JP3611512B2 - 分光分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、青果物等の被計測物の内部品質を解析するために用いられる分光分析装置に関し、詳しくは、被計測物を計測箇所を経由して搬送する搬送手段が設けられ、前記計測箇所に位置する前記被計測物に対して光を投射する投光手段と、投光手段から投射されて、前記被計測物を透過した光を受光する受光手段とが、前記計測箇所の左右両側箇所に振り分けて配置され、前記受光手段の計測結果に基づいて被計測物の内部品質情報を求める演算処理部を備えて構成されている分光分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の分光分析装置において、従来では、特開平7−229840号公報に示されているように、搬送手段にて搬送されて計測箇所に位置する被計測物に対して光を投射する投光手段が、例えばハロゲンランプ等の光源と、その光源から発生する光を楕円形の凹面反射部にて反射させて、計測箇所において収束するように集光させるようにして、被計測物に照射して受光手段にてその被計測物からの透過光を計測できるように構成されていた。
このような構成は、投光手段から投射される光が拡散して被計測物の外周部を通って直接、受光手段側にまで回り込んだり、あるいは、他物により反射されて間接的に受光手段側にまで回り込んだりする回り込み光が、受光手段に入射して誤って検出されないように、光源から発生する光を集光させるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種の分光分析装置において、被計測物である青果物等は光の透過率は非常に小さいものであり、投光手段より投射される光量のうちの非常に少ない光量だけが受光手段にて受光されることになる。従って、被計測物の内部品質情報を求めるために必要となる光量を受光するために、投光手段による投光強度を大きくする必要がある。
そのように投光手段の投光強度を大きくすると、上記従来構成においては、投光手段から投射される強い光が、被計測物の外周部を通って受光手段にまで回り込むおそれが大となり、このような回り込み光を充分に抑制できるものではなかった。
その結果、上記したような回り込み光を受光手段が受光することから、その分、計測精度が低下してしまうおそれがあり、この点で改善が望まれていた。
【0004】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、上記したような回り込み光による計測誤差の発生を抑制して、精度よく計測することが可能となる分光分析装置を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、被計測物を計測箇所を経由して搬送する搬送手段が設けられ、前記計測箇所に位置する前記被計測物に対して光を投射する投光手段と、投光手段から投射されて、前記被計測物を透過した光を受光する受光手段とが、前記計測箇所の左右両側箇所に振り分けて配置され、前記受光手段の計測結果に基づいて被計測物の内部品質情報を求める演算処理部を備えて構成されている分光分析装置において、前記計測箇所に、前記被計測物が通過することを許容しながら、前記投光手段から投射した光のうち前記被計測物を透過することなく前記受光手段に入射しようとする回り込み光を遮断する遮光手段が備えられていることを特徴とする。
【0006】
従って、計測箇所に遮光手段が備えられることによって、投光手段から投射した光のうち被計測物を透過することなく受光手段に入射しようとする回り込み光が有効に遮断されるから、受光手段にて誤検出されるおそれが少ないものとなる。しかも、この遮光手段は、搬送手段によって計測箇所を経由して搬送される被計測物が、計測箇所を通過することを許容しながら、回り込み光を有効に遮断する構成となっており、搬送手段による搬送が阻害されることなく、作業能率を低下させるおそれは少ない。
【0007】
その結果、作業能率を低下させる等の不利の生じない状態で、上記したような回り込み光による計測誤差の発生を抑制して、精度よく計測することが可能となる分光分析装置を提供できるに至った。
【0008】
また、前記搬送手段は、前記被計測物を載置搬送するように構成され、前記遮光手段は、前記計測箇所に位置する前記被計測物の前記投光手段による光投射位置よりも搬送方向上手側箇所並びに搬送方向下手側箇所、及び、前記光投射位置よりも上方側箇所の夫々において、前記回り込み光を遮断する遮蔽体を備え、且つ、前記搬送方向上手側箇所に位置する遮蔽体と前記搬送方向下手側箇所に位置する遮蔽体との間に、前記投光手段から被計測物に投射される光の通過を許容する光通過用開口と被計測物を透過した光が前記受光手段に向けて通過することを許容する光通過用開口とを備えて構成され、前記搬送方向上手側箇所、搬送方向下手側箇所、及び、上方側箇所の夫々に位置する遮蔽体は、前記被計測物の搬送を阻害しないように表面に沿いながら屈曲変形して通過を許容するように退避自在に、且つ、前記計測箇所に位置する前記被計測物に同時に接触して前記回り込み光を遮蔽するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、遮光手段は、搬送手段にて載置搬送されて計測箇所に位置する被計測物に対して、その被計測物の投光手段による光投射位置よりも搬送方向上手側箇所並びに搬送方向下手側箇所、及び、光投射位置よりも上方側箇所の夫々において回り込み光を遮断する遮蔽体を備えて構成されているから、投光手段から大きな投光強度の光が投射されて、被計測物の外周部を回り込む光が発生しても、前記各遮蔽体によって、光投射位置よりも搬送方向上手側箇所、搬送方向下手側箇所、及び、光投射位置よりも上方側箇所の夫々において、確実に回り込み光が遮断されるので、受光手段に誤って入射するおそれは少ないものとなる。
