JP2004219375A - 果菜類の品質評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】計測結果のバラツキが大きくなるおそれを回避しながら、果菜類の内部品質を適正に評価することが可能となる果菜類の品質評価装置を提供する。
【解決手段】計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射するとともに、被計測物からの透過光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段Kと、被計測物を搬送する搬送手段4と、計測手段Kの受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段3とを備え、被計測物における搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について透過光を受光して品質評価用の受光情報を計測し、且つ、複数の部位の夫々について各別に計測した受光情報に基づいて部分品質評価値を求め、夫々の部分品質評価値を各部位毎に予め設定されている補正係数にて補正した複数の部分品質評価値に基づいて被計測物の品質評価値を求めるように構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射するとともに、被計測物からの透過光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段Kと、被計測物を搬送する搬送手段4と、計測手段Kの受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段3とを備え、被計測物における搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について透過光を受光して品質評価用の受光情報を計測し、且つ、複数の部位の夫々について各別に計測した受光情報に基づいて部分品質評価値を求め、夫々の部分品質評価値を各部位毎に予め設定されている補正係数にて補正した複数の部分品質評価値に基づいて被計測物の品質評価値を求めるように構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、前記計測手段の前記受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成は、被計測物として蜜柑、林檎あるいは桃等の果菜類における品質、例えば糖度や酸度等の内部品質を非破壊状態で計測するためのものであるが、このような品質評価装置として、従来では、次のような構成のものがあった。
【0003】
すなわち、搬送手段にて搬送される被計測物に対して、その被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について品質評価用の受光情報を計測して、それら複数の品質評価用の受光情報をそのまま平均化して被計測物全体としての品質評価用の受光情報を求めるようにしたものがあった。説明を加えると、計測手段が所定周波数でチョッピングした光を、搬送手段にて搬送されて所定速度で移動している被計測物に対して投射するとともに、受光タイミングを前記チョッピング動作に同期させた状態で、被計測物からの反射光を複数回にわたって受光するようにして、前記複数の品質評価用の受光情報を計測する構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−99841号公報(第2−3頁、図1、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成は、例えば、被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位のうちのいずれか1つの限られた部位を対象として1回の計測によって品質評価用の受光情報を計測するものであれば、計測手段にて品質評価用の受光情報を計測するときにおいて計測手段にてランダムに発生するノイズの影響や果菜類の表面にランダムに発生する果菜類特有の汚れによるノイズ等によって品質評価用の受光情報のバラツキが大きくなるおそれがあるので、複数回にわたって計測してその計測結果を平均化することで、このようなランダムノイズの影響等による品質評価用の受光情報のバラツキを少なくさせるようにしたものである。
【0006】
しかし、上記従来構成においては、搬送手段にて搬送される被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について複数回にわたって計測された複数の品質評価用の受光情報をそのまま平均化して被計測物の品質評価値を求める構成となっていることから、次のような不利な点があった。
【0007】
すなわち、前記品質評価装置における計測対象である果菜類、例えば、蜜柑、林檎あるいは桃等の果菜類について内部品質として酸度や糖度等を計測する場合、果菜類の果肉の部分における酸度や糖度等を計測する必要があるが、上述したような果菜類の中心部には種や空洞部分等が存在する場合がある。このような種や空洞等は個々の果菜類によって大きさが異なっていたり、又、投射された光に対する光透過特性等が種々変化することがある。つまり、果肉の部分においては酸度や糖度等の内部品質の変化に対して品質評価用の受光情報が適正に変化するものであるが、種や空洞部分等が存在する部位においては、内部品質が同じであっても品質評価用の受光情報が乱れて変動しやすいものとなる。その結果、このような種や空洞部分等が存在する部位を計測した場合における品質評価用の受光情報は内部品質を求めるための情報として信頼性が低いものとなる。
【0008】
しかし、上記従来構成においては、このような果菜類の種や空洞部分等が存在する部位における内部品質を求めるための情報として信頼性が低い品質評価用の受光情報についても、他の果肉の部位における品質評価用の受光情報と同じような価値を有するものとして、全ての部位の品質評価用の受光情報を単に平均化しているだけであるから、全体としての果菜類の内部品質が適正に評価されていないものとなるおそれがあった。
【0009】
尚、被計測物が計測箇所にて停止している状態であれば、前記複数の部位のうち、上述したような内部品質を求めるための情報として信頼性が高い品質評価用の受光情報が得られる特定の部位だけを対象として、前記計測手段によって品質評価用の受光情報を複数回計測して、その複数の品質評価用の受光情報を単に平均化してその平均化した品質評価用の受光情報に基づいて品質評価値を求めることで、全体としての果菜類の内部品質を適正に評価することが可能である。しかし、搬送手段によって計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求める構成のものにおいては、連続的に搬送されて移動している被計測物に対して上述したような信頼性が高い品質評価用の受光情報が得られる特定の部位だけを精度よく計測することは難しいものであり、搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について品質評価用の受光情報を計測した後に処理を行うことで対応する必要がある。
【0010】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求めるようにした果菜類の品質評装置において、ランダムノイズ等の影響を回避しながら、果菜類の内部品質を極力適正に評価することを可能にする点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の果菜類の品質評価装置は、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、前記計測手段の前記受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されているものであって、前記制御手段が、前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報を前記複数の部位夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位夫々についての品質評価用の受光情報に基づいて、前記被計測物の品質評価値を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
すなわち、搬送手段によって搬送される被計測物に対して、搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について前記透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する。そして、複数の部位の夫々について各別に計測した品質評価用の受光情報を各部位毎に設定されている重み付け係数にて補正して、その補正された複数の品質評価用の受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求めるようにしているのである。
【0013】
この重み付け係数は、果菜類の内部状態等の性状の違いに対応させて、予め設定しておくことになる。例えば、種や空洞部分等が存在する部位においては、内部品質が同じであっても品質評価用の受光情報が乱れて変動しやすいものとなるから、そのような部位にて計測された信頼性が低い品質評価用の受光情報に対しては重み付け係数を小さくしておき、果肉が存在する部位のように内部品質の変化に対して品質評価用の受光情報が適正に変化する部位における品質評価用の受光情報については重み付け係数を大きくすることで、被計測物全体として適切な品質評価値を求めることが可能となる。
【0014】
又、このように搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について品質評価用の受光情報を計測して、それら複数の品質評価用の受光情報を複数の部位夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位夫々についての品質評価用の受光情報に基づいて、被計測物の品質評価値を求めるようにしたので、いずれか1つの限られた部位を対象として1回の計測によって品質評価用の受光情報を計測するものに比べてランダムノイズ等の影響によって計測結果のバラツキが大きくなるおそれを少なくすることができる。又、内部品質を求めるための情報として信頼性が低い品質評価用の受光情報については、重み付けを小さくすることで、被計測物全体としての品質評価値についての信頼性を高めることができるのである。
【0015】
従って、計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求めるようにした果菜類の品質評装置において、ランダムノイズ等の影響を回避しながら、果菜類の内部品質を極力適正に評価することが可能となった。
【0016】
請求項2に記載の果菜類の品質評価装置は、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、前記計測手段の前記受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されているものであって、前記制御手段が、前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報に基づいて、前記複数の部位の夫々についての品質評価値を求め、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を前記複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、前記被計測物の全体としての品質評価値を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、搬送手段によって搬送される被計測物に対して、搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について前記透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測し、それらの品質評価用の受光情報に基づいて前記複数の部位の夫々についての品質評価値を求める。そして、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、記被計測物の全体としての品質評価値を求めるのである。
【0018】
この重み付け係数は、果菜類の内部状態等の性状の違いに対応させて、予め設定しておくことになる。例えば、種や空洞部分等が存在する部位においては、内部品質が同じであっても品質評価用の受光情報が乱れて変動しやすいものとなるから、そのような部位にて計測された信頼性が低い品質評価用の受光情報に基づいて求められた品質評価値に対しては重み付け係数を小さくしておき、果肉が存在する部位のように内部品質の変化に対して品質評価用の受光情報が適正に変化する部位における品質評価用の受光情報に基づいて求められた品質評価値については重み付け係数を大きくすることで、被計測物全体として適切な品質評価値を求めることが可能となる。
【0019】
このように搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について、前記品質評価用の受光情報に基づいて品質評価値を求め、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、被計測物の全体としての品質評価値を求めるようにしたので、いずれか1つの限られた部位を対象として1回の計測によって品質評価用の受光情報を計測するものに比べてランダムノイズ等の影響によって計測結果のバラツキが大きくなるおそれを少なくすることができる。又、内部品質を求めるための情報として信頼性が低い部位における品質評価値については重み付けを小さくすることで、被計測物全体としての品質評価値についての信頼性を高めることができるのである。
【0020】
