JP4192012B2 - 品質評価装置及び品質計測用設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被計測物に対して光を投射する投光手段と、前記被計測物からの透過光又は反射光を分光する分光手段と、その分光手段にて分光された光を受光して分光スペクトルデータを出力する受光手段と、分光手段にて分光された光を前記受光手段の受光面に集光する集光手段と、前記分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成され、前記制御手段が、前記分光スペクトルデータを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと品質解析用の検量式とに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されている品質評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の品質評価装置は、被計測物から得られる透過光や反射光の特性に基づいて、被計測物として蜜柑や林檎等の果菜類における内部品質、例えば糖度や酸度等の内部品質を非破壊状態で計測するためのものであるが、このような品質評価装置においては、被計測物に対する計測作業が行われるに伴って、装置の経年変化等の種々の要因となって被計測物の品質評価値が本来求められるべき値からずれて計測誤差が生じてしまうことがある。例えば、被計測物に照射される光の光量が変化したり、受光する特定波長の光に対する受光特性が変化してその特定波長の光に対する吸収特性を精度よく求めることができなくなることがある。
【0003】
そこで、このような計測誤差を少なくするために、従来では、被計測物の代わりに一対の特定波長にピークを備えた波長校正用の光学フィルターを用いて受光手段の波長校正を行うようにしている。つまり、前記受光手段は、分光された各波長の光を受光するための複数の単位受光部を備えており、それら複数の単位受光部の夫々が受光すべき光の波長は常に同じ状態でなければ適正な分光スペクトルデータを計測できないが、被計測物に対する計測作業が行われるに伴って種々の要因によって複数の単位受光部の夫々が受光する波長が本来受光すべき波長からずれてしまうことがある。そこで、前記光学フィルターに光を照射して光学フィルターを通して得られた光を受光して得られた受光情報に基づいて、複数の単位受光部が本来受光すべき光の波長と合っていなければ、複数の単位受光部とそれらが受光する光の波長との対応関係を適正な状態となるように波長校正を行う構成となっている。
【0004】
又、波長のずれの場合と同様に、被計測物に対する計測作業が行われるに伴って、例えば投光手段の光量が変化する等の種々の要因によって、同じ被計測物を計測した場合であっても複数の単位受光部の夫々が受光する光量が異なった値に変化して本来受光すべき光量からずれてしまうことがある。そこで、予め透過度が判っているリファレンスフィルターを用いてそのリファレンスフィルターを計測したときの基準となる分光スペクトルデータと、計測対象である被計測物を計測したときの分光スペクトルデータとの比をとることによって計測データを正規化して上述したような光量変化による誤差を少なくして、品質評価値を精度よく計測するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−20042号公報(第3―4頁、図1、図3、図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成では、波長校正用の光学フィルターを用いて波長校正処理を行うようにしており、しかも、リファレンスフィルターを用いて基準となる光量を計測して、被計測物を計測したときの分光スペクトルデータを正規化して品質評価値を精度よく計測することができるようにしているので、装置の使用に伴う投光手段における光量の変動に起因した計測誤差や、受光手段における分光スペクトルデータにおける検出されたデータに対応する波長と実際の波長との間のズレに起因する計測誤差等を修正することは可能であるが、未だ次のような点で改善すべき余地があった。
【0007】
つまり、前記受光手段は、前記異なる波長毎の光の光量を各別に検出するために、その光量を例えば電荷量等の電気量情報に変換する複数の単位受光部を備えた光電変換装置やその他の光学部品等を備えて構成されるものであるが、このような受光手段に対して、被計測物からの光を光学レンズや凹面鏡等の集光装置を用いて集光した光を導くようになっている。つまり、受光手段の受光面上には集光されて焦点が合う状態で計測が行われるようになっているが、このような受光手段を組み付ける場合における組み付け誤差に起因して、複数の品質評価装置を生産した場合に個々の装置においてはその焦点位置に対する受光手段の位置が僅かに少しづつ位置ずれして、同じ被計測物を計測した場合であっても計測される品質評価値が異なったものとなるおそれがある。
【0008】
又、上記したようなリファレンスフィルターは、品質評価装置を複数生産する場合に個々の品質評価装置夫々に装備されることになるが、このリファレンスフィルターにおいても光透過度の特性に個体差がありバラツキが存在するものである。その結果、そのリファレンスフィルターの光透過度の差異に起因して、複数の品質評価装置において夫々同じ被計測物を計測した場合であっても計測される品質評価値が異なったものとなるおそれがある。
【0009】
ところで、このような品質評価装置は、例えば、農家の生産者等により持ち込まれた果菜類の品質を計測してその計測結果により等階級別に仕分けを行うために選果設備等に備えられて、被計測物として例えば一つの荷口に対応する多数の果菜類の仕分けを能率よく行うために使用されることがある。このような場合には、被計測物群が分配供給される複数の計測箇所夫々に品質評価装置を備えて、複数の品質評価装置により並行して計測処理することができるようにして、農家の生産者等により持ち込まれた多数の果菜類に対する計測処理を効率よく行えるようにすることが一般に行われるものである。
【0010】
しかし、上述したように複数の品質評価装置において上記したように焦点位置に対する受光手段の位置ズレに起因した誤差やリファレンスフィルターの個体差に起因した誤差が発生するおそれがあることから、上記したような選果設備などのように複数の品質評価装置を並べて使用するような場合において、同じ被計測物を計測した場合であっても各装置毎の品質評価値が異なったものとなるおそれがあり、又、上記したような検量式は各品質評価装置毎にその装置の受光手段の受光光量の情報を用いて各別に作成する必要があり、この検量式を作成するための手間が多くかかる不利があった。
【0011】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、複数の品質評価装置を使用するような場合であっても、同じ被計測物を計測したときの各装置毎の品質評価値のずれを少なくすることができ、しかも、検量式の作成の手間を少なくすることが可能となる果菜類の品質評価装置を提供する点にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の品質評価装置は、被計測物に対して光を投射する投光手段と、前記被計測物からの透過光又は反射光を分光する分光手段と、その分光手段にて分光された光を受光して分光スペクトルデータを出力する受光手段と、分光手段にて分光された光を前記受光手段の受光面に集光する集光手段と、前記分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成され、
前記制御手段が、前記分光スペクトルデータを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと品質解析用の検量式とに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されているものであって、
前記制御手段が、
補正情報算出モードと前記品質評価値を求める計測処理モードとに切り換え自在に構成され、
前記補正情報算出モードにおいて、補正情報取得用の被計測物からの透過光又は反射光に基づいて得られた前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、その補正情報取得用の被計測物について基準の品質評価装置にて計測して求めた基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求める補正情報算出処理を実行するように構成され、
前記計測処理モードにおいて、前記補正情報に基づいて、前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせる動作状態補正処理を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、制御手段は補正情報算出モードに切り換えられると、補正情報取得用の被計測物からの透過光又は反射光に基づいて得られた前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、基準計測状態に対応する基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求める補正情報算出処理を実行するのである。
【0014】
ここで、前記補正情報取得用の被計測物としては、1つの特定される被計測物や投光手段にて光を照射したときに透過光や反射光などの計測用の光を得ることが可能な1つの擬似計測体、例えば光学フィルター等がある。
【0015】
又、前記基準計測状態としては、例えば、複数の品質評価装置が並べて配備されるような場合に、そのうちのいずれか1つのものを基準の装置として定めて、その基準の装置における計測状態を基準計測状態とするような場合がある。つまり、その基準の装置にて求められた前記検出2次微分スペクトルデータを他の装置に対する基準2次微分スペクトルデータとするのである。又、このような構成に代えて例えば工場での製造段階で特定される1台の基準の品質評価装置を用意しておいて、その装置にて求められた前記検出2次微分スペクトルデータを工場から出荷される装置の夫々に対する基準2次微分スペクトルデータとするような構成もある。
【0016】
つまり、品質評価装置にて計測される分光スペクトルデータに基づく検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、前記基準計測状態における検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求めて、その補正情報を用いて検出2次微分スペクトルデータを補正することで、基準計測状態にて計測した状態と同様な計測結果が得られることになる。
【0017】
