JP3918340B2 - ポリエステル樹脂ラミネート鋼板 - Google Patents

ポリエステル樹脂ラミネート鋼板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、18L缶、ペール缶等に用いられるポリエステル樹脂ラミネート鋼板に関し、特に内容物がアルカリ性水溶液である場合このアルカリ性水溶液に対して優れた耐食性を有し、さらに缶加工性も良好なポリエステル樹脂ラミネート鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般缶用途などの容器材料としては、従来、腐食防止を目的として、錫めっき鋼板、クロム処理鋼板、ニッケルめっき鋼板などの金属材料に、エポキシ系、フェノール系等の各種熱硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗布し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しかしながら、これらの熱硬化性樹脂は溶剤を多量に含んでおり、溶剤の蒸発や樹脂の硬化に時間がかかり、熱エネルギーを多量に消費する。また、多量の溶剤を蒸発させる必要があるため、これらの溶剤による環境汚染等の問題がある。しかも、効果的に防食を行うためには、塗膜に充分な厚みをもたせる必要がある。したがって、塗装・焼き付けを繰り返すことが必要となり、生産性および省エネルギーの点でも問題がある。
【0003】
これらの問題を解消する方法として、上記金属材料に樹脂フィルムを被覆したラミネート鋼板が開発されている。樹脂フィルムとしてはポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等の熱可塑性樹脂をラミネートした鋼板が使用されている。例えば、PEを鋼板にラミネートする方法は特開平5−200961号公報に、PPを鋼板にラミネートする方法は特開平6−8368号公報に、さらにPEおよびPPを鋼板にラミネートさせる方法は特開平6−99543号公報にそれぞれ開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのラミネート鋼板は、缶として成形加工を施した後に充填物としてアルカリ性水溶液を充填するに際して問題があった。すなわち、ラミネートされているポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂は、比較的アルカリ性の充填物に対して耐性があるものの、缶として成形加工を施した際に加工部分のこれら樹脂層にクラックが生じる場合がある。このようにクラックが生じた場合、鋼板と樹脂層との接着層として用いられている変性オレフィンがアルカリ性水溶液と接触することになる。通常、この変性オレフィンはアルカリ水溶液に対して耐性があまりないことから、劣化を受け、フィルムが時間と共に剥離してしまう。これにより、鋼板の腐食が進行してしまうことから、18L缶、ペール缶等に使用するに際して問題となるのである。また、これらのオレフィン系の樹脂をラミネートした鋼板は、樹脂の融点が160℃以下であるため、鋼板に印刷を行うに際して印刷時に加えられる加熱に対する耐熱性が不十分であるという問題もあった。
【0005】
また、PETを鋼板にラミネートしたラミネート鋼板は、特開平7−138387号公報、特開平8−1862号公報、特開平8−169084号公報に開示されている。ここで使用されているPETは樹脂の融点が比較的高いことから印刷等の加熱に対する耐熱性は十分であるが、アルカリ性水溶液が充填された場合に、PET樹脂そのものが加水分解を受けてしまうことから、事実上、18L缶、ペール缶等に使用できないという問題があった。
【0006】
