JP4192373B2 - 光ディスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクに係り、特に、異なる記録密度の異なる規格からなる複数の記録層を有した光ディスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マルチメディア等の興隆に伴い、ディジタル動画のような大容量の情報を取り扱う要請が生じており、大容量の情報を蓄積可能な光記録媒体(光ディスク)の要求が高まっている。そして、この光記録媒体(光ディスク)の記録容量に対する要求は、ますます大容量化の方向へ進んでいる。例えば、CD(コンパクトディスク)の記録容量は、650MB(メガバイト)レベルであったが、DVDの登場により、その記憶容量は4.7GB(ギガバイト)レベルにまで拡大された。
【0003】
現在では、図5に示すような、光源の短波長化により20GBレベルの大容量記録が可能な「次世代高密度記録用光ディスク」が複数提案されている(例えば、平成11年秋季応用物理学会学術講演会 講演予稿集、2p−ZY−7、3p−ZC−1〜2参照)。
【0004】
図5に示す次世代高密度記録用光ディスクは、適当な高密度ディスク基板15の最表面に凹凸形状部が形成され、CDと同様に、アルミニウム(Al)等の金属薄膜からなる反射膜を堆積し、高密度記録層5としている。そして、高密度記録層5の形成後、厚さ100〜120μm程度の保護層(シート等を使用)7を高密度記録層5の上に設けている。図5に示す次世代高密度記録用光ディスクの再生時は、保護層7側より、波長λ=410nm帯のレーザ光(高密度記録層読取り光)8を、開口数(NA)=0.7〜0.85程度のレンズを用いて集光して照射し、反射光から高密度記録層5に記録された情報を読取る。図5に示す次世代高密度記録規格の光ディスクでは、主に基板傾きによる収差発生を防止する目的から、読取り時に透過する媒体、即ち保護層7の厚さtpを、tp<100〜200μm程度に薄くし、保護層7を高密度記録層読取り光8が透過して再生する方法が複数提案されている。即ち、厚い主基板(高密度ディスク基板)15を高密度記録層読取り光8が透過しない光学的設計がなされた構造が複数提案されている。
【0005】
図5に示す次世代高密度記録用光ディスクのレベルの高密度光記録媒体が市販されるようになれば、現在のDVDは中密度光記録媒体とみなされるであろう。そして、市場には、CD等の低密度光記録媒体、DVDなどの中密度光記録媒体、及び上記のような高密度光記録媒体が混在し、複数の規格が併存する状況となるであろうと予測される。
【0006】
図4はDVDの構造例を示す断面図である。図4に示すように、DVDは、厚さ0.6mm、直径12cmの透明基板(第1の基板)1の表面に凹凸形状部を形成し、更にAl等の全反射膜を配置して記録層3を形成している(本発明においては、以後、DVD相当の記録層を「中密度記録層」3と呼ぶこととする。)。更に、この透明基板(第1の基板)1と、厚さtd=0.6mm、直径12cmの透明平板12とを接着層6を介して貼り合わせ、DVDが組み立てられている。この貼り合わせにより、DVDの全体のディスク厚tDは、CDと同じ1.2mmとなる。図4に示すDVDを再生する時は、凹凸形状部(中密度記録層)3を形成した透明基板(第1の基板)1の裏面側から、波長λ=650nm帯のレーザ光(中密度記録層読取り光)9を、NA=0.6程度のレンズを用いて集光して照射し、その反射光から凹凸形状部(中密度記録層)3に記録された情報を読取る。
【0007】
なお、図示を省略したDVD2層ディスクの場合は、図4に示した下側の第1の基板1だけでなく、上側の第2の基板12の表面にも、ピットを形成し第2の記録層とする。第1の基板1側の第1の記録層には半透明膜、第2の基板12側の第2の記録層にはCD等と同様の全反射膜を形成し、透明な接着層6を介して貼り合わせを行なう。この際の2層の間隔ΔdをΔd=55±15μmに厳密に設定する必要がある。再生時は、半透明膜を形成した第1の基板1の側から、波長650nm帯のレーザ光を用いた第1及び第2の記録層読取り光を、NA=0.6程度のレンズで集光させ、反射光から、第1及び第2の記録層に記録された情報を得る。第1及び第2の記録層とも、レンズのフォーカシング動作で層選択を行なうことで、再生可能である。結局、DVD2層ディスクにおいて、上方の第1の基板12を平板としたのが、DVD単層ディスクと考えることも可能である。
【0008】
さて、現在は、CD等の低密度光記録媒体とDVDなどの中密度光記録媒体とが混在している。ユーザの取り扱いの煩雑さや再生装置の重複を避ける目的から、低密度記録規格と中密度記録規格の光ディスクを、同一再生装置で再生する技術も多く発表されている。つまり、DVD再生装置においても、先行規格であるCDとの互換再生機能が事実上必須とされている。
【0009】
このため、再生装置側では、複数の光源や、複数の基板厚さに適合する光学系が開発されてきた。同時に、光ディスク側でも、このような互換性実現のための試みが開始されている。例えば、「スーパー・オーディオCD(SACD)」として商品化され始めた言わば中密度音楽用ディスクでは、図6に示すような「ハイブリッドSACD」と称する多層構造の光ディスクが提案されている(特開平9−91752号公報等参照)。このハイブリッドSACDは、第1の基板1と第2の基板24の2枚の基板を貼り合わせ、中間に中密度記録層3、最上層にCD規格の低密度記録層19を設けることにより、再生装置の互換性を可能としている。即ち、厚さtS=0.6mm、直径12cmの透明の第1の基板1の表面に凹凸形状部を形成し、この凹凸形状部の上に半透過膜を堆積し、中密度記録層3を形成している。