JP2004184171A - 果菜類の品質評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて装置校正を行うことが可能なものでありながら、コストの低減を図ることが可能となる品質評価装置を提供する。
【解決手段】計測対象箇所とは異なる箇所に、特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体Aを取り外し可能に支持する擬似計測体支持部32が設けられ、投光部1と受光部2とが計測対象箇所の両側外方に対向する状態で位置する通常計測状態と、投光部1と受光部2とが擬似計測体支持部32の両側外方に対向する状態で位置する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、投光部1及び受光部2を一体的に位置変更調節自在な位置変更調節手段29が設けられ、演算処理部3が、擬似計測体Aについての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正する。
【選択図】 図5
【解決手段】計測対象箇所とは異なる箇所に、特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体Aを取り外し可能に支持する擬似計測体支持部32が設けられ、投光部1と受光部2とが計測対象箇所の両側外方に対向する状態で位置する通常計測状態と、投光部1と受光部2とが擬似計測体支持部32の両側外方に対向する状態で位置する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、投光部1及び受光部2を一体的に位置変更調節自在な位置変更調節手段29が設けられ、演算処理部3が、擬似計測体Aについての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の果菜類の品質評価装置は、被計測物から得られる特定波長の光の吸収特性に基づいて、被計測物としての果菜類の品質を非破壊状態で品質を評価するようにしたものであり、例えば特定波長の光の吸収特性と品質を評価するために予め設定されている演算式である検量式を用いて被計測物の品質を評価するようになっている。
【0003】
ところで、このような品質評価装置においては、被計測物に対する計測作業が行われるに伴って、装置の経年変化等が要因となって被計測物の品質評価値が本来求められるべき値からずれて計測誤差が生じてしまうことがある。例えば、被計測物に照射される光の光量が変化したり、受光する特定波長の光に対する受光特性が変化してその特定波長の光に対する吸収特性を精度よく求めることができなくなることがある。
【0004】
そこで、このような計測誤差を少なくするために、従来では、被計測物の代わりに予め光吸収特性が判っている校正用の光学フィルターを用いて、その光学フィルターに光を照射して光学フィルターを通して得られた光を受光するようにして、その受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を補正するようにしたものがあったが、このような校正用の光学フィルターを用いた校正処理だけでは充分ではないので、計測誤差をより小さくして適正な計測を行うために、上述したような光学フィルターによる校正に加えて、被計測物としての果菜類における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて装置の校正を行うようにしたものがあった。
【0005】
説明を加えると、被計測物としての果菜類が有している品質、例えば酸度や糖度についての品質と同様な品質である酸の水溶液や糖の水溶液等を透明容器に収容する状態で備えた擬似計測体を、品質評価部における被計測物が位置することになる計測用光の通過箇所に被計測物の代わりに位置させて、この擬似計測体についての品質計測を行い、その計測結果に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正するのであるが、この擬似計測体は、計測用光の通過箇所に位置する校正位置と、計測用光の通過箇所から退避する通常位置とにわたり位置変更可能なように支持される状態で取付けられる構成としたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
そして、このような擬似計測体を用いて品質評価装置を校正する場合には、予め校正の対象となる品質評価装置によって擬似計測体について品質を評価してその評価結果を基準値として記憶しておき、品質評価装置の校正を行う場合に、再度、品質評価装置によって擬似計測体の品質を評価してその評価結果と前記基準値との差に基づいて補正情報を求めて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値をその補正情報により補正することになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−199743号公報(第13―17頁、図4、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように被計測物における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて品質評価値を補正するようにすると、光学フィルターを用いる校正処理だけで校正する場合に比べて計測誤差を少なくさせることが可能であるが、上記したような擬似計測体は、光学フィルターに比べて構成が複雑であって作製の手間もかかるので、それだけコストが高いものとなる。
【0008】
ところで、果菜類の品質評価装置は、一般に選果設備等において多量に搬入される被計測物としての果菜類の品質評価を能率よく行うために、品質評価装置を複数台並べて並列処理するような構成とする場合があるが、このような構成において、複数の品質評価装置の夫々に上記したような擬似計測体を備えさせる構成とした場合であれば、複数の品質評価装置の夫々にコストの高い擬似計測体が必要となり、設備全体として大幅なコスト高を招くといった不利がある。
【0009】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、計測誤差を少なくすることが可能なものでありながら、品質評価装置を複数台並べて使用するような設備に適用する場合において設備全体のコストの低減を図ることが可能となる品質評価装置を提供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の果菜類の品質評価装置は、計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されているものであって、
前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部が設けられ、
前記投光部と前記受光部とが前記計測対象箇所の両側外方に対向する状態で位置する通常計測状態と、前記投光部と前記受光部とが前記擬似計測体支持部の両側外方に対向する状態で位置する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、前記投光部及び前記受光部を一体的に位置変更調節自在な位置変更調節手段が設けられ、
前記演算処理部が、前記擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、被計測物としての果菜類に対する品質評価を行うときは、前記位置変更調節手段を前記通常計測状態に切り換えることによって、投光部と受光部とが計測対象箇所の両側外方に対向する状態で位置するので、投光部から投射された光が計測対象箇所に位置する被計測物に投射され、投光部と対向する位置にある受光部では被計測物を透過して得られた光を受光して、演算処理部はその受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求めることができる。
【0012】
そして、装置の校正を行うときは、擬似計測体支持部に前記擬似計測体を支持させておき、前記位置変更調節手段を前記校正用計測状態に切り換えることによって、投光部と受光部とが擬似計測体支持部の両側外方に対向する状態で位置するので、投光部から投射された光が擬似計測体支持部に支持されている擬似計測体に投射され、投光部と対向する位置にある受光部では擬似計測体を透過して得られた光を受光して、演算処理部はその受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて擬似計測体に対する品質評価の計測を行い、その計測結果に基づいて装置を校正することができる。
このように被計測物における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて計測誤差の少ない適正な計測状態になるように装置を校正することができる。
【0013】
又、擬似計測体は取り外し可能に擬似計測体支持部に支持されているので、校正のための擬似計測体に対する品質評価の処理が終了した後は、この擬似計測体を取り外した状態で、上述したような被計測物に対する品質評価処理を行うことができる。
その結果、例えば、選果設備等において複数の品質評価装置を並べて使用するような場合において、校正が終了した品質評価装置から取り外した擬似計測体は、例えば別の品質評価装置の擬似計測体支持部に支持させてその品質評価装置に対する校正に用いることができ、1台の擬似計測体を兼用して複数の品質評価装置の夫々の装置の校正を行うことが可能であり、品質評価装置を複数台並べて使用する設備に適用する場合において、このような設備全体の構成の簡素化並びにコストの低減を図ることが可能となる。
【0014】
従って、被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて装置校正を行うことにより、計測誤差を少なくすることが可能なものでありながら、品質評価装置を複数台並べて使用するような設備に適用する場合において設備全体のコストの低減を図ることが可能となる品質評価装置を提供できるに至った。
【0015】
請求項2に記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1において、計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されているものであって、
前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部が設けられ、
前記投光部からの光が前記計測対象箇所に位置する被計測物に照射されるとともに、その被計測物を透過して前記投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を前記受光部にて受光する通常計測状態と、前記投光部からの光が前記擬似計測体支持部に支持された擬似計測体に照射されるとともに、その擬似計測体を透過して前記投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を前記受光部にて受光する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、前記投光部の位置を変更調節自在な位置変更調節手段が設けられ、
前記演算処理部が、前記擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
すなわち、被計測物としての果菜類に対する品質評価を行うときは、前記位置変更調節手段を前記通常計測状態に切り換えることによって、投光部からの光が計測対象箇所に位置する被計測物に照射されるとともに、その被計測物を透過して投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部にて受光する状態となり、演算処理部は受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求めることができる。
