JP4203755B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液を用いた二次電池に関するものである。
負極に炭素材料またはリチウム金属を用い、正極にリチウム含有複合酸化物を用いた非水電解液リチウムイオンまたはリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を実現できることから携帯電話、ノートパソコン用などの電源として注目されている。この二次電池においては、一般的に電極の表面には表面膜、保護膜、SEIまたは皮膜と呼ばれる膜が生成することが知られている。この表面膜は、充放電効率、サイクル寿命、安全性に大きな影響を及ぼすことから電極の高性能化には表面膜の制御が不可欠であることが知られている。つまり負極材料として炭素材料を用いたとき、その不可逆容量の低減が必要であり、リチウム金属負極においては充放電効率の低下とデンドライト生成による安全性の問題を解決する必要がある。
これらの課題を解決する手法として様々な手法が提案されてきている。例えば、リチウム金属を負極材料として用いた場合、その表面に、化学反応を利用してフッ化リチウム等からなる皮膜層を設けることによってデンドライトの生成を抑制することが提案されている。
特許文献1には、フッ化水素酸を含有する電解液にリチウム負極を曝し、負極をフッ化水素酸と反応させることによりその表面をフッ化リチウムの膜で覆う技術が開示されている。フッ化水素酸は、LiPF6および微量の水の反応により生成する。一方、リチウム負極表面には、空気中での自然酸化により水酸化リチウムや酸化リチウムの表面膜が形成されている。これらが反応することにより、負極表面にフッ化リチウムの表面膜が生成するのである。しかしながら、このフッ化リチウム膜は、電極界面と液との反応を利用して形成されるものであり、副反応成分が表面膜中に混入しやすく、均一な膜が得られにくい場合があった。また、水酸化リチウムや酸化リチウムの表面膜が均一に形成されていない場合や一部リチウムがむきだしになっている部分が存在する場合もあり、これらの場合には均一な薄膜の形成ができないばかりか、水やフッ化水素等とリチウムが反応することによる安全性の問題が生じていた。また、反応が不十分であった場合には、フッ化物以外の不要な化合物成分が残り、イオン伝導性の低下を招く等の悪影響が考えられる。更に、このような界面での化学反応を利用してフッ化物層を形成する方法では、利用できるフッ化物や電解液の選択幅が限定され、安定な表面膜を歩留まり良く形成することが困難な場合があった。
特許文献2では、アルゴンとフッ化水素の混合ガスとアルミニウム−リチウム合金とを反応させ、負極表面にフッ化リチウムの表面膜を得ている。しかしながら、リチウム金属表面にあらかじめ表面膜が存在する場合、特に複数種の化合物が存在する場合には反応が不均一になり易く、フッ化リチウムの膜を均一に形成することが困難な場合があった。この場合、十分なサイクル特性を有するリチウム二次電池を得ることが困難となる。
特許文献3には、均一な結晶構造すなわち(100)結晶面が優先的に配向しているリチウムシートの表面に、岩塩型結晶構造を持つ物質を主成分とする表面皮膜構造を形成する技術が開示されている。こうすることにより、均一な析出溶解反応すなわち電池の充放電を行うことができ、リチウム金属のデンドライト析出を抑え、電池のサイクル寿命が向上できるとされている。表面膜に用いる物質としては、リチウムのハロゲン化物を有していることが好ましく、LiCl、LiBr及びLiIからなる群より選ばれた少なくとも一種と、LiFとの固溶体を用いることが好ましいと述べられている。具体的には、LiCl、LiBr及びLiIからなる群より選ばれた少なくとも一種と、LiFとの固溶体皮膜を形成するために、押圧処理(圧延)により作成した(100)結晶面が優先的に配向しているリチウムシートを、(1)塩素分子もしくは塩素イオン、(2)臭素分子もしくは臭素イオン、(3)ヨウ素分子もしくはヨウ素イオンのうち、(1)〜(3)からなる群から選択された少なくとも一種とフッ素分子もしくはフッ素イオンを含有している電解液に浸すことにより非水電解質電池用負極を作成している。この技術の場合、圧延のリチウム金属シートを用いており、リチウムシートが大気中に曝され易いため表面に水分などに由来する皮膜が形成され易く、活性点の存在が不均一となり、目的とした安定な表面膜を作ることが困難な場合があり、この場合、デントライトの抑制効果は必ずしも充分に得られなかった。
また、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る黒鉛やハードカーボン等の炭素材料を負極として用いた場合、容量および充放電効率の向上に係る技術が報告されている。
特許文献4では、アルミニウムで炭素材料を被覆した負極が提案されている。これにより、リチウムイオンと溶媒和した溶媒分子の炭素表面での還元分解が抑制され、サイクル寿命の劣化を抑えられるとされている。ただし、アルミニウムが微量の水と反応してしまうため、サイクルを繰り返すと急速に容量が低下する場合があった。
