JP4202447B2 - 熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板からなるツーピース缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面処理されたアルミニウム(アルミニウム合金を含む)板に熱可塑性樹脂を被覆して得られた複合材料からなるツーピース缶に関する。さらに詳しくいえば、本発明は、アルミニウム板の表面に特定の構造をした水溶性樹脂を含む酸性液を用いて処理皮膜を形成させ、この処理皮膜の上面に熱可塑性樹脂を被覆して得られた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板を用いて成形加工した缶に関する。
【0002】
【従来技術】
食品缶詰あるいは食料缶詰として用いられるツーピース缶には絞り缶、絞り再絞り缶、(DRD缶)、薄肉化絞り缶(缶胴側壁部の厚さを元の板の厚さよりも薄く絞り加工した缶)および絞りしごき缶(DI缶)がある。
【0003】
絞り缶や絞り再絞り缶の材料には、成形加工前に塗装が施されたブリキ板、TFS板(電解クロム酸処理鋼板)あるいはアルミニウム板が使用されている。
絞り缶や絞り再絞り缶の場合は、成形加工の程度が比較的軽いため、成形加工後も塗装皮膜の連続性が保持されて耐腐食性が確保され、その缶に詰められた食品を長期にわたり保護することができる。しかし、ブリキ板、TFS板あるいはアルミニウム板に塗装を施す設備は、塗料を塗布した後の乾燥、硬化をさせるための長大なオーブンが必要で、かつ塗料中の揮発物質である気化した有機溶剤を無害化する設備も必要になる。
【0004】
TFS板やリン酸クロメート処理アルミニウム板に塗装を施し、薄肉化絞り缶あるいは絞りしごき缶に成形加工する試みもなされているが、単純な絞り加工とは異なる厳しい加工が施された後では、塗膜の連続性を保持できる柔軟性を有した塗装皮膜を得ることができず、未だ実用化されていない。
【0005】
TFS板あるいはリン酸クロメート処理アルミニウム板などの片面あるいは両面に二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを積層して加熱接着された缶材の製造技術は、特公昭61−51987号公報、特公平2−58094号公報、特公平4−74176号公報、あるいは特許第2532002号公報など存在している。
【0006】
これらはいずれも、特定の表面処理が施された処理皮膜を有する金属板を特定の温度に加熱して、その片面あるいは両面に二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを積層して加熱接着させ、接着後ただちに冷却して金属板に接する内面側の樹脂フィルムを非晶質構造にして金属板との密着性を高めると共に、金属板とは接しない最表面側の樹脂フィルムは、配向結晶構造を崩さずに残存させることにより、水などの遮蔽性を保持した、樹脂フィルム被覆TFS板あるいはアルミニウム板を提供するものである。
【0007】
前記の配向結晶性を有する熱可塑性樹脂被覆金属板は、金属板と樹脂が強固に密着するように、接着性に優れた表面処理皮膜を有する金属板を、樹脂の融点以上の温度に加熱して、その金属板上に二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを積層し接着した後に、冷却して得られる。
しかし、接着後の樹脂フィルムの配向結晶構造が崩れた非晶質構造層の厚みと、残存配向結晶構造層の厚みの比率が重要であり、積層接着する際には、極めて厳密な制御と管理が必要になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記のような、積層接着時の煩雑さを軽減する技術を提供する点にあり、具体的には、特定の表面処理皮膜を有するアルミニウム板に、熱可塑性樹脂を積層被覆した後に薄肉化絞り加工または絞りしごき加工により成形した層間の密着性および耐腐食性に優れた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板製のツーピース缶を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、板厚0.16〜0.30mmのアルミニウム板の両面に0.5〜30g/リットルのりん酸イオンと、0.1〜10g/リットルの縮合リン酸イオンと、0.1〜20g/リットルの下記一般式(1)
【化4】
〔ただし式中X1およびX2は、水素原子、C1〜C5のアルキル基およびC1〜C5のヒドロキシアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれたものであり、Y1およびY2は、水素原子、下記一般式(2)、
【化5】
で示される基および一般式(3)
【化6】
