JP4197568B2 - 送信方法、受信方法、送信装置、受信装置 - Google Patents

送信方法、受信方法、送信装置、受信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つのチャネルで固定受信及び移動受信に適した信号を混在して伝送する直交周波数分割多重伝送方式のための送信方法及び受信方法に関する。また、該直交周波数分割多重方式に基づいてOFDM信号を形成し伝送する送信装置及び、該直交周波数分割多重方式に基づいて形成され伝送されるOFDM信号を受信し復調する受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、地上波TV放送におけるディジタル放送方式として直交周波数分割多重(以下、OFDMという)技術を用いた伝送方式が検討されている。このOFDM伝送方式は、マルチキャリア変調方式の一種であり、シンボル毎に互いに直交する周波数関係にある多数の搬送波に変調を施してディジタル情報を伝送する。この方式は、前述のようにディジタル情報を多数の搬送波に分割して伝送するため、1つの搬送波を変調するための分割されたディジタル情報のシンボル期間長が長くなり、マルチパスなどの遅延波の影響を受けにくい特質を有している。
【0003】
従来のOFDM伝送技術を用いたTV信号のディジタル放送方式として、例えば欧州におけるDVB−T規格、すなわち ETSI 300 744 (ETSI: European Telecommunications Standards Institute) が挙げられる。
【0004】
従来のOFDM伝送方式は、例えば2kモード(2kは、OFDM信号を生成する際の高速フーリエ変換のサンプル数が2048を意味する)では、全伝送帯域で1705キャリアの搬送波を用い、そのうち142キャリアの搬送波を分散パイロット(Scattered Pilot) 信号に、45キャリアの搬送波を連続パイロット(Continual Pilot) 信号に、17キャリアの搬送波を制御情報(TPS) 信号に、1512キャリアの搬送波を情報伝送信号に用いる。
【0005】
但し、45キャリアの搬送波の連続パイロット信号のうち11キャリアの搬送波の連続パイロット信号は分散パイロットと重複して配置されている。また、分散パイロット信号は1つのシンボル内での周波数配置が12キャリア周期に配置され、シンボル毎にその周波数配置が3キャリアずつシフトして配置されており、時間配置は4シンボル周期になっている。
【0006】
具体的には、キャリア番号kを端から順に0から1704、フレーム内のシンボル番号nを0から67とすると、分散パイロット信号は(1)式によるキャリア番号kの搬送波に配置される。(1)式において、mod は剰余演算を表わし、pは0以上141以下の整数である。
【0007】
【数1】
Figure 0004197568
【0008】
連続パイロット信号は、キャリア番号k={0,48,54,87,141,156,192,201,255,279,282,333,432,450,483,525,531,618,636,714,759,765,780,804,873,888,918,939,942,969,984,1050,1101,1107,1110,1137,1140,1146,1206,1269,1323,1377,1491,1683,1704}の搬送波に配置される。
【0009】
これらの分散及び連続パイロット信号は、それぞれ配置されるキャリア番号kに対応するPN(擬似乱数)系列wk に基づき、(2)式に示す複素ベクトルck,n によって搬送波を変調して得られる。(2)式において、Re{ck,n }はキャリア番号k、シンボル番号nの搬送波に対応する複素ベクトルck,n の実数部を表わし、Im{ck,n }は虚数部を表わす。
【0010】
【数2】
Figure 0004197568
【0011】
また、TPS(Transmission Parameter Signaling) と呼ばれる制御情報信号はキャリア番号k={34,50,209,346,413,569,595,688,790,901,1073,1219,1262,1286,1469,1594,1687}の搬送波に配置され、シンボル毎に1ビットの制御情報を伝送する。
【0012】
シンボル番号nのシンボルで伝送する制御情報ビットをSn とすると、制御情報信号は(3)式に示す複素ベクトルck,n によって搬送波を変調して得られる。すなわち、制御情報信号を伝送する搬送波は、シンボル間で差動2値PSK(Phase Shift Keying)変調される。
【0013】
【数3】
Figure 0004197568
【0014】
但し、フレームの先頭シンボル(シンボル番号n=0)では、制御情報を伝送する搬送波は、前述のPN系列wk に基づいて、(4)式に示す複素ベクトルck,n によって変調される。
【0015】
【数4】
Figure 0004197568
【0016】
上記以外の情報伝送信号に用いられる1512キャリアの搬送波は、ディジタル情報に基づいて、QPSK、16QAM、または、64QAM変調される。いずれの変調方法も絶対位相変調である。
【0017】
このようにして生成されたOFDM信号を受信してディジタル情報を復調する従来の受信装置の一例を図10に示す。
【0018】
図10において、受信されたOFDM信号はチューナ101によって周波数変換され、フーリエ変換回路102によって時間−周波数変換されて周波数領域の搬送波毎のベクトル列となる。このベクトル列は分散パイロット抽出回路103及び連続パイロット抽出回路109に供給される。
【0019】
分散パイロット抽出回路103は、フーリエ変換回路102が出力するベクトル列から分散パイロット信号を抽出する。ベクトル発生回路104は、分散パイロット抽出回路103で抽出された分散パイロット信号に対応する変調複素ベクトルck,n を発生する。除算回路105は、分散パイロット抽出回路103で抽出された分散パイロット信号をベクトル発生回路104が発生する複素ベクトルで除して、その除算結果から分散パイロット信号に係る伝送路特性を推定する。