【0017】
そして、装置の校正を行うときは、擬似計測体支持部に擬似計測体を支持させておき、前記位置変更調節手段を前記校正用計測状態に切り換えることによって、投光部からの光が擬似計測体支持部に支持された擬似計測体に照射されるとともに、その擬似計測体を透過して投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部にて受光する状態となり、演算処理部はその受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて擬似計測体に対する品質評価の計測を行う。そして、その擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するのである。
このようにして被計測物における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて計測誤差の少ない適正な計測状態になるように装置を校正することができる。
【0018】
又、擬似計測体は取り外し可能に擬似計測体支持部に支持されているので、校正のための擬似計測体に対する品質評価の処理が終了した後は、この擬似計測体を取り外した状態で、上述したような被計測物に対する品質評価処理を行うことができる。
その結果、例えば、選果設備等において複数の品質評価装置を並べて使用するような場合において、校正が終了した品質評価装置から取り外した擬似計測体は、例えば別の品質評価装置の擬似計測体支持部に支持させてその品質評価装置に対する校正に用いることができ、1台の擬似計測体を兼用して複数の品質評価装置の夫々の装置の校正を行うことが可能であり、品質評価装置を複数台並べて使用する設備に適用する場合において、このような設備全体の構成の簡素化並びにコストの低減を図ることが可能となる。
【0019】
従って、被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて装置校正を行うことにより、計測誤差を少なくすることが可能なものでありながら、品質評価装置を複数台並べて使用するような設備に適用する場合において設備全体のコストの低減を図ることが可能となる品質評価装置を提供できるに至った。
【0020】
請求項3記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1又は2において、前記擬似計測体における品質評価対象が純水であることを特徴とする。
【0021】
すなわち、品質評価装置によって品質が評価される品質評価対象として純水を備えているので、擬似計測体を用いて品質評価装置を校正する場合には、品質評価装置が純水に対して光を投射してその純水を透過した光の受光情報から純水の品質を評価するものとして計測結果が得られることになり、その得られた計測結果に基づいて品質評価装置を校正するのである。
【0022】
説明を加えると、例えば果菜類の一例である蜜柑は約90%が水分であり、この蜜柑に代表されるように果菜類は水分を多く含むものである。このように水分を多く含む果菜類については、特定波長における光吸収特性は水と類似した特性を有するものであり、品質評価対象として水を用いることによって、果菜類とほぼ同様な品質評価用の波長での光吸収特性に対応する受光情報を得ることができる。
【0023】
果菜類の品質として例えば酸度又は糖度についての品質を評価する場合であれば、先ず、品質評価装置による計測対象物の品質評価が行われる前に、品質評価装置によって擬似計測体の品質を評価して初期状態での評価結果を計測しておく。このとき、純水は水以外の成分が含まれないので、その評価結果としては酸度又は糖度が零の状態に対応するものとなる。又、この品質評価装置に対する校正処理を行う場合において、品質評価装置によって再度、擬似計測体の品質を評価して、校正用の評価結果を計測して、その評価結果が前記初期状態、すなわち、酸度又は糖度が零の状態に対応する評価結果と異なっていれば、経年変化等による計測誤差が生じていることを検出することが可能となり、又、その計測結果に基づいて品質評価装置を校正することが可能となるのである。
しかも、純水は水道水のような不純物を含む水とは異なり、水以外の成分が含まれないことから不純物に起因した経年変化による品質の変化がなく、品質を初期状態に維持し易いものとなる。
【0024】
請求項4記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記擬似計測体における品質評価対象の温度を設定温度に保持する温度調整手段が備えられていることを特徴とする。
【0025】
すなわち、品質評価装置によって品質が評価される品質評価対象の温度を設定温度に保持する温度調整手段が備えられているので、品質評価対象が常に設定温度に保持されることになる。つまり、品質評価装置によって品質評価装置校正用の被計測体の品質を評価して初期状態での評価結果を基準値として設定するときも品質評価対象が設定温度に保持されており、しかも、品質評価装置を校正するために品質評価装置によって品質評価装置校正用の被計測体の品質を評価して校正用の評価結果を求めるときにも品質評価対象が設定温度に保持されることになるから、外部温度の変動にかかわらず品質評価対象の温度変化に起因した品質の変動による計測誤差が無い状態で品質を評価することができるものとなる。
【0026】
このように初期状態での評価結果と校正用の評価結果の夫々が同じ温度での測定結果に対応しているので、温度変化による計測誤差の少ない状態で適正に装置の校正を行うことが可能であり、品質評価装置によって品質評価装置校正用の被計測体の品質を評価するときに品質評価対象の温度を計測する作業や、温度の変動に対応させて測定結果を補正するといった煩わしい作業は不要である。又、特に、品質評価対象として純水を備えている場合であれば、純水が水以外の不純物を含まないので不純物に起因した経年変化による品質の変化がなく、上述したような温度変化による計測誤差を少ないことに加えて、経年変化による品質の変化も少なくなり更に誤差の少ない適正な状態で装置の校正を行うことが可能である。
【0027】
請求項5記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記計測対象箇所及び前記擬似計測体支持部とは異なる箇所に所定の光学特性を有する光学フィルターが備えられ、前記位置変更調節手段が、前記投光部から前記光学フィルターに光が投射されてその光学フィルターを透過した光を前記受光部にて受光する基準光情報計測状態にも切り換え自在に構成されていることを特徴とする。
【0028】
すなわち、位置変更調節手段を前記基準光情報計測状態に切り換えると、投光部から所定の光学特性を有する光学フィルターに光が投射されてその光学フィルターを透過した光を前記受光部にて受光する状態となる。前記光学フィルターとして例えば基準透過状態のリファレンスフィルターや波長校正用フィルターを用いることにより、その光学フィルターに光を照射して光学フィルターを通して得られた光を受光してその受光情報に基づいて装置の校正処理を行うことができる。
【0029】
従って、上記したような擬似計測体を用いて装置の校正を行う処理に加えて、位置変更調節手段にて位置変更調整するだけで上記したような装置を校正するための情報を得る処理が可能であり、それらの処理を選択的に切り換えて必要な場合に適宜行うことができる。
【0030】
請求項6記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記演算処理部が、被計測物からの光を分光して得られた分光スペクトルデータに基づいて前記特定波長の吸光度データを求め、且つ、前記品質評価条件として予め設定されている検量式と前記吸光度データとに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0031】
すなわち、演算処理部は前記分光スペクトルデータに基づいて特定波長の光の吸収特性として特定波長の吸光度データを求めて、その吸光度データと予め設定されている検量式とに基づいて品質評価値を求めることになる。従って、被計測物に光を投射させる光源として特定波長以外の波長を含む一般的な白色光ランプ等を光源として用いるようにしても、分光スペクトルデータにより特定波長の吸光度データを適正に求めることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る果菜類の品質計測装置の第1実施形態について、例えば蜜柑等の果菜類の選別仕分けを行う選果設備に備えられて、果菜類の品質の一例として糖度や酸度等を評価する構成に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0033】
この選果設備は、蜜柑等の果菜類が被計測物として夫々コンテナCOに収納された状態で搬入され、その搬送経路の途中からコンテナCOから被計測物Mを放出して載置搬送するようにして、各被計測物Mを1個づつ撮像して画像処理によりその大きさや色の情報等から傷等の外観判別を行うとともに、品質の一例である被計測物Mの糖度や酸度を評価し、それらの情報によって各被計測物Mを複数の品質ランクとしての等階級に仕分ける選別処理が行われる。
すなわち、図1に示すように、図示しない受入れ部において、運搬車両等により積載されてコンテナCOに収納された状態で被計測物Mが搬入され、コンテナCOに収納された状態で第1搬送装置B1にて搬送され、重量計測等が行われた後に、コンテナCOの搬送方向と交差する方向に沿って設けられる広幅の第2搬送装置B2の載置搬送面上に、コンテナCOに収納されている被計測物Mを放出させるダンパー装置B3が設けられ、このダンパー装置B3にてコンテナCO内の被計測物Mが積み重なりが無い状態で放出された後、被計測物Mは広幅の第2搬送装置B2にて載置搬送される。このとき、空のコンテナCOは別途回収される。
【0034】
前記第2搬送装置B2にて載置搬送される被計測物Mは、洗浄処理やワックス処理及びそれに伴う乾燥処理等を行う洗浄処理部SJを通過した後、それまで広幅の搬送経路にてバラバラの状態で載置搬送されていた被計測物Mが、チャネライザCHによって搬送方向に沿って一列で縦列状に並ぶ状態で且つ複数列(6列)の搬送コンベア4に分岐した状態で設定間隔をあけて載置搬送される状態に切り換わる。そして、このような6列の搬送ラインの夫々において縦列状態で搬送される被計測物Mに対して、CCDカメラ等の撮像手段にて1個づつ撮像して画像処理によりその大きさや色の情報等から傷等の外形情報を評価する画像評価部HK1、及び、後述するように分光分析により被計測物Mの糖度や酸度等の品質を1個づつ評価する6台の品質評価装置Uを備えた品質評価部HK2が備えられ、それらの搬送下手側には、前記各評価部HK1,HK2の結果に基づいて、各被計測物Mを複数の等階級のうちのいずれに対応するかを判定して、該当する等階級毎に別途設けられる搬送ラインに振り分け供給する振り分け装置FW等が設けられている。又、このように等階級判定の結果に基づいて仕分けられた被計測物Mは各等階級別に箱詰めされることになる。
【0035】
次に、前記各品質評価装置Uの構成について説明する。
前記各品質評価装置Uは、夫々同じ構成であり、被計測物に光を照射して被計測物から得られる特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求めるように構成されている。