更に、第1の基板1と同様な、厚さ0.6mm、直径12cmの透明の第2の基板24の表面に凹凸形状部を形成し、この凹凸形状部の上にはCD等と同様の全反射膜を堆積し低密度記録層19を形成している。そして、第1の基板1及び第2の基板24を透明な接着層6で貼り合わせている。2枚の基板を貼り合わせている点では、図4に示したDVD単層ディスクや図示を省略したDVD2層ディスクと基本的に同じである。ただし、ハイブリッドSACDでは、上方の第2の基板24の最上部に凹凸形状部(低密度記録層)19が位置するようにし、下方の第1の基板1の最上部に中密度記録層3が位置するようにし、それぞれの基板の方向を合わせている。こうして、最上部凹凸形状部層(低密度記録層)19は、CD規格に準拠した凹凸形状部が形成され、ディスクの中央部には中密度記録層3が形成されている。図6に示すハイブリッドSACDの再生方法は2種類存在する。
【0010】
(a)SACDとしての再生時は、半透過膜からなる中密度記録層3を形成した第1の基板1の側から、波長λ=650nm帯のレーザ光(中密度記録層読取り光)9を、NA=0.6程度のレンズを用いて集光して照射し、反射光から中密度記録層3に記録された情報を読取る。即ち、DVDと同等の再生方法である。
【0011】
(b)一方、SACDとしての記録密度(情報量)は得られないものの、CDとみなしての再生も可能である。この再生時は、第1の基板1の側から、波長λ=780nm帯のレーザ光(低密度記録層読取り光)10を、NA=0.45程度のレンズを用いて集光して照射し、反射光から情報を読取る。
【0012】
こうして、図6に示すハイブリッドSACDを、CD再生装置を用いて再生すれば、ハイブリッドSACDを通常のCDとみなしての再生が可能となる。このように、ハイブリッドSACD方式を用いれば、同一コンテンツを、従来CDと、SACD(高品位音響)の2種の方式で1枚のディスクに格納出来るため、このディスクのみ購入することで、他の(広く普及した)従来のCD再生装置でも互換再生が可能であるという利点を有する。このため、消費者は、どの規格の再生装置であるかを問わずに、同一コンテンツは1枚の購入で済ませることが可能となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、高密度・大容量化の要求から、現在のDVD規格よりも更に高密度の次世代高密度記録規格が登場すると、現在のCD相当の低密度記録規格,DVD相当の中密度記録規格に加え、高密度記録規格の第3の規格が加わることになる。従って、再生装置が複雑化するのみならず、従来普及しているCD再生装置のみや、DVD再生装置のみを保有するユーザに対するコンテンツ供給を妨げる危険を有する。
【0014】
図6に示したハイブリッドSACDは、CD再生装置のみを保有するユーザにもCD品位でのコンテンツを供給可能とすることを意図したものである。しかし、DVD相当の中密度記録層3を持つ第1の基板1と、CD相当の低密度記録層19を持つ第2の基板24を独立に作製し、貼り合わせる構造となっているため、光ディスクの製造コストが高くなるという欠点を有する。つまり、CD製造コストとSACD製造コストの両方が重畳され、コスト高となる。これゆえ、現実にソフト製作(ソフトメーカ)側の同意が得られず、製品としてのハイブリッドSACDは事実上皆無となっている。
【0015】
また、複数層を同一表面方向から再生するためには、中密度記録層3は半透過層にする必要があり、反射率の低下から特性の劣化を招いていた。この解決のために波長選択膜を使用すると、更に、コスト高になるという欠点を有していた。
【0016】
また、光ディスクにおいては、読取り光が透過する光透過層の厚みtは厳密に制御する必要があるので、図6に示したハイブリッドSACDや、図示を省略したDVD2層ディスクにおいて、接着層の厚さを含めて各層の厚さ、及び全体の厚さを厳密に制御する必要があり、コスト高の原因となっていた。即ち、光透過層の厚みtの厚さ誤差Δtは、対物レンズの設計中心、NA値、及び読取り光の波長等により上限がある。光透過層の厚さ誤差Δtが、スポットに与える収差量は、NA値及び読取り光の波長に規定される。具体的には、システム側に要請として、CDの場合には、NA=0.45の場合は、光透過層の厚さ誤差ΔtCDの上限(規格)は±100μmである。DVDの場合には、NA=0.6において、光透過層の厚さ誤差ΔtDVDの上限(規格)は±30μmとされている。DVD2層ディスクの場合、接着層6の部分の間隔Δd=55±15μmが規格として規定されているのは、Δdを2|ΔtDVD|=60μm程度に納める必要があるからである。
【0017】
このような、CD規格とDVD規格のディスクが併存する状況に対応した再生互換の問題は、現在のDVD規格が中密度記録規格とみなされるであろう次世代の高密度記録規格が実用化される際にも当然予想される状況である。即ち、近い将来、DVD規格とDVD規格よりも高密度の光ディスク規格(高密度記録規格)との再生互換の問題が現実化すると予想される。従って、次世代高密度記録規格(高密度記録規格)とDVD規格(中密度記録規格)との両用再生可能なディスク構造が課題となっている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題に鑑み、安価で、且つ特性の劣化がなく、現在の中密度記録規格(DVD規格)よりも高密度の次世代高密度記録規格(高密度記録規格)と中密度記録規格(DVD規格)とが、両用再生可能な光ディスクを提供しようとするものである。
【0019】