【0020】
補間回路106は、除算回路105で得られた分散パイロット信号に係る伝送路特性を補間して、全ての搬送波にかかる伝送路特性を推定する。除算回路107は、フーリエ変換回路102が出力するベクトル列をそれぞれ対応する搬送波にかかる補間回路106で推定された伝送路特性で除して同期検波する。復調回路108は、情報伝送信号を生成する際の変調方法(QPSK、16QAM、64QAM等)に従って除算回路107が出力する同期検波信号を復調し、伝送されたディジタル情報を得る。
【0021】
また、連続パイロット抽出回路109は、フーリエ変換回路102が出力するベクトル列から連続パイロット信号を抽出する。ベクトル発生回路110は、連続パイロット抽出回路109で抽出された連続パイロット信号に対応する変調複素ベクトルck,n を発生する。除算回路111は、連続パイロット抽出回路109で抽出された連続パイロット信号をベクトル発生回路110が発生する複素ベクトルで除して連続パイロット信号にかかる伝送路特性を推定する。逆フーリエ変換回路112は、除算回路111で推定された連続パイロット信号に係る伝送路特性を周波数−時間変換して伝送路のインパルス応答特性を得る。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のOFDM伝送方式では、ディジタル情報を伝送する搬送波の変調にQPSK、16QAM、64QAM等による絶対位相変調が施されており、その復調に時間的に疎らな分散パイロットから推定される伝送路特性を平滑し補間して得られた伝送路特性を用いることを前提としているため、フェーディング等によって伝送路特性の変化が速い移動受信では十分な伝送品質が得られない場合がある。
【0023】
さらに、従来のOFDM伝送方式では帯域全体で各搬送波の変調方式が1つに決められているため、一部のディジタル情報を移動しながら受信できるように、ディジタル情報を伝送する搬送波の変調に移動受信に適した例えば差動QPSK変調を導入したとしても、全体の伝送容量が少なくなって効率が悪くなる。
【0024】
また、連続パイロット信号が所定のキャリア間隔Aの搬送波のうちのいずれかに配置されているため、連続パイロット信号から推定できる伝送路のインパルス応答特性に有効シンボル期間長(搬送波の最小周波数間隔の逆数)のA分の1の折り返しを生じる。
【0025】
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、全体の伝送容量を維持しつつディジタル情報を伝送する搬送波の変調に部分的に移動受信に適した変調方式を導入し、また、連続パイロット信号から推定される伝送路のインパルス応答に折り返しが生じないように連続パイロット信号を配置したOFDM伝送方式の送信方法、受信方法、送信装置、受信装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係わる送信方法は、ディジタル情報をOFDM信号として送信する送信方法であって、前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置は、前記同期検波用における前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置を含み、前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係わる受信方法は、OFDM信号を受信し、ディジタル情報を復元する受信方法であって、前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置は、前記同期検波用における前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置を含み、前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであり、前記OFDM信号をフーリエ変換した後、前記同期検波用セグメントを同期検波し、前記差動検波用セグメントを差動検波することにより前記ディジタル情報を復元することを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係わる送信装置は、ディジタル情報をOFDM信号として送信する送信装置であって、情報伝送信号と付加情報伝送信号とを所定のキャリアに割り当てるキャリア配置手段と、前記キャリア配置手段の出力を逆フーリエ変換することにより前記OFDM信号を生成する逆フーリエ変換手段とを備え、前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置は、前記同期検波用における前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置を含み、前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係わる受信装置は、OFDM信号を受信し、ディジタル情報を復元する受信装置であって、前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置は、前記同期検波用における前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアの位置を含み、前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであり、前記OFDM信号をフーリエ変換するフーリエ変換手段と、前記フーリエ変換手段の出力の内、前記同期検波用セグメントを同期検波し、前記差動検波用セグメントを差動検波する検波手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るOFDM伝送方式とこのOFDM伝送方式に適した送信装置、受信装置の実施の形態について詳細に説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
