JP3611519B2 - 農産物の内部品質評価装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被計測物を計測箇所を経由して搬送する搬送手段と、前記計測箇所に位置する前記被計測物に対して計測用光を投射するとともに前記被計測物からの光を受光する計測手段と、前記計測手段による計測作動の管理処理、及び、前記計測手段の計測結果に基づいて被計測物の内部品質を解析する解析処理を実行する制御手段とを備えて構成されている農産物の内部品質評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の農産物の内部品質評価装置は、例えば選果設備等に備えられて、搬送手段にて搬送されてくる被計測物としての果物等の農産物の糖度、酸度、食味等の内部品質を評価するために使用されるものであるが、このような内部品質評価装置において、従来では、特開2000−199743号公報に示される構成のものがあった。
【0003】
つまり、搬送手段の搬送経路における前記計測手段による計測箇所よりも上流側箇所に、その位置を被計測物が通過したことを検出する、例えば光電センサ等の上流側検出手段が設けられるとともに、搬送手段による被計測物の搬送移動量をモニターするモニター手段、例えば、搬送手段における搬送ベルトを巻回するための回転体の回転量を検出するエンコーダが設けられ、上流側検出手段及びモニター手段の出力に基づいて、被計測物が計測手段による計測位置を通過するタイミングを演算にて求めて、そのタイミングにて計測手段による計測作動を行わせるように作動を制御する構成となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来構成においては、上述したように演算にて求めたタイミングで、被計測物が前記計測位置に到達して精度よく計測手段による計測作動を行うことができるとは限らず、演算にて求めたタイミングとは異なるタイミングで被計測物が前記計測位置に到達してしまい、適正な計測作動が行えないものとなるおそれがあり、未だ、改善の余地があった。
【0005】
例えば、搬送手段として搬送ベルトを搬送方向前後両側に位置する一対の回転体にて巻回させて回転体を駆動手段にて回動駆動させて搬送ベルトを回動させるような構成であれば回転体と搬送ベルトとの間でスリップが発生したり、あるいは、駆動手段の駆動速度が負荷の大きさによって変動すること等に起因して、前記上流側検出手段が設けられる上流側箇所から計測位置に到達するまでの間に被計測物が実際に移動した移動量と、前記モニター手段にて検出される搬送手段による被計測物の搬送移動量との間に誤差が生じて、演算にて求めたタイミングとは異なるタイミングで被計測物が前記計測位置に到達してしまうことがある。
又、被計測物が搬送面上に載置された状態で搬送手段にて載置搬送される場合には、その搬送途中において、搬送手段による搬送速度の変動に起因して被計測物が搬送面に対して相対移動して搬送方向に沿う位置がずれてしまうことがある。そうすると、上記したような演算にて求めたタイミングとは異なるタイミングで被計測物が前記計測位置に到達してしまうことがある。
【0006】
このように、種々の要因によって上記したような演算にて求めたタイミングとは異なるタイミングで被計測物が前記計測位置に到達すると、計測手段による計測作動が適正に行われず農産物の内部品質を正確に解析することができないおそれがあった。
【0007】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、計測手段による計測作動を被計測物が計測箇所に位置する適正な状態で行うことが可能となる農産物の内部品質評価装置を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、被計測物を計測箇所を経由して搬送する搬送手段と、前記計測箇所に位置する前記被計測物に対して計測用光を投射するとともに前記被計測物からの光を受光する計測手段と、前記計測手段による計測作動の管理処理、及び、前記計測手段の計測結果に基づいて被計測物の内部品質を解析する解析処理を実行する制御手段とを備えて構成されている農産物の内部品質評価装置において、前記計測手段が、前記被計測物からの光を複数の波長の光に分光する分光手段と、分光した光を受光して電荷蓄積させて分光スペクトルデータを得る受光センサとを備えて構成され、前記被計測物が前記計測箇所又はその近傍箇所に到達したか否かを検出する対象物検出手段が備えられ、前記計測手段を支持する枠体が上下位置調節機構によって前記搬送手段に対して上下方向の位置を変更調整自在に構成され、前記対象物検出手段が、前記枠体と一体的に上下位置を変更調整自在に前記枠体に支持される状態で設けられて、その対象物検出手段による前記被計測物の通過予定領域に対する検出作用域を上下方向に沿って変更調整自在に構成され、前記制御手段が、前記対象物検出手段の検出情報に基づいて、前記被計測物の前記計測箇所に対する位置を管理して、前記計測手段の計測作動を行わせるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、対象物検出手段によって被計測物が前記計測箇所又はその近傍箇所に到達したか否かが検出される。そして、制御手段は、対象物検出手段の検出情報に基づいて、被計測物の計測箇所に対する位置を管理して、計測手段の計測作動を行わせるのである。
