JP4205492B2 - 食品保存用シート - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用冷蔵庫内などで生鮮食品を保管するのに適した食品保存用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
精肉や鮮魚などの生鮮食品を保存するのに適した湿度は一般に70%(相対湿度)以上であり、この湿度で保管した生鮮食品は、味、風味が損なわれることなく長期間保存可能である。そのため、精肉や鮮魚の販売店では、食品陳列棚や食品陳列ケース内の湿度を70%以上に調整しているのが一般的である。
【0003】
消費者は前記生鮮食品を購入して家庭用の冷蔵庫に保管するが、家庭用の冷蔵庫内の湿度は15〜20%と低いために、前記生鮮食品を家庭用の冷蔵庫に保管すると、生鮮食品が乾燥し、味や風味が低下し、さらには水分の減少による質量の目減りや、変色を引き起こしやすい。
【0004】
また、トレイに生鮮食品を設置してその上を被覆する家庭用のラップフィルムとして、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やエチレン・ビリルアルコール共重合体(EVOH)などのいわゆるガスバリヤー性の樹脂を用いたものが普及しており、このラップフィルムで食品を覆うことで冷蔵庫内での食品の乾燥をわずかに防ぐことが可能である。しかし、この場合も、トレイとラップフィルムとの間の空間の湿度を70%以上の理想的な状態に維持することは難しく、長期間の保存により食品が乾燥することを避けることができない。
【0005】
以下の特許文献1には、食肉用調湿シートに関する発明が開示されている。
この食肉用調湿シートは、液体を保持可能な紙と紙の間に高分子吸収剤が挟まれ、さらに前記紙にグリセリンなどの調湿剤が含浸されている。また、食品と接触する表面では、前記紙が透水性のポリプロピレン不織布で被覆されている。
【0006】
この食品調湿シートで食肉を包み、その上から樹脂フィルムでシュリンク包装すると、食肉から発せられるドリップが前記食品調湿シート内の高分子吸収剤で吸収される。また前記保湿剤は包装体内の水分を吸収し、包装体内の湿度が乾燥気味になると、保湿剤が水分を放出して包装体内の湿度を調整できるというものである。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−39846号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記食肉用調湿シートは、それ自体に含まれる細菌を滅菌したり殺菌する対策が施されていないために、食品包装体を形成する前に食品用調湿シートの内部で細菌が繁殖するおそれがある。また食品包装体を形成した状態で、食肉から発せられるドリップが食肉用調湿シートに吸収されるが、このドリップ中の自由水が細菌の繁殖の温床となりやすく、食肉の鮮度を長時間保つのが困難となる。
【0009】
さらに、前記食肉用調湿シートは、グリセリンなどの調湿剤でガス中の水分を吸収し、包装体内の気相が乾燥状態になると前記調湿剤で吸収した水分を放出させるというものであるが、前記調湿剤がガス中から吸収できる水分は微少であるため、調湿剤から放出された水分で包装体内の湿度を十分に高く保つのは困難である。
【0010】
そのため、前記特許文献1に記載の発明では、広い面積の食肉用調湿シートを使用して前記食肉用調湿シートで食肉の全周囲を包むことが必要となっている。したがって、前記食肉用調湿シートをトレイに敷設し、その上に生鮮食品を載置してラップフィルムで包装した食品包装体を形成した場合、前記食肉用調湿シートが小さくなりすぎて、調湿剤から放出される水分によって包装体内の湿度を高く維持するのは困難である。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、シートに含まれる細菌を減少させまたは死活させることができ、また食品と共に包装したときに、包装体内の湿度を常に高い状態に維持できる食品保存用シートを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の食品保存用シートは、液吸収性のシート本体に、酸性またはプラスの酸化還元電位の少なくとも一方の性質を有する殺菌水が含浸されており、使用前の前記シート本体が、前記殺菌水を含浸した状態で、軟質または硬質の包装材で形成されて開口部が密閉されたケーシング内に封入され、前記シート本体を、前記開口部から取り出して食品包装体に使用することが可能とされていることを特徴とするものである。