つまり、品質評価装置Uは、図2、図3に示すように、被計測物Mに光を照射する投光部1と、被計測物Mを透過した光を受光し、その受光した光を計測する受光部2と、各部の動作を制御する制御手段としての制御部3等を備えて構成され、被計測物Mは、搬送手段としての搬送コンベア4により一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、計測対象個所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測対象個所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測対象個所の左右両側部に、すなわち、搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっている。
【0036】
次に、前記投光部1の構成について説明する。
この投光部1は、2個の光源を備えるとともに、その2個の光源からの光を互いに異なる照射用の光軸にて計測対象箇所に位置する被計測物に照射するように構成されている。又、各光源による2本の照射用の光軸が計測対象箇所に位置する被計測物の表面部又はその近傍にて交差するように構成されている。
すなわち、図7に示すように、搬送コンベア4による搬送方向に沿って離間させた2個のハロゲンランプからなる光源5が設けられ、これら2個の光源5の夫々に対応させて次のような光学系が備えられている。つまり、光源5が発光する光を反射させて被計測物Mの表面に焦点を合わせるための集光手段としての凹面形状の光反射板6が備えられ、この光反射板6にて集光される光の焦点位置近くに対応するように位置させて、大きめの絞り孔7aを通過させることで集光された後の光の径方向外方側への広がりを抑制する絞り板7、絞り板7を通過した光を通過させる状態、小さめの絞り孔8aを通して通過させる状態、及び、光を遮断する状態の夫々に切り換え自在な光量調節板8、集光された光源5からの光を並行光に変更させるコリメータレンズ9、並行光に変化した光を反射して屈曲させる反射板10、この反射板10にて反射された光を集光させる集光レンズ11の夫々が1個の光源5に対する光学系として備えられている。前記各光量調節板8は、電動モータ12によって一体的に揺動操作され、前記各状態に切り換え自在に構成されている。
【0037】
そして、この投光部1は上記したような各部材がケーシング13に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。又、計測対象箇所に位置する被計測物に対して斜め下方に向かう状態で光を照射するように、投光部1が斜め姿勢で備えられており、外形寸法が小さい被計測物であっても受光部2に直接光が入らないようにしている。
【0038】
次に、受光部2の構成について説明する。
この受光部2は、図6に示すように、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ14、並行光に変化した光のうち後述するような計測対象の特定波長領域(600nm〜1000nm)の範囲の光だけを上向きに反射し、それ以外の波長の光をそのまま通過させるバンドパスミラー15、バンドパスミラー15により上向きに反射された計測対象光を集光させる集光レンズ16、集光レンズ16を通過した光をそのまま通過させる開放状態と、前記計測対象光の通過を阻止する遮蔽状態とに切り換え自在なシャッター機構17、開放状態のシャッター機構17を通過した光が入射されると、その光を分光して分光スペクトルデータを計測する分光器18、バンドパスミラー15をそのまま直進状態で通過した光の光量を検出する光量検出センサ19等を備えて構成されている。尚、図中、Eは波長校正用のフィルターの切り換えを行うフィルター切り換え機構である。
【0039】
前記分光器18は、図8に示すように、受光位置である入光口20から入射した計測対象光を反射する反射鏡21と、反射された計測対象光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子22と、凹面回折格子22によって分光された計測対象光における各波長毎の光量を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光センサ23とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱24内に配置される構成となっている。前記受光センサ23は、凹面回折格子22にて分光反射された光を同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する、1024ビットの電荷蓄積型のCCDラインセンサにて構成されている。このラインセンサは、詳述はしないが、各単位画素毎に光量を電気信号(電荷)に変換する光電変換部と、その光電変換部にて得られた電荷を蓄積する電荷蓄積部、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等を備えている。尚、電荷蓄積時間は、外部から駆動回路を介して変更させることができるようになっている。
【0040】
又、前記シャッター機構17は、図8、図9に示すように、放射状に複数のスリット25が形成された円板17Aを、パルスモータ17Bによって縦軸芯周りで回転操作される状態で備えて構成され、前記暗箱24の入光口20には前記各スリット25が上下に重なると光を通過させる開放状態となり、スリット25の位置がずれると光を遮断する遮断状態となるように、スリット25とほぼ同じ形状の透過孔27が形成されており、光の漏洩がないように暗箱の入光口20に対して円板17Aを密接状態で摺動する状態で配備して構成されている。すなわち、このシャッター機構17は凹面回折格子22に対する入光口20に近接する状態で設けられている。この受光部2も投光部1と同様にして、上記したような各部材がケーシング28に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。
【0041】
そして、投光部1及び受光部2の夫々が、投光用箇所及び受光用箇所の夫々に対して各別に着脱自在に取り付け可能なユニット状に構成されており、投光部1と受光部2とが着脱自在に取付けられる装置枠体Fが、計測対象箇所における搬送コンベア4の左右両側に相当する箇所を投光用箇所及び受光用箇所とするように、投光部1と受光部2に対する一対の取付部を備える状態で設けられている。更には、前記装置枠体Fには、投光部1及び受光部2を一体的に上下方向に位置調節自在な位置変更調節手段としての上下位置調節機構29、及び、投光部1及び受光部2の夫々を各別に装置枠体Fに対して計測対象箇所に位置する被計測物に接近並びに離間する方向、すなわち、水平方向であって搬送コンベア4の搬送方向と直交する方向に沿って位置調節自在な水平位置調節手段としての水平位置調節機構30が備えられている。
【0042】
次に、前記上下位置調節機構29について説明する。図2〜図4に示すように、内部品質評価装置H1の外周部を囲うように矩形枠状に組み付けられた装置枠体Fが備えられ、その装置枠体Fの上部側箇所から位置固定状態で4本の固定支持棒31が垂下される状態で設けられ、これら4本の固定支持棒31の下端部には後述する擬似計測体Aを取り外し可能に支持するための擬似計測体支持部32が取り付けられている。尚、図5、図6には、この擬似計測体支持部32に擬似計測体Aが支持されている状態を示している。そして、この4本の固定支持棒31に対して4箇所の摺動支持部33により上下方向にスライド移動自在に昇降台34が支持されている。又、装置枠体Fの上部側箇所から垂下状態に支持された送りネジ35が電動モータ36にて回動自在に設けられ、昇降台34に備えられた雌ネジ部材37がこの送りネジ35に螺合しており、送りネジ35を電動モータ36にて回動操作することで昇降台34が任意の位置に上下移動調節可能な構成となっている。尚、送りネジ35は手動操作ハンドル38でも回動自在に構成されている。
又、前記昇降台34には、品質評価装置校正用の被計測体Aが支持台32に載置支持された状態でも昇降操作可能なように品質評価装置校正用の被計測体Aが上下方向に通過することを許容する挿通孔34aが形成されている。
【0043】
次に、水平位置調節機構30について説明する。
前記昇降台34には、図4に示すように、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本のガイド棒39が設けられており、ユニット状に組み付けられた投光部1並びに受光部2の夫々が着脱自在に取付けられる前記一対の取付部としての支持部材40、41が各ガイド棒39にスライド移動自在に支持される構成となっている。前記各ガイド棒39は長手方向両端側で連結具39aにて連結されている。又、前記昇降台34には、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本の送りネジ42、43が夫々電動モータ44、45によって回動操作可能に設けられ、各支持部材40、41に備えられた雌ネジ部46、47が各送りネジ42、43に螺合しており、電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで、前記各支持部材40、41が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節可能な構成となっている。従って、各支持部材40、41に夫々各別に取付けられる投光部1及び受光部2は電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで前記水平方向、すなわち、計測対象箇所に対して接近並びに離間する方向での相対位置を変更調節することが可能となる。
【0044】
従って、電動モータ36にて送りネジ35を回動操作させると昇降台34が上下移動調節されるが、それに伴って昇降台34に支持されている投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することができ、前記各電動モータ44、45を回動操作させることで投光部1及び受光部2が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節することができる。
【0045】
前記各支持部材40、41に対する投光部1及び受光部2の取付けの構成について説明を加えると、前記各支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aには、水平方向に適宜間隔をあけて横向きに突出する複数の位置決め用突起40b,41bが形成され、ユニット状に設けられた投光部1及び受光部2に夫々、それらの位置決め用突起40b,41bに対応する位置決め孔が設けられ、各支持部材40、41に対して投光部1及び受光部2を取付けるときは、位置決め用突起40b,41bを位置決め孔に嵌め合わせて位置決めした状態でその近くの適宜箇所をボルト止めすることで投光部1及び受光部2を取付ける構成となっている。従って、この装置においては、投光部1及び受光部2が夫々取付けられた状態においては、投光部1が位置する投光用箇所、計測対象箇所、及び、受光部2が位置する受光用箇所の夫々が一直線状に位置する形態で投光部1及び受光部2が配置される状態となる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1及び受光部2の上下方向の長さに対応するように左右で少し長さが異なるものを用いるようにしている。又、投光部1の取付け部には、投射方向が少し斜め下方となるように傾斜用の姿勢規制具40cを設けている。
【0046】
搬送コンベア4における被計測物Mの通過予定箇所の上方側に位置させて、前記擬似計測体支持部32から下方側に延設した支持アーム48により支持される状態でリファレンスフィルター49が設けられている。このリファレンスフィルター49は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的には、一対のオパールガラスを備えて構成されている。
【0047】