近年、PETより化学的安定性、機械的強度等に優れるポリエステル樹脂として、ポリエチレンナフタレート(PEN)が実用化されている。このPENをラミネート鋼板に使用している例が、特開平6−23847号公報に開示されている。しかしながら、このPENはアルカリ性水溶液に対してPETより耐性が良いものの、未だ不十分であった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みて成し遂げられたものであり、18L缶、ペール缶等に使用される鋼板として、缶加工性に優れ、さらにアルカリ性水溶液を充填物とした場合でも問題なく用いることができるポリエステル樹脂ラミネート鋼板を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1において、金属クロム付着量が片面あたり40mg/m2以上200mg/m2以下の金属クロムめっき層と、この金属クロムめっき層の表面に形成され、金属クロム換算での付着量が片面あたり3mg/m2以上25mg/m2以下であるクロム酸化物層とを鋼板の少なくとも一面に有する電解クロメート処理鋼板の表面に、末端カルボキシル基量が0.5eq/106g以上12eq/106g以下であるポリエステル樹脂からなり厚みが10μm以上80μm以下であるポリエステル樹脂層が設けられていることを特徴とするポリエステル樹脂ラミネート鋼板を提供するものである。
【0009】
このように、ラミネートされるポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が、0.5eq/106g以上12eq/106g以下であるので、充填される液体がアルカリ性溶液であっても、ポリエステルが加水分解を受けにくく、したがって腐食等の問題が生じにくい。
【0010】
また、本願発明においては、請求項2に記載するように、末端カルボキシル基量が0.5eq/10 6 g以上6.0eq/10 6 g以下であることが、上記効果を得るためにさらに好ましい。また、本発明においては、請求項に記載するように、上記ポリエステル樹脂の極限粘度が、0.6以上2.0以下であることが好ましい。このような範囲内とすることにより、さらに缶加工等の加工性も改善されるからである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明者等は、従来の樹脂ラミネート鋼板を、アルカリ性の水溶液を充填するための缶の材料として用いた場合に生ずる問題点を解決すべく、各種ラミネート鋼板の耐食性について調査を行い、次のような知見を得た。
【0013】
まず、ポリプロピレン樹脂を被覆した鋼板およびポリエチレン樹脂を母層とする樹脂をラミネートした鋼板は、アルカリ性水溶液を充填し経時した際に、巻締め加工部や口金加工部でフィルムに亀裂がある場合、そこを起点としてフィルムが剥離し、鋼板の腐食が進行した。これは、オレフィン系樹脂を使用した場合、接着層として使用する変性オレフィンに含まれる酸無水物あるいはカルボキシル基等の酸成分が、亀裂から進入してきたアルカリ性溶液と反応し、鋼板との接着を弱めるためである。また、オレフィン系樹脂は融点が低いため、外面印刷を施す際に、板搬送設備と内面樹脂とが熱融着してしまうといった問題を生じた。
【0014】
一方、ポリエステル樹脂を被覆した鋼板は、ポリエステル樹脂の融点が200℃以上であるため、外面印刷の点では全く問題ないが、アルカリ性水溶液に浸積されると、ポリエステル樹脂そのものが加水分解を受け、腐食が始まることがわかった。これは、ポリエステル樹脂に含まれるカルボキシル基末端が、アルカリ塩として水に可溶化し、分解が促進されるためである。
【0015】
また、固相重合を行うことにより、ポリエステル樹脂の極限粘度をある特定の範囲に制御することにより、缶加工等における加工性が改善されることがわかった。
【0016】
本発明者等は以上の知見に基づき、ティンフリースチール(TFS)のクロム酸化物上にポリエステル樹脂を被覆したラミネート鋼板において、例えば固相重合を行うことにより、樹脂中のカルボキシル基末端をある特定の範囲に制御することにより、アルカリ水溶液に対して耐食性が著しく改善され、また固相重合後のこの樹脂の極限粘度をある特定の範囲に制御することにより加工性が著しく改善されることを見出した。
【0017】
このような点から見出された本発明に係るポリエステル樹脂ラミネート鋼板は、下地鋼板の少なくとも一方の面に、下層が片面あたり40mg/m2以上200mg/m2以下の金属クロム層、上層が片面あたり金属クロム換算で3mg/m2以上25mg/m2以下のクロム酸化物層からなる電解クロメート処理皮膜を有し、さらにその上層にポリエステル樹脂の厚みが10μm以上80μm以下であり、かつ例えば固相重合を行うことにより、樹脂中のカルボキシル基末端を0.5eq/106g以上12eq/106g以下、好ましくは、6.0eq/10 6 g以下に制御したポリエステル樹脂層を有する事を特徴とするものである。
