JP3923011B2 - 果菜類の品質評価装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、計測対象箇所に位置する被計測物に近赤外域の光を投光部より投射して、被計測物からの透過又は反射光を分光して複数の単位受光部にて受光する計測部と、前記被計測物として果菜類を計測したときの前記計測部からの受光情報と予め作成した果菜類品質評価用の検量式とに基づいて果菜類の品質評価値を求める品質評価処理を行う演算部とが設けられ、前記演算部が、前記品質評価処理に代えて、前記被計測物として、近赤外域の光のうちの特定波長について光透過性に特徴を有する波長校正用の基準体を計測したときの前記計測部からの受光情報に基づいて前記複数の単位受光部の夫々が受光する波長を特定する波長校正処理を行う状態とに切り換え自在に構成されている果菜類の品質評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記果菜類の品質評価装置は、被計測物として例えば蜜柑や林檎等の果菜類における品質、例えば糖度や酸度等の内部品質を非破壊状態で計測するためのものであるが、このような品質評価装置として、従来では、次のような構成のものがあった。
【0003】
すなわち、被計測物に対して投光部より近赤外域の光を投射してその被計測物を透過した光を凹面回折格子等の分光手段にて分光した後、その分光した光のうち700nm〜1000nmの範囲の波長の光を1024ビットの一次元のCCDラインセンサからなるアレイ型受光素子、つまり、1024個の単位受光部にて検出して、その検出結果から分光スペクトルデータを求めて、その分光スペクトルデータに基づいて、例えば、その得られた分光スペクトルデータを2次微分した2次微分スペクトルデータと、予め設定されている検量式とを用いて被計測物に含まれる特性成分の成分量を求めることで、内部品質を計測するようになっていた。
【0004】
又、前記波長校正処理は次のように行われていた。つまり、前記波長校正用の基準体として一対の特定波長に透過光量のピークを備えるなるような校正用フィルターが用いられ、この校正用フィルターを透過した光を前記アレイ型受光素子にて受光して、その受光した検出結果から、予め特定されている一対の特定波長と、一対のピーク波長を受光することになる各素子(単位受光部)との位置関係から、アレイ型受光素子を構成する各素子(単位受光部)と、夫々の素子が受光する光の波長との間で対応を取るようにしている(特許文献1参照。)。
【0005】
ところで、上記したような検量式は、被計測物に対する計測処理に先立って、予め、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されるものである。特許文献には、その作成のしかたについて詳細は記載していないが、一般的に次のようにして作成されていた。
【0006】
つまり、サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて前記品質評価装置を用いて分光スペクトルデータを得る。更に、各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。そして、上記したようにして得られた各サンプル毎の分光スペクトルデータ、具体的には、前記アレイ型受光素子の全ての素子の受光データを用いて、前記実成分量の検出結果と対比させながら、重回帰分析の手法を用いて、スペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す前記検量式を求める処理を行うことになる。
【0007】
従って、従来では、前記波長校正処理を行うとき、及び、前記検量式を作成するときの夫々において共に同じ分解能で前記複数の単位受光部にて受光して得られた受光情報を用いて行うようになっていた。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−90301号公報(第3−5頁、図1、図4、図5)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成においては、前記波長校正処理を行うときの波長分解能は充分小さいものであることから、このようにして波長校正された多数の単位受光部にて、被計測物の品質評価値を求めるために被計測物からの透過光を分光して受光するときに、各単位受光部が計測する受光情報における波長ズレを小さくすることが可能であり、被計測物としての果菜類の品質評価値を求めるために得られる受光情報についても波長ズレを少なくさせることが可能である。
【0010】
しかし、上記従来構成においては、前記検量式を作成する場合には、上述した如く分光した光を小さい分解能で検出することができる多数の素子(単位受光部)を備えるアレイ型受光素子の全ての素子の受光データを用いて、重回帰分析の手法を用いて検量式を求めることになるが、このような重回帰分析の手法を用いて検量式を作成する場合には膨大な回数の演算を行う必要があって検量式の作成に多大な作業時間が必要となるという不利な面があった。
【0011】
そこで、このような検量式の作成に必要な時間を短くするために、複数の単位受光部の個数を減らして、分光した光を受光するときの波長分解能を低くさせて受光データを少なくさせることが考えられるが、このようにすると、上述したような波長校正処理が適正に行われて、各単位受光部にて受光したデータに基づいて複数の単位受光部の夫々が受光する波長を特定することが行われるとしても、複数の単位受光部にて分光した光を受光するときの波長分解能自体が低いものとなって、その結果、果菜類の品質評価値を求めるために得られる受光情報についても計測精度が低下するおそれがある。
【0012】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、果菜類の品質評価値を求めるときの計測精度を低下させることなく、検量式の作成の手間を少なくすることが可能となる果菜類の品質評価装置を提供する点にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の果菜類の品質評価装置は、計測対象箇所に位置する被計測物に近赤外域の光を投光部より投射して、被計測物からの透過又は反射光を分光して複数の単位受光部にて受光する計測部と、
前記被計測物として果菜類を計測したときの前記計測部からの受光情報と予め作成した果菜類品質評価用の検量式とに基づいて果菜類の品質評価値を求める品質評価処理を行う演算部とが設けられ、
前記演算部が、前記品質評価処理に代えて、前記被計測物として、近赤外域の光のうちの特定波長について光透過性に特徴を有する波長校正用の基準体を計測したときの前記計測部からの受光情報に基づいて前記複数の単位受光部の夫々が受光する波長を特定する波長校正処理を行う状態とに切り換え自在に構成されているものであって、
前記複数の単位受光部の数に応じて定まる前記受光情報の最大分解能よりも大きい分解能で前記受光情報を用いて前記検量式が作成され、
前記演算部が、前記波長校正処理を、前記検量式の作成のときの分解能よりも小さい分解能で前記受光情報を用いて行うように構成されていることを特徴とする。
【0014】
すなわち、前記複数の単位受光部の数に応じて定まる前記受光情報の最大分解能よりも大きい分解能で前記受光情報を用いて前記検量式が作成される。つまり、単位受光部の個数を多くさせて、被計測物からの透過又は反射光を分光した光を受光するときの波長分解能を小さくさせるようにしても、検量式を作成するときには、このような複数の単位受光部による受光情報の最大分解能よりも大きな分解能で前記受光情報を用いて検量式を作成することになるから、例えば、重回帰分析の手法を用いるような検量式の作成にあたっても、受光情報のデータ数も少ないものとなり、演算の回数を極力少ないものにして検量式の作成にかかる手間を少なくすることが可能となる。
【0015】
そして、前記波長校正処理は、前記検量式の作成のときの分解能よりも小さい分解能で前記受光情報を用いて行うので、小さい分解能で複数の単位受光部の夫々が受光する波長を特定することができるから、複数の単位受光部の夫々において受光して得られる受光情報が、検量式作成時の分解能と同じ分解能で波長校正を行う場合に比べて波長誤差が少ない受光情報として得られることになり、それだけ果菜類の品質評価値を求めるときの計測誤差が少ないものになる。
【0016】
しかも、検量式を作成するために予め計測される受光情報も同様に波長誤差が少ない受光情報として得られるものであるから、検量式を作成する場合において、受光情報のデータ数は少ないものの正しい波長に対応した適正な受光情報により適正な検量式を作成することが可能となる。
