JP3940541B2 - ディジタル放送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル放送装置、特に地上ディジタル音声放送における放送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地上ディジタルテレビ放送および地上ディジタル音声放送の暫定方式として、広帯域ISDB−T方式および狭帯域ISDB−T方式と呼ばれる放送方式が提案されていた。これらの放送方式は、それぞれの間で整合を持った方式であり、日本国内のテレビチャンネルに割り当てられている6MHzの周波数帯域を14に分割した帯域幅(約429kHz)において、セグメントと称するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調された基本伝送単位を構成し、このセグメントを用いて地上ディジタルテレビ放送あるいは地上ディジタル音声放送を行うものである。
【0003】
セグメントの信号はOFDM変調されており、このセグメントのOFDM搬送波数として、108本、216本、432本の3モードが定義されている。地上ディジタルテレビではセグメントを13個用いて伝送信号を構成するが、地上ディジタル音声放送では1セグメントあるいは3セグメントを用いて伝送信号を構成することが暫定方式によって決められている。
【0004】
セグメント内のOFDM搬送波は同一の変調方式で変調されており、変調方式としてDQPSK、QPSK、16QAM、64QAMなどが定義されている。セグメント内の搬送波には情報を伝送する搬送波の他に各種のパイロット信号や伝送制御信号なども存在する。パイロット信号としてはCP(Continual Pilot )とSP(Scattered Pilot )があり、伝送制御信号としてTMCC(Transmission Multiplex Configuration Control)信号がある。また、付加情報としてAC1(Auxiliary Channel )、AC2(Auxiliary Channel )などの信号がある。パイロット信号のうちCPおよびSPは搬送波番号に対応するPRBS(Pseudo-Random Bit Stream )符号系列出力でBPSK(Binary Phase Shift Keying )変調されている。また、付加情報AC1やAC2はフレーム先頭のOFDMシンボルではパイロット信号CPやSPと同様に搬送波番号に対応するPRBS符号系列の出力でBPSK変調されるが、以後のOFDMシンボルではフレーム先頭のOFDMシンボルにおける付加情報AC1およびAC2の位相を基準として伝送すべき付加情報で差動BPSK変調が施される。伝送制御信号TMCCも付加情報AC1,AC2と同様に、フレーム先頭のOFDMシンボルでは搬送波番号に対応するPRBS符号系列出力でBPSK変調されるが、以後のOFDMシンボルではフレーム先頭のOFDMシンボルにおける位相を基準として伝送制御信号TMCCの情報に基づいて差動BPSK変調が施される。
【0005】
広帯域ISDB−T方式においては13個のセグメントで信号が構成されるが、同じ生成多項式を用いたPRBS符号系列を用いるものの各セグメントの番号によって初期値を異なるように設定し、隣接するセグメントの上端と下端のパイロット信号CPの位相に矛盾の無いように構成している。この様にセグメントの位置によってPRBS符号系列の初期値を変えているのは、各セグメントにおけるパイロット信号CPやSPの位相をできるだけランダム化することで広帯域ISDB−T信号にピークが発生することを防止し、信号のダイナミックレンジを小さくすることを目的にしている。
【0006】
図5は地上ディジタルテレビジョン放送方式、即ち、広帯域ISDB−T方式のセグメントの構成と、それら各種のパイロット信号CP,SP、伝送制御信号TMCCおよび付加情報AC1,AC2の位相を示している。
