JPH08228186A - 多搬送波伝送装置 - Google Patents

多搬送波伝送装置

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JPH08228186A
JPH08228186A JP7032020A JP3202095A JPH08228186A JP H08228186 A JPH08228186 A JP H08228186A JP 7032020 A JP7032020 A JP 7032020A JP 3202095 A JP3202095 A JP 3202095A JP H08228186 A JPH08228186 A JP H08228186A
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JP
Japan
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transmission
inverse fft
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amplitude
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Withdrawn
Application number
JP7032020A
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English (en)
Inventor
Mitsuo Tsunoishi
光夫 角石
Yutaka Awata
豊 粟田
Nobukazu Koizumi
伸和 小泉
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、多搬送波伝送装置に関し、伝送品
質の低下を抑えつつ伝送路に送出される信号の極大値を
効率的に抑圧することを目的とする。 【構成】 自己相関特性が急峻であって相互相関特性と
論理値の分布とがなだらかな複数のビット列に同じ伝送
情報を並行して乗じ、その伝送情報のビットパターンを
ランダム化してランダム伝送情報を生成するランダム化
手段111〜11Nと、ランダム化手段111〜11Nが個
別に生成したランダム伝送情報と、複数のランダム伝送
情報の生成に適用されたビット列の識別情報とを組み合
わせて逆FFTし、これらの情報を示す離散時間信号を
得る逆FFT手段131〜13Nと、逆FFT手段131
〜13Nが個別に得た時間離散信号の振幅を求め、これ
らの信号の内、その振幅について最大値またはその最大
値と分散とが最小の離散時間信号を伝送路に送出する送
信手段15とを備えて構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多搬送波伝送方式に基
づいて伝送情報を送信する多搬送波伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタルテレビ伝送やディジタ
ル音声放送の分野では、QAM(Quad-rature Amplitude
Modulation)その他の既存のディジタルデータ伝送方
式に代えて、多搬送波伝送方式((OFDM(Orthogonal
Frequency Division Multiplex)またはDMT(Discret
e Multi-tone)と称される。)が適用されつつある。
【0003】図6は、多搬送波伝送方式に適応した従来
の送信機の構成例を示す図である。図において、スクラ
ンブラ71の入力には伝送情報が与えられ、そのスクラ
ンブラの出力は従属接続された直並列変換部72、逆F
FT部73、並直列変換部74およびD/A変換器(D
/A)75を介して低域フィルタ(LPF)76の入力
に接続される。低域フィルタ76の出力は、伝送路に接
続される。
【0004】このような構成の送信機では、スクランブ
ラ71は、外部から与えられる伝送情報のビットパター
ンに所定のアルゴリズムに基づく演算を施すことにより
そのビットパターンをランダム化し、かつ所定長(ここ
では、簡単のため、1536(=256ビット×3×2)とする。)
のフレーム単位に分割して図示されないバッファメモリ
に一旦蓄積する。
【0005】直並列変換部72はこのようにしてランダ
ム化された伝送情報を上述したフレーム毎に並列のビッ
ト列に変換し、かつそのビット列をさらに小さな単位
(ここでは、簡単のため3ビット毎に512個のブロッ
クとする。)に分割する。逆FFT部73は、このよう
