JP2000095788A - フェニルホスホン酸化合物の製造方法 - Google Patents

フェニルホスホン酸化合物の製造方法

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JP2000095788A
JP2000095788A JP10268024A JP26802498A JP2000095788A JP 2000095788 A JP2000095788 A JP 2000095788A JP 10268024 A JP10268024 A JP 10268024A JP 26802498 A JP26802498 A JP 26802498A JP 2000095788 A JP2000095788 A JP 2000095788A
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acid
formula
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carbon atoms
alkyl group
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Hideo Suzuki
秀雄 鈴木
Masabumi Nomura
正文 野村
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Nissan Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂改質剤として有用なジアルコキシカルボ
ニルフェニルホスホン酸アルカリ金属塩、更にこれらの
中間体であるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン
酸を高収率で得られる製造方法を提供すること。 【解決手段】 ジカルボキシフェニルホスホン酸とアル
コールを酸触媒の存在下で加熱することによりジアルコ
キシカルボニルフェニルホスホン酸を生成させ、次に、
このジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸と金属
水酸化物又は金属アルコキシドとを反応させることを特
徴とする、ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸
アルカリ金属塩の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジアルコキシカル
ボニルフェニルホスホン酸、ジアルコキシカルボニルフ
ェニルホスホン酸水素アルカリ金属塩及びジアルコキシ
カルボニルフェニルホスホン酸二アルカリ金属塩の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】米国特許第3,052,653号明細書
には、3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン
酸及び3,5−ジメトキシカルボニルフェニルホスホン
酸水素ナトリウムの製造方法が開示されている。その製
造方法は、下記の反応経路式で表される。
【0003】
【化10】 ここで、5−アミノイソフタル酸ジメチルを塩酸水とテ
トラフルオロ硼酸ナトリウムに混合してから、この中に
亜硝酸ナトリウム水溶液を滴下する。しばらく撹拌の
後、生成したペースト状物を濾過し、冷却したテトラフ
ルオロ硼酸ナトリウム、メタノールそして冷却したエー
テルで洗浄する。このケーキを一夜乾燥した後ジオキサ
ンに入れ、塩化第一銅と三塩化燐を加えるとガス発生が
始まり、間もなくしてガス発生が終了する。混合物は冷
却し、水を加えてから濃縮する。この残渣を温水に溶解
後炭酸ナトリウムでpH7に中和する。更にエタノール
を加え、生成した沈殿物を濾過乾燥する。この結晶を加
温された塩酸水に溶解し、溶液を濾過冷却することによ
り3,5−ジメトキシフェニルホスホン酸(3,5−D
MCPPA)が得られた(収率10.9%)。
【0004】更に、この3,5−DMCPPAをメタノ
ールに溶解させ当量のナトリウムメトキサイドを添加す
ると3,5−ジメトキシフェニルホスホン酸水素ナトリ
ウム(3,5−DMCPPANa)が得られ、2当量の
ナトリウムメトキサイドを添加すると3,5−ジメトキ
シフェニルホスホン酸二ナトリウム(3,5−DMCP
PANa2)が得られた。
【0005】従って第一工程の3,5−DMCPPAの
製造方法が極めて煩雑でかつ低収率であるために、3,
5−DMCPPANa及び3,5−DMCPPANa2
の実用的な製造方法とはなり得なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは樹脂改質
剤として有用なジアルコキシカルボニルフェニルホスホ
ン酸水素ナトリウム、更にジアルコキシカルボニルフェ
ニルホスホン酸二ナトリウムに着目し、その製造方法に
ついて鋭意努力検討した結果、それぞれ高収率で得られ
ることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】本発明化合物群は、カルボキシル基がアル
キルエステルであるために、重合時の温度を、従来のカ
ルボキシル基の場合より、下げて行うことができる。
(脱アルコール縮重合の方が脱水縮重合より円滑に進行
するため)又、ホスホン酸残基は、酸性が強いために、
アルコキシカルボニル基の重合時にやはり重合して、架
橋構造を形成し好ましくない。
【0008】そこで、ホスホン酸残基の酸性を低下させ
るために金属塩として、直接主鎖重合に関与しない形態
とすることが望まれる。
【0009】一方、これらの化合物群の合成上の困難さ
は、水溶性であるために反応後の処理で水を用いた場合
の単離収率が低くなることであった。
【0010】本発明の目的は、樹脂改質剤として有用な
ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸水素アルカ
リ金属塩及びジアルコキシカルボニルフェニルホスホン
酸二アルカリ金属塩、更にこれらの中間体であるジアル
コキシカルボニルフェニルホスホン酸を高収率で得られ
る製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】一般式(I)
【0012】
【化11】 で表されるジカルボキシフェニルホスホン酸と一般式
(II)
【0013】
【化12】 (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
で表されるアルコールを酸触媒の存在下で加熱すること
により一般式(III)
【0014】
【化13】 (式中、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸
を生成させ、次に、このジアルコキシカルボニルフェニ
ルホスホン酸(III)と一般式(IV)
【0015】
【化14】 (式中、M1はアルカリ金属を表し、R3は水素原子又は
炭素数1〜10のアルキル基を表す。)で表される金属
水酸化物又は金属アルコキシドとを反応させることを特
徴とする一般式(V)
【0016】
【化15】 (式中、M2はアルカリ金属を表し、R4は水素原子又は
炭素数1〜10のアルキル基を表す。)又は一般式(V
I)
【0017】
【化16】 (式中、M3はアルカリ金属を表し、R5は水素原子又は
炭素数1〜10のアルキル基を表す。)で表されるジア
ルコキシカルボニルフェニルホスホン酸金属塩を生成さ
せることである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のジアルコキシカルボニル
フェニルホスホン酸、ジアルコキシカルボニルフェニル
ホスホン酸水素アルカリ金属塩及びジアルコキシカルボ
ニルフェニルホスホン酸二アルカリ金属塩の製造方法に
ついて、詳しく説明する。
【0019】最初に、ジカルボキシフェニルホスホン酸
のエステル化反応について説明する。
【0020】本発明で、対象とする原料は、3,5−ジ
カルボキシフェニルホスホン酸及び2,5−ジカルボキ
シフェニルホスホン酸である。これらは、本発明者が開
示した製造方法(欧州公開特許第855400号明細
書)によって製造することができる。開示の方法におい
て、ジアルコキシカルボニルブロムベンゼンと亜リン酸
トリアルキルから金属触媒下加熱することによりジアル
コキシカルボニルフェニルホスホン酸ジアルキルが得ら
れる。これを酸又は塩基によって加水分解することによ
りジカルボキシフェニルホスホン酸が高収率で製造され
る。
【0021】本発明のエステル化は、これらの原料とア
ルキルアルコールを酸触媒下、加熱することによって行
われる。アルキルアルコールの種類としては、炭素数1
〜10の主に鎖状アルコールが使用できる。
【0022】具体的には、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、
s−ブタノール、i−ブタノール、n−ペンタノール、
n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノー
ル、n−ノナノール、n−デカノールなどが挙げられ
る。より好ましくは、安価で、反応後過剰分の留去し易
い炭素数1〜4のアルコール類が用いられる。その使用
量は、原料であるジカルボキシフェニルホスホン酸に対
して2モル倍以上必要で、過剰量が好ましい。通常は、
2〜100モル倍、より好ましくは、5〜50モル倍使
用する。
【0023】次に本反応で必須の酸触媒であるが、硫
酸、塩酸、臭化水素酸などの無機鉱酸、p−トルエンス
ルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸など
の有機酸、アンバーライト(登録商標)IR−120、
IR−200などの強酸性陽イオン交換樹脂、塩化亜
鉛、酢酸亜鉛、酢酸カドミウムなどの周期律表第II族化
合物の脂肪酸塩、又はスカンジウムトリフラート、イッ
テルビウムトリフラート、ランタニウムトリフラート、
