JP2000043190A - フィルム被覆金属板及びその製造方法 - Google Patents

フィルム被覆金属板及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000043190A
JP2000043190A JP21632898A JP21632898A JP2000043190A JP 2000043190 A JP2000043190 A JP 2000043190A JP 21632898 A JP21632898 A JP 21632898A JP 21632898 A JP21632898 A JP 21632898A JP 2000043190 A JP2000043190 A JP 2000043190A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
metal plate
polyester film
coated metal
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP21632898A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Shinji Suzuki
慎司 鈴木
Juji Konagaya
重次 小長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP21632898A priority Critical patent/JP2000043190A/ja
Publication of JP2000043190A publication Critical patent/JP2000043190A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 沸騰水に浸漬しても白化しにくく、かつ成形
加工が可能なフィルム被覆金属板を提供する。 【解決手段】 本発明のフィルム被覆金属板は、エチレ
ンテレフタレート単位が少なくとも90モル%であり、
かつ還元粘度が0.80デシリットル/グラム〜1.1
デシリットル/グラムである非晶質のポリエステルフィ
ルム層が金属板の少なくとも片面に積層されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属板に成形加工
前にポリエステル樹脂が被覆された成形加工用金属板に
関する。より詳細には、絞り加工および絞りしごき加工
によって欠陥が生じず、また沸騰水に浸漬しても白化し
にくいフィルム被覆金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】金属の成形方法には、絞り法(DR法)
および絞りしごき法(D1法)などがある。これらの金
属成形体には防食の目的で塗料を被覆するのが一般であ
る。近年、成形してから塗装する従来の方法に代わり、
成形する前に金属板に予め塗料をコーティングしておく
技術(プレコート技術)またはフィルムをラミネートし
ておく技術(プレラミネート技術)が開発されつつあ
る。しかし、これらの技術においては、コートまたはラ
ミネートされた有機樹脂層は、成形工程において過酷な
変形および熱履歴を受けるので、成形後に欠陥が生じや
すく、十分な耐食性を発揮させるのが困難である。
【0003】プレラミネート技術に適用するフィルムと
しては、衛生性および保香性が優れていることからポリ
エチレンテレフタレートを中心としたポリエステル系の
フィルムが検討されている。ここで使用されるポリエス
テル系フィルムが予め延伸配向されている場合は、成形
時の変形に追従できないので、フィルムに亀裂が入り、
耐食性が悪化するとともに成形体の外観も悪くなる。一
方、非晶質のポリエステル系フィルムを被覆した場合
は、成形時の変形に追従しやすく、成形後もフィルムに
亀裂が生じずに良好な耐食性が得られやすいが、熱水に
接すると樹脂が白化し外観が悪くなる問題がある。この
ため、ポリエステル系フィルムの面配向度および結晶化
度を低めにコントロールする方法が検討されている。こ
の低い面配向度のフィルムは、変形が少ない成形加工は
可能であり、かつ熱水による白化は少ない。しかし、大
きな変形を伴う成形加工を行う場合には、フィルムに亀
裂が発生する。
【0004】この他に、シクロヘキサンジメタノール成
分を共重合したポリエチレンテレフタレートフィルムを
積層するなどのポリエステル樹脂を改質する方法などが
提案されているが、現状では、上記問題を解決するには
至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特定