で示される基よりそれぞれ独立して選ばれたものであり、R1、R2、R3、R4およびR5は、水素原子、C1〜C10のアルキル基およびC1〜C10のヒドロキシアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記重合体分子中のベンゼン環に対する前記一般式(2)または(3)で示される基の置換数は、平均値で0.2〜1.0であり、nは2〜50である。〕
で示される水溶性重合体よりなる組成物を用いて得られた表面処理皮膜の付着量がカーボンとして3〜35mg/m2、リンとして0.3〜5mg/m2となるような表面処理皮膜を設け、さらにその両面に厚さ8〜30μm、融点190〜252℃の熱可塑性樹脂を被覆することにより形成された複合材料を用いて、缶胴側壁部の板厚減少率
【数2】
が20〜70%となるように薄肉化絞り加工または絞りしごき加工した缶を、前記熱可塑性樹脂の〔融点〕ないし〔融点+50℃〕の温度に加熱した後、これを5秒以内に60℃以下に冷却して、X線回折法で缶胴部分の熱可塑性樹脂の配向結晶の存在を示す回折角2θ=26°付近の回折ピークがあらわれないまでに非晶質化することにより得られた密着性および耐蝕性に優れたツーピース缶に関する。
【0010】
本発明で用いるアルミニウム板とは、アルミニウム合金よりなるものである。アルミニウム合金は、アルミニウムと周期率表第1族、第2族、第7族に属する金属の少なくとも1種とからなる合金であり、アルミニウムのもつ優れた加工性を保ちながら耐腐食性を改善したものであり、例えばJISの合金番号3004などが好ましい。
【0011】
前記アルミニウム板の厚みは、先行技術として挙げた前記公報記載のものと特に異なる点はない。薄肉化深絞りあるいはしごきの有無にもよるが通常0.16〜0.30mm、好ましくは0.20から0.28mmである。板厚が0.16mm未満だと安定した成形が困難となるため生産性が悪くなり、一方、板厚が0.30mmを超えても成形は可能であるが、経済性の観点からは0.30mm以下が望ましい。
【0012】
表面処理皮膜の形成に用いる酸性液はリン酸イオン濃度(リン酸根として計算)が0.5〜30g/リットルの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜5g/リットルの範囲である。リン酸イオンの濃度が0.5g/リットル未満では反応性が乏しく皮膜が充分に形成されない。また30g/リットルを超えて配合しても良好な皮膜が形成されるが、処理液のコストが高くなり経済的に無駄である。
縮合リン酸イオン濃度(縮合リン酸根として計算)は、0.1〜10g/リットルの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0g/リットルの範囲である。縮合リン酸イオンの濃度が0.1g/リットル未満ではエッチング作用が弱く充分に皮膜が形成されない。また、10g/リットルを超えると、エッチング作用が強すぎるために良好な皮膜形成反応を阻害するようになる。なお、リン酸イオンか縮合リン酸イオンのいずれか一方が欠けた場合には表面処理皮膜形成反応が進行せず、目的とする皮膜が得られない。
【0013】
前記リン酸イオンを供給するための化合物としては、リン酸酸性リン酸塩などを挙げることができ、縮合リン酸イオンを供給する化合物としては、ピロリン酸(縮合リン酸根はP2O7)、トリポリリン酸(縮合リン酸根はP3O10)、テトラポリリン酸(縮合リン酸根はP4O13である)などのポリリン酸を挙げることができる。
【0014】
前記一般式(1)で示される水溶性重合体(オリゴマーを含む)におけるX1およびX2に用いることのできるアルキル基やヒドロキシアルキル基の炭素数は6以上になると分子がバルキーになり、立体障害がおき、加工性、耐腐食性に優れた緻密な皮膜が得られなくなる。またY1およびY2に用いることのできるアルキル基やヒドロキシアルキル基も炭素数が11以上になると、X1やX2の場合と同様の結果を招く。またnが10のポリマーにおいては、ベンゼン環は20個となり、これに一般式(2)および/または(3)で示される置換基が10個ついている場合は、置換数0.5ということになるが、この置換数の平均値が0.2未満では樹脂の水溶性が低すぎて安定な処理液となりにくくなり、置換数が1.0を超えると水溶性が高くなりすぎて皮膜形成性が悪化する。したがって、一般式(2)または(3)で示される基の置換数平均値は0.2〜1.0であることが好ましい。また平均重合度nが2〜50としたのは、2未満では低分子量すぎて耐腐食性がなく、50を超えると高分子量すぎて水溶液の安定性が低下し、作業性に問題が生じるからである。
【0015】
本発明の酸性液に用いられる水溶性重合体は前記一般式(1)で示されるものが好ましく、その使用濃度は好ましくは0.1〜20g/リットルである。0.1g/リットル未満では表面に安定した皮膜を形成することが困難となり、20g/リットルを超えても効果が向上せずまた、経済性が悪くなる。
【0016】