ハフニウムトリフラート、スカンジウムトリフルオロメ
タンスルホナート、イッテルビウムトリフルオロメタン
スルホナート、ランタニウムトリフルオロメタンスルホ
ナート、ハフニウムトリフルオロメタンスルホナートな
ど稀土類ルイス酸触媒が使用することができる。
【0024】酸触媒の中でも特に好ましいものは、安価
な硫酸又はp−トルエンスルホン酸である。硫酸の場合
は、硫酸濃度としては、通常80〜100%のものを使
用し、高い方が好ましい。使用量は、原料であるジカル
ボキシフェニルホスホン酸に対して、硫酸が5〜50重
量%、好ましくは10〜30重量%が良い。p−トルエ
ンスルホン酸の場合は、使用量は、原料であるジカルボ
キシフェニルホスホン酸に対して、p−トルエンスルホ
ン酸が2〜50重量%、好ましくは5〜50重量%が良
い。
【0025】反応温度は、アルコールの沸点で行うのが
一般的であるが、通常は、50〜200℃間で、より好
ましくは、60〜150℃間で行なわれる。反応時間は
原料の消失によって終了とする。
【0026】反応後は、過剰のアルコールを留去後、酢
酸エチルやトルエンを添加し析出した結晶を濾過により
分離し、洗浄及び乾燥することによって、目的とするジ
アルコキシカルボニルフェニルホスホン酸(以下、DA
CPPAと略号で表記する。)が得られる。
【0027】次にジアルコキシカルボニルフェニルホス
ホン酸水素アルカリ金属塩及びジアルコキシカルボニル
フェニルホスホン酸二アルカリ金属塩の製造方法につい
て述べる。反応は、上記製法で得られたDACPPAと
塩基によって行われる。塩基としては、金属水酸化物、
金属炭酸塩、金属アルコキシドなどが用いられる。金属
種としては、アルカリ金属として、Li、Na、K、C
sなどである。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素
カリウム、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシ
ド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリ
ウムエトキシド、セシウムメトキシドなどを挙げること
ができる。これらの中で好ましいものは、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリ
ウムエトキシド及び炭酸ナトリウムである。塩基の使用
量は、アルカリ金属塩基の場合は、DACPPAに対し
て1モル当量使用することにより、ジアルコキシカルボ
ニルフェニルホスホン酸水素金属塩が得られ、2モル当
量使用することにより、ジアルコキシカルボニルフェニ
ルホスホン酸二金属塩が得られる。
【0028】溶媒は水及びアルコール類が使用できる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−
プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i
−ブタノール、s−ブタノールなどが挙げられる。好ま
しくは、メタノール及びエタノールである。使用量は、
DACPPAに対して1〜20重量倍が、好ましくは2
〜10重量倍が使用できる。
【0029】反応温度は、−20〜100℃間で、好ま
しくは、0〜50℃で行うことができる。
【0030】反応後は、生成物が晶析する場合は、濾過
により分離し、洗浄及び乾燥することにより目的とする
ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸アルカリ金
属塩が得られる。又、反応液が均一の場合は、そのまま
難溶性溶媒を添加するか、濃縮後難溶性溶媒を添加し、
晶析した結晶を、濾過分離後乾燥することによって目的
物が得られる。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以
下実施例にて採用した実験・分析手法を説明する。 [高速液体クロマトグラフィー分析]実施例2〜10で
は、生成物の同定として採用した。
【0032】高速液体クロマトグラフィー条件:装置
Shimadzu LC−10A、カラム YMC社製
Pack ODS−AM(4.6mmφ×250m
m)、オーブン温度 40.0℃、キャリヤー溶媒 水
/アセトニトリル/酢酸(600/300/45(V/
V/V))混合溶媒、検出方法 UV検出法(240n
m) [質量分析法(MASS)]実施例1、11、12及び
15では、反応生成物の同定としてFD法を採用した。
【0033】FD法装置はJEOL社製SX−102を
用いた。 [プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)]実施例1、
11、12、15及び16では、反応生成物の同定とし
てプロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)を採用した。
【0034】プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)条