その結果、検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、前記基準計測状態における検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせることによって、受光手段の位置ズレに起因した誤差を少ないものにすることが可能となるのである。
【0018】
そして、制御手段は、計測処理モードに切り換えられると、前記補正情報に基づいて検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度が基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせる動作状態補正処理が行われる。そして、このように基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせられた検出2次微分スペクトルデータと品質解析用の検量式とに基づいて被計測物の品質評価値を求めることになる。
【0019】
従って、複数の品質評価装置を使用するような場合であっても、個々の品質評価装置における受光手段の位置ズレに起因した誤差を少なくすることにより、同じ被計測物を計測したときの各装置毎の品質評価値のずれを少なくすることができ、しかも、複数の品質評価装置について同一の検量式を用いることが可能となって、複数の品質評価装置毎に各別に検量式を作成する必要がなく、検量式の作成の手間を少なくすることが可能となる果菜類の品質評価装置を提供できるに至った。
【0020】
請求項2に記載の品質評価装置は、請求項1において、前記制御手段が、前記動作状態補正処理として、前記補正情報に基づいて前記検出2次微分スペクトルデータを補正する演算処理を実行することにより、前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
すなわち、制御手段は、動作状態補正処理として演算処理を実行することにより、検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるようにしているので、例えば、受光手段の位置を焦点位置に合わせるように機械的に位置調節するような構成に比べて、機械的な部材の作動が無くそれだけ処理を迅速に行うことが可能であるとともに演算処理だけ対応できるので制御構成が簡素になる。
【0022】
請求項3記載の品質評価装置は、前記分光計測手段が、前記集光手段と前記受光手段との間での相対位置関係を変更調整自在な位置調整手段を備えて構成され、前記制御手段が、前記動作状態補正処理として、前記補正情報に基づいて前記位置調整手段を作動させる受光位置調節処理を実行することにより、前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるように構成されていることを特徴とする。
【0023】
すなわち、制御手段が、前記動作状態補正処理として、補正情報に基づいて、検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるように、集光手段と受光手段との間での相対位置関係を変更調整自在な位置調整手段を作動させる受光位置調節処理を実行することになる。具体的には、分光手段にて分光された光が集光手段で集光されている焦点位置に対して、受光手段の受光面が適正な位置に位置合わせするように機械的に相対位置を変更調節するである。つまり、受光手段を組み付ける場合における組み付け誤差により焦点位置に対する受光手段の位置が位置ずれしているようなことがあったり、長期の使用に伴う経年変化によって位置ずれするようなことがあっても、そのような位置ずれを強制的に修正するように位置調節するので、受光手段の位置ズレに起因した誤差を少ないものにすることが可能となる。従って、受光手段を機械的に位置調節して強制的に修正するので、受光手段の位置ズレに起因した誤差を確実に少なくすることが可能となる。
【0024】
請求項4記載の品質評価装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記制御手段が、前記補正情報算出処理として、前記検出2次微分スペクトルデータと前記基準2次微分スペクトルデータとの間の各波長毎のデータの相関関係を判別して、その判別結果に基づいて前記補正情報を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
すなわち、前記検出2次微分スペクトルデータと前記基準2次微分スペクトルデータとの間の各波長毎のデータの相関関係を判別して、その判別結果に基づいて前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求める。つまり、計測したデータ同士の演算処理によって相関関係として最も相関が近いもの、例えば、相関関係の一例として相関係数を用いてその相関係数が最も大きいもの選択したり、データ同士の差分値を2乗した値が最も小さくなるような相関関係を有するデータを表す情報を補正情報として求めるのである。
【0026】
このようにして検出2次微分スペクトルデータと基準2次微分スペクトルデータとの間の各波長毎のデータの相関関係を判別することによって、検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度とを基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるため補正情報を適切に求めることが可能となる。
【0027】
請求項5記載の品質評価装置は、請求項4において、前記制御手段が、前記補正情報算出処理として、前記分光スペクトルデータの波長の変化に対する移動平均値を求める処理を平均データ数を異ならせて複数回実行し、且つ、その複数の移動平均値データを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと前記基準2次微分スペクトルデータとの間での前記相関関係としての相関係数を求めて、そのうち最も大きい相関係数に対応する平均データ数を前記補正情報として求めるように構成されていることを特徴とする。
【0028】
すなわち、制御手段は、前記補正情報算出処理として、前記分光スペクトルデータの波長の変化に対する移動平均値を平均データ数を異ならせて複数回実行する。このように平均データ数を異ならせて移動平均値を求めるのは、平均データ数を異ならせると、検出2次微分スペクトルデータを示す曲線の屈曲部分における曲がり具合が滑らかとなったり急峻となったりするというように、焦点位置に対する受光手段の位置ズレに起因した誤差の大きさに起因した変化に類似したような変化をするからである。
そして、その複数の移動平均値データを2次微分して求めた複数の検出2次微分スペクトルデータのうち、前記基準2次微分スペクトルデータとの間での前記相関関係としての相関係数を求めて、そのうち最も大きい相関係数に対応する平均データ数を前記補正情報として求めることによって、焦点位置に対する受光手段の位置ズレに起因した誤差が最も小さいものに対応するデータとして特定することが可能となる。
【0029】
説明を加えると、被計測物からの透過光又は反射光に基づいて得られた前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度は、例えば、図17に示すように波長の変化に対して滑らかに屈曲しながら変化する曲線として表すことができる。この図の横軸は波長の変化を示し、縦軸は2各波長毎の演算された2次微分値を表すものである。そして、本出願人は実測データに基づいて、上述したような焦点位置に対する受光手段の位置ズレに起因した誤差の大きさと、前記検出2次微分スペクトルデータを示す曲線との相関関係について検討を行ったところ、受光手段の位置ズレに起因した誤差の大きさに応じて屈曲部分における曲がり具合が緩やかになったり急峻になったりするという変化があることを実験により見出した。例えば、図17の各ラインは共に同一の被計測物を異なる品質計測装置によって計測して得られた分光スペクトルデータを平均データ数を異ならせて移動平均して得られた検出2次微分スペクトルデータを示しているが、受光手段の位置ズレに起因した誤差が大きい場合にもこれと同じように屈曲部分における曲がり具合が変化することになる。
【0030】
従って、移動平均値のデータ数を異ならせた分光スペクトルデータを求めて、それを2次微分して求めた複数の検出2次微分スペクトルデータについて最も大きい相関係数に対応する平均データ数を前記補正情報として求めるという簡単な処理によって補正情報を求めることが可能となり、簡単な制御構成によって対応することが可能となる。
【0031】
請求項6記載の品質計測用設備は、被計測物に対して光を投射する投光手段と、前記被計測物からの透過光又は反射光を分光する分光手段と、その分光手段にて分光された光を受光して分光スペクトルデータを出力する受光手段と、分光手段にて分光された光を前記受光手段の受光面に集光する集光手段と、前記分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成され、
前記制御手段が、前記分光スペクトルデータを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと品質解析用の検量式とに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されているものであって、
前記投光手段からの光を前記被計測物に代えて所定の吸光度特性を有するリファレンスフィルターに照射する状態に切り換え自在に構成され、
前記制御手段が、
補正処理モードと前記品質評価値を求める計測処理モードとに切り換え自在に構成され、
前記補正処理モードにおいて、前記リファレンスフィルターからの透過光又は反射光に基づいて得られた分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量を予め設定された基準受光光量にするための補正情報を、前記リファレンスフィルターの光透過度の特性と基準光透過度との差のデータ、分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量のデータ、及び、前記基準受光光量のデータの夫々に基づいて求めて記憶する補正情報記憶処理を実行するように構成され、
前記計測処理モードにおいて、前記投光手段からの光を前記被計測物に照射してからの透過光又は反射光に基づいて得られた分光スペクトルデータを前記補正情報にて補正して、その補正した分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0032】