の共重合比と分子量とを有する非晶質のポリエチレンテ
レフタレート系フィルムを金属板に被覆することによっ
て、良好な成形性を有し、絞り加工、絞りしごき加工し
ても欠陥が生じず、かつ沸騰水に浸漬しても白化しにく
いフィルム被覆金属板を提供することであり、またこの
ようなフィルム被覆金属板の製造方法を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のフィルム被覆金
属板は、エチレンテレフタレート単位が少なくとも90
モル%であり、かつ還元粘度が0.80デシリットル/
グラム〜1.1デシリットル/グラムである非晶質のポ
リエステルフィルム層が金属板の少なくとも片面に積層
されている。
【0007】本発明のフィルム被覆金属板の製造方法
は、エチレンテレフタレート単位が少なくとも90モル
%であり、かつ還元粘度が0.80デシリットル/グラ
ム〜1.1デシリットル/グラムである非晶質のポリエ
ステルフィルム層が金属板の少なくとも片面に積層され
ている、フィルム被覆金属板の製造方法であって、
(a)エチレンテレフタレート単位が少なくとも90モ
ル%であるポリエステルフィルムを金属板の少なくとも
片面にラミネートする工程;(b)該ラミネートしたポ
リエステルフィルムを再溶融する工程;および(c)該
再溶融したポリエステルフィルムを急冷固化する工程を
包含する。
【0008】本発明の好ましいフィルム被覆金属板の製
造方法は、上記工程(a)は、上記ポリエステルフィル
ムが2軸延伸フィルムまたは未延伸フィルムであり、該
ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面に融着
ラミネート法または接着ラミネート法でラミネートする
工程である。
【0009】本発明の好ましいフィルム被覆金属板の製
造方法は、上記工程(b)が、不活性ガス雰囲気中で行
われる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のフィルム被覆金属
板およびその製造方法の実施の形態を説明する。
【0011】本明細書中において、ポリエステルフィル
ムが「エチレンテレフタレート単位が少なくとも90モ
ル%である」とは、ポリエステルフィルム中のポリエス
テル樹脂全体に対して、エチレンテレフタレート単位が
90モル%以上であるポリエステルフィルムであること
を意味する。
【0012】本明細書で使用する「還元粘度」とは、フ
ェノール/テトラクロルエタンの重量比6/4の混合溶
媒を用い、溶液濃度が0.4グラム/デシリットル、温
度30℃で測定した値である。これは、ポリエステルフ
ィルムの相対的な分子量の指標となる。
【0013】本明細書中において、ポリエステルフィル
ムが「非晶質」であるとは、以下の方法で求めた結晶化
度が60%以下であることをいう。すなわち、ポリエス
テルフィルム層を後記の方法で示差走査型熱量計(DS
C)で測定し次式で計算した結晶化度である。 結晶化度(%)={1−(冷結晶化の発熱量)/(融解
の吸熱量)}×100 この値は、相対的な結晶化度の大小を表すもので、絶対
量の割合を示すものではない。
【0014】本明細書中において、金属板の「少なくと
も片面」とは、金属板のどちらか一方の片面または両面
であることを意味する。例えば、製缶後の缶の内側面ま
たは外側面、あるいは内側および外側の両面のいずれで
あってもよい。
【0015】本発明のフィルム被覆金属板に使用する金
属板の材料としては、鉄、鋼、ブリキ、ティンフリース
チール、黄銅、銅、アルミニウム、アルミニウム合金ま
たはこれらの合金、あるいはこれらの表面処理物などが
挙げられる。表面処理としては、電気化学的処理、無機
化学的処理または有機化学的処理などが含まれ、例え
ば、クロメート処理、リン酸クロメート処理、ジンクク
ロメート処理、アルマイト処理またはDOS処理などが
挙げられる。また、金属板の厚さは、0.05mm〜3
0mm、好ましくは、0.1mm〜10mmである。
【0016】本発明のフィルム被覆金属板のポリエステ
ルフィルム層は、ポリエステルフィルム中のポリエステ
ル樹脂全体に対して、エチレンテレフタレート単位が9
0モル%以上であるポリエステルフィルムから形成され
る。好ましくは、ポリエステルフィルム中のポリエステ
ル樹脂全体に対して、エチレンテレフタレート単位が9
2モル%〜97モル%であるポリエステルフィルムであ
る。ポリエステル樹脂全体に対してエチレンテレフタレ
ート単位が90モル%より少ない場合は、沸騰水および
熱水に浸漬したり、レトルト処理を行う際に、フィルム
層は白化する。
