JP4196133B2 - フェニルホスホン酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

フェニルホスホン酸誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル及びその製造方法、並びにジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルとしては、式(V)
【0003】
【化10】
【0004】
で表される2,3−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジメチルのみが知られている。この製造方法は、1−(1,3−ブタジエニル)ホスホン酸とアセチレンジカルボン酸ジメチルとのディールス−アルダー(Diels-Alder) 反応にて、中間体として1,2−ジメトキシカルボニル−3−ジメトキシホスホノシクロヘキサ−1,4−ジエンを得た後、次にニトロベンゼンと活性炭担持パラジウム触媒を用いて、得られた中間体を目的とする2,3−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジメチルへと芳香族化する方法である。反応としては、興味深いものがあるが、ディールス−アルダー反応の反応収率が低く、2,3−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジメチルの工業的生産方法としては、好ましくはなく、採用できない〔ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリイ (J. Org. Chem.)、35巻、1691頁、1970年〕。
【0005】
また、アルブゾブ(Arbuzov) 反応により得られるモノアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル類は知られている。その製造方法は、反応温度150〜160℃下、触媒として塩化ニッケルを用いて、亜リン酸トリアルキルとモノアルコキシカルボニルフェニルハライドとを反応させる方法である〔ヘミシェ・ベリヒテ(Chem. Ber.)、103巻、2428頁、1970年。またアルブゾブ(Arbuzov) 反応の総説としては、ケミカル・レビューズ(Chem. Rev.)、81巻、415頁、1981年が挙げられる。〕。しかし、ジアルコキシカルボニルフェニルハライドを用いたアルブゾブ反応によるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造例は知られていない。
【0006】
ジカルボキシフェニルホスホン酸としては、式(VI)
【0007】
【化11】
【0008】
で表されるo−ジカルボキシフェニルホスホン酸が知られている。この製造方法は、o−キシレンと五酸化リンとをオートクレーブにて、270℃の高温にて反応させた後、未反応のo−キシレンを除去した反応生成物にオキシ塩化リンと五塩化リンとを反応させてo−ジメチルフェニルホスホニルジクロリド(異性体混合物)を得る。続いて、このo−ジメチルフェニルホスホニルジクロリドを紫外線照射下、塩素化した後、この塩素化物を得る。この塩素化物に水酸化カリウム水溶液添加して、水酸化カリウム水溶液と過マンガン酸カリウム水溶液とで、反応液をアルカリ性に維持しながら酸化させることにより、o−ジカルボキシフェニルホスホン酸を得る方法がある〔米国特許第2,834,804号明細書〕。
【0009】
しかし、この製造方法は、得られるo−ジカルボキシフェニルホスホン酸が異性体の混合物であること、反応終了後の処理において過マンガン酸カリウムの処理が必要なこと、並びに反応装置として高温・高圧用オートクレーブ及び光反応装置など特殊な反応装置が必要なことが挙げられ、実用的な製造方法とは言えない。
【0010】
また、アルブゾブ(Arbuzov) 反応により得られるモノアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル類を塩酸で加水分解させる置換フェニルホスホン酸の製造方法は知られている〔ヘミシェ・ベリヒテ(Chem. Ber.)、103巻、2428頁、1970年〕。しかし、ジアルコキシカルボニルフェニルハライドを用いたアルブゾブ反応によるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルを加水分解させるジカルボキシフェニルホスホン酸の製造例は知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、樹脂用改質剤として有用なジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルに着目し、そのジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル及びその製造方法について、鋭意努力検討した結果、新規なジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル類の合成と、その高収率で、安価にジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル類とジカルボキシフェニルホスホン酸類との製造方法を見出して本発明を完成するに至った。
【0012】
また、本発明では触媒として担持触媒が収率及び回収再利用の点で優れていることを見出した。
本発明の目的は、樹脂用改質剤として、有用なジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル及びその高収率で安価な製造方法並びに有用なジカルボキシフェニルホスホン酸の高収率で安価な製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法は、周期律表第VIII族元素触媒の存在下、一般式(II)
【0014】
【化12】
【0015】
(式中、R4 及びR5 はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。Xはハロゲノ基を表す。そして、R4 、R5 及びXはベンゼン環上の任意に選ばれるそれぞれ異なる位置に置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルハライドと、一般式(III)
【0016】
【化13】
【0017】
(式中、R6 は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。)で表される亜リン酸トリアルキルとを、加熱して反応させることを特徴とする一般式(I)
【0018】
【化14】
【0019】
(式中、R1 及びR2 はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。R3 は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。そして、R1 、R2 及び P(O)(OR3)2 はベンゼン環上の任意に選ばれるそれぞれ異なる位置に置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法である。
【0020】
本発明のジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法は、周期律表第VIII族元素触媒の存在下、一般式(II)
【0021】
【化15】
【0022】
(式中、R4 及びR5 はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。Xはハロゲノ基を表す。そしてR4 、R5 及びXはベンゼン環上の任意に選ばれるそれぞれ異なる位置に置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルハライドと、一般式(III)
【0023】
【化16】
【0024】
(式中、R6 は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。)で表される亜リン酸トリアルキルを、加熱して反応させて得られる一般式(I)
【0025】
【化17】
【0026】