従って、計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求めるようにした果菜類の品質評装置において、ランダムノイズ等の影響を回避しながら、果菜類の内部品質を極力適正に評価することが可能となった。
【0021】
請求項3に記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1又は2において、前記制御手段が、複数部位設定手段の指令に基づいて、計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を変更設定自在に構成されていることを特徴とする。
【0022】
つまり、計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を変更設定自在であるから、例えば、被計測物の種類や大きさ等の変化に応じて、前記複数の部位夫々の搬送方向での位置を適切な位置に設定することが可能であり、又、被計測物の種類や大きさ等の変化に応じて前記複数の部位の個数を適切な個数に設定することが可能となる。従って、被計測物の種類や大きさにかかわらず、前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を適正なものにして果菜類の内部品質を評価することができる。
【0023】
請求項4記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記制御手段が、重み付け設定指令手段の指令に基づいて、前記複数の部位夫々についての前記重み付け係数を変更設定自在に構成されていることを特徴とする。
【0024】
すなわち、複数の部位夫々についての前記重み付け係数を変更設定することが可能であるから、例えば、果肉の割合が少なく種や空洞が存在する部位は重み付け係数を小さくし、それ以外の部位は重み付け係数を大きくする等、被計測物としての果菜類の性状の違いに応じて常に適切な状態で重み付け係数を設定することができ、果菜類の内部品質を適正に評価することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る果菜類の品質評価装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る果菜類の品質評価装置は、被計測物として例えば蜜柑等の果菜類の品質としての糖度や酸度を計測するための装置であり、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、被計測物からの透過光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、被計測物を計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、計測手段の受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されている。
【0027】
詳述すると、図1に示すように、品質評価装置は、被計測物Mに光を照射する投光部1と、被計測物Mを透過した光を受光し、その受光した光を計測する受光部2と、各種の制御処理を実行するとともに、受光部2における受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段としてのマイクロコンピュータ利用の制御部3等を備えて構成され、被計測物Mは、搬送手段としての搬送コンベア4により一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、本装置による計測箇所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測箇所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測個所の左右両側部に、すなわち、搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっている。つまり投光部1と受光部2とにより計測手段Kが構成されることになる。
【0028】
次に、前記投光部1の構成について説明する。
この投光部1は、2個の光源を備えるとともに、その2個の光源からの光を互いに異なる照射用の光軸にて計測箇所に位置する被計測物に照射するように構成されている。又、各光源による2本の照射用の光軸が計測箇所に位置する被計測物の表面部又はその近傍にて交差するように構成されている。
すなわち、図5及び図6に示すように、搬送コンベア4による搬送方向に沿って離間させた2個のハロゲンランプからなる光源5が設けられ、これら2個の光源5の夫々に対応させて次のような光学系が備えられている。つまり、光源5が発光する光を反射させて被計測物Mの表面に焦点を合わせるための集光手段としての凹面形状の光反射板6が備えられ、この光反射板6にて集光される光の焦点位置近くに対応するように位置させて、大きめの絞り孔7aを通過させることで集光された後の光の径方向外方側への広がりを抑制する絞り板7、絞り板7を通過した光を通過させる状態、小さめの絞り孔8aを通して通過させる状態、及び、光を遮断する状態の夫々に切り換え自在な光量調節板8、集光された光源5からの光を並行光に変更させるコリメータレンズ9、並行光に変化した光を反射して屈曲させる反射板10、この反射板10にて反射された光を集光させる集光レンズ11の夫々が1個の光源5に対する光学系として備えられている。前記各光量調節板8は、投光量調整用モータ12によって一体的に揺動操作され、前記各状態に切り換え自在に構成されている。
【0029】
そして、この投光部1は上記したような各部材がケーシング13に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。又、計測箇所に位置する被計測物に対して斜め下方に向かう状態で光を照射するように、投光部1が斜め姿勢で備えられており、外形寸法が小さい被計測物であっても受光部2に直接光が入らないようにしている。
【0030】
次に、受光部2の構成について説明する。
この受光部2は、図5に示すように、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ14、並行光に変化した光のうち近赤外域である波長領域680〜990ナノメートル(nm)の範囲の光だけを上向きに反射し、それ以外の波長の光をそのまま通過させるバンドパスミラー15、バンドパスミラー15により上向きに反射された計測対象光を集光させる集光レンズ16、集光レンズ16を通過した光をそのまま通過させて受光センサにて受光されることを許容する開放状態と受光されることを阻止する遮蔽状態とに切り換え自在な入射状態切換手段としてのシャッター機構17、開放状態のシャッター機構17を通過した光が入射されると、その光を分光して前記分光スペクトルデータを計測する分光器18等を備えて構成されている。尚、シャッター機構17の下方側、つまり光入射方向上手側箇所には、分光器に入射される光に対して作用する光量調整用の複数の各種のフィルターを切り換えるフィルター切り換え機構Eが備えられている。
【0031】
前記分光器18は、図7に示すように、受光位置である入光口20から入射した計測対象光を反射する反射鏡21と、反射された計測対象光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子22と、凹面回折格子22によって分光された計測対象光における各波長毎の光量を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光センサ23とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱24内に配置される構成となっている。前記受光センサ23は、凹面回折格子22にて分光反射された光を同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する1024の単位受光部を備えた電荷蓄積型のCCDラインセンサにて構成されている。このラインセンサは、詳述はしないが、各単位受光部毎に光量を電気信号(電荷)に変換する光電変換部と、その光電変換部にて得られた電荷を蓄積する電荷蓄積部、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等が備えた半導体基板上に形成されている。
【0032】
又、前記シャッター機構17は、図7、図8に示すように、放射状に複数のスリット25が形成された円板17Aを、パルスモータ17Bによって縦軸芯周りで回転操作される状態で備えて構成され、前記暗箱24の入光口20には前記各スリット25が上下に重なると光を通過させる開放状態となり、スリット25の位置がずれると光を遮断する遮断状態となるように、スリット25とほぼ同じ形状の透過孔27が形成されており、光の漏洩がないように暗箱の入光口20に対して円板17Aを密接状態で摺動する状態で配備して構成されている。すなわち、このシャッター機構17は凹面回折格子22に対する入光口20に近接する状態で設けられている。この受光部2も投光部1と同様にして、上記したような各部材がケーシング28に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。
【0033】
そして、投光部1及び受光部2の夫々が、投光用箇所及び受光用箇所の夫々に対して各別に着脱自在に取り付け可能なユニット状に構成されており、投光部1と受光部2とが着脱自在に取付けられる装置枠体Fが、計測箇所における搬送コンベア4の左右両側に相当する箇所を投光用箇所及び受光用箇所とするように、投光部1と受光部2に対する一対の取付部を備える状態で設けられている。
更には、前記装置枠体Fには、投光部1及び受光部2を一体的に上下方向に位置調節自在な上下位置調節手段としての上下位置調節機構29、及び、投光部1及び受光部2の夫々を各別に装置枠体Fに対して計測箇所に位置する被計測物に接近並びに離間する方向、すなわち、水平方向であって搬送コンベア4の搬送方向と直交する方向に沿って位置調節自在な水平位置調節手段としての水平位置調節機構30が備えられている。
【0034】
次に、前記上下位置調節機構29について説明する。図1〜図5に示すように、品質評価装置の外周部を囲うように矩形枠状に組み付けられた装置枠体Fが備えられ、その装置枠体Fの上部側箇所から位置固定状態で4本の固定支持棒31が垂下される状態で設けられ、これら4本の固定支持棒31の下端部には後述する品質評価装置校正用の被計測体Aを載置支持するための支持台32が取り付けられている。そして、この4本の固定支持棒31に対して4箇所の摺動支持部33により上下方向にスライド移動自在に昇降台34が支持されている。又、装置枠体Fの上部側箇所から垂下状態に支持された送りネジ35が電動モータ36にて回動自在に設けられ、昇降台34に備えられた雌ネジ部材37がこの送りネジ35に螺合しており、送りネジ35を電動モータ36にて回動操作することで昇降台34が任意の位置に上下移動調節可能な構成となっている。尚、送りネジ35は手動操作ハンドル38でも回動自在に構成されている。
又、前記昇降台34には、品質評価装置校正用の被計測体Aが支持台32に載置支持された状態でも昇降操作可能なように品質評価装置校正用の被計測体Aが上下方向に通過することを許容する挿通孔34aが形成されている。
【0035】
次に、水平位置調節機構30について説明する。
前記昇降台34には、図3に示すように、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本のガイド棒39が設けられており、ユニット状に組み付けられた投光部1並びに受光部2の夫々が着脱自在に取付けられる前記一対の取付部としての支持部材40、41が各ガイド棒39にスライド移動自在に支持される構成となっている。前記各ガイド棒39は長手方向両端側で連結具39aにて連結されている。又、前記昇降台34には、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本の送りネジ42、43が夫々電動モータ44、45によって回動操作可能に設けられ、各支持部材40、41に備えられた雌ネジ部46、47が各送りネジ42、43に螺合しており、電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで、前記各支持部材40、41が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節可能な構成となっている。従って、各支持部材40、41に夫々各別に取付けられる投光部1及び受光部2は電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで前記水平方向、すなわち、計測箇所に対して接近並びに離間する方向での相対位置を変更調節することが可能となる。
【0036】
従って、電動モータ36にて送りネジ35を回動操作させると昇降台34が上下移動調節されるが、それに伴って昇降台34に支持されている投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することができ、前記各電動モータ44、45を回動操作させることで投光部1及び受光部2が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節することができる。
【0037】
前記各支持部材40、41に対する投光部1及び受光部2の取付けの構成について説明を加えると、前記各支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aには、水平方向に適宜間隔をあけて横向きに突出する複数の位置決め用突起40b,41bが形成され、ユニット状に設けられた投光部1及び受光部2に夫々、それらの位置決め用突起40b,41bに対応する位置決め孔が設けられ、各支持部材40、41に対して投光部1及び受光部2を取付けるときは、位置決め用突起40b,41bを位置決め孔に嵌め合わせて位置決めした状態でその近くの適宜箇所をボルト止めすることで投光部1及び受光部2を取付ける構成となっている。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1及び受光部2の上下方向の長さに対応するように左右で少し長さが異なるものを用いるようにしている。又、投光部1の取付け部には、投射方向が少し斜め下方となるように傾斜用の姿勢規制具40cを設けている。
