JP4355947B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description
該正極が、正極活物質として層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物を含み、
前記電解液が下記一般式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする二次電池に関する。
更に本発明は、前記一般式(1)で示される化合物が、前記電解液中に該電解液全体の質量に対して0.1〜5.0質量%含まれることが好ましい。
更に本発明は、前記電解質が、リチウム塩を含むことが好ましく、前記リチウム塩が、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、LiAlCl4及びLiN(CkF2k+1SO2)(CmF2m+1SO2)(k,mはそれぞれ独立して1又は2である)からなる群より選ばれた少なくとも1種のリチウム塩であることが好ましい。
更に本発明は、前記二次電池が、ラミネート外装体により覆われている二次電池であることが好ましい。
図1に本発明に係る電池の一例について概略構造を示す。正極集電体11と、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る正極活物質を含有する層12と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極活物質を含有する層13と、負極集電体14と、電解液15、およびこれを含むセパレータ16から構成されている。
正極集電体11としてはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などを用いることができ、負極集電体14としては銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金を用いることができる。
セパレータ16としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、フッ素樹脂等の多孔性フィルムが好ましく用いられる。
負極活物質はリチウム金属または炭素材料などのリチウムを吸蔵、放出できる材料により構成されている。炭素材料としては、リチウムを吸蔵する黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなど、あるいはこれらの複合物を用いることができる。負極活物質としてリチウム金属を用いる場合には融液冷却方式、液体急冷方式、アトマイズ方式、真空蒸着方式、スパッタリング方式、プラズマCVD方式、光CVD方式、熱CVD方式、ゾルーゲル方式、などの適宜な方式により負極となる層13を得ることができる。また、炭素材料の場合には、カーボンとポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の結着剤を混合し、NMP等の溶剤中に分散混錬し、これを銅箔等の基体上に塗布するなどの方法や、蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの方法により負極となる層13を得ることができる。
正極活物質としては層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物、具体的にはLiyNi(1-x)MxO2(但し、0≦x≦0.5,0<y≦1.20、MはCo,Al,Mn,Fe,Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素よりなる)を用いることが好ましい。また、xは0≦x≦0.3であることが好ましい。これらの材料を鎖状のジスルホン酸化合物と併用して用いることによって、正極表面上へより安定した皮膜を形成し、効果的に結晶構造の変化を防止することができる。この結果、皮膜形成効果によって従来の充放電回数に伴うサイクル特性の劣化を効果的に抑制することができる。
電解液15は電解質、非プロトン性溶媒と添加剤とを少なくとも有する。
電解質は、リチウム二次電池の場合にはリチウム塩を用い、これを非プロトン性溶媒中に溶解させる。リチウム塩としては、リチウムイミド塩、LiPF6、LiAsF6、LiAlCl4、LiClO4、LiBF4、LiSbF6などがあげられる。この中でも特にLiPF6、LiBF4が好ましい。リチウムイミド塩としてはLiN(CkF2k+1SO2)(CmF2m+1SO2)(k,mはそれぞれ独立して1又は2である)が挙げられる。これらは単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。これらのリチウム塩を含むことで高エネルギー密度を達成することができる。
また、非プロトン性電解液としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ラクトン類、環状エーテル類、鎖状エーテル類およびそれらのフッ化誘導体の有機溶媒から選ばれた少なくとも1種類の有機溶媒を用いる。より具体的には、
環状カーボネート類:プロピレンカーボネート(以下、PCと略記。)、エチレンカーボネート(以下、ECと略記。)、ブチレンカーボネート(BC)、およびこれらの誘導体
鎖状カーボネート類:ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(以下、DECと略記。)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、およびこれらの誘導体
脂肪族カルボン酸エステル類:ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの誘導体
γ−ラクトン類:γ−ブチロラクトン、およびこれらの誘導体
環状エーテル類:テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、およびこれらの誘導体
鎖状エーテル類:1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)、ジエチルエーテル、およびこれらの誘導体
その他:ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステル
これらを一種又は二種以上を混合して使用することができる。
添加剤としては、一般式(1)で示した鎖状のジスルホン酸エステルを用いる。
これらのスルホニル基を2個有する環式スルホン酸エステル化合物は、特許文献10に開示されているものである。一般式(3)に示す具体的化合物を表2に列挙するがこれらに限定されるものではない。
表1及び2記載の正極活物質および導電性付与剤を乾式混合し、バインダーであるPVDFを溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させスラリーを作製した。導電性付与剤としてはカーボンブラックを用いた。そのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(厚さ25μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートとした。正極中の固形分比率は正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10(質量%)とした。