【0018】
本発明において用いられる下地鋼板は、特に限定されるものではなく、通常この種の表面処理鋼板に用いられる鋼板であれば使用することができる。例えば、板厚0.1〜0.5mmの通常の低炭素冷延鋼板、低炭素Alキルド鋼板等を用いることができる。
【0019】
このような下地鋼板の少なくとも一方の面には、表面処理皮膜として、下層が金属クロム層、上層がクロム酸化物層からなる二層の電解クロメート処理被膜が形成される。
【0020】
ここで、下層の金属クロム付着量は、片面あたり40mg/m2以上200mg/m2とするが、好ましくは45mg/m2〜150mg/m2である。金属クロムの付着量が40mg/m2未満の場合には、缶の充填物が界面活性剤の場合に耐食性に問題が生じるからであり、200mg/m2を越える金属クロムめっき量では、特性上の問題はないが、経済的観点から好ましくないためである。
【0021】
上層のクロム酸化物の付着量は、片面あたり金属クロム換算で3mg/m2以上25mg/m2以下とする。その付着量が3mg/m2未満では金属クロム層がクロム酸化物によって均一に覆われず金属層の露出面積が大となり、缶内に界面活性剤が充填された場合、耐食性に問題が生じるためである。また、25mg/m2を越えるとクロム酸化物層が厚すぎることによって生じる耐食性の悪化や樹脂フィルムとの密着力の低下が起こり好ましくない。
【0022】
本発明においては、この電解クロメート処理被膜の上層にポリエステル樹脂が有機物層として形成される。本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる樹脂であり、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルムを用いることができる。
【0023】
本発明のポリエステル樹脂を構成するモノマー成分のうち、カルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を用いることができる。
【0024】
一方、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブタンジオールをはじめ、プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等を用いることができる。また、これらジカルボン酸成分およびグリコール成分はそれぞれ単独でも2種類以上を用いてもよい。
【0025】
本発明に用いられるポリエステル樹脂の製造法は、従来公知の方法を用いることができる。また、本発明におけるポリエステル樹脂を製造するにあたり、必要により酸化防止剤、帯電防止剤、耐候剤、無機粒子、有機粒子、可塑剤等の添加剤を適宜使用することができる。
【0026】
このようにして得られる本発明に用いられるポリエステル樹脂は、樹脂中のカルボキシル基末端が0.5eq/106g以上12eq/106g以下であることが望ましい。カルボキシル基末端が0.5eq/106g未満の樹脂は実際の製造工程では非常に製造することが困難であり、現実的でない。また、樹脂中のカルボキシル基末端が12eq/106gを超える場合は、アルカリ水溶液に対してポリエステル樹脂層の耐性が著しく劣り、フィルムの加水分解が促進される。
【0027】
このようなカルボキシル基末端の制御は、例えば通常の溶融重合の後で固相重合を行う方法等により行われることが好ましい。固相重合は通常行われている方法を用いればよく、特に限定されるものではない。固相重合は真空下あるいは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行われる。重合温度は樹脂のガラス転移点を越える温度から融点未満の温度で行われるが、好ましくは樹脂の融点から10℃〜60℃低い温度で行われる。また、その他のカルボキシル基末端の制御方法としては、溶融重合における温度の調整、カルボジイミド、オキサゾリン等の公知の末端封鎖剤を用いる方法等を挙げることができる。
【0028】
本発明に用いられるポリエステル樹脂の極限粘度は、0.6以上2.0以下であることが望ましい。極限粘度が0.6未満である場合は、缶加工等の加工性に劣るからである。また、極限粘度が2.0を越えると、例えば固相重合の場合、固相重合における重合温度を高くするか、あるいは重合時間を長くする必要があるため、樹脂の劣化が起こり、かえって樹脂中のカルボキシル基末端が増加してしまう。また、フィルム成形が難しくなり、均一な膜厚のフィルムが得られないためである。
