JP4203221B2 - ワークの把持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてヘミング加工用のワークを保持する治具に、ワークを把持すべく設ける把持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平11−333535号公報により、ロボットの動作端に搭載するハンド治具に、ヘミング加工用ワークの周囲の曲げ縁部の複数箇所を把持する複数の把持具を取付け、ヘミング加工用ワークをこれら把持具を介してハンド治具に保持させ、曲げ縁部をヘミング加工するヘミング装置にロボットの動作でワークを投入するものが知られている。把持具は、ワークの曲げ縁部を把持する開閉自在な1対の把持爪と、両把持爪の開閉方向と直交方向の軸線を持つ開閉シリンダとを備え、開閉シリンダ内のピストンの動きでトグルリンク等の連動機構を介して両把持片が開閉されるように構成されている。
【0003】
また、このものでは、ハンド治具の治具本体に把持具を開閉シリンダと同一軸線回りに旋回自在に軸支している。これによれば、ワークの曲げ縁部の把持具による把持箇所の法線方向がワークの機種によって変化しても、把持爪の閉じ動作に際し把持具が曲げ縁部の把持箇所の向きに倣って旋回し、把持爪で把持箇所をその法線方向から把持できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の如く治具本体に把持具を旋回自在に軸支すると、ワークを把持すべくハンド治具を接近させる際、把持具の勝手な旋回で開放状態に存する1対の把持爪間にワークの曲げ縁部がうまく入らず、把持ミスを生ずることがある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、把持具の勝手な旋回による把持ミスの発生を防止し得るようにしたワークの把持装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、ワークを保持する治具に、ワークを把持すべく設ける把持装置であって、開閉自在に軸支される1対の把持爪と、両把持爪を開閉する、両把持爪の開閉方向及び両把持爪の支軸と直交方向の軸線を持つ開閉シリンダとを備える把持具を治具本体に開閉シリンダと同一軸線回りに旋回自在に軸支するものにおいて、把持具に、把持具と一体に旋回するストッパ片を開閉シリンダ内のピストンに連結して設けると共に、治具本体側に、ストッパ片に当接して把持具の旋回角度範囲を規制する規制部材を、ストッパ片が両把持爪を閉じるピストンの移動方向に移動するのに伴い把持具の旋回角度範囲が広がるように設けている。
【0007】
本発明によれば、把持具の1対の把持爪が開放されている状態では規制部材により把持具の旋回角度範囲が狭められる。従って、ヘミング加工用ワークを保持すべく、把持爪を開放した状態で治具をワークに接近させる際は、把持具の勝手な旋回が規制され、把持具の1対の把持爪間にワークの曲げ縁部が確実に挿入される。次に、把持具の開閉シリンダ内のピストンを軸線方向一方に移動して1対の把持爪を閉じる。この際、ピストンに連結したストッパ片も軸線方向一方に移動し、規制部材で規制される把持具の旋回角度範囲が広がる。そのため、ワークの曲げ縁部の向きに倣った把持具の旋回自由度が確保され、1対の把持爪により曲げ縁部をその法線方向から確実に把持できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、ヘミング加工用ワークたる自動車用ドアWをヘミング装置(図示せず)に投入するロボットを示している。このロボットは、ロボットアーム1の先端の手首2に搭載したハンド治具3を備えており、ハンド治具3でドアWを保持し得るようにしている。尚、ドアWは、アウタパネルWOにドアインナWIをセットし、アウタパネルWOの周囲の曲げ起された曲げ縁部Waをヘミング装置でヘミング加工してアウタパネルWOとドアインナWIとを結合し、その後ヘミング部を溶接して組立てられる。
【0009】