【0017】
従って、果菜類の品質評価値を求めるときの計測精度を低下させることなく、検量式の作成の手間を少なくすることが可能となる果菜類の品質評価装置を提供できるに至った。
【0018】
請求項2に記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1において、前記演算部が、前記受光情報の最大分解能にて、前記波長校正処理を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
すなわち、前記受光情報の最大分解能にて前記波長校正処理を実行するので、複数の単位受光部の夫々が受光する波長を特定する波長校正処理を行うにあたって、複数の単位受光部にて受光して得られた受光情報の最大分解能、言い換えると、複数の単位受光部にて受光するときの波長分解能と同じような高い分解能で精度よく波長校正処理を行うことができる。従って、この波長校正処理が行われたのちは、複数の単位受光部の夫々と受光する波長との関係をよりズレの少ない状態で対応付けることが可能となる。
【0020】
請求項3記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1又は2において、前記波長校正用の基準体が、前記特定波長として、2以上の特定波長を備えるように構成され、
前記演算部が、前記波長校正処理として、前記複数の単位受光部のうちで、前記複数の特定波長を受光する複数の単位受光部を特定して、その複数の特定波長を受光するものとして定めた複数の単位受光部についての全ての単位受光部に対する位置情報と、前記特定波長とに基づいて、他の単位受光部が受光する波長を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
すなわち、波長校正処理を行うときは、前記波長校正用の基準体として特定波長として2以上の特定波長を備える基準体を用いて、この基準体に近赤外域の光を投光部より投射して、基準体からの透過又は反射光を分光して複数の単位受光部にて受光する。前記基準体は前記特定波長について光透過性に特徴を有するものであり、そのときの複数の単位受光部のうち前記特定波長に対応するものが他のものとは異なる受光状態となるから、複数の特定波長を受光する複数の単位受光部を特定することができる。
【0022】
そして、上述したようにして特定された複数の単位受光部の位置情報と複数の特定波長との夫々の情報から、その特定の単位受光部以外の他の単位受光部の夫々の位置情報とそれらが受光する波長との対応関係を求めて波長校正を行うことが可能となるのである。
【0023】
請求項4記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記計測部が、1024個の前記単位受光部にて、前記特定波長を含む所定の波長帯域の光を受光するように構成され、
前記演算部が前記波長校正処理を実行するために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が0.8ナノメートル以下に設定され、且つ、前記検量式を作成するために被計測物の品質評価値を求めるために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が2ナノメートル以上に設定されていることを特徴とする。
【0024】
すなわち、前記特定波長を含む所定の波長帯域の光を1024個という多数の単位受光部にて受光するようにしているので、所定の波長帯域の光を高分解能で受光することができる。例えば、果菜類として蜜柑や林檎などが計測対象である場合には、前記所定の波長帯域は一般に数百nm〜千nm程度であり、分光された光を十分高い分解能で受光することができる。尚、計測精度を上げるために更に高い分解能にすると単位受光部に受光する光量が不足するおそれがあり、光量を確保するために投光部からの投光量を大にすると果菜類に損傷を与えるおそれがある。
【0025】
そして、演算部が前記波長校正処理を実行するために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が0.8ナノメートル以下に設定されているので、果菜類の品質評価値を一般的に要求されている計測誤差よりも少ない誤差で精度よく求めることができる。
本出願人による実測データを参照しながら説明を加えると、図18に、果菜類の品質評価値として林檎の糖度を求める場合について、特定波長が適正値からずれている場合の波長のズレ量と、求められる糖度の変化の関係を実測した結果を表している。つまり、横軸の波長のズレが発生すると、求められる糖度が異なった値として求められることになることを示している。そして、林檎等のような果物などにおいては一般的には0.5度以下の計測誤差が要求されるものである。従って、この図から明らかなように、波長のズレが0.8ナノメートル以下であれば要求される0.5度以下の計測精度を満足できるものとなる。
そこで、上述したように波長校正処理を実行するために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が0.8ナノメートル以下に設定されているから、上記したような一般的に要求される計測精度を満たすことができる。
【0026】
そして、検量式を作成するために被計測物の品質評価値を求めるために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が2ナノメートル以上に設定されているから、検量式を作成するときは、いために被計測物の品質評価値としては、2ナノメートル以上の波長間隔をあけた状態で得られる、単位受光部の数に応じて定まる前記受光情報の個数よりも少ない数の受光情報を用いて、例えば重回帰分析の手法を用いて検量式を求めることになる演算処理によって作成することになる。
【0027】
従って、検量式を作成する場合における受光情報のデータ数を少ないものにして演算回数を極力少なくして、検量式の作成の手間を減らせることができる。
【0028】
請求項5記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記被計測物からの透過又は反射光のうち前記計測部が受光する光の光量を変更調整自在な光量調整手段が備えられていることを特徴とする。
【0029】
すなわち、光量調整手段が被計測物からの透過又は反射光のうち計測部が受光する光の光量を変更調整自在な構成となっていることから、被計測物からの透過又は反射してくる光の光量が大きすぎる場合であっても、光量調整手段にて計測部への入射量が調整されるので、計測部への入射量を適正量に調整させることが可能となる。また、被計測物と複数の単位受光部との間に被計測物からの透過光または反射光以外の光が存在しても、その透過光または反射光以外の光が、光量調整手段にて調整されて計測部に入射されることになり、S/N(信号対雑音)比が小さくなることを防止することが可能となる。
【0030】
請求項6記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記投光部による投光箇所及び前記計測部による受光箇所夫々の前記計測対象箇所に対する相対位置を、それらが接近並びに離間する方向に沿って変更調節自在な水平位置調節手段が備えられていることを特徴とする。
【0031】
すなわち、前記水平位置調節手段によって、前記計測対象箇所に対する投光箇所及び受光箇所夫々の接近並びに離間する方向での相対位置を変更調節することができるから、計測対象箇所に位置する被計測物に対して投光箇所を近づけたり離間させたりすることができる。従って、例えば、投射する光の焦点位置を被計測物の表面又はその近傍に合わせることにより、光が効率よく被計測物に投射されるようにすること等が可能となる。又、計測対象箇所に位置する被計測物に対して受光箇所を近づけたり離間させたりすることができるので、投光箇所の場合と同様に、受光用の焦点位置を被計測物の表面又はその近傍に合わせることにより被計測物を透過した光を極力効率よく受光することが可能になる等の利点がある。
【0032】
請求項7記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記被計測物からの透過又は反射光が前記各単位受光部にて受光されることを許容する開放状態と、前記被計測物からの透過又は反射光が前記各単位受光部にて受光されることを阻止する遮蔽状態とに切り換え自在な入射状態切換手段と、
各部の動作を制御する動作制御手段とが備えられ、
前記動作制御手段が、