件:装置 VARIAN社製 INOVA400、測定
溶媒 CDCl3又はD6−DMSO、基準物質 テトラ
メチルシラン(TMS) [13C核磁気共鳴法(13C−NMR)]実施例1では、
反応生成物の同定として13C核磁気共鳴法(13C−NM
R)を採用した。
【0035】13C核磁気共鳴法(13C−NMR)条件:
装置 VARIAN社製 INOVA400、測定溶媒
6−DMSO [融点測定器] 実施例11、15 柳本製作所:MICRO MELTING POINT
APPARATUS[熱分析(TG−DTA)] 実施例1、11、12、15及び16では、TG−DT
Aを用いて、融点を測定した。
【0036】TG−DTA測定条件:装置 リガク製
THERMOFLEX TAS200(TG811O
D) [原子吸光光度計]実施例12、14、15及び16の
Na定量分析として原子吸光光度計を採用した。
【0037】 装置:島津製作所 AA−6400F ランプ:ポロカソードランプ(Na)(浜松ホトニクス(株)) 条件:波長:589nm ランプ電流:6mA 燃焼ガス:Air−C22(アセチレン) 実施例1 内容量50mlの冷却管付パイレックスガラス製反応フ
ラスコに磁気撹拌子を入れ、次に3,5−ジカルボキシ
フェニルホスホン酸(以下、3,5−DCPPAと略号
で表記する。)4.92g(20ミリモル)、メタノー
ル32g及び95%硫酸0.53g(3,5−DCPP
Aに対して硫酸が10重量%)を入れ、浴温80℃で2
4時間還流撹拌して反応させた。反応液を液体クロマト
グラフィーで分析すると原料は、0.8面積%残余し、
新たなピークが98.9面積%で出現した。
【0038】続いて、濃縮によりメタノールの大部分を
留去した後(少し残す)、トルエン16mlを加え加温
後冷却すると結晶が析出した。そこで、さらに濾過、ト
ルエン洗浄、減圧乾燥することにより、白色結晶4.6
4g(収率84.6%)が得られた。この結晶の分析結
果は、以下の通りであった。 (結晶の同定結果) DTAピーク温度:209.7℃ MASS(FD+法)m/e(%):275(M+1,
100)1 H−NMR(400MHz,溶媒d6−DMSO基準物
質TMS)δppm:3.94(s,6H),8.51
(d,J=1.65Hz,1H),8.55(d,J=
1.65Hz,1H),8.62(s,1H),9.5
7(br,2H).13 C−NMR(100MHz,溶媒d6−DMSO,基
準物質TMS)δppm:52.2,78.0,78.
3,78.7,130.0,131.9,135.2,
135.3,164.8 以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジメトキシ
カルボニルフェニルホスホン酸(以下、3,5−DMC
PPAと略号で表記する。)であることを確認した。
【0039】実施例2〜8 実施例1に於て、メタノール量、硫酸量及び反応時間を
変えた他は同様に行い、得られた反応液の液体クロマト
グラフィー(LC)での分析結果を表1に示す。
【0040】
【表1】 表 1 実施例 メタノール 95%硫 酸* 反応時間 LC相対面積比(%) g(重量%) (h) 3,5-DCPPA 3,5-DMCPPA 2 32 0.27( 5) 4 37.5 60.1 3 32 0.53(10) 8 5.6 93.6 4 32 0.53(10) 13 1.2 98.5 5 32 0.81(15) 5 7.5 90.1 6 48 0.81(15) 5 8.8 89.0 7 21 1.06(20) 5 3.7 94.6 8 32 1.06(20) 6 4.7 93.0 *)95%硫酸欄の重量%は、原料DCPPAに対する硫酸の重量%を表す。
【0041】実施例9、10 実施例1に於て、3,5−DCPPA1.23g(5ミ
リモル)、メタノール12.3g、酸触媒及び反応時間
を変えた他は、同様に行い、得られた反応液の液体クロ
マトラフィー(LC)の分析結果を表2に示す。
【0042】
【表2】 表 2 実施例 酸 触 媒* 反応時間 LC相対面積比(%) mg(重量%) (h) 3,5-DCPPA 3,5-DMCPPA 9 CH3C6H4SO3H・H2O 123(10) 8 0 100 10 Sc(CF3SO3)3 62( 5) 8 0 100 *)酸触媒欄の重量%は、原料DCPPAに対する酸触媒の重量%を表す。
【0043】実施例11 実施例1と同様の反応器に磁気撹拌子を入れ、次に3,
5−DCPPA4.92g(20ミリモル)、エタノー
ル32g及び95%硫酸0.27g(3,5−DCPP
Aに対して硫酸が5重量%)を入れ、浴温100℃で8
時間還流撹拌させた。反応液を液体クロマトグラフィー
で分析すると相対面積比で原料が26%残余し、新たな
ピークが63%出現した。さらに、95%硫酸0.27
g(3,5−DCPPAに対して硫酸が5重量%)とエ
タノール20gを加え浴温100℃で24時間還流撹拌
を続けた。反応液を、再び液体クロマトグラフィーで分
析すると相対面積比で原料が2.1%残余し、新たなピ