(式中、R1 及びR2 はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。R3 は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。そしてR1 、R2 及び P(O)(OR3)2 はベンゼン環上の任意に選ばれるそれぞれ異なる位置に置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルを、酸又は塩基の存在下で加水分解させることを特徴とする一般式(IV)
【0027】
【化18】
【0028】
(式中、R7 及びR8 はそれぞれカルボキシル基を表す。そしてR7 、R8 及びP(O)(OH)2 はベンゼン環上の任意に選ばれるそれぞれ異なる位置に置換される。)で表されるジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法について、詳しく説明する。
最初に、アルブゾブ反応によるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法について、以下に説明する。
本発明の製造方法に用いることができるジアルコキシカルボニルフェニルハライドは、一般式(II)
【0030】
【化19】
【0031】
(式中、R4 及びR5 はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。Xはハロゲノ基を表す。そしてR4 、R5 及びXはベンゼン環上の任意に選ばれるそれぞれ異なる位置に置換される。)で表される。
具体的には、5−クロロイソフタル酸ジメチル、5−ブロモイソフタル酸ジメチル、5−ヨードイソフタル酸ジメチル、5−クロロイソフタル酸ジエチル、5−ブロモイソフタル酸ジエチル、5−ヨードイソフタル酸ジエチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−プロピル、5−ブロモイソフタル酸ジ−i−プロピル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−ブチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−s−ブチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−t−ブチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−ペンチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−t−ペンチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−ヘキシル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−ヘキシル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−ヘプチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−オクチル、5−ブロモイソフタル酸ジ−n−ノニル、2−クロロテレフタル酸ジメチル、2−ブロモテレフタル酸ジメチル、2−ヨードテレフタル酸ジメチル、2−クロロテレフタル酸ジエチル、2−ブロモテレフタル酸ジエチル、2−ヨードテレフタル酸ジエチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−プロピル、2−ブロモテレフタル酸ジ−i−プロピル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−ブチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−s−ブチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−t−ブチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−ペンチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−t−ペンチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−ヘキシル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−ヘキシル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−ヘプチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−オクチル、2−ブロモテレフタル酸ジ−n−ノニル、3−ブロモフタル酸ジメチル、3−ブロモフタル酸ジエチル、3−ブロモフタル酸ジ−n−プロピル、3−ブロモフタル酸ジ−i−プロピル、3−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、3−ブロモフタル酸ジ−s−ブチル、3−ブロモフタル酸ジ−t−ブチル、4−ブロモフタル酸ジメチル、4−ブロモフタル酸ジエチル、4−ブロモフタル酸ジ−n−プロピル、4−ブロモフタル酸ジ−i−プロピル、4−ブロモフタル酸ジ−n−ブチル、4−ブロモフタル酸ジ−s−ブチル、4−ブロモフタル酸ジ−t−ブチルなどが挙げられる。 これらの中で、反応性を比較すると序列は、ヨウ化物>臭化物>塩化物となり、ヨウ化物が最も反応速度が速い。一方、ハロゲン化物の製造コストから検討すると、フタル酸ジアルキル類のハロゲン化方法には好ましい方法が少なく、概略コストの高い序列は、ヨウ化物>臭化物>塩化物となる。反応性とコストでは、相矛盾することとなるが、臭化物が好ましく、ジアルコキシカルボニルフェニルブロミドが好ましい。
【0032】
本発明の製造方法に用いることができる亜リン酸トリアルキルは一般式(III)
【0033】
【化20】
【0034】
(式中、R6 は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。)で表される。
具体的には、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリ−n−プロピル、亜リン酸トリ−i−プロピル、亜リン酸トリ−n−ブチル、亜リン酸トリ−s−ブチル、亜リン酸トリ−t−ブチル、亜リン酸トリ−n−ペンチル、亜リン酸トリ−i−ペンチル、亜リン酸トリ−t−ペンチル、亜リン酸トリ−n−ヘキシル、亜リン酸トリ−n−ヘプチル、亜リン酸トリ−n−オクチル、亜リン酸トリ−n−ノニル、亜リン酸トリ−n−デシルなどが挙げられる。
【0035】
これらの中で亜リン酸トリメチルの沸点は、温度120℃以下と他の亜リン酸化合物と比較すると低い。そのため、常圧下では反応に必要な温度120℃まで加熱することができないため、加圧下で行う必要がある。他の亜リン酸化合物では常圧下では温度120℃まで加熱することでき、ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルを高収率で得ることができる。
【0036】
本発明の製造方法に用いることができる触媒は周期律表第VIII族元素触媒である。好ましいのは周期律表第VIII族元素のパラジウム触媒、ニッケル触媒及びコバルト触媒である。より好ましいのはパラジウム触媒及びニッケル触媒である。最も好ましいのはパラジウム触媒である。なお、銅触媒も用いることはできるが、周期律表第VIII族元素触媒より触媒性能は劣る。
【0037】
ジアルコキシカルボニルフェニルハライドの種類により、好ましい触媒を選定することができる。原料が5−ハロゲノイソフタル酸ジアルキルの場合、目的のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル収率の序列は、パラジウム触媒≒ニッケル触媒>>コバルト触媒であった。パラジウム触媒とニッケル触媒が好ましいことを見出した。一方、原料が2−ハロゲノテレフタル酸ジアルキルの場合、目的のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル収率の序列は、パラジウム触媒>ニッケル触媒>コバルト触媒であった。パラジウム触媒が好ましいことを見出した。