【0038】
搬送コンベア4における被計測物Mの計測箇所の上方側に位置させて、前記支持台32から下方側に延設した支持アーム48により支持される状態でリファレンスフィルター49が設けられている。このリファレンスフィルター49は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的には、一対のオパールガラスを備えて構成されている。
【0039】
上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図1に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測状態と、図4の仮想線にて示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター49を透過した後に受光部2にて受光されるリファレンス計測状態、及び、図4の実線にて示すような校正用計測状態の夫々に切り換えることができるように構成されている。
尚、詳述はしないが、この品質評価装置の外周部は、被計測物の搬送に伴う通過箇所を除いて装置枠体Fに備えられた壁体によって囲われて外部から光が入り込まないようになっている。
【0040】
そして、この品質評価装置には、前記支持台32に被計測物の光透過特性とほぼ同じような特性を有する擬似計測体Aを取り外し自在に装着できる構成となっている。尚、被計測体Aは支持台32にそのまま位置決めした状態で載置させる構成であり、容易に着脱可能な構成となっており、校正を行わないときには、被計測体Aを支持台32から取り外しておくことができる。
【0041】
この品質評価装置校正用の被計測体Aについて簡単に説明すると、図5に示すように、非透光性の部材で構成された略四角柱状の外側ケーシング52によって外周部が覆われ、この外側ケーシング52内部の下方側に位置する箇所に品質評価対象としての純水Jを封入状態で収納する収納部51が設けられ、この収納部51と外側ケーシング52との間に空気層が形成されている。そして、この空気層の温度が、品質評価装置によって品質が評価されるときの被計測物の温度又はそれに近い温度である設定温度(例えば、30℃)に維持されるようにペルチェ素子55を作用させる構成となっている。そして、外側ケーシング52における収納部51の左右両側箇所に対応する位置に夫々、光通過部61と光通過部62とが形成され、非透光性の部材で構成された外側ケーシング52の入光側光通過部61及び出光側光通過部62に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。
【0042】
そして、図9に示すように、前記搬送コンベア4は無端回動帯4aを電動モータ4bによって駆動する構成となっており、その無端回動帯4aを巻回する回転体4cの回転軸の回転状態にて搬送コンベアによる搬送距離を検出する搬送距離計測手段としてのロータリーエンコーダ19が備えられ、このロータリーエンコーダ19の検出情報も制御部3に入力される構成となっており、更に、搬送コンベア4による計測箇所の搬送方向上手側箇所には、搬送コンベア4にて搬送される被計測物の有無を検出する被計測物検出手段としての光学式の通過検出センサ50が備えられている。この通過検出センサ50は、光を発する発光器50aと、その光を受光する受光器50bとが、搬送コンベア4による搬送経路の左右両側部に振り分け配置され、発光器50aから発する光が被検出物で遮断されて受光器50bにて受光できなくなると被検出物が存在していると判別することができる構成となっている。
【0043】
前記制御部3は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、図10に示すように、前記通過検出センサ50、受光センサ23の検出情報に基づいて被計測物の内部品質を求めるとともに各部の動作を制御する構成となっている。つまり、この制御部3は、後述するような公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するとともに、受光センサ23、シャッター機構17、投光量調整用モータ12、上下位置調節用モータ36、水平位置調節用モータ44、45の動作の管理等の各部の動作を制御する構成となっている。
【0044】
次に、制御部3による制御動作について説明する。
制御部3は、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして求める基準データ計測処理、搬送コンベア4により搬送される被計測物Mに対して、投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する通常データ計測処理の夫々を実行するように構成されている。
【0045】
前記基準データ計測処理について説明する。
搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を停止させている状態で、上下位置調節機構29によって前記リファレンス計測状態に切り換え、シャッター機構17を開放状態に切り換えて、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして計測する。又、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ18の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて、そのときの受光センサ18の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0046】
次に、通常データ計測処理について説明する。
この通常データ計測処理においては、上下位置調節機構29、具体的には上下位置調整用電動モータ36を操作して昇降台34を通常計測状態に切り換えて、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、被計測物が計測箇所に存在しないとき及び被計測物が前記計測箇所に存在しても後述するような品質評価用の受光情報の取得が終了しているときは、蓄電開始タイミングから蓄電用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させ、その後、放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させる電荷蓄積放電処理を繰り返し実行するようにして、受光センサ23に残留電荷が蓄積しないようにしている。
【0047】
そして、前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報を前記複数の部位夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位夫々についての品質評価用の受光情報に基づいて、前記被計測物の品質評価値を求めるように構成されている。
【0048】
具体的な制御動作について説明を加えると、被計測物が計測箇所に存在しないとき及び被計測物が前記計測箇所に存在しても後述するような品質評価用の受光情報の取得が終了しているときは、図11に示すように、蓄電開始タイミングから蓄電用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させ、その後、放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させる電荷蓄積放電処理を設定周期T1毎に繰り返し実行するように受光センサ23の動作を制御する構成となっている。一方、通過検出センサ50にて被計測物Mの搬送方向先頭位置が通過検出センサ50の検出位置である手前側箇所に来たことが検出され、その時点から被計測物の搬送距離が前記手前側箇所から計測箇所に至るまでの搬送距離になったことをロータリーエンコーダ19の検出情報に基づいて判別すると、被計測物Mが計測箇所に至ったものと判別するように構成されている。
【0049】
このように被計測物Mが計測箇所に至ったものと判別すると、その時点から放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させ、その後、計測用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させる計測用電荷蓄積処理を設定回数にわたり繰り返し実行することになる。又、計測用電荷蓄積処理を繰り返し実行するタイミングに合わせてシャッター機構17を遮蔽状態と開放状態とを交互に繰り返すようにシャッター機構17の動作を制御するよう構成されている。つまり、電荷を蓄積するタイミングに合わせてシャッター機構17を開放状態にさせて被計測物からの透過光を受光して電荷を蓄積する処理とその蓄積した電荷を次回の放出動作によって部分品質評価値として利用するために取り出す処理とを設定回数にわたって実行することになる。このようにして計測用電荷蓄積処理を設定回数繰り返して設定回数分の品質評価用の受光情報としての計測分光スペクトルデータを得るようにしている。
【0050】
但し、図12に示すように、被計測物における前記複数の部位のうち、搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2については、投光部1から投射された光が被計測物の周囲を通りそのまま受光部2に入り込む回り込み光が発生するおそれが大きいので、この部位は計測対象から除外している。
【0051】
その計測用電荷蓄積処理を繰り返す回数及び繰り返し周期T2は、被計測物の搬送方向に沿う最大外径Dから前記搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2を除く領域を計測対象とするように被計測物の外形寸法に合わせて適宜変更設定されるように構成されている。
説明を加えると、被計測物Mが通過検出センサ50の設置箇所を通過する際に、その通過検出センサ50の検出結果とロータリーエンコーダ19の検出結果とから、被計測物Mの搬送方向に沿う外形寸法Dを演算にて求めるようになっている。すなわち、図11に示すように、通過検出センサ50にて被計測物Mの搬送方向先頭位置が通過検出センサ50の検出位置である手前側箇所に来たことが検出された時点から、通過検出センサ50にて被計測物が検出されなくなるまでの経過時間から被計測物Mの搬送方向に沿う外形寸法Dを演算にて求めるのである。
【0052】
一方、外形寸法の大きさを複数の段階、例えば大小2段階に分けて図12に示すように、外形寸法が設定値より小である小型の被計測物の場合には、分割回数を例えば3回とし、外形寸法が設定値より大である大型の被計測物の場合には、分割回数を例えば5回とする等、予め外形寸法に対応するように設定回数が予め記憶されており、計測された外形寸法とその記憶内容に従って設定回数を変更するように構成されている。但し、外形寸法のうち前記搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2に相当する部分は計測対象から除外するようにしている。従って、前記計測された外形寸法の情報と記憶されている設定回数の情報が複数部位設定手段として機能することになる。
【0053】
つまり、制御部3は、通過検出センサ50の検出結果に基づいて、前記搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2に対応する時間を除いた、計測対象となる全域が計測箇所を通過するに要する通過所要時間T3を求め、その通過所要時間T3を外形寸法によって設定された設定回数nで分割した時間を計測用電荷蓄積処理を繰り返す周期(T2=T3/n)として設定するのである。
【0054】
そして、計測用電荷蓄積処理を設定回数繰り返して設定個数の品質評価用の受光情報(計測分光スペクトルデータ)が得られることになり、複数の部位の夫々についての前記各計測分光スペクトルデータについて、上記したようにして得られた、前記基準データ計測モードにて求められた基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。この吸光度スペクトルデータの二次微分値のうち前記特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値を、図12に示すように前記複数の部位の夫々対応にして各別に設定されている重み付け係数を掛け合わせて補正する。次に、複数の部位夫々について求めた特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値の被計測物全体の平均値を演算にて求める。
5個で分割する場合を例に具体例で説明すると、前記各部位1〜5の夫々の吸光度スペクトルの二次微分値をA1〜A5とし、被計測物全体の平均値をAoとすると、数1で示すようにして求められる。
【0055】
【数1】
Ao=(0.5×A1+1.0×A2+1.0×A3+1.0×A4+0.5×A5)/5
【0056】
そして、補正されて被計測物全体で求められた特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値と予め設定されている検量式とにより、被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する品質評価値としての検量値を算出する。この実施形態では、蜜柑を被計測物として想定しており、例えば温州蜜柑などのように光が透過し易い果菜類の場合には、中央部に果肉が存在するので中央側が大きな重み付けとなるように設定されており、前後方向両側部分は、周り込み光による誤差の影響を少なくするために小さい重み付けとなるようにしている。従って、前記計測された外形寸法の情報と記憶されている重み付け係数の情報が重み付け設定指令手段として機能することになる。
【0057】