【0010】
従って、被計測物が前記計測箇所又はその近傍箇所に到達したか否かを検出して、その検出情報に基づいて被計測物の計測箇所に対する位置を管理して計測手段の計測作動を行わせるものであるから、対象物検出手段によって検出される被計測物の位置は計測手段による計測箇所またはその近傍箇所となる。そうすると、対象物検出手段の検出作動にて位置検出情報が得られた時と同時又はほぼ同時に時間遅れの少ない状態で、その位置検出情報に基づいて計測手段による計測作動が行われるので、その計測作動は、被計測物が前記計測位置に到達するタイミングに極力合わせた状態で適正に行わせることが可能となるのである。
その結果、計測手段による計測作動を被計測物が計測箇所に位置する適正な状態で行うことが可能となる農産物の内部品質評価装置を提供できるに至った。
【0013】
請求項によれば、請求項1おいて、前記対象物検出手段が、前記被計測物の通過予定領域に向けてビーム状の検出光を投光し、被計測物の存否による前記検出光の変化を検出することによって前記被計測物の到達を検出するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
すなわち、対象物検出手段は、被計測物の通過予定領域に向けて投光されるビーム状の検出光の変化を検出することによって被計測物の到達を検出するのであり、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内部品質評価装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
この実施形態では、内部品質評価装置として、被計測物として例えばミカンの選別仕分けを行う選果設備に備えられて、ミカンの内部品質情報、つまり、糖度や酸度等を計測する構成に適用した場合について図面に基づいて説明する。
この内部品質評価装置は、図1に示すように、被計測物M(ミカン)に光を投射する投光手段としての投光部1と、被計測物Mを透過した光を分光してその分光した光を受光して分光スペクトルデータを得る受光手段としての受光部2と、各部の動作を制御する制御手段としての制御部3等を備えて構成され、被計測物Mは、電動モータ4aにて駆動される搬送手段としての搬送コンベア4により設定速度で一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、本装置による計測箇所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測箇所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測箇所の左右両側箇所に振り分けて配置されている。従って、この投光部1と受光部2とにより計測手段Kが構成されることになる。
【0021】
前記投光部1は、電源回路5から供給される電力にて発光する発光体としてのハロゲンランプ6、このハロゲンランプ6から発光される光を集光させるように下方側に向けて反射させる凹面形状の反射板7、その反射板7にて下方側に向けて反射された光を反射して計測箇所に位置する被計測物Mに向けて横向きに変更する反射鏡8、その反射鏡8にて反射した光が計測箇所に照射される状態と、光を遮断する状態とに切り換え自在なシャッター機構9等を備えて構成されている。
【0022】
前記受光部2には、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ10、光を上向きに反射する反射鏡11、後述するような計測対象の波長領域の光だけを通過させるカラーフィルタ12、光を通過させる開状態と光を遮断する閉状態とに切り換え自在なシャッター機構13と、開状態のシャッター機構13を通過した光が入射されると、その光を分光して前記分光スペクトルデータを計測する分光器14等を備えて構成されている。
