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロオクチルアミン等が挙げられる。ポリアルキレンポリアミン類としては、分子中に少なくとも2個以上の第1アミノ基と少なくとも1個以上の第2アミノ基とを有する化合物が挙げられ、その代表的な例を挙げると、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナンエチレンデカミン、トリエチレンビス(トリメチレン)ヘキサミンである。これらのポリアルキレンポリアミン類は一種のみ用いてもよく二種以上を併用してもよい。アルカノールアミン類としては、水酸基を有するアミン類を挙げることができ、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン等が挙げられる。これらのアルカノールアミン類は一種のみ用いてもよく二種以上を併用してもよい。第一級アミン等としては、前記の第一級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンの他、1以上の炭素環を有するジアミンも用いることができる。このようなジアミンとしては、例えば1,3−ジアミノシクロヘキシル、1,4−ジアミノシクロヘキシル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキサン、4,4’−ビス(パラアミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,3(又は2,4)−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、オクタヒドロ−4,7−メタノインデン−1(2),5(6)−ジメタンアミン、2,2’−ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−オキシビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−スルホンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、及び2,4’−又は4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラアルキルジシクロヘキシルアルカンを挙げることができる。第一級アミン等としては、更にアルキレンジアミンも用いることができる。アルキレンジアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びジメチルアミノプロピルアミン等を挙げることができる。
エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等を使用でき、これらは単独で又は二種以上を併用して用いることができる。
▲5▼ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂
本発明に用いられるポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂としては、ポリアルキレンポリアミンと二塩基性カルボン酸又はその誘導体との縮合物にエピハロヒドリンを反応させることにより得られる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びイミノビスプロピルアミン等を挙げることができる。二塩基性カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、及びドデカン二酸などの脂肪族二塩基性カルボン酸、並びにテレフタル酸、及びイソフタル酸等の芳香族二塩基性カルボン酸等が挙げられ、工業的には炭素数5〜10の脂肪族二塩基性カルボン酸が好ましく、特に炭素数5〜8の脂肪族二塩基性カルボン酸が好ましく、アジピン酸が更に好ましい。また、二塩基性カルボン酸誘導体としては、上記各酸の酸無水物、あるいは、上記各酸の、炭素数1〜5、特に炭素数1〜3の低級アルコール(メチル、エチル、及びプロピル等の低級アルキル)エステルが挙げられるが、工業的にはグルタル酸メチルエステル、及びアジピン酸メチルエステルが好ましい。エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等を使用でき、これらは単独で又は二種以上を併用して用いることができる。
▲6▼両性澱粉
本発明に使用する両性澱粉は、前記のカチオン性澱粉にトリポリ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、及びポリ燐酸ナトリウム等の燐酸塩、又は尿素と正燐酸塩とを反応させて製造することができる。
▲7▼両性アクリルアミド系化合物
本発明に使用する両性アクリルアミド系化合物としては、カチオン性単量体、アニオン性単量体及びアクリルアミド類を共重合させるか、アニオン性アクリルアミド系化合物のホフマン転位又はマンニッヒ変性、又はポリアミンによるアミド交換反応により得られる。