にして分割されたブロックを周波数軸上で等間隔に配置
された256(=512/2)個の搬送波信号の直交す
る2波(余弦波成分と正弦波成分)の合成波の振幅を離
散的に示すビット列と見なし、かつそのビット列に逆高
速フーリエ変換の処理を施す。
【0006】したがって、逆FFT部72の出力には、
時間軸上で等間隔に配置された512(=256×2)
個のビット列を並列に示すディジタル信号が得られる。
なお、以下では、このような256個の搬送波信号によ
って形成されるチャネルをサブチャネルと称し、かつ上
述した振幅の値を単に「振幅値」と称するものとする。
【0007】並直列変換部74はこのようなディジタル
信号として与えられるビット列を並直列変換し、D/A
変換器75はこのような並直列変換によって直列に得ら
れたビット列をアナログ信号に変換する。低域フィルタ
76は、このように逆FFT部73ないしD/A変換器
75において施されるディジタル演算に伴ってそのアナ
ログ信号に付加された高調波成分その他の不要な周波数
成分を抑圧し、図示されない変調器あるいは伝送装置を
介して有線伝送路あるいは無線伝送路に送出する。
【0008】また、直並列変換部72ないしD/A変換
器75は、上述したフレーム毎に同様の処理を反復する
が、時系列の順に隣接する2つのフレームについては、
これらのフレームの先行するフレームの処理が終了した
時点と、後続のフレームの処理が起動される時点との間
に「ガードバンド」と称する待機時間を設けることによ
り、上述した伝送路の非直線歪みが後続フレームに重畳
されることに起因する伝送品質の劣化を抑圧する。
【0009】図7は、多搬送波伝送方式に適応した従来
の受信機の構成例を示す図である。図において、低域フ
ィルタ(LPF)81の入力には伝送路が接続され、そ
の出力は従属接続されたA/D変換器(A/D)82、
直並列変換部83、FFT部84および並直列変換部8
5を介してディスクランブラ86の入力に接続される。
ディスクランブラ86の出力には、復調された伝送情報
が得られる。
【0010】このような構成の受信機の動作について
は、各部が図6に示す送信機の各構成要素と反対の処理
を順次行うので、ここではその詳細な説明を省略する。
このように多搬送波伝送方式では、周波数が同じであっ
て位相が互いに直交する搬送波信号が共通の伝送路を介
して個別に伝送され、かつ送信端と受信端とでそれぞれ
FFTと逆FFTとを対向して行うことにより、このよ
うな伝送が複数の搬送波信号について並行して可能であ
ることを利用して多量の伝送情報が効率的に伝送され
る。
【0011】なお、これらの従来例では、上述したフレ
ーム単位の同期にかかわる記載が省略されているが、こ
のような同期については、本願に直接的な関係がなく、
かつ公知の完成された何れの技術も適用可能であるか
ら、ここではその説明を省略する。また、これらの従来
例では、伝送路の歪み等に起因した伝送品質の劣化に対
する処理が示されていないが、このような処理について
は、本願に直接的な関係がなく、公知の信号識別器等を
搭載することにより比較的容易に離散的な伝送情報を確
度よく複号化可能であるから、ここではその説明を省略
する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来例では、256個のサブチャネルで個別に伝送され
るべき6ビットの情報が±7、±5、±3、±1の何れ
かの振幅値を有するシンボルで与えられ、かつスクラン
ブラ71の出力端において伝送情報が十分にランダム化
されている条件におけるコンピュータシミュレーション
によると、これらのサブチャネルの振幅値の和について
は、その平均値が約「85」となり、極大値は「179
2」となる。なお、このような極大値は、全てのシンボ
ルの振幅値が「+7」である場合において、これらのシ
ンボルの余弦成分が時間軸上で重なる時点における値
「1792(=7×256)」である。したがって、伝送路に
送出される信号の振幅値のピーク値対平均値(以下、単
に「P/A」という。)は、約「21(≒1792/85)」と
なる。
【0013】しかし、このようなP/Aの値はシンボル
長が6ビットである64値QAM方式における値「1.5
3」に比較して大幅に大きな値であることから明らかで
あるように、多搬送波伝送方式では、搬送波(サブチャ
ネル)の数が大きいほど大きなダイナミックレンジが必
要であった。さらに、送信機や受信機を構成する増幅
器、変復調器には極めて性能が高いものが要求され、か
つD/A変換器やA/D変換器として語長が大きなもの