表面処理皮膜の形成に用いる酸性液のpHは6.0以下に調整することが好ましい。pHが6.0を超えると水溶性樹脂が沈殿析出しやすくなるために処理液の寿命が短かくなる。より好ましくはpH3.0〜4.0の範囲である。pHはリン酸、硝酸、塩酸などの酸、もしくは水酸化アンモニウムなどのアルカリを使用することにより調整できる。
【0017】
表面処理液が適用されるアルミニウム板への表面処理法としては主として次の2通りを挙げることができる。
【0018】
A法
▲1▼脱脂(一般的には弱アルカリ性洗浄剤を使用)
▲2▼水洗
▲3▼皮膜生成処理
▲4▼水洗
▲5▼純水洗
▲6▼乾燥
B法
▲1▼脱脂(一般的には弱アルカリ性洗浄剤を使用)
▲2▼水洗
▲3▼皮膜生成処理
▲4▼乾燥
【0019】
表面処理皮膜の付着量はカーボンとして3〜35mg/m2、リンとして0.3〜5mg/m2の範囲が好ましい。より好ましい範囲は、カーボンが5〜15mg/m2、リンが0.5〜3mg/m2である。カーボンの量が3mg/m2未満だと安定した皮膜を形成できず、一方、35mg/m2を超えると形成された皮膜の加工性が低下して、加工後の密着性が低下してしまう。また、リンの量が0.3mg/m2未満だとやはり安定した皮膜を形成できず、一方、5mg/m2を超えると形成された皮膜の加工性が低下して、加工後の密着性が低下する。
【0020】
熱可塑性樹脂被覆の形成に用いる熱可塑性樹脂としては、表面処理皮膜に対して密着性、接着性を示すものであればなんでもよいが、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、(メタロセン触媒を用いた高結晶性のポリエチレン、ポリプロピレンを含む)エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニルあるいは塩化ビニリデン系ポリマーなど、あるいはこれらの混合物などを例示することができる。またこの被覆層中には顔料、熱安定剤、アンチブロッキング剤など任意の添加剤を配合することができる。
【0021】
前記熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステルが好ましいが、とくに、テレフタル酸80〜100モル%、イソフタル酸0〜20モル%よりなる酸成分と、エチレングリコール90〜100モル%とジエチレングリコール0〜10モル%よりなるアルコール成分とからなるポリエチレンテレフタレートあるいはその他の共重合ポリエステルが密着性、成形性、加工性の点からみて好ましい。
【0022】
前記熱可塑性樹脂被覆の形成方法としては、フィルムラミネート法あるいは押出ラミネート法を挙げることができる。
ラミネート時に必要なアルミニウム板の加熱方法は、熱風加熱方式、誘導加熱方式、加熱ロール伝熱方式などが採用できる。
また、ラミネート後にラミネートされたアルミニウム板を樹脂の〔融点〕ないし〔融点+50℃〕に再加熱し、5秒以内に60℃以下に急冷し樹脂皮膜を非晶質構造にすることが、加工性の点で好ましい。
【0023】
熱可塑性樹脂で被覆したアルミニウム板は、周知の薄肉化絞り加工または絞りしごき加工により元板厚の20〜70%の厚さの缶胴側壁部を持つツーピース缶に成形加工する。ここで、ツーピース缶の缶胴側壁部の厚さを元板厚の20〜70%の範囲としたのは、元板厚の20%未満だと薄肉化が少なすぎて目的とする高さの缶を得るのに多くの材料が必要となるので、経済性が悪く、一方、元板厚の70%を超えると、加工時に缶胴側壁部表面の樹脂層の損傷や胴側壁部の破断が発生しやすくなり、缶内面の耐食性低下や生産性の低下を招くためである。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0025】
実施例1
板厚0.24mm、3004アルミニウム合金板の両面に、以下に示す表面処理液1を、付着量がカーボンとして5mg/m2、リンとして1mg/m2となるように処理し、次いで水洗、純水洗して、80℃で乾燥した。
表面処理液1
75%リン酸(H3PO4)
1.42g/リットル(PO4 3-:1.0g/リットル)
ピロリン酸(H4P2O7)
0.51g/リットル(P2O7 4-:0.5g/リットル)
水溶性重合体固形分*
3.00g/リットル
pH3.5(水酸化ナトリウムで調整)
*この水溶性重合体は一般式(1)におけるn、X1、X2、Y1、Y2が下記のとおりのものである。
n=5、
X1、X2=−CH3
Y1、Y2=−CH2N(CH3)2または水素原子
置換数:0.25
次いで、テレフタル酸84モル%、イソフタル酸16モル%の酸成分と、エチレングリコール98モル%、ジエチレングリコール2モル%のアルコール成分からなる2軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(厚さ:25μm、融点215℃)を225℃で積層し、さらに240℃に加熱して樹脂を溶融し、2秒以内に25℃の水に投入し急冷することにより、樹脂被覆層を非晶質構造とした。一般的なX線回折法で2θ=26°付近の回折強度を分析したがピークは認められず、樹脂被覆層は非晶質構造と判断された。