本発明に使用する両性アクリルアミド系化合物を得る方法には、カチオン性単量体、アニオン性単量体及びアクリルアミド類を共重合させる方法が用いられる。ここで用いられるカチオン性単量体としては、上記カチオン性アクリルアミド系化合物に用いたカチオン性単量体が挙げられ、これらは単独でも用いられるが、二種以上併用することもできる。
本発明で用いる両性アクリルアミド系化合物を得る際に用いるアクリルアミド類としては、前記カチオン性アクリルアミド系化合物に用いたアクリルアミド類が挙げられ、これらを一種又は二種以上併用することができる。また、水溶性を阻害しない程度に非イオン性単量体であるアクリルニトリル、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル等を併用することができる。
本発明で用いる両性アクリルアミド系化合物を得る際に用いるアニオン性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸などのα、β−不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸などのα、β−不飽和ジカルボン酸、スチレンスルホン酸、並びにビニルスルホン酸などの不飽和スルホン酸及びそれらの塩類、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらは一種又は二種以上を併用することができる。
本発明に用いられるマンニッヒ変性アクリルアミド系化合物は、前記アニオン性アクリルアミド系化合物をホルムアルデヒド及びアミン類を用いてマンニッヒ変性することにより得ることができる。
前記アニオン性アクリルアミド系化合物は前記の両性アクリルアミド系化合物で挙げたアニオン性単量体及びアクリルアミド類から得ることができる。アニオン性単量体の使用量は、全単量体すなわちアニオン性単量体及びアクリルアミド類の合計に対し20モル%以下、好ましくは12モル%以下であるのが適当である。20モル%を越えるときは十分な濾水性向上効果が得られないことがある。マンニッヒ反応に用いられるアミン類としては上記カチオン性アクリルアミド系化合物に用いたアミン類が使用できる。マンニッヒ反応のマンニッヒ変性率としては1モル%以上、好ましくは、10モル%以上が適当である。これが、1モル%未満では十分な濾水性向上効果が得られないことがある。なお、ここでいうマンニッヒ変性率とは、アクリルアミド系化合物中のアミド基に対して用いられるホルムアルデヒド及びアミン類のモル%を示すものである。
カチオン性化合物、及び両性化合物において、カチオン性澱粉、両性澱粉、カチオン性アクリルアミド系化合物、両性アクリルアミド系化合物が好ましい。さらにカチオン性澱粉及び/又は両性澱粉並びにカチオン性アクリルアミド系化合物及び/又は両性アクリルアミド系化合物を併用することが好ましい。
<歩留り向上剤>
本発明に係る歩留り向上剤は、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸との反応によって得られ、SiO2濃度[C]が15〜50g/Lであって、その濃度において25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で且つ15mPa・s以下のシリカゾルを含有する。シリカゾルについては既に説明をした。
この歩留り向上剤は、前記シリカゾルの外に、この発明の目的を阻害しない限りにおいて、以下の「(3)併用薬品」の欄に記載されたところの通常に使用されている他の製紙用薬品を何等制限無く含有することができる。
<製紙方法>
次に本発明の紙の製造方法について説明する。
本発明の製紙方法においては、シリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物とをパルプスラリーに添加して抄紙することを特徴とする。
(1) シリカゾルの添加率
本発明に係るシリカゾルの添加率は、パルプスラリー中のパルプを乾燥した時のその乾燥パルプの重量当たり、即ち対パルプ乾燥重量当たり、0.001〜1%であり、好ましくは0.002〜0.3%であり、更に好ましくは0.003〜0.2%である。ここで、添加率が0.001%未満である場合には十分な効果が得られないことがある。一方、経済的な面からは、添加率が1%を越えないことが好ましい。
カチオン性化合物及び/又は両性化合物の対パルプ乾燥重量当りの添加率は0.001〜5%、好ましくは0.002〜2%、更に好ましくは0.003〜1.5%の範囲である。
本発明に係るシリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物との添加率(固形分重量比)の比はパルプの種類等により異なるが、通常10/1〜1/100であり、好ましくは5/1〜1/50である。
(2)添加方法
パルプスラリーに、本発明に係るシリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物とを添加する方法としては、両者を予め混合することにより得られる一体の液(この液は、本発明に係る歩留り向上剤の一例である。)として添加しても良いし、別体にして同時に添加し、あるいは相前後して順次に添加してもよいが、カチオン性化合物及び/又は両性化合物を添加した後にシリカゾルを添加するのが好ましい。
上記添加方法において、シリカゾルのSiO2濃度は、添加時に前述した濃度となるように調整されればよい。
シリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物とを添加する場所としてはミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱、ファンポンプ入口/出口、スクリーン入口/出口、及び白水ピット等が挙げられ、いずれの場所にも添加することができるが、カチオン性化合物及び/又は両性化合物は、種箱及び/又はファンポンプの入口/出口に添加し、シリカゾルは、ファンポンプ入口/出口、及び/又はスクリーン入口/出口に添加することが好ましい。
(3)併用薬品
又、通常に使用されている他の製紙用薬品は何等制限無く使用できる。例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム及びポリアルミニウムシリケートサルフェート等の水溶性アルミニウム塩、酸化チタン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン及び尿素樹脂等の填料、アニオン性アクリルアミド系化合物、メラミンホルマリン系樹脂、尿素ホルマリン系樹脂、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロース等の紙力増強剤、溶液ロジンサイズ剤、酸性ロジンエマルションサイズ剤、中性ロジンエマルションサイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、α−ヒドロキシカルボン酸、ビス脂肪酸アミド及び合成サイズ剤(アルケニルコハク酸のケン化物)等のサイズ剤、紙厚向上剤、染料、蛍光染料、スライムコントロール剤、並びに消泡剤等の紙及び板紙の製造で使用される添加物を必要に応じて使用することができる。
また、従来から公知の歩留り向上剤及び濾水性向上剤も併用することができ、例えばアニオン性高分子量ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、スメクタイト、モンモリロナイト及びヘクトライト等のベントナイト類が挙げられる。
本発明においては更に、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、キャレンダー等により、澱粉、ポリビニルアルコール、染料、コーティングカラー、防滑剤、表面サイズ剤、ポリアクリルアミド系表面紙力剤等を必要に応じて紙及び板紙に塗布することもできる。
(4)パルプ原料、紙及び板紙の種類
上記種々の紙又は板紙を酸性から中性ないしアルカリ性のpH領域で製造するにあたって、パルプ原料として、クラフトパルプ及びサルファイトパルプなどの晒又は未晒化学パルプ、砕木パルプ及びサーモメカニカルパルプなどの晒又は未晒機械パルプ等の高収率パルプ、並びに新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙及び脱墨古紙などの古紙パルプの何れも使用することができる。又、上記パルプ原料と、石綿、ポリアミド、ポリエステル及びポリオレフィン等の何れかとの混合物も使用することができる。
本発明による製紙方法は、酸性及び中性条件で行なわれる紙及び板紙の製造において採用することができ、抄紙pH5〜9の弱酸性〜中性条件で行なうのが好ましい。
前記紙及び板紙等としては例えば、印刷筆記用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、圧着記録紙、書籍用紙、写真用原紙、印画紙、包装用紙、純白ロール紙、感圧原紙、感熱原紙、中質紙、難燃紙、新聞用紙、金属合紙、白板紙、石膏ボード原紙、ライナー、缶詰ライナー、中芯及び紙管原紙等を挙げることができる。
実施例
以下、実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。又以下の例において部とあるのは特に断りのない限り、固形分重量部を意味するものとする。
なお、実施例、比較例における実験方法は以下の通りに行った。
a)シリカゾルの製造:図1に示すY字管反応装置で、絞り部の管径(内径)1.2mmの珪酸ソーダ水溶液供給管、同じく絞り部の管径(内径)1.4mmの硫酸供給管、排出口径(内径)6mmの装置を用い、各実施例、比較例記載の特定のシリカゾルを製造した。
b)粘度測定
東京計器製造所製BL型粘度計を使用して、No.1ローター、60rpm及び25℃の測定条件で測定した。
c)pH測定
東亜電波工業株式会社製 HM−50Vを使用して測定した。
<シリカゾルの製造>
製造例1
濃度199.4g/Lの硫酸水溶液、0.97L/分,及びSiO2濃度289.6g/Lの珪酸ソーダ水溶液(SiO2/Na2O,モル比3.05),1.01L/分の流量をY字管反応装置へ供給し、シリカゾル10Lを得た。この時の反応部へ供給される硫酸及び珪酸ソーダ水溶液の流速は、各々、10.5m/秒,14.9m/秒で、排出時の流速は1.2m/秒であった。得られたシリカゾルは、そのSiO2濃度が147.7g/L、pHが1.4、粘度が4.8mPa・s、液温度が32℃であった。