が要求されるために、ハードウエアの構成が複雑となり
コスト高であった。
【0014】また、図6に示す送信機では、D/A変換
器75は、上述した振幅値の上限を設定するクリップ機
能を有するが、その振幅値が過小な値に制限された場合
には伝送品質が大幅に劣化する。したがって、その伝送
品質の劣化に起因するビット誤りを抑圧するには、例え
ば、リードソロモン誤り訂正符号化方式等を適用しなけ
ればならないために、その誤り訂正符号化方式に適応し
た回路が搭載されてハードウエアの構成が複雑なものと
なっていた。
【0015】さらに、例えば、P/Aが「21」に達す
るようなフレームのP/Aが「4」に制限された場合に
は、大半のサブチャネルにおいてビット誤りが生じて伝
送品質が著しく劣化する。従来、このような伝送品質の
劣化を抑圧する方法としては、一般に上述した振幅値の
制限が行われるフレームが連続して発生し難いことを利
用してフレーム単位に伝送情報の入れ替えを行うインタ
リーブが適用されていた。
【0016】しかし、このようなインタリーブが適用さ
れた場合には、上述した入れ替えが例えば64フレーム
に渡って行われる場合には、送信機および受信機に64
フレーム分の伝送情報を蓄積可能な大きなサイズのメモ
リを搭載しなければならないために、ハードウエアの構
成が複雑となって高価であるばかりでなく、その入れ替
えを行うために大きな伝送遅延が生じた。また、振幅値
が制限される頻度が高い場合にはインタリーブを適用し
てもビット誤りを訂正できる可能性が大幅に減少し、か
つ実際には振幅値の制限が行われる確率を「1×10-5」以
下に抑えなければならないためにP/Aを「4.4」以下と
することはできなかった。
【0017】本発明は、伝送品質の低下を抑えつつ伝送
路に送出される信号の極大値を効率的に抑圧できる多搬
送波伝送装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】図1、請求項1〜3に記
載の発明の原理ブロック図である。
【0019】請求項1に記載の発明は、自己相関特性が
急峻であって相互相関特性と論理値の分布とがなだらか
である複数のビット列に同じ伝送情報を個別に並行して
乗じ、その伝送情報のビットパターンをランダム化して
ランダム伝送情報を生成する複数のランダム化手段11
1〜11Nと、複数のランダム化手段111〜11Nによっ
て個別に生成されたランダム伝送情報と、複数のビット
列のランダム伝送情報の生成に適用されたビット列の識
別情報とを組み合わせてFFTし、これらの情報を示す
離散時間信号を得る複数の逆FFT手段131〜13
Nと、複数の逆FFT手段131〜13Nによって個別に
得られた時間離散信号の振幅を求め、これらの信号の
内、その振幅について最大値またはその最大値と分散と
が最小である離散時間信号を選択して伝送路に送出する
送信手段15とを備えたことを特徴とする。
【0020】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の多搬送波伝送装置において、複数の逆FFT手段13
1〜13Nには、逆FFTに先行して識別情報を冗長化す
る手段を含むことを特徴とする。請求項3に記載の発明
は、請求項1に記載の多搬送波伝送装置において、複数
の逆FFT手段131〜13Nには、逆FFTに先行し
て、その逆FFTの演算対象となる識別情報を強調する
手段を含むことを特徴とする。
【0021】
【作用】請求項1に記載の発明にかかわる多搬送波伝送
装置では、ランダム化手段11 1〜11Nが異なる複数の
ビット列を伝送情報に並行して乗じることによりその伝
送情報のビットパターンをランダム化する。このような
ランダム化により得られるビットパターンは、上述した
ビット列の自己相関特性が急峻であり、かつこれらのビ
ット列の相互相関特性と論理値の分布とがなだらかであ
るために、符号空間上で互いに大きく隔たったものとな
る。
【0022】また、逆FFT手段131〜13Nは、この
ようなランダム化によって個別に生成されたランダム伝
送情報と、上述した複数のビット列の内、そのランダム
伝送情報の生成に適用されたビット列の識別情報とを並
行して個別に逆FFTしてこれらの情報を示す離散時間
信号を得る。送信手段15は、このようにして得られた
離散時間信号の振幅を比較し、これらの信号の内でその
振幅が最小であるものあるいはその振幅の最大値および
分散が最小であるものを選択して伝送路に送出する。
【0023】すなわち、ランダム化手段111〜11N
逆FFT手段131〜13Nとの組み合わせからなる複数