前記分光器14は、図2に示すように、入光口15から入射した光を反射する反射鏡16と、反射された光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子17と、凹面回折格子17によって分光された各波長毎の光強度を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光センサ18とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱19内に配置される構成となっている。 前記受光センサ18は、凹面回折格子17にて分光反射された透過光を、同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する、1024画素のMOS型ラインセンサにて構成されている。このラインセンサは、詳述はしないが、各単位画素毎にフォトダイオード等の光電変換素子と、その光電変換素子にて得られた電荷を蓄積するコンデンサ、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等を内装して構成されている。尚、コンデンサによる電荷蓄積時間は、外部から駆動回路を介して変更させることができるようになっている。そして、700nm〜1100nmの範囲の波長の光を検出できるようになっている。
【0023】
前記投光部1及び受光部2は、被計測物Mが通過する計測箇所の上方側を迂回するように設けられた枠体20によって一体的に支持される状態で設けられ、この枠体20は、上下調節機構21によって搬送コンベア4に対してその全体の上下方向の位置を変更調節することができるようになっている。上下調節機構21については、詳述はしないが、固定部Fに対して位置固定状態で設置され、電動モータ21aにて駆動されるネジ送り機構21bによって上下に移動させることができるようになっている。そして、前記搬送コンベア4における被計測物Mの通過箇所の上方側に位置させて、前記固定部Fにて位置固定される状態で基準体の一例であるリファレンスフィルター22が設けられている。このリファレンスフィルター22は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的には、オパールガラスを用いて構成されている。
【0024】
そして、前記枠体20の全体を上下方向に大きく位置変更することによって、図3(イ)に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測状態と、図3(ロ)に示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター22を透過した後に受光部2にて受光されるリファレンス計測状態とに切り換えることができるように構成されている。しかも、このように上下方向に大きく位置変更することに加えて、後述するように、被計測物Mの種類、例えば品種の違いや大きさの違いに応じて、計測用光の通過位置、すなわち、投光部1による被計測物Mに対する光の投射位置並びに受光部2による計測用光の受光位置を上下方向に変更調節することができるように構成されている。
【0025】
そして、被計測物Mが計測箇所又はその近傍箇所に到達したか否かを検出する対象物検出手段Tとしての透過型光センサ24が備えられ、制御部3が、透過型光センサ24の検出情報に基づいて、被計測物Mの計測箇所に対する位置を管理して、計測手段Kの計測作動を行わせるように構成されている。前記透過型光センサ24が、被計測物が計測箇所に位置する状態においてその搬送下手側端部が位置することが予測される位置に、被計測物Mの搬送下手側端部が到達したことを検出することにより、被計測部Mの到達を検出するように構成されている。つまり、被計測物Mの通過予定領域に向けてビーム状の検出光を投光し、被計測物の存否による検出光の変化を検出することによって被計測物の到達を検出するように構成されている。
【0026】
つまり、図5に示すように、前記透過型光センサ24は、被計測物の通過予定領域に向けてビーム状の検出光を投光する発光器24aと、その発光器24aにて発光した光を受光する受光器24bとが、計測箇所の左右両側箇所に振り分けて配置され、作動中において発光器24aは常時発光しており、被計測物Mが計測箇所に存在していなければ発光器24aにて発光した光が受光器24bにて受光されるが、被計測物Mにて遮られると受光しなくなるので、そのことにより計測箇所に被計測物Mが到達したことを検出することができるように構成されている。
【0027】
そして、前記透過型光センサ24は、通過予定領域に対する検出作用域を上下方向並びに搬送方向夫々に沿って変更調整自在に構成されている。すなわち、発光器24a及び受光器24bは、その上下方向の位置並びに搬送方向の位置が適宜変更調整できるように構成されている。