【0017】上記ポリエステルフィルム層を形成するポ
リエステルフィルムは、還元粘度が0.80デシリット
ル/グラム〜1.1デシリットル/グラムの分子量を有
する。還元粘度が0.80デシリットル/グラム未満の
場合は、沸騰水や熱水に浸漬するとフィルム層が白化し
てしまい、外観が悪くなるとともに耐衝撃性も悪くな
る。更に還元粘度が0.50デシリットル/グラム未満
の場合は、耐屈曲性も悪くなり成形加工を行う時に亀裂
が発生しやすくなる。また、還元粘度が1.1デシリッ
トル/グラムを越える場合は、重合工程および押出し工
程において経済的でない。金属板に積層された製品状態
のポリエステルフィルムの還元粘度を0.80デシリッ
トル/グラム〜1.1デシリットル/グラムにするため
には、溶融押出しする前の原料時のポリエステル樹脂の
還元粘度を0.80デシリットル/グラム以上、好まし
くは0.90デシリットル/グラム以上にする必要があ
る。また、フィルムラミネートで金属板に積層した後、
再溶融処理することが好ましいが、その際は、還元粘度
の低下を抑制する必要があり、そのためには、(1)な
るべく低い温度と短い時間とで溶融する、(2)再溶融
時の周囲の雰囲気を窒素などの不活性ガスで置換して酸
化分解および加水分解を防ぐ、(3)原料ポリエステル
樹脂の熱安定性を改良する、(4)真空ベント式の押出
機で溶融押出しを行い再溶融前の樹脂の還元粘度を維持
する、などを行うことが好ましい。
【0018】また、上記ポリエステルフィルム層は、非
晶質のポリエステルフィルムから形成される。すなわ
ち、上記式で定義される結晶化度が60%以下のポリエ
ステルフィルムから形成される。結晶化度が60%より
大きい場合、成形加工した時に、フィルム層の剥離およ
び亀裂ができる問題がある。
【0019】上記ポリエステルフィルム層の厚さは、5
μm〜50μmであり、好ましくは8μm〜20μmで
ある。5μm未満であると成形時または衝撃が加わった
場合にフィルム層に亀裂が入りやすくなる。また、50
μmを越えると製造コストが高くなる。
【0020】好ましくは、上記ポリエステルフィルム層
を形成するポリエステルフィルムは、フィルム被覆金属
板を成形した後のフィルムと金属板との密着性をよくす
るために、ポリエステルフィルム全体に対して3モル%
以上の共重合成分を含む。さらに好ましくは、4モル%
〜9モル%を含む。共重合成分としては、ジカルボン酸
成分、ジオール成分、オキシカルボン酸成分、トリカル
ボン酸成分およびトリオール成分などが挙げられる。例
えば、ジカルボン酸成分としては、シュウ酸、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、ダイマー
酸、インダンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニル
ジカルボン酸、スルホイソフタル酸金属塩などが挙げら
れ、ジオール成分としては、プロパンジオール、ブタン
ジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフ
ェノールSのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げ
られる。オキシカルボン酸成分の例としては、オキシ安
息香酸など、トリカルボン酸成分の例としてはトリメリ
ット酸、トリオール成分の例としてはトリメチロールプ
ロパンなどが挙げられる。これらの共重合体成分の中
で、好ましくは、イソフタル酸またはブタンジオールで
ある。共重合する段階は、重合初期、重合途中、重合後
の押出機中などのいずれの段階でもよい。共重合された
ポリエステル樹脂は、本発明の非晶質無配向のポリエス
テルフィルム層を作製するのに好適である。
【0021】上記ポリエステルフィルム層は、必要に応
じて公知の添加剤を含むことができる。公知の添加剤に
は、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸
化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などが
含まれる。また、酸化チタンなどの白色顔料、アントラ
キノン系化合物、フタロシアニン系化合物、カーボンブ
ラックなどの着色剤を含ませてフィルム層を着色し、意
匠性を高めることもできる。
【0022】また、上記ポリエステルフィルム層は、製
造工程において共押し出し法およびコーティング法によ
って複層化されていてもよい。しかし、主要なポリエス
テルフィルム層は、本明細書に記載する特徴を有するポ
リエステルフィルムから形成される。