の系列で並行して離散時間信号に変換された伝送情報
は、これらの離散時間信号の内、最大振幅が最小であっ
たり、その最大振幅が同じであっても振幅が大きな値に
偏って分布する程度が最小であるものが順次切り換えら
れて伝送路に送出され、かつその離散時間信号にはその
復号に必要な識別情報が上述した逆FFTの過程で多重
化される。
【0024】したがって、伝送路に送出される離散時間
信号の振幅分布は、上述したランダム化が単一のランダ
ム化手段によって行われていた従来例に比較して大幅に
小さな値に偏り、かつ伝送路を介して対向する受信端で
は識別情報に基づいて伝送情報を復元することができ
る。請求項2に記載の発明にかかわる多搬送波伝送装置
では、逆FFT手段131〜13N が逆FFTに先行し
て識別情報を冗長化するので、その識別情報は伝送路に
も冗長化されて離散時間信号として送出される。
【0025】したがって、伝送路において生じる混信そ
の他に起因して受信端で識別情報が得られない状態とな
る確率が低減され、伝送路の伝送特性の変動に対して伝
送品質が高く維持される。請求項3に記載の発明にかか
わる多搬送波伝送装置では、逆FFT手段131〜13
N が逆FFTに先行してその逆FFTの演算対象となる
識別情報を強調するので、その識別情報を伝送するチャ
ネルのSN比は伝送路上で高く保持される。
【0026】したがって、伝送路において生じる混信そ
の他に起因して受信端で識別情報が得られない状態とな
る確率が低減され、伝送路の伝送特性の変動に対して伝
送品質が高く維持される。
【0027】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例につい
て詳細に説明する。
【0028】図2は、請求項1〜3に記載の発明に対応
した実施例を示す図である。図において、図6に示すも
のと機能および構成が同じものについては、同じ参照番
号を付与して示し、ここではその説明を省略する。本実
施例と図6に示す従来例との構成の相異点は、スクラン
ブラ71、直並列変換部72、逆FFT部73および並
直列変換部74が個別に二重化されてスクランブラ31
1、直並列変換部321、逆FFT部331 および並直列
変換部34 1からなる第一の系列と、スクランブラ3
2、直並列変換部322 、逆FFT部332および並直
列変換部342からなる第二の系列とに分割され、これ
らの系列の最終段である並直列変換部341、342の出
力が比較選択部35の対応する入力に接続されてその出
力がD/A変換器75の入力に接続され、逆FFT部3
1、332の特定の入力にそれぞれスクランブラ識別情
報1(以下、単に「識別情報1」という。)およびスク
ランブラ識別情報2(以下、単に「識別情報2」とい
う。)が与えられた点にある。
【0029】なお、本実施例と図1に示すブロック図と
の対応関係については、スクランブ等311、312およ
び直並列変換部321、322はランダム化手段111
11Nに対応し、逆FFT部331、332は逆FFT手
段131〜13Nに対応し、並直列変換部341、342
比較選択部35、D/A変換器75および低域フィルタ
76は送信手段15に対応する。
【0030】図3は、本実施例に適応した受信機の構成
例を示す図である。図において、図7に示す従来例と機
能および構成が同じものについては、同じ参照番号を付
与して示し、ここではその説明を省略する。
【0031】本受信機と図7に示す受信機との構成の相
異点は、ディスクランブラ86が2つのディスクランブ
ラ411、412によって冗長化され、これらのディスク
ランブラの後段に選択部42が配置されてその出力に伝
送情報が得られ、選択部42の選択入力にFFT部84
の特定の出力(または、並直列変換部85の特定の出
力)が接続された点にある。
【0032】以下、図2および図3を参照して請求項1
に記載の発明に対応した本実施例の動作を説明する。ス
クランブラ311、312はそれぞれ異なる生成多項式に
基づいて並行して伝送情報をランダム化し、直並列変換
部321、322はこのようにしてランダム化された伝送
情報を並行して直並列変換する。逆FFT部331、3
2は、このようにして直並列変換された伝送情報と識
別情報1および識別情報2とにそれぞれ逆FFTの処理
を施し、並直列変換部341、342を介して並直列変換
する。
【0033】比較選択部35は、このような直並列変換
の下で上述した2つの系列から得られたビット列を取り
込み、そのビット列で構成されるフレーム単位に最大値
の値を比較して両フレームの内、その最大値の値が小さ
い方を順次選択する。このようにして選択されたフレー