本実施の形態のOFDM伝送方式では、13個のセグメントと1キャリアの搬送波を用いた帯域終端パイロットからなり、1個のセグメントは108キャリアの搬送波で構成される。各セグメントは、同期検波用セグメント、または、差動検波用セグメントのいずれかで構成される。帯域全体では1405キャリアの搬送波を用いる。
【0033】
図1に同期検波用あるいは差動検波用セグメント(合計13個のセグメント)、帯域終端パイロット信号の配置例を示す。横軸は周波数軸(キャリア配置)、縦軸は時間軸(シンボル方向)を模式的に表現したものである。各セグメント内のキャリア番号k’を0から107の整数とし、1個のセグメントは108キャリアの搬送波で構成される。
【0034】
同期検波用セグメントは、1シンボルあたり9キャリアの搬送波を用いた分散パイロット信号と、3キャリアの搬送波を用いた付加情報伝送信号と、96キャリアの搬送波を用いた情報伝送信号とから構成される。
【0035】
差動検波用セグメントは、11キャリアの搬送波を用いた付加情報伝送信号と、1キャリアの搬送波を用いた終端パイロット信号と、96キャリアの搬送波を用いた情報伝送信号とから構成される。
【0036】
このように同期検波用セグメントと差動検波用セグメントでは108本という同一本数のキャリアを用いるため、セグメントの組合せによって所要伝送帯域が変わることはない。
【0037】
ここでは、帯域全体でのキャリア番号kを0から1404の整数、セグメント番号iを0から12の整数、各セグメント内のキャリア番号k’を0から107の整数とし、k=i・108+k’を満たすものとする。
【0038】
同期検波用セグメントに設けられる分散パイロット信号は、各セグメントとも(5)式によるセグメント内のキャリア番号k’の搬送波に配置される。(5)式において、mod は剰余演算を表わし、シンボル番号を示すnは0以上の整数、pは0以上8以下の整数である。
【0039】
【数5】
Figure 0004197568
【0040】
同期用セグメント及び差動検波用セグメントに設けられる付加情報伝送信号は、それぞれ表1に示す各セグメント内のキャリア番号k’の搬送波に配置される。表1は、同期検波用セグメントの付加情報伝送信号が差動検波用セグメントの付加情報伝送信号に含まれることを示している。
【0041】
以上の構成により、同期検波用セグメントと差動検波用セグメントが混在した状態であっても、同期検波用セグメントの付加情報伝送信号として定義される搬送波には付加情報伝送信号が必ず配置されることになり、付加情報伝送信号かそれ以外の伝送信号かの識別が受信側で容易となる。尚、伝送される付加情報によっては部分集合配置とならないように搬送波を割り当ててもよい。
【0042】
【表1】
Figure 0004197568
【0043】
差動検波用セグメントに設けられる終端パイロット信号は、各セグメント内のキャリア番号k’が0の搬送波に配置される。終端パイロット信号の配置は、隣接する同期検波用セグメントの分散パイロット信号の周波数配置の周期性を保つ位置である。各終端パイロット信号は、該分散パイロット信号を補っている。
【0044】
図2に、同期検波用セグメントでの分散パイロット信号の配置、差動検波用セグメントでの終端パイロット信号の配置例を示す。横軸は周波数軸(キャリア配置)、縦軸は時間軸(シンボル方向)を模式的に表現したものである。各セグメント内のキャリア番号k’を0から107の整数とし、1個のセグメントは108キャリアの搬送波で構成される。付加情報伝送信号は分散パイロット信号とは異なる搬送波に割り付けられる。
【0045】
これらの分散パイロット信号及び、終端パイロット信号は、それぞれ配置されるキャリア番号k(セグメント番号i及び各セグメント内のキャリア番号k’により決まる)に対応するPN(擬似乱数)系列wk (wk =0,1)に基づき、(6)式に示す複素ベクトルck,n によって搬送波を変調して得られる。(6)式において、Re{ck,n }はキャリア番号k、シンボル番号nの搬送波に対応する複素ベクトルck,n の実数部を表わし、Im{ck,n }は虚数部を表わす。
【0046】
【数6】
Figure 0004197568
【0047】
同期検波用セグメント及び差動検波用セグメントに設けられる付加情報伝送信号は、96キャリアの搬送波を用いて伝送される情報伝送信号とは異なる付加情報を伝送するために用いる。例えば伝送モード(各セグメント数、キャリア変調方式など)を規定する制御情報や、放送局として利用する情報(例えば中継局で使用する制御情報、生放送でのかけあいに使用する低時間遅延の音声情報、放送局識別用信号など)が考えられる。シンボル毎に1ビットの付加情報を伝送してもよいし、複数ビットの付加情報を伝送してもよい。また伝送モードを規定する制御情報だけを伝送してもよい。
【0048】
ここでシンボル番号nのシンボルで伝送する制御情報ビットをSn とすると、制御情報信号は(7)式に示す複素ベクトルck,n によって搬送波を変調して得られる。すなわち、この場合には制御情報信号を伝送する搬送波は、シンボル間で差動2値PSK(Phase Shift Keying)変調される。
【0049】
【数7】
Figure 0004197568
【0050】
但し、フレームの先頭シンボル(シンボル番号n=0)では、制御情報を伝送する搬送波は、前述のPN系列wk に基づいて、(8)式に示す複素ベクトルck,n によって変調される。
【0051】
【数8】
Figure 0004197568
【0052】
尚、シンボル毎に2ビットの制御情報を伝送する場合には、例えばシンボル間での差動4相PSK変調を用いたり、あるいは制御情報を伝送する複数の搬送波を2つのグループに分割し、シンボル毎にそれぞれ1ビットずつ伝送するように割り付けてもよい。
【0053】
同期検波用セグメントに設けられる情報伝送信号は、前述の同期検波用セグメントの分散パイロット信号、付加情報伝送信号以外の搬送波に配され、ディジタル情報に基づいて絶対位相変調が施される。この絶対位相変調には、例えば、QPSK、16QAM、64QAM変調などが用いられる。
【0054】