【0010】
しかも、前記遮蔽体は、前記被計測物の通過を許容するように退避自在に構成されていることから、搬送手段によって計測箇所を経由して搬送される被計測物が、計測箇所を通過することを許容しながら、光投射位置よりも搬送方向上手側箇所、搬送方向下手側箇所、及び、光投射位置よりも上方側箇所の夫々において、前記回り込み光を遮断することができる。
【0011】
請求項2によれば、請求項1において、前記搬送方向上手側箇所、及び、搬送方向下手側箇所夫々に位置する遮蔽体は、前記被計測物の通過を許容する開口を備えるとともに、夫々の開口における口縁部には、上下方向に並び、且つ、横方向に切り欠かれた複数の舌片が形成され、各舌片は夫々各別に前記被計測物の通過を許容するように退避自在に、且つ、前記計測箇所に位置する前記被計測物に同時に接触するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
すなわち、前記各遮蔽体は被計測物の通過を許容する開口を備えており、夫々の開口における口縁部には、上下方向に複数の舌片が形成され、各舌片は夫々各別に前記被計測物の通過を許容するように退避自在に構成されているから、計測箇所を通過する被計測物に対して、前記各舌片が各別に退避しながら通過を許容するので、例えば、青果物のように外形が球形又はほぼ球形の被計測物であっても、その湾曲した外形形状に沿わせて光遮断状態を維持しながら、通過を許容することができるものとなり、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る分光分析装置について、被計測物として例えばミカンの選別仕分けを行う選果設備に備えられて、ミカンの内部品質情報、つまり、糖度や酸度等を計測する構成に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0017】
この分光分析装置は、図1に示すように、被計測物M(ミカン)に光を照射する投光手段としての投光部1と、被計測物Mを透過した光を分光してその分光した光を受光して分光スペクトルデータを得る受光手段としての受光部2と、各部の動作を制御するとともに、受光部2の計測結果に基づいて被計測物の内部品質情報を求める演算処理部として機能する制御部3等を備えて構成され、被計測物M(ミカン)は、搬送コンベア4により一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、本分光分析装置による計測箇所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測箇所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測箇所の左右両側箇所に振り分けて配置されている。
【0018】
前記投光部1は、電源回路5から供給される電力にて発光する発光体としてのハロゲンランプ6と、このハロゲンランプ6から発光される光を集光させるように下方側に向けて反射させる凹面形状の反射板7とが備えられるとともに、その反射板7による反射光を反射して計測箇所に位置する被計測物Mに向けて横向きに変更する反射鏡8が設けられている。更には、反射鏡8にて反射した光が計測箇所に照射される状態と、光を遮断する状態とに切り換え自在なシャッター機構9が設けられている。
【0019】
前記受光部2には、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ10、光を上向きに反射する反射鏡11、後述するような計測対象の波長領域の光だけを通過させるカラーフィルタ12、光を通過させる開状態と光を遮断する閉状態とに切り換え自在なシャッター機構13と、開状態のシャッター機構13を通過した光が入射されると、その光を分光して前記分光スペクトルデータを計測する分光器14等を備えて構成されている。