また、特許文献5では、炭素材料の表面にリチウムイオン伝導性固体電解質の薄膜を被覆した負極が提示されている。これにより、炭素材料を使用した際に生じる溶媒の分解を抑制し、特に炭酸プロピレンを使用できるリチウムイオン二次電池を提供できるとしている。しかしながら、リチウムイオンの挿入、脱離時の応力変化により固体電解質中に生じるクラックが特性劣化を導く場合があった。また、固体電解質の結晶欠陥等の不均一性により、負極表面において均一な反応が得られずサイクル寿命の劣化につながる場合があった。
また、特許文献6では、負極がグラファイトを含む材料からなり、電解液として環状カーボネート及び鎖状カーボネートを主成分とし、且つ前記電解液中に0.1質量%以上4質量%以下の環式モノスルホン酸エステルである1,3−プロパンスルトン及び/又は1,4−ブタンスルトンを含んだ二次電池が開示されている。ここで、1,3−プロパンスルトンや1,4−ブタンスルトンは、炭素材料表面での不働態皮膜形成に寄与し、天然黒鉛や人造黒鉛などの活性で高結晶化した炭素材料を不働態皮膜で被覆し、電池の正常な反応を損なうことなく電解液の分解を抑制する効果を有するものと考えられている。環式モノスルホン酸エステルの他に特許文献7及び8では鎖状のジスルホン酸エステルを用いても同様な効果が得られると報告されている。しかしながら、特許文献6の環式モノスルホン酸エステル、または特許文献7及び特許文献8の鎖状のジスルホン酸エステルは負極上での皮膜形成が主に起こり、例えば正極上に皮膜を形成することが困難な場合があった。また、非特許文献1〜4にはジスルホン酸エステルの製造方法が、特許文献9及び10にはスルホニル基を2個有する環式スルホン酸エステルの製造方法が開示されている。
特許文献11では芳香族化合物を電解液溶媒に添加することによって、電解液溶媒の酸化を防ぐことで二次電池の長期にわたる充放電を繰り返した際の容量劣化を抑制している。これは、前記芳香族化合物を優先的に酸化分解させることにより、溶媒の分解を防ぐ技術である。しかしながら、この添加剤を用いた場合、正極表面が被覆されないためにサイクル特性の改善効果は十分とはいえない場合があった。
特許文献12では電解液中に窒素含有不飽和環式化合物を添加することによって高電圧正極を用いた場合のサイクル特性を向上させる技術が記載されている。しかしながら窒素含有不飽和環式化合物は負極の充放電効率を向上させるものの、正極の充放電効率を向上させるものではなかった。
一方、大容量二次電池に有利かつ安全・安価な材料としてLiCoO2中のCoを他金属元素で置き換えた層状酸化物が提案されている。現在、そのような開発トレンドの中で注目を集めているのは、LiNi0.5Mn0.52、あるいはLiCo1/3Mn1/3Ni1/32である。しかしながら、これらの材料は低価格化のインパクトが弱く、充放電レートの低さなどからHEVやUPS用途への展開に課題を有している。
そこで、さらに安価な金属への置き換えと充放電特性の向上を目指して、様々な検討が加えられている。例えば特許文献13〜15では、LiNiO2の改良の結果として、Niの一部をMnあるいはFeで置換する技術が開示されている。LiMO2(Mは遷移金属)を非水電解液二次電池の正極材料として用いることは、特許文献16で開示されているものの、同文献にはM=Co、Ni以外で特に有効という具体的な組成は示されていなかった。そこで、特許文献13〜15では、LiNiO2中のNiの一部をFeまたはMnで置換した系が検討されており、特定の格子定数を有する活物質(特許文献13)、特定の粉体特性を有する活物質(特許文献14)、特定の負極との組み合わせ(特許文献15)が有効として開示されている。一方、LiFeO2を端組成としてNiやMnの一部置換で特性改善を試みたのが特許文献17ならびに特許文献18記載の発明である。特許文献17ではメジアン径の規定が、特許文献18では製造方法が開示されている。さらに特許文献19〜21にもLiMnO2−LiFeO2−LiNiO2の固溶領域組成が開示されている。
また、同様に添加元素としてAlを用いた低価格化あるいは特性改善の報告も特許文献22〜25に見られている。しかしながら、いずれも低価格化のインパクトならびに充放電サイクル特性、レート特性にさらなる改善が必要であった。
特開平7−302617号公報 特開平8−250108号公報 特開平11−288706号公報 特開平5−234583号公報 特開平5−275077号公報 特開2000−3724号公報 特開2000−133304号公報 米国特許6436582号明細書 特公平5−44946号公報 米国特許第4950768号明細書 特開2003−7334号公報 特開2003−115324号公報 特許第3064655号明細書 特許第3232984号明細書 特許第3281829号明細書 米国特許第4302518明細書 特許第3276451号公報明細書 特許第3489771号公報明細書 特開2003−48718号公報 特開2002−145623号公報 特開2002−60223号公報 特開2000−223122号公報 特開2002−145623号公報 特許第3561607号明細書 特開2002−145623号公報 J. Am. Pham. Assoc.,第l26巻,第485−493頁、1937年 G. Schroeter, Lieb, Ann, Der Chemie,第418巻,第161−257頁、1919年 Biol. Aktiv. Soedin., pp64−69(1968). Armyanskii Khimicheskii Zhurnal,21,pp393−396(1968).