こうして得られたポリエステル樹脂被覆アルミニウム板を、下記に示す条件で薄肉化絞り缶に加工した後、240℃で60秒の熱処理で被覆樹脂を再溶融させ、冷風で2秒以内に缶表面温度を50℃以下まで急冷した。缶胴部分の被覆樹脂について一般的なX線回折法で2θ=26°付近の回折強度を分析したが、ピークは認められず樹脂被覆層は非晶質構造と判断された。
次いで公知の方法でトリミング、ネッキング、フランジング加工を施した。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表1に示す。
【0026】
実施例2
実施例1に示す条件のうち、以下に示す表面処理液2に変更し、付着量がカーボンとして15mg/m2、リンとして3mg/m2となるように処理して、80℃で乾燥した。
表面処理液2
75%リン酸(H3PO4)
2.82g/リットル(PO4 3-:2.0g/リットル)
ピロリン酸(H4P2O7)
1.02g/リットル(P2O7 4-:1.0g/リットル)
水溶性重合体固形分** 7.00g/リットル
pH 2.0(フルオロチタンフッ化水素酸で調整)
**この水溶性重合体は一般式(1)におけるn、X1、X2、Y1、Y2が下記のとおりのものである。
n=5、
X1、X2=−CH3
Y1、Y2=−CH2N(CH3)2または水素原子
置換数:1.0
実施例1と同一の2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを使用して、以下実施例1と同じ手順で薄肉化絞り缶に加工し、加工後実施例1と同じ条件で熱処理を行った。得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表1に示す。
【0027】
参考例1
実施例1と同一条件で得られた表面処理アルミニウム板を225℃に加熱し、実施例1と同一の2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを積層し、1秒以内に30℃の純水で急冷した。
こうして得られたポリエステル樹脂被覆アルミニウム板の樹脂被覆層を一般的なX線回折法で2θ=26°付近の回折強度を分析したところ、配向結晶構造が、ラミネート前のフィルムの35%に減少しており、残りの65%が非晶質構造であった。次に実施例1と同じ手順で薄肉化絞り缶を加工した。その後、200℃で60秒間の熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表1に示す。
【0028】
比較例1
実施例1に示す条件のうち、アルミニウム板に表面処理を施さないで、実施例1と同一の2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを使用して、以下実施例1と同じ手順で薄肉化絞り缶を加工した。その後、実施例1と同じ条件で熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表1に示す。
【0029】
比較例2
実施例1に示す条件のうち、アルミニウム板の表面処理をリン酸クロメート処理に変更して、実施例1と同一の2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを使用して、以下実施例1と同じ手順で薄肉化絞り缶を加工した。その後、実施例1と同じ条件で熱処理を行った。
得られた、製品の加工耐腐食性の試験結果を表1に示す。
但し、リン酸クロメート処理は、市販のリン酸クロメート処理剤(日本パーカライジング株式会社製)であるリン酸クロム酸を主成分としたアルクロムK702主剤およびフッ酸を主成分としたアルクロムK702副剤を用いて処理をした。処理濃度は、前記主剤を3.0%、前記副剤を0.5%になるように添加した。処理液は酸性の水溶液となる。
前記処理液を50℃に加温して、脱脂−水洗したアルミニウム板に3秒間スプレー処理を施した。次いで、水洗−純水洗−乾燥を行い、リン酸クロメート処理板を作成した。処理板の付着量は市販の蛍光X線装置にて定量した。付着量はクロムとして10mg/m2である。
【0030】
比較例3
実施例1に示す条件のうち、アルミニウム板に表面処理を施さないで、実施例1と同一の2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを使用して、参考例1と同一条件でラミネートし、以下実施例1と同じ手順で薄肉化絞り缶を加工した。その後、200℃で60秒間の熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表1に示す。
【0031】
比較例4
実施例1に示す条件のうち、アルミニウム板の表面処理を比較例2記載のリン酸クロメートに変更し、実施例1と同一の2軸延伸ポリエステル樹脂フィルムを使用して、参考例1と同一条件でラミネートし、以下実施例1と同じ手順で薄肉化絞り缶を加工した。その後、200℃で60秒間の熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表1に示す。