上記のようにして得られたシリカゾルを液温度30℃で各々120分、及び200分間熟成(第1段熟成)して、高濃度シリカゾルを得た。この高濃度シリカゾルを85mL採取し、水417mLで希釈することによって、SiO2濃度25g/L、pH1.98のシリカゾルA、及びシリカゾルBをそれぞれ製造した。
上記シリカゾルA及びシリカゾルBを常温で放置し、保存安定性を確認した結果、シリカゾルAは35日間及びシリカゾルBは20日間、ゲル化することなく安定して扱うことができた。
製造例2
製造例1で得られたシリカゾルAを温度25℃で、それぞれ7日、及び28日間保存(第2段熟成)してシリカゾルC、及びDを得た。
製造例3(比較例用)
シリカゾルBを温度25℃で28日間保存(第2段熟成)してシリカゾルEを得た。
製造例4(比較例用)
硫酸濃度68.2g/L、SiO2濃度101.5g/Lの珪酸ソーダ水溶液とした以外はシリカゾルBと同様にシリカゾルFを製造した。第1段熟成をして得られたシリカゾルFのSiO2濃度は52.4g/Lであり、25℃で測定された粘度が2.3mPa・sであった。
製造例5
製造例1の第1段熟成前のシリカゾルを液温度30℃で、150分熟成して高濃度シリカゾル(粘度10.2mPa・s)を得た。次いで、この高濃度シリカゾルを85mL採取し、水229mLで希釈した。このシリカゾルを温度25℃で3日間保存(第2段熟成)してシリカゾルIを得た。得られたシリカゾルIのSiO2濃度は40g/L、pH1.92、粘度は6.1mPsであった。
シリカゾルA〜F、およびIの製造条件と物性値とを表1に示す。表中、比表面積はシアーズ法による滴定法により測定した。
また、シリカゾルA〜Fを紙の製造に供した。さらに、シリカゾルGとして市販のコロイダルシリカ(日産エカノーベル(株)製、BMAO)を、シリカゾルHとして市販のコロイダルシリカ(日産エカノーベル(株)製、BMA780)を紙の製造に供した。このシリカゾルG及びHの物性値を表1に示した。
<カチオン性、又は両性化合物の製造>
カチオン性又は両性化合物として表2に示す化合物A〜Hを紙の製造に供した。
実施例1
L−BKP(広葉樹晒クラフトパルプ)とN−BKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の比が90/10である混合パルプをカナディアン・スタンダード・フリーネス400に叩解し、得られたパルプスラリー100部に炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製、商品名「TP−121」)10部、硫酸バンド0.5部、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(日本PMC(株)製、商品名「AS263」)0.1部、化合物B 1部を順次に添加し、次いでシリカゾルA〜DおよびI 0.03部を添加し、均一に分散させて製紙原料スラリーとした。この製紙原料スラリーのpHは8.0であった。得られた製紙原料スラリーをタッピ・スタンダード・シートマシンを用いて坪量65g/m2となるように抄紙し、続いて得られた湿紙を圧縮脱水し、100℃で80秒間乾燥させた。
このように抄紙して得られた中性紙を23℃、相対湿度50%の条件で24時間調湿し、填料含有量を測定した。また抄紙時の白水の透過率を測定した。これらの結果を表3に示す。
尚、これらの測定は下記の方法に準じて行なった。
填料含有率:JIS P−8128に準拠して測定した。填料が炭酸カルシウムの場合、測定値を1.78倍して炭酸カルシウム含有率とした。
白水の透過率(RDDT):TAPPI PAPERMAKERS CONFERENCE P171(1985)に記載されているModified Hercules Dynamic Drainage Tester と同様の装置(直径約7.5cmの容器にパルプスラリーを注ぎ、攪拌下、マットを形成しないように下部から空気を送り、攪拌及び送気を停止すると同時に濾過される構造を有する)を用いてパルプスラリー300mLを容器に注ぎ濾液70mLを採取し、620nmにおける透過率を測定し、ファーストパスリテンションの指標とした。すなわち透過率が高い程、濾液が清澄であることを示し、微細繊維や填料の歩留りが高いことを示すものである。
白水の透過率は分光光度計U1000(日立製作所製)を用いて620nmにおける光透過率を測定した。
尚、前記中性紙は、例えば印刷筆記用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、書籍用紙等の一製造例に相当することがある。
比較例1
実施例1においてシリカゾルAの代わりにシリカゾルE〜Hを使用すること、又はシリカゾルを使用しないこと以外、同一条件で抄紙を行なった。得られた中性紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表4に示す。
実施例2
実施例1において化合物B 1部の代わりに化合物Cを0.02部使用すること以外、同一条件で抄紙を行なった。得られた中性紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表5に示す。
尚、前記中性紙は、例えば印刷筆記用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、書籍用紙等の一製造例に相当することがある。