負極活物質として非晶質炭素を用い、正極活物質として層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物を用いて、充電レート1C、放電レート1Cで、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.5Vとした。容量維持率(%)は500サイクル後の放電容量(mAh)を、10サイクル目の放電容量(mAh)で割った値である。
放電深度50%(45℃)での60日間保存後の抵抗上昇率(初期(保存開始時)の抵抗値を1とした場合の保存後の抵抗値の比:充放電条件は上記充放電サイクル試験と同様)によって、保存特性の測定を行った。
室温(25℃)において、2Aの定電流定電圧で、終止電圧4.3Vまで5時間充電し、次に2Aの定電流下、終止電圧2.5Vまで放電した後、発生したガスを抜いてこのときの電池の体積を測定した。ガスを抜いた後、1週間放置した後、再び室温において充電及び放電を1回ずつ行った。このときの充電電流及び放電電流は一定(2A)であり、この際の放電容量を初回放電容量とした。尚、放電側のカットオフ電位は2.5V、充電側のカットオフ電位は4.3Vとした。その後、2Aの定電流定電圧で4.2Vまで2.5時間の充電後、放電深度50%まで放電した後、45℃で60日間放置した。放置後に室温において再度定電流で放電操作を行い、続いて同じく定電流で充電、放電をもう一度繰り返し、電池の体積を測定し、前記ガス抜き直後の体積との差をセル体積変化量とした。また、このときの放電容量を回復容量とした。ここで、(容量回復率)=(回復容量)/(初期放電容量)とした。
図2の方法で安定的に充放電を行える電圧の上限を測定した。その結果、LiNi0.8Co0.2O2:4.26V、LiNi0.9Co0.1O2:4.15V、LiNi0.8Co0.1Al0.1O2:4.20V、Li1.05Ni0.8Co0.2O2:4.22V、Li1.03Ni0.85Mn0.1Al0.05O2:4.12Vとなった。
(一般式(1)の化合物添加による効果)
参考例1〜5を比較例1と比較すると、参考例1〜5においてはサイクル特性及び保存特性の大幅な改善が確認された。なお、本参考例1〜5に示した電池について、サイクル後の負極表面及び正極表面をX線光電子分光法(XPS)とエネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて調べたところ、LiF,LiCO3などの存在が示された。また、XPS分析で硫黄スペクトルのピーク分割を行った結果、正極及び負極の両方で164eV付近にピークを有する物質が存在することを確認した。比較例1では正極、負極の両方に164eV付近にピークを有する物質は存在しておらず、本発明の添加剤を添加したことによる特有の皮膜が形成されたものと考えられる。
実施例1および実施例2におけるサイクル試験後の容量維持率は、それぞれ参考例1及び参考例2に比較して上回っており、セル体積変化量は小さくなっている。また、比較例2と比較しても高い容量維持率と小さなセル体積変化量を有しており、電解液中に一般式(1)で表される化合物と環式モノスルホン酸エステルを含むことによって、サイクル特性及び保存特性に優れた二次電池が得られたことが分かる。これは、1,3−PSの添加により電極表面と電解質との界面に存在する皮膜の安定化と、その膜の高いイオン伝導性によって、不可逆反応が抑制されたためと考えられる。また、電解液の分解、及びそれに伴うガス発生が大きく抑制できたためと考えられる。
参考例6における500サイクル後の容量維持率は、参考例1と比してもさらに改善されている。これらの結果は、本発明の一般式(1)に示す化合物とスルホニル基を2個有する環式ジスルホン酸エステルとを電解液中に添加させることで、無添加系や従来の添加系と比較してイオン導電性が高く、保存時の安定性の高い皮膜が形成されたためであると考えられる。また、参考例6のセル体積変化量は参考例1に対して小さくなっている。これは化合物No.1とMMDSとの複合効果により被膜が負極上に形成され電解液の分解、及びそれに伴うガス発生が大きく抑制できたためと考えられる。
実施例3に示した電池は、実施例1と比較して、サイクル試験後の容量維持率が更に向上していること、比較例3のように電解液中に環式モノスルホン酸エステルとVCのみを添加した二次電池ではサイクル特性等について十分な効果が得られないことから、一般式(1)で表される化合物と環式モノスルホンエステルとが含まれる電解液にVCを更に添加することでサイクル特性が改善していることが確認された。これは一般式(1)の化合物とVC添加によりイオン導電性が高く、保存時や充放電サイクルの安定性の高い皮膜が形成されたためであると考えられる。
参考例7〜12においては、化合物No.1の添加剤の電解液に占める濃度を変化させ、ラミネート型二次電池を作製し、評価を行った。500サイクル後の容量維持率は、0.1質量%未満および5.0質量%を越える濃度で低下した。また、保存60日後の抵抗上昇率は0.1質量%未満および5.0質量%を越える濃度で大きくなっていること判明した。この結果より、一般式(1)の化合物の電解液中の濃度は0.1質量%以上5.0質量%以下が好ましく、特に好ましい濃度範囲は0.5質量%以上3.0質量%以下であることが確認された。
12 正極活物質を含有する層
13 負極活物質を含有する層
14 負極集電体
15 非水電解質溶液
16 多孔質セパレータ
Claims (5)
- 正極と、負極と、少なくとも電解質が溶解された非プロトン性溶媒を含む電解液と、を備えた二次電池において、
該正極が、正極活物質として層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物を含み、
前記電解液が下記一般式(1)で示される化合物及び下記一般式(2)で示される環式モノスルホン酸エステルを含むことを特徴とする二次電池。
- 前記電解液が、さらに下記一般式(3)で示されるスルホニル基を2個有する環式スルホン酸エステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
- 前記電解液が、更にビニレンカーボネート及びその誘導体の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池。
- 前記層状構造を有するリチウムニッケル複合酸化物が、Li y Ni (1-x) M x O 2 (但し0≦x≦0.5,0<y≦1.20、MはCo,Al,Mn,Fe,Ti及びBからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素よりなる)であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の二次電池。
- 前記一般式(1)で示される化合物が、前記電解液中に該電解液全体の質量に対して0.1〜5.0質量%含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の二次電池。
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