【0013】
この食品用シートは酸性または酸化力を有する殺菌水を含んでいるため、シート本体での菌の繁殖を防止でき、この食品シートをトレイに敷設し生鮮食品とともにラップフィルムで包装した時点で、シート本体が清潔な状態を保てるようになる。また包装後は、前記殺菌水が包装体内に放出されて、包装体の内部の湿度を高く保てるようになる。
【0014】
本発明は、例えば、前記シート本体が、液吸収性シートと、前記液吸収性シートの食品接触面に積層された液透過性の表面層とを有するものである。
【0015】
シート本体の食品接触面に表面層が設けられていると、シート本体に含まれた水分が食品に付着しにくくなり、生鮮食品のシート本体との接触部の変色などを防止できる。
【0016】
例えば、前記表面層は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルムである。または、前記表面層が、合成樹脂繊維で形成された液透過性の不織布などであってもよい。
【0017】
本発明では、前記シート本体の保水最大量に対する、シート本体に含浸された殺菌水の質量比が、40%以上で90%以下であることが好ましい。
【0018】
シート本体に予め前記範囲の殺菌水を含ませておくと、食品と共にラップされた状態で、家庭用の冷蔵庫などに長期間保存されたときに、シート本体に含まれた水分によって食品包装体内の湿度を高く維持できる。
【0019】
本発明は、前記殺菌水が、電気分解された陽極水であり、好ましくは次亜塩素酸を含む水である。
【0020】
前記殺菌水は酸性で且つプラスの酸化還元電位で酸化力があり、殺菌能力を発揮できる。特に次亜塩素酸を含む殺菌水は優れた殺菌作用を呈する。
【0021】
あるいは、前記殺菌水は、オゾン水である。オゾン水は酸化作用があり、殺菌作用を発揮できる。
【0022】
陽極水、次亜塩素酸水、あるいはオゾン水は、初期に殺菌作用を奏するが、比較的短い時間で非活性化して中性に近い水となり、この水が包装体内に蒸発して湿度を高めるように機能する。このように殺菌水が比較的短い時間で非活性化するため、生鮮食品に悪影響を与えず、また食品の安全性を確保できる。
【0024】
前記ケーシングは軟質な包装袋であってもよいし、あるいはハードケースであってもよい。食品用シートはこのケーシング内に1枚ずつ収納され、あるいは複数枚が重ねられて収納されている。
【0025】
食品用シートがケーシング内に密閉されている状態で、前記陽極水、次亜塩素酸水、あるいはオゾン水などの殺菌水で食品用シートが殺菌されているため、保管時にシート内での菌の繁殖を防止できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の食品用シートを示す部分斜視図、図2(A)(B)(C)は、前記食品用シートを各実施の形態別に示す拡大断面図、図3は前記食品用シートがケーシングに封入された状態を示す断面図、図4は前記食品用シートを用いた食品包装体を示す断面図、図5は実施例の効果を示す説明図である。
【0032】
図1に示すシート本体1は、液吸収性シート2と、この液吸収性シート2の食品接触面側に積層された液透過性の表面層3とを有している。前記シート本体1の液吸収性シート2に、酸性またはプラスの酸化還元電位の少なくとも一方の性質を有する殺菌水が含浸されたものが食品用シート5として使用される。
【0033】
図3に示すように、使用前の食品用シート5はケーシング6内に密封されている。ケーシング6内には前記食品用シート5が複数枚収納されてシートパッケージ10が形成されている。なお、シートパッケージ10では、食品用シート5が1枚ずつ前記ケーシング6内に封入されていてもよい。
【0034】