【0029】
さらに、得られるポリエステル樹脂の融点は200℃以上であることが望ましい。缶製造において印刷時のインキの加熱硬化行程があるためである。
【0030】
このようなポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂層は単層としてもよく、また二層としても良い。このポリエステル樹脂層の厚みは10μm〜80μmであることが望ましい。厚みが10μm未満であると缶加工時にフィルム表面に亀裂が入りやすくなり、耐食性の点で問題がある。また80μmを越える厚みでは、耐食性の点で問題はないが、ラミネート鋼板の切断等に支障をきたし、また樹脂層のコストが高くなり好ましくないためである。また、ポリエステル樹脂層表面にコロナ放電処理等の表面処理を施し、鋼板との接着性を向上させてもよい。
【0031】
本発明において、このようなポリエステル樹脂層の鋼板への被覆方法は特に限定されるものではなく、鋼板をポリエステル樹脂層の融点以上に加熱し、ロールを使用してフィルムを圧着する方法等が用いられる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を通じてさらに詳述する。
[供試材]
(1)表面処理鋼板
全ての実施例および比較例は、板厚0.32mmの冷延鋼板に、下記の表1に示す表面処理を施して製造した。
(2)ポリエステル樹脂層ラミネート
実施例、比較例に記載された表面処理鋼板の片面に、ポリエステル樹脂の融点±50℃の範囲で加熱した鋼板上にポリエステル樹脂層(フィルム)をラミネートし、ラミネート後直ちに水冷した。
[特性測定方法、評価方法]
(1)ポリエステル樹脂の極限粘度
ポリエステル樹脂をフェノールと1,1,2,2,−テトラクロロエタン(重量比60/40)の混合溶媒に100℃、1時間で濃度が0.2〜1.0g/dlになるように溶解させ、ウベローデ型毛細管粘度計を用いて35℃で測定し、溶液粘度を0g/dlの値に外挿して値を得た。
(2)樹脂中の末端カルボキシル基量
ポリエステル樹脂をo−クレゾール/クロロホルム(重量比70/30)の混合溶媒に100℃、20分の条件で溶解し、アルカリ電位差滴定を行い求めた。(3)加工性(T字曲げ試験)
ポリエステル樹脂ラミネート鋼板を0T、1T、2T、3TのT字曲げ試験を行い、目視により加工部のフィルムクラック有無を調べ、全ての加工においてクラックが無かったものを5点、0Tで入ったものを4点とし順次3点から1点まで5段階にて評価した。
(4)浸漬後のフィルム外観(平板浸積試験)
水酸化ナトリウム水溶液(pH12)中で、ポリエステル樹脂ラミネート鋼板原板を、50℃1ヶ月間浸漬を行い、フィルムの外観から劣化状況を評価した。
【0033】
評価 ○:変化無し、 △:一部変化有り、 ×:フィルムが溶解
(5)エリクセン加工後の耐食性
ポリエステル樹脂ラミネート鋼板(7cm×7cm)にクロスカットを入れ、エリクセン加工(7mm)したサンプルを、水酸化ナトリウム水溶液(pH12)中に50℃1ヶ月間浸漬を行い、フィルム剥離の程度を剥離幅にて5段階評価した。
【0034】
5点:2mm未満、4点:2mm〜5mm、3点:5mm〜10mm、2点:10mm〜15mm、1点:15mm以上
(実施例1)
前記表面処理原板に、表1に示すように、金属クロム付着量110mg/m2、金属クロム換算でのクロム酸化物付着量を7mg/m2となるような電解クロメート処理を施した後、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PET、20μm)を所定の鋼板温度でラミネートした。
【0035】
このポリエステル樹脂は、固相重合により樹脂中の末端カルボキシル基量が6eq/106gとしたものであり、極限粘度が0.65のものを使用した。
【0036】
このラミネート鋼板のT字曲げ試験、フィルム外観試験およびエリクセン加工後の耐食試験の結果を表1に示す。このラミネート鋼板は加工性においても水酸化ナトリウム水溶液に対するフィルムの耐性および加工後の耐食性においても優れていた。
(実施例2〜5、比較例1〜3)