本発明の他の目的は、低密度記録規格、中密度記録規格及び高密度記録規格(次世代高密度記録規格)と記録密度の異なる3規格の光ディスクに対して、互換性を有し、それぞれの規格で再生可能な光ディスクを提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、接着層等の中間層の厚さを含めて各層の厚さの制限が緩やかで、所望の厚さを容易に実現でき、低コスト化が容易な複数規格互換再生可能な光ディスクを提供することである。
【0031】
本発明の特徴は、第1及び第2の主表面を有し、第3波長の光に対して透明で光ディスク規格厚の1/4の厚さの第1の基板;第1の基板の第2の主表面に設けられた第1凹凸形状部;第1凹凸形状部の表面に、第3波長より短い第1波長の光を反射し、第3波長の光を透過する反射率を有する波長選択膜を堆積して構成された第1情報記録層;第1情報記録層の表面に設けられ、第1波長及び第3波長の光に対して透明な第1接着層;第1及び第2の主表面を有し、第1接着層に第1の主表面を接し、第1波長及び第3波長の光に対して透明な光学材料からなる第2の基板;第2の基板の第2の主表面に設けられた第1凹凸形状部よりも高密度の第2凹凸形状部;第2凹凸形状部の表面に、第1波長よりも短かい第2波長の光を反射し、第1波長及び第3波長の光を透過する波長選択膜を堆積して構成した第2情報記録層;第2情報記録層の表面に形成され、第1乃至第3波長の光に対して透明で、厚さ10μm乃至200μmの第1保護層;第1の基板の第1の主表面に設けられ、第3波長の光に対して透明な第2接着層;第1及び第2の主表面を有し、第2接着層に第2の主表面を接し、第3波長の光に対して透明で、第1の基板と等しい厚さの第3の基板;第3の基板の第1の主表面に設けられた第1凹凸形状部よりも低密度の第3凹凸形状部;第3凹凸形状部の表面に、第3波長の光を実質的に完全反射する反射膜を配置して構成した第3情報記録層;第3情報記録層の表面に形成された第2保護層とからなる光ディスクであることである。第1保護層の厚さは100〜120μm程度がより好ましい。第2の基板の厚さは約0.5mm程度に選定可能である。
【0032】
本発明の特徴に係る光ディスクは、低密度記録規格も含めた3規格の互換再生構造を有する光ディスクを提供するものである。そして、本発明の特徴に係る光ディスクの再生に用いる光源は、例えば、第1情報記録層に記録された情報を読み出すための光は第1波長λ1=630〜670nmの範囲の波長を有するように選ぶことが出来る。また、第2情報記録層に記録された情報を読み出すための光は、第2波長λ2=390〜430nmの範囲の波長を有するように、第3情報記録層に記録された情報を読み出すための光は、第3波長λ3=760〜810nmの範囲の波長を有するように選ぶことが可能である。このため、第2情報記録層及び第1情報記録層に用いる半透明膜としての波長選択膜の作製は、第1波長λ1、第2波長λ2、第3波長λ3の光の波長が、それぞれ互いに大きく異なるため、誘電体多層膜等を用いれば容易に実現出来る。例えば、第2情報記録層に用いる波長選択膜が、第1波長λ1の光を20〜40%透過するように構成することは容易に可能である。あるいは、第2情報記録層及び第1情報記録層に用いる波長選択膜が波長760〜810nmの光を60%以上透過するように構成することは容易に可能である。 特に、同一方向入射で3層再生しているので、1層当たりに換算すればコスト的には十分安価となる。従って、例えば、第1情報記録層、第2情報記録層及び第3情報記録層を、それぞれDVD規格、次世代高密度記録規格及びCD規格に対応させ、この3規格で再生可能な光ディスクが容易に実現出来る。
【0033】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の第1乃至第3の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0034】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクは、図1の断面図に示すように、第1の基板1;この第1の基板1の第1の主表面に設けられた第1凹凸形状部;第1凹凸形状部の表面に第1反射膜を配置して構成された第1情報記録層(中密度記録層)3;第1情報記録層(中密度記録層)3の表面に設けられた接着層6;接着層6に第2の主表面を接した第2の基板4;第2の基板4の第1の主表面に設けられた第2凹凸形状部;第2凹凸形状部の表面に第2反射膜を配置して構成した第2情報記録層(高密度記録層)5;第2情報記録層(高密度記録層)5の表面に形成された保護層7とから構成されている。
【0035】
第1の基板1は、第1波長λ1の光に対して透明な光学材料からなり、光ディスク規格厚tD=1.2mmの1/2の0.6mmの厚さtsを有する。第1の基板1に用いる透明基板としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂よりなるプラスチック基板やガラス基板等が好適である。「第1凹凸形状部」とは、第1トラック案内溝及び第1記録ピットからなる凹凸形状を有する部分である。第1凹凸形状部は、例えば、DVD規格に準拠した凹凸形状を構成すれば良い。第1反射膜は、第1波長λ1の光に対して70%以上の反射率を有する。好ましくは、アルミニウム(Al)、金(Au)等の金属薄膜からなる全反射膜である。第2の基板4は、透明基板である必要はないが、光ディスク規格厚tD=の1/2の0.6mmの厚さ、若しくは0.6mmより極く僅か薄い厚さである。「第2凹凸形状部」とは、第2トラック案内溝及び第2記録ピットからなる凹凸形状を有する部分で、第1凹凸形状部よりも高密度に形成されている。即ち、第2トラック案内溝のトラックピッチは第1トラック案内溝のトラックピッチよりも小さく形成され、第2記録ピットの光学密度は、第1記録ピットの光学密度よりも高密度に形成されている。この第2凹凸形状部は、例えば、次世代高密度記録規格の第2トラック案内溝及び第2記録ピットを有する。この場合は、例えば、トラックピッチ0.36μm、最短ピット長0.19μmに選べば良い。第2反射膜は、第1波長λ1よりも短かい第2波長λ2の光に対して70%以上の反射率を有する。