図示のように、広帯域ISDB−T方式の信号において、各々のセグメントにおけるパイロット信号CP,SP、伝送制御信号TMCCおよび付加情報AC1,AC2の位相がそれぞれランダムに制御されている。このため、広帯域ISDB−T方式に基づく信号にピークの発生が防止でき、受信機のダイナミックレンジに対する要求を緩和できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した地上ディジタルテレビおよび音声放送方式によれば、放送用の周波数帯域は現在実際に放送が行われているアナログ方式の地上テレビ放送の周波数帯域を使用することになる。例えば、地上ディジタルテレビ放送に使用する周波数帯域として現在テレビ放送に割り当てられているUHF帯域を、地上ディジタル音声放送に使用する周波数帯域として現在テレビ放送に割り当てられているVHF帯域をそれぞれ用いる予定である。このため地上ディジタル音声放送に割り当てられているVHF帯域は、アナログテレビの放送がディジタルに移行するまでの間には少なくとも現在のチャンネル構造は変わらないと考えられる。即ち地上ディジタル放送も現在のテレビチャンネルを基本に放送サービスが開始される。このことから地上ディジタル音声放送では6MHz(4MHz)を基本として信号が構成されると考えられる。
【0008】
ところで地上ディジタル音声放送で用いられる狭帯域ISDB−T方式では1セグメント形式と3セグメント形式の信号が定義されており、このことからセグメント番号としては1セグメント方式では1種類、また3セグメント形式では3種類しか存在しない。図6は狭帯域ISDB−T信号のセグメント構成と各種パイロット信号の位相関係を示している。図示のようにチャンネル内の信号がすべて1セグメント信号であった場合、13個すべてのセグメント番号は同一となるのでPRBS符号系列の初期値も同一となり、ひいては13セグメントすべてのパイロット信号CPおよびSPの位相も同一となる。また、伝送制御信号TMCCや無変調であるときの付加情報AC1、AC2も同様に13セグメントのすべてにおいて同一位相となる。このことからチャンネル内の信号全体を見たときには、位相の整っている搬送波の組が多数存在することから、伝送信号にピークが発生する確率が高くなり、受信機におけるフロントエンド増幅器のダイナミックレンジの確保が難しくなるという不利益がある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、地上ディジタル放送における信号の搬送波の位相をそれぞれの送信チャンネルの周波数に依存して制御することにより、放送信号のダイナミックレンジの増加を抑制できるディジタル放送装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のディジタル放送装置は、情報源データに基づいてディジタル放送信号を生成し、所定のセグメントを用いて上記ディジタル放送信号を伝送するディジタル放送装置であって、信号を生成する副信号生成回路と、上記副信号を伝送するセグメントの放送用周波数に基づいて設定された乱数符号の初期値を用いて疑似乱数列を発生する乱数列発生回路と、上記乱数列発生回路により生成した上記疑似乱数列を用いて上記副信号のマッピング処理を行う副信号変調回路と、上記情報源データに基づき生成された主信号と上記副信号変調回路の出力信号とを用いて、所定の変調方式に応じて搬送波を変調し、上記ディジタル放送信号を生成する変調回路とを有する。
【0011】
また、本発明のディジタル放送装置は、情報源データに基づいてディジタル放送信号を生成し、所定のセグメントを用いて上記ディジタル放送信号を伝送するディジタル放送装置であって、上記情報源データに基づき生成された主信号に対して、該主信号を伝送するセグメントの放送用周波数に基づいて設定されたパラメータを用いて周波数インターリーブを行う周波数インターリーブ回路と、上記周波数インターリーブされた主信号を用いて、所定の変調方式に応じて搬送波を変調し、上記ディジタル放送信号を生成する変調回路とを有する。
【0012】
また、本発明では、好適には、信号を生成する副信号生成回路と、上記副信号を伝送するセグメントの放送用周波数に基づいて設定された乱数符号の初期値を用いて生成した疑似乱数列を用いて擬似乱数列を発生する乱数列発生回路と、上記乱数列発生回路により生成した上記擬似乱数列を用いて上記副信号のマッピング処理を行う副信号変調回路と、を有し、上記変調回路は、上記情報源データに基づき生成された主信号と上記副信号変調回路の出力信号とを用いて、所定の変調方式に応じて搬送波を変調し、上記ディジタル放送信号を生成する。