【0038】
これら触媒の元素の形態としては、金属、金属酸化物、無機酸塩、有機酸塩、0価錯体、これら元素の合金及びこれらの担持触媒が好まし形態として挙げられる。
パラジウム触媒の具体例として、金属としてはパラジウム黒が挙げられる。無機酸塩としては、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウムなどが挙げられる。有機酸塩としては、ギ酸パラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられる。0価錯体としては、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、パラジウムアセチルアセトナートなどが挙げられる。担持触媒、特に担持金属触媒として、活性炭担持パラジウム触媒、アルミナ担持パラジウム触媒、ゼオライト担持パラジウム触媒、珪藻土担持パラジウム触媒、イオン交換樹脂担持パラジウム触媒などが挙げられる。
【0039】
ニッケル触媒の具体例として、金属としてはニッケル粉末、ラネー・ニッケル、ニッケル・アルミニウム合金が挙げられる。無機酸塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケルが挙げられる。有機酸塩としては、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケルなどが挙げられる。0価錯体としては、テトラキストリフェニルホスフィンニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどが挙げられる。担持触媒、特に担持金属触媒として、活性炭担持ニッケル触媒、アルミナ担持ニッケル触媒、ゼオライト担持ニッケル触媒、珪藻土担持ニッケル触媒、イオン交換樹脂担持ニッケル触媒などが挙げられる。
【0040】
コバルト触媒の具体例として、無機酸塩としては、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルトなどが挙げられる。有機酸塩としては、ギ酸コバルト、酢酸コバルトなどが挙げられる。0価錯体としては、コバルトアセチルアセトナートなどが挙げられる。担持触媒、特に担持金属触媒として、アルミナ担持コバルト触媒、珪藻土担持コバルト触媒などが挙げられる。
【0041】
従来、アルブゾブ反応において、触媒として従来公知の方法で製造された担持触媒は使用されていなかった。本発明者らは、実用上重要な触媒の回収と再使用を目的として、担持触媒(特に担持金属触媒)を検討した結果、アルブゾブ反応において従来触媒として使用されていた無機塩と同様に高収率でジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルが得られる担持触媒を見出した。更に担持触媒の再使用については、触媒の再使用可能なことを確認した。
【0042】
担持触媒の担体としては、一般的な珪藻土、ベントナイト、ボーキサイト、アランダム、コランダム、軽石、レンガ、セライト、酸性白土、活性炭、マグネシア、アルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ、チタニア、クロミナ、酸化亜鉛、トリア、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリコンカーバイト、ゼオライト、モレキュラーシーブ、イオン交換樹脂などが挙げられる。これらの中で、好ましいものは活性炭、アルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。より好ましいものはアルミナ、シリカゲル、シリカ・アルミナ、ゼオライトなどが挙げられる。最も好ましいのはアルミナである。
【0043】
本発明の製造方法における触媒の使用量は、原料であるジアルコキシカルボニルフェニルハライド1モルに対して、触媒の周期律表第VIII族元素成分を原子換算として0.01〜30モル%が好ましく、0.2〜20モル%がより好ましい。最も好ましいのは0.5〜5モル%である。
従来アルブゾブ反応では、原料であるハロゲン化物1モルに対して触媒の使用量は触媒の周期律表第VIII族元素又は銅元素成分を原子換算として10モル%を使用する例が多かった。一方、本発明では、担持金属触媒の採用により、触媒の使用量はハロゲン化物1モルに対して触媒の周期律表第VIII族元素成分を原子換算として1モル%以下とすることに成功した。特にアルミナ担持5%パラジウム触媒では、ハロゲン化物1モルに対して触媒のパラジウム成分を原子換算として0.5モル%でも定量的にジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルを得ることができた。そしてハロゲン化物1モルに対して触媒のパラジウム成分を原子換算として0.2モル%でも50%以上の原料の転化率が得られることを確認した。
【0044】
以上、本発明では、担持金属触媒、特にアルミナ担持パラジウム触媒を採用することにより、触媒の使用量の削減と再使用を可能にし、工業的に有利なジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法を提供することができた。
更に本発明の製造方法において無溶媒でアルブゾブ反応を行うことができるが、原料である反応基質が固体の場合、反応の進行を穏和に制御したい場合、又は副生成物を抑制し、ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの選択性を向上させる場合に溶媒の使用が有効であることを見出した。
【0045】
溶媒としては、アルブゾブ反応に直接関与しないものであれば、広く使用することができる。好ましいものは、芳香族炭化水素類及びエーテル類である。
具体的には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、t−ブチルベンゼン、ジ-i-プロピルベンゼン、1,2−ジメトキシエタン、1,2ージエトキシエタン、2−メトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサンなどが挙げられる。
【0046】
これらの中で、沸点が150℃以下の溶媒は、加圧下で使用でき、150℃以上のものは常圧下で使用することができる。当然、沸点が150℃以上のものを加圧下で使用することも可能である。これらの中で、より好ましい常圧下で使用することができる溶媒としては、クメン、t−ブチルベンゼン、ジ-i-プロピルベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。
【0047】
これら溶媒の使用量は、原料であるジアルコキシカルボニルフェニルハライド1重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
本発明の製造方法においては加熱によりアルブゾブ反応を行わせる。その反応温度は、温度120℃以下では反応が極めて遅いために、120℃以上が必要である。すなわち、反応温度は、温度120〜250℃が好ましく、温度140〜220℃がより好ましく、温度155〜220℃が最も好ましい。
【0048】
本発明の製造方法におけるアルブゾブ反応の反応時間は、反応液をガスクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーで分析することにより、反応の進行状況を追跡することができる。よって、ガスクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーの分析により、目的とする反応終点を見出すことができる。
その反応時間は、通常1〜20時間であり、工業的には1〜10時間が好ましい。
【0049】
本発明の製造方法におけるアルブゾブ反応は、常圧下又は加圧下で行うことができる。また回分式又は連続式で行うことができる。
アルブゾブ反応終了後の処理方法は、溶媒、過剰又は未反応のジアルコキシカルボニルフェニルハライド、及び過剰又は未反応の亜リン酸トリアルキルは蒸留にて回収後、常法に従って、反応生成物であるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルは蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどによって精製・単離することができる。