前記被計測物が前記計測対象箇所に位置する状態において、前記遮蔽状態から前記開放状態に切り換えてその開放状態を開放維持時間が経過する間維持した後に前記遮蔽状態に戻すように前記入射状態切換手段の動作を制御し、且つ、前記入射状態切換手段が前記開放状態を維持している間に前記被計測物から得られた光を前記各単位受光部にて受光する計測処理を実行するように前記計測部の動作を制御するよう構成されていることを特徴とする。
【0033】
すなわち、動作制御手段は、被計測物が計測対象箇所に位置する状態において、遮蔽状態から開放状態に切り換えてその開放状態を開放維持時間が経過する間維持した後に遮蔽状態に戻すように入射状態切換手段の動作を制御することになる。前記遮蔽状態においては、被計測物からの透過又は反射光が前記各単位受光部に受光されない。又、前記開放状態においては、被計測物からの透過又は反射光が前記各単位受光部に受光されて計測が行われる。
【0034】
従って、被計測物が計測対象箇所に位置していない状態では、投光部から投射される光が直接、各単位受光部にて受光されることを防止して、被計測物からの透過又は反射光を適正に受光することができる。
【0035】
請求項8記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記被計測物を前記計測対象箇所を経由して搬送する搬送手段が備えられていることを特徴とする。
【0036】
すなわち、搬送手段によって被計測物が前記計測対象箇所を経由して搬送されるものであるから、例えば、多数の被計測物を計測する場合であっても、搬送手段にて順次搬送することで能率よく計測を行うことが可能であり、又、品質評価値の計測結果に応じて被計測物を複数のランクに仕分けるような場合であっても搬送手段により仕分け箇所まで搬送させることもできる。
【0037】
請求項9記載の果菜類の品質評価装置は、請求項8において、前記計測対象箇所に、前記搬送手段にて搬送される前記被計測物が通過することを許容しながら、前記投光部から投射した光のうち前記被計測物を透過することなく前記各単位受光部に入射しようとする回り込み光を遮断する遮光手段が備えられていることを特徴とする。
【0038】
すなわち、前記遮光手段が備えられることによって、投光部から投射した光のうち被計測物を透過することなく複数の単位受光部に入射しようとする回り込み光が有効に遮断されるから、複数の単位受光部にて誤検出されるおそれが少ないものとなる。しかも、この遮光手段は、搬送手段によって計測対象箇所を経由して搬送される被計測物が、計測箇所を通過することを許容しながら、回り込み光を有効に遮断する構成となっており、搬送手段による搬送が阻害されることなく、作業能率を低下させるおそれは少ない。従って、作業能率を低下させる等の不利の生じない状態で、上記したような回り込み光に起因した計測の誤差を少なくすることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
【0040】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る果菜類の品質評価装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る果菜類の品質評価装置は、被計測物として例えば蜜柑等の果菜類の品質としての糖度や酸度を計測するための装置であり、計測対象箇所に位置する被計測物に近赤外域の光を投光部より投射して、被計測物からの透過又は反射光を分光して複数の単位受光部にて受光する計測部と、前記被計測物として果菜類を計測したときの前記計測部からの受光情報と予め作成した果菜類品質評価用の検量式とに基づいて果菜類の品質評価値を求める品質評価処理を行う演算部とが設けられている。
【0041】
詳述すると、図1に示すように、被計測物Mに光を照射する投光部1と、被計測物Mを透過した光を受光し、その受光した光を計測する計測部としての受光部2と、上述したような品質評価処理を実行するとともに、各部の動作を制御する制御部3等を備えて構成され、被計測物Mは、搬送手段としての搬送コンベア4により一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、本装置による計測対象個所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測対象個所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測対象個所の左右両側部に、すなわち、搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっている。
【0042】
次に、前記投光部1の構成について説明する。
この投光部1は、2個の光源を備えるとともに、その2個の光源からの光を互いに異なる照射用の光軸にて計測対象箇所に位置する被計測物に照射するように構成されている。又、各光源による2本の照射用の光軸が計測対象箇所に位置する被計測物の表面部又はその近傍にて交差するように構成されている。
すなわち、図5及び図6に示すように、搬送コンベア4による搬送方向に沿って離間させた2個のハロゲンランプからなる光源5が設けられ、これら2個の光源5の夫々に対応させて次のような光学系が備えられている。つまり、光源5が発光する光を反射させて被計測物Mの表面に焦点を合わせるための集光手段としての凹面形状の光反射板6が備えられ、この光反射板6にて集光される光の焦点位置近くに対応するように位置させて、大きめの絞り孔7aを通過させることで集光された後の光の径方向外方側への広がりを抑制する絞り板7、絞り板7を通過した光を通過させる状態、小さめの絞り孔8aを通して通過させる状態、及び、光を遮断する状態の夫々に切り換え自在な光量調節板8、集光された光源5からの光を並行光に変更させるコリメータレンズ9、並行光に変化した光を反射して屈曲させる反射板10、この反射板10にて反射された光を集光させる集光レンズ11の夫々が1個の光源5に対する光学系として備えられている。前記各光量調節板8は、投光量調整用モータ12によって一体的に揺動操作され、前記各状態に切り換え自在に構成されている。
【0043】
そして、この投光部1は上記したような各部材がケーシング13に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。又、計測対象箇所に位置する被計測物に対して斜め下方に向かう状態で光を照射するように、投光部1が斜め姿勢で備えられており、外形寸法が小さい被計測物であっても受光部2に直接光が入らないようにしている。
【0044】
次に、受光部2の構成について説明する。
この受光部2は、図5に示すように、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ14、並行光に変化した光のうち近赤外域である波長領域680〜990ナノメートル(以下、nmと略称する)の範囲の光だけを上向きに反射し、それ以外の波長の光をそのまま通過させるバンドパスミラー15、バンドパスミラー15により上向きに反射された計測対象光を集光させる集光レンズ16、集光レンズ16を通過した光をそのまま通過させる開放状態と、前記計測対象光の通過を阻止する遮蔽状態とに切り換え自在な入射状態切換手段としてのシャッター機構17、開放状態のシャッター機構17を通過した光が入射されると、その光を分光して前記分光スペクトルデータを計測する分光器18、バンドパスミラー15をそのまま直進状態で通過した光の光量を検出する光量検出センサ19等を備えて構成されている。
【0045】
そして、シャッター機構17の下方側、つまり光入射方向上手側箇所には、分光器に入射される光に対して作用する複数の各種のフィルターを切り換えるフィルター切り換え機構Eが備えられている。このフィルター切り換え機構Eは、図9に示すように、フィルター切換用モータ80によって回転操作される回転体81に中心から等距離またはほぼ等距離の位置で周方向に間隔を隔てる状態で3つのフィルター82、83、84及び1つの開口85が備えられ、回転体81を回転作動させて入射光が通過する位置にいずれかフィルターが位置するように切り換える自在な構成となっている。
【0046】
第1のフィルター82は光減衰率が低いNDフィルタ、第2のフィルター83は光減衰率が高いNDフィルタ、第3のフィルター84は、波長校正用のフィルターである。つまり、フィルター切換用モータ80を駆動させて回転体81を回転作動させることによって、開口85を通すことにより被計測物Mからの透過光を減衰させることなく分光器に入射させ、第1のフィルター82を通すことで少し減衰させた状態で入射させ、第2のフィルター83を通すことで多めに減衰させた状態で入射させる状態に夫々切り換えることができる。すなわち、予め入力される計測条件(例えば、被計測物Mの品種、大きさ、透過率などの被計測物Mの計測条件)に基づいて、分光器が受光する光の光量を変更調整することができるのである。従って、このフィルター切り換え機構Eを利用して光量調整手段が構成されている。尚、前記第3のフィルター84(波長校正用フィルター)は、後述するような波長校正処理を行うのに利用される。