すなわち、制御手段は、前記補正処理モードにおいて、所定の吸光度特性を有するリファレンスフィルターからの透過光又は反射光に基づいて得られた分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量を予め設定された基準受光光量にするための補正情報を、リファレンスフィルターの光透過度の特性と基準光透過度との差のデータ、分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量のデータ、及び、基準受光光量のデータの夫々に基づいて求めて、その補正情報を記憶する。そして、制御手段は、前記計測処理モードにおいて、投光手段からの光を被計測物に照射してその被計測物からの透過光又は反射光に基づいて得られた分光スペクトルデータを補正情報にて補正して、その補正した分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求めることになる。
【0033】
従って、前記リファレンスフィルターにより得られた分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量を予め設定された基準受光光量にするための補正情報を求めて、その補正情報を用いて被計測物の品質評価値を求めるようにしたので、リファレンスフィルターにより得られた分光スペクトルデータが経年変化等によって変化することがあっても、その分光スペクトルデータを基準受光光量に対応させるように被計測物にて得られた分光スペクトルデータが補正されることになる。
【0034】
従って、複数の品質評価装置を使用するような場合であっても、個々の品質評価装置におけるリファレンスフィルターの個体差に起因した誤差を少なくすることにより、同じ被計測物を計測したときの各装置毎の品質評価値のずれを少なくすることができ、しかも、複数の品質評価装置について同一の検量式を用いることが可能となって、複数の品質評価装置毎に各別に検量式を作成する必要がなく、検量式の作成の手間を少なくすることが可能となる果菜類の品質評価装置を提供できるに至った。
【0035】
請求項7記載の品質計測用設備は、請求項1〜5のいずれかに記載の品質評価装置が、被計測物が分配供給される複数の計測箇所の夫々に配備されたものであって、
前記複数の品質評価装置のうちのいずれか1つのものが前記基準の品質評価装置として設定され、
前記基準の品質評価装置以外の他の品質評価装置が、
前記補正情報算出処理として、前記基準の品質評価装置にて計測が行われた前記補正情報取得用の被計測物と同じ被計測物について自己が求めた前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度と前記基準の品質評価装置にて前記補正情報取得用の被計測物を計測して求めた前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度の情報に基づいて前記補正情報を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0036】
すなわち、品質評価装置が被計測物が分配供給される複数の計測箇所の夫々に配備されて、それら複数の品質評価装置のうちのいずれか1つのものが基準の品質評価装置として設定される。そして、その基準の品質評価装置以外の他の品質評価装置が、基準の品質評価装置にて被計測物からの透過光又は反射光に基づいて得られた検出2次微分スペクトルデータを基準計測状態における基準2次微分スペクトルデータとして用いて、前記補正情報算出処理を実行するのである。
【0037】
つまり、基準の品質評価装置とそれ以外の他の品質評価装置が夫々、同一の被計測物について計測を行い検出2次微分スペクトルデータを求め、基準の品質評価装置以外の他の品質評価装置が、基準の品質評価装置が求めた検出2次微分スペクトルデータを基準2次微分スペクトルデータとして用いて、自己が求めた検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求めるのである。
【0038】
従って、基準の品質評価装置とそれ以外の他の品質評価装置の夫々の検出2次微分スペクトルデータを、全て基準2次微分スペクトルデータに合わせるように処理することで、夫々の品質評価装置における受光手段の位置ズレに起因した誤差を少なくすることにより、同じ被計測物を計測したときの各装置毎の品質評価値のずれを少なくすることができ、しかも、複数の品質評価装置について同一の検量式を用いることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
【0040】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る品質評価装置及び品質計測用設備の第1実施形態について、例えば蜜柑等の果菜類の選別仕分けを行う選果設備にて果菜類の品質の一例として糖度や酸度等を評価する構成に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0041】
前記選果設備は、蜜柑等の果菜類が被計測物として夫々コンテナCOに収納された状態で搬入され、その搬送経路の途中からコンテナCOから被計測物Mを放出して載置搬送するようにして、各被計測物Mを1個づつ撮像して画像処理によりその大きさや色の情報等から傷等の外観判別を行うとともに、品質の一例である被計測物Mの糖度や酸度を評価し、それらの情報によって各被計測物Mを複数の品質ランクとしての等階級に仕分ける選別処理が行われる。
【0042】
図1に本発明に係る品質計測用設備としての選果設備が示されており、この選果設備は、図示しない受入れ部において、運搬車両等により積載されてコンテナCOに収納された状態で被計測物Mが搬入される。そして、コンテナCOに収納された状態で第1搬送装置B1にて搬送され、重量計測等が行われた後に、コンテナCOの搬送方向と交差する方向に沿って設けられる広幅の第2搬送装置B2の載置搬送面上に、コンテナCOに収納されている被計測物Mを放出させるダンパー装置B3が設けられ、このダンパー装置B3にてコンテナCO内の被計測物Mが積み重なりが無い状態で放出された後、被計測物Mは広幅の第2搬送装置B2にて載置搬送される構成となっている。尚、空のコンテナCOは別途回収されることになる。
【0043】
前記第2搬送装置B2にて載置搬送される被計測物Mは、洗浄処理やワックス処理及びそれに伴う乾燥処理等を行う洗浄処理部SJを通過した後、それまで広幅の搬送経路にてバラバラの状態で載置搬送されていた被計測物Mが、チャネライザCHによって搬送方向に沿って一列で縦列状に並ぶ状態で且つ複数列(6列)の搬送コンベア4に分岐した状態で設定間隔をあけて載置搬送される状態に切り換わる。そして、このような6列の搬送ラインの夫々において縦列状態で搬送される被計測物Mに対して、CCDカメラ等の撮像手段にて1個づつ撮像して画像処理によりその大きさや色の情報等から傷等の外形情報を評価する画像評価部HK1、及び、後述するように分光分析により被計測物Mの糖度や酸度等の品質を1個づつ評価する品質評価装置としての6台の品質評価装置Uを備えた品質計測用設備としての品質評価部HK2が備えられ、それらの搬送下手側には、前記各評価部HK1,HK2の結果に基づいて、各被計測物Mを複数の等階級のうちのいずれに対応するかを判定して、該当する等階級毎に別途設けられる搬送ラインに振り分け供給する振り分け装置FW等が設けられている。又、このように等階級判定の結果に基づいて仕分けられた被計測物Mは各等階級別に箱詰めされることになる。
【0044】
次に、前記品質評価部HK2の構成について説明する。
前記品質評価部HK2は、被計測物群が分配供給される複数の計測対象箇所夫々に被計測物の品質を評価する複数の品質評価装置Uを備えて構成され、この品質評価装置Uは夫々、被計測物に対して光を投射する投光手段と、被計測物からの透過光を分光してその分光した光を受光して分光スペクトルデータを得る分光計測手段と、前記分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成され、前記制御手段が、前記分光スペクトルデータを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと品質解析用の検量式とに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されている。
【0045】
そして、前記複数の品質評価装置Uのうちのいずれか1つのものが基準の品質評価装置U1として設定され、その基準の品質評価装置U1以外のものは通常の品質評価装置U2として設定されている。
【0046】
前記基準の品質評価装置U1及びそれ以外の複数の標準の品質評価装置U2は後述するように制御動作が異なっている他は、機械的な構成や各部の配置は同じであるから、標準の品質評価装置U2を代表として以下その構成について説明する。
図2に示すように、品質評価装置U2は、被計測物Mに光を照射する投光手段としての投光部1と、被計測物Mを透過した光を受光し、その受光した光を計測する分光計測手段としての受光部2と、各種の制御処理を実行する制御手段としてのマイクロコンピュータ利用の制御部3等を備えて構成され、被計測物Mは、搬送手段としての搬送コンベア4により一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、本装置による計測箇所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測箇所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測個所の左右両側部に、すなわち、搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっている。
【0047】
次に、前記投光部1の構成について説明する。
この投光部1は、搬送コンベア4による搬送方向に沿って離間させた2個のハロゲンランプからなる光源5が設けられ、これら2個の光源5の夫々に対応させて次のような光学系が備えられている。つまり、光源5が発光する光を反射させて被計測物Mの表面に焦点を合わせるための集光手段としての凹面形状の光反射板6が備えられ、この光反射板6にて集光される光の焦点位置近くに対応するように位置させて、大きめの絞り孔7aを通過させることで集光された後の光の径方向外方側への広がりを抑制する絞り板7、絞り板7を通過した光を通過させる状態、小さめの絞り孔8aを通して通過させる状態、及び、光を遮断する状態の夫々に切り換え自在な光量調節板8等が光学系として備えられている。前記各光量調節板8は、投光量調整用モータ12によって一体的に揺動操作され、前記各状態に切り換え自在に構成されている。
【0048】
そして、この投光部1は上記したような各部材がケーシング13に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。又、計測箇所に位置する被計測物に対して斜め下方に向かう状態で光を照射するように、投光部1が斜め姿勢で備えられており、外形寸法が小さい被計測物であっても受光部2に直接光が入らないようにしている。
【0049】
次に、受光部2の構成について説明する。