【0036】
保護層7は、第2波長λ2の光に対して透明な材料から構成され、厚さtp=10μm乃至200μmである。保護層7の厚さtpは、より好ましくはtp=100〜120μm程度とすれば良い。保護層7としては紫外(UV)線硬化樹脂等を使用出来る。保護層7の厚さtpは、第2波長λ2及び第2情報記録層(高密度記録層)5に照射するレンズのNA値によって決まる。例えば、第2波長λ2=0.4μmとし、NA≧0.78のレンズを用いて集光して、第2情報記録層(高密度記録層)5に第2波長λ2の光を照射するとすれば、最大厚みtpmax=180μmとなる。よって、保護層7の最大厚みは、180μm乃至200μm程度が好ましいといえる。一方、保護層7の厚さtpの下限は、第2情報記録層(高密度記録層)5を保護する保護機能が確保されるかによって決まる。即ち、本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクの信頼性や、レンズの保護層7表面への衝突の影響を考慮するとtpmin=10μm以上であることが好ましい。
【0037】
図1に示した本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクは:
(a) DVDとしての再生時は、透明基板である第1の基板1の側から、波長λ=650nm帯のレーザ光(中密度記録層読取り光)9をNA=0.6程度のレンズを集光して照射し、反射光から第1情報記録層(中密度記録層)3に記録された情報を読取る;
(b)次世代高密度記録用光ディスクとしての再生時は、保護層7側より、波長λ=410nm帯のレーザ光(高密度記録層読取り光)8をNA=0.7〜0.85程度のレンズを用いて集光して照射し、反射光から第2情報記録層(高密度記録層)5に記録された情報を読取る、
ことが可能である。
【0038】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクの構造によれば、DVDとしての中密度記録規格を満足する上、次世代高密度記録規格に対してもその仕様を完全に満足することが可能である。各基板1,4については、一面にのみ記録層を持ち、各々単純な全反射膜を形成しただけの、容易に作製可能な構造となっている。ここで、本発明では、第1情報記録層(中密度記録層)3及び第2情報記録層(高密度記録層)5の2層を逆方向から読取る構成としたため、2層構造でありながら、DVD2層ディスクやハイブリッドSACDと異なり、半透過膜構造や、透明接着層が不要である。また、接着層等の層間膜厚の精密な制御を必要としない。このため、製造工程が単純で製造歩留まりが高く、製造コストも安価になる。高密度記録層用基板となる第2の基板4については、透明であることも不要である。しかも、DVD2層ディスクの場合は、透明接着層の厚さΔdをΔd=55±15μmに厳密に制御する必要があった。従って、2枚の基板の貼り合わせ構造でありながら、DVD2層ディスクよりも、低い製造コストで製造することが可能である。
【0039】
本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクは以下のような製造工程で製造出来る。
【0040】
(イ)まず、厚さtd=0.6mm、直径12cmの第1の基板1及び第2の基板4の2枚を用意する。そして、第1の基板1の第1の主表面に、DVD規格に準拠した第1凹凸形状部を形成する。第1凹凸形状部の第1トラック案内溝は、第1の基板1がプラスチック基板の場合には射出成形によって形成すれば良く、ガラス基板の場合にはフォトポリマー法(2P法)によって形成すれば良い。この第1凹凸形状部の上に、真空蒸着やスパッタリング法により、アルミニウム(Al)、金(Au)等の金属薄膜を堆積し全反射膜を構成し、第1情報記録層(中密度記録層)3を形成する。
【0041】
(ロ)同様に、第2の基板4の第1の主表面に、次世代高密度記録規格に準拠した第2凹凸形状部を形成する。第2凹凸形状部の上に、真空蒸着やスパッタリング法により、アルミニウム(Al)、金(Au)等の金属薄膜を堆積し、全反射膜を構成し、第2情報記録層(高密度記録層)5を形成する。そして、第2情報記録層(高密度記録層)5の上に、塗布法、真空蒸着、スパッタリング法、若しくはCVD法等によりにより、保護層7を形成する。
【0042】
(ハ)そして、第2の基板4の最上部に第2情報記録層(高密度記録層)5の凹凸形状部面が位置し、下方の第1の基板1の上面、即ち両基板の中間に、第1情報記録層(中密度記録層)が位置するように、第1の基板1と第2の基板4とを接着層6で貼り合わせる。
【0043】
既に説明したように、光ディスクにおいては、情報記録層にまで到達する光透過層の厚さ誤差Δtについて厳しい要求がある。即ち、光透過層の厚みtが、対物レンズの設計中心からずれた場合、光透過層の厚さ誤差Δtがスポットに与える収差量は、NA値及びレーザ光の波長λに比例する。具体的には、CDの場合には、NA=0.45が実用化されているので、この場合は、光透過層の厚さ誤差ΔtCDの規格は±100μmである。また、DVDの場合には、NA=0.6でΔtDVDの規格は±30μmである。本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクによれば、次世代高密度記録規格に対応した第2情報記録層(高密度記録層)5とDVD規格に対応した第1情報記録層(中密度記録層)3では、再生時読取り光の入射面が逆であるゆえに、DVDでは保護層7の厚さ誤差Δtは光学的には関与せず、一方、第2情報記録層(高密度記録層)5に記録された情報の読取りには、第1の基板1の厚さ誤差ΔtDVDは光学的に関与していない。