【0047】
前記分光器18は、図7に示すように、受光位置である入光口20から入射した計測対象光を反射する反射鏡21と、反射された計測対象光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子22と、凹面回折格子22によって分光された計測対象光における各波長毎の光量を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光センサ23とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱24内に配置される構成となっている。前記受光センサ23は、凹面回折格子22にて分光反射された光を同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する、1024ビットの電荷蓄積型のCCDラインセンサにて構成されている。つまり、分光された複数の波長の光の光量を各別に検出可能な1024個の単位受光部23aが備えられており、このラインセンサは、詳述はしないが、各単位受光部23a毎に光量を電気信号(電荷)に変換する光電変換部と、その光電変換部にて得られた電荷を蓄積する電荷蓄積部、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等が備えた半導体基板上に形成されている。そして、この半導体基板の裏面側には例えばペルチェ素子などからなる電子冷却素子が貼着され、マイナス10℃まで冷却することができる構成として、温度上昇による温度ドリフトを回避して温度変化に起因した計測値の誤差を少なくできるようになっている。
【0048】
又、前記シャッター機構17は、図7、図8に示すように、放射状に複数のスリット25が形成された円板17Aを、パルスモータ17Bによって縦軸芯周りで回転操作される状態で備えて構成され、前記暗箱24の入光口20には前記各スリット25が上下に重なると光を通過させる開放状態となり、スリット25の位置がずれると光を遮断する遮断状態となるように、スリット25とほぼ同じ形状の透過孔27が形成されており、光の漏洩がないように暗箱の入光口20に対して円板17Aを密接状態で摺動する状態で配備して構成されている。すなわち、このシャッター機構17は凹面回折格子22に対する入光口20に近接する状態で設けられている。この受光部2も投光部1と同様にして、上記したような各部材がケーシング28に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。
【0049】
そして、投光部1及び受光部2の夫々が、投光用箇所及び受光用箇所の夫々に対して各別に着脱自在に取り付け可能なユニット状に構成されており、投光部1と受光部2とが着脱自在に取付けられる装置枠体Fが、計測対象箇所における搬送コンベア4の左右両側に相当する箇所を投光用箇所及び受光用箇所とするように、投光部1と受光部2に対する一対の取付部を備える状態で設けられている。更には、前記装置枠体Fには、投光部1及び受光部2を一体的に上下方向に位置調節自在な上下位置調節手段としての上下位置調節機構29、及び、投光部1及び受光部2の夫々を各別に装置枠体Fに対して計測対象箇所に位置する被計測物に接近並びに離間する方向、すなわち、水平方向であって搬送コンベア4の搬送方向と直交する方向に沿って位置調節自在な水平位置調節手段としての水平位置調節機構30が備えられている。
【0050】
次に、前記上下位置調節機構29について説明する。図1〜図4に示すように、品質評価装置の外周部を囲うように矩形枠状に組み付けられた装置枠体Fが備えられ、その装置枠体Fの上部側箇所から位置固定状態で4本の固定支持棒31が垂下される状態で設けられ、これら4本の固定支持棒31の下端部には後述する品質評価装置校正用の被計測体Aを載置支持するための支持台32が取り付けられている。そして、この4本の固定支持棒31に対して4箇所の摺動支持部33により上下方向にスライド移動自在に昇降台34が支持されている。又、装置枠体Fの上部側箇所から垂下状態に支持された送りネジ35が電動モータ36にて回動自在に設けられ、昇降台34に備えられた雌ネジ部材37がこの送りネジ35に螺合しており、送りネジ35を電動モータ36にて回動操作することで昇降台34が任意の位置に上下移動調節可能な構成となっている。尚、送りネジ35は手動操作ハンドル38でも回動自在に構成されている。
又、前記昇降台34には、品質評価装置校正用の被計測体Aが支持台32に載置支持された状態でも昇降操作可能なように品質評価装置校正用の被計測体Aが上下方向に通過することを許容する挿通孔34aが形成されている。
【0051】
次に、水平位置調節機構30について説明する。
前記昇降台34には、図3に示すように、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本のガイド棒39が設けられており、ユニット状に組み付けられた投光部1並びに受光部2の夫々が着脱自在に取付けられる前記一対の取付部としての支持部材40、41が各ガイド棒39にスライド移動自在に支持される構成となっている。前記各ガイド棒39は長手方向両端側で連結具39aにて連結されている。又、前記昇降台34には、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本の送りネジ42、43が夫々電動モータ44、45によって回動操作可能に設けられ、各支持部材40、41に備えられた雌ネジ部46、47が各送りネジ42、43に螺合しており、電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで、前記各支持部材40、41が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節可能な構成となっている。従って、各支持部材40、41に夫々各別に取付けられる投光部1及び受光部2は電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで前記水平方向、すなわち、計測対象箇所に対して接近並びに離間する方向での相対位置を変更調節することが可能となる。
【0052】
従って、電動モータ36にて送りネジ35を回動操作させると昇降台34が上下移動調節されるが、それに伴って昇降台34に支持されている投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することができ、前記各電動モータ44、45を回動操作させることで投光部1及び受光部2が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節することができる。
【0053】
前記各支持部材40、41に対する投光部1及び受光部2の取付けの構成について説明を加えると、前記各支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aには、水平方向に適宜間隔をあけて横向きに突出する複数の位置決め用突起40b,41bが形成され、ユニット状に設けられた投光部1及び受光部2に夫々、それらの位置決め用突起40b,41bに対応する位置決め孔が設けられ、各支持部材40、41に対して投光部1及び受光部2を取付けるときは、図5、図6に示すように、位置決め用突起40b,41bを位置決め孔に嵌め合わせて位置決めした状態でその近くの適宜箇所をボルト止めすることで投光部1及び受光部2を取付ける構成となっている。従って、この装置においては、投光部1及び受光部2が夫々取付けられた状態においては、投光部1が位置する投光用箇所、計測対象箇所、及び、受光部2が位置する受光用箇所の夫々が一直線状に位置する形態で投光部1及び受光部2が配置される状態となる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1及び受光部2の上下方向の長さに対応するように左右で少し長さが異なるものを用いるようにしている。又、投光部1の取付け部には、投射方向が少し斜め下方となるように傾斜用の姿勢規制具40cを設けている。
【0054】