【0023】さらに、上記ポリエステルフィルム層の表
面は、必要に応じて接着性および濡れ性を良くするため
にコロナ処理、コーティング処理または火炎処理が行わ
れ得る。
【0024】本発明のフィルム被覆金属板の製造方法に
おいて、ポリエステルフィルムを金属板へ積層する方法
としては、(1)2軸延伸したフィルムを金属板に融着
または接着する方法、そして(2)未延伸フィルムを融
着または接着する方法が挙げられる。
【0025】特に(1)の方法は、(2)に比べて厚み
斑の少ない薄いフィルムを金属板に被覆できるので好ま
しく、厚み斑の少ないフィルム被覆金属板は、特に絞り
しごき加工に好ましい。該2軸延伸フィルムは、公知の
方法で製膜し延伸されて製造される。例えば、(1)T
ダイより溶融押し出しした未延伸のシートをロール式延
伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向
に延伸する方法(逐次2軸延伸法)、(2)未延伸シー
トをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する方
法(同時2軸延伸法)、そして(3)チューブ状に溶融
押し出ししたシートを気体の圧力で膨張させ延伸する方
法(インフレーション法)などによって製造される。2
軸延伸フィルムを金属板へ融着する方法としては、該フ
ィルム軟化点以上に加熱された金属板にフィルムを圧着
する方法などが挙げられる。金属板に積層された該フィ
ルムは2軸配向性を残しているので、さらに該フィルム
を完全に再溶融させて配向を無くした後、急冷固化する
ことで非晶質のポリエステルフィルム被覆層が得られ
る。また、未延伸フィルムを融着または接着する方法に
おいて、直接金属板に融着してポリエステルフィルム層
を積層した場合も金属板とフィルムとの密着力を高める
ためにフィルムを再溶融させて配向を無くした後、急冷
固化することが好ましい。
【0026】該フィルムを完全に再溶融するための加熱
方法としては、熱風加熱、ロール加熱、通電加熱、誘電
加熱または高周波加熱などが挙げられる。例えば、熱風
加熱の場合、通常フィルムの融点〜融点+40℃で30
〜120秒間加熱される。加熱雰囲気は、酸素および水
分、特に酸素をできるだけ少なくする必要があるので、
雰囲気を窒素などの不活性ガスで置換することが好まし
い。再溶融させる直前のポリエステルフィルム層は熱風
などで乾燥させておくことが好ましい。
【0027】急冷固化する方法としては水中浸漬、冷風
吹き付けなどの方法が挙げられる。ここで急冷とは溶融
フィルムが固化する際に結晶が生成するのを抑制するの
に充分な冷却速度をもつ冷却操作であり、通常10℃/
秒以上、好ましくは50℃/秒以上の冷却速度で樹脂の
ガラス転移温度以下まで冷却する。
【0028】上記の方法で金属板に積層されたポリエス
テルフィルムは、成形加工前の製品状態で非晶質である
ことが必要である。
【0029】本発明のフィルム被覆金属板は、絞り加
工、絞り再絞り加工、絞り引っ張り曲げ伸ばし加工、絞
りしごき加工および曲げ加工などの加工方法で成形さ
れ、飲料缶など容器、それらの蓋や瓶のキャップおよび
カラー金属板として電気製品の外装材料および建築用材
料に使用される。特に、飲料缶および飲料瓶のキャップ
に使用する場合は、温水および沸騰水と接触したり、レ
トルト処理されたりしても白化して外観および耐衝撃性
が悪くなることがないので好ましい。
【0030】一般に成形された缶の場合は、外面に印刷
がされ、さらに表面の耐擦傷性を高めるために、熱硬化
性のトップクリア塗料が焼き付け塗装される。また、内
容物によっては熱水処理およびレトルト処理が行われ
る。こうした製缶後の熱履歴によってはポリエステルフ
ィルム層が脆化するため、衝撃が加わった場合にフィル
ム層に亀裂が入りやすくなる。従来の非晶質無配向のポ
リエステルフィルムは、熱履歴による脆化が著しく、缶
に落下衝撃が加わった場合に亀裂が入りやすい。しか
し、本発明に使用するポリエステルフィルム層は、非晶
質にもかかわらず、焼き付け塗装後、熱水処理およびレ
トルト処理後でも耐衝撃性が良好であり、落下衝撃を加
えてもフィルム層に亀裂が入りにくく、さらに缶の耐食
性を良好にする。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明するが、
本発明は、その要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限
定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例に
おける物性の評価方法は以下の通りである。