上記従来技術は、次のような共通する課題を有していた。電極表面に生成する表面膜は、その性質によって充放電効率、サイクル寿命、安全性に深く関わっているが、上記従来技術は主に負極上に安定した皮膜を形成するものであり、負極と正極の両極に皮膜を形成する技術は開示されていなかった。
また、従来の正極に皮膜を形成する技術では、膜の制御を長期にわたって行える手法はまだ存在していなかった。このため、初期使用時にはデントライトの抑制効果が一定程度得られるものの、繰り返し使用していると、表面膜が劣化して保護膜としての機能が低下する場合があった。これは、リチウムを含有する正極活物質の層は、リチウムを吸蔵・放出することにより体積変化する一方、その表面上に形成された皮膜は体積変化がほとんどないため、これらの層およびこれらの界面に内部応力が発生することが原因と考えられる。このような内部応力が発生することにより表面膜の一部が破損し、デンドライトの抑制機能が低下するものと考えられる。この結果、電解液の分解が起こり、高放電容量及び優れたサイクル特性を保つことが困難であった。
近年、無停電電源用途・移動体向け電源用途向けに安価で高エネルギー密度を達成できる動作電圧の高い正極活物質の開発が要望されている。しかしながら、動作電圧を高くすると電解液の分解が活発に起こることにより、容量劣化が起こり結果的に、高エネルギー密度の達成が困難となる場合があった。このような電解液の分解は主に電極表面で起こっているものと考えられ、電極表面に形成される皮膜の不均一性等に起因するものと考えられる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、安価で動作電圧の高い[Mn]:[Ni]:[Me]=5:3:1(モル比)かつ[Li]/[Mn+Ni+Me]=1.22(モル比)を満たす正極活物質を用い、電解液中に鎖状ジスルホン酸化合物を添加することによって、電解液の分解を防止し、放電容量及びサイクル特性に優れ高エネルギー密度を有する二次電池を得ることを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明は正極と、負極と、少なくとも電解質が溶解された非プロトン性溶媒を含む電解液と、を備えた二次電池において、
該正極が、正極活物質として金属元素の含有比率(モル比)が実質下記式(1)で表され、かつ、下記式(2)で表される条件を満たすリチウム含有複合酸化物を含み、
[Mn]:[Ni]:[Me]=5:3:1(モル比) (1)
[Li]/[Mn+Ni+Me]=1.22(モル比) (2)
(上式中、Meは、3価のカチオンとなる金属元素を表す。)
前記電解液が下記一般式(3)で示される化合物を含むことを特徴とする二次電池に関する。
Figure 0004203755
(但し、上記一般式(3)において、R1およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−SY1(Y1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−COZ(Zは水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。R2およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜5のポリフルオロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、−NX23(X2及びX3は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及び−NY2CONY34(Y2〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、から選ばれる原子または基を示す。)
更に本発明は、前記リチウム含有複合酸化物が、実質下記式(4)で表されるリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。
Li[Mn0.5Ni0.3Me0.1Li0.1]O2 (4)
(上式中、Meは、3価のカチオンとなる金属元素を表す。)
更に本発明は、前記3価のカチオンとなる金属元素Meが、Feであることが好ましい。
更に本発明は、前記3価のカチオンとなる金属元素Meが、Alであることが好ましい。
更に本発明は、前記一般式(3)で示される化合物が、前記電解液中に該電解液全体の質量に対して0.1〜5.0質量%含まれることが好ましい。
更に本発明は、前記二次電池がラミネート外装体により覆われている二次電池であることが好ましい。
本明細書において、「ポリフルオロアルキル基」、「ポリフルオロアルコキシ基」はそれぞれ対応するアルキル基、アルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子が全てフッ素原子により置換されたものを表し、「フルオロアルキル基」、「フルオロアルコキシ基」はそれぞれ対応するアルキル基、アルコキシ基の炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子により置換されたものを表す。
また、「置換フルオロアルキル基」、「置換フルオロアルコキシ基」における「置換」とは炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つがフッ素以外の原子又は官能基に置換されていることを表す。この官能基中に炭素原子が含まれる場合、この炭素原子は「置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基」等の記載における「炭素数1〜5」の数には含まれないものとする。
本発明によれば、[Mn]:[Ni]:[Me]=5:3:1(モル比)かつ[Li]/[Mn+Ni+Me]=1.22(モル比)を満足する正極材料活物質を用い、電解液中に鎖状のジスルホン化合物が含むことにより、得られた二次電池は充放電効率に優れ、サイクル特性が良好で、容量維持率が高く、保存における抵抗上昇の抑制が可能な優れたリチウム二次電池を得ることができる。
(本発明による電池構成の説明)