搬送コンベア4における被計測物Mの通過予定箇所の上方側に位置させて、前記支持台32から下方側に延設した支持アーム48により支持される状態でリファレンスフィルター49が設けられている。このリファレンスフィルター49は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的には、一対のオパールガラスを備えて構成されている。
【0055】
上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図1に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測状態と、図4の仮想線にて示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター49を透過した後に受光部2にて受光されるリファレンス計測状態、及び、図4の実線にて示すように、後述するような校正用計測状態の夫々に切り換えることができるように構成されている。
尚、詳述はしないが、この品質評価装置の外周部は、被計測物の搬送に伴う通過箇所を除いて装置枠体Fに備えられた壁体によって囲われて外部から光が入り込まないようになっている。
【0056】
又、前記計測対象箇所には、被計測物Mが通過することを許容しながら、投光部1から投射した光のうち被計測物Mを透過することなく受光部2に入射しようとする回り込み光を遮断する遮光手段としての遮光部材90が備えられている。詳述すると、この遮光部材90は、図10〜図12に示すように、硬質材からなる枠部材93が被計測物Mの搬送方向に向かう方向視で、その下方側を被計測物Mが通過可能なように略門形に形成され、且つ、搬送左右両側部に位置する側壁部90a,90bには、投光部1から被計測物Mに投射される光の通過を許容する光通過用開口95aと、被計測物Mを透過した光が受光部に向けて通過することを許容する光通過用開口95bとが夫々形成されて構成されている。
そして、この枠部材93における搬送方向上手側の側面及び搬送方向下手側の側面並びに上方側箇所の夫々には、この枠部材93の内方側に入り込んだ被計測物M、すなわち、計測箇所に位置する被計測物Mに対して、搬送方向上手側箇所並びに搬送方向下手側箇所、及び、光投射位置Qよりも上方側箇所の夫々において、回り込み光を遮断する遮蔽体91a,91b,91cが夫々備えられている。
この遮蔽体91a,91b,91cは、遮光性の軟質材、例えば、遮光性を有する厚めの布やスポンジ材等からなり、計測箇所を通過する被計測物Mの大きさにバラツキがあっても、各被計測物Mの搬送を阻害しないように表面に沿いながら屈曲変形して通過を許容するように退避自在に構成されている。しかも、搬送方向上手側箇所、及び、搬送方向下手側箇所夫々に位置する遮蔽体91a,91bには、被計測物Mが滑らかに搬送されて通過すること許容するために開口K1,K2が形成されており、夫々の開口K1,K2における口縁部には、上下方向に複数の舌片Zが互いに切り裂かれたように互いの隙間が少ない状態で形成されており、各舌片Zは夫々各別に被計測物Mの外表面に沿いながら屈曲変形して被計測物Mの通過を許容するように退避自在に構成されている。このようにして、ミカン等のように略球形の形状を有する被計測物Mであっても円弧状の外表面に滑らかに沿わせながら回り込み光が受光部2側に漏れることを極力回避できる構成としている。
【0057】
そして、この品質評価装置には、前記支持台32に被計測物の光透過特性とほぼ同じような特性を有する擬似計測体Aを取り外し自在に装着できる構成となっている。尚、被計測体Aは支持台32にそのまま位置決めした状態で載置させる構成であり、容易に着脱可能な構成となっており、校正を行わないときには、被計測体Aを支持台32から取り外しておくことができる。
【0058】
この品質評価装置校正用の被計測体Aについて簡単に説明すると、図5に示すように、非透光性の部材で構成された略四角柱状の外側ケーシング52によって外周部が覆われ、この外側ケーシング52内部の下方側に位置する箇所に品質評価対象としての純水Jを封入状態で収納する収納部51が設けられ、この収納部51と外側ケーシング52との間に空気層が形成されている。そして、この空気層の温度が、品質評価装置によって品質が評価されるときの被計測物の温度又はそれに近い温度である設定温度(例えば、30℃)に維持されるようにペルチェ素子55を作用させる構成となっている。そして、外側ケーシング52における収納部51の左右両側箇所に対応する位置に夫々、光通過部61と光通過部62とが形成され、非透光性の部材で構成された外側ケーシング52の入光側光通過部61及び出光側光通過部62に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。
【0059】
前記制御部3は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、図15に示すように、通過検出センサ50、光量検出センサ19、受光センサ23の検出情報に基づいて被計測物の内部品質を解析する演算部としての解析手段100や、各部の動作を制御する動作制御手段101が夫々制御プログラム形式で備えられる構成となっている。つまり、後述するような公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するとともに、シャッター機構17、投光量調整用モータ12、フィルター切換用モータ80、上下位置調節用モータ36、水平位置調節用モータ44、45の動作の管理等の各部の動作を制御する構成となっている。
【0060】
次に、制御部3による制御動作について説明する。
制御部3は、被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして求める基準データ計測処理、搬送コンベア4により搬送される被計測物Mに対して、投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する通常データ計測処理、及び、被計測物Mに代えて前記波長校正用フィルター84を透過した光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた受光情報に基づいて、受光センサ23の各単位受光部23aの夫々が受光する波長を特定する波長校正処理の夫々を実行するように構成されている。
【0061】
前記基準データ計測処理について説明する。
搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を停止させている状態で、上下位置調節機構29によって前記リファレンス計測状態に切り換え、シャッター機構17を開放状態に切り換えて、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして計測する。又、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ18の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて、そのときの受光センサ18の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0062】
次に、通常データ計測処理について説明する。
この通常データ計測処理においては、上下位置調節機構29、具体的には上下位置調整用電動モータ36を操作して昇降台34を通常計測状態に切り換えて、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、図14に示すように、通過検出センサ50による検出情報に基づいて、被計測物が前記計測対象箇所を通過する周期を検出し、その周期に同期させる状態で、分光した光を受光して電荷蓄積動作を設定時間実行する電荷蓄積処理と、蓄積した電荷を送り出す送出処理とを設定周期で繰り返すように、受光センサ23の動作を制御する。
【0063】
つまり、各被計測物Mが計測対象箇所を通過すると予測される時間帯において、受光センサ23が設定時間だけ電荷蓄積処理を実行し、被計測物Mが計測対象箇所に存在しないと予測される各被計測物M同士の中間位置付近が計測対象箇所に位置するようなタイミングで蓄積した電荷を送り出す送出処理を実行するように、受光センサ23の動作を制御する。従って、この品質評価装置では、受光センサ23による電荷蓄積時間は常に一定で動作する構成となっている。尚、1秒間に7個づつ被計測物が通過するような処理能力とした場合には、電荷蓄積処理を実行する設定時間は、約140msec程度になる。
【0064】