【0013】
また、本発明では、好適には、上記変調回路は、上記主信号と上記副変調回路の出力信号とを用いて、OFDM変調を行うOFDM変調回路であり、上記情報源データは、音声信号を符号化して得られた音声データである。上記副信号を伝送するセグメントの放送用周波数は、所定の周波数帯域を複数に分割して形成されるサブチャンネルの一つ対応するものであり、各々のサブチャンネルに所定のサブチャンネル番号が付与されており、上記乱数列発生回路は、上記セグメントにかかるサブチャンネル番号に基づき、上記疑似乱数列を発生するための乱数符号の初期値を設定する。
【0014】
本発明によれば、ディジタル放送装置において、音声データなどからなる主信号が設定されたパラメータに応じて周波数インターリーブが行われる。また、与えられた乱数符号の初期値に応じて疑似乱数列が生成され、当該疑似乱数列を用いて、パイロット信号、伝送制御信号などの副信号が変調される。インターリーブされた主信号および変調された副信号が所定の変調方式、例えば、OFDM変調方式に従って変調され、その変調信号が放送用周波数に変調され、アンテナによって放射される。
本発明において、主信号の周波数インターリーブにおけるパラメータまたは副信号変調用の疑似乱数列を発生するための乱数符号の初期値の何れか一方または両方が放送周波数に応じて制御することにより、生成した放送信号のダイナミックレンジを必要最小限に抑制可能である。これによって、受信機のフロントエンド増幅回路のダイナミックレンジの確保を容易に実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1は本発明に係るディジタル放送装置の第1の実施形態を示す回路図である。
図示のように、本実施形態のディジタル放送装置は、放送信号の一セグメントを処理する放送信号処理回路100、逆フーリエ変換回路(IFFT)12、ガードインターバル付加回路13、直交変調回路14、周波数変換回路15、RF(Radio Frequency )信号発振回路16、高周波増幅回路17、送信アンテナ18および制御回路20により構成されている。
以下、本実施形態のディジタル放送装置を構成する各部分回路について説明する。
【0016】
放送信号処理回路100は、図示のように、多重化回路1、外符号化回路2、エネルギー拡散回路3、遅延補正回路4、バイトインターリーブ回路5、畳み込み符号化回路6、ビットインターリーブ回路7、マッピング回路8、時間インターリーブ回路9、周波数インターリーブ回路10、OFDMフレーム構成回路11、パイロット信号発生回路21、伝送制御信号発生回路22、付加情報発生回路23、マッピング回路24、25、26および乱数列発生回路27によって構成されている。
【0017】
多重化回路1は、例えば、ディジタル音声信号からなる複数の情報源符号化されたビット・ストリームを時分割多重した、いわゆるトランスポート・ストリーム(TS)を発生する。
外符号化回路2は、多重化回路1により多重化されたビット・ストリームを受けて、当該ビット・ストリームに対してリードソロモン符号化による外符号化処理を行う。
エネルギー拡散回路3は、外符号化回路2により符号化されたビット・ストリームに対して、情報のランダム化処理を行い、エネルギーの拡散を行う。
遅延補正回路4は、ランダム化処理を行ったビット・ストリームに対して遅延時間の補正を行う。
【0018】
バイトインターリーブ回路5は、畳み込み符号の残留誤りを分散させるために、遅延補正回路4により出力されたデータに対して畳み込みインターリーブを施す。
畳み込み符号化回路6は、バイトインターリーブ回路5の出力信号に対して畳み込み符号化を行う。
ビットインターリーブ回路7は、畳み込み符号化回路6の出力信号に対してビットインターリーブを行い、得られたデータをマッピング回路8に出力する。
マッピング回路8は、入力したデータ系列をOFDM変調用の搬送波に変調するためのマッピング処理を行う。具体的に、例えば、マッピング回路8において、各OFDM搬送波の信号点の割り付けを行い、処理後の信号を時間インターリーブ回路9に出力する。