図1に本発明に係る電池の一例について概略構造を示す。正極集電体11と、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る正極活物質を含有する層12と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極活物質を含有する層13と、負極集電体14と、電解液15、およびこれを含むセパレータ16から構成されている。
(集電体)
正極集電体11としてはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などを用いることができ、負極集電体14としては銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金を用いることができる。
(セパレータ)
セパレータ16としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、フッ素樹脂等の多孔性フィルムが好ましく用いられる。
(負極)
負極活物質はリチウム金属または炭素材料などのリチウムを吸蔵、放出できる材料により構成されている。炭素材料としては、リチウムを吸蔵する黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなど、あるいはこれらの複合物を用いることができる。負極活物質としてリチウム金属を用いる場合には融液冷却方式、液体急冷方式、アトマイズ方式、真空蒸着方式、スパッタリング方式、プラズマCVD方式、光CVD方式、熱CVD方式、ゾルーゲル方式、などの適宜な方式により負極となる層13を得ることができる。また、炭素材料の場合には、カーボンとポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の結着剤を混合し、NMP等の溶剤中に分散混錬し、これを銅箔等の基体上に塗布するなどの方法や、蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの方法により負極となる層13を得ることができる。
(正極)
本発明の正極は、金属元素の含有比率(モル比)が実質下記式(1)で表され、かつ、下記式(2)で表される条件を満たすリチウム含有複合酸化物で表される正極活物質を含むことを特徴とする。
[Mn]:[Ni]:[Me]=5:3:1(モル比) (1)
[Li]/[Mn+Ni+Me]=1.22(モル比) (2)
(上式中、Meは、3価のカチオンとなる金属元素を表す。)
上記リチウム含有複合酸化物は、金属元素の含有比率(モル比)が、実質上記式(1)で表されるが、各々の金属元素のモル比における値は、これらの値に対し±2.5%の許容範囲に入るものであればよく、かつ、実質上記式(2)で表される[Li]と、[Mn]、[Ni]、[Me]の各々の金属元素の含有比率の合算値([Mn+Ni+Me]と表すことがある)の比(モル比)の値1.22に対し±2.5%の許容範囲に入るものであればよい。なお、これらの組成比は、正極活物質を作製する際にその原料を目的の組成比となるように混合することによって設定することができる。また、作製した正極活物質の組成分析はICP分析によって確認することができる。
また上記リチウム含有複合酸化物は、実質下記式(4)で表されるリチウム含有複合酸化物であることが好ましい。
Li[Mn0.5Ni0.3Me0.1Li0.1]O2 (4)
(上式中、Meは、3価のカチオンとなる金属元素を表す。)
3価のカチオンとなる金属元素Me(Meと表すことがある)としては、例えば、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、その他スカンジウム(Sc)、クロム(Cr)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、インジウム(In)等を挙げることができる。このうち、Fe、Alが特に好ましい。その理由は、容量増加を効果的に、しかも低コストで達成できるからである。
リチウム含有複合酸化物中におけるMnの原子価は、4価近傍、具体的には、好ましくは3.8以上、より好ましくは3.9以上とする。こうすることにより、リチウムマンガン系複合酸化物の結晶構造の安定化が図られ、動作電位をより安定的に高く維持することができ、また、Mnの電解液への溶出をより効果的に防止し、繰り返し使用時における容量低下を抑制することができる。なお、Mnの原子価は、Mn以外の各構成元素の原子価および組成比に基づいて算出することができる。
本発明におけるリチウム含有複合酸化物においては、上述したように、Mnの原子価は、好ましくは3.8以上、より好ましくは3.9以上であり、Niは2価であることが好ましく、Meは3価であることが好ましい。このような関係が保たれた状態では、カチオン間の価数バランスが取れており、かつ充放電に伴って酸化還元するカチオンの比率が全カチオンに対して20%以下であるため、充放電に伴う体積増減も少なく信頼性が高く、高容量化が可能となる。また、上記式(2)で表される条件を満たすことによりLiの比率を高く保ち、電池重量も減少し、重量当たりの容量密度を高く保つことが容易となる。
本発明のリチウム含有複合酸化物はABO2からなる層状の結晶構造を有し、AサイトとBサイトの両方にLiが必須となっている。また、高価なCoを含んでおらず、Niの比率も比較的小さいため、活物質の価格も低く抑えることが可能である。加えて軽元素であるLiの比率が高いことから、重量当たりの容量密度も高い値が得られるというメリットも有している。
本発明の二次電池の正極中に上記式(1)及び(2)を満たす正極活物質を用い、カーボンブラック等の導電性物質、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の結着剤とともにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤中に分散混練し、これをアルミニウム箔等の基体上に塗布するなどの方法により正極となる層12を得ることができる。
(電解液)
電解液15は電解質、非プロトン性溶媒と添加剤とを少なくとも有する。
(電解質)