前記吸光度スペクトルデータdは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0058】
【数2】
d=log[(Rd−Da)/(Sd−Da)]
【0059】
という演算式にて求められ、この吸光度スペクトルデータdを二次微分した値が吸光度スペクトルデータの二次微分値として求められる。又、前記検量式としては下記の数3に示されるような検量式を用い、被計測物Mに含まれる糖度や酸度に対応する検量値を求めるのである。
【0060】
【数3】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0061】
但し、
Y ;成分量に対応する検量値
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長における吸光度スペクトルの二次微分値
【0062】
尚、成分量を算出する成分毎に、特定の検量式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、この成分毎に特定の検量式を用いて各成分の検量値(成分量)を算出する構成となっている。
【0063】
上記したような検量式は、被計測物に対する計測処理に先立って、予め、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されることになる。
説明を加えると、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて、上述したような通常データ計測処理の場合と同様に、被計測物における搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について、品質評価装置を用いて計測分光スペクトルデータを計測する。次に、このようにして得られた各部位毎の計測分光スペクトルデータについて、前記基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、その各部位毎の吸光度スペクトルデータの二次微分値に対して、前記数1に基づいて、複数種の果菜類の夫々に対応させて複数の部位の夫々についての各別に設定して記憶されている重み付け係数を掛け合わせて補正して、被計測物全体としての吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、各波長毎に補正後の吸光度スペクトルデータの二次微分値の平均値を演算にて求めて、被計測物全体としての吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。
【0064】
そして、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。次に、上記したようにして得られた吸光度スペクトルデータの二次微分値を用いて前記実成分量の検出結果と対比させながら、重回帰分析の手法を用いてスペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す前記検量式を求めるのである。
【0065】
図10に示すように、前記被計測物としての果菜類の品種を変更する場合、例えば温州蜜柑と伊予柑や八朔等の品種の違いに応じて、いずれの果菜類を計測対象とするかを指定する人為操作式の切換操作具Cが設けられ、この切換操作具Cを作業員が人為的に操作して制御部における動作条件の変更を設定する構成となっている。そして、制御部3は、計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を品種の違いに応じて予め設定して記憶しており、切換操作具Cにて指定された果菜類の種類に応じて記憶している複数の重み付け係数のうちの対応するものを用いて上記したような処理を実行するよう構成されている。つまり、切換操作具Cは複数部位設定手段及び重み付け設定指令手段として機能することになる。このとき、果菜類の中央部に空洞が多く存在する品種であれば複数の部位のうち中心部の重み付け係数を小さめに設定したり、光の透過率が低くノイズが多くなり易いものであれば、複数の部位の個数を多くさせる等、果菜類の性状に応じて適宜設定することができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
この実施形態では、制御部3による演算処理の方法が異なる以外の他の構成は第1実施形態のものと同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0067】
この実施形態では、制御部3が、被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報に基づいて、前記複数の部位の夫々についての品質評価値を求め、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を前記複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、前記被計測物の全体としての品質評価値を求める構成である。
【0068】
説明を加えると、この実施形態においては、被計測物Mが搬送コンベア4により搬送されて計測箇所に至ったものと判別すると、制御部3が、前記計測用電荷蓄積処理を設定回数繰り返して設定回数分の計測分光スペクトルデータを得る点は、上記第1実施形態と同様である。
そして、このようにして得られた設定個数の計測分光スペクトルデータの夫々について、前記基準データ計測モードにて求められた基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を品質評価用の受光情報として求める。そして、設定個数分の複数の吸光度スペクトルデータの二次微分値のうち前記特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値と数3に示されるような検量式とにより、複数の部位夫々の検量値(品質評価値)を求める。
【0069】
次に、複数の部位夫々の検量値を図12に示すような重み付け係数を掛け合わせて補正して、その補正された複数の部位夫々の検量値の平均値を演算にて求めることで、被計測物全体としての品質評価値としての検量値を求めることができる。このとき、平均を求める場合の分母となるのは、前記全ての重み付け係数を合わせた数値となる。例えば、図12において5個で分割する例では、分母は全ての重み付け係数を合わせた数値つまり「4」となる。つまり、各部位1〜5の品質評価値を夫々、h1〜h5とすると、被計測物の全体としての検量値Ysは、数4のようになる。
【0070】
【数4】
Ys=(0.5×h1+1.0×h2+1.0×h3+1.0×h4+0.5×h5)/4
【0071】
前記検量式は、第1実施形態の場合と同様に、被計測物に対する計測処理に先立って、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されることになるが、この検量式の作成の仕方が第1実施形態の場合と異なっている。
説明を加えると、先ず、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて、複数の部位のうちの最も品質評価に適した位置を予め定めておきその部位について品質評価装置を用いて計測分光スペクトルデータを計測する。次に、このようにして得られた計測分光スペクトルデータについて、通常データ計測処理の場合と同様に、前記基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。次に、上記したようにして得られた各サンプル毎の吸光度スペクトルデータの二次微分値を用いて前記実成分量の検出結果と対比させながら重回帰分析の手法を用いてスペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す検量式を求めるのである。
【0072】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0073】
(1)上記各実施形態では、前記計測手段として、投光部1と受光部2とが搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっているものを例示したが、このような構成に代えて次のように構成するものでもよい。
図13に示すように、第1実施形態における投光部1と同じ構成のユニット状の投光部1が2台備えられ、それら2台の投光部1が計測箇所の左右両側部、すなわち、搬送コンベア4Aの搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置され、各投光部1は光の照射方向がほぼ水平方向となるように構成されている。すなわち、前記各支持部材40、41と同様な支持部材40、41にユニット状の2台の投光部1が夫々取付けられる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1の上下長さに対応するように左右で同じものを用いるようにしている。又、各投光部1の光の照射方向がほぼ水平方向となるように、上記品質評価装置にて用いた傾斜用の姿勢規制具40cは使用しない構成となっている。
【0074】
搬送コンベア4Aは、被計測物を中央部に挿通孔70が形成された受皿71に載置した状態で搬送される構成となっており、この受皿71は、計測箇所の下方側には、前記投光部1から照射されて被計測物を透過して受皿71の挿通孔70を通して下方側に透過する光を受光する光ファイバー72の受光側端部が配置されている。その光ファイバー72の他端側には、受光部2とほぼ同じ構成のユニット状の受光部2が接続されて光が受光されることになる。この受光部2による受光情報に基づく制御部3での品質評価値を求める処理については第1実施形態の場合と同様である。尚、この実施形態では、被計測物として、例えば桃や林檎等の果菜類を対象としている。
【0075】
この品質評価装置においては、計測箇所に位置する被計測物に対して、その左右両側部に位置する各投光部1から光がほぼ水平方向に対向するように投射され、被計測物内部で散乱して下方側に透過して出て来た光を光ファイバー72にて受光して受光部2に導く構成となっている。又、受皿71における挿通孔70は、図14に示すように、搬送方向に長く形成されており、被計測物における前記複数の部位のうち、搬送方向前端側部分及び搬送方向後端側部分を除く他の部位について適切に受光部にて受光して計測処理を行える構成としている。
【0076】
前記制御部3における計測用の処理内容については、第1実施形態の場合と同様であるが、上記したように、この実施形態では、被計測物として、例えば桃や林檎等の果菜類を対象としているが、例えば、桃の場合には、中央部分には果肉がなく種qが存在して光の透過率が低いことから、前記複数の部位として、例えば図15に示すように、前記搬送方向の中央部に位置する部位は計測対象から除外して、前記中央部に対して前記搬送方向前後両側に位置する部位に対して大きな重み付けが付され、それよりも更に前後方向両側に位置する部位については、前後方向での位置ズレによる誤差等を考慮して少し小さめの重み付け係数を設定するように構成されている。又、この実施形態では投光部1からの光が受光部2に直接入り込むおそれは少ないので、第1実施形態と異なり搬送方向前端側部分及び搬送方向後端側部分についても除外することなく計測対象としている。尚、この実施形態においても、被計測物の品種や大きさに応じて計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を変更設定する構成とする。
【0077】
又、上記したような構成に代えて、計測箇所の横一側箇所に1つの投光部を配置する構成としてもよく、光ファイバーで受光するものに代えて、計測箇所の下側に受光部を備えて受光部にて透過光を直接受光する構成としてもよい。又、投光部と受光部とを計測箇所の例えば横一側箇所に並べて配置して光投射方向に対してほぼそれを反対方向に出てくる光を受光するようにしてもよい。
【0078】
(2)上記各実施形態では、被計測物における搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位として、被計測物の大きさに応じて複数の部位の搬送方向の位置と個数とを同時に変更する構成としたが、常に同じ個数で分割する構成として重み付け係数だけを変更させるようにしてもよい。
【0079】
(3)上記第各実施形態では、投光部と受光部とが計測箇所の左右両側部に振り分けて配置される構成のものを例示したが、このような構成に代えて、投光部と受光部とが計測箇所の上下両側部に振り分けて配置される構成としてもよい。
【0080】
(4)上記各実施形態では、投光部の光源としてハロゲンランプを用いたが、これに限らず、水銀灯、Ne放電管等の各種の光源を用いてもよく、受光部における受光センサは、CCD型ラインセンサに限らずMOS型ラインセンサ等の他の検出手段を用いるようにしてもよい。
【0081】
(5)上記各実施形態では、被計測物Mの内部品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】品質評価装置の正面図
【図2】品質評価装置の側面図
【図3】品質評価装置の平面図
【図4】品質評価装置の正面図
【図5】品質評価装置の一部切欠正面図
【図6】投光部の切欠平面図
【図7】分光器の構成図
【図8】シャッター機構を示す図
【図9】設置状態を示す平面図
【図10】制御ブロック図
【図11】計測作動のタイミングチャート
【図12】複数の部位と重み付け係数を示す図
【図13】別実施形態の品質評価装置の正面図
【図14】別実施形態の受皿の平面図
【図15】別実施形態の複数の部位と重み付け係数を示す図
【符号の説明】
3 制御手段
4、4A 搬送手段
K 計測手段
M 被計測物
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、前記計測手段の前記受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成は、被計測物として蜜柑、林檎あるいは桃等の果菜類における品質、例えば糖度や酸度等の内部品質を非破壊状態で計測するためのものであるが、このような品質評価装置として、従来では、次のような構成のものがあった。