ムは、D/A変換器75および低域フィルタ76を介し
て伝送路に送出される。
【0034】なお、本実施例では、スクランブラから並
直列変換部に至るラインアップが二重化されているが、
これらの二重化された系列、上述したD/A変換器75
および低域フィルタ76の動作とフレーム構成について
は、図6に示す従来例と同じでから、ここではその説明
を省略する。一方、伝送路を介して対向する受信機で
は、低域フィルタ81、A/D変換器82、直並列変換
部83、FFT部84および並直列変換器85は、その
伝送路を介して対向する送信機と反対の処理を行うこと
により、スクランブラ311 、312 の何れか一方の出
力端に対応するビット列と上述した識別情報(識別情報
1あるいは識別情報2の何れか)とを復元する。ディス
クランブラ411、412は、それぞれ上述した送信機に
搭載されたスクランブ等311、312に適用された生成
多項式に基づいて並行して伝送情報の復元に必要な処理
を行う。
【0035】選択部42は、FFT部84および直並列
変換部85によって復元された識別情報を取り込んでそ
の識別情報が識別情報1と識別情報2との何れであるか
を判別し、上述した処理の結果の内、その判別の結果に
対応する一方を選択して出力する。ところで、このよう
にして形成される多搬送波方式の伝送系では、低域フィ
ルタ76の出力に得られる信号は、その振幅値が伝送情
報に応じて個別に変調された複数(ここでは、従来例と
同様に「256」とする。)のサブチャネルの信号の和
として与えられるために、その伝送情報の内容に応じて
大幅に振幅が増減する。
【0036】ここに、このようにして増減する振幅値の
分布を正規分布と仮定すると、一般に、その分布の分散
は上述した信号の平均電力に相当する。さらに、このよ
うな分布の下で確率密度の最大値がその分散の4倍以下
となる確率は「0.99993」となり、その確率は、256個
のサブチャネル(2つの直交するチャネルからなる。)
を構成して512ポイントのデータからなる単一フレー
ムでは、「0.965(≒0.99993512)」となるので、大半の
フレームについて振幅値が制限されるものと判断され
る。
【0037】しかし、一般に、P/Aの値が「6」以下
であるフレームにおいてその値が「4」以下に制限され
た場合におけるビット誤り率は、誤り訂正復号化の過程
で訂正可能な程度に小さい。また、そのP/Aの値が
「6」以上となる確率は「1.97×10-9」であってフレー
ム単位におけるその確率は「1.01×10-6(=(1-1.97×10
-9)512)と小さい値となる。
【0038】さらに、本実施例では、上述したように2
つの系列によって個別に生成された信号の内、P/Aの
値が小さい方が選択されて送信されるので、このような
選択によって得られる信号のP/Aの値が「6」を上回
る確率は1.02×10-12(=(1.01×10-6)2)と著しく小さい
値となる。したがって、本実施例によれば、ビット誤り
率を例えば「1×10-8 」未満に抑えることが要求される
システムにおいても、従来例のようにインタリーブを適
用することなく高い伝送品質が実現される。
【0039】なお、本実施例では、並直列変換部3
1、342の後段でP/Aの値の大小関係が判別されて
いるが、本発明はこのような構成に限定されず、例え
ば、これらの並直列変換部の前段で2つの系列から得ら
れる信号のP/Aの値を求め、これらの信号の内、その
P/Aの値が小さい方を選択して並直列変換を行う構成
とすることもできる。
【0040】また、本実施例では、識別情報に基づいて
2つのスクランブラの出力の一方が選択されているが、
スクランブラを選択することにより、片方のスクランブ
ラのみに信号を入力する構成としてもよい。さらに、本
実施例では、比較選択部35は、フレーム単位に各系列
から得られる最大値を比較してその最大値が最小である
系列のビット列を選択しているが、本発明はこのような
構成に限定されず、例えば、最大値が同じである複数の
系列が存在する場合には、各系列の分散が小さい方を選
択する構成としてもよい。
【0041】図4は、請求項1に記載の発明に対応した
他の実施例を示す図である。図において、図2に示すも
のと機能および構成が同じものについては、同じ参照番
号を付与して示し、ここではその説明を省略する。本実
施例と図2に示す実施例との構成の相異点は、逆FFT
部331、332に代えて逆FFT部511、512が備え
られ、これらの逆FFT部の出力に比較選択部35に代
わる比較選択部52が直結されてその出力が逆FFT部