【0019】
時間インターリーブ回路9は、マッピング回路8の出力信号に対して時間軸上のインターリーブ処理を行い、その出力信号を周波数インターリーブ回路10に出力する。
周波数インターリーブ回路10は、時間インターリーブ処理された信号に対して、さらに周波数軸上にインターリーブ処理を行い、その出力信号をOFDMフレーム構成回路11に供給する。なお、本実施形態では周波数インターリーブ回路10におけるパラメータは、制御回路20により放送周波数に応じて制御される。
【0020】
パイロット信号発生回路21は、パイロット信号CP,SPなどを発生する。そして、伝送制御信号発生回路22は、伝送制御信号TMCCを発生し、さらに付加情報回路23は、付加情報AC1,AC2などを発生する。
マッピング回路24は、パイロット信号CP,SPに対してOFDM搬送波を変調するためのマッピング処理を行い、マッピング回路25は、伝送制御信号TMCCに対して、OFDM搬送波変調するためのマッピング処理を行い、さらに、マッピング回路26は、付加情報AC1,AC2に対してOFDM搬送波を変調するためのマッピング処理を行う。そして、これらのマッピング回路の出力信号は、ともにOFDMフレーム構成回路11に出力される。
乱数列発生回路27は、疑似乱数列(PRBS符号系列)を発生し、マッピング回路24,25および26にそれぞれ供給する。乱数列発生回路27において、疑似乱数列を発生するために用いられる乱数符号の初期値は、制御回路20により設定される。
【0021】
OFDMフレーム構成回路11は、周波数インターリーブ回路10、マッピング回路24,25および26から出力されたデータ列を受けて、周波数インターリーブ回路10により出力されたデータ列に所定の搬送波を割り当て、さらにマッピング処理を施したパイロット信号CP,SP、伝送制御信号TMCCおよび付加情報AC1,AC2をそれぞれ特別なOFDM搬送波として割り当て、フレームを構成する。
【0022】
逆フーリエ変換回路12は放送信号処理回路100の出力信号に対して逆離散フーリエ変換を行う。放送信号処理回路100の出力信号は、OFDM変調によって得られた信号であり、複数のディジタル信号により変調された複数の搬送波を加え合わせた信号である。逆フーリエ変換回路12において、当該OFDM変調波に対して各送信シンボル期間毎に1回の逆離散フーリエ変換を行い、その結果、時間軸上の送信信号が得られる。
【0023】
ガードインターバル付加回路13は、逆フーリエ変換で得た送信信号にガードインターバル期間を付加する。当該ガードインターバル期間は、受信機におけるマルチパス(ゴースト)の影響を低減するために付加された信号期間である。通常、実際の情報を伝送する有効シンボル期間の信号波形を繰り返してインターバル付加期間が生成される。なお、ガードインターバル期間と有効シンボル期間を合わせて、OFDMの伝送シンボル期間が構成されている。
【0024】
直交変調回路14は、ガードインターバル付加回路13により出力された信号に対して、直交変調を行い、直交変調信号を出力する。
周波数変換回路15は、RF信号発振回路16からのRF発振信号を用いて、直交変調回路14の出力信号に対して周波数変換を行う。当該周波数変換により送信信号の搬送波が放送用高周波数帯域に変換される。
高周波増幅回路17は、周波数変換回路15により出力された高周波信号の振幅を増幅し、増幅した信号を送信アンテナ18に出力する。
送信アンテナ18は、高周波増幅回路17により振幅が増幅された高周波信号を空間に放射する。
【0025】
制御回路20は、放送信号処理回路100における周波数インターリーブ回路10、乱数列発生回路27の動作を制御し、さらに、RF信号発振回路16の発振周波数を制御する。例えば、制御回路20は、RF信号の周波数に応じて、周波数インターリーブ回路10におけるパラメータを設定し、また、乱数列発生回路27における乱数符号の初期値を設定する。
【0026】
本発明のディジタル放送装置は、ISDB−T方式に従って、音声信号に基づいてディジタル音声放送を行う。
【0027】