そして、動作制御手段101は、受光センサ23が前記計測対象箇所に位置する状態において受光センサ23が電荷蓄積処理を行うときに、遮蔽状態から開放状態に切り換えてその開放状態を開放維持時間Txが経過する間維持した後に遮蔽状態に戻すように、シャッター機構17の動作を制御するよう構成され、変更指令情報に基づいて、前記開放維持時間Txを変更調整するように構成されている。
この開放維持時間Txは、被計測物の品種の違いに応じて変更させる構成となっている。説明を加えると、例えば、温州蜜柑であれば光が比較的透過しやすいので比較的短い時間(10msec程度)に設定し、伊予柑であれば光が透過し難いので長めの時間(30msec程度)に設定する。
このような品種の違いによる動作条件の設定は、作業員が人為的に行う構成となっている。つまり、図15に示すように、品種の違いに応じて設定位置を人為的に切り換える切換操作具Cが設けられ、この切換操作具Cの設定情報が制御部3に入力され、制御部3はその設定情報に従って開放維持時間Txを変更調整する構成となっている。
又、このような動作条件の設定に応じて、上記したようなフィルター切り換え機構を操作して分光器18に入射する光の光量を変更調整する処理も行うことになる。
【0065】
又、動作制御手段101は、前記光量検出センサ19にて検出される受光量、すなわち、被計測物の光透過量の実測値の変化に基づいて、被計測物が計測対象箇所に到達したか否かを検出するようになっており、被計測物が到達したことを検出するとシャッター機構17を開放状態に切り換え、前記開放維持時間Txだけ開放状態を維持した後に、シャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて計測処理を終了する構成となっている。
具体的に説明すると、図16に前記光量検出センサ19の検出値の時間経過に伴う変化状態を示している。被計測物が到達するまでは投光部1から投射される光によってほぼ最大値が出力されているが、被計測物Mが計測箇所に至ると計測用光が遮られて光量検出センサの検出値(受光量)が減少し始めて検出値が予め設定した設定値以下にまで減少したとき(t1)に、被計測物が計測箇所に到達したものと判断して、その時点から設定時間が経過したとき(t2)に、シャッター機構17を開放状態に切り換える。そして、前記開放維持時間Txだけ開放状態を維持した後に、シャッター機構17を遮蔽状態に切り換えるのである。
尚、このような計測処理を実行しているときに、搬送コンベア4が異常停止したような場合には、投光部1における光量調節板8を遮断状態に切り換えて移動停止している被計測物に長い間、光源からの強い光が照射されることを防止させるようにしている。
【0066】
そして、前記解析手段100が、このようにして得られた各種データに基づいて公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。
つまり、上記したようにして得られた計測分光スペクトルデータを、前記基準データ計測モードにて求められた基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。具体的には、受光センサ23の1024個の単位受光部23a毎に得られた受光情報に対応する吸光度スペクトルデータを得ることになる。このように求められた吸光度スペクトルデータの二次微分値のうち成分を算出するための特定波長の二次微分値と予め設定されている検量式とにより、被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する品質評価値としての成分量を算出する品質評価処理を実行するように構成されている。
【0067】
前記吸光度スペクトルデータdは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0068】
【数1】
d=log[(Rd−Da)/(Sd−Da)]
【0069】
という演算式にて求められる。そして、このようにして得られた吸光度スペクトルデータdを二次微分した値のうち特定波長の値と、下記の数2に示されるような検量式とを用いて、被計測物Mに含まれる糖度や酸度に対応する成分量を算出するための検量値を求めるのである。
【0070】
【数2】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0071】
但し、
Y ;成分量に対応する検量値
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長λにおける吸光度スペクトルの二次微分値
【0072】
尚、成分量を算出する成分毎に、特定の検量式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、演算手段100は、この成分毎に特定の検量式を用いて各成分の検量値(成分量)を算出する構成となっている。
【0073】
次に、前記波長校正処理について説明する。
この波長校正処理は、前記解析手段100が実行するように構成され、被計測物Mに対する通常の計測に先立って行われる校正用データの計測処理、及び、被計測物Mに対する通常の計測にて得られた計測データの変換処理からなる。
校正用データの計測処理について説明すると、通常の計測に先立って、フィルター切り換え機構Eにおけるフィルター切換用モータにより回転体81を回転させて、波長校正用フィルター84を光通過箇所に位置させた状態で、投光部1からの光をそのまま照射させて、受光部2にて得られた受光情報に基づいて、受光センサ23の各単位受光部23aの夫々が受光する波長を特定するのである。詳述すると、前記波長校正用フィルターは、近赤外域の光のうちの特定波長について光透過性に特徴を有する波長校正用の基準体として構成されるものであり、具体的には、波長が既知である少なくとも一対の特定波長に光透過量のピーク部を有するものである。
【0074】
従って、この波長校正用フィルターを透過した後の光は、図17(イ)に示すように、一対の特定波長(λ1、λ2)に透過光量ピーク部W1、W2を備えており、前述の受光センサ23が、この光を検出する場合に、受光量がピークとなる少なくとも一対の単位受光部23aと既知の透過光量ピーク部W1、W2の光の波長(λ1、λ2)との対応をとることにより、波長校正を行えるのである。ここで、前記一対の所定波長(λ1、λ2)を受光する受光センサ23の単位受光部23aの一対の素子番号が(P1、P2 )である場合は、その他の単位受光部23a(素子番号をPとする)に於ける受光波長λは,素子番号Pを変数としたときの一次近似式として以下の数3で表すことができ、素子番号に対応する波長を求めることができる。但し、aは一次近似式の傾きであり、bは演算上仮想的に求められる切片である。又、図で表すと図17(ロ)のように示すことができる。
【0075】
【数3】
λ=aP+b
【0076】
次に、計測データの変換処理について説明すると、上述したような通常データ計測処理によって求められた波長毎の吸光度スペクトルデータの二次微分値は、受光センサ23の1024個の単位受光部23a毎に得られた受光情報に対応する受光位置を基準としたデータであるが、この計測データの変換処理は、数3に基づく演算処理によって、被計測物の成分を算出するための特定波長に対応する波長の吸光度スペクトルデータの二次微分値を内挿により求めて、上記した単位受光部23a毎に得られた受光位置を基準としたデータを正しい波長を基準としたデータに変換するのである。
【0077】
前記分光器18に入射される光は、バンドパスミラー15により計測対象となる特定の波長領域680〜990nmの範囲の光だけが入射されることになり、しかも、この波長校正処理においては、受光センサ23の1024個の単位受光部23aにおける全ての受光データに基づいて、各単位受光部23aの波長を特定することになる。従って、波長校正処理を実行するために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能は約0.3nm程度になる。
【0078】
蜜柑や林檎等のような果菜類においては一般的には品質評価値としての糖度の計測精度として要求される計測誤差は0.5度以下が要求されるのであるが、図18の本出願人の実験データより明らかなように、波長のズレの要因となる波長分解能が0.3nmであれば要求される0.5度以下の計測精度を十分に満足できるものとなる。
【0079】
次に上記したような検量式を作成する手順について説明する。
上記したような検量式は、被計測物に対する計測処理に先立って、予め、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されることになる。
【0080】