この受光部2は、図6に示すように、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ14、並行光に変化した光のうち近赤外域である波長領域680〜990ナノメートル(nm)の範囲の光だけを上向きに反射し、それ以外の波長の光をそのまま通過させるバンドパスミラー15、バンドパスミラー15により上向きに反射された計測対象光を集光させる集光レンズ16、集光レンズ16を通過した光をそのまま通過させて受光センサ23にて受光されることを許容する開放状態と受光されることを阻止する遮蔽状態とに切り換え自在な入射状態切換手段としてのシャッター機構17、開放状態のシャッター機構17を通過した光が入射されると、その光を分光して前記分光スペクトルデータを計測する分光器18等を備えて構成されている。尚、シャッター機構17の下方側、つまり光入射方向上手側箇所には、分光器に入射される光に対して作用する光量調整用の複数の各種のフィルターや波長校正用フィルターを作用させる状態に切り換えるフィルター切り換え機構Eが備えられている。
【0050】
前記分光器18は、図8に示すように、受光位置である入光口20から入射した計測対象光を集光して平行光にする状態で反射する凹面鏡21aと、反射された光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子22と、凹面回折格子22によって分光された光を集光する状態で反射する集光手段としての凹面鏡21bと、反射された光を受光して各波長毎の光量を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光手段としての受光センサ23とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱24内に配置される構成となっている。前記受光センサ23は、凹面回折格子22にて分光されて反射鏡で反射された上記したような特定波長領域の光を同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する1024個の単位受光部を備えた電荷蓄積型のCCDラインセンサにて構成されている。このラインセンサは、詳述はしないが、各単位受光部毎に光量を電気信号(電荷)に変換する光電変換部と、その光電変換部にて得られた電荷を蓄積する電荷蓄積部、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等が備えた半導体基板上に形成されている。
【0051】
又、前記シャッター機構17は、図8、図9に示すように、放射状に複数のスリット25が形成された円板17Aを、パルスモータ17Bによって縦軸芯周りで回転操作される状態で備えて構成され、前記暗箱24の入光口20には前記各スリット25が上下に重なると光を通過させる開放状態となり、スリット25の位置がずれると光を遮断する遮断状態となるように、スリット25とほぼ同じ形状の透過孔27が形成されており、光の漏洩がないように暗箱の入光口20に対して円板17Aを密接状態で摺動する状態で配備して構成されている。すなわち、このシャッター機構17は入光口20に近接する状態で設けられている。この受光部2も投光部1と同様にして、上記したような各部材がケーシング28に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。
【0052】
そして、投光部1及び受光部2の夫々が、投光用箇所及び受光用箇所の夫々に対して各別に着脱自在に取り付け可能なユニット状に構成されており、投光部1と受光部2とが着脱自在に取付けられる装置枠体Fが、計測箇所における搬送コンベア4の左右両側に相当する箇所を投光用箇所及び受光用箇所とするように、投光部1と受光部2に対する一対の取付部を備える状態で設けられている。
更には、前記装置枠体Fには、投光部1及び受光部2を一体的に上下方向に位置調節自在な上下位置調節手段としての上下位置調節機構29、及び、投光部1及び受光部2の夫々を各別に装置枠体Fに対して計測箇所に位置する被計測物に接近並びに離間する方向、すなわち、水平方向であって搬送コンベア4の搬送方向と直交する方向に沿って位置調節自在な水平位置調節手段としての水平位置調節機構30が備えられている。
【0053】
次に、前記上下位置調節機構29について説明する。図2〜図5に示すように、品質評価装置の外周部を囲うように矩形枠状に組み付けられた装置枠体Fが備えられ、その装置枠体Fの上部側箇所から位置固定状態で4本の固定支持棒31が垂下される状態で設けられ、これら4本の固定支持棒31の下端部には後述する品質評価装置校正用の擬似計測体Aを載置支持するための支持台32が取り付けられている。そして、この4本の固定支持棒31に対して4箇所の摺動支持部33により上下方向にスライド移動自在に昇降台34が支持されている。又、装置枠体Fの上部側箇所から垂下状態に支持された送りネジ35が電動モータ36にて回動自在に設けられ、昇降台34に備えられた雌ネジ部材37がこの送りネジ35に螺合しており、送りネジ35を電動モータ36にて回動操作することで昇降台34が任意の位置に上下移動調節可能な構成となっている。尚、送りネジ35は手動操作ハンドル38でも回動自在に構成されている。
又、前記昇降台34には、品質評価装置校正用の擬似計測体Aが支持台32に載置支持された状態でも昇降操作可能なように擬似計測体Aが上下方向に通過することを許容する挿通孔34aが形成されている。
【0054】
次に、水平位置調節機構30について説明する。
前記昇降台34には、図4に示すように、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本のガイド棒39が設けられており、ユニット状に組み付けられた投光部1並びに受光部2の夫々が着脱自在に取付けられる前記一対の取付部としての支持部材40、41が各ガイド棒39にスライド移動自在に支持される構成となっている。前記各ガイド棒39は長手方向両端側で連結具39aにて連結されている。又、前記昇降台34には、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本の送りネジ42、43が夫々電動モータ44、45によって回動操作可能に設けられ、各支持部材40、41に備えられた雌ネジ部46、47が各送りネジ42、43に螺合しており、電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで、前記各支持部材40、41が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節可能な構成となっている。従って、各支持部材40、41に夫々各別に取付けられる投光部1及び受光部2は電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで前記水平方向、すなわち、計測箇所に対して接近並びに離間する方向での相対位置を変更調節することが可能となる。
【0055】
従って、電動モータ36にて送りネジ35を回動操作させると昇降台34が上下移動調節されるが、それに伴って昇降台34に支持されている投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することができ、前記各電動モータ44、45を回動操作させることで投光部1及び受光部2が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節することができる。
【0056】
前記各支持部材40、41に対する投光部1及び受光部2の取付けの構成について説明を加えると、前記各支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aには、水平方向に適宜間隔をあけて横向きに突出する複数の位置決め用突起40b,41bが形成され、ユニット状に設けられた投光部1及び受光部2に夫々、それらの位置決め用突起40b,41bに対応する位置決め孔が設けられ、各支持部材40、41に対して投光部1及び受光部2を取付けるときは、位置決め用突起40b,41bを位置決め孔に嵌め合わせて位置決めした状態でその近くの適宜箇所をボルト止めすることで投光部1及び受光部2を取付ける構成となっている。従って、この装置においては、投光部1及び受光部2が夫々取付けられた状態においては、投光部1が位置する投光用箇所、計測箇所、及び、受光部2が位置する受光用箇所の夫々が一直線状に位置する形態で投光部1及び受光部2が配置される状態となる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1及び受光部2の上下方向の長さに対応するように左右で少し長さが異なるものを用いるようにしている。又、投光部1の取付け部には、投射方向が少し斜め下方となるように傾斜用の姿勢規制具40cを設けている。
【0057】
搬送コンベア4における被計測物Mの計測箇所の上方側に位置させて、前記支持台32から下方側に延設した支持アーム48により支持される状態でリファレンスフィルター49が設けられている。このリファレンスフィルター49は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的にはオパールガラスにて構成されている。
【0058】
上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図2に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測位置と、図5の仮想線にて示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター49を透過した後に受光部2にて受光されるリファレンス計測位置、及び、図5の実線にて示すような校正用計測位置の夫々に切り換えることができるように構成されている。
尚、詳述はしないが、この品質評価装置の外周部は、被計測物の搬送に伴う通過箇所を除いて装置枠体Fに備えられた壁体によって囲われて外部から光が入り込まないようになっている。
【0059】
そして、この品質評価装置には、前記支持台32に被計測物の光透過特性とほぼ同じような特性を有する擬似計測体Aを取り外し自在に装着できる構成となっている。尚、擬似計測体Aは支持台32にそのまま位置決めした状態で載置させる構成であり、容易に着脱可能な構成となっており、校正を行わないときには、擬似計測体Aを支持台32から取り外しておくことができる。
【0060】
この擬似計測体Aについて簡単に説明すると、図6に示すように、非透光性の部材で構成された略四角柱状の外側ケーシング52によって外周部が覆われ、この外側ケーシング52内部の下方側に位置する箇所に基準体としての純水Jを封入状態で収納する収納部51が設けられ、この収納部51と外側ケーシング52との間に空気層が形成されている。そして、この空気層の温度が、品質評価装置によって品質が評価されるときの被計測物の温度又はそれに近い温度である設定温度(例えば、30℃)に維持されるようにペルチェ素子55を作用させる構成となっている。そして、外側ケーシング52における収納部51の左右両側箇所に対応する位置に夫々、光通過部61と光通過部62とが形成され、非透光性の部材で構成された外側ケーシング52の入光側光通過部61及び出光側光通過部62に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。