上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図2に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測状態と、図5の仮想線にて示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター49を透過した後に受光部2にて受光される基準光情報計測状態としてのリファレンス計測状態、及び、図5の実線にて示すような校正用計測状態の夫々に切り換えることができるように構成されている。
尚、詳述はしないが、この装置の外周部は、被計測物の搬送に伴う通過箇所を除いて装置枠体Fに備えられた壁体によって囲われて外部から光が入り込まないようになっている。
【0048】
前記制御部3は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、図12に示すように、通過検出センサ50、光量検出センサ19、受光センサ23の検出情報に基づいて被計測物の内部品質を解析する解析手段100や、各部の動作を制御する制御手段としての動作制御手段101が夫々制御プログラム形式で備えられる構成となっている。つまり、後述するような公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するとともに、シャッター機構17、光量調整用モータ12、上下位置調節用モータ36、水平位置調節用モータ44、45の動作の管理等の各部の動作を制御する構成となっている。従って、制御部3を利用して演算処理部が構成されることになる。
【0049】
次に、動作制御手段101による制御動作について説明する。
動作制御手段101は、被計測物Mに対する通常の計測に先立って、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして求める基準データ計測モードと、搬送コンベア4により搬送される被計測物Mに対して、投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する通常データ計測モードとに切り換え自在に構成されている。
【0050】
詳述すると、前記基準データ計測モードにおいては、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を停止させている状態で、上下位置調節機構29によって前記リファレンス計測状態に切り換える。そして、前記シャッター機構17を開放状態に切り換えて、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして計測する。
【0051】
そして、前記基準データ計測モードにおいては、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ18の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて、そのときの受光センサ18の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0052】
次に、通常データ計測モードにおける制御動作について説明する。
この通常データ計測モードにおいては、上下位置調節機構29、具体的には上下位置調整用電動モータ36を操作して昇降台34を通常計測状態に切り換えて、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、通過検出センサ50による検出情報に基づいて、被計測物が前記計測対象箇所を通過する周期を検出し、その周期に同期させる状態で、分光した光を受光して電荷蓄積動作を設定時間実行する電荷蓄積処理と、蓄積した電荷を送り出す送出処理とを設定周期で繰り返すように、受光センサ23の動作を制御する。
つまり、図11に示すように、各被計測物Mが計測対象箇所を通過すると予測される時間帯において、受光センサ23が設定時間だけ電荷蓄積処理を実行し、被計測物Mが計測対象箇所に存在しないと予測される各被計測物M同士の中間位置付近が計測対象箇所に位置するようなタイミングで蓄積した電荷を送り出す送出処理を実行するように、受光センサ23の動作を制御する。従って、この装置では、受光センサ23による電荷蓄積時間は常に一定で動作する構成となっている。尚、1秒間に7個づつ被計測物が通過するような処理能力とした場合には、電荷蓄積処理を実行する設定時間は、約140msec程度になる。
【0053】
そして、動作制御手段101は、受光センサ23が前記電荷蓄積処理を行う状態において、受光センサ23が電荷蓄積処理を行う状態において、遮蔽状態から開放状態に切り換えてその開放状態を開放維持時間Txが経過する間維持した後に遮蔽状態に戻すように、シャッター機構17の動作を制御するよう構成され、変更指令情報に基づいて、前記開放維持時間Txを変更調整するように構成されている。
この開放維持時間Txは、被計測物の品種の違いに応じて変更させる構成となっている。説明を加えると、例えば、温州蜜柑であれば光が比較的透過しやすいので比較的短い時間(10msec程度)に設定し、伊予柑であれば光が透過し難いので長めの時間(30msec程度)に設定する。
このような品種の違いによる動作条件の設定は、作業員が人為的に行う構成となっている。つまり、図12に示すように、品種の違いに応じて設定位置を人為的に切り換える切換操作具Cが設けられ、この切換操作具Cの設定情報が制御部3に入力され、制御部3はその設定情報に従って開放維持時間Txを変更調整する構成となっている。
【0054】
又、動作制御手段101は、光量検出センサ19にて検出される受光量、すなわち、被計測物の光透過量の実測値の変化に基づいて、被計測物が計測対象箇所に到達したか否かを検出するようになっており、被計測物が到達したことを検出するとシャッター機構17を開放状態に切り換え、前記開放維持時間Txだけ開放状態を維持した後に、シャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて計測処理を終了する構成となっている。
具体的に説明すると、図13に光量検出センサ19の検出値の時間経過に伴う変化状態を示している。被計測物が到達するまでは投光部1から投射される光によってほぼ最大値が出力されているが、被計測物Mが計測箇所に至ると光が遮られて光量検出センサ19の検出値(受光量)が減少し始めて検出値が予め設定した設定値以下にまで減少したとき(t1)に、被計測物が計測箇所に到達したものと判断して、その時点から設定時間が経過したとき(t2)に、シャッター機構17を開放状態に切り換える。そして、前記開放維持時間Txだけ開放状態を維持した後に、シャッター機構17を遮蔽状態に切り換えるのである。尚、このような計測処理を実行しているときに、搬送コンベア4が異常停止したような場合には、投光部1における光量調節板8を遮断状態に切り換えて移動停止している被計測物に長い間、光源からの強い光が照射されることを防止させるようにしている。
【0055】
そして、前記解析手段100は、このようにして得られた各種データに基づいて分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。つまり、上記したようにして得られた計測分光スペクトルデータを、前記基準データ計測モードにて求められた基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、その二次微分値及び予め設定されている検量式により、被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する成分量を算出する解析演算処理を実行するように構成されている。
吸光度スペクトルデータdは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0056】
【数1】
d=log[(Rd−Da)/(Sd−Da)]
【0057】
という演算式にて求められる。
そして、制御部3は、このようにして得られた吸光度スペクトルデータdを二次微分した値のうち特定波長の値と、下記の数2に示されるような検量式とを用いて、被計測物Mに含まれる糖度や酸度に対応する成分量を算出するための品質評価値としての検量値を求めるのである。
【0058】
【数2】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0059】
但し、
Y ;成分量に対応する検量値
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長λにおける吸光度スペクトルの二次微分値
【0060】
尚、成分量を算出する成分毎に、特定の検量式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、演算手段100は、この成分毎に特定の検量式を用いて各成分の検量値(成分量)を算出する構成となっている。
【0061】
上記したような検量式は、被計測物に対する計測処理に先立って、予め、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されることになる。
説明を加えると、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて品質評価装置Uを用いて各波長毎の分光スペクトルデータを得る。更に、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。そして、上記したようにして得られた各サンプル毎の分光スペクトルデータを用いて、前記実成分量の検出結果と対比させながら、重回帰分析の手法を用いて、スペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す前記検量式を求めるのである。
【0062】
次に、上記したような構成の品質評価装置Uの校正を行うときに、図5及び図6に示すように擬似計測体支持部32に載置支持されて品質評価装置Uにより品質が評価される擬似計測体Aについて簡単に説明する。
この擬似計測体Aは、被計測物の特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有するものであり、品質計測装置Uによって品質が評価される品質評価対象としての純水Jを温度調整手段としてのペルチェ素子55によって設定温度に保持する状態で備えており、又、品質評価対象としての純水Jが収納される収納部51とペルチェ素子55とが一体的にユニット状に組み付けられて構成されている。又、ペルチェ素子55は、品質評価対象が収納された収納部51の外周部に空気層Kを形成する状態でその収納部51を覆う外側ケーシング52が備えられ、空気層Kに対して温調作用するように構成されている。
【0063】
つまり、図14に示すように、非透光性の部材で構成された略四角柱状の外側ケーシング52によって外周部が覆われ、この外側ケーシング52内部の下方側箇所に品質評価対象としての純水Jを封入状態で収納する収納部51が設けられ、この収納部51と外側ケーシング52との間に空気層Kが形成されている。そして、外側ケーシング52の上方側箇所は、収納部51が設けられる収納空間に対して仕切壁53によって気密状態に仕切られた空調用空間54が形成されている。
【0064】