【0032】(評価方法) (1)還元粘度 還元粘度は、ウベローデ型粘度管で、フェノール/テト
ラクロルエタンの重量比6/4の混合溶媒に、フィルム
被覆金属板から剥離したポリエステルフィルムを溶液濃
度0.4g/dlで溶解し、温度30℃で測定した値で
ある。
【0033】(2)結晶化度 フィルム被覆金属板から剥離したポリエステルフィルム
を外熱型示差走査型熱量計(DSC:理学電機社製)で
測定し、70℃から200℃までに現れる発熱ピークか
ら冷結晶化の発熱量を求め、150℃から280℃まで
に現れる吸熱ピークから融解の吸熱量を求め、下式で結
晶化度を計算した。サンプルは10mg、昇温速度は2
0℃/分とした。
【0034】結晶化度(%)={1−(冷結晶化の発熱
量)/(融解の吸熱量)}×100
【0035】(3)絞り加工性 a)絞り缶の作製 フィルム被覆アルミニウム板を絞り比2.5で絞り加工
して直径30mmの絞り缶を作製した。
【0036】b)絞り缶の外観 作製した絞り缶の外側の側面を目視で観察し、フィルム
に剥離および亀裂が存在するかを確認し、無い場合を良
好とし、存在する場合を不良とした。
【0037】c)絞り缶のERV 作製したDl缶に25mlの1重量%食塩水を満たし、
エナメルレーターでERV(エナメルレイティング値)
を測定した。缶底外側に金属露出部を形成し、そこに陽
極を接続した。測定条件は、電圧が直流6ボルト、通電
時間は30秒とし、30秒後の電流値を測定した。電流
が多く流れるほど絶縁体であるフィルムに欠陥が存在
し、絞り缶内面の金属が露出していることを示す。一般
に、製缶直後のERV値は、1mA以下であることが望
ましい。
【0038】(4)耐沸騰水性 絞り缶を沸騰水に2時間浸漬した後、缶のフィルム層が
白化しているかを目視で確認した。
【0039】実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例3 (ポリエステル樹脂の作製)表1に示した共重合成分を
表1に示したモル比に従って直重法により共重合した還
元粘度0.68〜0.70のポリエステルのチップを、
溶融重縮合によって得た。次いで回転式真空熱処理機を
用いて還元粘度0.90〜1.05になるように固相重
合を行った。全てのポリエステルに平均粒径が1.8μ
mのシリカゲルの微粉末をフィルム中に1重量%含むよ
うに添加し、分散させた。
【0040】(未延伸フィルムの作製)表1のポリエス
テル樹脂のチップを真空乾燥して水分率0.01重量%
以下にした後、真空ベント式の2軸押出機を使用してT
ダイより270℃で溶融押出しして、30℃の冷却ロー
ルに引き取り、厚さ30μの未延伸フィルムを得た。
【0041】(2軸延伸フィルムの作製)表1のポリエ
ステル樹脂のチップを真空乾燥して水分率0.01重量
%以下にした後、真空ベント式の2軸押出機を使用して
Tダイより270℃で溶融押出しして、30℃の冷却ロ
ールに引き取り、厚さ約160μの未延伸シートを得た
後、直ちに90℃でロール式延伸機を使用して縦方向に
3.2倍延伸し、さらに100℃でテンター式延伸機を
使用して横方向に4倍延伸した後、10%緩和させつつ
(融点−30)℃で熱固定し、厚さ12μmの延伸フィ
ルムを得た。
【0042】(2軸延伸フィルム被覆アルミニウム板の
作製)リン酸クロメート処理された厚み0.3mmの絞
り加工用アルミニウム板の両面に、作製した2軸延伸フ
ィルムをロールラミネーターで融着させた。アルミニウ
ム板は室温で供給し、ゴムロール温度は180〜250
℃、通過速度は25〜100cm/分、ゲージ圧力は6
Kg/cm2、アルミニウム板の幅は20cmとした。
【0043】2軸延伸フィルムを融着させたアルミニウ
ム板を窒素雰囲気の熱風オーブン中で、200〜270
℃で60〜120秒間加熱して完全に溶融させた後、熱
風オーブンより取り出し、5秒以内に15〜25℃の水
に浸漬して固化した。
【0044】比較例4,5 実施例2,3においてアルミニウム板にラミネートした
フィルムを再溶融させる際、窒素置換した熱風オーブン
中の代わりに窒素置換しないオーブン中で再溶融させた
以外は実施例1と同様にしてフィルム被覆アルミニウム
板を作製した。
【0045】比較例6 実施例1においてアルミニウム板にラミネートしたフィ
ルムを再溶融させずに、そのまま評価した。
【0046】比較例7 実施例1においてアルミニウム板にラミネートしたフィ
ルムを再溶融させた後、特に冷風で冷却せずに放冷した
以外は実施例1と同様にしてフィルム被覆アルミニウム
板を作製した。
【0047】実施例5、6、比較例8 (未延伸フィルム被覆アルミニウム板の作製)厚み0.