比較例2
実施例2においてシリカゾルAの代わりにシリカゾルE〜Hを使用すること、又はシリカゾルを使用しないこと以外、同一条件で抄紙を行なった。得られた中性紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表6に示す。
実施例3
L−BKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、N−BKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、及び脱墨パルプの比が70/10/20である混合バルプをカナディアン・スタンダード・フリーネス350に叩解し、得られたパルプスラリー100部にタルク(日本タルク(株)製、商品名「タルクND」)20部、硫酸バンド1部、ロジン系サイズ剤(日本PMC(株)製、商品名「AL120」)0.3部、化合物A0.5部を順次に添加し、次いでシリカゾルA〜DおよびI 0.05部を添加し、均一に分散させて製紙原料スラリーとした。この製紙原料スラリーのpHは5.5であった。得られた製紙原料スラリーをタッピ・スタンダード・シートマシンを用いて坪量70g/m2となるように抄紙し、続いて得られた湿紙を圧縮脱水し、100℃で100秒間乾燥させた。このように抄紙して得られた弱酸性紙を23℃、相対湿度50%の条件で24時間調湿し、紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表7に示す。
尚、前記弱酸性紙は、例えば印刷筆記用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、書籍用紙等の一製造例に相当することがある。
比較例3
実施例3においてシリカゾルAの代わりにシリカゾルE〜Hを使用すること、又はシリカゾルを使用しないこと以外、同一条件で抄紙を行なった。得られた弱酸性紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表8に示す。
実施例4
L−BKP(広葉樹晒クラフトパルプ)とN−BKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の比が90/10である混合バルプをカナディアン・スタンダード・フリーネス450に叩解し、得られたパルプスラリー100部に炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製、商品名「TP−121」)20部、硫酸バンド1部、化合物A0.5部、化合物C〜H(添加率は表9中に示す)、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤(日本PMC(株)製、商品名「AS280」)0.05部及びシリカゾルA0.02部を順次に添加し、均一に分散させて製紙原料スラリーとした。この製紙原料スラリーのpHは7.8であった。得られた製紙原料スラリーをタッピ・スタンダード・シートマシンを用いて坪量70g/m2となるように抄紙し、続いて得られた湿紙を圧縮脱水し、100℃で100秒間乾燥させた。このように抄紙して得られた中性紙を23℃、相対湿度50%の条件で24時間調湿し、試験に供した。紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表9に示す。
尚、前記中性紙は、例えば印刷筆記用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、書籍用紙等の一製造例に相当することがある。
比較例4
実施例4においてシリカゾルAの代わりにシリカゾルHを使用すること、又はシリカゾルを使用しないこと以外、同一条件で抄紙を行なった。得られた中性紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表10に示す。
実施例5
段ボール古紙をパルプ濃度2%、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)370となるように叩解し、得られたパルプスラリー100部に硫酸バンド 0.5部、化合物C〜D1.0部、ロジン系サイズ剤(日本PMC(株)製、商品名「CC167」)0.3部、及びシリカゾルA 0.1部を順次に添加し、均一に分散させて製紙原料スラリーとした。この製紙原料スラリーのpHは6.1であった。得られた製紙原料スラリーをタッピ・スタンダード・シートマシンを用いて坪量80g/m2となるように抄紙し、続いて得られた湿紙を圧縮脱水し、110℃で90秒間乾燥させた。
このように抄紙して得られた手抄き紙を23℃、相対湿度50%の条件で24時間調湿し、試験に供した。紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表11に示す。尚、この実施例においては填料を使用していないが、原料のダンボール古紙中には10.2%の灰分(填料)が含まれていた。
上記手抄き紙は石膏ボード原紙、ライナー、中芯及び紙管原紙等の一製造例に相当することがある。
比較例5