前記ケーシング6は軟質な包装材で袋状に形成されたものであり、この袋体の内部に殺菌水を含んだ食品用シート5が収納された状態で、ケーシング6の開口部6aが閉じられている。例えば前記開口部6aにおいてケーシング6を形成する包装材が熱シールされて、ケーシング6の内部が密閉されている。あるいは、前記ケーシング6の開口部6aに開閉可能なジッパーが設けられ、1枚の食品用シート5を取り出した後に、前記ジッパーで開口部6aを再密封できるようにしてもよい。
【0035】
あるいは、前記ケーシング6がプラスチック材料で形成されたハードケースであり、ハードケースの開口部が蓋体で開閉自在とされ、蓋体を開放した状態で食品用シート5を1枚ずつ取り出せるようにしてもよい。
【0036】
使用前の食品用シート5がケーシング6内で密封されていることにより、殺菌水の蒸発を防止できる。またケーシング6内の食品用シート5に、酸性またはプラスの酸化還元電位の少なくとも一方の性質を有する殺菌水が含まれているため、食品用シート5は滅菌されまたは殺菌された状態を維持できるようになる。ケーシング6内で、食品用シート5に含まれている前記殺菌水が、酸性またはプラスの酸化還元電位を有する状態を長期間維持できるようにするためには、前記ケーシング6内に含まれる空気がなるべく少ないことが望ましい。したがって、前記ケーシング6は、軟質な包装材で形成され、食品用シート5が収納された状態で真空パックされているものなどが好ましく使用される。
【0037】
前記シートパッケージ10は、業務用として生鮮食品の販売業者に供給され、販売業者がケーシング6を開封して、前記食品用シート5が取り出され、この食品用シート5が生鮮食品とともに包装されて食品包装体が形成される。あるいは、前記シートパッケージ10が一般の消費者に購入され、家庭において、ケーシング6を開封して食品用シート5が1枚ずつ取り出され、この食品用シート5を使用して生鮮食品と共に包装されて食品包装体が形成されてもよい。
【0038】
図4は、前記食品用シート5を用いた食品包装体20の一例を示す断面図である。
【0039】
この食品包装体20は、業務用の使い捨て用のトレイや家庭にて反復して使用されるトレイなどのトレイ21の上に、前記食品用シート5が前記表面層3を上向きとして敷設され、この食品用シート5の上に、精肉や鮮魚などの生鮮食品22が設置される。そして、トレイ21の開口部からトレイの底部にかけてラップフィルム23で包まれる。このラップフィルム23としては、ポリエチレンフィルムやポリブタジエンフィルムなどを使用可能であるが、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やエチレン・ビリルアルコール共重合体(EVOH)などのいわゆるガスバリヤー性樹脂を含む樹脂フィルムを使用すると、食品包装体20内の空間24の湿度を高い状態に長期間維持しやすくなる。
【0040】
また、食品包装体20の形態として、トレイ21の開口部を覆う前記各樹脂フィルムで形成された蓋材が、トレイ21のフランジ部21aの表面に熱シールされたものであってもよい。
【0041】
前記食品用シート5を図3に示すシートパッケージ10内から取り出すまで食品用シート5が殺菌水により滅菌状態または無菌状態となっているため、食品包装体20を形成した直後も、前記滅菌状態または無菌状態を維持できるようになる。したがって、従来のように食品用シートに含まれている細菌が食品包装体20の内部に持ち込まれるのを防止できる。
【0042】
前記食品包装体20が保存されている状態で、生鮮食品22からドリップが滲出したときに、このドリップは食品用シート5の表面層3を透過して液吸収性シート2に吸収される。このときドリップ中に含まれる自由水が液吸収性シート2に含まれる酸性または酸化力の少なくとも一方の性質を有する殺菌水により滅菌されるため、この自由水が細菌の繁殖の温床になるのを防止できる。前記殺菌水が陽極水、次亜塩素酸水、あるいはオゾン水などであると、食品包装体20を形成した後の比較的短い時間を経過した時点で前記殺菌水が食品包装体20内の空気に触れることで非活性化されて中性に近い状態となる。この場合でも、前記ドリップが食品用シート5に含まれる非活性化水で希釈化されて中和されるため、長期間の保存においても細菌の繁殖を抑制できるようになる。また、殺菌水が非活性化されることにより、食品の変質などを防止でき、食品の安全性を確保できる。
【0043】