そして、前記仕切壁53には空気層Kと空調用空間との間で熱移動作用を発揮する状態でペルチェ素子55が介装されている。このペルチェ素子55の空気層K側表面にはペルチェ素子55の表面から離間する方向へ送風するファン56が備えられ、空調用空間54には、ペルチェ素子55を作用させるための制御回路57、ファン56を駆動するための駆動回路58及び電源装置59等が備えられている。前記制御回路57は、図示しない温度センサにて検出される空気層Kの温度が被計測物の温度又はそれに近い温度である設定温度(30℃)に維持されるようにペルチェ素子55を作用させるように制御する構成となっている。このようにして温度維持手段が構成されている。その結果、空気層Kの温度が設定温度に維持されることから収納部51に収納されている純水Jは常に設定温度に保持されることになる。尚、ファン56による送風が直接、収納部51に当たらないように受け止めて空気層内の温度を極力均一にさせる均平板60が設けられている。図15に示すように、ファン56により送り出される温度調整された空気が均平板60にて受け止められて、収納部51に直接当たることなく収納部51の周囲に沿って緩やかに流動案内されるように循環して空気層Kの全体がほぼ均等に設定温度になるように温度管理されている。
【0065】
外側ケーシング52における収納部51の左右両側箇所に対応する位置に夫々、光通過部61と光通過部62とが形成されている。つまり、非透光性の部材で構成された外側ケーシング52の入光側光通過部61及び出光側光通過部62に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。
【0066】
そして、このような擬似計測体Aを支持する擬似計測体支持部32は、擬似計測体Aを単に載置支持する構成となっており、取付けや取り外しが人為的に容易に行える構成となっている。
【0067】
このように構成された擬似計測体Aを用いて品質評価装置Uの校正を行う校正方法について以下に説明する。尚、このような校正処理は複数(6台)の品質評価装置Uの夫々について各別に行うことになる。
擬似計測体Aを用いて1つの品質評価装置Uの校正を行う場合には、先ず、上述したように被計測物に対する計測処理に先立って行われる検量式の作成の時において、擬似計測体Aを校正の対象となる品質評価装置Uにおける擬似計測体支持部32に載置させて、上下位置調節機構29を校正用計測状態に切り換え、擬似計測体Aにおける品質評価対象を透過した光の受光情報にて分光スペクトルデータを求め、その分光スペクトルデータと前記検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する基準検量値を計測しておく。
【0068】
図16に、本出願人による計測データを示している。このうちラインL1は、純水を透過した光の分光スペクトルデータの二次微分スペクトルデータを示しており、ラインL2は果菜類の一例としての林檎を透過した光の分光スペクトルデータの二次微分スペクトルデータを示している。この図から純水は果菜類と同じような光吸収特性であることが明らかである。
【0069】
その後、上下位置調節機構29を通常計測状態に切り換えて被計測物に対する計測処理が行われた後に、品質評価装置Uを校正する時には、擬似計測体Aにおける品質評価対象を透過した光の受光情報(分光スペクトルデータ)と前記検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する校正用検量値を計測する。そして、その後、被計測物の品質を評価する時に、被計測物を透過した光の受光情報と前記検量式とに基づいて求められる被計測物の品質評価値としての検量値を、校正用検量値と基準検量値との差に基づいて補正するのである。
【0070】
具体的には、このような校正処理は制御部3によって行われることになる。説明を加えると、制御部3は次のような処理を実行することになる。すなわち、動作制御手段101は、上記したような基準データ計測モード及び通常データ計測モード以外に、校正用データ計測モードにも切り換え自在に構成されている。
そして、上述したような検量式の作成が行われた時に、動作制御手段101が校正用データ計測モードに切り換えられると、上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図4に示すように、投光部1からの光が擬似計測体Aにおける品質評価対象(純水)を透過した後に受光部2にて受光される校正用計測状態に切り換える。そして、投光部1からの光を光通過部61を通して品質評価対象としての純水に導き、品質評価対象を透過した光を光通過部62を通して外部の受光部2に導いて、受光部2で受光した光の受光情報(分光スペクトルデータ)と検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する基準検量値αを計測して記憶する。
【0071】
その後、通常データ計測モードに切り換えられて、上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節して図2に示すように通常計測状態に切り換えて、被計測物に対する計測処理が行われる。そして、装置校正時において校正用データ計測モードに切り換えられると、上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって校正用計測状態に切り換えられ、擬似計測体Aにおける品質評価対象としての純水を透過した光の受光情報(分光スペクトルデータ)と検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する校正用検量値βを計測して記憶する。
【0072】
このような校正用の計測が終了した後に、被計測物(果菜類)の品質を評価する時には、上下位置調節機構29によって前記通常計測状態に切り換えて、上述したように被計測物を透過した光の受光情報と検量式とに基づいて求められる被計測物の品質に対応する検量値Yを計測するのであるが、そのときに求められた検量値Yを下記数3によって補正することで補正後の検量値Ysを求めるのである。この補正後の検量値Ysが最終的な被計測物の品質に対応するものである。但し、数3中のK3は予め定めた係数である。
尚、品質評価装置Uの設置初期において、校正用検量値βが計測されていないときには、校正用検量値βとしては基準検量値αと同じ値が代入されることになり、前記計測された検量値Yがそのまま最終的な被計測物の品質に対応するものとなる。
【0073】
【数3】
Ys=Y+K3・(α―β)
【0074】
このようにして装置の経年変化等に起因して計測された検量値が適正値つまり、実際の果菜類の品質(酸度や糖度)からズレた場合であっても、擬似計測体Aの計測結果に基づく校正用検量値と基準検量値との差に基づいて、上記したようなズレを修正して適正な検量値に補正することができるのである。このようにして、品質評価装置Uが、擬似計測体Aの品質を評価した評価結果に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値(検量値)を補正するように構成されている。
【0075】
前記擬似計測体Aは、品質評価装置Uの擬似計測体支持部32から容易に取り外すことができるので、上述したような基準検量値及び校正用検量値を計測する時以外は、擬似計測体支持部32から取り外して、他の品質評価装置Uに対して載置支持させて基準検量値及び校正用検量値を計測することができる。つまり、前記擬似計測体Aは複数の品質評価装置Uに対して兼用することにより、1台の擬似計測体Aで複数の品質評価装置Uを校正することができる。
【0076】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について説明する。
図17に第2実施形態の品質評価装置Uを示している。この品質評価装置Uは、投光部1と受光部2との配置構成、受光部2に対する光の通過経路構成、搬送コンベア4aの構成が異なる他は、第1実施形態の品質評価装置Uの構成と同じであるから異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。又、投光部1及び受光部2は、夫々、ユニット状に組み立てられる構成であり、第1実施形態とほぼ同じ構成のものを使用する構成となっている。
すなわち、前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体Aを取り外し可能に支持する擬似計測体支持部32が設けられる点も第1実施形態と同じである。
【0077】
第1実施形態の投光部1と同じ構成のユニット状の投光部1が2台備えられ、それら2台の投光部1が計測対象個所の左右両側部、すなわち、搬送コンベア4aの搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置され、各投光部1は光の照射方向がほぼ水平方向となるように構成されている。すなわち、前記各支持部材40、41と同様な支持部材40、41にユニット状の2台の投光部1が夫々取付けられる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1の上下長さに対応するように左右で同じものを用いるが、各投光部1の光の照射方向がほぼ水平方向となるように、第1実施形態における傾斜用の姿勢規制具40cは使用しない構成となっている。
【0078】
そして、第1実施形態と同じように上下位置調節機構29(位置変更調節手段の一例)が備えられ、図17に示すように、左右一対の投光部1、1からの光が計測対象箇所に位置する被計測物に照射されるとともに、その被計測物を透過して投光部1、1による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部2にて受光する通常計測状態と、図18、図19に示すように、各投光部1、1からの光が擬似計測体支持部32に支持された擬似計測体Aに照射されるとともに、その擬似計測体Aを透過して投光部1,1による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部2にて受光する校正用計測状態とに切り換え可能に構成されている。
【0079】
搬送コンベア4aは、被計測物を中央部に挿通孔70が形成された受皿71に載置した状態で搬送される構成となっており、計測対象箇所の下方側には、前記投光部1から照射されて被計測物を透過して受皿71の挿通孔70を通して下方側に透過する光を受光する光ファイバー72の受光側端部が配置されている。その光ファイバー72の他端側に受光部2が接続されて光が受光されることになる。この受光部2による受光情報に基づく制御部3での検量値を求める処理については第1実施形態の場合と同様である。
【0080】
図19に示すように、この実施形態に使用される擬似計測体Aは、投光部1から投射される計測用光を拡散させて品質評価対象(純水J)に導く光通過部73と、この光通過部73を通して導かれて品質評価対象を通過した光を計測用光が投射される方向と直交する方向に沿って外部に導く光通過部74とを備えて構成されている。つまり、左右両側の投光部1の夫々に対応させて光通過部73が左右両側に形成され、光通過部74が下方側に形成される構成となっており、外側ケーシング52における光通過部73及び光通過部74に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。この実施形態では、光通過部73が入光用光通過部として機能し、光通過部74が出光用光通過部として機能することになる。
【0081】
この擬似計測体Aを用いて品質評価装置の校正を行う場合は、擬似計測体Aを擬似計測体支持部32上に載置して第1実施形態のときと同様な校正方法により校正を行うことになるが、図17、図18に示すように、上下位置調節機構29によって上記したような校正用計測状態に切り換えて、基準検量値αや校正用検量値βを計測するとき、左右両側の投光部1から投射された計測用光が左右両側の各光通過部73を通して品質評価対象(純水J)に導かれて、それを透過した光が、下方側に形成された光通過部74、及び、受皿71の挿通孔70を通して光ファイバー72の受光側端部に受光され、光ファイバー72を通して受光部2にて受光されて受光情報が計測されることになる。尚、そのとき、下方側の光通過部74を通過した光がリファレンスフィルター49を上下方向に通過することになるが、リファレンスフィルター49は上下両側部が透明ガラスとなっており、そのまま光が通過する構成となっている。そして、演算処理部としての制御部3が、擬似計測体Aについての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正する構成となっているが、その校正方法については第1実施形態の場合と同様である。