【0032】
本発明における加工耐腐食性はつぎの方法で評価したものである。
クエン酸 5wt%
リンゴ酸 5wt%
塩化ナトリウム 5wt%
よりなる腐食促進試験を試験対象となる缶に充填し、38℃×1ケ月保管後に開缶し評価した。評価の表示は下記のとおりである。
〇:腐食なし △:かなり腐食(部分的にフィルム浮き)
□:わずかに腐食 ×:全面腐食(フィルム浮き)
【0033】
【表1】
【0034】
実施例3
実施例1で得られた本発明のポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板を次ぎの加工条件でDI缶に加工した。その後、実施例1と同じ条件で熱処理を行った。
加工条件
絞り工程 ブランク径 :152mm
絞り比 :1.60
再絞り工程 第1再絞り比 :1.44
缶胴側壁部のしごき率 :56%
〔(t0−t2)/t0×100
t0 :加工前の板厚
t2 :加工後の缶胴側壁部の板厚〕
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表2に示す。
【0035】
参考例2
参考例1で得られた本発明のポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板に実施例3と同じ手順でDI缶に加工した。その後、200℃で60秒間の熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表2に示す。
【0036】
比較例5
比較例1で得られたポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板を実施例3記載の加工条件でDI缶に加工した。その後、実施例1と同じ条件で熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表2に示す。
【0037】
比較例6
比較例2で得られたポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板を実施例3記載の加工条件でDI缶に加工した。その後、実施例1と同じ条件で熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表2に示す。
【0038】
比較例7
比較例3で得られたポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板を実施例3記載の加工条件でDI缶に加工した。その後、200℃で60秒間の熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表2に示す。
【0039】
比較例8
比較例4で得られたポリエステル樹脂被覆アルミニウム合金板を実施例3記載の加工条件でDI缶に加工した。その後、200℃で60秒間の熱処理を行った。
得られた製品の加工耐腐食性の試験結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【効果】
(1) 本発明は、アルミニウム板に熱可塑性樹脂被覆を形成する際のアルニウム板に対する新しくてかつ有効な表面処理技術を用いることにより、アルミニウム板と熱可塑性樹脂被覆との密着性、加工性および耐腐食性に優れた熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板を得ることができ、この特徴を生かしたツーピース缶を提供するものである。
(2) 本発明によれば、この熱可塑性樹脂被覆アルミニウム板からなる缶、とくにツーピース缶の熱可塑性樹脂被覆層には、必ずしも配向結晶が残存していなくても、充分な耐腐食性が得られるので、配向フィルムを厳密な条件でラミネートするわずらわしさがなく、安定した生産が可能となった。また、この熱可塑性樹脂被覆層は配向結晶を必要としないので押出ラミネート法によって得られたラミネート樹脂皮膜でも充分使用に耐えるため、今までのように別途フィルムを製造する工程が不要となり、コストを大幅に下げることができる。
Claims (1)
- 板厚0.16〜0.30mmのアルミニウム板の両面に0.5〜30g/リットルのりん酸イオンと、0.1〜10g/リットルの縮合リン酸イオンと、0.1〜20g/リットルの下記一般式(1)
で示される水溶性重合体よりなる組成物を用いて得られた表面処理皮膜の付着量がカーボンとして3〜35mg/m2、リンとして0.3〜5mg/m2となるような表面処理皮膜を設け、さらにその両面に厚さ8〜30μm、融点190〜252℃の熱可塑性樹脂を被覆することにより形成された複合材料を用いて、缶胴側壁部の板厚減少率
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