実施例2〜5、比較例1〜3において、金属クロム付着量及びクロム酸化物付着量を変えた鋼板に、実施例1で使用したPETフィルムを用い、同様の操作を行い、ラミネート鋼板を得た。これらのラミネート鋼板のT字曲げ試験、平板浸積試験、エリクセン加工後の耐食試験の結果を表1に示す。
【0037】
表1から明らかなように、金属クロムめっき層の付着量が40mg/m2以上でないと充分な加工性、耐食性が得られない。また、クロム酸化物層付着量が金属クロム換算で片面あたり3mg/m2以上25mg/m2以下でないと十分な加工性および耐食性が得られない。
(実施例6、比較例4)
実施例6、比較例4において、PET樹脂(極限粘度0.65)中の末端カルボキル基量を変えたフィルムを用いて、ラミネート鋼板を作製し、同様にこれらの鋼板の評価を行った。表1に示すように、PET樹脂中の末端カルボキシル基量が12eq/106g以下の範囲でないとフィルムの外観が悪化し、エリクセン加工後の耐食性も劣っていた。
(実施例8〜9、比較例5〜6)
実施例8〜9、比較例5〜6において、PETフィルムの厚みを変えて、ラミネート鋼板を作製し、同様にこれらの鋼板の評価を行った。表1に示すように、フィルム外観は問題がなかったが、樹脂フィルムの厚みが10μm未満では充分な耐食性が得られなかった。また、厚みが80μmを越える場合は、耐食性は充分であるが、加工性が劣っていた。
(実施例10〜12、実施例15
実施例10〜12、実施例15において、PET樹脂(末端カルボキシル基12eq/106g)の極限粘度を変えたフィルムを用いて、ラミネート鋼板を作製し、同様にこれらの鋼板の評価を行った。表1から明らかなように、樹脂の極限粘度が0.6以上2.0以下でないと、充分な加工性が得られなかった。
(実施例13)
ラミネート樹脂として、ポリエチレンナフタレート(PEN、20μm、末端カルボキシル基量5eq/106g、極限粘度0.90)を用いて、所定の鋼板温度でラミネートを行い、該ラミネート鋼板を作製した。上記実施例と同様に評価を行った結果、加工性、フィルム外観、耐食性のいずれにおいても優れていた。
(実施例14)
ラミネート樹脂として、ポリエチレンナフタレート(17μm、末端カルボキシル基量7eq/106g、極限粘度1.1)とイソフタル酸20モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(3μm、末端カルボキシル基量13eq/106g、極限粘度0.62)の二層フィルムを用い、共重合ポリエチレンテレフタレートが鋼板に接着するようにラミネートを行った。上記実施例と同様に評価を行った結果、加工性、フィルム外観、耐食性においても優れていた。
【0038】
実施例1〜6、8〜15および比較例1〜の結果を表1にまとめる。
【0039】
【表1】
Figure 0003918340
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、アルカリ水溶液に対して優れた加工性、加工後耐食性を有するポリエステル樹脂ラミネート鋼板を提供することができる。本発明のポリエステル樹脂ラミネート鋼板は、環境的にも経済的にも優れ、缶体に成形後、アルカリ水溶液を充填するような18L缶、ペール缶等の材料として特に適しており、ポリエステル樹脂被覆鋼板の缶用材料としての用途をさらに拡大できる。

Claims (3)

  1. 金属クロム付着量が片面あたり40mg/m2以上200mg/m2以下の金属クロムめっき層と、この金属クロムめっき層の表面に形成され、金属クロム換算での付着量が片面あたり3mg/m2以上25mg/m2以下であるクロム酸化物層とを鋼板の少なくとも一面に有する電解クロメート処理鋼板の表面に、末端カルボキシル基量が0.5eq/106g以上12eq/106g以下であるポリエステル樹脂からなり厚みが10μm以上80μm以下であるポリエステル樹脂層が設けられていることを特徴とするポリエステル樹脂ラミネート鋼板。
  2. 末端カルボキシル基量が0.5eq/10 6 g以上6.0eq/10 6 g以下であることを特徴とする、請求項1記載のポリエステル樹脂ラミネート鋼板。
  3. 前記ポリエステル樹脂の極限粘度が、0.6以上2.0以下である請求項1または2記載のポリエステル樹脂ラミネート鋼板。
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