ところで、アナログテレビ信号との混信を緩和するため、ISDB−T方式のディジタル信号の周波数を1/7MHzだけオフセットすることが提案されており、サービスする地域の電波事情によってオフセットをかけることも考えられる。
【0028】
このオフセットに簡単に対処するために、サブチャンネルの概念が提案されている。具体的にはチャンネルの最下端周波数を第0サブチャンネルの中心周波数とし、1/7MHz毎に順次第1サブチャンネル、第2サブチャンネルと定義している。セグメントの幅が3/7MHzと定義されているので、隣接するサブチャンネルは2/3セグメント分の幅が重複する。また帯域の重複しないサブチャンネルは3サブチャンネル毎となる。
【0029】
ここで、広帯域ISDB−T方式の各セグメントと、サブチャンネルの位置関係を見比べてみると、図2に示すように、周波数がオフセットされていない場合、広帯域ISDB−T方式の最下端のセグメントである第11セグメントは第3サブチャンネルの位置に存在し、第9セグメントは第6サブチャンネル、第7セグメントは第9サブチャンネルとの具合に対応する。
【0030】
次に周波数が1/7MHzだけ下側にオフセットされると、第11セグメントは第2サブチャンネル、第9セグメントは第5サブチャンネル、第7セグメントは第8サブチャンネルに対応する。また周波数が1/7MHzだけ上側にオフセットされると、第11セグメントは第4サブチャンネルに第9セグメントは第7サブチャンネルに、第7セグメントは第10サブチャンネルに対応する。ここで第0、1および41サブチャンネルに存在するセグメントは、その帯域幅が隣接するチャンネル間にまたがるために、現在のところ使われる見通しが立っていない。以上のことから広帯域ISDB−T方式に基づく放送信号のセグメント番号とサブチャンネル番号との対応関係は図3のように示すことができる。このように広帯域ISDB−T方式の各セグメントは、そのセグメントの位置すなわちそのセグメントの周波数に応じて、所定のサブチャンネル番号に関連付けることができる。
【0031】
一方狭帯域ISDB−T方式では1セグメント形式と3セグメント形式の信号しか定義されておらず、1セグメント信号ではセグメント番号を0と定義し、3セグメント信号の各セグメント番号を0、1、2と定義している。広帯域ISDB−T信号では、セグメントの位置に応じてそれぞれ異なるセグメント番号を持つ13個のセグメントから成り立つためセグメント番号とサブチャンネル番号が図3のように対応しているが、狭帯域ISDB−T方式ではセグメント番号とサブチャンネル番号を対応させると狭帯域ISDB−T信号の配置するサブチャンネルが固定され、チャンネル内の他のサブチャンネル位置に配置することができないのでセグメント番号のみを定義し、セグメント番号とサブチャンネル番号の対応を無関係とすることで、チャンネル内の任意のサブチャンネルに狭帯域ISDB−T信号を配置できるように規定されている。
【0032】
前述のごとく、例えば13個のサブチャンネルすべてが1セグメント信号であったとき、これら1セグメント信号はセグメント番号が0と一律に定義されるので、パイロット信号、伝送制御信号および付加情報の位相を決める乱数列発生回路の乱数符号の初期値も同一の値となるため、すべてのサブチャンネルにおけるパイロット信号や伝送制御信号、付加情報搬送波位相がすべて整うことになり、放送信号にピークを発生する確率が大きくなる。
【0033】
これを回避するために、本実施形態のディジタル放送装置において、狭帯域ISDB−T信号について、セグメントとサブチャンネル番号を、広帯域ISDB−Tと同様に、そのセグメントの位置すなわちセグメントの周波数に応じて関連付け、サブチャンネル番号に従って乱数列発生回路の乱数符号の初期値を変更する。これにより、1セグメントの信号が13個連続して配置した場合でも各々のセグメント信号の乱数列の初期値は異なる値となり、パイロット信号や伝送制御信号、付加情報搬送波位相がすべて整うことを回避でき、放送信号のダイナミックレンジを抑制できる。
【0034】
以下、図1を参照しつつ、本実施形態のディジタル放送装置の動作について説明する。