【0061】
この擬似計測体Aを用いて品質評価装置の校正を行う校正方法について説明すると、先ず、後述するように計測対象物に対する計測処理に先立って行われる検量式の作成の時において、擬似計測体Aにおける品質評価対象を透過した光の分光スペクトルデータと検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する基準検量値を計測しておく。その後、計測対象物に対する計測処理が行われた後に、品質評価装置を校正する装置校正時において、擬似計測体Aにおける品質評価対象を透過した光の分光スペクトルデータと検量式とに基づいて、品質評価対象の品質に対応する校正用検量値を計測する。そして、品質評価装置によって計測対象物の品質を評価する時に、計測対象物を透過した光の受光情報と前記検量式とに基づいて求められる計測対象物の品質に対応する検量値を、校正用検量値と基準検量値との差に基づいて補正するのである。このような校正用検量値の計測処理は装置の使用時間が所定時間に達する毎に行うようにするとよい。
【0062】
尚、このような校正処理と合わせて波長校正処理も適宜行われる構成となっている。つまり、フィルター切り換え機構Eに備えられる波長校正フィルターを利用して受光センサ23に対する波長校正処理を行うのである。この波長校正フィルターは、予め波長が判明している2つの波長にピークを有するものであり、投光部1からの光がこの波長校正フィルターを透過するようにフィルター切り換え機構Eを切り換えて、波長校正用フィルターを通して受光センサ23にて受光して分光スペクトルを計測する。そして、その計測結果から複数の単位受光部が本来受光すべき光の波長と合っていなければ、複数の単位受光部とそれらが受光する光の波長との対応関係を適正な状態となるように単位受光部の素子番号と波長との対応関係を修正するのである。
【0063】
そして、図10に示すように、前記搬送コンベア4は無端回動帯4aを電動モータ4bによって駆動する構成となっており、その無端回動帯4aを巻回する回転体4cの回転軸の回転状態にて搬送コンベアによる搬送距離を検出するロータリーエンコーダ19が備えられ、このロータリーエンコーダ19の検出情報も制御部3に入力される構成となっており、更に、搬送コンベア4による計測箇所の搬送方向上手側箇所には、搬送コンベア4にて搬送される被計測物の搬送方向の先頭位置が計測箇所よりも搬送方向上手側に位置する手前側位置に到達したか否かを検出する被計測物検出手段としての光学式の通過検出センサ50が備えられている。この通過検出センサ50は、光を発する発光器50aと、その光を受光する受光器50bとが、搬送コンベア4による搬送経路の左右両側部に振り分け配置され、発光器50aから発する光が被検出物で遮断されて受光器50bにて受光できなくなると被検出物が存在していると判別することができる構成となっている。
【0064】
前記制御部3は、後述するような公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するとともに、受光センサ23、シャッター機構17、投光量調整用モータ12、上下位置調節用モータ36、水平位置調節用モータ44、45の動作の管理等の各部の動作を制御する構成となっている。
【0065】
次に、基準の品質評価装置U1における制御部3による制御動作について説明する。
制御部3は、投光部1からの光をリファレンスフィルター49に照射してそのリファレンスフィルター49からの透過光を受光部2にて分光してその分光した光を基準分光スペクトルデータとして求める補正処理モードの一例としての基準データ計測処理モードと、被計測物としての果菜類に対して投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を求める計測処理モードとに切り換え自在に構成されている。
【0066】
次に、前記基準データ計測処理モードについて説明する。
この基準データ計測処理モードにおいては、リファレンスフィルター49からの透過光に基づいて得られた分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量を予め設定された基準受光光量にするための補正情報を、リファレンスフィルター49の光透過度の特性と基準光透過度との差のデータ、分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量のデータ、及び、前記基準受光光量のデータの夫々に基づいて求めて記憶する補正情報記憶処理を実行するように構成されている。
【0067】
説明を加えると、この品質評価装置について、リファレンスフィルター49の光透過度の特性と基準光透過度との差のデータが工場出荷段階で予め計測されて、その差のデータがこの装置の制御部3にて記憶する構成となっている。前記基準光透過度のデータとは、工場から出荷される複数の品質評価装置に対して共通して使用される1個のマスターリファレンスフィルターについて品質計測装置にて計測した分光スペクトルデータと当該装置に装備されるリファレンスフィルター49について計測した分光スペクトルデータとの間での受光センサ23の各単位受光部毎の受光光量の差に対応する値、例えば、それらのデータ同士の差分値の情報等である。
【0068】
そして、この差のデータ、分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量のデータ、及び、基準受光光量のデータの夫々に基づいて、分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量を予め設定された基準受光光量にするための補正情報を求めるのである。
【0069】
具体的に説明すると、図12に示すように、投光部1からの光をリファレンスフィルター49に投射して透過した光が受光センサ23の各単位受光部にて計測されて分光スペクトルデータが求められ、その分光スペクトルデータの異なる波長毎の光の受光光量の計測値に対して前記差のデータにより修正した値(図12のLx)が異なる波長毎の光の受光光量の全てが予め設定された所定の基準受光光量にするための補正係数(補正情報の一例)を夫々の単位受光部毎に演算にて求めるのである。つまり、単位受光部の受光光量をLxとして基準受光光量をLsとすると、補正係数αは、次の数1のようにして求められ、この補正係数αは複数の単位受光部の夫々について求められることになる。言い換えると、この補正係数αは受光センサ23の単位受光部の素子番号をnとすると、この素子番号をパラメータとする関数f(n)として与えられる。尚、分光スペクトルデータも同様に素子番号をパラメータとする関数として与えられることになる。
【0070】
【数1】
α=Ls/Lx
【0071】
そして、リファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを前記補正係数により補正して基準分光スペクトルデータを演算にて求める。すなわち、下記数2に示すように、受光センサ23にて計測される異なる波長毎の受光光量L1の夫々に補正係数を掛けて異なる波長毎の補正光量L2すなわち基準分光スペクトルデータを求めるのである。
【0072】
【数2】
L2=α・L1
【0073】
又、この基準データ計測処理においては、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ23の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて、そのときの受光センサ23の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0074】
次に、計測処理モードについて説明する。
この計測処理モードにおいては、上下位置調節機構29、具体的には上下位置調整用電動モータ36を操作して昇降台34を通常計測位置に切り換えて、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、被計測物が計測箇所に存在しないとき及び被計測物が計測箇所に存在しても後述するような品質評価用の受光情報の取得が終了しているときは、蓄電開始タイミングから蓄電用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させ、その後、放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させる電荷蓄積放電処理を繰り返し実行し、且つ、搬送コンベア4にて搬送される被計測物が計測箇所に至ると、そのときから放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させ、その後、計測用設定時間が経過するまで受光センサ23に品質評価用の受光情報として用いるための電荷を蓄積させる計測用電荷蓄積処理を実行するように構成されている。
【0075】
つまり、制御部3は、図11に示すように、被計測物が計測箇所に存在しないとき及び被計測物が計測箇所に存在しても後述するような品質評価用の受光情報の取得が終了しているときは、常に、蓄電開始タイミングから蓄電用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させ、その後、放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させる電荷蓄積放電処理を設定周期T1毎に繰り返し実行するように受光センサ23の動作を制御するように構成されている。
【0076】
そして、制御部3は、通過検出センサ50の検出情報に基づいて被計測物の先頭位置が手前側位置に到達したことを検出してから、ロータリーエンコーダ19の検出情報に基づいて被計測物が計測箇所に至ったことを判別するように構成されている。説明を加えると、通過検出センサ50にて被計測物Mの搬送方向先頭位置が通過検出センサ50の検出位置である手前側箇所に来たことが検出されると、ロータリーエンコーダ19の検出情報に基づいて、その時点からの被計測物の搬送距離が前記手前側箇所から計測箇所に至るまでの搬送距離になったことを判別すると、被計測物Mが計測箇所に至ったものと判別することになる。
【0077】
このように被計測物Mが計測箇所に至ったものと判別すると、前記電荷蓄積放電処理を繰り返し実行するのではなく、その時点から放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させ、その後、計測用設定時間が経過するまで受光センサ23に品質評価用の受光情報として用いるための電荷を蓄積させる計測用電荷蓄積処理を実行することになる。又、制御部3は、このような受光センサ23の動作切り換えと併行して、被計測物が前記計測箇所に至るとシャッター機構17を遮蔽状態から開放状態に切り換え、且つ、その開放状態を電荷蓄積を行うための計測用設定時間T2が経過するまで維持した後に遮蔽状態に戻すようにシャッター機構17の動作を制御するよう構成されている。このようにして、計測用設定時間T2が経過するまで投光部1から照射され被計測物を透過した光を受光部2にて分光した光を受光センサ23にて受光して電荷を蓄積することができる。そして、この計測用設定時間T2が経過した後に、蓄積された電荷を取り出して異なる波長毎の受光光量を計測して計測分光スペクトルデータを求める。