説明を加えると、先ず、上述したような波長校正処理のうち校正用データの計測処理を実行し、数1のような関係を求めておき受光センサ23の各単位受光部23aの夫々が受光する波長を特定できるようにする。
【0081】
そして、次に、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて前記分光分析装置を用いて各波長毎の分光スペクトルデータを求め、さらに、その分光スペクトルデータから上記したような吸光度スペクトルデータを求める。このようにして求められた吸光度スペクトルデータは、受光センサ23の1024個の単位受光部23a毎に得られたデータである。
【0082】
次に、このようにして得られた吸光度スペクトルデータについて、検量式を作成するための吸光度データを求めるための計測データの変換処理を行う。この場合、受光センサ23の1024個の単位受光部23a毎に得られた吸光度スペクトルデータと、数1に示される関係式とに基づいて、正しい波長として700nmから2nmづつ変化する毎の波長に対応する吸光度スペクトルデータ、具体的には、対応する波長に対応する単位受光部23aにおける吸光度スペクトルデータを求める。つまり、700,702,704‥‥という正しい波長毎の吸光度スペクトルデータを求めるのである。このように2nm毎に700〜990nmまでの吸光度スペクトルデータを求める場合であれば、そのデータ数は145個程度になる。
【0083】
更に、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。そして、上記したようにして得られた各サンプル毎の吸光度スペクトルデータを用いて、前記実成分量の検出結果と対比させながら、重回帰分析の手法を用いて、吸光度スペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す前記検量式を求めるのである。
このとき、受光センサ23の全ての単位受光部23aの全1024個の吸光度スペクトルデータを用いるのではなく、上記したように145個程度の個数のデータに基づいて演算にて検量式を作成するので、検量式の作成にかかる手間を少なくすることができる。
【0084】
従って、この品質評価装置では、受光センサ23の複数の単位受光部23aの数(1024)に応じて定まる受光情報の最大分解能(0.3nm)よりも大きい分解能(2nm)で前記受光情報を用いて前記検量式が作成され、演算部としての解析手段100が、前記波長校正処理を、前記検量式の作成のときの分解能(2nm)よりも小さい分解能であって、しかも、受光センサ23の複数の単位受光部23aの数(1024)に応じて定まる受光情報の最大分解能(0.3nm)にて波長校正処理を実行するように構成されている。
【0085】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
この実施形態の品質評価装置は、投光部1と受光部2との配置構成、受光部2に対する光の通過経路構成、搬送コンベア4aの構成、受光センサの計測方法が異なる他は、第1実施形態の品質評価装置の構成であるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。又、投光部1及び受光部2は、夫々、ユニット状に組み立てられる構成であり、第1実施形態に使用されるものとほぼ同じ構成のものを使用する構成となっている。
【0086】
図19に示すように、第1実施形態における投光部1と同じ構成のユニット状の投光部1が2台備えられ、それら2台の投光部1が計測対象個所の左右両側部、すなわち、搬送コンベア4aの搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置され、各投光部1は光の照射方向がほぼ水平方向となるように構成されている。すなわち、前記各支持部材40、41と同様な支持部材40、41にユニット状の2台の投光部1が夫々取付けられる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1の上下長さに対応するように左右で同じものを用いるようにしている。又、各投光部1の光の照射方向がほぼ水平方向となるように、上記品質評価装置にて用いた傾斜用の姿勢規制具40cは使用しない構成となっている。
【0087】
搬送コンベア4aは、被計測物を中央部に挿通孔70が形成された受皿71に載置した状態で搬送される構成となっており、この受皿71は、計測対象箇所の下方側には、前記投光部1から照射されて被計測物を透過して受皿71の挿通孔70を通して下方側に透過する光を受光する光ファイバー72の受光側端部が配置されている。その光ファイバー72の他端側には、前記受光部2とほぼ同じ構成のユニット状の受光部2が接続されて光が受光されることになる。この受光部2による受光情報に基づく制御部3での内部品質の解析処理については第1実施形態の場合と同様である。
【0088】
この品質評価装置においては、計測対象個所に位置する被計測物に対して、その左右両側部に位置する各投光部1から光がほぼ水平方向に対向するように投射され、被計測物内部で散乱して下方側に透過して出て来た光を光ファイバー72にて受光して受光部2に導く構成となっている。従って、この装置においては、投光部1及び受光部2が夫々取付けられた状態においては、投光部1が位置する投光用箇所、計測対象箇所、及び、受光部2が位置する受光用箇所の夫々が屈曲線上に位置する形態で投光部1及び受光部2が配置される状態となる。
【0089】
図20に、この実施形態における動作のタイミングチャートを示している。この図に示すように、第1実施形態の通過検出センサ50と同様な検出センサにて受皿71又は被計測物が計測対象個所に対して設定距離手前側の位置に搬送されてきたことが検出されると、その時点から設定遅れ時間T3が経過したのちに、受光センサ23による計測用の電荷蓄積処理を開始するように構成され、又、その電荷蓄積処理を行う少し前からシャッター機構17を遮蔽状態から開放状態に切り換えて、設定時間T4が経過した後にシャッター機構17を開放状態から遮蔽状態に切り換えるようになっている。
尚、この実施形態では、受光センサ23は、被計測物が通過毎に蓄積電荷の読み出しを行うのではなく、設定時間T5(例えば数十msec)が経過する毎に蓄積電荷の読み出し処理を繰り返し行うようにして残留電荷を少なくするようにしながら、被計測物の通過が検出されると、そのタイミングでその繰り返し処理をリセットして蓄積電荷の読み出し処理を実行する構成になっている。
【0090】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0091】
(1)上記実施形態では、計測部としての受光部に1024個の単位受光部23aを備えて、特定の波長領域680〜990nmの範囲の光が入射される構成として、前記演算部としての解析手段が前記波長校正処理を実行するために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が0.3nm程度になり、検量式の作成のときの分解能が2nmになるようにしたが、このような構成に代えて次のように構成してもよい。
複数の単位受光部23aとしては1024個よりも少ない個数の単位受光部23aでもよく1024個よりも多い個数の単位受光部23aを備える構成としてもよい。
前記演算部としての解析手段が前記波長校正処理を実行するために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能としては、0.8nm以下であれば適宜変更させて実施してもよく、受光する波長領域としては被計測物の品質を評価するための波長を備えているものであれば上記領域に限らず適宜変更させて実施するようにしてもよい。
検量式の作成のときの分解能として、2nm毎に得られた受光情報により検量式を作成するものに代えて、2nm以上の大きい間隔で得られた受光情報を用いて、言い換えると上記実施形態よりも更に大きな分解能にて検量式を作成するようにしてもよい。
【0092】
(2)上記実施形態では、前記演算部としての解析手段が前記複数の単位受光部23aの数に応じて定まる前記受光情報の最大分解能にて前記波長校正処理を実行するように構成したが、このような構成に限らず、前記検量式の作成のときの分解能よりも小さい分解能であればよく、前記最大分解能よりも大きい分解能で前記波長校正処理を実行するようにしてもよい。
【0093】