同期検波用セグメントの情報伝送信号は以下の処理によって復調される。まず、分散パイロット信号や必要な終端パイロット信号、帯域終端パイロット信号を該分散パイロット、終端パイロット信号及び帯域終端パイロット信号を変調している複素ベクトルで逆変調して、分散パイロット信号及び終端パイロット信号などにかかる周波数領域での伝送路特性を推定する。さらに、フィルタによって周波数方向及びシンボル方向に補間して情報伝送信号にかかる伝送路特性を推定する。このようにして得られた伝送路特性で情報伝送信号を除算する。これによって同期検波用セグメントから情報伝送信号を復調することができる。
【0055】
差動検波用セグメントに設けられる情報伝送信号は、前述の差動検波用セグメントの終端パイロット信号、及び付加情報伝送信号以外の搬送波に配され、ディジタル情報に基づいて同じキャリア番号の隣接するシンボル間で差動変調が施される。
【0056】
この差動変調には、例えば、DBPSK、DQPSK、DAPSKなどが用いられる。差動検波用セグメントの情報伝送信号は、前シンボルの同じキャリア番号の情報伝送信号で除算されることによって復調できる。
【0057】
以上のことから、本実施の形態のOFDM伝送方式は、その受信装置において、同期検波用セグメントではフィルタの効果によって高品質な受信を、差動検波用セグメントではシンボル間の差動復調によって伝送路特性の変化が速い移動受信に適した受信を行うことができる。また、セグメント毎に同期検波用セグメントと差動検波用セグメントを任意に組み合わせることで、伝送帯域の変動を伴うことなく柔軟なサービス形態を実現することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
本実施の形態のOFDM伝送方式では、13個のセグメントと1キャリアの搬送波を用いた帯域終端パイロットからなり、1個のセグメントは108キャリアの搬送波で構成される。各セグメントは、同期検波用セグメント、または、差動検波用セグメントのいずれかで構成される。帯域全体では1405キャリアの搬送波を用いる。
【0059】
同期検波用セグメントは、1シンボルあたり9キャリアの搬送波を用いた分散パイロット信号と、2キャリアの搬送波を用いた連続パイロット信号と、1キャリアの搬送波を用いた付加情報伝送信号(この実施例では以下制御情報信号とする)と、96キャリアの搬送波を用いた情報伝送信号とから構成される。
【0060】
差動検波用セグメントは、6キャリアの搬送波を用いた連続パイロット信号と、5キャリアの搬送波を用いた制御情報信号と、1キャリアの搬送波を用いた終端パイロット信号と、96キャリアの搬送波を用いた情報伝送信号とから構成される。
【0061】
ここでは、帯域全体でのキャリア番号kを0から1404の整数、セグメント番号iを0から12の整数、各セグメント内のキャリア番号k’を0から107の整数とし、k=i・108+k’を満たすものとする。
【0062】
同期検波用セグメントに設けられる分散パイロット信号は、各セグメントとも(5)式によるセグメント内のキャリア番号k’の搬送波に配置される。(5)式において、mod は剰余演算を表わし、pは0以上8以下の整数である。
【0063】
【数9】
Figure 0004197568
【0064】
同期用セグメント及び差動検波用セグメントに設けられる連続パイロット信号は、それぞれ表2に示す各セグメント内のキャリア番号k’の搬送波に配置される。表2は、同期検波用セグメントの連続パイロット信号が差動検波用セグメントの連続パイロット信号に含まれることを示している。
【0065】
【表2】
Figure 0004197568
【0066】
以上の構成により、同期検波用セグメントと差動検波用セグメントが混在した状態であっても、同期検波用セグメントの連続パイロットとして定義される搬送波には連続パイロット信号が必ず配置されることになり、連続パイロット信号かそれ以外の伝送信号かの識別が受信側で容易となる。尚、部分集合配置とならないように搬送波を割り当ててもよい。
【0067】
毎シンボルとも同じ周波数の搬送波に、当該搬送波を特定の位相及び振幅で変調する連続パイロット信号は、周波数、位相、振幅が特定されるため受信側では基準となるキャリアとして利用することができる。
【0068】
差動検波用セグメントに設けられる終端パイロット信号は、各セグメント内のキャリア番号k’が0の搬送波に配置される。終端パイロット信号の配置は、隣接する同期検波用セグメントの分散パイロット信号の周波数配置の周期性を保つ位置である。各終端パイロット信号は、該分散パイロット信号を補っている。
【0069】
図3に、連続パイロット信号及び制御情報信号の配置と、同期検波用セグメントでの分散パイロット信号の配置、差動検波用セグメントでの終端パイロット信号の配置例を示す。横軸は周波数軸(キャリア配置)、縦軸は時間軸(シンボル方向)を模式的に表現したものである。各セグメント内のキャリア番号k’を0から107の整数とし、1個のセグメントは108キャリアの搬送波で構成される。連続パイロット信号、制御情報信号は分散パイロット信号とは異なる搬送波に割り付けられる。
【0070】
これらの分散パイロット信号、連続パイロット信号、及び、終端パイロット信号は、それぞれ配置されるキャリア番号k(セグメント番号i及び各セグメント内のキャリア番号k’により決まる)に対応するPN(擬似乱数)系列wk (wk =0,1)に基づき、(6)式に示す複素ベクトルck,n によって搬送波を変調して得られる。(6)式において、Re{ck,n }はキャリア番号k、シンボル番号nの搬送波に対応する複素ベクトルck,n の実数部を表わし、Im{ck,n }は虚数部を表わす。
【0071】
【数10】
Figure 0004197568
【0072】
同期検波用セグメント及び差動検波用セグメントに設けられる制御情報信号は、それぞれ表3に示す各セグメント内のキャリア番号k’の搬送波に配置され、シンボル毎に1ビットの制御情報を伝送する。
【0073】
【表3】
Figure 0004197568
【0074】
シンボル番号nのシンボルで伝送する制御情報ビットをSn とすると、制御情報信号は(7)式に示す複素ベクトルck,n によって搬送波を変調して得られる。すなわち、制御情報信号を伝送する搬送波は、シンボル間で差動2値PSK(Phase Shift Keying)変調される。