【0050】
次に、ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの加水分解により得られるジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法について、以下に説明する。
加水分解反応には、酸又は塩基の存在が必要である。
酸としては、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸類、及びメタンスルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸類が挙げられる。特に好ましいのは、塩酸及び臭化水素酸である。
【0051】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどの無機塩基類、及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、トリエチルアミンなどの有機塩基類が挙げられる。特に好ましいのは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0052】
酸又は塩基の使用量は、原料ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルに対して2〜40当量を使用する。好まし使用量は、4〜20当量である。
加水分解反応において、溶媒を使用することができる。その溶媒は、水及び有機溶媒類である。有機溶媒としては、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどに代表されるエーテル類、エタノール、n−ブタノールなどに代表されるアルコール類、又は1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロプロパンなどに代表される脂肪族ハロゲン化炭化水素類が挙げられる。また、これら有機溶媒は、それぞれその1種または2種以上の混合物として使用できる。
【0053】
その加水分解反応における溶媒の使用量は、原料ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルに対して0〜100重量倍を使用でき、好ましくは0〜20重量倍を使用する。
加水分解反応は、溶媒の沸点付近で行ってよいが、密閉し加圧下に行ってもよい。よって、反応温度は、0〜200℃で行い、好ましくは50〜150℃で行う。反応時間は1〜24時間であり、好ましくは1〜10時間である。
【0054】
加水分解反応は常圧下でも加圧下でも可能であり、また回分式でも連続式でも実施することができる。
加水分解反応後の処理方法として、酸の存在下で処理した場合、反応終了液もしくはその濃縮液を冷却して結晶を析出させる。析出した結晶を濾過し、乾燥することにより目的とするジカルボキシフェニルホスホン酸が得られる。塩基の存在下で処理した場合、塩基の当量以上の酸を添加後、酸の存在下で処理した場合と同様に反応終了液もしくはその濃縮液を処理することにより目的とするジカルボキシフェニルホスホン酸が得られる。
【0055】
更にジカルボキシフェニルホスホン酸の精製が必要な場合は、メタノール、ジオキサンなどの溶媒を用いて、再結晶法により純度を向上させることができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下実施例にて採用した実験・分析手法を説明する。
〔シリカゲルクロマトグラフィー(SGCG)〕
実施例1〜4では、反応生成物であるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの精製方法としてシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:ヘプタン/酢酸エチル混合溶媒)を使用した。
【0057】
〔ガスクロマトグラフィー(GC)〕
実施例1〜5では、ガスクロマトグラフィーを反応生成物であるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの純度の確認のため使用した。また実施例6〜17では、EDC抽出液に回収した反応生成物を混合物のままガスクロマトグラフィーで分析した。そのガスクロマトグラフィーのデータ解析により反応生成物の相対面積比(%)を求めた。その際、原料であるジアルコキシカルボニルフェニルハライドの相対面積比(%)も同様に求めた。
【0058】
ガスクロマトグラフィー条件:
装置 Shimadzu GC−17A、カラム キャピラリーカラム CBP1−W25−100(25mm×0.53mmφ×1μm)、カラム温度 カラム温度は昇温プログラムを用いて制御した。開始温度100℃から10℃/分で昇温して到達温度260℃とした。、インジェクション温度 290℃、検出器温度 290℃、キャリヤーガス ヘリウム、検出方法 FID法
〔高速液体クロマトグラフィー(HPLC)〕
実施例5及び19では、反応生成物を混合物のまま高速液体クロマトグラフィーで分析した。その高速液体クロマトグラフィーのデータ解析により反応生成物の相対面積比(%)を求めた。
【0059】
高速液体クロマトグラフィー条件:
装置 Hitachi L−400、カラム YMC社製 Pack ODS−AM(4.6mmφ×250mm)、オーブン温度 40.0℃、キャリヤー溶媒 アセトニトリル/水(2/1(V/V))混合溶媒、検出方法 UV検出法(254nm)
実施例21〜28では、加水分解反応生成物を混合物のまま高速液体クロマトグラフィーで分析した。その高速液体クロマトグラフィーのデータ解析により反応生成物の相対面積比(%)を求めた。
【0060】
高速液体クロマトグラフィー条件:
装置 Shimadzu LC−10A、カラム YMC社製 Pack ODS−AM(4.6mmφ×250mm)、オーブン温度 40.0℃、キャリヤー溶媒 水/酢酸/酢酸アンモニウム(150/2/5.5(V/V/V))混合溶媒、検出方法 UV検出法(240nm)
〔質量分析法(MASS)〕
実施例1、4及び20では、反応生成物の同定としてFAB法を採用し、実施例2、3、5及び32では、反応生成物の同定としてFD法を採用した。
【0061】
FAB法装置はJEOL社製LX−1000を用いた。FD法装置はJEOL社製SX−102を用いた。
〔プロトン核磁気共鳴法( 1H−NMR)〕
実施例1〜5では、反応生成物の同定としてプロトン核磁気共鳴法( 1H−NMR)を採用した。
【0062】
プロトン核磁気共鳴法( 1H−NMR)条件:装置 VARIAN社製 INOVA400、測定溶媒 CDCl3又はD6−DMSO、基準物質 テトラメチルシラン(TMS)
13C核磁気共鳴法(13C−NMR)〕
実施例5では、反応生成物の同定として13C核磁気共鳴法(13C−NMR)を採用した。
【0063】
13C核磁気共鳴法(13C−NMR)条件:装置 VARIAN社製 INOVA400、測定溶媒 CDCl3、基準物質 CDCl3(δ:77.1ppm)
〔元素分析〕
実施例32では、炭素、窒素、及び水素は、CHN元素分析法にて測定した。リンは、リンバナドモリブデン酸吸光光度法にて測定した。
【0064】
CHN元素分析条件:装置 PERKIN ELMER社製 2400CHN
〔赤外吸収分光法〕
実施例32では、赤外吸収分光法にて、加水分解反応生成物の官能基を決定した。
赤外吸収分光条件:装置 堀場製作所製 FT−210
〔熱分析(DSC)〕
実施例20及び32では、DSCを用いて、融点を測定した。
【0065】
DSC測定条件:装置 リガク製 サーモプラス
以下実施例について説明する。
実施例1
内容量50mLのステンレス製オートクレーブに磁気撹拌子を入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル1.4g(5ミリモル)、亜リン酸トリメチル2.5g(20ミリモル)及び塩化ニッケル65mg(ニッケル成分を原子換算として0.5ミリモル)を入れ、加熱により反応温度180℃で7時間撹拌して反応させた。反応中オートクレーブ内の圧力は4気圧となった。