(3)上記実施形態では、前記波長校正用の基準体が、光透過性に特徴を有する特定波長として2以上の特定波長を備えるものを例示したが、このような構成に限らず、光透過性に特徴を有する特定波長として1つの特定波長を備える構成として、前記波長校正処理として、1つの特定波長を受光する単位受光部23aを特定して、その単位受光部23aについての全ての単位受光部23aに対する位置情報と、特定波長とに基づいて、他の単位受光部23aが受光する波長を求めるように構成してもよい。
【0094】
(4)上記実施形態では、前記被計測物からの透過又は反射光のうち前記計測部が受光する光の光量を変更調整自在な光量調整手段が備えられているものを例示したが、このような光量調整手段を備えない構成としてもよい。
【0095】
(5)上記実施形態では、前記計測部による投光箇所及び受光箇所夫々の前記計測対象箇所に対する相対位置を、それらが接近並びに離間する方向に沿って変更調節自在な水平位置調節手段が備えられているものを例示したが、このような水平位置調節手段を備えずに、投光箇所及び受光箇所夫々の前記計測対象箇所に対する相対位置を位置固定状態で設けるものでもよい。
【0096】
(6)上記実施形態では、前記搬送手段にて搬送される前記被計測物が通過することを許容しながら、前記投光部から投射した光のうち前記被計測物を透過することなく前記各単位受光部23aに入射しようとする回り込み光を遮断する遮光手段が備えられているものを例示したが、このような遮光手段を備えない構成としてもよい。
【0097】
(7)上記第1実施形態では、投光部と受光部とが計測対象個所の左右両側部に振り分けて配置される構成のものを例示したが、このような構成に代えて、投光部と受光部とが計測対象個所の上下両側部に振り分けて配置される構成としてもよい。
【0098】
(8)上記第2実施形態では、計測対象個所の左右両側部に一対の投光部を振り分けて配置し、計測対象個所の下側に出てくる光を光ファイバーで受光して受光部に導く構成のものを例示したが、このような構成に代えて、計測対象個所の横一側箇所に1つの投光部を配置する構成としてもよく、光ファイバーで受光するものに代えて、計測対象個所の下側に受光部を備えて受光部にて透過光を直接受光する構成としてもよい。又、投光部と受光部とを計測対象箇所の例えば横一側箇所に並べて配置して光投射方向に対してほぼそれを反対方向に出てくる光を受光するようにしてもよい。
【0099】
(9)上記実施形態では、前記被計測物が前記計測対象箇所を通過するように、搬送コンベアにて搬送される構成としたが、このような構成に限らず、搬送手段としてロボットハンドにて被計測物を計測対象箇所に供給するものでもよく、又、搬送手段にて供給するものに代えて人為操作にて被計測物を供給するものでもよい。
【0100】
(10)上記実施形態では、投光部の光源としてハロゲンランプを用いたが、これに限らず、水銀灯、Ne放電管等の各種の光源を用いてもよく、受光部における受光センサは、CCD型ラインセンサに限らずMOS型ラインセンサ等の他の検出手段を用いるようにしてもよい。
【0101】
(11)上記実施形態では、被計測物Mの内部品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】品質評価装置の正面図
【図2】品質評価装置の側面図
【図3】品質評価装置の平面図
【図4】品質評価装置の正面図
【図5】品質評価装置の一部切欠正面図
【図6】投光部の切欠平面図
【図7】分光器の構成図
【図8】シャッター機構を示す図
【図9】フィルター切換機構を示す図
【図10】遮光手段の斜視図
【図11】遮光手段の平面図
【図12】遮光手段の正面図
【図13】設置状態を示す平面図
【図14】計測作動のタイミングチャート
【図15】制御ブロック図
【図16】受光量の変化と計測タイミングを示す図
【図17】波長と光量との関係を示すデータ
【図18】糖度の計測値と波長ズレ量との関係を示す実験データ
【図19】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【図20】第2実施形態の計測作動のタイミングチャート
【符号の説明】
1 投光部
2 計測部
4、4a 搬送手段
17 入射状態切換手段
23a 単位受光部
30 水平位置調節手段
84 基準体
90 遮光手段
100 演算部
101 動作制御手段
E 光量調整手段
M 被計測物
Claims (9)
- 計測対象箇所に位置する被計測物に近赤外域の光を投光部より投射して、被計測物からの透過又は反射光を分光して複数の単位受光部にて受光する計測部と、
前記被計測物として果菜類を計測したときの前記計測部からの受光情報と予め作成した果菜類品質評価用の検量式とに基づいて果菜類の品質評価値を求める品質評価処理を行う演算部とが設けられ、
前記演算部が、前記品質評価処理に代えて、前記被計測物として、近赤外域の光のうちの特定波長について光透過性に特徴を有する波長校正用の基準体を計測したときの前記計測部からの受光情報に基づいて前記複数の単位受光部の夫々が受光する波長を特定する波長校正処理を行う状態とに切り換え自在に構成されている果菜類の品質評価装置であって、
前記複数の単位受光部の数に応じて定まる前記受光情報の最大分解能よりも大きい分解能で前記受光情報を用いて前記検量式が作成され、
前記演算部が、前記波長校正処理を、前記検量式の作成のときの分解能よりも小さい分解能で前記受光情報を用いて行うように構成されている果菜類の品質評価装置。 - 前記演算部が、前記受光情報の最大分解能にて、前記波長校正処理を実行するように構成されている請求項1記載の果菜類の品質評価装置。
- 前記波長校正用の基準体が、前記特定波長として、2以上の特定波長を備えるように構成され、
前記演算部が、前記波長校正処理として、前記複数の単位受光部のうちで、前記複数の特定波長を受光する複数の単位受光部を特定して、その複数の特定波長を受光するものとして定めた複数の単位受光部についての全ての単位受光部に対する位置情報と、前記特定波長とに基づいて、他の単位受光部が受光する波長を求めるように構成されている請求項1又は2記載の果菜類の品質評価装置。 - 前記計測部が、1024個の前記単位受光部にて、前記特定波長を含む所定の波長帯域の光を受光するように構成され、
前記演算部が前記波長校正処理を実行するために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が0.8ナノメートル以下に設定され、且つ、前記検量式を作成するために被計測物の品質評価値を求めるために前記分光された光の波長を特定するときの波長分解能が2ナノメートル以上に設定されている請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。 - 前記被計測物からの透過又は反射光のうち前記計測部が受光する光の光量を変更調整自在な光量調整手段が備えられている請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。
- 前記投光部による投光箇所及び前記計測部による受光箇所夫々の前記計測対象箇所に対する相対位置を、それらが接近並びに離間する方向に沿って変更調節自在な水平位置調節手段が備えられている請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。
- 前記被計測物からの透過又は反射光が前記各単位受光部にて受光されることを許容する開放状態と、前記被計測物からの透過又は反射光が前記各単位受光部にて受光されることを阻止する遮蔽状態とに切り換え自在な入射状態切換手段と、
各部の動作を制御する動作制御手段とが備えられ、
前記動作制御手段が、
前記被計測物が前記計測対象箇所に位置する状態において、前記遮蔽状態から前記開放状態に切り換えてその開放状態を開放維持時間が経過する間維持した後に前記遮蔽状態に戻すように前記入射状態切換手段の動作を制御し、且つ、前記入射状態切換手段が前記開放状態を維持している間に前記被計測物から得られた光を前記各単位受光部にて受光する計測処理を実行するように前記計測部の動作を制御するよう構成されている請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。 - 前記被計測物を前記計測対象箇所を経由して搬送する搬送手段が備えられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。
- 前記計測対象箇所に、前記搬送手段にて搬送される前記被計測物が通過することを許容しながら、前記投光部から投射した光のうち前記被計測物を透過することなく前記各単位受光部に入射しようとする回り込み光を遮断する遮光手段が備えられている請求項8記載の果菜類の品質評価装置。
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