前記分光器14は、図2に示すように、入光口15から入射した光を反射する反射鏡16と、反射された光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子17と、凹面回折格子17によって分光された各波長毎の光強度を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光センサ18とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱19内に配置される構成となっている。 前記受光センサ18は、凹面回折格子17にて分光反射された透過光を、同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する、1024画素のMOS型ラインセンサにて構成されている。このラインセンサは、詳述はしないが、各単位画素毎にフォトダイオード等の光電変換素子と、その光電変換素子にて得られた電荷を蓄積するコンデンサ、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等を内装して構成されている。尚、コンデンサによる電荷蓄積時間は、外部から駆動回路を介して変更させることができるようになっている。そして、700nm〜1100nmの範囲の波長の光を検出できるようになっている。
【0020】
前記投光部1及び受光部2は、被計測物Mが通過する計測箇所の上方側を迂回するように設けられた枠体20によって一体的に支持される状態で設けられ、この枠体20は、上下調節機構21によって搬送コンベア4に対してその全体が上下方向の位置を変更調節することができるようになっている。上下調節機構21については、詳述はしないが、固定部Fに対して位置固定状態で設置され電動モータ21aにて駆動されるネジ送り機構21bによって上下に移動させることができるようになっている。そして、前記搬送コンベア4における被計測物Mの通過箇所の上方側に位置させて、前記固定部Fにて位置固定される状態で基準体の一例であるリファレンスフィルター22が設けられている。このリファレンスフィルター22は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的には、オパールガラスを用いて構成されている。
【0021】
そして、前記枠体20の全体を上下方向に位置調節することによって、図3(イ)に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測状態と、図3(ロ)に示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター22を透過した後に受光部2にて受光されるリファレンス計測状態とに切り換えることができるように構成されている。
【0022】
前記搬送コンベア4は無端回動帯4aを電動モータ4bによって駆動する構成となっており、その無端回動帯4aを巻回する回転体4cの回転軸の回転状態を検出するロータリーエンコーダ23が備えられ、このロータリーエンコーダ23の検出情報も制御部3に入力される構成となっており、更に、図5に示すように、搬送コンベア4による前記計測箇所の搬送方向上手側箇所には、被計測物Mの通過を検出する光学式の通過センサ24が備えられている。この通過センサ24は、光を発する発光器24aと、その光を受光する受光器24bとが、搬送コンベア4による搬送経路の左右両側部に振り分け配置され、被計測物Mが存在せず発光器24aから発光された光が受光器24bにて受光されるとオフ状態となり、被計測物Mにて光が遮られて受光器24bにて光が受光されなけれオン状態となる。
【0023】
そして、この分光分析装置においては、前記計測箇所に、前記被計測物Mが通過することを許容しながら、投光部1から投射した光のうち被計測物Mを透過することなく受光部2に入射しようとする回り込み光を遮断する遮光手段としての遮光部材30が備えられている。
詳述すると、この遮光部材30は、計測箇所に位置する被計測物Mの投光部1による光投射位置Qよりも搬送方向上手側箇所並びに搬送方向下手側箇所、及び、光投射位置Qよりも上方側箇所の夫々において、回り込み光を遮断する遮蔽体31a,31b,31cを備えて構成され、搬送方向上手側箇所、搬送方向下手側箇所、及び、上方側箇所の夫々に位置する遮蔽体31a,31b,31cは、被計測物Mの通過を許容するように退避自在に構成され、更には、搬送方向上手側箇所、及び、搬送方向下手側箇所夫々に位置する遮蔽体31a,31bは、被計測物Mの通過を許容する開口K1,K2が形成されるとともに、夫々の開口K1,K2における口縁部には、上下方向に並び、且つ、横方向に切り欠かれた複数の舌片Zが形成され、各舌片Zは夫々各別に被計測物Mの通過を許容するように退避自在に構成されている。
【0024】
すなわち、この遮光部材30は、硬質材からなる枠部材33が備えられ、この枠部材33が、図1に示すように、搬送コンベア4の両側部に備えられた支持台34にて支持されて、計測箇所に位置固定状態で設けられる構成となっている。そして、図7〜図9に示すように、この枠部材33は、被計測物Mの搬送方向に向かう方向視で、その下方側を被計測物Mが通過可能なように略門形に形成され、且つ、搬送左右両側部に位置する側壁部30a,30bには、投光部1から被計測物Mに投射される光の通過を許容する光通過用開口35aと、被計測物Mを透過した光が受光部に向けて通過することを許容する光通過用開口35bとが夫々形成されて構成されている。
【0025】