【0003】
すなわち、搬送手段にて搬送される被計測物に対して、その被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について品質評価用の受光情報を計測して、それら複数の品質評価用の受光情報をそのまま平均化して被計測物全体としての品質評価用の受光情報を求めるようにしたものがあった。説明を加えると、計測手段が所定周波数でチョッピングした光を、搬送手段にて搬送されて所定速度で移動している被計測物に対して投射するとともに、受光タイミングを前記チョッピング動作に同期させた状態で、被計測物からの反射光を複数回にわたって受光するようにして、前記複数の品質評価用の受光情報を計測する構成となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−99841号公報(第2−3頁、図1、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成は、例えば、被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位のうちのいずれか1つの限られた部位を対象として1回の計測によって品質評価用の受光情報を計測するものであれば、計測手段にて品質評価用の受光情報を計測するときにおいて計測手段にてランダムに発生するノイズの影響や果菜類の表面にランダムに発生する果菜類特有の汚れによるノイズ等によって品質評価用の受光情報のバラツキが大きくなるおそれがあるので、複数回にわたって計測してその計測結果を平均化することで、このようなランダムノイズの影響等による品質評価用の受光情報のバラツキを少なくさせるようにしたものである。
【0006】
しかし、上記従来構成においては、搬送手段にて搬送される被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について複数回にわたって計測された複数の品質評価用の受光情報をそのまま平均化して被計測物の品質評価値を求める構成となっていることから、次のような不利な点があった。
【0007】
すなわち、前記品質評価装置における計測対象である果菜類、例えば、蜜柑、林檎あるいは桃等の果菜類について内部品質として酸度や糖度等を計測する場合、果菜類の果肉の部分における酸度や糖度等を計測する必要があるが、上述したような果菜類の中心部には種や空洞部分等が存在する場合がある。このような種や空洞等は個々の果菜類によって大きさが異なっていたり、又、投射された光に対する光透過特性等が種々変化することがある。つまり、果肉の部分においては酸度や糖度等の内部品質の変化に対して品質評価用の受光情報が適正に変化するものであるが、種や空洞部分等が存在する部位においては、内部品質が同じであっても品質評価用の受光情報が乱れて変動しやすいものとなる。その結果、このような種や空洞部分等が存在する部位を計測した場合における品質評価用の受光情報は内部品質を求めるための情報として信頼性が低いものとなる。
【0008】
しかし、上記従来構成においては、このような果菜類の種や空洞部分等が存在する部位における内部品質を求めるための情報として信頼性が低い品質評価用の受光情報についても、他の果肉の部位における品質評価用の受光情報と同じような価値を有するものとして、全ての部位の品質評価用の受光情報を単に平均化しているだけであるから、全体としての果菜類の内部品質が適正に評価されていないものとなるおそれがあった。
【0009】
尚、被計測物が計測箇所にて停止している状態であれば、前記複数の部位のうち、上述したような内部品質を求めるための情報として信頼性が高い品質評価用の受光情報が得られる特定の部位だけを対象として、前記計測手段によって品質評価用の受光情報を複数回計測して、その複数の品質評価用の受光情報を単に平均化してその平均化した品質評価用の受光情報に基づいて品質評価値を求めることで、全体としての果菜類の内部品質を適正に評価することが可能である。しかし、搬送手段によって計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求める構成のものにおいては、連続的に搬送されて移動している被計測物に対して上述したような信頼性が高い品質評価用の受光情報が得られる特定の部位だけを精度よく計測することは難しいものであり、搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について品質評価用の受光情報を計測した後に処理を行うことで対応する必要がある。
【0010】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求めるようにした果菜類の品質評装置において、ランダムノイズ等の影響を回避しながら、果菜類の内部品質を極力適正に評価することを可能にする点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の果菜類の品質評価装置は、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、前記計測手段の前記受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されているものであって、前記制御手段が、前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報を前記複数の部位夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位夫々についての品質評価用の受光情報に基づいて、前記被計測物の品質評価値を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
すなわち、搬送手段によって搬送される被計測物に対して、搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について前記透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する。そして、複数の部位の夫々について各別に計測した品質評価用の受光情報を各部位毎に設定されている重み付け係数にて補正して、その補正された複数の品質評価用の受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求めるようにしているのである。
【0013】
この重み付け係数は、果菜類の内部状態等の性状の違いに対応させて、予め設定しておくことになる。例えば、種や空洞部分等が存在する部位においては、内部品質が同じであっても品質評価用の受光情報が乱れて変動しやすいものとなるから、そのような部位にて計測された信頼性が低い品質評価用の受光情報に対しては重み付け係数を小さくしておき、果肉が存在する部位のように内部品質の変化に対して品質評価用の受光情報が適正に変化する部位における品質評価用の受光情報については重み付け係数を大きくすることで、被計測物全体として適切な品質評価値を求めることが可能となる。
【0014】
又、このように搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について品質評価用の受光情報を計測して、それら複数の品質評価用の受光情報を複数の部位夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位夫々についての品質評価用の受光情報に基づいて、被計測物の品質評価値を求めるようにしたので、いずれか1つの限られた部位を対象として1回の計測によって品質評価用の受光情報を計測するものに比べてランダムノイズ等の影響によって計測結果のバラツキが大きくなるおそれを少なくすることができる。又、内部品質を求めるための情報として信頼性が低い品質評価用の受光情報については、重み付けを小さくすることで、被計測物全体としての品質評価値についての信頼性を高めることができるのである。
【0015】
従って、計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求めるようにした果菜類の品質評装置において、ランダムノイズ等の影響を回避しながら、果菜類の内部品質を極力適正に評価することが可能となった。
【0016】
請求項2に記載の果菜類の品質評価装置は、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、前記計測手段の前記受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されているものであって、前記制御手段が、前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報に基づいて、前記複数の部位の夫々についての品質評価値を求め、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を前記複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、前記被計測物の全体としての品質評価値を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、搬送手段によって搬送される被計測物に対して、搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について前記透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測し、それらの品質評価用の受光情報に基づいて前記複数の部位の夫々についての品質評価値を求める。そして、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、記被計測物の全体としての品質評価値を求めるのである。
【0018】
この重み付け係数は、果菜類の内部状態等の性状の違いに対応させて、予め設定しておくことになる。例えば、種や空洞部分等が存在する部位においては、内部品質が同じであっても品質評価用の受光情報が乱れて変動しやすいものとなるから、そのような部位にて計測された信頼性が低い品質評価用の受光情報に基づいて求められた品質評価値に対しては重み付け係数を小さくしておき、果肉が存在する部位のように内部品質の変化に対して品質評価用の受光情報が適正に変化する部位における品質評価用の受光情報に基づいて求められた品質評価値については重み付け係数を大きくすることで、被計測物全体として適切な品質評価値を求めることが可能となる。
【0019】
このように搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について、前記品質評価用の受光情報に基づいて品質評価値を求め、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、被計測物の全体としての品質評価値を求めるようにしたので、いずれか1つの限られた部位を対象として1回の計測によって品質評価用の受光情報を計測するものに比べてランダムノイズ等の影響によって計測結果のバラツキが大きくなるおそれを少なくすることができる。又、内部品質を求めるための情報として信頼性が低い部位における品質評価値については重み付けを小さくすることで、被計測物全体としての品質評価値についての信頼性を高めることができるのである。
【0020】
従って、計測箇所を経由して連続的に搬送される被計測物の品質評価値を求めるようにした果菜類の品質評装置において、ランダムノイズ等の影響を回避しながら、果菜類の内部品質を極力適正に評価することが可能となった。
【0021】
請求項3に記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1又は2において、前記制御手段が、複数部位設定手段の指令に基づいて、計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を変更設定自在に構成されていることを特徴とする。
【0022】
つまり、計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を変更設定自在であるから、例えば、被計測物の種類や大きさ等の変化に応じて、前記複数の部位夫々の搬送方向での位置を適切な位置に設定することが可能であり、又、被計測物の種類や大きさ等の変化に応じて前記複数の部位の個数を適切な個数に設定することが可能となる。従って、被計測物の種類や大きさにかかわらず、前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を適正なものにして果菜類の内部品質を評価することができる。
【0023】
請求項4記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、前記制御手段が、重み付け設定指令手段の指令に基づいて、前記複数の部位夫々についての前記重み付け係数を変更設定自在に構成されていることを特徴とする。
【0024】
すなわち、複数の部位夫々についての前記重み付け係数を変更設定することが可能であるから、例えば、果肉の割合が少なく種や空洞が存在する部位は重み付け係数を小さくし、それ以外の部位は重み付け係数を大きくする等、被計測物としての果菜類の性状の違いに応じて常に適切な状態で重み付け係数を設定することができ、果菜類の内部品質を適正に評価することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る果菜類の品質評価装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る果菜類の品質評価装置は、被計測物として例えば蜜柑等の果菜類の品質としての糖度や酸度を計測するための装置であり、計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、被計測物からの透過光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、被計測物を計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、計測手段の受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されている。