電解質は、リチウム二次電池の場合にはリチウム塩を用い、これを非プロトン性溶媒中に溶解させる。リチウム塩としては、リチウムイミド塩、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、LiClO4、LiBF4、LiSbF6などがあげられる。この中でも特にLiPF6、LiBF4が好ましい。リチウムイミド塩としてはLiN(Ck2k+1SO2)(Cm2m+1SO2)(k,mはそれぞれ独立して1又は2である)が挙げられる。これらは単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。これらのリチウム塩を含むことで高エネルギー密度を達成することができる。
(非プロトン性溶媒)
また、非プロトン性電解液としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類およびそれらのフッ化誘導体の有機溶媒から選ばれた少なくとも1種類の有機溶媒を用いる。より具体的には、
環状カーボネート類:プロピレンカーボネート(以下、PCと略記。)、エチレンカーボネート(以下、ECと略記。)、ブチレンカーボネート(BC)、およびこれらの誘導体
鎖状カーボネート類:ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(以下、DECと略記。)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、およびこれらの誘導体
脂肪族カルボン酸エステル類:ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの誘導体
γ−ラクトン類:γ−ブチロラクトン、およびこれらの誘導体
環状エーテル類:テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、およびこれらの誘導体
鎖状エーテル類:1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、ジエチルエーテル、およびこれらの誘導体
その他:ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステル
これらを一種又は二種以上を混合して使用することができる。
(添加剤)
添加剤としては、一般式(3)で示した鎖状のジスルホン酸エステルを用いる。
Figure 0004203755
(但し、上記一般式(3)において、R1およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−SY1(Y1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−COZ(Zは水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。R2およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜5のポリフルオロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、−NX23(X2及びX3は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及び−NY2CONY34(Y2〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、から選ばれる原子または基を示す。)
一般式(3)によって示される化合物は、非環式化合物であり合成時に環化反応を伴わず、例えば非特許文献1〜4を用いて合成が可能である。また、特許文献9に示される環式ジスルホン酸エステルの合成の副生成物として得ることもできる。このように、一般式(3)で示される化合物は合成の工程が容易であるため、安価な電解液を提供できる利点がある。
前記一般式(3)のR1およびR4の好ましい分子構造としては、電極上でおこる反応性皮膜の形成の容易性、化合物の安定性、取り扱いの容易性、溶媒への溶解性、化合物の合成の容易性、価格などの観点から、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、及び−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)から選ばれる原子又は基が好ましく、それぞれ独立して水素原子又は無置換の炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましい。R1およびR4の特に好ましい形態としては、R1およびR4が水素原子の場合である。R1とR4が水素原子であると、二つのスルホニル基で挟まれたメチレン部位が活性化し、電極上での反応皮膜を形成しやすくなるためである。
また、R2およびR3において、化合物の安定性、化合物の合成の容易性、溶媒への溶解性、価格などの観点から、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及び−NX23(X2及びX3は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、から選ばれる原子又は基が好ましく、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基がより好ましく、さらに好ましくはR2とR3のどちらか一方または両方が置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基である。また、同様の理由から、上記置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基としてはメチル基又はエチル基が良く、上記置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基としてはメトキシ基又はエトキシ基が良い。