前記食品包装体20が、家庭用の冷蔵庫などのように内部の相対湿度が15〜20%程度の乾燥状態の雰囲気内に保存され、食品包装体20内の空間24の湿度が低下した場合には、食品用シート5に含まれている殺菌水または中和されて非活性化状態となった水分、さらには食品用シート5内で希釈されて中和されたドリップ中の自由水が空間24の内部に放出され、前記空間24の内部の湿度を例えば70%以上の高い状態に保つことができる。したがって、精肉や鮮魚などの味や風味を損なうのを防止できる。
【0044】
前記食品用シート5に予め含まれている殺菌水の量は、前記食品包装体20が温度4℃で相対湿度15%の雰囲気下で72時間保存された状態で、前記湿度が70%以上を維持していることが好ましく、さらには75%以上であることが好ましく、また85%以上を維持できることが最も好ましい。
【0045】
前記シート本体1の液吸収性シート2は、親水性で保水性のある層であり、不織布や紙で形成される。不織布は、パルプ、レーヨン、アセテートなどの親水性の繊維、またはアクリル、ウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの疎水性繊維で親水化剤によって浸水処理されたものが使用される。
【0046】
不織布の形態としては、エアレイド法でウエッブ化されてアクリル系接着剤で繊維どうしがバインドされたものや、スパンレース不織布などが使用される。また紙は、パルプを抄紙したもの、あるいはパルプとレーヨン繊維を抄紙したものなどが使用される。液吸収性シート2の目付けは10〜100g/m2の範囲であり、またはこれよりも大きくてもよい。
【0047】
また、液吸収性シート2として、セルローススポンジなどの、親水性樹脂で形成された発泡体を用いることもできる。
【0048】
前記表面層3は、疎水性樹脂で形成され且つ液透過性を有するものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのいずれか単成分の樹脂フィルムあるいは前記樹脂が積層されたラミネートフィルムで、多数の液透過孔3aが形成されたものが使用される。また前記樹脂フィルムとしてコルゲート加工されたものを使用すると、生鮮食品22と表面層3との実質的な接触面積を低下でき、生鮮食品22の変質をさらに防止しやすくなる。
【0049】
前記表面層3として使用される樹脂フィルムは、酸化チタンや酸化カルシウムあるいは硫酸バリウムなどの無機フィラーが混入されて白色化されたものが好ましく使用される。白色化された樹脂フィルムを用いることで、液吸収性シート2に吸収されたドリップの色を表面から見え難くできる。また表面層3を形成する樹脂フィルムの厚みは10〜100μmのものが使用される。
【0050】
前記液透過孔3aは、直径が例えば0.1〜2.0mmで、表面層3の面積に対する液透過孔3aの開孔面積率は例えば10〜80%程度のものが使用される。
【0051】
前記液透過孔3aの断面形状は、図2(A)に示すようにほぼ同じ開孔径で樹脂フィルムを貫通するもの、図2(B)に示すように開孔径が液吸収性シート2に向けて徐々に狭められたもの、図2(C)に示すように、樹脂フィルムの厚み方向へ向けて斜めに形成されたものなどが使用可能である。図2(B)または図2(C)に示す液透過孔3aが形成された表面層3は、液吸収性シート2に吸収されたドリップの色が表面から見たときに目立たなくなり、また液吸収性シート2から表面層3の表面へのドリップなどの液の滲出を防止しやすくなる。
【0052】
あるいは、前記表面層3として、合成樹脂繊維で形成された不織布に液透過孔を形成したもの、またはエアースルー不織布などのように繊維密度の低い不織布を使用することも可能である。
【0053】
食品用シート5に含浸させる殺菌水は、酸性またはプラスの酸化還元電位(酸化力)の少なくとも一方の性質を有するものである。前記殺菌水としては、例えば、pHが2.0〜6.5で、酸化還元電位(ORP)が+700〜+1150mVの酸性水が使用され、さらに好ましくはpHが2.0〜3.5で、ORPが+1000〜+1150mVの強酸性水が使用される。また、殺菌水としてプラスの還元電位を有するオゾン水を使用することができる。水に対するオゾン濃度を6〜10ppmとすることにより、ORPを+700mV〜1500mV程度に調整することが可能である。
【0054】