前記透過型光センサ24の支持構成について詳述すると、図8に示すように、前記発光器24a及び受光器24bは、夫々、電動モータ25とネジ送り機構26とを備えた前後調節機構27によって搬送コンベア4による被計測物の搬送方向に沿って位置変更調整自在に枠体20に支持される構成となっている。尚、上下方向の位置は、側面視において前記計測用光の通過位置とほぼ同一高さになるように、枠体20に位置固定状態となるように支持される構成となっている。すなわち、上下位置調節機構21によって計測用光の通過位置Pを上下方向に変更調節することによって、計測用光の通過位置とほぼ同一高さに維持しながら透過型光センサ24の上下位置も一体的に変更調節されることになる。
【0028】
そして、通過予定領域に対する検出作用域を上下方向並びに搬送方向夫々に沿って変更調整自在することにより、被計測物Mの品種の違いや大きさが異なる場合であっても、その変化に対応して、常に、被計測物Mが計測箇所に位置する状態においてその搬送下手側端部が位置することが予測される位置に、被計測物の搬送下手側端部が到達したことを検出することができるようにしている。
例えば、図6、図7に示すように、大きい被計測物であっても小さい被計測物であっても、被計測物Mの搬送下手側端部を適切に検出できるように調整することができるのである。尚、その検出位置は常に計測用光の通過位置Pとほぼ同一高さであり、それよりも搬送方向下手側の箇所に位置させて設けられることになる。
【0029】
前記制御部3は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、計測手段Kによる計測作動の管理処理、及び、計測手段Kの計測結果に基づいて被計測物の内部品質を解析する解析処理を実行するように構成され、且つ、前記透過型光センサ24の検出情報に基づいて、被計測物の計測箇所に対する位置を管理して、計測手段Kの計測作動を行わせるように構成されている。
【0030】
詳述すると、図4に示すように、制御部3は、透過型光センサ24の検出情報、及び、分光器14の計測情報が入力され、前記投光部1におけるハロゲンランプ6に供給する電源電圧の変更調節や、投光部1及び受光部2夫々のシャッター機構9,13の開閉動作、上下調節機構21及び前後調節機構27夫々の動作、及び、分光器14における計測動作等の各部の動作を制御する構成となっており、しかも、分光器14にて得られた計測結果に基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。尚、図示はしないが、制御部3に対しては選果設備全体を管理する上位コンピュータからの指令により、動作モードの切り換えや制御作動の起動等が行われる構成となっている。
【0031】
次に、制御部3による制御動作について説明する。
制御部3は、上記したような分光スペクトルデータに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析するための計測作業モードと、このような計測作業モードによる計測作業を実行する前に、作業条件を設定する条件設定処理を実行する条件設定モードに切り換え自在に構成されている。
【0032】
次に前記条件設定処理について説明する。
この条件設定処理では、設定サンプル数(例えば、数十個〜数百個程度)の被計測物を順次、搬送コンベア4にて搬送して計測処理を行い、その計測結果に応じて、投光部1の投光量、及び、計測用光の通過位置の上下位置を、そのときの被計測物の種類や大きさ等に対応する適切な状態になるように自動調整する作業を行う。
詳述すると、投光部1の投光量、及び、計測用光の通過位置の上下位置を、初期設定位置(例えば、変更調整範囲の中間位置)に合わせておいて、設定サンプル数の被計測物を順次、搬送コンベア4により搬送して計測手段Kによる計測作動を行わせる。そして、そのようにして得られた分光スペクトルデータに基づいて、前記投光量及び前記上下位置が適正であるか否かを判別する。
【0033】
すなわち、分光スペクトルデータの大きさが計測に適した範囲になく小さ過ぎる場合には、投光量を大側に変更調整し、分光スペクトルデータの大きさが計測に適した範囲に比べて大き過ぎて飽和状態となっている場合には投光量を小側に変更調整して、再度、設定サンプル数の被計測物を順次、搬送コンベア4により搬送して計測手段Kによる計測作動を行わせ、投光部1による投光量を計測に適した値に調節する。
【0034】
次に、設定サンプル数の被計測物を順次、搬送コンベア4により搬送して計測手段Kによる計測作動を行わせて、得られた分光スペクトルデータにおいて、そのスペクトル形状が830nmから長波長側がほぼ単調に減衰している状態であるか否かを判断する。例えば、図9に示すように、ラインL1が830nmから長波長側がほぼ単調に減衰している状態を示し、ラインL2は、長波長側が高くなっている状態と示している。これは、ラインL1のように長波長側がほぼ単調に減衰している場合は、被計測物の内部で水分による光の吸収が大きいことを示し、ラインL2は、このような水分による光の吸収が少ない状態、すなわち、光が被計測物の内部を透過せずに、外周部を回り込んで到達した光であることを示している。これは、例えば、計測手段による計測用光の通過位置が低過ぎたり、高過ぎる状態であることを示している。そこで、ラインL1で示される状態になるように計測用光の通過位置の上下位置を適正位置、すなわち、被計測物の赤道に位置するように変更調整すべく上下調節機構21の作動を制御する。