一般式(3)の化合物は、スルホニル基を二つ有しておりLUMOが小さく、電解液中の溶媒分子、モノスルホン酸エステルよりもLUMOが小さい値を持つので還元され易い。例えば下記表1に示す化合物No.1のLUMOは半経験的分子軌道計算によると−0.86eVと小さい。そのため環状カーボネートや鎖状カーボネートからなる溶媒(LUMO:約1.2eV)より先に化合物No.1の還元皮膜が負極に形成され溶媒分子の分解抑制する役割を担うと考えられる。溶媒分子の分解を抑制するため高抵抗性の溶媒分子の分解皮膜が負極上に形成されにくくなるため抵抗上昇の抑制やサイクル特性の向上が期待できる。また、炭素原子に電子吸引性のスルホニル基が二つ結合した形になっており、炭素原子の活性化よって電極上で皮膜が形成され易いことも考えられる。更に、活性メチレンが脱プロトン化することで生じるカルボアニオンはLiを配位したり、正極上で反応し皮膜を形成したりすることが考えられる。
特に、リチウム含有複合酸化物を用いた場合、高い動作電圧で二次電池を使用した場合においても一般式(3)で示される材料は正極表面に皮膜を形成し、溶媒分解の抑制、抵抗性物質の堆積を阻害するため抵抗上昇を抑制すると考えられる。また上記皮膜により放電末期における内部インピーダンスの増加を抑制するため、サイクル特性の改善に効果的であると考えられる。
以下に一般式(3)の具体例を示すが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
Figure 0004203755
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一般式(3)で表される化合物は、特に限定されないが電解液中に0.1質量%以上5.0質量%以下含まれることが好ましい。0.1質量%未満では電極表面での電気化学反応による皮膜形成に十分効果が発揮されない場合がある。また、5.0質量%を越えると溶解しにくくなるだけでなく電解液の粘性を大きくしてしまう場合がある。本発明においてより好ましくは、0.5質量%〜3.0質量%の範囲で添加するとより十分な皮膜効果が得られる。
一般式(3)に示す化合物は、単独或いは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて用いる場合、特に限定されないが電極との皮膜形成の容易性の観点から少なくとも一つは活性メチレン基を有する化合物(すなわちR1及びR4が水素の化合物)が含まれることが有効である。具体的組み合わせとしては、前記化合物No.1(活性メチレン基を有する化合物)と化合物No.5の化合物である。
電解液に一般式(3)の化合物を2種類以上添加させる場合、電解液に占める割合は特に限定されないが前述と同様な理由により、2種類合わせて0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましい。また、一般式(3)の化合物を2種類以上添加する場合、一般式(3)の化合物の全質量に対する各化合物の比率としては特に限定されるものではないが、最も少ない化合物の割合が5質量%、最も多い化合物の割合が95質量%とすることが好ましい。
更に、一般式(3)の化合物を含む電解液中に、環式モノスルホン酸エステル、スルホニル基を2個有する環式スルホン酸エステル、アルカンスルホン酸無水物、スルホレン化合物の内、少なくとも一種が含まれる電解液を用いるこことも有効である。
本発明では、場合によっては前記電解液中にビニレンカーボネート(VC)及びその誘導体の少なくとも一種を添加することができる。ビニレンカーボネート(VC)及びその誘導体の少なくとも一種を添加することで更にサイクル特性の改善を図ることができる。VCのLUMOは0.09eVであり一般式(3)の化合物よりも還元反応を受けにくい、初期の充放電で還元反応を受けて消費することなく長期に渡って電解液に存在すると考えられる。そのため、充放電サイクル時に徐々に消費されることでサイクル特性向上に寄与することができる。前記ビニレンカーボネート及びその誘導体の少なくとも一種を電解液の添加剤として使用する場合には、電解液中に0.05質量%〜3.0質量%含ませることで効果が得られる。
一般式(3)の化合物とVC、一般式(3)の化合物とそれ以外の添加剤と更にVCを電解液に添加する場合、VCの電解液全体に占める割合は特に限定されるものではないが0.5質量%〜10.0質量%が好ましい。0.5質量%未満では電極表面での電気化学反応による皮膜形成に十分効果が発揮されない場合がある。10.0質量%を越えると電解液の粘性を大きくしてしまう場合がある。
本発明の電解液は、一般式(3)で表される化合物を電解液にあらかじめ添加・溶解することによりもたらされる。この電解液に適宜その他の添加材料(環式モノスルホン酸エステル、スルホニル基を2個有する環式スルホン酸エステル、スルホラン、アルカンスルホン酸無水物、スルホレン化合物あるいはビニレンカーボネート化合物)を加えることにより、所望の電解液を得ることができる。
本発明に係る二次電池の形状としては、特に制限はないが、例えば、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型などがあげられる。この中でラミネート型とは合成樹脂と金属箔との積層体からなる可撓性フィルム等よりなる外装体によって封口された形状を有するものであり、円筒型、角型、コイン型等の電池缶よりなる外装体に封入したものと比して内圧の上昇による影響を受けやすく、従って電極と電解液との界面との化学反応の制御がより重要となる。本発明による一般式(3)で表される鎖状のジスルホン化合物を含有する二次電池であれば、ラミネート型の電池であっても抵抗上昇の抑制や電池の膨れ(ガス発生及び内圧の上昇)を抑制することが可能である。従って、自動車用途など大型のリチウムイオン二次電池においても、安全性や長期信頼性を確保することが可能となる。
本発明に係るリチウム二次電池は、乾燥空気または不活性ガス雰囲気において、負極13および正極12を、セパレータ16を介して積層、あるいは積層したものを捲回した後に、外装体に挿入し、一般式(3)で表される化合物を含む電解液を含浸させた後、電池外装体を封止することで得られる。封止前または封止後に、電池を充電することにより、前記電極上の皮膜を形成させることで本発明の効果を得ることが可能である。
(正極活物質の合成:実施例のMe=Feの場合)