ハンド治具3には、図1乃至図3に示す如く、アウタパネルWOの下辺の曲げ縁部Waを把持する第1把持具41 と、アウタパネルWOの前後一方の辺の曲げ縁部Waを把持する第2把持具42 と、アウタパネルWOの前後他方の辺の曲げ縁部Waを把持する第3把持具43 とが設けられている。また、第2と第3の各把持具42 ,43 は、大きさの異なるドアにも対処できるように、ハンド治具3に、ドアWの前後方向たるX軸方向と、ドアWの上下方向たるY軸方向とに移動自在に設けられている。これを詳述するに、手首2に連結されるハンド治具3のベース枠30に、これに固定した1対のガイドレール31a、31aに沿ってY軸方向に移動自在なスライド枠31を支持すると共に、該スライド枠31に、これに固定した各ガイドレール32aに沿ってX軸方向に移動自在な前後1対の可動枠32,32を支持し、各可動枠32に第2と第3の各把持具42 ,43 を取付けている。そして、ベース枠30に、モータ31bを搭載すると共に、モータ31bによりベルト31cを介して駆動される1対のボールねじ31d,31dを軸支し、両ボールねじ31d,31dをスライド枠31に固定した1対のナット31e,31eに螺挿し、モータ31bによりスライド枠31を介して両可動枠32,32、即ち、第2と第3の両把持具42 ,43 がY軸方向に移動されるようにしている。また、スライド枠31に、モータ32bを搭載すると共に、モータ32bによりベベルギア32cを介して駆動される1対のボールねじ32dを軸支し、各ボールねじ32dを各可動枠32に固定のナット32eに螺挿し、モータ32bにより両可動枠32,32、即ち、第2と第3の両把持具42 ,43 がX軸方向に接近、離間されるようにしている。
【0010】
各把持具41 ,42 ,43 は、図4(A)(B)に示す如く、曲げ縁部Waを把持する1対の把持爪40,40と、両把持爪40,40を開閉する開閉シリンダ41とを備えている。これを詳述するに、開閉シリンダ41の先端に該シリンダ41の軸線方向先方にのびるブラケット42を取付け、ブラケット42の先端部に両把持爪40,40を開閉シリンダ41の軸線に直交する支軸43を介して開閉シリンダ41の軸線と直交方向に開閉自在に軸支している。そして、開閉シリンダ41内のピストン41aから軸線方向先方にのびるロッド41bに各把持爪40の尾端部をトグルリンク44を介して連結すると共に、ピストン41aから軸線方向尾方にのびるロッド41cにピストン41aを軸線方向尾方に付勢するスプリング45を装着し、スプリング45の付勢力で両把持爪40,40が閉じられ、開閉シリンダ41内へのエア供給でピストン41aを軸線方向先方に押動させたとき(図示の状態)、両把持爪40,40が開かれるようにしている。
【0011】
ところで、アウタパネルWOの前後の辺の曲げ縁部Waの第2と第3の把持具42 ,43 による把持箇所の法線方向は前後の辺の湾曲度合によって変化する。そこで、第2と第3の各把持具42 ,43 を、治具本体たる各可動枠32に、各把持具42 ,43 の開閉シリンダ41と同一軸線回りに旋回自在に軸支し、各把持具42 ,43 の1対の把持爪40,40を閉じる際、各把持具42 ,43 が曲げ縁部Waの把持箇所の向きに倣って旋回し、曲げ縁部Waがその把持箇所の法線方向から把持されるようにしている。各把持具42 ,43 は、開閉シリンダ41の尾端に取付けた軸線方向尾方にのびるインナレース46を可動枠32に固定のアウタレース47に装着したメタル軸受47a内に挿入し、インナレース46の端部に抜け止め用のナット46aを螺着することにより、可動枠32に旋回自在に軸支される。
【0012】