そして、この枠部材33における搬送方向上手側の側面及び搬送方向下手側の側面並びに上方側箇所の夫々には、この枠部材33の内方側に入り込んだ被計測物M、すなわち、計測箇所に位置する被計測物Mに対して、搬送方向上手側箇所並びに搬送方向下手側箇所、及び、光投射位置Qよりも上方側箇所の夫々において、回り込み光を遮断する遮蔽体31a,31b,31cが夫々備えられている。
この遮蔽体31a,31b,31cは、遮光性の軟質材、例えば、遮光性を有する厚めの布やスポンジ材等からなり、計測箇所を通過する被計測物Mの大きさにバラツキがあっても、各被計測物Mの搬送を阻害しないように表面に沿いながら屈曲変形して通過を許容するように退避自在に構成されている。
しかも、搬送方向上手側箇所、及び、搬送方向下手側箇所夫々に位置する遮蔽体31a,31bには、被計測物Mが滑らかに搬送されて通過すること許容するために開口K1,K2が形成されており、夫々の開口K1,K2における口縁部には、上下方向に複数の舌片Zが互いに切り裂かれたように互いの隙間が少ない状態で形成されており、各舌片Zは夫々各別に被計測物Mの外表面に沿いながら屈曲変形して被計測物Mの通過を許容するように退避自在に構成されている。このようにして、ミカン等のように略球形の形状を有する被計測物Mであっても円弧状の外表面に滑らかに沿わせながら回り込み光が受光部2側に漏れることを極力回避できる構成としている。
【0026】
図9に示すように、搬送方向上手側に位置する遮蔽体31aに形成される開口K1は、予測される被計測物Mの外形寸法の最小寸法よりも少し大き目の開口に形成され、しかも、その口縁部に形成される舌片Zは退避揺動したときに投光部1から投射される光が被計測物Mに投射されるのを阻害することが無いように短めに設定している。又、搬送方向下手側に位置する遮蔽体31bは、このように被計測物の搬送移動に伴って光の透過を阻害するおそれは少ないので、前記開口K2は小さ目の開口となっており、舌片Zは長めに形成され、回り込み光が受光部2側に漏れることを極力回避できる構成としている。
【0027】
尚、この遮光部材30は、全ての形状の被計測物に対して対応できるものではなく、外形寸法が異なるような別の品種の被計測物Mに対しては、その品種毎に対応する外形形状の異なる遮光部材が用いられることになる。
【0028】
前記制御部3は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、図4に示すように、各部の動作を制御するように構成されている。つまり、前記投光部1におけるハロゲンランプ6に供給する電源電圧の変更調節や、投光部1及び受光部2夫々のシャッター機構9,13の開閉動作、上下調節機構21の動作、及び、分光器14における電荷蓄積時間の変更調節動作等の各部の動作を制御する構成となっている。しかも、この制御部3は、分光器14にて得られた計測結果に基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。
【0029】
次に、制御部3による制御動作について説明する。
制御部3は、被計測物Mに対する通常の計測に先立って、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター22に照射して、そのリファレンスフィルター22からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして求める基準データ計測モードと、搬送コンベア4により搬送される被計測物Mに対して、投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する通常データ計測モードとに切り換え自在に構成されている。
【0030】
詳述すると、前記基準データ計測モードにおいては、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を停止させている状態で、上下調節機構21を操作して前記枠体20を前記リファレンス計測状態に切り換える。そして、前記各シャッター機構を開状態に切り換えて、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター22に照射して、そのリファレンスフィルター22からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして計測する。
【0031】
そして、前記基準データ計測モードにおいては、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ18の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構を閉状態に切り換えて、そのときの受光センサ18の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0032】
次に、通常データ計測モードにおける制御動作について説明する。
この通常データ計測モードにおいては、上下調節機構21を操作して枠体20を通常計測状態に切り換えて、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、各被計測物Mが計測対象箇所を通過する毎に、夫々の計測分光スペクトルデータを計測する。