【0082】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0083】
(1)上記各実施形態では、前記擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部として、擬似計測体を載置支持する構成を例示したが、このような構成に代えて、例えば吊り下げ支持させる構成や横方向に嵌め合わせて位置決めして支持させる構成等でもよく、要するに人為的に容易に取り外しが可能なように支持する構成であればよい。
【0084】
(2)上記各実施形態では、被計測物からの光を分光して得られた分光スペクトルデータに基づいて前記特定波長の吸光度データを求めるようにしたが、このような構成に限らず、前記特定波長の光だけを被計測物に照射して被計測物からの光を分光することなく受光量により吸光度データを求めるようにしてもよい。
又、上記実施形態では分光スペクトルデータに基づいて吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める構成としたが、このような構成に限らず、被計測物についての分光スペクトルデータと基準分光スペクトルデータとをそのまま対比して品質を評価するものでもよい。
【0085】
(3)上記各実施形態では、前記演算処理部としての制御部が擬似計測体の計測結果に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正するように構成したが、このように品質評価値を補正する構成に代えて品質評価条件としての前記検量式を補正する構成としてもよい。
【0086】
(4)上記各実施形態では、前記基準光情報計測状態において使用される光学フィルターとして、リファレンスフィルターを用いて基準分光スペクトルデータを計測して、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正する構成としたが、このような構成に代えて次のような構成としてもよい。
前記光学フィルターとして、例えば前記特定波長領域(600nm〜1000nm)の範囲内での特定の2つの波長に透過率のピークを有する波長校正用フィルターを備え、この波長校正用フィルターを透過した光を受光部にて受光して、受光センサにおける1024個の各受光素子と光の波長との対応関係を校正する波長校正処理を行うようにしてもよい。
【0087】
(5)上記各実施形態では、位置変更調節手段としての前記上下位置調節機構が、投光部から光学フィルター(リファレンスフィルター)に光が投射されてそのフィルターを透過した光を受光部にて受光する基準光情報計測状態(リファレンス計測状態)にも切り換え自在に構成されるものとしたが、このような基準光情報計測状態が備えられていない構成としてもよく、上記したような光学フィルターは上下位置調節によって行うのではなく光通過経路中に人為的に装着させる構成としてもよい。
【0088】
(6)上記各実施形態では、擬似計測体における品質評価対象として純水を備える構成としたが、このような純水の代わりに、被計測物(果菜類)が有している品質、例えば酸や糖についての品質と同様な品質の水溶液を品質評価対象として備える構成としてもよい。
【0089】
(7)上記各実施形態では、品質評価対象としての純水を設定温度に保持する温度調整手段としてペルチェ素子を用いたが、これに代えて、例えばヒートポンプ式の空調装置等を用いてもよい。
【0090】
(8)上記各実施形態では、品質評価対象としての純水を設定温度に保持する温度調整手段を備える構成としたが、このような温度調整手段を備えない構成としてもよい。そして、そのように温度調整手段を備えない構成とした場合には、温度変化に起因した計測誤差を少なくするために、前記純水の温度を計測する温度計測手段を備えて、前記純水の温度の情報を校正用の計測情報として加味するようにしてもよい。
【0091】
(9)上記各実施形態では、被計測物の品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】選果設備の概略構成図
【図2】品質評価装置の正面図
【図3】品質評価装置の側面図
【図4】品質評価装置の横断平面図
【図5】品質評価装置の正面図
【図6】品質評価装置の一部切欠正面図
【図7】投光部の切欠平面図
【図8】分光器の構成図
【図9】シャッター機構を示す図
【図10】設置状態を示す平面図
【図11】計測作動のタイミングチャート
【図12】制御ブロック図
【図13】受光量の変化と計測タイミングを示す図
【図14】擬似計測体の縦断正面図
【図15】擬似計測体の一部切欠側面図
【図16】分光スペクトルデータを示す図
【図17】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【図18】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【図19】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【符号の説明】
1 投光部
2 受光部
3 演算処理部
29 位置変更調整手段
32 擬似計測体支持部
55 温度調整手段
A 擬似計測体
M 被計測物
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の果菜類の品質評価装置は、被計測物から得られる特定波長の光の吸収特性に基づいて、被計測物としての果菜類の品質を非破壊状態で品質を評価するようにしたものであり、例えば特定波長の光の吸収特性と品質を評価するために予め設定されている演算式である検量式を用いて被計測物の品質を評価するようになっている。
【0003】
ところで、このような品質評価装置においては、被計測物に対する計測作業が行われるに伴って、装置の経年変化等が要因となって被計測物の品質評価値が本来求められるべき値からずれて計測誤差が生じてしまうことがある。例えば、被計測物に照射される光の光量が変化したり、受光する特定波長の光に対する受光特性が変化してその特定波長の光に対する吸収特性を精度よく求めることができなくなることがある。
【0004】
そこで、このような計測誤差を少なくするために、従来では、被計測物の代わりに予め光吸収特性が判っている校正用の光学フィルターを用いて、その光学フィルターに光を照射して光学フィルターを通して得られた光を受光するようにして、その受光情報に基づいて被計測物の品質評価値を補正するようにしたものがあったが、このような校正用の光学フィルターを用いた校正処理だけでは充分ではないので、計測誤差をより小さくして適正な計測を行うために、上述したような光学フィルターによる校正に加えて、被計測物としての果菜類における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて装置の校正を行うようにしたものがあった。
【0005】
説明を加えると、被計測物としての果菜類が有している品質、例えば酸度や糖度についての品質と同様な品質である酸の水溶液や糖の水溶液等を透明容器に収容する状態で備えた擬似計測体を、品質評価部における被計測物が位置することになる計測用光の通過箇所に被計測物の代わりに位置させて、この擬似計測体についての品質計測を行い、その計測結果に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正するのであるが、この擬似計測体は、計測用光の通過箇所に位置する校正位置と、計測用光の通過箇所から退避する通常位置とにわたり位置変更可能なように支持される状態で取付けられる構成としたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
そして、このような擬似計測体を用いて品質評価装置を校正する場合には、予め校正の対象となる品質評価装置によって擬似計測体について品質を評価してその評価結果を基準値として記憶しておき、品質評価装置の校正を行う場合に、再度、品質評価装置によって擬似計測体の品質を評価してその評価結果と前記基準値との差に基づいて補正情報を求めて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値をその補正情報により補正することになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−199743号公報(第13―17頁、図4、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように被計測物における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて品質評価値を補正するようにすると、光学フィルターを用いる校正処理だけで校正する場合に比べて計測誤差を少なくさせることが可能であるが、上記したような擬似計測体は、光学フィルターに比べて構成が複雑であって作製の手間もかかるので、それだけコストが高いものとなる。
【0008】
ところで、果菜類の品質評価装置は、一般に選果設備等において多量に搬入される被計測物としての果菜類の品質評価を能率よく行うために、品質評価装置を複数台並べて並列処理するような構成とする場合があるが、このような構成において、複数の品質評価装置の夫々に上記したような擬似計測体を備えさせる構成とした場合であれば、複数の品質評価装置の夫々にコストの高い擬似計測体が必要となり、設備全体として大幅なコスト高を招くといった不利がある。
【0009】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、計測誤差を少なくすることが可能なものでありながら、品質評価装置を複数台並べて使用するような設備に適用する場合において設備全体のコストの低減を図ることが可能となる品質評価装置を提供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の果菜類の品質評価装置は、計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されているものであって、
前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部が設けられ、
前記投光部と前記受光部とが前記計測対象箇所の両側外方に対向する状態で位置する通常計測状態と、前記投光部と前記受光部とが前記擬似計測体支持部の両側外方に対向する状態で位置する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、前記投光部及び前記受光部を一体的に位置変更調節自在な位置変更調節手段が設けられ、
前記演算処理部が、前記擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、被計測物としての果菜類に対する品質評価を行うときは、前記位置変更調節手段を前記通常計測状態に切り換えることによって、投光部と受光部とが計測対象箇所の両側外方に対向する状態で位置するので、投光部から投射された光が計測対象箇所に位置する被計測物に投射され、投光部と対向する位置にある受光部では被計測物を透過して得られた光を受光して、演算処理部はその受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求めることができる。
【0012】