実施例5においてシリカゾルAの代わりにシリカゾルHを使用すること、又はシリカゾルを使用しないこと以外、同一条件で抄紙を行なった。得られた手抄き紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表12に示す。
実施例6
実施例3のシリカゾルAを使用する場合において、硫酸バンド添加率を0.5部、1部又は2部と変えること以外同一条件で抄紙を行なった。これらの製紙原料スラリーのpHは硫酸バンド0.5部の場合がpH6.5、硫酸バンド1部の場合がpH5.5、硫酸バンド2部の場合がpH4.5であった。得られた手抄き紙の填料含有量を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表13に示す。尚、前記手抄き紙は、例えば印刷筆記用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、書籍用紙等の一製造例に相当することがある。
実施例7
実施例2のシリカゾルAを使用する場合において、表14に示す通り、化合物CとシリカゾルAの添加順序を変えること、又は、化合物Cの添加後に家庭用ミキサーにて10秒間強攪拌した後にシリカゾルAを添加する以外、同一条件で抄紙を行なった。得られた中性紙の填料含有量を測定した結果、地合い指数を測定した結果及び抄紙時の白水の透過率を測定した結果を表14に示す。
尚、地合い指数は野村商事(株)製フォーメーションテスターFMT2000を使用して測定した。数値が小さい程、紙の地合いが良いことを表す。
尚、前記中性紙は、例えば印刷筆記用紙、コート原紙、PPC用紙、インクジェット用紙、情報用紙、書籍用紙等の一製造例に相当することがある。
実施例8
実施例1において化合物Bの代わりに化合物Aを用い、シリカゾルAを用いることの外は、同一の条件で抄紙を行った。得られた中性紙の填料含有率は8.5%であり、抄紙時の白水の透過率(RDDT)は90.5%であった。
〈考察〉
実施例2及び実施例7の比較により、カチオン性化合物及び/又は両性化合物を先に添加し、シリカゾルを後に添加した方が歩留り効果の優れることが判る。さらにカチオン性化合物及び/又は両性化合物を添加後にせん断力を加えた後にシリカゾルを添加すると紙の地合いが良くなることが判る。
実施例3及び実施例6の比較により、硫酸バンド添加率が少なく、pHが高い方が歩留り効果が優れることが判る。
実施例1、実施例2及び実施例8の比較より、カチオン性化合物及び/又は両性化合物として両性澱粉又はカチオン性澱粉がカチオン性アクリルアミド系化合物又は両性アクリルアミド系化合物より優れることが判る。
実施例4より、カチオン性澱粉及び/又は両性澱粉に加えて他のカチオン性化合物及び/又は両性化合物を併用すると歩留り効果が向上することが判る。カチオン性澱粉及び/又は両性澱粉と併用するカチオン性化合物及び/又は両性化合物としてはカチオン性アクリルアミド系化合物、両性アクリルアミド系化合物の効果が優れることが判る。
産業上の利用可能性
本発明によると、特定の濃度と粘度とを有するシリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物とを併用することによって、優れた歩留り向上効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
図1は、Y字管反応装置を示す説明図である。
Claims (6)
- 以下の方法によって得られ、SiO2濃度[C]が15〜50g/Lにおいて25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下のシリカゾルとカチオン性化合物及び/又は両性化合物とをパルプスラリーに添加して抄紙することを特徴とする紙の製造方法。
方法
珪酸ソーダ水溶液と鉱酸水溶液を高濃度で反応させて、SiO 2 濃度[C]が100〜200g/Lに調製し、これを熟成することにより、この濃度において25℃で測定される粘度が0.06×[C]mPa・s以上で、30mPa・s以下である高濃度シリカゾルを調製し、次いで前記高濃度シリカゾルを希釈すること。 - 前記シリカゾルは、そのpHが3以下である、請求項1記載の紙の製造方法。
- 前記高濃度シリカゾルは、そのpHが1.3〜3である請求項1記載の紙の製造方法。
- 前記シリカゾルは、さらに希釈されてパルプスラリーに添加される前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙の製造方法。
- 以下の方法によって得られ、SiO2濃度[C]が15〜50g/Lであって、この濃度において25℃で測定される粘度が0.12×[C]mPa・s以上で、15mPa・s以下のシリカゾルを含有することを特徴とする歩留り向上剤。
方法
珪酸ソーダ水溶液と鉱酸水溶液を高濃度で反応させて、SiO 2 濃度[C]が100〜200g/Lに調製し、これを熟成することにより、この濃度において25℃で測定される粘度が0.06×[C]mPa・s以上で、30mPa・s以下である高濃度シリカゾルを調製し、次いで前記高濃度シリカゾルを希釈すること。 - 前記シリカゾルは、そのpHが3以下である請求項5記載の歩留り向上剤。
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