53と、並直列変換部341、342に代わる並直列変換
部54とを介してD/A変換器65の入力に接続され、
かつ比較選択部52のモニタ出力が識別情報生成部55
を介して逆FFT部53の特定の入力に接続された点に
ある。
【0042】なお、本実施例と図1に示すブロック図と
の対応関係については、スクランブ等311、312およ
び直並列変換部321、322はランダム化手段111
11Nに対応し、逆FFT部511、512、53および
識別情報生成部55は逆FFT手段131〜13Nに対応
し、比較選択部52、並直列変換部54、D/A変換器
75および低域フィルタ76は送信手段15に対応す
る。
【0043】以下、本実施例の動作を説明する。一般
に、FFTは、偶数(=N)個の数値からなるN点数列を
二分して個別にDFT(離散フーリエ変換)を施す演算
をその演算の対象となる数列が2点数列となるまで反復
することにより行われ、逆FFTはこのような一連の演
算を逆の手順で実行することにより実現される。
【0044】逆FFT部511、512は、このようにし
て多段に分割して行われる逆FFT(請求項1に記載の
発明に対応した実施例では、逆FFT部331、332
よって行われる。)において、定数である正弦値および
余弦値として語長の短いものを用い、乗算、加算の演算
語長も短くした処理を行う。比較部52は、このような
演算の結果として与えられる2つのビット列についてP
/Aの値を求めて比較し、その比較の結果を識別情報生
成部55に与えると共に、このような結果に基づいてP
/Aの値が小さい方のビット列を逆FFT部53に与え
る。
【0045】識別情報生成部55は、上述した比較の結
果に応じてスクランブラ311 、312 に適用された生
成多項式を示す識別情報(識別情報1、識別情報2の何
れか)を生成する。逆FFT部53は、このようにして
生成された識別情報と比較選択部52によって与えられ
るビット列とを取り込んで、例えば、定数である正弦
値、余弦値として16ビットを与え、乗算、加算も16
ビット長で行うことにより高い演算精度の逆FFT演算
を行う。並直列変換部54はこのような後半の演算の結
果に対して図2に示す並直列変換部341、342と同じ
並直列変換を行い、その並直列変換によって得られるビ
ット列はD/A変換器75および低域フィルタ76を介
して伝送路に送出される。
【0046】このように本実施例によれば、図2に示す
実施例に比較して逆FFT部331、332 が逆FFT
部511、512および逆FFT部53に分散して配置さ
れ、上述した後半の演算が比較選択部52の後段で行わ
れるので、P/Aの値の比較にかかわる精度が若干低下
するが逆FFT部が冗長化されたことに起因するハード
ウエア規模の増大が抑圧され、かつインタリーブを適用
することなく高い伝送品質が実現される。
【0047】なお、P/Aの値の比較にかかわる精度に
ついては、極大値が大幅に異なる状態を確度よく検出す
ることを目的としてその比較が行われるために、例え
ば、その極大値が「6」以上となることを精度よく検出
することが要求される場合には、4ビット長ないし6ビ
ット長の算術演算を行えば十分である。また、逆FFT
の演算精度については、実用的な伝送品質を確保するた
めには、一般に、16ビット長の演算が必要である。
【0048】さらに、上述した実施例では、逆FFT部
511、512が別体のハードウエアととして構成されて
いるが、本発明はこのような構成に限定されず、例え
ば、逆FFT演算が高速化されたり、その演算にかかわ
る処理量が少ない場合にはこれらの逆FFT部を一体化
して構成し、所望の演算を直列に時分割多重方式により
行ってもよい。
【0049】さらに、逆FFT部53については、上述
したように逆FFT演算が高速されたり、その演算にか
かわる処理量が少ない場合には、逆FFT部511、5
2の何れか一方あるいは双方と一体化して構成するこ
ともできる。以下、図2を参照して請求項2に記載の発
明に対応した実施例の動作を説明する。
【0050】本実施例の特徴は、識別情報を伝送するた
めに割り付けられる(図2に示す実施例では逆FFT部
331、332によって割り付けられる。)サブチャネル
の利用方法にあり、これらの逆FFT部以外の各部の動
作については、既述の実施例に示した通りであるから、
ここではその説明を省略する。本実施例では、識別情報
の伝送チャネルとして単一のサブチャネルが割り付けら
れるが、その識別情報はこのようなサブチャネルを構成
する2つの直交チャネルの振幅値を共に最大とする変調
処理を施すことにより伝送される。