pHおよびORPが前記範囲内であると、食品用シート5に含まれた殺菌水の酸性と酸化力の少なくとも一方の性質により、滅菌または殺菌機能を高くでき、しかも生鮮食品22に直接触れても、生鮮食品22を変質させるなどの心配がなくなる。
【0055】
前記酸性水としては、水道水を電気分解して得られる陽極水を使用することができる。電気分解装置は、イオン交換膜を挟んで一方に陰極が他方に陽極が配置されたものであり、イオン交換膜よりも陽極側において反応した陽極水はpHが4〜6程度の酸性イオン水となる。
【0056】
また、前記酸性水として、電解質を含んだ水道水を電気分解して得られる塩素を含む電気分解水で、好ましくは次亜塩素酸水が使用される。電解質としてNaClまたはKClなどの塩素化合物が水道水に1〜5%程度の濃度で含まれた電解質溶液を用いて、前記電気分解装置で電気分解して得られた陽極水には、塩素が含まれ、また次亜塩素酸が含まれた強酸性水が得られる。また、電気分解により発生する塩素ガスが水に溶解されることによっても次亜塩素酸を含む強酸性水が得られる。塩素濃度が20〜60ppmであると、pHを3以下に調整できる。
【0057】
前記オゾン水は、イオン交換水などを電気分解して得られたオゾンを水道水や純粋に溶解させることにより製造される。また、このオゾン水に塩素ガスを溶解させて強酸性としたものを殺菌水として使用することも可能である。
【0058】
殺菌水として前記陽極水、次亜塩素酸水、またはオゾン水を使用すると、図3に示すパッケージ10から取り出されて図4に示す食品包装体20が形成された後に、殺菌水中の塩素やオゾンが食品包装体20内の空間内に放出されて非活性化された中性に近い水に戻り、その後はこの水が食品包装体20内の湿度の維持に寄与するようになって、食品へ影響を与え難いものとなる。
【0059】
前記食品用シート5に含浸させる殺菌水の量は、前記食品用シート5の吊下げ最大保水量に対して質量比で40%以上であることが好ましく、さらに好ましくは50%〜90%である。40%以上であると、4℃で相対湿度15%の環境下に食品包装体20を72時間放置したときに、食品包装体20内の空間24の相対湿度を70%以上に保ちやすくなる。また90%以下であると、図3に示すシートパッケージ10内から食品用シート5を1枚ずつ取り出す際に、食品用シート5から殺菌水が不用意に滴下されるのを防止できて取り扱いやすくなる。
【0060】
ここで、前記吊下げ最大保水量とは、室温に長時間放置しておいた乾燥状態の食品用シート5の質量Aを測定する。この食品用シート5を水の中に完全に浸るようにして3分間水を吸収させ、水中から取り出した食品用シート5を面が重力に向く姿勢で吊り下げる。シートから滴下される水が無くなった時点で、食品用シート5の質量Bを測定する。前記B−A(g/m2)が前記吊下げ最大保水量である。
【0061】
なお本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、シート本体1の構造として、液吸収性シート2の下面(生鮮食品と接触しない面)に、合成樹脂フィルムを積層して、液吸収性シート2に吸収された殺菌水やドリップがトレイ21に付着し難いようにしたものであってもよい。
【0062】
【実施例】
シート本体1の液吸収性シート2として、パルプをエアレイド法で積層し、アクリル系バインダーで繊維間を接合したエアレイドパルプで、目付けが60g/m2で、厚みが1.10mmにものを使用した。表面層3は、生鮮食品との接触面が高密度ポリエチレン(HDPE)で、液吸収性シート2側が低密度ポリエチレン(LDPE)のラミネートフィルムで、無機フィラーとしてTiO2が含まれた樹脂フィルムを使用した。液透過孔3aは、直径が0.60mm、配列ピッチが0.65mm、食品用シート5の面積に対する実質開孔面積率が20%のものを用いた。表面層3の目付けは24g/m2、厚みは25μmのものを用いた。前記液吸収性シート2と表面層3を、ホットメルト型接着剤で接着した。ホットメルト型接着剤はエマルジョンタイプであり、坪量3g/m2となるように塗布した。
【0063】
食品包装体20として、内容積が1000cm3のトレイ21に、65mm×160mmの前記食品用シート5を敷設し、生鮮食品として180gの牛赤身もも肉を設置し、ポリ塩化ビニリデン樹脂のラップフィルム23で包装した。