そして、装置の校正を行うときは、擬似計測体支持部に前記擬似計測体を支持させておき、前記位置変更調節手段を前記校正用計測状態に切り換えることによって、投光部と受光部とが擬似計測体支持部の両側外方に対向する状態で位置するので、投光部から投射された光が擬似計測体支持部に支持されている擬似計測体に投射され、投光部と対向する位置にある受光部では擬似計測体を透過して得られた光を受光して、演算処理部はその受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて擬似計測体に対する品質評価の計測を行い、その計測結果に基づいて装置を校正することができる。
このように被計測物における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて計測誤差の少ない適正な計測状態になるように装置を校正することができる。
【0013】
又、擬似計測体は取り外し可能に擬似計測体支持部に支持されているので、校正のための擬似計測体に対する品質評価の処理が終了した後は、この擬似計測体を取り外した状態で、上述したような被計測物に対する品質評価処理を行うことができる。
その結果、例えば、選果設備等において複数の品質評価装置を並べて使用するような場合において、校正が終了した品質評価装置から取り外した擬似計測体は、例えば別の品質評価装置の擬似計測体支持部に支持させてその品質評価装置に対する校正に用いることができ、1台の擬似計測体を兼用して複数の品質評価装置の夫々の装置の校正を行うことが可能であり、品質評価装置を複数台並べて使用する設備に適用する場合において、このような設備全体の構成の簡素化並びにコストの低減を図ることが可能となる。
【0014】
従って、被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて装置校正を行うことにより、計測誤差を少なくすることが可能なものでありながら、品質評価装置を複数台並べて使用するような設備に適用する場合において設備全体のコストの低減を図ることが可能となる品質評価装置を提供できるに至った。
【0015】
請求項2に記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1において、計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されているものであって、
前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部が設けられ、
前記投光部からの光が前記計測対象箇所に位置する被計測物に照射されるとともに、その被計測物を透過して前記投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を前記受光部にて受光する通常計測状態と、前記投光部からの光が前記擬似計測体支持部に支持された擬似計測体に照射されるとともに、その擬似計測体を透過して前記投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を前記受光部にて受光する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、前記投光部の位置を変更調節自在な位置変更調節手段が設けられ、
前記演算処理部が、前記擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
すなわち、被計測物としての果菜類に対する品質評価を行うときは、前記位置変更調節手段を前記通常計測状態に切り換えることによって、投光部からの光が計測対象箇所に位置する被計測物に照射されるとともに、その被計測物を透過して投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部にて受光する状態となり、演算処理部は受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求めることができる。
【0017】
そして、装置の校正を行うときは、擬似計測体支持部に擬似計測体を支持させておき、前記位置変更調節手段を前記校正用計測状態に切り換えることによって、投光部からの光が擬似計測体支持部に支持された擬似計測体に照射されるとともに、その擬似計測体を透過して投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部にて受光する状態となり、演算処理部はその受光部にて被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて擬似計測体に対する品質評価の計測を行う。そして、その擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するのである。
このようにして被計測物における特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて計測誤差の少ない適正な計測状態になるように装置を校正することができる。
【0018】
又、擬似計測体は取り外し可能に擬似計測体支持部に支持されているので、校正のための擬似計測体に対する品質評価の処理が終了した後は、この擬似計測体を取り外した状態で、上述したような被計測物に対する品質評価処理を行うことができる。
その結果、例えば、選果設備等において複数の品質評価装置を並べて使用するような場合において、校正が終了した品質評価装置から取り外した擬似計測体は、例えば別の品質評価装置の擬似計測体支持部に支持させてその品質評価装置に対する校正に用いることができ、1台の擬似計測体を兼用して複数の品質評価装置の夫々の装置の校正を行うことが可能であり、品質評価装置を複数台並べて使用する設備に適用する場合において、このような設備全体の構成の簡素化並びにコストの低減を図ることが可能となる。
【0019】
従って、被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を用いて装置校正を行うことにより、計測誤差を少なくすることが可能なものでありながら、品質評価装置を複数台並べて使用するような設備に適用する場合において設備全体のコストの低減を図ることが可能となる品質評価装置を提供できるに至った。
【0020】
請求項3記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1又は2において、前記擬似計測体における品質評価対象が純水であることを特徴とする。
【0021】
すなわち、品質評価装置によって品質が評価される品質評価対象として純水を備えているので、擬似計測体を用いて品質評価装置を校正する場合には、品質評価装置が純水に対して光を投射してその純水を透過した光の受光情報から純水の品質を評価するものとして計測結果が得られることになり、その得られた計測結果に基づいて品質評価装置を校正するのである。
【0022】
説明を加えると、例えば果菜類の一例である蜜柑は約90%が水分であり、この蜜柑に代表されるように果菜類は水分を多く含むものである。このように水分を多く含む果菜類については、特定波長における光吸収特性は水と類似した特性を有するものであり、品質評価対象として水を用いることによって、果菜類とほぼ同様な品質評価用の波長での光吸収特性に対応する受光情報を得ることができる。
【0023】
果菜類の品質として例えば酸度又は糖度についての品質を評価する場合であれば、先ず、品質評価装置による計測対象物の品質評価が行われる前に、品質評価装置によって擬似計測体の品質を評価して初期状態での評価結果を計測しておく。このとき、純水は水以外の成分が含まれないので、その評価結果としては酸度又は糖度が零の状態に対応するものとなる。又、この品質評価装置に対する校正処理を行う場合において、品質評価装置によって再度、擬似計測体の品質を評価して、校正用の評価結果を計測して、その評価結果が前記初期状態、すなわち、酸度又は糖度が零の状態に対応する評価結果と異なっていれば、経年変化等による計測誤差が生じていることを検出することが可能となり、又、その計測結果に基づいて品質評価装置を校正することが可能となるのである。
しかも、純水は水道水のような不純物を含む水とは異なり、水以外の成分が含まれないことから不純物に起因した経年変化による品質の変化がなく、品質を初期状態に維持し易いものとなる。
【0024】
請求項4記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記擬似計測体における品質評価対象の温度を設定温度に保持する温度調整手段が備えられていることを特徴とする。
【0025】
すなわち、品質評価装置によって品質が評価される品質評価対象の温度を設定温度に保持する温度調整手段が備えられているので、品質評価対象が常に設定温度に保持されることになる。つまり、品質評価装置によって品質評価装置校正用の被計測体の品質を評価して初期状態での評価結果を基準値として設定するときも品質評価対象が設定温度に保持されており、しかも、品質評価装置を校正するために品質評価装置によって品質評価装置校正用の被計測体の品質を評価して校正用の評価結果を求めるときにも品質評価対象が設定温度に保持されることになるから、外部温度の変動にかかわらず品質評価対象の温度変化に起因した品質の変動による計測誤差が無い状態で品質を評価することができるものとなる。
【0026】
このように初期状態での評価結果と校正用の評価結果の夫々が同じ温度での測定結果に対応しているので、温度変化による計測誤差の少ない状態で適正に装置の校正を行うことが可能であり、品質評価装置によって品質評価装置校正用の被計測体の品質を評価するときに品質評価対象の温度を計測する作業や、温度の変動に対応させて測定結果を補正するといった煩わしい作業は不要である。又、特に、品質評価対象として純水を備えている場合であれば、純水が水以外の不純物を含まないので不純物に起因した経年変化による品質の変化がなく、上述したような温度変化による計測誤差を少ないことに加えて、経年変化による品質の変化も少なくなり更に誤差の少ない適正な状態で装置の校正を行うことが可能である。
【0027】
請求項5記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記計測対象箇所及び前記擬似計測体支持部とは異なる箇所に所定の光学特性を有する光学フィルターが備えられ、前記位置変更調節手段が、前記投光部から前記光学フィルターに光が投射されてその光学フィルターを透過した光を前記受光部にて受光する基準光情報計測状態にも切り換え自在に構成されていることを特徴とする。
【0028】
すなわち、位置変更調節手段を前記基準光情報計測状態に切り換えると、投光部から所定の光学特性を有する光学フィルターに光が投射されてその光学フィルターを透過した光を前記受光部にて受光する状態となる。前記光学フィルターとして例えば基準透過状態のリファレンスフィルターや波長校正用フィルターを用いることにより、その光学フィルターに光を照射して光学フィルターを通して得られた光を受光してその受光情報に基づいて装置の校正処理を行うことができる。
【0029】
従って、上記したような擬似計測体を用いて装置の校正を行う処理に加えて、位置変更調節手段にて位置変更調整するだけで上記したような装置を校正するための情報を得る処理が可能であり、それらの処理を選択的に切り換えて必要な場合に適宜行うことができる。
【0030】
請求項6記載の果菜類の品質評価装置は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記演算処理部が、被計測物からの光を分光して得られた分光スペクトルデータに基づいて前記特定波長の吸光度データを求め、且つ、前記品質評価条件として予め設定されている検量式と前記吸光度データとに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されていることを特徴とする。
【0031】