【0066】
反応終了後、冷却して得られた反応混合物に水及び1,2−ジクロロエタン(EDC)を加えて、反応生成物をEDC相に抽出した。そのEDC相を分液して水洗後、減圧濃縮すると油状物質1.3gが得られた。
次にこの油状物質をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製すると、結晶0.98g(収率65%)が得られた。この結晶はガスクロマトグラフィーにて、単一成分よりなっていることを確認した。
【0067】
(結晶の同定結果)
融点(℃): 88〜89
MASS(FAB法) m/e(%):303(M+、100)、289(6)、271(16)、65(23)
1H−NMR(400MHz、溶媒 CD3Cl、基準物質 TMS) δppm:3.80(s、3H)、3.83(s、3H)、3.98(s、6H)、8.62(d、J=1.6Hz、1H)、8.65(d、J=1.6Hz、1H)、8.87(t、J=1.6Hz、1H)
以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジメチルであることを確認した。
【0068】
実施例2
内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル1.4g(5ミリモル)、亜リン酸トリエチル1.7g(10ミリモル)及び塩化ニッケル65mg(ニッケル成分を原子換算として0.5ミリモル)を入れ、加熱により反応温度150〜155℃で4時間撹拌して反応させた。
【0069】
反応終了後、冷却して得られた反応混合物に水及び1,2−ジクロロエタン(EDC)を加えて、反応生成物をEDC相に抽出した。そのEDC相を分液して水洗後、減圧濃縮すると油状物質1.9gが得られた。
次にこの油状物質をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製すると、結晶1.4g(収率85%)が得られた。この結晶はガスクロマトグラフィーにて、単一成分よりなっていることを確認した。
【0070】
(結晶の同定結果)
融点(℃): 45〜46
MASS(FD法) m/e(%):330(M+、100)
1H−NMR(400MHz、溶媒 CD3Cl、基準物質 TMS) δppm:1.35(t、J=6.96Hz、6H)、3.97(t、J=2.75Hz、3H)、3.98(t、J=2.75Hz、3H)、4.10〜4.21(m、4H)、8.63(s、1H)、8.66(s、1H)、8.85(s、1H)
以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルであることを確認した。
【0071】
実施例3
内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル1.4g(5ミリモル)、亜リン酸トリ−i−プロピル2.1g(10ミリモル)及び塩化ニッケル65mg(ニッケル成分を原子換算として0.5ミリモル)を入れ、加熱により反応温度150〜155℃で4時間撹拌して反応させた。
【0072】
反応終了後、冷却して得られた反応混合物に水及び1,2−ジクロロエタン(EDC)を加えて、反応生成物をEDC相に抽出した。そのEDC相を分液して水洗後、減圧濃縮すると油状物質1.7gが得られた。
次にこの油状物質をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製すると、結晶1.2g(収率67%)が得られた。この結晶はガスクロマトグラフィーにて、単一成分よりなっていることを確認した。
【0073】
(結晶の同定結果)
融点(℃): 109〜110
MASS(FD法) m/e(%):359(M+、100)
1H−NMR(400MHz、溶媒 CD3Cl、基準物質 TMS) δppm:1.24(d、J=6.22Hz、6H)、1.40(d、J=6.22Hz、6H)、3.97(t、J=4.0Hz、6H)、4.72〜4.77(m、2H)、8.63(d、J=1.65Hz、1H)、8.67(d、J=1.65Hz、1H)、8.83(s、1H)
以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジ−i−プロピルであることを確認した。
【0074】
実施例4
内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル1.4g(5ミリモル)、亜リン酸トリ−n−ブチル2.4g(10ミリモル)及び塩化ニッケル65mg(ニッケル成分を原子換算として0.5ミリモル)を入れ、加熱により反応温度150〜155℃で4時間撹拌して反応させた。
【0075】
反応終了後、冷却して得られた反応混合物に水及び1,2−ジクロロエタン(EDC)を加えて、反応生成物をEDC相に抽出した。そのEDC相を分液して水洗後、減圧濃縮すると油状物質2.3gが得られた。
次にこの油状物質をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製すると、結晶1.6g(収率83%)が得られた。この結晶はガスクロマトグラフィーにて、単一成分よりなっていることを確認した。
【0076】
(結晶の同定結果)
融点(℃): 66〜67
MASS(FAB法) m/e(%):387(M+、23)、355(10)、331(5)、275(100)
1H−NMR(400MHz、溶媒 CD3Cl、基準物質 TMS) δppm:0.92(t、J=7.3Hz、6H)、1.35〜1.43(m、4H)、1.64〜1.71(m、4H)、3.98(s、6H)、4.01〜4.15(m、4H)、8.62(s、1H)、8.66(s、1H)、8.85(s、1H)
以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジ−n−ブチルであることを確認した。
【0077】
実施例5
内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に2−ブロモテレフタル酸ジメチル7.8g(28ミリモル)、亜リン酸トリエチル19.0g(112ミリモル)及び塩化パラジウム0.51g(パラジウム成分を原子換算として2.8ミリモル)を入れ、加熱により反応温度150℃で3時間撹拌して反応させた。
【0078】
反応終了後、冷却して得られた反応混合物に水及び1,2−ジクロロエタン(EDC)を加えて、反応生成物をEDC相に抽出した。そのEDC相を分液して水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥したEDC抽出液を減圧濃縮すると無色の油状物質9.0g(得率94%)が得られた。
次にこの油状物質を高速液体クロマトグラフィーにて分析した。その高速液体クロマトグラフィーのデータ解析より反応生成物の相対面積比(%)は、97%となった。
【0079】
(油状物質の同定結果)
MASS(FD法) m/e(%):330(M+、100)
1H−NMR(400MHz、溶媒 CD3Cl、基準物質 TMS) δppm:1.37(t、J=7.14Hz、6H)、3.97(s、6H)、4.10〜4.26(m、4H)、7.78(dd、J=8.06Hz、4.8Hz、1H)、8.25(dt、J=8.06Hz、1.5Hz、1H)、8.60(dd、J=14.3Hz、1.6Hz、1H)
13C−NMR(100MHz、溶媒 CD3Cl、基準物質 CD3Cl) δppm:16.2、16.3、52.6、52.9、62.8、127.2、129.1、131.9、133.0、134.6、140.0、165.4、167.8
以上の結果より、結晶は目的とする2,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルであることを確認した。
【0080】
実施例6〜12
内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル(DBIP)0.55g(2ミリモル)、亜リン酸トリエチル0.66g(4ミリモル)及び各種触媒〔塩化ニッケル(NiCl2 )、塩化パラジウム(PdCl2 )、アルミナ担持5%パラジウム触媒(5%Pd/Al23)、臭化コバルト(CoBr2)、臭化銅(CuBr2)など〕を入れ、加熱により反応温度155〜165℃で所定時間撹拌して反応させた。