更に、第2の基板4の厚さは第1情報記録層(中密度記録層)3及び第2情報記録層(高密度記録層)5のいずれにも影響を与えないので厚さの選択の自由度を有している。従って、第1の基板1の厚さを第1情報記録層(中密度記録層)3に対して最適に、保護層7の厚さを第2情報記録層(高密度記録層)5に対して最適化することが容易である。しかも第2の基板4の厚さの選択性があるので、第1の基板1、接着層6、第2の基板4、保護層7の厚さの合計を、光ディスク規格厚(許容範囲ΔtCDを考慮したCDの規格厚tD+|ΔtCD|の範囲内)に設定することが極めて簡単である。従って、第1の基板1の基板厚をDVD規格に、保護層7の厚さtpを次世代高密度記録規格に最適化し、同時に全体の厚さが光ディスク規格厚を満足するディスクの作製が簡単に得られる。
【0044】
本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクによれば、例えばNTSC現行放送品位と、高精細放送品位の両方で同一のコンテンツが記録されたディスクが容易に作製可能である。従って、ダウンコンバートや、青色LDを用いた次世代高密度記録用光ディスク再生装置を有しないユーザでも、DVD再生装置での第1情報記録層(中密度記録層)3に記録された情報の再生が可能であり、再生装置を問わないコンテンツ流通が可能である。
【0045】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクは、図2に示すように、第1の実施の形態に係る光ディスクの構造を基本としているが、第2情報記録層(高密度記録層)16及び第1情報記録層(中密度記録層)3の2層に記録された情報を、共に同一の方向から照射する高密度記録層読取り光8及び中密度記録層読取り光9で読取る構造としている点が異なる。従って、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクは、第1の実施の形態に係る光ディスクの構造を上下反転した第1の基板1と第2の基板4との位置関係となっている。
【0046】
即ち、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクは、第1の基板1;第1の基板1の第2の主表面に設けられた第1凹凸形状部;第1凹凸形状部の表面に反射膜を配置して構成された第1情報記録層(中密度記録層)3;第1情報記録層(中密度記録層)3の表面に設けられた接着層6;接着層6に第1の主表面を接した第2の基板4;第2の基板4の第2の主表面に設けられた第2凹凸形状部;第2凹凸形状部の表面に第2波長λ2の光を反射し、第1波長λ1の光を透過する波長選択膜を堆積して構成した第2情報記録層(高密度記録層)16;第2情報記録層(高密度記録層)16の表面に形成された保護層7とから構成されている。つまり、図2に示した第1の基板1と第2の基板4との位置関係において、接着層6により、第1の基板1と第2の基板4とを接着した構造となっている。
【0047】
第1の基板1は透明基板である必要はないが、光ディスク規格厚tD=1.2mmの1/2の0.6mmの厚さ、若しくは0.6mmより極く僅か薄い厚さtsを有する。第1凹凸形状部は、第1トラック案内溝及び第1記録ピットからなる凹凸形状を有する部分で、例えば、DVD規格に準拠した凹凸形状を有する。第1凹凸形状部の表面に堆積された反射膜は、第1波長λ1の光に対して70%以上の反射率を有する。好ましくは、アルミニウム(Al)、金(Au)等の金属薄膜からなる全反射膜である。接着層6は第1波長λ1の光に対して透明な材料から構成されている。第2の基板4は、第1波長λ1に対して透明な光学材料からなり、光ディスク規格厚の1/2の厚さの0.6mmの厚さである。第2凹凸形状部は、第2トラック案内溝及び第2記録ピットからなる凹凸形状を有する部分で、第1凹凸形状部よりも高密度に形成されている。即ち、第2トラック案内溝のトラックピッチは第1トラック案内溝のトラックピッチよりも小さく形成され、第2記録ピットの光学密度は、第1記録ピットの光学密度よりも高密度に形成されている。この第2凹凸形状部は、例えば、次世代高密度記録規格の第2トラック案内溝及び第2記録ピットを有する。この場合は、例えば、トラックピッチ0.36μm、最短ピット長0.19μmに選べば良い。第2凹凸形状部の表面に堆積された波長選択膜は、第1波長λ1よりも短かい第2波長λ2の光を反射し、第1波長λ1の光を透過する光学的特性を有する。この第2情報記録層(高密度記録層)16を構成する波長選択膜は、例えば、第1波長λ1=約650nm帯の中密度記録層読取り光9と第2波長λ2=約410nm帯の高密度記録層読取り光8とに対して波長選択性を有する半透過膜となっている。即ち、第1波長λ1=650nm帯のレーザ光に対する透過率を所定値以上とし、第2波長λ2=410nm帯のレーザ光に対する反射率を所定値以上としている。この波長選択膜は、酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化膜(SiO2)、窒化膜(Si3N4)等の所定の組み合わせを用いた誘電体多層膜を用いることが出来る。
【0048】