また、前記ロッド41cの端部に該ロッド41cの所定の直径方向にのびるストッパ片48を取付けて、ストッパ片48が各把持具42 ,43 と一体に旋回すると共に、ピストン41aと一体にシリンダ軸線方向に移動されるようにしている。そして、アウタレース47の軸線方向尾端の端面上に、図5に明示する如く、ストッパ片48の各端部48aを周方向両側から挟む各1対のばね板から成る規制部材49,49を取付け、これら規制部材49へのストッパ片48の当接で各把持具42 ,43 の旋回角度範囲が規制されるようにしている。また、各規制部材49は、把持爪40,40を閉じるピストン41aの移動方向たるシリンダ軸線方向尾方に向かって周方向外側に傾斜しており、そのため、把持爪40,40の閉じ動作でストッパ片48がピストン41aと一体にシリンダ軸線方向尾方に移動するのに伴い各把持具42 ,43 の旋回角度範囲が広がる。
【0013】
尚、本実施形態では、第1把持具41 もベース枠30に上記と同様の軸支構造で旋回自在に軸支しているが、第1把持具41 で把持するのは真直なドア下辺の曲げ縁部Waであるから、第1把持具41 はベース枠30に固定しても良い。
【0014】
アウタパネルWOにドアインナWIをセットしてサブアッセンブリされたドアWをハンド治具3で保持する際は、先ず、第1乃至第3の各把持具41 ,42 ,43 の把持爪40,40を開いた状態で、ハンド治具3をロボットの動作によりドアWに接近させ、各把持具41 ,42 ,43 の把持爪40,40間にアウタパネルWOの各辺の曲げ縁部Waを挿入させる。この際、各把持具41 ,42 ,43 の旋回角度範囲は規制部材49により狭い範囲に規制されており、各把持具41 ,42 ,43 の勝手な旋回で把持爪40,40間に曲げ縁部Waが入らなくなるといった不具合は生じない。次に、各把持具41 ,42 ,43 の把持爪40,40を閉じるが、これによれば各把持具41 ,42 ,43 の旋回角度範囲が広がる。そのため、曲げ縁部Waの把持箇所の向きに倣った各把持具41 ,42 ,43 の旋回自由度が確保され、曲げ縁部Waがその把持箇所の法線方向から確実に把持される。また、本実施形態では、規制部材49をばね板で構成しているため、閉じ状態での把持具41 ,42 ,43 の旋回自由度をより大きく確保することができる。
【0015】
以上、ドアWを保持するハンド治具3に設ける把持装置に本発明を適用した実施形態について説明したが、ドア以外のワークを保持する治具に設ける把持装置にも同様に本発明を適用できる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、把持具の1対の把持爪を開いた状態では把持具の旋回角度範囲を狭めて、両把持爪間にワークが確実に挿入されるようにし、両把持爪を閉じる際は把持具の旋回角度範囲を広げて、ワークをその把持箇所の法線方向から確実に把持することができ、把持装置の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る把持装置を設けたハンド治具の側面図。
【図2】図1のII−II線から見たハンド治具の平面図。
【図3】図1の矢印III 方向から見たハンド治具の正面図。
【図4】(A)把持具の拡大側面図、(B)図4(A)のIVB−IVB線裁断面図。
【図5】図4(A)の矢印V方向から見た平面図。
【符号の説明】
W…ドア(ワーク)
Wa…曲げ縁部
3…ハンド治具
1 ,42 ,43 …把持具
40…把持爪
41…開閉シリンダ
41a…ピストン
48…ストッパ片
49…規制部材

Claims (1)

  1. ワークを保持する治具に、ワークを把持すべく設ける把持装置であって、
    開閉自在に軸支される1対の把持爪と、両把持爪を開閉する、両把持爪の開閉方向及び両把持爪の支軸と直交方向の軸線を持つ開閉シリンダとを備える把持具を治具本体に開閉シリンダと同一軸線回りに旋回自在に軸支するものにおいて、
    把持具に、把持具と一体に旋回するストッパ片を開閉シリンダ内のピストンに連結して設けると共に、
    治具本体側に、ストッパ片に当接して把持具の旋回角度範囲を規制する規制部材を、ストッパ片が両把持爪を閉じるピストンの移動方向に移動するのに伴い把持具の旋回角度範囲が広がるように設ける、
    ことを特徴とするワークの把持装置。
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