【0051】したがって、このような識別情報は、伝送
路上で重畳される雑音に対して高いSN比を確保して伝
送され、かつ受信端では、上述した2つの直交チャネル
のベクトル和をとることにより雑音成分がさらに抑圧さ
れるので、高い伝送品質で確度高く受信される。このよ
うに本実施例によれば、識別情報が冗長化されて安定に
受信端に伝送されるので、伝送容量の低下を最小限度に
抑えつつ回線の信頼性が高められる。
【0052】なお、本実施例では、2つ直交するチャネ
ルに振幅値を正の最大値とする変調処理が並行して施さ
れているが、本発明はこのような構成に限定されず、例
えば、識別情報1についてはこれらのチャネルの振幅値
を共に正の最大値とする変調を施し、反対に識別情報2
についてはこれらの振幅値を共に負の最大値とする変調
を施し、かつ受信端において両振幅値の和が正負の何れ
の値をとるか判定することにより同様に信頼性高く識別
情報の伝送が行われる。
【0053】以下、図2および図4を参照して請求項3
に記載の発明に対応した実施例の動作を説明する。本実
施例の特徴は、識別情報を伝送するために割り付けられ
る(図2に示す実施例では逆FFT部331、332によ
って割り付けられ、図4に示す実施例では逆FFT部5
3によって割り付けられる。)サブチャネルの数にあ
り、これらの逆FFT部以外の各部の動作について、既
述の実施例に示した通りであるから、ここではその説明
を省略する。
【0054】本実施例では、識別情報の伝送チャネルと
して複数のサブチャネルが割り付けられる。このような
サブチャネルの数が例えば「2」である場合には、サブ
チャネルの総数が従来例と同様に「256」である場合
には、伝送情報の伝送チャネルとして割り付け可能なサ
ブチャネルの数の減少に伴う伝送容量の減少分は高々1
パーセント(≒2/256)となる。
【0055】また、このような識別情報は、上述した複
数のサブチャネルを介して冗長化されて伝送される。し
たがって、本実施例によれば、識別情報が高い信頼性の
下で安定に受信端に伝送され、回線の信頼性が高められ
る。なお、上述した各実施例では、送信機および受信機
にそれぞれ2つの系列が形成されているが、本発明はこ
のような構成に限定されず、識別情報が対向する受信機
に所望の確度で伝達されるならば、3つ以上の系列を形
成してもよい。
【0056】また、上述した各実施例では、スクランブ
ラ311、312は異なる生成多項式に基づいて伝送情報
を個別にランダム化している。しかし、本発明は、例え
ば、これらのスクランブラが図6に示すようにシフトレ
ジスタ61と、その任意の段に出力されるビット列にビ
ット演算を施して初段に帰還する排他的論理和ゲート6
2と、このようなシフトレジスタの最終段あるいは任意
の段に得られるビット列と伝送情報とのモジュロ2によ
る乗算を施して出力する排他的論理和ゲート63とから
構成される場合には、そのシフトレジスタの段数と排他
的論理和ゲート62の入力に接続されるシフトレジスタ
の段の組み合わせとを共通とし、かつフレームの開始時
点でそのシフトレジスタに異なるビットパターンのビッ
ト列を設定することにより構成可能であり、このような
構成の下でハードウエアの標準化とその標準化に応じた
低廉化とをはかることもできる。
【0057】さらに、スクランブラ311、312につい
ては、このような構成の他に、例えば、上述した段数、
段の組み合わせを異なったものに設定すると共に、フレ
ームの開始時点でシフトレジスタに設定されるビット列
のビットパターンを同じものに設定したり、一方のスク
ランブラのみフレームの開始時点毎に所定のビットパタ
ーンを設定する構成としてもよい。
【0058】また、上述した各実施例では、振幅値の比
較がディジタル領域で行われているが、本発明はこのよ
うな構成に限定されず、識別情報を多重化することが確
実にできるならば、例えば、アナログ領域で同様の比較
およびその結果に応じた選択を行ってもよい。さらに、
上述した各実施例では、D/A変換器75および低域フ
ィルタ76を介して得られるアナログ信号が伝送路に伝
送されているが、並直列変換部54の入力あるいは出力
に得られるディジタル信号をアナログ変換せずに伝送路
に送出する場合にも本発明は適用可能である。
【0059】
【発明の効果】上述したように請求項1に記載の発明で
は、伝送情報が複数の系列で並行してランダム化されて
離散時間信号に変換され、これらの離散時間信号の内、
振幅の最小であるものあるいはその振幅が大きな値に偏
って分布する程度が最小であるものが順次選択されて伝