【0078】
図9に示すように、前記被計測物としての果菜類の品種を変更する場合、品種の違いに応じていずれの果菜類を計測対象とするかを指定する人為操作式の切換操作具Cが設けられ、この切換操作具Cを作業員が人為的に操作して制御部における動作条件の変更を設定する構成となっている。制御部3は、この品種の違いによる動作条件の設定が行われると、品種を判別した結果に基づいて計測用設定時間T2を変更調整する構成となっており、前記電荷蓄積放電処理を繰り返し実行するときの繰り返し周期T1も合わせて変更調整されることになる。つまり、前記蓄電用設定時間が前記計測用設定時間T2と同じ時間間隔に合わせるようにしている。
【0079】
そして、このようにして得られた基準分光スペクトルデータ、暗電流データ及び計測分光スペクトルデータに基づいて公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。
つまり、計測分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータを二次微分した検出2次微分スペクトルデータを求める。このように求められた検出2次微分スペクトルデータのうち成分を算出するための特定波長の二次微分値と予め設定されている検量式とにより、被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する品質評価値としての成分量を算出する品質評価処理を実行するように構成されている。
【0080】
前記吸光度スペクトルデータdは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0081】
【数3】
d=log[(Sd−Da)/(Rd−Da)]
【0082】
という演算式にて求められる。そして、このようにして得られた吸光度スペクトルデータdを二次微分した値のうち特定波長の値と、下記の数5に示されるような検量式とを用いて、被計測物Mに含まれる糖度や酸度に対応する成分量を算出するための検量値を求めるのである。前記基準分光スペクトルデータRd、及び、計測分光スペクトルデータSdは、前記補正係数αにて補正された情報となっている。
【0083】
【数4】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0084】
但し、
Y ;成分量に対応する検量値
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長λにおける吸光度スペクトルの二次微分値
【0085】
尚、成分量を算出する成分毎に、特定の検量式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、演算手段100は、この成分毎に特定の検量式を用いて各成分の検量値(成分量)を算出する構成となっている。
【0086】
次に、検量式を作成する手順について説明する。
検量式は、被計測物に対する計測処理に先立って、予め、計測対象である被計測物と同じ被計測物を実測したデータに基づいて設定されることになる。つまり、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて基準の品質評価装置U1を用いて各波長毎の分光スペクトルデータを求める。そして、その検量式作成用の分光スペクトルデータから上記したような吸光度スペクトルデータを求める。このときにおいても、通常の計測の場合と同様に、前記補正係数αによる補正を行うことになる。一方、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の内部品質に対応する化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量検出処理を実行して被計測物の実成分量を得る。そして、上記したようにして得られた各サンプル毎の吸光度スペクトルデータを用いて、前記実成分量の検出結果と対比させながら、重回帰分析の手法を用いて、吸光度スペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す検量式を求めるのである。
【0087】
次に、基準の品質評価装置U1以外の標準の品質評価装置U2における制御部3の制御動作について説明する。尚、標準の品質評価装置U2の制御部3と基準の品質評価装置U1の制御部3とは互いに情報を通信線を介して通信可能に接続されている。
そして、標準の品質評価装置U2は、補正情報算出モードと品質評価値を求める計測処理モードとに切り換え自在に構成され、前記補正情報算出モードにおいて、補正情報取得用の被計測物からの透過光に基づいて得られた検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、基準計測状態に対応する基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求める補正情報算出処理を実行するように構成され、前記計測処理モードにおいて、前記補正情報に基づいて、検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせる動作状態補正処理を実行するように構成されている。
【0088】
前記動作状態補正処理として、基準の品質評価装置U1にて被計測物からの透過光に基づいて得られた検出2次微分スペクトルデータを前記基準計測状態における基準2次微分スペクトルデータとして用いて、基準の品質評価装置U1にて計測が行われた被計測物と同じ被計測物について自己が求めた検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度及び基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度の情報に基づいて補正情報を求めるように構成されている。
【0089】
説明を加えると、前記動作状態補正処理として、演算処理によって検出2次微分スペクトルデータと基準2次微分スペクトルデータとの間の各波長毎のデータの相関関係を判別して、その判別結果に基づいて検出2次微分スペクトルデータの形状を基準2次微分スペクトルデータの形状に合わせるための補正情報を求めるようになっている。すなわち、分光スペクトルデータの波長の変化に対する移動平均値を平均データ数を異ならせて複数回実行し、且つ、その複数の移動平均値データを2次微分して求めた複数の検出2次微分スペクトルデータのうち、前記基準2次微分スペクトルデータとの間での相関関係を示す一例としての相関係数を求めて、そのうち最も大きい相関係数に対応する平均データ数を補正情報として求めるように構成されている。
【0090】
標準の品質評価装置U2がこの補正情報算出処理を実行する前に、基準の品質評価装置U1において、補正情報取得用の被計測物として特定の果菜類を選定して、その特定の果菜類について基準の品質評価装置U1において分光スペクトルデータを測定しておく。つまり、基準の品質評価装置U1においても補正情報算出モードが設定され、そのモードに操作者が予め設定しておく。
そして、作業者が特定の果菜類を選定して用意して、標準の品質評価装置U2に対する搬送コンベア4の搬送手前個所に手動で載置して搬送させて計測処理を実行する。この特定の果菜類は、後述するように、別の品質評価装置についても使用するので、特定の果菜類についての計測が終了すると搬送コンベア4の搬送を停止させて、作業者はこの特定の果菜類を標準の品質評価装置U2における搬送コンベア4に手動で移動させる。
【0091】
特定の果菜類について計測が終了すると、基準の品質評価装置U1における制御部3は次のような処理を実行する。分光スペクトルデータを単位受光部毎のデータ群について片側30個分の設定窓幅を定めて移動平均値を求めて平滑化して、その平滑化した分光スペクトルデータについて2次微分した検出2次微分スペクトルデータを基準2次微分スペクトルデータとして求める。つまり、1つの単位受光部の受光データを中心として短波長側に30個分の受光データ、長波長側に30個分の受光データを取り、合計60個の受光データの平均値をとり、その平均値を単位受光部の平滑化データとして求めて、そのような処理を全波長範囲にわたって移動平均をとり平滑化した分光スペクトルデータを求める。更に、その平滑化した分光スペクトルデータについて2次微分して検出2次微分スペクトルデータすなわち基準2次微分スペクトルデータを求める。そして、この基準2次微分スペクトルデータを通信線を介して品質評価装置U2に通信する構成となっている。図15及び図16の実線にて本出願人の実験データによる基準2次微分スペクトルデータの例を示している。
【0092】
次に、標準の品質評価装置U2における補正情報算出処理について具体的に説明する。
先ず、作業者の切り換え指令に基づいて標準の品質評価装置U2の制御部3が、標準の品質評価装置U2が補正情報算出モードに切り換えられる。そして、制御部3は図13に示すように制御を実行する。
先ず、基準の品質評価装置U1にて計測したものと同じ前記特定の果菜類について分光スペクトルデータを測定する。このとき、作業者が前記特定の果菜類を、標準の品質評価装置U2に対する搬送コンベア4の搬送手前個所に手動で載置して搬送させて計測処理を実行する。制御部3は前記果菜類についての計測が終了すると搬送コンベア4の搬送を停止させる。作業者はこの特定の果菜類を標準の品質評価装置U2における搬送コンベア4に手動で移動させる。
【0093】
次に、この分光スペクトルデータについて窓幅を変更させて設定回数にわたり移動平均値を求める演算処理を実行する。例えば、窓幅として片側30個から49個まで20回変更させて移動平均値を求める演算処理を実行し、夫々の演算結果に対応する分光スペクトルデータについて2次微分して検出2次微分スペクトルデータを演算にて求める。図17に、本出願人による20個分の検出2次微分スペクトルデータを示している。
【0094】
次に、相関係数の演算処理を実行する。つまり、前記20個の検出2次微分スペクトルデータと図15に実線に示す基準2次微分スペクトルデータとの間での形状や光強度についての相関係数を算出する。例えば、前記各検出2次微分スペクトルデータと基準2次微分スペクトルデータについて複数の波長の夫々のデータについてそれらの全ての波長範囲のデータについて相関係数を演算して求めていき、その全波長範囲についての相関係数の平均値を求める。次に、その求められた相関係数から補正情報として設定するためのものを判別する処理を実行する。つまり、相関係数が最も大きくなる平均データ数を補正情報として設定するのである。図14に平均データ数としての平均窓幅の変化に対する相関係数の検出値の実験結果を示している。この例では、平均データ数が片側35個のときが最も相関係数が大きいことを示しており、片側35個の平均データ数が補正情報として算出されることになる。因みに、図15には最も相関係数が大きい平均データ数が片側35個のときの検出2次微分スペクトルデータと基準2次微分スペクトルデータの実測データを示しており、図16には平均データ数が片側30個のときの検出2次微分スペクトルデータと基準2次微分スペクトルデータの実測データを示している。