放送信号をディジタル化し、さらに符号化して得られた複数の情報源符号化ビット・ストリームは多重化回路1により時分割多重され、トランスポート・ストリームが発生される。このトランスポート・ストリームにリードソロモン符号化方式に基づいて外符号化処理が施され、さらにエネルギー拡散回路3によりランダム化される。ランダム化したデータが遅延補正回路4により補正された後、畳み込み符号の残留誤りの分散を目的にバイトインタリーブ回路5にて畳み込みインターリーブが施され、畳み込み符号化回路6によって畳み込み符号化が行われる。畳み込み符号化出力はビットインターリーブ回路7によりビットインターリーブが施され、当該ビットインターリーブにより得られたデータ系列が各OFDM搬送波を変調するためのマッピング回路8に供給される。
【0035】
マッピング回路8において、各OFDM搬送波の信号点が割り付けられ、その出力はさらに時間インターリーブ回路9と周波数インターリーブ回路10に順次供給される。周波数インターリーブ回路10の出力はOFDMフレーム構成回路11に供給される。さらに、パイロット信号発生回路21により発生されたパイロット信号CP,SP、伝送制御信号発生回路22により発生された伝送制御信号TMCCおよび付加情報発生回路23により発生された付加情報AC1,AC2がマッピング回路24,25および26によってそれぞれマッピングされ、OFDMフレーム構成回路11に供給される。このOFDMフレーム構成回路11にはこれらパイロット信号、伝送制御信号、付加情報は特別なOFDM搬送波として割り当てられ、フレームが構成される。
【0036】
フレーム構成回路11の出力は逆フーリエ変換回路12に供給され、当該逆フーリエ変換により、周波数領域から時間領域の信号に変換される。さらに、ガードインターバル付加回路13によって、所要のガードインターバル期間が付加された後、直交変調回路14において実部と虚部に直交変調されて中間周波数の信号が出力される。当該中間周波数帯域のOFDM変調信号が周波数変換回路15とRF信号発振回路16によって所要の送信周波数(RF帯域)に変換され、このRF帯域のOFDM変調信号が高周波増幅回路17により増幅された後送信アンテナ18からRF出力信号19として発射される。
【0037】
発振周波数制御回路20はRF信号発振回路16を制御するとともに、RF出力信号19をどの周波数で発射するかに依存して乱数列を生成するための初期値を変えるように乱数列発生回路27を制御する。乱数列発生回路27にはRF出力信号19の周波数に依存した乱数生成初期値が設定され、パイロット搬送波は各CP、SPの周波数位置に対応した値でBPSK変調され、また伝送制御信号TMCCおよび付加情報AC1、AC2の各搬送波はフレーム先頭OFDMシンボルの搬送波位相がその周波数位置に対応してPBSK変調される。なお、伝送制御信号TMCCおよび付加情報AC1、AC2の搬送波は、以降のシンボルではフレーム先頭シンボルの位相を基準に、伝送制御信号や付加情報で作動BPSK変調される。また同時に発振周波数制御回路20は周波数インターリーブ回路10にも制御信号を出力し、RF出力信号19をどの周波数で発射するかに依存して周波数インターリーブ回路内のセグメント内インターリーブ回路のパラメータを設定する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、発振周波数制御回路20はRF信号発振回路16の発振周波数を制御するのみではなく、この周波数に依存してパイロット信号や伝送制御信号、付加情報伝送用の搬送波位相を決定するための乱数列の初期値を制御するとともに、周波数インターリーブ回路10のパラメータも制御する。これにより、送信信号の周波数に依存して周波数インターリーブのパラメータが制御され、パイロット信号、伝送制御信号および付加情報の搬送波位相がそれぞれ制御されるので、狭帯域ISDB−T方式の信号において、パイロット信号、伝送制御信号および付加情報の搬送波位相がすべて一致することが回避でき、RF出力信号19のダイナミックレンジを低く抑制でき、受信器のフロントエンド増幅のダイナミックレンジを容易に確保できる。
【0039】
第2実施形態
図4は本発明に係るディジタル放送装置の第2の実施形態を示す回路図である。