【0027】
詳述すると、図1に示すように、品質評価装置は、被計測物Mに光を照射する投光部1と、被計測物Mを透過した光を受光し、その受光した光を計測する受光部2と、各種の制御処理を実行するとともに、受光部2における受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段としてのマイクロコンピュータ利用の制御部3等を備えて構成され、被計測物Mは、搬送手段としての搬送コンベア4により一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、本装置による計測箇所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測箇所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測個所の左右両側部に、すなわち、搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっている。つまり投光部1と受光部2とにより計測手段Kが構成されることになる。
【0028】
次に、前記投光部1の構成について説明する。
この投光部1は、2個の光源を備えるとともに、その2個の光源からの光を互いに異なる照射用の光軸にて計測箇所に位置する被計測物に照射するように構成されている。又、各光源による2本の照射用の光軸が計測箇所に位置する被計測物の表面部又はその近傍にて交差するように構成されている。
すなわち、図5及び図6に示すように、搬送コンベア4による搬送方向に沿って離間させた2個のハロゲンランプからなる光源5が設けられ、これら2個の光源5の夫々に対応させて次のような光学系が備えられている。つまり、光源5が発光する光を反射させて被計測物Mの表面に焦点を合わせるための集光手段としての凹面形状の光反射板6が備えられ、この光反射板6にて集光される光の焦点位置近くに対応するように位置させて、大きめの絞り孔7aを通過させることで集光された後の光の径方向外方側への広がりを抑制する絞り板7、絞り板7を通過した光を通過させる状態、小さめの絞り孔8aを通して通過させる状態、及び、光を遮断する状態の夫々に切り換え自在な光量調節板8、集光された光源5からの光を並行光に変更させるコリメータレンズ9、並行光に変化した光を反射して屈曲させる反射板10、この反射板10にて反射された光を集光させる集光レンズ11の夫々が1個の光源5に対する光学系として備えられている。前記各光量調節板8は、投光量調整用モータ12によって一体的に揺動操作され、前記各状態に切り換え自在に構成されている。
【0029】
そして、この投光部1は上記したような各部材がケーシング13に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。又、計測箇所に位置する被計測物に対して斜め下方に向かう状態で光を照射するように、投光部1が斜め姿勢で備えられており、外形寸法が小さい被計測物であっても受光部2に直接光が入らないようにしている。
【0030】
次に、受光部2の構成について説明する。
この受光部2は、図5に示すように、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ14、並行光に変化した光のうち近赤外域である波長領域680〜990ナノメートル(nm)の範囲の光だけを上向きに反射し、それ以外の波長の光をそのまま通過させるバンドパスミラー15、バンドパスミラー15により上向きに反射された計測対象光を集光させる集光レンズ16、集光レンズ16を通過した光をそのまま通過させて受光センサにて受光されることを許容する開放状態と受光されることを阻止する遮蔽状態とに切り換え自在な入射状態切換手段としてのシャッター機構17、開放状態のシャッター機構17を通過した光が入射されると、その光を分光して前記分光スペクトルデータを計測する分光器18等を備えて構成されている。尚、シャッター機構17の下方側、つまり光入射方向上手側箇所には、分光器に入射される光に対して作用する光量調整用の複数の各種のフィルターを切り換えるフィルター切り換え機構Eが備えられている。
【0031】
前記分光器18は、図7に示すように、受光位置である入光口20から入射した計測対象光を反射する反射鏡21と、反射された計測対象光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子22と、凹面回折格子22によって分光された計測対象光における各波長毎の光量を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光センサ23とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱24内に配置される構成となっている。前記受光センサ23は、凹面回折格子22にて分光反射された光を同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する1024の単位受光部を備えた電荷蓄積型のCCDラインセンサにて構成されている。このラインセンサは、詳述はしないが、各単位受光部毎に光量を電気信号(電荷)に変換する光電変換部と、その光電変換部にて得られた電荷を蓄積する電荷蓄積部、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等が備えた半導体基板上に形成されている。
【0032】
又、前記シャッター機構17は、図7、図8に示すように、放射状に複数のスリット25が形成された円板17Aを、パルスモータ17Bによって縦軸芯周りで回転操作される状態で備えて構成され、前記暗箱24の入光口20には前記各スリット25が上下に重なると光を通過させる開放状態となり、スリット25の位置がずれると光を遮断する遮断状態となるように、スリット25とほぼ同じ形状の透過孔27が形成されており、光の漏洩がないように暗箱の入光口20に対して円板17Aを密接状態で摺動する状態で配備して構成されている。すなわち、このシャッター機構17は凹面回折格子22に対する入光口20に近接する状態で設けられている。この受光部2も投光部1と同様にして、上記したような各部材がケーシング28に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。
【0033】
そして、投光部1及び受光部2の夫々が、投光用箇所及び受光用箇所の夫々に対して各別に着脱自在に取り付け可能なユニット状に構成されており、投光部1と受光部2とが着脱自在に取付けられる装置枠体Fが、計測箇所における搬送コンベア4の左右両側に相当する箇所を投光用箇所及び受光用箇所とするように、投光部1と受光部2に対する一対の取付部を備える状態で設けられている。
更には、前記装置枠体Fには、投光部1及び受光部2を一体的に上下方向に位置調節自在な上下位置調節手段としての上下位置調節機構29、及び、投光部1及び受光部2の夫々を各別に装置枠体Fに対して計測箇所に位置する被計測物に接近並びに離間する方向、すなわち、水平方向であって搬送コンベア4の搬送方向と直交する方向に沿って位置調節自在な水平位置調節手段としての水平位置調節機構30が備えられている。
【0034】
次に、前記上下位置調節機構29について説明する。図1〜図5に示すように、品質評価装置の外周部を囲うように矩形枠状に組み付けられた装置枠体Fが備えられ、その装置枠体Fの上部側箇所から位置固定状態で4本の固定支持棒31が垂下される状態で設けられ、これら4本の固定支持棒31の下端部には後述する品質評価装置校正用の被計測体Aを載置支持するための支持台32が取り付けられている。そして、この4本の固定支持棒31に対して4箇所の摺動支持部33により上下方向にスライド移動自在に昇降台34が支持されている。又、装置枠体Fの上部側箇所から垂下状態に支持された送りネジ35が電動モータ36にて回動自在に設けられ、昇降台34に備えられた雌ネジ部材37がこの送りネジ35に螺合しており、送りネジ35を電動モータ36にて回動操作することで昇降台34が任意の位置に上下移動調節可能な構成となっている。尚、送りネジ35は手動操作ハンドル38でも回動自在に構成されている。
又、前記昇降台34には、品質評価装置校正用の被計測体Aが支持台32に載置支持された状態でも昇降操作可能なように品質評価装置校正用の被計測体Aが上下方向に通過することを許容する挿通孔34aが形成されている。
【0035】
次に、水平位置調節機構30について説明する。
前記昇降台34には、図3に示すように、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本のガイド棒39が設けられており、ユニット状に組み付けられた投光部1並びに受光部2の夫々が着脱自在に取付けられる前記一対の取付部としての支持部材40、41が各ガイド棒39にスライド移動自在に支持される構成となっている。前記各ガイド棒39は長手方向両端側で連結具39aにて連結されている。又、前記昇降台34には、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本の送りネジ42、43が夫々電動モータ44、45によって回動操作可能に設けられ、各支持部材40、41に備えられた雌ネジ部46、47が各送りネジ42、43に螺合しており、電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで、前記各支持部材40、41が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節可能な構成となっている。従って、各支持部材40、41に夫々各別に取付けられる投光部1及び受光部2は電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで前記水平方向、すなわち、計測箇所に対して接近並びに離間する方向での相対位置を変更調節することが可能となる。
【0036】
従って、電動モータ36にて送りネジ35を回動操作させると昇降台34が上下移動調節されるが、それに伴って昇降台34に支持されている投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することができ、前記各電動モータ44、45を回動操作させることで投光部1及び受光部2が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節することができる。
【0037】
前記各支持部材40、41に対する投光部1及び受光部2の取付けの構成について説明を加えると、前記各支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aには、水平方向に適宜間隔をあけて横向きに突出する複数の位置決め用突起40b,41bが形成され、ユニット状に設けられた投光部1及び受光部2に夫々、それらの位置決め用突起40b,41bに対応する位置決め孔が設けられ、各支持部材40、41に対して投光部1及び受光部2を取付けるときは、位置決め用突起40b,41bを位置決め孔に嵌め合わせて位置決めした状態でその近くの適宜箇所をボルト止めすることで投光部1及び受光部2を取付ける構成となっている。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1及び受光部2の上下方向の長さに対応するように左右で少し長さが異なるものを用いるようにしている。又、投光部1の取付け部には、投射方向が少し斜め下方となるように傾斜用の姿勢規制具40cを設けている。
【0038】
搬送コンベア4における被計測物Mの計測箇所の上方側に位置させて、前記支持台32から下方側に延設した支持アーム48により支持される状態でリファレンスフィルター49が設けられている。このリファレンスフィルター49は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的には、一対のオパールガラスを備えて構成されている。
【0039】
上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図1に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測状態と、図4の仮想線にて示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター49を透過した後に受光部2にて受光されるリファレンス計測状態、及び、図4の実線にて示すような校正用計測状態の夫々に切り換えることができるように構成されている。
尚、詳述はしないが、この品質評価装置の外周部は、被計測物の搬送に伴う通過箇所を除いて装置枠体Fに備えられた壁体によって囲われて外部から光が入り込まないようになっている。
【0040】
そして、この品質評価装置には、前記支持台32に被計測物の光透過特性とほぼ同じような特性を有する擬似計測体Aを取り外し自在に装着できる構成となっている。尚、被計測体Aは支持台32にそのまま位置決めした状態で載置させる構成であり、容易に着脱可能な構成となっており、校正を行わないときには、被計測体Aを支持台32から取り外しておくことができる。
【0041】
この品質評価装置校正用の被計測体Aについて簡単に説明すると、図5に示すように、非透光性の部材で構成された略四角柱状の外側ケーシング52によって外周部が覆われ、この外側ケーシング52内部の下方側に位置する箇所に品質評価対象としての純水Jを封入状態で収納する収納部51が設けられ、この収納部51と外側ケーシング52との間に空気層が形成されている。そして、この空気層の温度が、品質評価装置によって品質が評価されるときの被計測物の温度又はそれに近い温度である設定温度(例えば、30℃)に維持されるようにペルチェ素子55を作用させる構成となっている。そして、外側ケーシング52における収納部51の左右両側箇所に対応する位置に夫々、光通過部61と光通過部62とが形成され、非透光性の部材で構成された外側ケーシング52の入光側光通過部61及び出光側光通過部62に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。