【0075】
【数11】
Figure 0004197568
【0076】
但し、フレームの先頭シンボル(シンボル番号n=0)では、制御情報を伝送する搬送波は、前述のPN系列wk に基づいて、(8)式に示す複素ベクトルck,n によって変調される。
【0077】
【数12】
Figure 0004197568
【0078】
尚、シンボル毎に2ビットの制御情報を伝送する場合には、例えばシンボル間での差動4相PSK変調を用いる。
【0079】
同期検波用セグメントに設けられる情報伝送信号は、前述の同期検波用セグメントの分散パイロット信号、連続パイロット信号、及び、制御情報信号以外の搬送波に配され、ディジタル情報に基づいて絶対位相変調が施される。この絶対位相変調には、例えば、QPSK、16QAM、64QAM変調などが用いられる。
【0080】
同期検波用セグメントの情報伝送信号は以下の処理によって復調される。まず、分散パイロット信号や必要な終端パイロット信号、帯域終端パイロット信号を該分散パイロット、終端パイロット信号及び帯域終端パイロット信号を変調している複素ベクトルで逆変調して、分散パイロット信号及び終端パイロット信号などにかかる周波数領域での伝送路特性を推定する。さらに、フィルタによって周波数方向及びシンボル方向に補間して情報伝送信号にかかる伝送路特性を推定する。このようにして得られた伝送路特性で情報伝送信号を除算する。これによって同期検波用セグメントから情報伝送信号を復調することができる。
【0081】
差動検波用セグメントに設けられる情報伝送信号は、前述の差動検波用セグメントの連続パイロット信号、終端パイロット信号、及び、制御情報信号以外の搬送波に配され、ディジタル情報に基づいて同じキャリア番号の隣接するシンボル間で差動変調が施される。
【0082】
この差動変調には、例えば、DBPSK、DQPSK、DAPSKなどが用いられる。差動検波用セグメントの情報伝送信号は、前シンボルの同じキャリア番号の情報伝送信号で除算されることによって復調できる。
【0083】
以上のことから、本実施の形態のOFDM伝送方式は、その受信装置において、同期検波用セグメントではフィルタの効果によって高品質な受信を、差動検波用セグメントではシンボル間の差動復調によって伝送路特性の変化が速い移動受信に適した受信を行うことができる。また、セグメント毎に同期検波用セグメントと差動検波用セグメントを任意に組み合わせることで、柔軟なサービス形態を実現することができる。
【0084】
また、毎シンボルとも同じ周波数の搬送波に、当該搬送波を特定の位相及び振幅で変調する連続パイロット信号を配置することにより、周波数、位相、振幅が特定されるため受信側では基準となるキャリアとして利用することができる。
【0085】
図4及び図5は、それぞれ表2に示した同期検波用セグメント(13セグメント、26キャリア)及び差動検波用セグメント(13セグメント、78キャリア)の連続パイロット信号の周波数配置の逆フーリエ変換対を示したものである。図4、図5から、それらはインパルス状であり、表2に示した連続パイロット信号の周波数配置が周期性を持たないことがわかる。
【0086】
このことから、本実施の形態のOFDM伝送方式は、マルチパスなどの遅延波によって連続パイロット信号全体が消滅することを防ぐことができる。また、この配置を使用して逆フーリエ変換を求めることで、伝送路のインパルス応答を求めることができる。尚、連続パイロット信号の周波数配置は自己相関に強い配置になっている。
【0087】
図6及び図7は、それぞれ表3に示した同期検波用セグメント及び差動検波用セグメントの制御情報信号の周波数配置の逆フーリエ変換対を示したものである。図6、図7から、それらはインパルス状であり、表3に示した制御情報信号の周波数配置が周期性を持たないことがわかる。
【0088】
以上のことから、本実施の形態のOFDM伝送方式は、マルチパスなどの遅延波によって制御情報信号全体が消滅することを防ぐことができる。
【0089】
尚、制御情報信号を含む付加情報伝送信号の周波数配置を同様に設定することができる。
【0090】
(第3の実施の形態)
図8に、第1及び第2の実施の形態のOFDM伝送方式に基づいてOFDM信号を生成する送信装置の実施の形態の構成を示す。
【0091】
図8において、情報伝送信号生成回路51では、入力されるディジタル情報に必要に応じて誤り制御処理(誤り訂正符号化やインタリーブ、エネルギー拡散など)とディジタル変調を施す。尚、ディジタル伝送で一般的に用いられる基本的な誤り制御処理手法とディジタル変調手法は周知の技術なので省略している。
【0092】
同期検波用セグメントではディジタル変調として絶対位相変調が施される。この絶対位相変調には、例えば、QPSK、16QAM、64QAM変調などが用いられる。また、差動検波用セグメントではディジタル情報に基づいて同じキャリア番号の隣接するシンボル間で差動変調が施される。この差動変調には例えば、DBPSK、DQPSK、DAPSKなどが用いられる。
【0093】
付加情報信号生成回路52は、入力される付加情報に必要に応じて誤り制御処理(誤り訂正符号化やインタリーブ、エネルギー拡散など)とディジタル変調を施す。ディジタル変調としてM(Mは2以上の自然数)相PSK(Phase Shift Keying)変調や、シンボル方向での差動M相PSK変調などを用いる。
【0094】
制御情報生成回路56は、受信側で必要とされる伝送モード情報(同期検波用セグメント数、差動検波用セグメント数、キャリア変調方式など伝送モードを規定する各種情報)を生成する。この情報は、付加情報信号生成回路52にて誤り制御処理とディジタル変調を施されるが、他の付加情報とは異なる誤り制御処理とディジタル変調を施してもよい。
【0095】
分散パイロット信号生成回路53は、キャリア配置回路57にて配置が規定されるキャリア番号k(セグメント番号i及び各セグメント内のキャリア番号k’により決まる)に対応するPN(擬似乱数)系列wk (wk =0,1)に基づき変調された分散パイロット信号を生成する。
【0096】