上述した本発明の第1の実施形態においては、放送信号処理回路100は、基本的に1セグメントの放送信号処理を行うものである。しかし、本発明のディジタル放送装置は、1セグメントのみならず、複数の狭帯域ISDB−T信号をまとめて変調する構成も可能である。この場合は、逆フーリエ変換回路12より以降の各段の回路は、複数の狭帯域ISDB−T信号により共用することができる。本実施形態は、これに基づく構成となっている。
【0040】
図4に示すように、本実施形態のディジタル放送装置は、放送信号処理回路100,101,102および多重化回路(MUX)110、逆フーリエ変換回路(IFFT)12、ガードインターバル付加回路13、直交変調回路14、周波数変換回路15、RF信号発振回路16、高周波増幅回路17、送信アンテナ18および制御回路20により構成されている。
【0041】
本実施形態のディジタル放送装置において、逆フーリエ変換回路12、ガードインターバル付加回路13、直交変調回路14、周波数変換回路15、RF信号発振回路16、高周波増幅回路17、送信アンテナ18および制御回路20は図1に示す第1の実施形態の対応する各部分回路とほぼ同じ構成および機能を有する。このため、ここでは、これらの回路の詳細について説明を省略する。
【0042】
放送信号処理回路100,101,102は、ほぼ同じ構成を有しており、例えば、図1に示す放送信号処理回路100と同様である。本実施形態において、各放送信号処理回路100,101および102は、それぞれトランスポート・ストリームを処理し、それぞれデータ系列S100,S101およびS102を出力する。
【0043】
多重化回路110は、放送信号処理回路100,101および102により出力されたデータ系列S100,S101およびS102を周波数軸上の割り付け、多重化処理を行い、当該多重化処理によって得られた多重化信号が出力される。
【0044】
多重化信号は逆フーリエ変換回路12にて一括して逆フーリエ変換される。この変換によって多重化信号が周波数領域から時間領域に変換され、さらにガードインタバル付加回路13にて所定のガードインターバルが付加された後、直交変換回路14によって中間周波数帯域のOFDM信号が生成される。
【0045】
中間周波数帯域のOFDM信号は周波数変換回路15とRF周波数発生回路16によってRF信号帯域のOFDM信号に変換され、このRF帯域のOFDM変調信号が高周波増幅回路17にて増幅された後、送信アンテナ18からRF出力信号19として発射される。
【0046】
本実施形態のディジタル放送装置において、RF周波数発生回路16の出力周波数は周波数制御回路20aの制御を受けており、またこの周波数制御回路20aからは各トランスポートストリームを処理する放送信号処理回路100、101および102にそれぞれ制御信号が供給される。各々の放送信号処理回路において、対応するサブチャンネル番号に従って、各種パイロット信号CP,SP、伝送制御信号TMCC、さらに付加情報AC1,AC2伝送用の搬送波位相を決定するための乱数列の初期値およびセグメント内周波数インターリーブにおけるパラメータが制御される。このため、狭帯域ISDB−T方式の信号において、パイロット信号、伝送制御信号および付加情報の搬送波位相がすべて一致することが回避でき、RF出力信号19のダイナミックレンジを低く抑制でき、受信器のフロントエンド増幅のダイナミックレンジを容易に確保できる。
【0047】
なお、以上においては、1セグメントの信号を3信号多重して処理する場合について説明したが、本発明のディジタル放送装置では多重数は3に限定されるものではなく、さらに多数の信号を多重処理することが可能である。また、1セグメントの信号の他に3セグメントの信号が混在していても本発明を適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のディジタル放送装置によれば、所定のディジタル放送方式、例えば、狭帯域ISDB−T方式に基づき放送信号を生成する場合、放送用信号における各種のパイロット信号、伝送制御信号および付加情報の位相をそれぞれ異なるように制御することができ、放送用信号のダイナミックレンジを必要最小限に抑制でき、受信側におけるフロントエンド増幅回路のダイナミックレンジの確保を容易にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディジタル放送装置の第1の実施形態を示す回路図である。