第2情報記録層(高密度記録層)16の表面に形成される保護層7は、第2波長λ2の光に対して透明な材料から構成され、厚さtp=10μm乃至200μmである。保護層7の厚さtpは、より好ましくはtp=100〜120μm程度とすれば良い。保護層7としては紫外(UV)線硬化樹脂等を使用出来る。例えば、第2波長λ2=0.4μmとし、NA≧0.78のレンズを用いて集光して、第2情報記録層(高密度記録層)16に第2波長λ2の光を照射するとすれば、最大厚みtpmax=180μmとなる。よって、保護層7の最大厚みは、180〜200μm程度が好ましいといえる。保護層7の厚さtpの下限は、第2情報記録層(高密度記録層)16を保護する保護機能が確保されるかによって決まる。即ち、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクの信頼性や、レンズの保護層7表面への衝突の影響を考慮するとtpmin=10μm以上であることが好ましい。
【0049】
本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクは、2層DVDやハイブリッドSACDと異なり、この2層の再生に用いる光源は、第1波長λ1=約650nm帯の中密度記録層読取り光9と第2波長λ2=約410nm帯の高密度記録層読取り光8で、波長が互いに大きく離れている。従って、第1波長λ1=約650nm帯の中密度記録層読取り光9を透過し、第2波長λ2=約410nm帯の高密度記録層読取り光8を高反射率にするような波長選択性を持つ第2情報記録層(高密度記録層)16用の波長選択膜の作製は十分容易である。従って、本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクは製造が容易で、反射率の低下に伴う特性の劣化も少なく、工業的に大きな利点を有する。従って、同一方向入射での2層再生でも、第1の実施の形態に匹敵する性能が期待出来る上、コストも全く同等と考えられる。
【0050】
また、同一方向からの読取りゆえ、ディスク上面に従来と同様のレーベル層が形成可能である。
【0051】
本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクにおいては、第2情報記録層(高密度記録層)16の表面に形成する保護層7の厚さtpは、10μm乃至200μm程度と薄くて良いので、第2の基板4の厚さを第1情報記録層(中密度記録層)3に対して最適にし、保護層7の厚さtpを第2情報記録層(高密度記録層)16に対して最適化し、しかも第1の基板1、接着層6、第2の基板4、保護層7の厚さの合計を、光ディスク規格厚tDの許容範囲内に設定することも容易である。
【0052】
また、第1の実施の形態に係る光ディスクと同様に、NTSC現行放送品位(中密度記録規格)と、高精細放送品位(次世代高密度記録規格)の両方で、同一のコンテンツが記録された光ディスクを容易に作製可能である。また、次世代高密度記録用光ディスク再生装置(次世代高密度記録再生装置)を有しないユーザでも、中密度記録規格のDVD再生装置での再生が可能であり、再生装置を問わないコンテンツ流通が可能となる。
【0053】
(第3の実施の形態)
図3に示す本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクは、第2の実施の形態に係る光ディスクの応用例であり、低密度記録規格であるCD規格も含めた3規格の互換再生構造を有する光ディスクを提供するものである。即ち、本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクは、第1の基板17;第1の基板17の第2の主表面に設けられた第1凹凸形状部;第1凹凸形状部の表面に波長選択膜を堆積して構成された第1情報記録層(中密度記録層)3;第1情報記録層(中密度記録層)3の表面に設けられた第1接着層6;第1接着層6に第1の主表面を接した第2の基板4;第2の基板4の第2の主表面に設けられた第2凹凸形状部;第2凹凸形状部の表面に波長選択膜を堆積して構成した第2情報記録層(高密度記録層)16;第2情報記録層(高密度記録層)16の表面に形成された第1保護層7;第1の基板17の第1の主表面に設けられた第2接着層20;第2接着層20に第2の主表面を接した第3の基板18;第3の基板18の第1の主表面に設けられた第3凹凸形状部;第3凹凸形状部の表面に反射膜を配置して構成した第3情報記録層(低密度記録層)19;第3情報記録層(低密度記録層)19の表面に形成された第2保護層21とから構成されている。このように本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクは、第1の基板17、第2の基板4、及び第3の基板18を、第1接着層6及び第2接着層20で貼り合わせ、合計の厚さtD=約1.2mmとした構造である。
【0054】
第1の基板17は、光ディスク規格厚tDの1/4の厚さのts2=0.3mmである。第1凹凸形状部は、第1トラック案内溝及び第1記録ピットからなる凹凸形状を有する部分で、例えば、DVD規格に準拠した凹凸形状を有する。第1凹凸形状部の表面に堆積した波長選択膜は、第1波長λ1の光を反射し、第1波長λ1より長い第3波長λ3の光を透過する光学特性を有する。この波長選択膜は、酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化膜(SiO2)、窒化膜(Si3N4)等の所定の組み合わせを用いた誘電体多層膜を用いることが出来る。第1接着層6は、第1波長λ1及び第3波長λ3の光に対して透明な材料から構成されている。第2の基板4は、第1波長λ1及び第3波長λ3の光に対して透明な光学材料からなる。第2凹凸形状部は、第2トラック案内溝及び第2記録ピットからなる凹凸形状を有する部分で、第1凹凸形状部よりも高密度に形成されている。即ち、第2トラック案内溝のトラックピッチは、第1トラック案内溝のトラックピッチよりも小さく形成され、第2記録ピットの光学密度は、第1記録ピットの光学密度よりも高密度に形成されている。