【0081】
反応終了後、冷却して得られた反応混合物に水及び1,2−ジクロロエタン(EDC)を加えて、反応生成物をEDC相に抽出した。そのEDC相を分液して水洗後、EDC抽出液を得た。
次にEDC抽出液をガスクロマトグラフィー(GC)にて分析した。そのガスクロマトグラフィーのデータ解析により反応生成物である3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル(DDPP)のGC相対面積比(%)を求めた。その際、原料である5−ブロモイソフタル酸ジメチル(DBIP)のGC相対面積比(%)も同様に求めた。この実施条件は表1に示し、実施結果は表2に示す。
【0082】
【表1】
(注記)表1の触媒量は触媒の有姿重量をmgで表記した。ジアルコキシカルボニルフェニルハライド1モルに対する触媒の周期律表第VIII族元素又は銅元素成分を原子換算してモル%で表記した。
【0083】
【表2】
実施例13〜16
内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル(DBIP)0.55g(2ミリモル)、亜リン酸トリエチル0.66g(4ミリモル)、各種溶媒〔クメン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGDE)など〕及び各種触媒〔塩化ニッケル(NiCl2 )、活性炭担持5%パラジウム触媒(5%Pd/C)、アルミナ担持5%パラジウム触媒(5%Pd/Al23)など〕を入れ、加熱により反応温度155〜170℃で所定時間撹拌して反応させた。
【0084】
反応終了後、冷却して得られた反応混合物に水及び1,2−ジクロロエタン(EDC)を加えて、反応生成物をEDC相に抽出した。そのEDC相を分液して水洗後、EDC抽出液を得た。
次にEDC抽出液をガスクロマトグラフィーにて分析した。そのガスクロマトグラフィーのデータ解析により反応生成物である3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル(DDPP)の相対面積比(%)を求めた。その際、原料である5−ブロモイソフタル酸ジメチル(DBIP)の相対面積比(%)も同様に求めた。この実施条件は表3に、実施結果は表4に示す。
【0085】
【表3】
(注記)表3の触媒量は触媒の有姿重量をmgで表記した。ジアルコキシカルボニルフェニルハライド1モルに対する触媒の周期律表第VIII族元素素成分を原子換算してモル%で表記した。
【0086】
【表4】
実施例17
内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル1.4g(5ミリモル)、亜リン酸トリエチル1.7g(10ミリモル)、ジエチレングリコールジメチルエーテル2.7g及びアルミナ担持5%パラジウム触媒(5%Pd/Al23)0.23g(パラジウム成分を原子換算として2ミリモル)を入れ、加熱により反応温度160〜170℃で溶媒の還流下4時間撹拌して反応させた。
【0087】
反応終了後、冷却して濾過により触媒と反応混合物を分離した。次に得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにて分析した。そのガスクロマトグラフィーのデータ解析により、反応生成物である3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルの相対面積比(%)は91%であった。原料である5−ブロモイソフタル酸ジメチルの相対面積比(%)は7%であった。
【0088】
また回収した触媒はジエチレングリコールジメチルエーテルで洗浄後、再びその洗浄した触媒と磁気撹拌子とを内容量50mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに入れ、次に5−ブロモイソフタル酸ジメチル1.4g(5ミリモル)、亜リン酸トリエチル1.7g(10ミリモル)及びジエチレングリコールジメチルエーテル2.7gを入れて、加熱により反応温度160〜170℃で溶媒の還流下8時間撹拌して反応させた。
【0089】
反応終了後、冷却して濾過により触媒と反応混合物を分離した。次に得られた反応混合物をガスクロマトグラフィーにて分析した。そのガスクロマトグラフィーのデータ解析により、反応生成物である3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルの相対面積比(%)は82%であった。原料である5−ブロモイソフタル酸ジメチルの相対面積比(%)は14%であった。
【0090】
実施例18
実施例5の触媒を塩化パラジウムの代わりに塩化ニッケル0.47g(ニッケル成分を原子換算として10ミリモル)として、他は実施例5と同様に実施して反応生成物をEDC相に抽出した。
得られたEDC抽出液を高速液体クロマトグラフィーにて分析した。その高速液体クロマトグラフィーのデータ解析より反応生成物である2,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルの相対面積比(%)は、28%となった。
【0091】
実施例19
内容量1000mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に2−ブロモテレフタル酸ジエチル242.2g(0.80モル)、亜リン酸トリエチル400g(2.4モル)及び塩化パラジウム7.09g(パラジウム成分を原子換算として0.04モル)を入れ、加熱により還流温度まで昇温させ、還流温度で13時間撹拌して反応させた。反応の経時変化は高速液体クロマトグラフィーで分析し、原料の消失を確認した。
【0092】
反応終了後、減圧蒸留にて過剰の亜リン酸トリエチルなどの低沸点物質を留去した。そして、蒸留残留物に1,2−ジクロロエタン500g及び水500gを加えた後、分液操作により有機層を抽出分離して回収した。有機層から1、2−ジクロロエタンを減圧蒸留にて留去した。再び得られた蒸留残留物を減圧蒸留にて蒸留して、目的の無色油状物である2,5−ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル183.2g(収率63.9%)を得た。
【0093】
(油状物質の同定結果)
沸点: 196℃(1.1mmHg)
実施例20
内容量100mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に実施例2と同様にして得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル6.60g(0.02モル)及び35重量%塩酸24.7g(0.24モル)を入れ、加熱により溶媒の還流下8時間撹拌して反応させた。
【0094】
反応終了後、冷却して反応終了液を濃縮し、その濃縮液を氷冷して結晶を析出させた。次に結晶の析出した濃縮液を濾過し、濾別した結晶を乾燥後、メタノール/ジオキサン(1/1(V/V))から再結晶し減圧乾燥すると、結晶4.48g(収率91.1%)が得られた。
(結晶の同定結果)
融点(DSC): 融点開始温度 285.3℃、ピーク温度 290.8℃、溶融停止温度 296.2℃
MASS(FAB法) m/e(%):247(M+1、44)、226(100)、225(50)、212(36)、165(63)
1H−NMR(400MHz、溶媒 D6−DMSO、基準物質 TMS)
δppm:8.42(d、J=1.65、1H)、8.45(d、J=1.65、1H)、8.55(s、1H)、13.0〜12.1(m、2H)
以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸(3,5−DPP)であることを確認した。
【0095】
実施例21〜28
実施例20の加水分解反応における、酸又は塩基の種類、その使用量、温度及び時間を変えて、実施例20と同様に加水分解反応させた。この反応終了液は、高速液体クロマトグラフィーのデータ解析により加水分解反応生成物である3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸(3,5−DPP)の相対面積比(%)を求めた。実施条件は表5に、実施結果は表6に示す。