正極活物質は次のような手順で合成した。まず平均粒径3μm以下に粉砕・調整した炭酸リチウムと、同じく平均粒径5μm以下に粉砕・調整したMn/Ni/Fe=5/3/1の複合酸化物を調整した。Mn/Ni/Fe=5/3/1(モル比)の複合酸化物は、Mn原料(電解二酸化マンガン(EMD)・Mn23、Mn34、CMD等の種々のMn酸化物、MnCO3、MnSO4)、Ni原料(NiO、Ni(OH)2、NiSO4、Ni(NO32)、Fe原料を目的の金属組成比となるように秤量して混合し、この混合粉を600〜950℃の温度で、空気中又は酸素中で焼成することによって得た。
次に、炭酸リチウムとMn/Ni/Fe=5/3/1の複合酸化物をLi/[Mn+Ni+Fe]=1.13/0.9の比率で秤量・混合した後、それをエタノールを用いた湿式ボールミルで120時間、湿式混合した。その混合粉を100℃で24時間、真空乾燥した後、空気中900℃で48時間、一次焼成した。続いて、その一次焼成粉を解砕・再混合した後、再度、酸素中700℃で72時間、二次焼成した。得られた粉末に対しCu KαのX線回折パターンを測定したところ、大まかには空間群R−3mで指数付けが可能な回折パターンが得られた。ピークが全体的にブロードであること、Li2MnO3類似の小ピークがあることなどから、詳細に検証した場合、もう少し対称性が低下する空間群の可能性もあるが、基本的には層状構造の酸化物が得られたと考えられる。さらに、得られた材料の組成分析を行ったところ、仕込み組成ではLi/Mn/Ni/Fe=1.13/0.5/0.3/0.1としたものの、焼成後の組成はLi/Mn/Ni/Fe≒1.10/0.5/0.3/0.1と見積もられ、ほぼ目的とする組成を有する材料Li[Mn0.5Ni0.3Fe0.1Li0.1]O2が得られた。
(正極活物質の合成:実施例のMe=Alの場合)
正極活物質は次のような手順で合成した。まず、平均粒径3μm以下に粉砕・調整した炭酸リチウムと、上記と同じく平均粒径5μm以下に粉砕・調整したMn/Ni/Al=5/3/1の複合酸化物をLi/[Mn+Ni+Al]=1.11/0.9の比率で秤量・混合した後、それをエタノールを用いた湿式ボールミルで72時間、湿式混合した。その混合粉を100℃で24時間、真空乾燥した後、空気中750℃で48時間、一次焼成した。続いて、その一次焼成粉を解砕・再混合した後、再度、酸素中700℃で72時間、二次焼成した。得られた粉末に対しCu KαのX線回折パターンを測定したところ、僅かにピークが高確度側にシフトしているものの、Me=Feの場合と同様のパターンが得られた。さらに、得られた材料の組成分析を行ったところ、仕込み組成ではLi/Mn/Ni/Al=1.11/0.5/0.3/0.1としたものの、焼成後の組成はLi/Mn/Ni/Al≒1.10/0.5/0.3/0.1と見積もられ、ほぼ目的とする組成を有する材料Li[Mn0.5Ni0.3Al0.1Li0.1]O2が得られた。
(正極活物質の合成:比較例の場合)
上記正極活物質と同様の合成方法にて、上記実施例の組成と異なる組成のLi含有複合酸化物を作製した。その組成は、Mn/Ni/Me=5/3/1の近辺で、図1の各点に相当する組成比である(図1中の各頂点のモル比は、頂点のモル比:Mn/Ni/Me=50/30/20、底辺左端頂点のモル比:Mn/Ni/Me=50/40/10、底辺右端頂点のモル比:Mn/Ni/Me=60/30/10)。Li/[Mn+Ni+Me]比は表1及び2に示す水準とした。
(正極電極の作製)
実施例で試作した正極活物質、導電性付与材としてアセチレンブラック(AB)と繊維状炭素(VGCF)、バインダーとしてPVDFを用い、正極活物質A:AB:VGCF:PVDF=87:5:2:6(質量比)でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させた。それをAl金属箔集電体上に塗布した後、NMPを加熱蒸発させた。その後、ロールプレスを通すことで[活物質+導電性付与材+バインダー]の合剤部分の密度を2.85g/cm3とした。
(負極電極の作製)
負極活物質として非晶質炭素を用い、非晶質炭素:AB:PVDF=92:3:5(質量比)でNMPに分散させた。それをCu金属箔集電体に塗布した後、NMPを加熱蒸発させて負極電極を得た。
(電池の作製)
前述の正極、負極ならびにセパレータを積層し、Alラミネートフィルムで外装した薄型ラミネート電池を試作した。電解液は1MのLiPF6を溶解させたエチレンカーボネート(EC)+ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比50:50)を用い、添加剤の種類および比率は表1及び2に示した水準とした。ラミネート電池は、それぞれの正極活物質の初期容量をもとに電極厚み・積層数を微調整し、約2Ahとなるように設計した。また、電池を封止後、0.2Cで4.5Vまで充電し、続いて0.5Cで2.5Vまで放電した。
Figure 0004203755
Figure 0004203755
表1及び2中の「添加剤」欄記載の「No.」は化合物No.を表す。
(正極活物質による効果)
試作したラミネート電池を用い、60℃にて充放電サイクル試験を行った。充電は0.2Cで4.5Vまで、放電は1Cで2.5Vまでとし、5サイクル時の容量を基準として100サイクル時の放電容量の維持率[100サイクル時の放電容量/5サイクル時の放電容量](%)を算出した。表3及び4に5サイクル時の放電容量ならびに[100サイクル時の放電容量/5サイクル時の放電容量](%)を示す。MeがFe、Alに関わらず、非常に狭い組成領域での比較においてさえ、[Mn]/[Ni]/[Me]=5/3/1かつ[Li]/[Mn+Ni+Me]=1.1/0.9の組成が特異的に放電容量値ならびに充放電サイクルにおける容量維持率に優れていることが分かる。
Figure 0004203755
(添加剤:添加量の効果の検証)
・初期内部直流抵抗の測定
試作した各電池を0.2Cで4.5Vまで定電流充電を行い、4.5Vに到達後定電圧充電を2時間行って充電した。充電後の電池を0.1Cで放電深度(Depth of Discharge:DOD)50%まで放電させた後、1Cの電流で10秒間放電させた時の電圧を測定した。続いて10分間放置後、今度は3Cレートの電流で10秒間充電した時の電圧を測定した。さらに10分間放置後5Cで10秒間放電した時の電圧を測定し、再度10分間放置後3Cレートで10秒間充電した時の電圧を測定した。その後、10分間の放置間隔を設けながら、充放電のレートを7Cならびに10Cとして同様な繰り返し測定を行い、V−I直線を求め、このときの直線の傾斜を初期内部直流抵抗(初期抵抗)とした。