【0042】
そして、図9に示すように、前記搬送コンベア4は無端回動帯4aを電動モータ4bによって駆動する構成となっており、その無端回動帯4aを巻回する回転体4cの回転軸の回転状態にて搬送コンベアによる搬送距離を検出する搬送距離計測手段としてのロータリーエンコーダ19が備えられ、このロータリーエンコーダ19の検出情報も制御部3に入力される構成となっており、更に、搬送コンベア4による計測箇所の搬送方向上手側箇所には、搬送コンベア4にて搬送される被計測物の有無を検出する被計測物検出手段としての光学式の通過検出センサ50が備えられている。この通過検出センサ50は、光を発する発光器50aと、その光を受光する受光器50bとが、搬送コンベア4による搬送経路の左右両側部に振り分け配置され、発光器50aから発する光が被検出物で遮断されて受光器50bにて受光できなくなると被検出物が存在していると判別することができる構成となっている。
【0043】
前記制御部3は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、図10に示すように、前記通過検出センサ50、受光センサ23の検出情報に基づいて被計測物の内部品質を求めるとともに各部の動作を制御する構成となっている。つまり、この制御部3は、後述するような公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するとともに、受光センサ23、シャッター機構17、投光量調整用モータ12、上下位置調節用モータ36、水平位置調節用モータ44、45の動作の管理等の各部の動作を制御する構成となっている。
【0044】
次に、制御部3による制御動作について説明する。
制御部3は、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして求める基準データ計測処理、搬送コンベア4により搬送される被計測物Mに対して、投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する通常データ計測処理の夫々を実行するように構成されている。
【0045】
前記基準データ計測処理について説明する。
搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を停止させている状態で、上下位置調節機構29によって前記リファレンス計測状態に切り換え、シャッター機構17を開放状態に切り換えて、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして計測する。又、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ18の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて、そのときの受光センサ18の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0046】
次に、通常データ計測処理について説明する。
この通常データ計測処理においては、上下位置調節機構29、具体的には上下位置調整用電動モータ36を操作して昇降台34を通常計測状態に切り換えて、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、被計測物が計測箇所に存在しないとき及び被計測物が前記計測箇所に存在しても後述するような品質評価用の受光情報の取得が終了しているときは、蓄電開始タイミングから蓄電用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させ、その後、放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させる電荷蓄積放電処理を繰り返し実行するようにして、受光センサ23に残留電荷が蓄積しないようにしている。
【0047】
そして、前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報を前記複数の部位夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位夫々についての品質評価用の受光情報に基づいて、前記被計測物の品質評価値を求めるように構成されている。
【0048】
具体的な制御動作について説明を加えると、被計測物が計測箇所に存在しないとき及び被計測物が前記計測箇所に存在しても後述するような品質評価用の受光情報の取得が終了しているときは、図11に示すように、蓄電開始タイミングから蓄電用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させ、その後、放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させる電荷蓄積放電処理を設定周期T1毎に繰り返し実行するように受光センサ23の動作を制御する構成となっている。一方、通過検出センサ50にて被計測物Mの搬送方向先頭位置が通過検出センサ50の検出位置である手前側箇所に来たことが検出され、その時点から被計測物の搬送距離が前記手前側箇所から計測箇所に至るまでの搬送距離になったことをロータリーエンコーダ19の検出情報に基づいて判別すると、被計測物Mが計測箇所に至ったものと判別するように構成されている。
【0049】
このように被計測物Mが計測箇所に至ったものと判別すると、その時点から放電用設定時間が経過するまで受光センサ23に蓄積された電荷を放出させ、その後、計測用設定時間が経過するまで受光センサ23に電荷を蓄積させる計測用電荷蓄積処理を設定回数にわたり繰り返し実行することになる。又、計測用電荷蓄積処理を繰り返し実行するタイミングに合わせてシャッター機構17を遮蔽状態と開放状態とを交互に繰り返すようにシャッター機構17の動作を制御するよう構成されている。つまり、電荷を蓄積するタイミングに合わせてシャッター機構17を開放状態にさせて被計測物からの透過光を受光して電荷を蓄積する処理とその蓄積した電荷を次回の放出動作によって部分品質評価値として利用するために取り出す処理とを設定回数にわたって実行することになる。このようにして計測用電荷蓄積処理を設定回数繰り返して設定回数分の品質評価用の受光情報としての計測分光スペクトルデータを得るようにしている。
【0050】
但し、図12に示すように、被計測物における前記複数の部位のうち、搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2については、投光部1から投射された光が被計測物の周囲を通りそのまま受光部2に入り込む回り込み光が発生するおそれが大きいので、この部位は計測対象から除外している。
【0051】
その計測用電荷蓄積処理を繰り返す回数及び繰り返し周期T2は、被計測物の搬送方向に沿う最大外径Dから前記搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2を除く領域を計測対象とするように被計測物の外形寸法に合わせて適宜変更設定されるように構成されている。
説明を加えると、被計測物Mが通過検出センサ50の設置箇所を通過する際に、その通過検出センサ50の検出結果とロータリーエンコーダ19の検出結果とから、被計測物Mの搬送方向に沿う外形寸法Dを演算にて求めるようになっている。すなわち、図11に示すように、通過検出センサ50にて被計測物Mの搬送方向先頭位置が通過検出センサ50の検出位置である手前側箇所に来たことが検出された時点から、通過検出センサ50にて被計測物が検出されなくなるまでの経過時間から被計測物Mの搬送方向に沿う外形寸法Dを演算にて求めるのである。
【0052】
一方、外形寸法の大きさを複数の段階、例えば大小2段階に分けて図12に示すように、外形寸法が設定値より小である小型の被計測物の場合には、分割回数を例えば3回とし、外形寸法が設定値より大である大型の被計測物の場合には、分割回数を例えば5回とする等、予め外形寸法に対応するように設定回数が予め記憶されており、計測された外形寸法とその記憶内容に従って設定回数を変更するように構成されている。但し、外形寸法のうち前記搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2に相当する部分は計測対象から除外するようにしている。従って、前記計測された外形寸法の情報と記憶されている設定回数の情報が複数部位設定手段として機能することになる。
【0053】
つまり、制御部3は、通過検出センサ50の検出結果に基づいて、前記搬送方向前端側部分y1及び搬送方向後端側部分y2に対応する時間を除いた、計測対象となる全域が計測箇所を通過するに要する通過所要時間T3を求め、その通過所要時間T3を外形寸法によって設定された設定回数nで分割した時間を計測用電荷蓄積処理を繰り返す周期(T2=T3/n)として設定するのである。
【0054】
そして、計測用電荷蓄積処理を設定回数繰り返して設定個数の品質評価用の受光情報(計測分光スペクトルデータ)が得られることになり、複数の部位の夫々についての前記各計測分光スペクトルデータについて、上記したようにして得られた、前記基準データ計測モードにて求められた基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。この吸光度スペクトルデータの二次微分値のうち前記特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値を、図12に示すように前記複数の部位の夫々対応にして各別に設定されている重み付け係数を掛け合わせて補正する。次に、複数の部位夫々について求めた特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値の被計測物全体の平均値を演算にて求める。
5個で分割する場合を例に具体例で説明すると、前記各部位1〜5の夫々の吸光度スペクトルの二次微分値をA1〜A5とし、被計測物全体の平均値をAoとすると、数1で示すようにして求められる。
【0055】
【数1】
Ao=(0.5×A1+1.0×A2+1.0×A3+1.0×A4+0.5×A5)/5
【0056】
そして、補正されて被計測物全体で求められた特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値と予め設定されている検量式とにより、被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する品質評価値としての検量値を算出する。この実施形態では、蜜柑を被計測物として想定しており、例えば温州蜜柑などのように光が透過し易い果菜類の場合には、中央部に果肉が存在するので中央側が大きな重み付けとなるように設定されており、前後方向両側部分は、周り込み光による誤差の影響を少なくするために小さい重み付けとなるようにしている。従って、前記計測された外形寸法の情報と記憶されている重み付け係数の情報が重み付け設定指令手段として機能することになる。
【0057】
前記吸光度スペクトルデータdは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0058】
【数2】
d=log[(Rd−Da)/(Sd−Da)]
【0059】
という演算式にて求められ、この吸光度スペクトルデータdを二次微分した値が吸光度スペクトルデータの二次微分値として求められる。又、前記検量式としては下記の数3に示されるような検量式を用い、被計測物Mに含まれる糖度や酸度に対応する検量値を求めるのである。
【0060】
【数3】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0061】
但し、
Y ;成分量に対応する検量値
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長における吸光度スペクトルの二次微分値
【0062】
尚、成分量を算出する成分毎に、特定の検量式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、この成分毎に特定の検量式を用いて各成分の検量値(成分量)を算出する構成となっている。
【0063】
上記したような検量式は、被計測物に対する計測処理に先立って、予め、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されることになる。
説明を加えると、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて、上述したような通常データ計測処理の場合と同様に、被計測物における搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位の夫々について、品質評価装置を用いて計測分光スペクトルデータを計測する。次に、このようにして得られた各部位毎の計測分光スペクトルデータについて、前記基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、その各部位毎の吸光度スペクトルデータの二次微分値に対して、前記数1に基づいて、複数種の果菜類の夫々に対応させて複数の部位の夫々についての各別に設定して記憶されている重み付け係数を掛け合わせて補正して、被計測物全体としての吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、各波長毎に補正後の吸光度スペクトルデータの二次微分値の平均値を演算にて求めて、被計測物全体としての吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。
【0064】