【0095】
そして、制御部3は、多量の被計測物についての計測を行う場合には、前記計測処理モードに切り換えられる。この計測処理モードにおいては、前記動作状態補正処理として、補正情報に基づいて検出2次微分スペクトルデータを補正する演算処理を実行することにより、検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるように構成されている。説明を加えると、計測処理モードにおける処理動作としては、基準の品質評価装置U1における処理とほぼ同じであるが、計測分光スペクトルデータを前記補正情報としての片側35個での平均データ数によって移動平均処理をして平滑化処理を行った後に、基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータを二次微分した検出2次微分スペクトルデータを求めて、基準の品質評価装置U1の場合と同様に品質評価値を求めることになる。
【0096】
上記したような標準の品質評価装置U2における補正情報算出処理は、複数の標準の品質評価装置U2の夫々について各別に行われ、全ての品質評価装置U2に対して同一の特定の果菜類を計測対象として分光スペクトルデータが計測され、相関係数の演算処理や判別処理等が同様にして行われることになる。尚、説明は省略するが、標準の品質評価装置U2の制御部3は、基準の品質評価装置U1と同様に前記基準データ計測処理モードにも切り換え自在に構成され、前記補正情報記憶処理や基準分光スペクトルデータの算出、暗電流データの計測も実行することになる。
【0097】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
図18に示すように、第1実施形態における投光部1と同じ構成のユニット状の投光部1が2台備えられ、それら2台の投光部1が計測箇所の左右両側部、すなわち、搬送コンベア4aの搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置され、各投光部1は光の照射方向がほぼ水平方向となるように構成されている。すなわち、前記各支持部材40、41と同様な支持部材40、41にユニット状の2台の投光部1が夫々取付けられる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1の上下長さに対応するように左右で同じものを用いるようにしている。又、各投光部1の光の照射方向がほぼ水平方向となるように、上記品質評価装置にて用いた傾斜用の姿勢規制具40cは使用しない構成となっている。
【0098】
搬送コンベア4Aは、被計測物を中央部に挿通孔70が形成された受皿71に載置した状態で搬送される構成となっており、この受皿71は、計測箇所の下方側には、前記投光部1から照射されて被計測物を透過して受皿71の挿通孔70を通して下方側に透過する光を受光する光ファイバー72の受光側端部が配置されている。その光ファイバー72の他端側には、前記受光部2とほぼ同じ構成のユニット状の受光部2が接続されて光が受光されることになる。この受光部2による受光情報に基づく制御部3での内部品質の解析処理については第1実施形態の場合と同様である。
【0099】
この品質評価装置においては、計測箇所に位置する被計測物に対して、その左右両側部に位置する各投光部1から光がほぼ水平方向に対向するように投射され、被計測物内部で散乱して下方側に透過して出て来た光を光ファイバー72にて受光して受光部2に導く構成となっている。
【0100】
そして、前記搬送コンベア4Aは、被計測物Mを受皿71上の特定位置に位置させる状態で受皿71に載置した状態で搬送するように構成されている。つまり、受皿71はゴム等の軟質材からなり、図19に示すように、外形形状が平面視で円筒形であり中央部に円形の挿通孔70が形成され、挿通孔70の外周側の上面側部分は中心側ほど下方に位置する斜め形状になるように構成され、計測対象となる被計測物Mである略球形状の果菜類が、受皿71上に載置されると自重でその軸芯が平面視で中央部の挿通孔70とほぼ同じ軸芯上に位置する状態で載置されることになる。つまり、受皿71上の中心位置が前記特定位置に対応するものとなる。
前記受皿71は搬送コンベア4Aの無端回動帯4a上に載置されるフリーキャリア式の受皿であり、無端回動帯4dに搬送方向に所定間隔をあけて設けられた押し具4eにより押し操作しながら搬送するようになっており、搬送横幅方向の両端部は搬送方向に配備された規制具4fにより案内される構成となっている。又、無端回動帯4dの幅方向中央部の受皿71の下方側部分は、投光部1から照射されて被計測物Mを透過した光を光ファイバー72の受光側端部にて受光可能なように開放される構成となっている。
【0101】
この実施形態では、受皿71の搬送方向の先頭位置が設定位置に到達したことを検出する受皿検出手段としての光学式の受皿検出センサ73が設けられている。この受皿検出センサ73は、第1実施形態の通過検出センサ50と同様に、光を発する発光器73aと、その光を受光する受光器73bとが、搬送コンベア4Aによる搬送経路の左右両側部に振り分け配置され、発光器73aから発する光が被検出物としての受皿71により遮断されて受光器73bにて受光できなくなると、受皿71の搬送方向の先頭位置が設定位置に到達したことを検出する構成となっている。
【0102】
そして、前記制御部3が、この受皿検出センサ73の検出情報に基づいて被計測物Mが計測箇所に至ったことを判別するように構成されている。すなわち、受皿検出センサ73が受皿71の搬送方向の先頭位置が設定位置に到達したことを検出すると、被計測物Mが計測箇所に至ったものと判別して、直ちに、上記第1実施形態における計測用電荷蓄積処理と同じ計測用電荷蓄積処理を実行するように構成されている。
【0103】
説明を加えると、受皿検出センサ73にて受皿の搬送方向の先頭位置が設定位置に到達したことが検出されたときには、光ファイバー72の受光側端部が平面視にて挿通孔70の搬送方向上手側箇所に位置するように、受皿検出センサ73と光ファイバー72の受光側端部との位置関係が予め設定されている。因みに、前記各投光部1は光ファイバー72の受光側端部に対して搬送横幅方向にほぼ直線状に並ぶように配置させる構成となっている。
受皿検出センサ73にて受皿の搬送方向の先頭位置が設定位置に到達したことが検出されると、直ちに計測用電荷蓄積処理を実行することで、被計測物からの透過光を光ファイバー72の受光側端部にて適正に受光することができるのである。
【0104】
そして、制御部3は、図20のタイムチャートに示すように、前記受皿検出センサ73にて受皿71の搬送方向の先頭位置が設定位置に到達したことが検出されると、直ちに、前記計測用電荷蓄積処理を実行するとともに、それと併行して、前記シャッター機構17を遮蔽状態から開放状態に切り換え、且つ、その開放状態を電荷蓄積を行うための計測用設定時間T4が経過するまで維持した後に遮蔽状態に戻すようにシャッター機構17の動作を制御する構成となっている。
この構成においては、受皿検出センサ73にて受皿71の搬送方向の先頭位置が設定位置に到達したことが検出されると、直ちに、前記計測用電荷蓄積処理を実行する構成であるから、搬送コンベア4Aの搬送速度の変動等の影響を受けることなく搬送コンベアのスベリや揺らぎに起因した計測誤差を少なくして被計測物が計測箇所に至ったことを精度よく検出できることになる。
尚、制御部3における制御動作は第1実施形態の場合と同様である。
【0105】
〔第3実施形態〕
次に、本発明に係る品質評価装置の第3実施形態について説明する。
この実施形態では、前記分光器の構成と制御部の制御動作が異なる他は、第1実施形態と同じであるから、異なる部分について説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0106】
この実施形態における分光器は、図21に示すように、前記集光手段としての凹面鏡21bと前記受光手段としての受光センサ23との間での相対位置関係を変更調整自在な位置調整手段Tを備えて構成されている。すなわち、受光センサ23がケースに固定されている固定部材80に対して短波長側端部と長波長側端部の夫々において位置調整手段としての一対の圧電素子81、81を介して支持される構成となっており、これら一対の圧電素子81、81に電圧を印加することで、固定部材80と受光センサ23の受光面23aとの間、言い換えると、受光センサ23の受光面23aと凹面鏡21aとの間での相対位置関係を変更調整することができる構成となっている。
【0107】
前記制御部3は、前記補正情報算出モードにおいて第1実施形態における補正情報算出処理と同じ処理を実行するように構成され、被計測物からの透過光に基づいて得られた検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、基準計測状態に対応する基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求めることになる。そして、被計測物の品質評価値を求める計測処理モードにおいては、前記動作状態補正処理として、補正情報に基づいて前記各圧電素子81,81を作動させる受光位置調節処理を実行することにより、検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるように構成されている。
【0108】
尚、第1実施形態における相関係数が最も大きくなる平均データ数に対する圧電素子81、81による位置調整量との対応関係は工場出荷段階で予め計測して制御部に記憶させることになり、圧電素子81、81にて位置調整するときは、この記憶されている対応関係についての情報と補正情報算出処理にて求められた補正情報とに基づいて設定される電圧値を印加することになる。又、この実施形態においては、前記相関係数を求める場合に、短波長側領域と長波長側領域との夫々の領域において各別に相関関係をみて、それらが各別に最も大きい相関関係となるように、左右一対の圧電素子81、81を各別に位置調整するような構成としてもよい。
【0109】
前記位置調整手段Tとしては、圧電素子に限るものではなく微少な範囲での移動操作が可能なものであればよく、例えばモータ駆動式の小型のネジ送り機構等を用いてもよい。
【0110】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0111】