終端パイロット信号生成回路54は、キャリア配置回路57にて配置が規定されるキャリア番号k(セグメント番号i及び各セグメント内のキャリア番号k’により決まる)に対応するPN(擬似乱数)系列wk (wk =0,1)に基づき変調された終端パイロット信号を生成する。
【0097】
帯域終端パイロット信号生成回路55は、帯域終端のキャリア番号kに対応するPN(擬似乱数)系列wk (wk =0,1)に基づき変調された帯域終端パイロット信号を生成する。
【0098】
連続パイロット信号は特に記していないが、付加情報信号生成回路52にて当該キャリアに対して毎シンボル同一位相、振幅で変調する場合を想定すればよい。
【0099】
キャリア配置回路57では、情報伝送信号生成回路51、付加情報信号生成回路52、分散パイロット信号生成回路53、終端パイロット信号生成回路54、帯域終端パイロット信号生成回路55の各出力(複素ベクトル列)を、伝送モードに応じて規定される周波数領域の搬送波位置に配置する。
【0100】
例えば、分散パイロット信号生成回路53の出力は、同期検波用セグメント内においてN(Nは2以上の自然数)キャリア間隔でかつシンボル毎にL(LはNの約数)キャリアずつシフトさせた搬送波に配置される。終端パイロット信号生成回路54の出力は、差動検波用セグメント内においてセグメント内のキャリア番号k’=0の搬送波に配置される。また、付加情報信号生成回路52の出力は、例えば表1に示す周波数配置に従って割り付けられる。このようにして配置された基底周波数帯域の搬送波毎のベクトル列は逆フーリエ変換回路58に入力される。
【0101】
逆フーリエ変換回路58は、キャリア配置回路57で生成された基底周波数帯域の搬送波毎のベクトル列を周波数領域から時間領域に変換し、通常用いられるガードインターバル期間を付加して出力する。直交変調回路59は逆フーリエ変換回路58の出力を直交変調し中間周波数帯域に変換する。周波数変換回路60は、直交変調されたOFDM信号の周波数帯域を中間周波数帯域から無線周波数帯域に変換しアンテナなどに供給する。
【0102】
以上の構成による送信装置によれば、第1及び第2の実施の形態で述べたOFDM伝送方式に基づくOFDM信号を生成することができる。
【0103】
(第4の実施の形態)
図9は、第1及び第2の実施の形態のOFDM伝送方式に基づいて形成されたOFDM信号を受信し、伝送路の時間領域でのインパルス応答を推定することが可能な受信装置の構成を示す。
【0104】
図9において、チューナ11は、受信されたOFDM信号の周波数帯域を無線周波数帯域から基底周波数帯域に変換する。フーリエ変換回路12は、基底周波数帯域のOFDM信号を時間領域から周波数領域に変換し、周波数領域の搬送波毎のベクトル列として出力する。
【0105】
分散/終端パイロット抽出回路13は、フーリエ変換回路12が出力するベクトル列から分散パイロット信号及び必要な終端パイロット信号、帯域終端パイロット信号を抽出する。ベクトル発生回路14は、分散/終端パイロット抽出回路13で抽出された分散パイロット信号、終端パイロット信号及び帯域終端パイロット信号に対応する変調複素ベクトルck,n を発生する。
【0106】
除算回路15は、分散/終端パイロット抽出回路13で抽出された分散パイロット信号、終端パイロット信号及び帯域終端パイロット信号をベクトル発生回路14が発生する複素ベクトルで除して、分散パイロット信号、終端パイロット信号及び帯域終端パイロット信号にかかる伝送路特性を推定する。補間回路16は、除算回路15で得られた分散パイロット信号、終端パイロット信号及び帯域終端パイロット信号にかかる伝送路特性を補間して、同期検波用セグメントの情報伝送信号の搬送波にかかる伝送路特性を推定する。
【0107】
遅延回路17は、フーリエ変換回路12の出力するベクトル列を1シンボル遅延する。選択回路18は、制御情報によって別途伝送されるセグメントの種類に従って、同期検波用セグメントの場合は補間回路16の出力を、差動検波用セグメントの場合は遅延回路17の出力を選択して出力する。
【0108】
除算回路19は、フーリエ変換回路12が出力するベクトル列をそれぞれ選択回路18の出力で除算する。除算回路19において、同期検波用セグメントでは補間回路16で推定されたそれぞれ対応する搬送波にかかる伝送路特性で除算して同期検波し、差動検波用セグメントでは遅延回路17が出力する1シンボル前のそれぞれ対応する搬送波のベクトル列で除算して差動検波する。
【0109】
復調回路20は、情報伝送信号を生成する際の変調方法(QPSK、16QAM、64QAM、DBPSK、DQPSK、DAPSKなど)に従って除算回路19から出力される検波信号を復調し、伝送されたディジタル情報を得る。
【0110】
以上の構成により、第1の実施の形態で述べたOFDM伝送方式に基づくOFDM信号を受信し復調することができる。以下に述べる構成は、第2の実施の形態で述べたOFDM伝送方式に基づくOFDM信号を受信し復調する場合のものである。
【0111】
まず、連続パイロット抽出回路21は、フーリエ変換回路12が出力するベクトル列から連続パイロット信号を抽出する。このとき、同期検波用セグメントと差動検波用セグメントが混在している状態でも、少なくとも同期検波用セグメントの連続パイロット信号が必ず混在するので、連続パイロット信号を常時抽出することができる。
【0112】
ベクトル発生回路22は、連続パイロット抽出回路21で抽出された連続パイロット信号に対応する変調複素ベクトルck,n を発生する。除算回路23は、連続パイロット抽出回路21で抽出された連続パイロット信号をベクトル発生回路22が発生する複素ベクトルで除して、連続パイロット信号にかかる伝送路特性を推定する。逆フーリエ変換回路24は、除算回路23で推定された連続パイロット信号にかかる伝送路特性を周波数領域から時間領域に変換して伝送路のインパルス応答特性を得る。
【0113】
以上のことから、本実施形態の受信装置の構成によれば、復調回路20において、同期検波用セグメントでは伝送路特性の補間処理によるフィルタ効果によって高品質な復調を実現することができ、差動検波用セグメントではシンボル間の差動復調によって伝送路特性の変化が速い移動受信に適した復調を実現することができる。また、逆フーリエ変換回路24において、折り返しのない伝送路のインパルス応答特性を得ることができる。