3mmのリン酸クロメート処理された絞り加工用アルミ
ニウム板の両面に、作製した未延伸フィルムをロールラ
ミネーターで融着させた。アルミニウム板は室温で供給
し、ゴムロール温度は180〜250℃、通過速度は2
5〜100cm/分、ゲージ圧力は6Kg/cm2、ア
ルミニウム板の幅は20cmであった。
【0048】未延伸フィルムを融着させたアルミニウム
板を窒素雰囲気の熱風オーブン中で200〜270℃で
60〜120秒間加熱し完全に溶融させた後、熱風オー
ブンより取り出し、5秒以内に15〜25℃の水に浸漬
して固化した。
【0049】比較例9 実施例5においてアルミニウム板にラミネートしたフィ
ルムを再溶融させる際、窒素置換した熱風オーブン中の
代わりに窒素置換しないオーブン中で再溶融させた以外
は実施例1と同様にしてフィルム被覆アルミニウム板を
作製した。
【0050】比較例10 実施例5において再溶融処理を行わずにフィルムをラミ
ネートしただけのアルミニウム板を評価した。樹脂の結
晶化度が本特許の範囲より大きかった。アルミニウム板
に被覆されたフィルムの特性とフィルム被覆アルミニウ
ム板とそれを絞り加工した成形体の評価結果を表1に示
した。
【0051】表1に示すように、本発明のフィルム被覆
金属板より絞り加工した缶は、外観が良好で欠陥も少な
く、かつ沸騰水に浸漬してもアルミニウム板に被覆した
フィルム層が白化しない。一方、本発明の範囲外である
共重合比、および還元粘度のフィルムが被覆された比較
例1〜5、8、9では、沸騰水に浸漬した際に、アルミ
ニウム板に被覆したフィルム層が白化して外観が悪くな
った。
【0052】比較例6、7、10ではアルミニウム板に
被覆したポリエステルフィルムの結晶化度が本発明の範
囲より大きかったため、絞り加工した缶の外観が悪く、
フィルム層に亀裂や剥離が観察された。また、ERV値
も高かった。
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、特定の共重合比と分子
量を有する非晶質無配向のポリエチレンテレフタレート
系樹脂フィルム層を金属板に被覆することによって、良
好な成形性を有し、絞り加工、絞りしごき加工しても欠
陥が生じず、かつ沸騰水に浸漬しても白化が少ないフィ
ルム被覆金属板が得られる。また、本発明の製造方法に
よれば、フィルムラミネートで樹脂フィルムを金属板に
積層した後、再溶融し、さらに急冷固化することによっ
て、還元粘度が高い非晶質無配向のポリエステル層を金
属板に被覆することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小長谷 重次 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4F100 AB01B AB10B AK42A AK42C EJ38A EJ38C EJ422 EJ502 GB16 JA06A JA06C JA12A JA12C JB07 JL01 YY00A YY00C 4J029 AA03 AB07 AC01 AC02 AD01 AD08 AE03 AE18 BA02 BA03 BA05 BA08 BA10 BD06A BF25 BF26 BH02 CA01 CA02 CA04 CA09 CB05A CB06A CB10A CD03 CD05 CH06 DB13 EB04A FC05 FC36 GA13 JE182 KH08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位が少なくと
    も90モル%であり、かつ還元粘度が0.80デシリッ
    トル/グラム〜1.1デシリットル/グラムである非晶
    質のポリエステルフィルム層が金属板の少なくとも片面
    に積層されている、フィルム被覆金属板。
  2. 【請求項2】 エチレンテレフタレート単位が少なくと
    も90モル%であり、かつ還元粘度が0.80デシリッ
    トル/グラム〜1.1デシリットル/グラムである非晶
    質のポリエステルフィルム層が金属板の少なくとも片面
    に積層されている、フィルム被覆金属板の製造方法であ
    って、 (a)エチレンテレフタレート単位が少なくとも90モ
    ル%であるポリエステルフィルムを金属板の少なくとも
    片面にラミネートする工程; (b)該ラミネートしたポリエステルフィルムを再溶融
    する工程;および (c)該再溶融したポリエステルフィルムを急冷固化す
    る工程 を包含する、フィルム被覆金属板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記工程(a)は、前記ポリエステルフ
    ィルムが2軸延伸フィルムまたは未延伸フィルムであ
    り、該ポリエステルフィルムを金属板の少なくとも片面
    に融着ラミネート法または接着ラミネート法でラミネー
    トする工程である、請求項2に記載のフィルム被覆金属
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記工程(b)が、不活性ガス雰囲気中
    で行われる、請求項2または3に記載のフィルム被覆金
    属板の製造方法。