この計測分光スペクトルデータを実行する際に、制御部3は、被計測物Mが搬送方向前端位置が計測対象箇所を通過するに伴って、被計測物の搬送方向前端側の領域を対象として、被計測物に光を照射して透過光を分光してその分光した光を受光して受光データを得る予備計測処理を実行し、その後、被計測物の搬送方向中央側の領域を対象として、内部品質を解析するための前記分光スペクトルデータを計測する本計測処理を実行する。前記予備計測処理では、被計測物Mの搬送方向前端側の領域を対象として、受光センサ18による設定時間内における検出値(予備測定値)を求めておく。そして、予備計測処理にて得られた受光データに基づいて、受光センサ18の電荷蓄積量が設定適正量となるように本計測処理を実行するときの電荷蓄積時間を変更調整するようにしている。
【0033】
尚、被計測物としてのミカンは、品種の違いに応じて標準的な大きさが異なるものであり、本装置においては、そのような品種の違いに応じて電荷蓄積時間についての複数段階の標準的な基準データが予め実験データ等に基づいて設定して記憶されている。すなわち、図6に示すように、小径の品種に対する標準的な透過率に対応するものとして短めの電荷蓄積時間Tx1が設定され、中くらいの大きさの品種に対してその品種の標準的な透過率に対応するものとして、中くらいの電荷蓄積時間Tx2が設定され、大径の品種に対してその品種の標準的な透過率に対応するものとして、長めの電荷蓄積時間Tx3が設定されている。そして、実際の計測作業においては、そのうちのいずれか対応するものが選択され、図示しない指令手段にて制御部3での動作条件が設定されることになる。
【0034】
実際の作業における具体的な処理について説明を加えると、先ず、ロータリーエンコーダ23により検出される搬送コンベア4の搬送速度と、前記通過センサ24による検出情報とに基づいて、計測対象箇所に搬送されてくる各被計測物Mの搬送方向先端位置及び被計測物Mの搬送方向中央位置が計測対象箇所を通過し始めるタイミング等を予め求めておく。すなわち、通過センサ24にて被計測物Mが検出され始めると、通過センサの出力がオフ状態からオン状態に切り換わり、被計測物Mが通過を終了するとオン状態からオフ状態に切り換わるので、その計測情報と搬送コンベア4の搬送速度の情報とから、被計測物Mの搬送方向先端位置が計測対象箇所を通過するタイミングを求めることができる。
【0035】
そして、図6のタイミングチャートに示すように、被計測物Mの搬送方向前端位置が計測対象箇所を通過するタイミングT1から設定時間Tsの間だけ受光センサ18の検出値を空読みする空読み動作を2回繰り返す。その後、設定時間Tuにわたり受光センサ18の検出値(予備測定値)を読み込む予備測定処理としての受光量測定処理を実行する。その受光量測定処理による検出値は、分光スペクトルデータとして用いるのではなく、その計測結果に基づいて、その後に行われる本計測における電荷蓄積時間を電荷蓄積量を設定適正量とすべく変更調整するための指標として用いる。尚、空読み動作を2回行うのは、コンデンサに既に蓄電されている電荷を抜き出すとともに、被計測物Mの搬送方向前端位置が計測対象箇所を通過するタイミングT1ですぐに受光量を計測すると、回り込み光による計測誤差が大きいから、所定時間が経過した後に受光量を計測するようにしている。
【0036】
そして、前記受光量測定処理による検出値に基づいて、前記電荷蓄積時間(Tx1,Tx2,Tx3のうちのいずれか選択されているもの)を、その被計測物の透過率に対応して電荷蓄積量を設定適正量とするために必要となる値に増減調節するのである。この受光量と電荷蓄積時間との関係は予め実験データ等によりマップ化してもよく、演算式に基づいて適宜演算してもよい。
そして、本計測処理においては、このようにして設定された電荷蓄積時間にて計測分光スペクトルデータを計測する。
【0037】
図6では、被計測物Mの搬送方向中央位置が計測対象箇所を通過するタイミングを基準点(0)として大中小各種の被計測物Mに計測タイミングを示しており、図中、T2は、被計測物Mの搬送方向終端位置が計測対象箇所を通過するタイミングを示している。データ転送とは、計測データを制御部3に送信する時間を示している。
【0038】
次に、このようにして得られた各種データに基づいて公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。つまり、計測分光スペクトルデータ、前記基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データに基づいて、分光された各波長毎の吸光度スペクトル及び吸光度スペクトルの波長領域での二次微分値を得るとともに、その二次微分値により被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する成分量を算出する解析演算処理を実行するように構成されている。
吸光度dは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0039】
【数1】