ークが96.4%出現した。そこでこの反応液を濃縮に
よりエタノールを留去後、酢酸エチル25gを加え残渣
を溶解した。得られた酢酸エチル溶液を水15mlで洗
浄後、濃縮・減圧乾燥することにより白色結晶5.32
g(収率88%)が得られた。この結晶の分析結果は、
以下の通りであった。 (結晶の同定結果) 融点(℃):126〜9(目視) DTA吸熱最大値 139.5℃ MASS(FD+法)m/e(%):303(M+1,
100)1 H−NMR(400MHz,溶媒CDCl3,基準物質
TMS)δppm:1.39(d,J=6.56Hz,
6H),4.40(s,4H),8.63(s,2
H),8.75(s,1H) 以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジエトキシ
カルボニルフェニルホスホン酸(以下、3,5−DEC
PPAと略号で表記する。)であることを確認した。
【0044】実施例12 内容量50mlの冷却管付パイレックスガラス製反応フ
ラスコに磁気撹拌子を入れ、次に3,5−DMCPPA
2.74g(10ミリモル)とメタノール16.4gを
入れ、20℃で撹拌下に、28%ナトリウムメトキシド
メタノール溶液1.93g(10ミリモル)を滴下し
た。さらに30分間撹拌してから酢酸エチル16.4g
を加え、40℃でやや減圧濃縮後に氷冷した。続いて、
濾過、酢酸エチル洗浄、更に減圧乾燥して白色結晶2.
90g(収率98%)が得られた。
【0045】この結晶の分析結果は、以下の通りであっ
た。 (結晶の同定結果) TG−DTA:溶融開始温度304.4℃、ピーク温度
308.4℃、溶融停止温度320.7℃ MASS(FD+法)m/e(%):297(M+1,
14),275(100)1 H−NMR(400MHz,溶媒D2O,基準物質TM
S)δppm:3.85(s,6H),8.26(s,
2H),8.28(s,1H) Na分析:前処理として試料を硝酸溶液に溶解させた
後、原子吸光法にて定量した。 測定値8.0%(理論
値7.8%) 以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジメトキシ
カルボニルフェニルホスホン酸水素ナトリウムであるこ
とを確認した。
【0046】実施例13 実施例12に於て、反応後酢酸エチルに代えてトルエン
を加えた他は同様に反応及び後処理を行った。減圧乾燥
後得られた白色結晶は、2.75g(収率93%)であ
った。
【0047】実施例14 内容量50mlの冷却管付パイレックスガラス製反応フ
ラスコに磁気撹拌子を入れ、次に3,5−DMCPPA
3.30g(12ミリモル)とメタノール20.0gを
入れ、20℃で撹拌下に、28%ナトリウムメトキシド
メタノール溶液2.30g(12ミリモル)を滴下し
た。さらに30分間撹拌してから、濾過後メタノール洗
浄、更に550℃で2時間減圧乾燥して白色結晶3.1
0g(収率87%)が得られた。
【0048】Na分析:測定値7.8%(理論値7.8
%) 実施例15 内容量50mlの冷却管付パイレックスガラス製反応フ
ラスコに磁気撹拌子を入れ、次に3,5−DECPPA
3.02g(10ミリモル)とメタノール18.1gを
入れ、20℃で撹拌下に、28%ナトリウムメトキシド
メタノール溶液1.93g(10ミリモル)を滴下し
た。さらに30分間撹拌してからトルエン18.1gを
加え、40℃でやや減圧濃縮後に氷冷した。続いて、濾
過、トルエン洗浄、更に減圧乾燥して白色結晶3.14
g(収率97%)が得られた。
【0049】この結晶の分析結果は、以下の通りであっ
た。 (結晶の同定結果) 融点(℃):228〜232(目視) (TG−DTA:溶融開始温度197.8℃、ピーク温
度241.6℃) MASS(FD法)m/e(%):325(M+1,1
0),303(100)1 H−NMR(400MHz,溶媒D2O,基準物質TM
S)δppm:1.28(t,J=7.0Hz,6
H),4.22(d,J=7.0Hz,2H),4.6
9(d,J=11.4Hz,2H),8.19(s,2
H),8.21(s,1H) Na分析:測定値7.2%(理論値7.1%) 以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジエトキシ
カルボニルフェニルホスホン酸水素ナトリウムであるこ
とを確認した。
【0050】実施例16 内容量50mlの冷却管付パイレックスガラス製反応フ
ラスコに磁気撹拌子を入れ、次に3,5−DMCPPA
2.74g(10ミリモル)とメタノール27.4gを
入れ、20℃で撹拌下に、28%ナトリウムメトキシド
メタノール溶液3.86g(20ミリモル)を滴下し
た。さらに3時間撹拌してからトルエン32gを加え、
40℃で減圧濃縮し、約20g留去後氷冷した。続いて
濾過、トルエン洗浄、減圧乾燥して白色結晶3.3g
(収率97%)が得られた。
【0051】この結晶の分析結果は、以下の通りであっ
た。 (結晶の同定結果) DTAピーク温度:286.3℃1 H−NMR(400MHz,溶媒D2O,基準物質TM