JP21632898A 1998-07-30 1998-07-30 フィルム被覆金属板及びその製造方法 Withdrawn JP2000043190A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21632898A JP2000043190A (ja) 1998-07-30 1998-07-30 フィルム被覆金属板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21632898A JP2000043190A (ja) 1998-07-30 1998-07-30 フィルム被覆金属板及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000043190A true JP2000043190A (ja) 2000-02-15

Family

ID=16686820

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21632898A Withdrawn JP2000043190A (ja) 1998-07-30 1998-07-30 フィルム被覆金属板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000043190A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001302772A (ja) * 2000-04-24 2001-10-31 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル樹脂および塗料組成物
KR20180134879A (ko) * 2016-04-04 2018-12-19 타타 스틸 이즈무이덴 베.뷔. 폴리머-코팅 금속 스트립 제조 방법과 이를 이용한 폴리머-코팅 금속 스트립

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001302772A (ja) * 2000-04-24 2001-10-31 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル樹脂および塗料組成物
KR20180134879A (ko) * 2016-04-04 2018-12-19 타타 스틸 이즈무이덴 베.뷔. 폴리머-코팅 금속 스트립 제조 방법과 이를 이용한 폴리머-코팅 금속 스트립
JP2019513582A (ja) * 2016-04-04 2019-05-30 タタ、スティール、アイモイデン、ベスローテン、フェンノートシャップTata Steel Ijmuiden Bv ポリマーコーティングされた金属帯の製造方法および該方法により製造されたポリマーコーティングされた金属帯
JP6999570B2 (ja) 2016-04-04 2022-01-18 タタ、スティール、アイモイデン、ベスローテン、フェンノートシャップ ポリマーコーティングされた金属帯の製造方法および該方法により製造されたポリマーコーティングされた金属帯
KR102357443B1 (ko) * 2016-04-04 2022-01-28 타타 스틸 이즈무이덴 베.뷔. 폴리머-코팅 금속 스트립 제조 방법과 이를 이용한 폴리머-코팅 금속 스트립

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3753592B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP2000169600A (ja) 包装用ポリエステルフィルム
JP3876459B2 (ja) ポリエステル系フィルム、ラミネート金属板、その製造方法および金属容器
JP2000212302A (ja) 包装用ポリエステルフィルム
JP4144074B2 (ja) 樹脂被覆金属板およびその製造方法
JPH06155660A (ja) 耐熱水性に優れたポリエステル樹脂被覆金属板
JP3849826B2 (ja) 成形加工用フィルム被覆金属板
JP2000043190A (ja) フィルム被覆金属板及びその製造方法
JPH11279294A (ja) 樹脂被覆金属板用ポリエステルフィルム及びその使用方法
JP4162159B2 (ja) 容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP3161868B2 (ja) 樹脂被覆金属板の製造方法
JP3826450B2 (ja) 製缶加工用フィルム被覆金属板の製造方法及び印刷缶の製造方法
JPH11179846A (ja) 金属ラミネート用白色フィルム
JP3893240B2 (ja) ポリエステル系フィルムラミネート金属板、その製造方法および金属容器
JP3601165B2 (ja) ポリエステル系フィルム、ラミネート金属板および金属容器
JPH11342577A (ja) 鋼板貼り合わせ用ポリエステルフイルム
JP2000143838A (ja) 包装用ポリエステルフィルム
JP2005153319A (ja) ポリエステルフィルム被覆金属板及び金属缶
JP2803837B2 (ja) ポリエステル樹脂フィルム積層鋼板の製造方法
JP3796110B2 (ja) ポリエステル系フィルムラミネート金属板および金属容器
JP3572739B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた金属ラミネート体
JP2937547B2 (ja) 容器材料用樹脂被覆金属板および金属容器
JP3831489B2 (ja) ラミネート金属板及びその製造法
JP2003012904A (ja) 成形加工金属板貼合せ用ポリエステルフィルム
JPH10180969A (ja) 金属ラミネート用白色フィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20051004