この第2凹凸形状部は、例えば、次世代高密度記録規格の第2トラック案内溝及び第2記録ピットを有する。この場合は、例えば、トラックピッチ0.36μm、最短ピット長0.19μmに選べば良い。第2凹凸形状部の表面に堆積された波長選択膜は、第1波長λ1よりも短かい第2波長λ2の光を反射し、第1波長λ1及び第3波長λ3の光を透過する光学特性を有する。この波長選択膜は、上記と同様な誘電体多層膜を用いることが出来る。第1保護層7は、第1波長λ1乃至第3波長λ3の光に対して透明で、厚さtp=10μm乃至200μm程度に形成されている。第1保護層7の厚さtpは、より好ましくはtp=100〜120μm程度とすれば良い。第1保護層7としては紫外(UV)線硬化樹脂等を使用出来る。例えば、第2波長λ2=0.4μmとし、NA≧0.78のレンズを用いて集光して、第2情報記録層(高密度記録層)16に第2波長λ2の光を照射するとすれば、最大厚みtpmax=180μmとなる。よって、第1保護層7の最大厚みは、180〜200μm程度が好ましいといえる。第1保護層7の厚さtpの下限は、第2情報記録層(高密度記録層)16を保護する保護機能が確保されるかによって決まる。即ち、本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクの信頼性や、レンズの第1保護層7表面への衝突の影響を考慮するとtpmin=10μm以上であることが好ましい。
【0055】
第2接着層20は、第3波長λ3の光に対して透明な材料で構成されている。第3の基板18の厚さは、光ディスク規格厚tDの1/4の厚さのts3=0.3mmである。第3凹凸形状部は、第3トラック案内溝及び第3記録ピットからなる凹凸形状を有する部分で、第1凹凸形状部よりも低密度である。この第3凹凸形状部は、例えば、CD規格の第3トラック案内溝及び第3記録ピットを有する。この場合は、例えば、トラックピッチ1.6μm程度に選べば良い。第3情報記録層(低密度記録層)19を構成する反射膜は、第3波長λ3の光に対して70%以上の反射率を有する。好ましくは、アルミニウム(Al)、金(Au)等の金属薄膜からなる全反射膜である。第2保護層21は紫外(UV)線硬化樹脂等を使用出来る。
【0056】
図3に示す本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクにおいては、第2情報記録層(高密度記録層)16、第1情報記録層(中密度記録層)3、及び低密度記録層19のすべての記録層を、同一の方向から照射する第2波長λ2の高密度記録層読取り光8、第1波長λ1の中密度記録層読取り光9、及び第3波長λ3の低密度記録層読取り光10で読取る構造としている。例えば、高密度記録層読取り光8は、波長λ2=410nm帯のレーザ光を用い、そのNA=0.7〜0.85程度のレンズを用いて集光して照射し、反射光から第2情報記録層(高密度記録層)16に記録された情報を読取る。中密度記録層読取り光9は、例えば、波長λ 1 =650nm帯のレーザ光を、NA=0.6程度のレンズを用いて集光して照射し、その反射光から第1情報記録層(中密度記録層)3に記録された情報を読取る。そして、低密度記録層読取り光10は、例えば、波長λ 3 =780nm帯のレーザ光を、NA=0.45程度のレンズを用いて集光して照射し、反射光から低密度記録層19に記録された情報を読取る。
【0057】
ここで、第2情報記録層(高密度記録層)16の波長λ 3 =780nm及びλ 1 =650nm帯のレーザ光に対する透過率を所定値以上とし、波長λ2=410nm帯のレーザ光に対する反射率を所定値以上とすることは、波長が異なるので比較的容易である。また、第1情報記録層(中密度記録層)3の波長λ 3 =780nmのレーザ光に対する透過率を所定値以上とし、波長λ1=650nm帯のレーザ光に対する反射率を所定値以上とすることは、波長が異なるので比較的容易である。従って、本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクをCDとみなして読取る際には、第3情報記録層(低密度記録層)19の低密度記録層読取り光10に対する所定の反射率と、第2情報記録層(高密度記録層)16及び第1情報記録層(中密度記録層)3の低密度記録層読取り光10に対する所定の透過率が得られ、良好なCD再生動作が可能である。DVDとみなして読取る際には、第1情報記録層(中密度記録層)3の中密度記録層読取り光9に対する所定の反射率と、第2情報記録層(高密度記録層)16の中密度記録層読取り光9に対する所定の透過率が得られ、良好なDVD再生動作が可能である。そして、第2情報記録層(高密度記録層)16に記録された情報を読取る際には、第2情報記録層(高密度記録層)16の高密度記録層読取り光8に対する所定の反射率が得られ、良好な高密度記録層再生動作が可能である。
【0058】
このように、本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクにおいては、第2情報記録層(高密度記録層)16及び第1情報記録層(中密度記録層)3に用いる半透明膜としての波長選択膜の作製は容易である。従って、本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクは製造が容易で、反射率の低下に伴う特性の劣化も少なく、工業的に大きな利点を有する。
【0059】
特に、同一方向入射で3層再生しているので、1層当たりに換算すればコスト的には十分安価となる。従って、CD、DVD、次世代高密度記録規格の3規格で再生可能な光ディスクが容易に実現出来る。
【0060】