【図2】ISDB−T方式におけるサブチャンネルの構成を示す図である。
【図3】セグメント番号とサブチャンネル番号の対応を示す図である。
【図4】本発明に係るディジタル放送装置の第2の実施形態を示す回路図である。
【図5】広帯域ISDB−T信号のセグメント構成と各種パイロット信号の位相関係を示す図である。
【図6】狭帯域ISDB−T信号のセグメント構成と各種パイロット信号の位相関係を示す図である。
【符号の説明】
1…多重化回路、2…外符号化回路、3…エネルギー拡散回路、4…遅延補正回路、5…バイトインターリ−ブ回路、6…畳み込み符号化回路、7…ビットインターリーブ回路、8…マッピング回路、9…時間インターリーブ回路、10…周波数インターリーブ回路、11…OFDMフレーム構成回路、12…逆フーリエ変換回路(IFFT)、13…ガードインターバル付加回路、14…直交変調回路、15…周波数変換回路、16…RF信号発振回路、17…高周波増幅回路、18…送信アンテナ、19…RF送信信号、20,20a…発振周波数制御回路、21…パイロット信号発生回路、22…伝送制御信号発生回路、23…付加情報発生回路、24、25、26…マッピング回路、27…乱数列発生回路、100,101,102…放送信号処理回路。

Claims (6)

  1. 情報源データに基づいてディジタル放送信号を生成し、所定のセグメントを用いて上記ディジタル放送信号を伝送するディジタル放送装置であって、
    信号を生成する副信号生成回路と、
    上記副信号を伝送するセグメントの放送用周波数に基づいて設定された乱数符号の初期値を用いて疑似乱数列を発生する乱数列発生回路と、
    上記乱数列発生回路により生成した上記疑似乱数列を用いて上記副信号のマッピング処理を行う副信号変調回路と、
    上記情報源データに基づき生成された主信号と上記副信号変調回路の出力信号とを用いて、所定の変調方式に応じて搬送波を変調し、上記ディジタル放送信号を生成する変調回路と
    を有するディジタル放送装置。
  2. 上記変調回路は、上記主信号と上記副変調回路の出力信号とを用いて、OFDM変調を行うOFDM変調回路である
    請求項1記載のディジタル放送装置。
  3. 上記情報源データは、音声信号を符号化して得られた音声データである
    請求項1記載のディジタル放送装置。
  4. 上記副信号を伝送するセグメントの放送用周波数は、所定の周波数帯域を複数に分割して形成されるサブチャンネルの一つ対応するものであり、各々のサブチャンネルに所定のサブチャンネル番号が付与されており
    上記乱数列発生回路は、上記セグメントにかかるサブチャンネル番号に基づき、上記疑似乱数列を発生するための乱数符号の初期値を設定する
    請求項1記載のディジタル放送装置。
  5. 情報源データに基づいてディジタル放送信号を生成し、所定のセグメントを用いて上記ディジタル放送信号を伝送するディジタル放送装置であって、
    上記情報源データに基づき生成された主信号に対して、該主信号を伝送するセグメントの放送用周波数に基づいて設定されたパラメータを用いて周波数インターリーブを行う周波数インターリーブ回路と、
    上記周波数インターリーブされた主信号を用いて、所定の変調方式に応じて搬送波を変調し、上記ディジタル放送信号を生成する変調回路と
    を有するディジタル放送装置。
  6. 信号を生成する副信号生成回路と、
    上記副信号を伝送するセグメントの放送用周波数に基づいて設定された乱数符号の初期値を用いて生成した疑似乱数列を用いて擬似乱数列を発生する乱数列発生回路と、
    上記乱数列発生回路により生成した上記擬似乱数列を用いて上記副信号のマッピング処理を行う副信号変調回路と、
    を有
    上記変調回路は、上記情報源データに基づき生成された主信号と上記副信号変調回路の出力信号とを用いて、所定の変調方式に応じて搬送波を変調し、上記ディジタル放送信号を生成する
    請求項5記載のディジタル放送装置。
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