送路に送出され、さらに、その離散時間信号にはその復
号に必要な識別情報が上述した逆FFTの過程で多重化
される。 したがって、伝送路に送出される時間離散信
号の振幅分布は、上述したランダム化が単一のランダム
化手段によって行われていた従来例に比較して大幅に小
さな値に偏り、かつ伝送路を介して対向する受信端では
識別情報に基づいて伝送情報を復元することができる。
【0060】また、請求項2に記載の発明にかかわる発
明では、逆FFTに先行して識別情報が冗長化されるの
で、このような識別情報は伝送路にも冗長化されて離散
時間信号として送出され、その伝送路において生じる混
信その他に起因して受信端で識別情報が得られない可能
性が低減され、伝送路の伝送特性の変動に対して伝送品
質が高く維持される。
【0061】請求項3に記載の発明では、伝送路上で高
いSN比を確保しつつ識別情報が伝送されるので、その
伝送路において生じる混信その他に起因して受信端で識
別情報が得られない可能性が低減され、伝送路の伝送特
性の変動に対して伝送品質が高く維持される。すなわ
ち、これらの発明が適用された伝送システムや通信シス
テムでは、伝送路に送出される信号の極大値と平均値と
の比が従来例に比較して大幅に小さな値に分布し、振幅
値が制限される頻度が低減される。
【0062】したがって、従来、伝送品質を確保するた
めに必要であった高性能の変復調器、語長が長いD/A
変換器、上述した振幅の制限に起因するビット誤りを訂
正する誤り訂正回路およびインタリーブに不可欠のメモ
リその他を搭載することなく送信機や受信機が実現可能
となり、ハードウエアの構成の簡略化と低廉化とをはか
りつつ伝送効率と伝送の実時間性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜3に記載の発明の原理ブロック図で
ある。
【図2】請求項1〜3に記載の発明に対応した実施例を
示す図である。
【図3】本実施例に適応した受信機の構成を示す図であ
る。
【図4】請求項1に記載の発明に対応した他の実施例を
示す図である。
【図5】スクランブラの構成例を示す図である。
【図6】多搬送波伝送方式に適応した従来の送信機の構
成例を示す図である。
【図7】多搬送波伝送方式に適応した従来の受信機の構
成例を示す図である。
【符号の説明】
11 ランダム化手段 13 逆FFT手段 15 送信手段 31,71 スクランブラ 32,72,83 直並列変換部 33,51,53,73 逆FFT部 34,54,74,85 並直列変換部 35,52 比較選択部 41,86 ディスクランブラ 42 選択部 55 識別情報生成部 71 シフトレジスタ 72,73 排他的論理和ゲート 75 D/A変換器(D/A) 76,81 低域フィルタ(LPF) 82 A/D変換器(A/D) 84 FFT部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己相関特性が急峻であって相互相関特
    性と論理値の分布とがなだらかである複数のビット列に
    同じ伝送情報を個別に並行して乗じ、その伝送情報のビ
    ットパターンをランダム化してランダム伝送情報を生成
    する複数のランダム化手段と、 前記複数のランダム化手段によって個別に生成されたラ
    ンダム伝送情報と、前記複数のランダム伝送情報の生成
    に適用されたビット列の識別情報とを組み合わせて逆F
    FTし、これらの情報を示す離散時間信号を得る複数の
    逆FFT手段と、 前記複数の逆FFT手段によって個別に得られた時間離
    散信号の振幅を求め、これらの信号の内、その振幅につ
    いて最大値またはその最大値と分散とが最小である離散
    時間信号を選択して伝送路に送出する送信手段とを備え
    たことを特徴とする多搬送波伝送装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の多搬送波伝送装置にお
    いて、 複数の逆FFT手段には、 逆FFTに先行して識別情報を冗長化する手段を含むこ
    とを特徴とする多搬送波伝送装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の多搬送波伝送装置にお
    いて、 複数の逆FFT手段には、 逆FFTに先行して、その逆FFTの演算対象である識
    別情報を強調する手段を含むことを特徴とする多搬送波
    伝送装置。
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