また、同一方向からの読取りゆえ、ディスク上面に従来と同様のレーベル層が形成可能である。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1乃至第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0062】
例えば、既に述べた第3の実施の形態の説明においては、3枚の基板4,17,18の貼り合わせ構造としたが、第2の実施の形態のDVD側基板の裏面にCD用凹凸形状部を形成した構造とすれば、2枚の基板でも、光学的に同等な光ディスクが、更に安価に実現出来ることはいうまでもない。
【0063】
その他、基板厚や、透明/非透明基板のなどの選択、あるいは記録規格でCD/DVD以外の選択、あるいは記録型ディスク構造の混在を含め、特許請求の範囲に係る発明特定事項が規定する範囲内で自由に選択可能である。
【0064】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、次世代高密度記録用光ディスクにおいて、第1情報記録層(中密度記録層)と第2情報記録層(高密度記録層)とを同一ディスクに設け、且つ、ディスク基板の対向する2方向から再生する構造としているので、異なる2規格で再生可能なディスクを、容易、且つ安価に実現出来る。
【0066】
また、本発明によれば、次世代高密度記録用光ディスクにおいて、第1情報記録層(中密度記録層)と第2情報記録層(高密度記録層)を同一ディスクに設け、且つ、ディスク基板の同一方向から再生する構造としているので、簡単な装置で両層が再生可能である。
【0067】
更に本発明によれば、第1情報記録層(中密度記録層)、第2情報記録層(高密度記録層)及び第3情報記録層(低密度記録層)を同一光ディスクに設け、3種の方式のすべてにおいて、それぞれ再生が可能である。
【0068】
更に本発明によれば、接着層等の中間層の厚さを含めて各層の厚さの制限が緩やかであり、所望の厚さを容易に実現できるので、高性能で且つ低コストの複数規格互換再生可能な光ディスクを提供することが可能である。
【0069】
従って、本発明によれば、再生装置を問わない、広範囲なコンテンツ供給が、安価且つ容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光ディスクの概略構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る光ディスクの概略構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る光ディスクの概略構造を示す断面図である。
【図4】従来例に係るDVD単層ディスクの概略構造を示す断面図である。
【図5】従来例に係る次世代高密度記録用光ディスクの概略構造を示す断面図である。
【図6】従来例に係るハイブリッドSACDの概略構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1、17 第1の基板
2 回転(対称)軸
3 中密度記録層(第1情報記録層)
4 第2の基板
5、16 高密度記録層(第2情報記録層)
6 接着層(第1接着層)
7 保護層(第1保護層)
8 高密度記録層読取り光
9 中密度記録層読取り光
10 低密度記録層読取り光
11 第1の基板厚さ
12 透明平板
18 第3の基板
19 低密度記録層(第3情報記録層)
20 第2接着層
21 第2保護層
td 透明平板の厚さ
tD ディスク厚さ(光ディスク規格厚)
ts,ts2 第1の基板の厚さ
ts3 第3の基板の厚さ
tp 保護層の厚さ
Claims (3)
- 第1及び第2の主表面を有し、第3波長の光に対して透明で、光ディスク規格厚の1/4の厚さの第1の基板と、
前記第1の基板の第2の主表面に設けられた第1凹凸形状部と、
前記第1凹凸形状部の表面に、前記第3波長より短い第1波長の光を反射し、前記第3波長の光を透過する反射率を有する波長選択膜を堆積して構成された第1情報記録層と、
前記第1情報記録層の表面に設けられ、前記第1波長及び第3波長の光に対して透明な第1接着層と、
第1及び第2の主表面を有し、前記第1接着層に該第1の主表面を接し、前記第1波長及び第3波長の光に対して透明な光学材料からなる第2の基板と、
前記第2の基板の第2の主表面に設けられた前記第1凹凸形状部よりも高密度の第2凹凸形状部と、
前記第2凹凸形状部の表面に、前記第1波長よりも短かい第2波長の光を反射し、前記第1波長及び第3波長の光を透過する波長選択膜を堆積して構成した第2情報記録層と、
前記第2情報記録層の表面に形成され、前記第1乃至第3波長の光に対して透明で、厚さ10μm乃至200μmの第1保護層と、
前記第1の基板の第1の主表面に設けられ、前記第3波長の光に対して透明な第2接着層と、
第1及び第2の主表面を有し、前記第2接着層に該第2の主表面を接し、前記第3の波長の光に対して透明で、前記第1の基板と等しい厚さの第3の基板と、
前記第3の基板の第1の主表面に設けられた前記第1凹凸形状部よりも低密度の第3凹凸形状部と、
前記第3凹凸形状部の表面に、前記第3波長の光を実質的に完全反射する反射膜を配置して構成した第3情報記録層と、
前記第3情報記録層の表面に形成された第2保護層
とからなることを特徴とする光ディスク。 - 前記第1波長が630〜670nmの範囲の波長であり、前記第2波長が390〜430nmの範囲の波長であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
- 前記波長選択膜が前記第1波長の光を20〜40%透過することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の光ディスク。
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