【0064】
前記食品用シート5に、pHが5.5で、酸化還元電位(ORP)が、+800mVの酸性水(次亜塩素酸水)を含浸させた。実施例として、食品用シート5の吊下げ保水量を100%としたときに、前記酸性水の含浸率が、質量比で90%(実施例1)、70%(実施例2)および50%(実施例3)のものを使用した。また、ブランク(比較例)として、食品用シート5に酸性水を含浸させないものを使用した。
【0065】
(性能評価)
各実施例と比較例の食品包装体を、温度4℃、相対湿度が15%の家庭用冷蔵庫内に120時間保存し、湿度測定器により食品包装体の内部空間の相対湿度を測定し続けた。図5に、横軸を保存時間、縦軸を食品包装体の内部空間の相対湿度として、各実施例および比較例での測定結果を示した。
【0066】
実施例1、実施例2および実施例3は、いずれも120時間経過後に湿度70%以上を維持できたのに対し、比較例は内部の湿度が30%以下に低下した。
【0067】
次に、120時間の保存が経過した後に、食肉の色、表面の照り度、臭い、硬さを10名の女性による官能評価で評価した。また食品用シート5に吸収されたドリップ量を食肉100g当たりに換算した。そして、前記評価に基づいて、食肉の食用可否を判断した。その結果を以下の表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004205492
【0069】
各実施例では、120時間経過後も、肉色が変化せずに表面の照り度が瑞々しく、臭気も肉特有の美味しさを感じさせるものであった。しかし、比較例では、肉が乾燥し、腐敗臭が感じられた。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明の食品用シートを用いて食品包装体を形成することにより、生鮮食品を家庭用の冷蔵庫などに保存する際に、味や風味を長期間維持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の食品用シートを示す部分斜視図、
【図2】食品用シートを実施の形態別に示す部分拡大断面図、
【図3】食品用シートがケーシングにパッケージされた状態を示す断面図、
【図4】食品用シートを用いた食品包装体を示す断面図、
【図5】実施例および比較例を家庭用冷蔵庫内に120時間保管したときに、食品包装体内の湿度変化を示す説明図、
【符号の説明】
1 シート本体
2 液吸収性シート
3 表面層
3a 液透過孔
5 食品用シート
6 ケーシング
10 シートパッケージ
20 食品包装体
21 トレイ
22 生鮮食品
23 ラップフィルム

Claims (8)

  1. 液吸収性のシート本体に、酸性またはプラスの酸化還元電位の少なくとも一方の性質を有する殺菌水が含浸されており、使用前の前記シート本体が、前記殺菌水を含浸した状態で、軟質または硬質の包装材で形成されて開口部が密閉されたケーシング内に封入され、前記シート本体を、前記開口部から取り出して食品包装体に使用することが可能とされていることを特徴とする食品保存用シート。
  2. 前記シート本体は、液吸収性シートと、前記液吸収性シートの食品接触面に積層された液透過性の表面層とを有する請求項1記載の食品保存用シート。
  3. 前記表面層は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルムである請求項2記載の食品保存用シート。
  4. 前記シート本体の保水最大量に対する、シート本体に含浸された殺菌水の質量比が、40%以上で90%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の食品保存用シート。
  5. 前記殺菌水は、電気分解された陽極水である請求項1ないし4のいずれかに記載の食品保存用シート。
  6. 前記殺菌水は、次亜塩素酸を含む水である請求項1ないし5のいずれかに記載の食品保存用シート
  7. 前記殺菌水は、オゾン水である請求項1ないし4のいずれかに記載の食品保存用シート。
  8. 前記シート基材は前記ケーシング内に複数枚収納されている請求項1ないし7のいずれかに記載の食品保存用シート。
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