そして、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。次に、上記したようにして得られた吸光度スペクトルデータの二次微分値を用いて前記実成分量の検出結果と対比させながら、重回帰分析の手法を用いてスペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す前記検量式を求めるのである。
【0065】
図10に示すように、前記被計測物としての果菜類の品種を変更する場合、例えば温州蜜柑と伊予柑や八朔等の品種の違いに応じて、いずれの果菜類を計測対象とするかを指定する人為操作式の切換操作具Cが設けられ、この切換操作具Cを作業員が人為的に操作して制御部における動作条件の変更を設定する構成となっている。そして、制御部3は、計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を品種の違いに応じて予め設定して記憶しており、切換操作具Cにて指定された果菜類の種類に応じて記憶している複数の重み付け係数のうちの対応するものを用いて上記したような処理を実行するよう構成されている。つまり、切換操作具Cは複数部位設定手段及び重み付け設定指令手段として機能することになる。このとき、果菜類の中央部に空洞が多く存在する品種であれば複数の部位のうち中心部の重み付け係数を小さめに設定したり、光の透過率が低くノイズが多くなり易いものであれば、複数の部位の個数を多くさせる等、果菜類の性状に応じて適宜設定することができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
この実施形態では、制御部3による演算処理の方法が異なる以外の他の構成は第1実施形態のものと同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0067】
この実施形態では、制御部3が、被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報に基づいて、前記複数の部位の夫々についての品質評価値を求め、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を前記複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、前記被計測物の全体としての品質評価値を求める構成である。
【0068】
説明を加えると、この実施形態においては、被計測物Mが搬送コンベア4により搬送されて計測箇所に至ったものと判別すると、制御部3が、前記計測用電荷蓄積処理を設定回数繰り返して設定回数分の計測分光スペクトルデータを得る点は、上記第1実施形態と同様である。
そして、このようにして得られた設定個数の計測分光スペクトルデータの夫々について、前記基準データ計測モードにて求められた基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を品質評価用の受光情報として求める。そして、設定個数分の複数の吸光度スペクトルデータの二次微分値のうち前記特定波長λ1、λ2における吸光度スペクトルの二次微分値と数3に示されるような検量式とにより、複数の部位夫々の検量値(品質評価値)を求める。
【0069】
次に、複数の部位夫々の検量値を図12に示すような重み付け係数を掛け合わせて補正して、その補正された複数の部位夫々の検量値の平均値を演算にて求めることで、被計測物全体としての品質評価値としての検量値を求めることができる。このとき、平均を求める場合の分母となるのは、前記全ての重み付け係数を合わせた数値となる。例えば、図12において5個で分割する例では、分母は全ての重み付け係数を合わせた数値つまり「4」となる。つまり、各部位1〜5の品質評価値を夫々、h1〜h5とすると、被計測物の全体としての検量値Ysは、数4のようになる。
【0070】
【数4】
Ys=(0.5×h1+1.0×h2+1.0×h3+1.0×h4+0.5×h5)/4
【0071】
前記検量式は、第1実施形態の場合と同様に、被計測物に対する計測処理に先立って、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されることになるが、この検量式の作成の仕方が第1実施形態の場合と異なっている。
説明を加えると、先ず、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて、複数の部位のうちの最も品質評価に適した位置を予め定めておきその部位について品質評価装置を用いて計測分光スペクトルデータを計測する。次に、このようにして得られた計測分光スペクトルデータについて、通常データ計測処理の場合と同様に、前記基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。次に、上記したようにして得られた各サンプル毎の吸光度スペクトルデータの二次微分値を用いて前記実成分量の検出結果と対比させながら重回帰分析の手法を用いてスペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す検量式を求めるのである。
【0072】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0073】
(1)上記各実施形態では、前記計測手段として、投光部1と受光部2とが搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっているものを例示したが、このような構成に代えて次のように構成するものでもよい。
図13に示すように、第1実施形態における投光部1と同じ構成のユニット状の投光部1が2台備えられ、それら2台の投光部1が計測箇所の左右両側部、すなわち、搬送コンベア4Aの搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置され、各投光部1は光の照射方向がほぼ水平方向となるように構成されている。すなわち、前記各支持部材40、41と同様な支持部材40、41にユニット状の2台の投光部1が夫々取付けられる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1の上下長さに対応するように左右で同じものを用いるようにしている。又、各投光部1の光の照射方向がほぼ水平方向となるように、上記品質評価装置にて用いた傾斜用の姿勢規制具40cは使用しない構成となっている。
【0074】
搬送コンベア4Aは、被計測物を中央部に挿通孔70が形成された受皿71に載置した状態で搬送される構成となっており、この受皿71は、計測箇所の下方側には、前記投光部1から照射されて被計測物を透過して受皿71の挿通孔70を通して下方側に透過する光を受光する光ファイバー72の受光側端部が配置されている。その光ファイバー72の他端側には、受光部2とほぼ同じ構成のユニット状の受光部2が接続されて光が受光されることになる。この受光部2による受光情報に基づく制御部3での品質評価値を求める処理については第1実施形態の場合と同様である。尚、この実施形態では、被計測物として、例えば桃や林檎等の果菜類を対象としている。
【0075】
この品質評価装置においては、計測箇所に位置する被計測物に対して、その左右両側部に位置する各投光部1から光がほぼ水平方向に対向するように投射され、被計測物内部で散乱して下方側に透過して出て来た光を光ファイバー72にて受光して受光部2に導く構成となっている。又、受皿71における挿通孔70は、図14に示すように、搬送方向に長く形成されており、被計測物における前記複数の部位のうち、搬送方向前端側部分及び搬送方向後端側部分を除く他の部位について適切に受光部にて受光して計測処理を行える構成としている。
【0076】
前記制御部3における計測用の処理内容については、第1実施形態の場合と同様であるが、上記したように、この実施形態では、被計測物として、例えば桃や林檎等の果菜類を対象としているが、例えば、桃の場合には、中央部分には果肉がなく種qが存在して光の透過率が低いことから、前記複数の部位として、例えば図15に示すように、前記搬送方向の中央部に位置する部位は計測対象から除外して、前記中央部に対して前記搬送方向前後両側に位置する部位に対して大きな重み付けが付され、それよりも更に前後方向両側に位置する部位については、前後方向での位置ズレによる誤差等を考慮して少し小さめの重み付け係数を設定するように構成されている。又、この実施形態では投光部1からの光が受光部2に直接入り込むおそれは少ないので、第1実施形態と異なり搬送方向前端側部分及び搬送方向後端側部分についても除外することなく計測対象としている。尚、この実施形態においても、被計測物の品種や大きさに応じて計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を変更設定する構成とする。
【0077】
又、上記したような構成に代えて、計測箇所の横一側箇所に1つの投光部を配置する構成としてもよく、光ファイバーで受光するものに代えて、計測箇所の下側に受光部を備えて受光部にて透過光を直接受光する構成としてもよい。又、投光部と受光部とを計測箇所の例えば横一側箇所に並べて配置して光投射方向に対してほぼそれを反対方向に出てくる光を受光するようにしてもよい。
【0078】
(2)上記各実施形態では、被計測物における搬送方向に沿って位置が異なる複数の部位として、被計測物の大きさに応じて複数の部位の搬送方向の位置と個数とを同時に変更する構成としたが、常に同じ個数で分割する構成として重み付け係数だけを変更させるようにしてもよい。
【0079】
(3)上記第各実施形態では、投光部と受光部とが計測箇所の左右両側部に振り分けて配置される構成のものを例示したが、このような構成に代えて、投光部と受光部とが計測箇所の上下両側部に振り分けて配置される構成としてもよい。
【0080】
(4)上記各実施形態では、投光部の光源としてハロゲンランプを用いたが、これに限らず、水銀灯、Ne放電管等の各種の光源を用いてもよく、受光部における受光センサは、CCD型ラインセンサに限らずMOS型ラインセンサ等の他の検出手段を用いるようにしてもよい。
【0081】
(5)上記各実施形態では、被計測物Mの内部品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】品質評価装置の正面図
【図2】品質評価装置の側面図
【図3】品質評価装置の平面図
【図4】品質評価装置の正面図
【図5】品質評価装置の一部切欠正面図
【図6】投光部の切欠平面図
【図7】分光器の構成図
【図8】シャッター機構を示す図
【図9】設置状態を示す平面図
【図10】制御ブロック図
【図11】計測作動のタイミングチャート
【図12】複数の部位と重み付け係数を示す図
【図13】別実施形態の品質評価装置の正面図
【図14】別実施形態の受皿の平面図
【図15】別実施形態の複数の部位と重み付け係数を示す図
【符号の説明】
3 制御手段
4、4A 搬送手段
K 計測手段
M 被計測物
Claims (4)
- 計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、
前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、
前記計測手段の前記品質評価用の受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置であって、
前記制御手段が、
前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、
且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報を前記複数の部位夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位夫々についての品質評価用の受光情報に基づいて、前記被計測物の品質評価値を求めるように構成されている果菜類の品質評価装置。 - 計測箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射し、前記被計測物からの透過光又は反射光を受光して品質評価用の受光情報を計測する計測手段と、
前記被計測物を前記計測箇所を経由して連続的に搬送する搬送手段と、
前記計測手段の前記受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を求める制御手段とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置であって、
前記制御手段が、
前記被計測物における搬送方向での位置が異なる複数の部位の夫々について前記品質評価用の受光情報を計測するように前記計測手段の動作を制御し、
且つ、前記複数の部位の夫々について計測した前記品質評価用の受光情報に基づいて、前記複数の部位の夫々についての品質評価値を求め、その求めた前記複数の部位の夫々についての品質評価値を前記複数の部位の夫々について設定されている重み付け係数にて補正し、その補正された複数の部位の夫々についての品質評価値に基づいて、前記被計測物の全体としての品質評価値を求めるように構成されている果菜類の品質評価装置。 - 前記制御手段が、
複数部位設定手段の指令に基づいて、計測対象とする前記複数の部位の前記搬送方向での位置又は個数を変更設定自在に構成されている請求項1又は2記載の果菜類の品質評価装置。 - 前記制御手段が、
重み付け設定指令手段の指令に基づいて、前記複数の部位夫々についての前記重み付け係数を変更設定自在に構成されている請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。
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---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-01-17 JP JP2003009695A patent/JP2004219375A/ja active Pending
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