S)δppm:3.82(s,6H),8.37(s,
1H),8.43(d,J=11.5Hz,2H) Na分析:測定値13.8%(理論値13.6%) 以上の結果より、結晶は目的とする3,5−ジメトキシ
カルボニルフェニルホスホン酸二ナトリウムであること
を確認した。
【0052】
【発明の効果】本発明により、樹脂改質剤として有用な
ジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸水素アルカ
リ金属塩及びジアルコキシカルボニルフェニルホスホン
酸二アルカリ金属塩、更にこれらの中間体であるジアル
コキシカルボニルフェニルホスホン酸を高収率で得られ
る製造方法を提供することができる。
【0053】例として、ポリエステル重合、ポリアミド
重合及びポリウレタン重合時において、本発明のジアル
コキシカルボニルフェニルホスホン酸水素ナトリウム又
はジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸二ナトリ
ウムを第三成分として添加すると、ジアルコキシカルボ
ニルフェニルホスホン酸水素ナトリウム又はジアルコキ
シカルボニルフェニルホスホン酸二ナトリウムにおける
アルコキシカルボニル基からアルコールが脱離してカル
ボン酸基となり共重合することとなる。
【0054】そして、上記共重合体より得られる繊維及
び樹脂は含リン物質の特性である難燃性を有する。すな
わち、難燃剤となる。
【0055】更に、染色性も向上させることができる。
本発明のアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸水素
アルカリ金属塩及びジアルコキシカルボニルフェニルホ
スホン酸二アルカリ金属塩は、反応型カチオン可染剤と
なる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 で表されるジカルボキシフェニルホスホン酸と一般式
    (II) 【化2】 (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
    で表されるアルコールを酸触媒の存在下で加熱すること
    を特徴とする、一般式(III) 【化3】 (式中、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
    で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I) 【化4】 で表されるジカルボキシフェニルホスホン酸と一般式
    (II) 【化5】 (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
    で表されるアルコールを酸触媒の存在下で加熱すること
    により一般式(III) 【化6】 (式中、R2は炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
    で表されるジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸
    を生成させ、 次に、このジアルコキシカルボニルフェニルホスホン酸
    (III)と一般式(IV) 【化7】 (式中、M1はアルカリ金属を表し、R3は水素原子又は
    炭素数1〜10のアルキル基を表す。)で表される金属
    水酸化物又は金属アルコキシドとを反応させることを特
    徴とする一般式(V) 【化8】 (式中、M2はアルカリ金属を表し、R4は水素原子又は
    炭素数1〜10のアルキル基を表す。)又は一般式(V
    I) 【化9】 (式中、M3はアルカリ金属を表し、R5は水素原子又は
    炭素数1〜10のアルキル基を表す。)で表されるジア
    ルコキシカルボニルフェニルホスホン酸金属塩の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 酸触媒が硫酸又はp−トルエンスルホン
    酸であることを特徴とする請求項1及び2記載の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6852750B2 (en) 2000-05-30 2005-02-08 Guilford Pharmaceuticals, Inc. Benzenedicarboxylic acid derivatives
CN115572364A (zh) * 2022-11-07 2023-01-06 重庆宏国聚材科技有限责任公司 一种溶剂型高分子磷酸盐及其制备方法和应用

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CN115572364A (zh) * 2022-11-07 2023-01-06 重庆宏国聚材科技有限责任公司 一种溶剂型高分子磷酸盐及其制备方法和应用

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