【0114】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の直交周波数分割多重伝送方式は、移動受信に適した差動検波用セグメントを備えることができる。このとき、終端パイロット信号及び帯域終端パイロット信号を備えることによって、隣接する同期検波用のセグメントの同期検波特性を損なわずに、セグメント毎に同期検波用セグメントと差動検波用セグメントを自由に組み合わせることができ、これによって柔軟なサービス形態を実現することができる。
【0115】
また、周波数配置の逆フーリエ変換対がインパルス状である連続パイロット信号を用いて、必要に応じてシンボル期間で折り返しのない伝送路のインパルス応答特性を求めることができる。
【0116】
したがって、本発明によれば、全体の伝送容量を維持しつつディジタル情報を伝送する搬送波の変調に部分的に移動受信に適した変調方式を導入し、また、例えば連続パイロット信号から推定される伝送路のインパルス応答に折り返しが生じないように連続パイロット信号を配置したOFDM伝送方式に適する送信方法、受信方法、送信装置及び受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るOFDM伝送方式の第1及び第2の実施形態において、同期検波用あるいは差動検波用セグメント(合計13個のセグメント)、帯域終端パイロット信号の配置例を示した図である。
【図2】 本発明に係るOFDM伝送方式の第1及び第2の実施形態において、付加情報伝送信号の配置と、同期検波用セグメントでの分散パイロット信号の配置、差動検波用セグメントでの終端パイロット信号の配置例を示した図である。
【図3】本発明に係るOFDM伝送方式の第2の実施形態において、連続パイロット信号及び制御情報信号の配置と、同期検波用セグメントでの分散パイロット信号の配置、差動検波用セグメントでの終端パイロット信号の配置例を示した図である。
【図4】 本発明に係るOFDM伝送方式の第2の実施形態において、表2に示した同期検波用セグメントの連続パイロット信号の周波数配置の逆フーリエ変換対を示す時間−振幅特性図である。
【図5】 本発明に係るOFDM伝送方式の第2の実施形態において、表2に示した差動検波用セグメントの連続パイロット信号の周波数配置の逆フーリエ変換対を示す時間−振幅特性図である。
【図6】 本発明に係るOFDM伝送方式の第2の実施形態において、表3に示した同期検波用セグメントの制御情報信号の周波数配置の逆フーリエ変換対を示す時間−振幅特性図である。
【図7】 本発明に係るOFDM伝送方式の第2の実施形態において、表3に示した差動検波用セグメントの制御情報信号の周波数配置の逆フーリエ変換対を示す時間−振幅特性図である。
【図8】 第5の実施形態として、本発明に係るOFDM伝送方式に用いられる送信装置の構成を示すブロック回路図である。
【図9】 第6の実施形態として、本発明に係るOFDM伝送方式に用いられる受信装置の構成を示すブロック回路図である。
【図10】 従来のOFDM伝送方式に用いられる受信装置の構成を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
11…チューナ
12…フーリエ変換回路
13…分散/終端パイロット抽出回路
14…ベクトル発生回路
15…除算回路
16…補間回路
17…遅延回路
18…選択回路
19…除算回路
20…復調回路
21…連続パイロット抽出回路
22…ベクトル発生回路
23…除算回路
24…逆フーリエ変換回路
51…情報伝送信号生成回路
52…付加情報信号生成回路
53…分散パイロット信号生成回路
54…終端パイロット信号生成回路
55…帯域終端パイロット信号生成回路
56…制御情報生成回路
57…キャリア配置回路
58…逆フーリエ変換回路
59…直交変調回路
60…周波数変換回路

Claims (20)

  1. ディジタル情報をOFDM信号として送信する送信方法であって、
    前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、
    前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、
    前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置は、前記同期検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置を含み、
    前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、
    前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする送信方法。
  2. 前記絶対位相変調は、QPSK変調、16QAM変調、64QAM変調のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の送信方法。
  3. 前記差動変調は、DQPSK変調であることを特徴とする請求項1記載の送信方法。
  4. 前記付加情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、付加情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする請求項1記載の送信方法。
  5. 前記付加情報伝送信号に対する前記差動変調は、DBPSK変調であることを特徴とする請求項4記載の送信方法。
  6. OFDM信号を受信し、ディジタル情報を復元する受信方法であって、
    前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、
    前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、