このような制御を繰り返して、投光部1の投光量、及び、計測用光の通過位置の上下位置を、そのときの被計測物の品種の違いや大きさの違い等に対応する適切な状態になるように自動調整するのである。そして、このとき、制御部3は、計測手段Kによる計測用光の通過位置の上下位置を変更調整するに伴って、別途与えられる被計測物の品種情報や前記計測用光の通過位置の上下調整情報に基づいて、予め設定されている特性により、透過型光センサ24が被計測物の搬送下手側端部を検出することが可能となるように、搬送方向に沿う位置を変更調整すべく前後調節機構27の作動を制御する。
前記投光部1は上記したように適正な投光量に調整された後は、その計測作業を終了するまで常時点灯状態にさせておき、しかも、投光側のシャッター機構9は、搬送コンベア4が搬送停止状態となる場合以外は常に開放状態に維持されることになる。
【0035】
尚、搬送コンベア4が複数列並設されて、各搬送コンベアに夫々内部品質評価装置が設けられる場合には、各内部品質評価装置における計測条件を、変更調整範囲のうちで複数段階に夫々異ならせた状態で設定サンプル数の計測処理を行い、その複数の計測条件のうちのいずれかを選択して、全ての装置の条件設定を同時に行うようにしてもよい。このようにすると、異なる複数の条件で計測を繰り返す手間が省けるので作業能率が向上する。
【0036】
又、前記計測作業モードは、被計測物Mに対する通常の計測に先立って、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター22に照射して、そのリファレンスフィルター22からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして求める基準データ計測モードと、搬送コンベア4により搬送される被計測物Mに対して、投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する通常データ計測モードとに切り換え自在に構成されている。
【0037】
詳述すると、前記基準データ計測モードにおいては、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を停止させている状態で、上下調節機構21を操作して前記枠体20を前記リファレンス計測状態に切り換える。そして、前記シャッター機構13を開状態に切り換えて、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター22に照射して、そのリファレンスフィルター22からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして計測する。
【0038】
そして、前記基準データ計測モードにおいては、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ18の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構を閉状態に切り換えて、そのときの受光センサ18の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0039】
次に、通常データ計測モードにおける制御動作について説明する。
この通常データ計測モードにおいては、計測手段による計測用光の通過位置の上下位置が前記適正位置になるように、上下調節機構21を制御して、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、各被計測物Mが計測箇所に到達して、透過型光センサ24にて被計測物の搬送下手側端部の通過が検出されると、それと同時に計測手段Kによる計測作動を行わせて分光スペクトルデータを計測する。つまり、予め設定されている計測時間が経過する間、受光センサ18にて受光して電荷蓄積させて分光スペクトルデータを得るようにしている。
【0040】
次に、このようにして得られた各種データに基づいて公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。つまり、計測分光スペクトルデータ、前記基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データに基づいて、分光された各波長毎の吸光度スペクトル及び吸光度スペクトルの波長領域での二次微分値を得るとともに、その二次微分値により被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する成分量を算出する解析演算処理を実行するように構成されている。