・保存による抵抗上昇倍率の測定
続いて初期内部直流抵抗を測定した各電池は、各電池の0.1C相当の電流値でDOD50%の状態に調整した後、55℃の恒温槽内にて4週間保存した。その後、初期内部直流抵抗の測定と同様の方法でV−I直線を求め、その傾きを保存後の内部直流抵抗とした。
表4に実施例ならびに比較例の初期抵抗と抵抗上昇倍率(=[保存後の内部直流抵抗]/[初期内部直流抵抗])を示す。添加剤No.1の添加量が7質量%を超えると、ラミネート電池の初期内部直流抵抗が急激に増大することが分かる。また、添加量が0.1質量%以上の場合、保存後の抵抗上昇倍率が大幅に低下している。すなわち、添加剤No.1は高温保存による電池の抵抗上昇抑制に有効であることが、この結果より明らかであり、さらに添加量としては0.1質量%以上が好ましいことが分かる。一方、正極活物質表面への皮膜形成に起因すると思われるが、添加量が7質量%を超えると、電池の内部直流抵抗が急激に増大してしまうため、より好ましくは0.1〜5.0質量%の範囲と言える。
(同系の添加剤が有効であることの検証)
添加剤種を変えて、同様に試作したラミネート電池の初期内部直流抵抗と保存後の抵抗上昇倍率を表5に示す。No.1の添加剤をNo.2やNo.3の添加剤に置き換えても、同様に初期内部直流抵抗の増大を招かず、高温保存による抵抗上昇を抑制する効果が認められた。
Figure 0004203755
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以上のように、正極と、負極と、電解質が溶解された非プロトン性溶媒を含む電解液とを少なくとも備えた二次電池において、正極が、正極活物質として金属元素の比率が実質、[Mn]:[Ni]:[Me]=5:3:1(モル比、Meは3価のカチオン)かつ[Li]/[Mn+Ni+Me]=1.22(モル比)となることを特徴とするリチウム含有複合酸化物を含み、電解液中に少なくとも1種の鎖状ジスルホン酸エステルを用いることにより、安価かつ高容量で、高温保存による抵抗上昇幅が大きく低減した非水電解液二次電池を実現出来る。
本発明の正極物質の組成比を表す図である。 本発明に係る二次電池の概略構成図である。
符号の説明
11 正極集電体
12 正極活物質を含有する層
13 負極活物質を含有する層
14 負極集電体
15 非水電解質溶液
16 多孔質セパレータ

Claims (6)

  1. 正極と、負極と、少なくとも電解質が溶解された非プロトン性溶媒を含む電解液と、を備えた二次電池において、
    該正極が、正極活物質として金属元素の含有比率(モル比)が実質下記式(1)で表され、かつ、下記式(2)で表される条件を満たすリチウム含有複合酸化物を含み、
    [Mn]:[Ni]:[Me]=5:3:1(モル比) (1)
    [Li]/[Mn+Ni+Me]=1.22(モル比) (2)
    (上式中、Meは、3価のカチオンとなる金属元素を表す。)
    前記電解液が下記一般式(3)で示される化合物を含むことを特徴とする二次電池。
    Figure 0004203755
    (但し、上記一般式(3)において、R1およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、−SO21(X1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−SY1(Y1は置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、−COZ(Zは水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及びハロゲン原子、から選ばれる原子または基を示す。R2およびR3は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェノキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルキル基、炭素数1〜5のポリフルオロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のフルオロアルコキシ基、炭素数1〜5のポリフルオロアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、−NX23(X2及びX3は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、及び−NY2CONY34(Y2〜Y4は、それぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基)、から選ばれる原子または基を示す。)
  2. 前記リチウム含有複合酸化物が、実質下記式(4)で表されるリチウムマンガン複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
    Li[Mn0.5Ni0.3Me0.1Li0.1]O2 (4)
    (上式中、Meは、3価のカチオンとなる金属元素を表す。)
  3. 前記3価のカチオンとなる金属元素Meが、Feであることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
  4. 前記3価のカチオンとなる金属元素Meが、Alであることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
  5. 前記一般式(3)で示される化合物が、前記電解液中に該電解液全体の質量に対して0.1〜5.0質量%含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池。
  6. ラミネート外装体により覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池。
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