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
実施例29
実施例20における3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル6.60g(0.02モル)を、実施例1と同様にして得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジメチル6.06g(0.02モル)に変えた以外、実施例20と同様に実施し、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸(3,5−DPP)の結晶4.41g(収率89.7%)が得られた。
【0098】
実施例30
実施例20における3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル6.60g(0.02モル)を、実施例3と同様にして得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジ−i−プロピル7.18g(0.02モル)に変えた以外、実施例20と同様に実施し、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸(3,5−DPP)の結晶4.54g(収率92.2%)が得られた。
【0099】
実施例31
実施例20における3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル6.60g(0.02モル)を、実施例4と同様にして得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジ−n−ブチル7.74g(0.02モル)に変えた以外、実施例20と同様に実施し、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸(3,5−DPP)の結晶4.52g(収率91.9%)が得られた。
【0100】
実施例32
内容量100mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に実施例5と同様にして得られた2,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル6.60g(0.02モル)及び35重量%塩酸29.0g(0.28モル)を入れ、加熱により溶媒の還流下8時間撹拌して加水分解反応させた。反応進行中より結晶が析出した。
【0101】
反応終了後、反応終了液を室温にて放冷して、結晶を析出させた。次に結晶の析出した反応終了液を濾過した。濾別した結晶は35重量%塩酸15gで洗滌し、続いて2−プロパノール6gにて洗滌後、減圧乾燥すると、結晶4.64g(収率94.2%)が得られた。
(結晶の同定結果)
融点(DSC): 融点開始温度 298.1℃、ピーク温度 301.9℃、溶融停止温度 307.5℃
MASS(FD法) m/e(%):229(M+−OH、100)
MASS(FD法) m/e(%)(ジアゾメタン法によるメチル化物):
302(100:テトラメチルエステル体)
元素分析 実測値(理論値)(重量%):
C:39.1(39.0)、P:12.5(12.6)、H:2.92(2.84)、O:45.5(45.5)
IR(cm-1):3200〜2400(OH)、1690(C=O)
以上の結果より、結晶は目的とする2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸(2,5−DPP)であることを確認した。
【0102】
実施例33
内容量100mLの冷却管付ガラス製反応フラスコに磁気撹拌子を入れ、次に実施例19と同様にして得られた2,5−ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル7.08g(0.02モル)及び35重量%塩酸34.8g(0.33モル)を入れ、加熱により溶媒の還流下8時間撹拌して加水分解反応させた。反応進行中より結晶が析出した。
【0103】
反応終了後、反応終了液を室温にて放冷して、結晶を析出させた。次に結晶の析出した反応終了液を濾過した。濾別した結晶は35重量%塩酸9gで洗滌し、続いて2−プロパノール9gにて洗滌後、減圧乾燥すると、目的とする2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸の結晶4.78g(収率98.2%)が得られた。
【0104】
実施例34
ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート203.4g(0.80モル)と、テレフタル酸66.45g(0.40モル)と、エチレングリコール37.22g(0.60モル)とを、500mLのガラス製反応容器に仕込み、次いで当該反応器内の混合物を窒素雰囲気及び常圧で撹拌下、260℃で3時間加熱して、エステル化反応生成物を得た。
【0105】
そして、当該反応器内に、当該エステル化反応生成物と、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸18.25g(74ミリモル、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子として1.0重量%)と、三酸化アンチモン0.14g(0.5ミリモル)と、酢酸コバルト四水塩0.015g(0.06ミリモル)とを仕込み、次いで、常圧で撹拌下、270℃で3時間加熱した。次に撹拌下、徐々に減圧して最終的に圧力40mmHg、280℃で1時間加熱して、重縮合を行い、ポリエステル樹脂を得た。
【0106】
得られた樹脂の極限粘度[η]は、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの等重量混合物を溶媒として、温度25℃にて測定した。極限粘度[η]は、0.72dL/gであった。
また、得られた樹脂の難燃性は、難燃試験方法(JIS D1201)に従って、樹脂を試験片に成型し、その試験片の難燃指数(酸素指数:OI)を測定することにより評価した。自己消炎性を示す酸素指数は、22〜23以上を必要とし、更に高い難燃性を要求される場合には、27〜28以上が要求される。得られた樹脂の酸素指数は、30.3であり、高い難燃性を示した。
【0107】
実施例35
500mLのガラス製反応容器にビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート305.1g(1.20モル)及び2,5−ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチル26.58g(74ミリモル、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子として1.0重量%)を仕込み、窒素雰囲気下で加熱攪拌した。常圧下、生成するエタノール等を留去しながら200℃で2時間反応させ、ついで徐々に減圧にして最終的に1mmHg、280℃にて1時間重縮合を行なった。
【0108】
得られたポリエステル樹脂は極限粘度[η]は0.70dL/gであり、酸素指数は27.3であった。
【0109】
【発明の効果】
ポリエステル重合、ポリアミド重合及びポリウレタン重合時において、本発明のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルを、共重合第三成分として添加すると、ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルのアルコキシカルボニル基からアルコールが脱離してカルボン酸基となり共重合することとなる。同じく、ジカルボキシフェニルホスホン酸も共重合第三成分として添加すると、共重合することとなる。よって、上記重合体にジアルコキシホスホノ基又はホスホノ基を導入することとなる。その際導入したジアルコキシホスホノ基が共重合時安定であれば、そのままジアルコキシホスホノ基として残存する。一方共重合条件によっては、更にジアルコキシホスホノ基からアルコールが脱離してホスホノ基となり重合体の架橋剤となる。そして、ホスホノ基は重合体の架橋剤となる。
【0110】