d=log{(Rd−Da)/(Sd−Da)}
【0040】
で定義され、制御部3は、下記の数2による重回帰分析に基づいて、被計測物Mに含まれる成分量を算出するのである。
【0041】
【数2】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0042】
但し、
Y ;成分量
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長λにおける吸光度スペクトルの二次微分値
【0043】
尚、制御部3には、成分量を算出する成分毎に、特定の成分量算出式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、この成分毎に特定の成分量算出式を用いて、各成分の成分量を算出する構成となっている。
【0044】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0045】
(1)上記実施形態では、遮光手段を構成する遮光部材における前記遮蔽体として、上下方向に沿って並ぶ複数の舌片を備えて、遮光性を有する厚めの布やスポンジ材等の軟質材で構成したが、遮蔽体としては、軟質材に限らず、例えば、上下方向に分割形成されて夫々が退避揺動自在に設けられた複数の硬質材を用いて構成してもよく、あるいは、被計測物Mの外周面に沿うように滑らかに屈曲変形する1枚構成の布材で構成したり、1枚構成のスポンジ材等で構成するものでもよい。
【0047】
(2)上記実施形態では、基準体としてオパールガラスによるフィルターを用いたが、これに限らず、例えば、スリガラス等の拡散板の他、所定の吸光度特性を有するものであればよく、材質は限定されない。又、投光手段としてはハロゲンランプ6に限らず、水銀灯、Ne放電管等等の各種の投光手段を用いてもよく、受光手段もMOS型ラインセンサに限らず、CCD型ラインセンサ等の他の検出手段を用いるようにしてもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では、被計測物Mからの透過光に基づいて分光スペクトルを計測するようにしたが、このような構成に限らず、被計測物Mからの反射光に基づいて分光スペクトルを計測するようにしてもよい。
【0049】
(4)上記実施形態では、被計測物Mの内部品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】分光分析装置の概略構成図
【図2】分光器の構成図
【図3】上下位置変更状態を示す図
【図4】制御ブロック図
【図5】分光分析装置の設置状態を示す平面図
【図6】計測作動のタイミングチャート
【図7】遮光部材を示す斜視図
【図8】遮光部材の横断平面図
【図9】遮光部材を示す正面図及び縦断正面図
【符号の説明】
1 投光手段
2 受光手段
3 演算処理部
4 搬送手段
30 遮光手段
31a,31b,31c 遮蔽体
M 被計測物
Claims (2)
- 被計測物を計測箇所を経由して搬送する搬送手段が設けられ、前記計測箇所に位置する前記被計測物に対して光を投射する投光手段と、投光手段から投射されて、前記被計測物を透過した光を受光する受光手段とが、前記計測箇所の左右両側箇所に振り分けて配置され、前記受光手段の計測結果に基づいて被計測物の内部品質情報を求める演算処理部を備えて構成されている分光分析装置であって、
前記計測箇所に、前記被計測物が通過することを許容しながら、前記投光手段から投射した光のうち前記被計測物を透過することなく前記受光手段に入射しようとする回り込み光を遮断する遮光手段が備えられ、
前記搬送手段は、前記被計測物を載置搬送するように構成され、
前記遮光手段は、前記計測箇所に位置する前記被計測物の前記投光手段による光投射位置よりも搬送方向上手側箇所並びに搬送方向下手側箇所、及び、前記光投射位置よりも上方側箇所の夫々において、前記被計測物に接触して前記回り込み光を遮断する遮蔽体を備え、且つ、前記搬送方向上手側箇所に位置する遮蔽体と前記搬送方向下手側箇所に位置する遮蔽体との間に、前記投光手段から被計測物に投射される光の通過を許容する光通過用開口と被計測物を透過した光が前記受光手段に向けて通過することを許容する光通過用開口とを備えて構成され、
前記搬送方向上手側箇所、搬送方向下手側箇所、及び、上方側箇所の夫々に位置する遮蔽体は、前記被計測物の搬送を阻害しないように表面に沿いながら屈曲変形して通過を許容するように退避自在に、且つ、前記計測箇所に位置する前記被計測物に同時に接触して前記回り込み光を遮蔽するように構成されている分光分析装置。 - 前記搬送方向上手側箇所、及び、搬送方向下手側箇所夫々に位置する遮蔽体は、前記被計測物の通過を許容する開口を備えるとともに、夫々の開口における口縁部には、上下方向に並び、且つ、横方向に切り欠かれた複数の舌片が形成され、各舌片は夫々各別に前記被計測物の通過を許容するように退避自在に、且つ、前記計測箇所に位置する前記被計測物に同時に接触するように構成されている請求項1記載の分光分析装置。
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