(1)上記実施形態では、補正情報取得用の被計測物として、特定の果菜類を用いるようにしたが、上記実施形態にて記載した擬似計測体を用いたり、分光スペクトルに急峻な変化が生じるような光学フィルター等を用いるようにしてもよい。又、上記実施形態では、前記基準計測状態として、複数の品質評価装置が並べて配備される場合にそのうちのいずれか1つのものを基準の装置として定めて、その基準の装置における計測状態を基準計測状態として、その基準の装置にて求められた前記検出2次微分スペクトルデータを他の装置に対する基準2次微分スペクトルデータとするものを例示したが、このような構成に代えて、例えば工場での製造段階で特定される1台の基準の品質評価装置を用意しておいて、その装置にて求められた前記検出2次微分スペクトルデータを工場から出荷される装置の夫々に対する基準2次微分スペクトルデータとするような構成としてもよい。
【0112】
(2)上記実施形態では、前記検出2次微分スペクトルデータと前記基準2次微分スペクトルデータとの間の各波長毎のデータの相関関係を判別するために、相関係数を求めるようにしたが、このような構成に限らず、例えば、前記検出2次微分スペクトルデータと前記基準2次微分スペクトルデータとの間の各波長毎のデータの差の2乗が最も小さくなるようなデータを求めるようにして相関関係が近いものを選択するようにしてもよい。又、移動平均による平滑化処理によって特性を変化させるようにしたが、例えばガウシャンフィルター等を用いる方法等各種の手法を用いて実施してもよい。
【0113】
(3)上記実施形態では、リファレンスフィルターからの透過光に基づいて得られた分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量を予め設定された基準受光光量にするための補正情報を求めて記憶して、被計測物からの透過光に基づいて得られた分光スペクトルデータを補正情報にて補正して、その補正した分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求めるようにしたが、このような処理を実行しない構成としてもよい。
【0114】
(4)上記第1実施形態では、投光部と受光部とが計測箇所の左右両側部に振り分けて配置される構成のものを例示したが、このような構成に代えて、投光部と受光部とが計測箇所の上下両側部に振り分けて配置される構成としてもよい。
【0115】
(5)上記第2実施形態では、計測箇所の左右両側部に一対の投光部を振り分けて配置し、計測箇所の下側に出てくる光を光ファイバーで受光して受光部に導く構成のものを例示したが、このような構成に代えて、計測箇所の横一側箇所に1つの投光部を配置する構成としてもよく、光ファイバーで受光するものに代えて、計測箇所の下側に受光部を備えて受光部にて透過光を直接受光する構成としてもよい。又、投光部と受光部とを計測箇所の例えば横一側箇所に並べて配置して光投射方向に対してほぼそれを反対方向に出てくる光を受光するようにしてもよい。
【0116】
(6)上記実施形態では、投光部の光源としてハロゲンランプを用いたが、これに限らず、水銀灯、Ne放電管等の各種の光源を用いてもよく、受光部における受光センサは、CCD型ラインセンサに限らずMOS型ラインセンサ等の他の検出手段を用いるようにしてもよい。
【0117】
(7)上記各実施形態では、被計測物Mの内部品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】選果設備の概略構成図
【図2】品質評価装置の正面図
【図3】品質評価装置の側面図
【図4】品質評価装置の横断平面図
【図5】品質評価装置の正面図
【図6】品質評価装置の一部切欠正面図
【図7】分光器の構成図
【図8】シャッター機構を示す図
【図9】制御ブロック図
【図10】設置状態を示す平面図
【図11】計測作動のタイミングチャート
【図12】異なる波長毎の受光光量を示す図
【図13】制御フローチャート
【図14】相関係数の変化を示す図
【図15】検出2次微分スペクトルデータを示す図
【図16】検出2次微分スペクトルデータを示す図
【図17】検出2次微分スペクトルデータを示す図
【図18】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【図19】第2実施形態の被計測物の検出状態を示す図
【図20】第2実施形態の計測作動のタイミングチャート
【図21】第3実施形態の受光センサの支持構造を示す図
【符号の説明】
1 投光手段
3 制御手段
21b 集光手段
22 分光手段
23 受光手段
49 リファレンスフィルター
M 被計測物
T 位置調整手段
U,U1,U2 品質評価装置
Claims (7)
- 被計測物に対して光を投射する投光手段と、前記被計測物からの透過光又は反射光を分光する分光手段と、その分光手段にて分光された光を受光して分光スペクトルデータを出力する受光手段と、分光手段にて分光された光を前記受光手段の受光面に集光する集光手段と、前記分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成され、
前記制御手段が、前記分光スペクトルデータを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと品質解析用の検量式とに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されている品質評価装置であって、
前記制御手段が、
補正情報算出モードと前記品質評価値を求める計測処理モードとに切り換え自在に構成され、
前記補正情報算出モードにおいて、補正情報取得用の被計測物からの透過光又は反射光に基づいて得られた前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を、その補正情報取得用の被計測物について基準の品質評価装置にて計測して求めた基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるための補正情報を求める補正情報算出処理を実行するように構成され、
前記計測処理モードにおいて、前記補正情報に基づいて、前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせる動作状態補正処理を実行するように構成されている品質評価装置。 - 前記制御手段が、
前記動作状態補正処理として、前記補正情報に基づいて前記検出2次微分スペクトルデータを補正する演算処理を実行することにより、前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるように構成されている請求項1記載の品質評価装置。 - 前記集光手段と前記受光手段との間での相対位置関係を変更調整自在な位置調整手段を備えて構成され、
前記制御手段が、
前記動作状態補正処理として、前記補正情報に基づいて前記位置調整手段を作動させる受光位置調節処理を実行することにより、前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度を前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度に合わせるように構成されている請求項1記載の品質評価装置。 - 前記制御手段が、
前記補正情報算出処理として、前記検出2次微分スペクトルデータと前記基準2次微分スペクトルデータとの間の各波長毎のデータの相関関係を判別して、その判別結果に基づいて前記補正情報を求めるように構成されている請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の品質評価装置。 - 前記制御手段が、
前記補正情報算出処理として、前記分光スペクトルデータの波長の変化に対する移動平均値を求める処理を平均データ数を異ならせて複数回実行し、且つ、その複数の移動平均値データを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと前記基準2次微分スペクトルデータとの間での前記相関関係としての相関係数を求めて、そのうち最も大きい相関係数に対応する平均データ数を前記補正情報として求めるように構成されている請求項4記載の品質評価装置。 - 被計測物に対して光を投射する投光手段と、前記被計測物からの透過光又は反射光を分光する分光手段と、その分光手段にて分光された光を受光して分光スペクトルデータを出力する受光手段と、分光手段にて分光された光を前記受光手段の受光面に集光する集光手段と、前記分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成され、
前記制御手段が、前記分光スペクトルデータを2次微分して求めた検出2次微分スペクトルデータと品質解析用の検量式とに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されている品質評価装置であって、
前記投光手段からの光を前記被計測物に代えて所定の吸光度特性を有するリファレンスフィルターに照射する状態に切り換え自在に構成され、
前記制御手段が、
補正処理モードと前記品質評価値を求める計測処理モードとに切り換え自在に構成され、
前記補正処理モードにおいて、前記リファレンスフィルターからの透過光又は反射光に基づいて得られた分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量を予め設定された基準受光光量にするための補正情報を、前記リファレンスフィルターの光透過度の特性と基準光透過度との差のデータ、分光スペクトルデータの異なる波長におけるその受光光量のデータ、及び、前記基準受光光量のデータの夫々に基づいて求めて記憶する補正情報記憶処理を実行するように構成され、
前記計測処理モードにおいて、前記投光手段からの光を前記被計測物に照射してその被計測物からの透過光又は反射光に基づいて得られた分光スペクトルデータを前記補正情報にて補正して、その補正した分光スペクトルデータに基づいて被計測物の品質評価値を求めるように構成されている品質評価装置。 - 請求項1〜5のうちのいずれかに記載の品質評価装置が、被計測物が分配供給される複数の計測箇所の夫々に配備された品質計測用設備であって、
前記複数の品質評価装置のうちのいずれか1つのものが前記基準の品質評価装置として設定され、
前記基準の品質評価装置以外の他の品質評価装置が、
前記補正情報算出処理として、前記基準の品質評価装置にて計測が行われた前記補正情報取得用の被計測物と同じ被計測物について自己が求めた前記検出2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度と前記基準の品質評価装置にて前記補正情報取得用の被計測物を計測して求めた前記基準2次微分スペクトルデータの形状並びに各波長毎の光強度の情報に基づいて前記補正情報を求めるように構成されている品質計測用設備。
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