上記共重合体を繊維と加工すると、ジアルコキシホスホノ基が残存する繊維は、この官能基がカチオン交換能を有するため、カチオン染色性が向上する。またジアルコキシホスホノ基が架橋剤として機能した繊維では、繊維の複合繊維化の際、熱処理に伴う収縮を防止し、繊維の風合い維持に役立つ。
そして、上記共重合体より得られる繊維及び樹脂は含リン物質の特性である難燃性を有する。
【0111】
また、本発明のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル又はジカルボキシフェニルホスホン酸を難燃剤として、樹脂に練り込み使用することができる。樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などに使用される。また最近、スチレン樹脂の非ハロゲン難燃化方法として、フェニルホスホン酸などの非ハロゲン系含リン化合物とメラミンシアヌレートなどのトリアジン誘導体との併用が採用されている。
【0112】
本発明のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法では、従来、アルブゾブ反応において、触媒として使用されていなかった担持金属触媒を使用し、従来公知触媒と同様に高収率であることを見出した。更に担持金属触媒の再使用については、その触媒の再使用が可能なことを確認した。特にアルミナ担持パラジウム触媒を採用することにより、工業的に有利なジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法を提供することができた。
【0113】
そして、ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの加水分解反応により、ジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジメチルの1H−NMRチャート図である。
【図2】 実施例2で得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルの1H−NMRチャート図である。
【図3】 実施例3で得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジ−i−プロピルの1H−NMRチャート図である。
【図4】 実施例4で得られた3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジ−n−ブチルの1H−NMRチャート図である。
【図5】 実施例5で得られた2,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルの1H−NMRチャート図である。
【図6】 実施例5で得られた2,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジエチルの13C−NMRチャート図である。
【図7】 実施例20で得られた3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸の1H−NMRチャート図である。

Claims (9)

  1. 一般式(I)
    (式中、R 及びR はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。R 及びR はベンゼン環上の2位と5位又は3位と5位の位置のそれぞれ異なる位置に置換される。そして、R は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル。
  2. 一般式(I)
    (式中、R 及びR はメトキシカルボニル基を表す。R 及びR はベンゼン環上の2位と5位又は3位と5位の位置のそれぞれ異なる位置に置換される。そして、R は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。)で表される請求項1記載のジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキル。
  3. 周期律表第VIII族元素触媒の存在下、一般式(II)
    (式中、R 及びR はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。Xはハロゲノ基を表す。そして、 及びR はベンゼン環上のXに対して2位と5位又は3位と5位の位置のそれぞれ異なる位置に置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルハライドと、一般式(III)
    (式中、R は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。)で表される亜リン酸トリアルキルとを、加熱して反応させることを特徴とする一般式(I)
    (式中、R 及びR はそれぞれ前記一般式( II )のR 及びR を表す。R は前記一般式( III )のR を表す。そして、 及びR は、ベンゼン環上のP ( )( OR ) に対して、前記一般式( II )のR 及びR のベンゼン環上のXに対する相似の位置にそれぞれ置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法。
  4. 周期律表第VIII族元素触媒がパラジウム触媒及びニッケル触媒からなる群から任意に選ばれる少なくとも一種の触媒である請求項3記載のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法。
  5. 周期律表第VIII族元素触媒が担持金属触媒である請求項3又は請求項4記載のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法。
  6. 芳香族炭化水素類及びエーテル類からなる溶媒群から任意に選ばれる少なくとも一種の溶媒を用いる請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルの製造方法。
  7. 周期律表第VIII族元素触媒の存在下、一般式(II)
    (式中、R 及びR はそれぞれ炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基からなる群から任意に選ばれる。Xはハロゲノ基を表す。そして、 及びR はベンゼン環上のXに対して2位と5位又は3位と5位の位置のそれぞれ異なる位置に置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルハライドと、一般式(III)
    (式中、R は炭素数1〜10のアルキル基からなる群から任意に選ばれる。)で表される亜リン酸トリアルキルを、加熱して反応させて得られる一般式(I)
    (式中、R 及びRそれぞれ前記一般式( II )のR 及びR を表す。R前記一般式( III )のR を表す。そして、 及びR は、ベンゼン環上のP ( )( OR ) に対して、前記一般式( II )のR 及びR のベンゼン環上のXに対する相似の 位置にそれぞれ置換される。)で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルを、酸又は塩基の存在下で加水分解させることを特徴とする一般式(IV)
    (式中、R 及びR はそれぞれカルボキシル基を表す。そして、 及びR は、ベンゼン環上のP ( )( OH ) に対して、前記一般式( II )のR 及びR のベンゼン環上のXに対する相似の位置にそれぞれ置換される。)で表されるジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法。
  8. 酸が、塩酸及び臭化水素酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機酸である請求項7記載のジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法。
  9. 塩基が、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の無機塩基である請求項7記載のジカルボキシフェニルホスホン酸の製造方法。
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