    前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置は、前記同期検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置を含み、
    前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、
    前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであり、
    前記OFDM信号をフーリエ変換した後、前記同期検波用セグメントを同期検波し、前記差動検波用セグメントを差動検波することにより前記ディジタル情報を復元することを特徴とする受信方法。
  7. 前記絶対位相変調は、QPSK変調、16QAM変調、64QAM変調のいずれかであることを特徴とする請求項記載の受信方法。
  8. 前記差動変調は、DQPSK変調であることを特徴とする請求項記載の送信方法。
  9. 前記付加情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、付加情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする請求項記載の受信方法。
  10. 前記付加情報伝送信号に対する前記差動変調は、DBPSK変調であることを特徴とする請求項記載の受信方法。
  11. ディジタル情報をOFDM信号として送信する送信装置であって、
    情報伝送信号と付加情報伝送信号とを所定のキャリアに割り当てるキャリア配置手段と、
    前記キャリア配置手段の出力を逆フーリエ変換することにより前記OFDM信号を生成する逆フーリエ変換手段とを備え、
    前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、
    前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、
    前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置は、前記同期検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置を含み、
    前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、
    前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする送信装置。
  12. 前記絶対位相変調は、QPSK変調、16QAM変調、64QAM変調のいずれかであることを特徴とする請求項11記載の送信装置。
  13. 前記差動変調は、DQPSK変調であることを特徴とする請求項 記載の送信装置。
  14. 前記付加情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、付加情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする請求項11記載の送信装置。
  15. 前記付加情報伝送信号に対する前記差動変調は、DBPSK変調であることを特徴とする請求項14記載の送信装置。
  16. OFDM信号を受信し、ディジタル情報を復元する受信装置であって、
    前記OFDM信号は、周波数的に連続する複数のキャリアから構成されるセグメントを2つ以上含み、
    前記セグメントは、同期検波用セグメントまたは差動検波用セグメントのいずれかであり、
    前記同期検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記同期検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントは、付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアと情報伝送信号が割り当てられたキャリアとを含み、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記付加情報伝送信号は、特定のキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおいて、前記情報伝送信号は、前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリア以外のいずれかのキャリアに割り当てられ、
    前記差動検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置は、前記同期検波用セグメントにおける前記付加情報伝送信号が割り当てられたキャリアのセグメント内の位置を含み、
    前記同期検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて絶対位相変調したものであり、
    前記差動検波用セグメントの前記情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、前記ディジタル情報に基づいて差動変調したものであり、
    前記OFDM信号をフーリエ変換するフーリエ変換手段と、
    前記フーリエ変換手段の出力の内、前記同期検波用セグメントを同期検波し、前記差動検波用セグメントを差動検波する検波手段とを備えることを特徴とする受信装置。
  17. 前記絶対位相変調は、QPSK変調、16QAM変調、64QAM変調のいずれかであることを特徴とする請求項16記載の受信装置。
  18. 前記差動変調は、DQPSK変調であることを特徴とする請求項16記載の受信装置。
  19. 前記付加情報伝送信号は、各々が割り当てられたキャリアを、付加情報に基づいて差動変調したものであることを特徴とする請求項16記載の受信装置。
  20. 前記付加情報伝送信号に対する前記差動変調は、DBPSK変調であることを特徴とする請求項19記載の受信装置。
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