吸光度dは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0041】
【数1】
d=log{(Rd−Da)/(Sd−Da)}
【0042】
で定義され、制御部3は、下記の数2による重回帰分析に基づいて、被計測物Mに含まれる成分量を算出するのである。
【0043】
【数2】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0044】
但し、
Y ;成分量
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長λにおける吸光度スペクトルの二次微分値
【0045】
尚、制御部3には、成分量を算出する成分毎に、特定の成分量算出式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、この成分毎に特定の成分量算出式を用いて、各成分の成分量を算出する構成となっている。
【0054】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0057】
(1)前記対象物検出手段としては、上記したような実施形態の構成に限らず、例えば、撮像手段にて被計測物を撮像して、その撮像画像を画像処理することにより前記計測箇所又はその近傍箇所に到達したか否かを検出するようにする等、各種の検出構成を利用して実施してもよい。
【0058】
(2)上記投光手段としてはハロゲンランプ6に限らず、水銀灯、Ne放電管等の各種の投光手段を用いてもよく、受光手段もMOS型ラインセンサに限らず、CCD型ラインセンサ等の他の検出手段を用いるようにしてもよい。基準体としてオパールガラスによるフィルターを用いたが、これに限らず、例えば、スリガラス等の拡散板の他、所定の吸光度特性を有するものであればよく、材質は限定されない。
【0060】
(3)上記実施形態では、被計測物Mの内部品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の内部品質評価装置の概略構成図
【図2】第1実施形態の分光器の構成図
【図3】第1実施形態の上下位置変更状態を示す図
【図4】第1実施形態の制御ブロック図
【図5】第1実施形態の装置設置状態を示す平面図
【図6】第1実施形態の対象物検出手段の位置調節状態を示す図
【図7】第1実施形態の対象物検出手段の位置調節状態を示す図
【図8】第1実施形態の前後位置調節機構を示す図
【図9】第1実施形態の分光スペクトルの実測データを示す図
【符号の説明】
3 制御手段
4 搬送手段
17 分光手段
18 受光手段
20 枠体
21 上下位置調節機構
K 計測手段
M 被計測物
T 対象物検出手段

Claims (2)

  1. 被計測物を計測箇所を経由して搬送する搬送手段と、
    前記計測箇所に位置する前記被計測物に対して計測用光を投射するとともに前記被計測物からの光を受光する計測手段と、
    前記計測手段による計測作動の管理処理、及び、前記計測手段の計測結果に基づいて被計測物の内部品質を解析する解析処理を実行する制御手段とを備えて構成されている農産物の内部品質評価装置であって、
    前記計測手段が、前記被計測物からの光を複数の波長の光に分光する分光手段と、分光した光を受光して電荷蓄積させて分光スペクトルデータを得る受光センサとを備えて構成され、
    前記被計測物が前記計測箇所又はその近傍箇所に到達したか否かを検出する対象物検出手段が備えられ、
    前記計測手段を支持する枠体が上下位置調節機構によって前記搬送手段に対して上下方向の位置を変更調整自在に構成され、
    前記対象物検出手段が、前記枠体と一体的に上下位置を変更調整自在に前記枠体に支持される状態で設けられて、その対象物検出手段による前記被計測物の通過予定領域に対する検出作用域を上下方向に沿って変更調整自在に構成され、
    前記制御手段が、前記対象物検出手段の検出情報に基づいて、前記被計測物の前記計測箇所に対する位置を管理して、前記計測手段の計測作動を行わせるように構成されている農産物の内部品質評価装置。
  2. 前記対象物検出手段が、前記被計測物の通過予定領域に向けてビーム状の検出光を投光し、被計測物の存否による前記検出光の変化を検出することによって前記被計測物の到達を検出するように構成されている請求項1記載の農産物の内部品質評価装置。
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