すなわち、演算処理部は前記分光スペクトルデータに基づいて特定波長の光の吸収特性として特定波長の吸光度データを求めて、その吸光度データと予め設定されている検量式とに基づいて品質評価値を求めることになる。従って、被計測物に光を投射させる光源として特定波長以外の波長を含む一般的な白色光ランプ等を光源として用いるようにしても、分光スペクトルデータにより特定波長の吸光度データを適正に求めることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る果菜類の品質計測装置の第1実施形態について、例えば蜜柑等の果菜類の選別仕分けを行う選果設備に備えられて、果菜類の品質の一例として糖度や酸度等を評価する構成に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0033】
この選果設備は、蜜柑等の果菜類が被計測物として夫々コンテナCOに収納された状態で搬入され、その搬送経路の途中からコンテナCOから被計測物Mを放出して載置搬送するようにして、各被計測物Mを1個づつ撮像して画像処理によりその大きさや色の情報等から傷等の外観判別を行うとともに、品質の一例である被計測物Mの糖度や酸度を評価し、それらの情報によって各被計測物Mを複数の品質ランクとしての等階級に仕分ける選別処理が行われる。
すなわち、図1に示すように、図示しない受入れ部において、運搬車両等により積載されてコンテナCOに収納された状態で被計測物Mが搬入され、コンテナCOに収納された状態で第1搬送装置B1にて搬送され、重量計測等が行われた後に、コンテナCOの搬送方向と交差する方向に沿って設けられる広幅の第2搬送装置B2の載置搬送面上に、コンテナCOに収納されている被計測物Mを放出させるダンパー装置B3が設けられ、このダンパー装置B3にてコンテナCO内の被計測物Mが積み重なりが無い状態で放出された後、被計測物Mは広幅の第2搬送装置B2にて載置搬送される。このとき、空のコンテナCOは別途回収される。
【0034】
前記第2搬送装置B2にて載置搬送される被計測物Mは、洗浄処理やワックス処理及びそれに伴う乾燥処理等を行う洗浄処理部SJを通過した後、それまで広幅の搬送経路にてバラバラの状態で載置搬送されていた被計測物Mが、チャネライザCHによって搬送方向に沿って一列で縦列状に並ぶ状態で且つ複数列(6列)の搬送コンベア4に分岐した状態で設定間隔をあけて載置搬送される状態に切り換わる。そして、このような6列の搬送ラインの夫々において縦列状態で搬送される被計測物Mに対して、CCDカメラ等の撮像手段にて1個づつ撮像して画像処理によりその大きさや色の情報等から傷等の外形情報を評価する画像評価部HK1、及び、後述するように分光分析により被計測物Mの糖度や酸度等の品質を1個づつ評価する6台の品質評価装置Uを備えた品質評価部HK2が備えられ、それらの搬送下手側には、前記各評価部HK1,HK2の結果に基づいて、各被計測物Mを複数の等階級のうちのいずれに対応するかを判定して、該当する等階級毎に別途設けられる搬送ラインに振り分け供給する振り分け装置FW等が設けられている。又、このように等階級判定の結果に基づいて仕分けられた被計測物Mは各等階級別に箱詰めされることになる。
【0035】
次に、前記各品質評価装置Uの構成について説明する。
前記各品質評価装置Uは、夫々同じ構成であり、被計測物に光を照射して被計測物から得られる特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求めるように構成されている。
つまり、品質評価装置Uは、図2、図3に示すように、被計測物Mに光を照射する投光部1と、被計測物Mを透過した光を受光し、その受光した光を計測する受光部2と、各部の動作を制御する制御手段としての制御部3等を備えて構成され、被計測物Mは、搬送手段としての搬送コンベア4により一列で縦列状に載置搬送される構成となっており、計測対象個所を順次、通過していくように構成されている。そして、計測対象個所に位置する被計測物Mに対して、投光部1から投射した光が被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される状態で、投光部1と受光部2とが、計測対象個所の左右両側部に、すなわち、搬送コンベア4の搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置される構成となっている。
【0036】
次に、前記投光部1の構成について説明する。
この投光部1は、2個の光源を備えるとともに、その2個の光源からの光を互いに異なる照射用の光軸にて計測対象箇所に位置する被計測物に照射するように構成されている。又、各光源による2本の照射用の光軸が計測対象箇所に位置する被計測物の表面部又はその近傍にて交差するように構成されている。
すなわち、図7に示すように、搬送コンベア4による搬送方向に沿って離間させた2個のハロゲンランプからなる光源5が設けられ、これら2個の光源5の夫々に対応させて次のような光学系が備えられている。つまり、光源5が発光する光を反射させて被計測物Mの表面に焦点を合わせるための集光手段としての凹面形状の光反射板6が備えられ、この光反射板6にて集光される光の焦点位置近くに対応するように位置させて、大きめの絞り孔7aを通過させることで集光された後の光の径方向外方側への広がりを抑制する絞り板7、絞り板7を通過した光を通過させる状態、小さめの絞り孔8aを通して通過させる状態、及び、光を遮断する状態の夫々に切り換え自在な光量調節板8、集光された光源5からの光を並行光に変更させるコリメータレンズ9、並行光に変化した光を反射して屈曲させる反射板10、この反射板10にて反射された光を集光させる集光レンズ11の夫々が1個の光源5に対する光学系として備えられている。前記各光量調節板8は、電動モータ12によって一体的に揺動操作され、前記各状態に切り換え自在に構成されている。
【0037】
そして、この投光部1は上記したような各部材がケーシング13に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。又、計測対象箇所に位置する被計測物に対して斜め下方に向かう状態で光を照射するように、投光部1が斜め姿勢で備えられており、外形寸法が小さい被計測物であっても受光部2に直接光が入らないようにしている。
【0038】
次に、受光部2の構成について説明する。
この受光部2は、図6に示すように、被計測物Mを透過した光を集光する集光レンズ14、並行光に変化した光のうち後述するような計測対象の特定波長領域(600nm〜1000nm)の範囲の光だけを上向きに反射し、それ以外の波長の光をそのまま通過させるバンドパスミラー15、バンドパスミラー15により上向きに反射された計測対象光を集光させる集光レンズ16、集光レンズ16を通過した光をそのまま通過させる開放状態と、前記計測対象光の通過を阻止する遮蔽状態とに切り換え自在なシャッター機構17、開放状態のシャッター機構17を通過した光が入射されると、その光を分光して分光スペクトルデータを計測する分光器18、バンドパスミラー15をそのまま直進状態で通過した光の光量を検出する光量検出センサ19等を備えて構成されている。尚、図中、Eは波長校正用のフィルターの切り換えを行うフィルター切り換え機構である。
【0039】
前記分光器18は、図8に示すように、受光位置である入光口20から入射した計測対象光を反射する反射鏡21と、反射された計測対象光を複数の波長の光に分光する分光手段としての凹面回折格子22と、凹面回折格子22によって分光された計測対象光における各波長毎の光量を検出することにより分光スペクトルデータを計測する受光センサ23とが、外部からの光を遮光する遮光性材料からなる暗箱24内に配置される構成となっている。前記受光センサ23は、凹面回折格子22にて分光反射された光を同時に各波長毎に受光するとともに波長毎の信号に変換して出力する、1024ビットの電荷蓄積型のCCDラインセンサにて構成されている。このラインセンサは、詳述はしないが、各単位画素毎に光量を電気信号(電荷)に変換する光電変換部と、その光電変換部にて得られた電荷を蓄積する電荷蓄積部、及び、その蓄積電荷を外部に出力させるための駆動回路等を備えている。尚、電荷蓄積時間は、外部から駆動回路を介して変更させることができるようになっている。
【0040】
又、前記シャッター機構17は、図8、図9に示すように、放射状に複数のスリット25が形成された円板17Aを、パルスモータ17Bによって縦軸芯周りで回転操作される状態で備えて構成され、前記暗箱24の入光口20には前記各スリット25が上下に重なると光を通過させる開放状態となり、スリット25の位置がずれると光を遮断する遮断状態となるように、スリット25とほぼ同じ形状の透過孔27が形成されており、光の漏洩がないように暗箱の入光口20に対して円板17Aを密接状態で摺動する状態で配備して構成されている。すなわち、このシャッター機構17は凹面回折格子22に対する入光口20に近接する状態で設けられている。この受光部2も投光部1と同様にして、上記したような各部材がケーシング28に内装されてユニット状に組み立てられた構成となっている。
【0041】
そして、投光部1及び受光部2の夫々が、投光用箇所及び受光用箇所の夫々に対して各別に着脱自在に取り付け可能なユニット状に構成されており、投光部1と受光部2とが着脱自在に取付けられる装置枠体Fが、計測対象箇所における搬送コンベア4の左右両側に相当する箇所を投光用箇所及び受光用箇所とするように、投光部1と受光部2に対する一対の取付部を備える状態で設けられている。更には、前記装置枠体Fには、投光部1及び受光部2を一体的に上下方向に位置調節自在な位置変更調節手段としての上下位置調節機構29、及び、投光部1及び受光部2の夫々を各別に装置枠体Fに対して計測対象箇所に位置する被計測物に接近並びに離間する方向、すなわち、水平方向であって搬送コンベア4の搬送方向と直交する方向に沿って位置調節自在な水平位置調節手段としての水平位置調節機構30が備えられている。
【0042】
次に、前記上下位置調節機構29について説明する。図2〜図4に示すように、内部品質評価装置H1の外周部を囲うように矩形枠状に組み付けられた装置枠体Fが備えられ、その装置枠体Fの上部側箇所から位置固定状態で4本の固定支持棒31が垂下される状態で設けられ、これら4本の固定支持棒31の下端部には後述する擬似計測体Aを取り外し可能に支持するための擬似計測体支持部32が取り付けられている。尚、図5、図6には、この擬似計測体支持部32に擬似計測体Aが支持されている状態を示している。そして、この4本の固定支持棒31に対して4箇所の摺動支持部33により上下方向にスライド移動自在に昇降台34が支持されている。又、装置枠体Fの上部側箇所から垂下状態に支持された送りネジ35が電動モータ36にて回動自在に設けられ、昇降台34に備えられた雌ネジ部材37がこの送りネジ35に螺合しており、送りネジ35を電動モータ36にて回動操作することで昇降台34が任意の位置に上下移動調節可能な構成となっている。尚、送りネジ35は手動操作ハンドル38でも回動自在に構成されている。
又、前記昇降台34には、品質評価装置校正用の被計測体Aが支持台32に載置支持された状態でも昇降操作可能なように品質評価装置校正用の被計測体Aが上下方向に通過することを許容する挿通孔34aが形成されている。
【0043】
次に、水平位置調節機構30について説明する。
前記昇降台34には、図4に示すように、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本のガイド棒39が設けられており、ユニット状に組み付けられた投光部1並びに受光部2の夫々が着脱自在に取付けられる前記一対の取付部としての支持部材40、41が各ガイド棒39にスライド移動自在に支持される構成となっている。前記各ガイド棒39は長手方向両端側で連結具39aにて連結されている。又、前記昇降台34には、投光部1と受光部2との並び方向に沿って延びる2本の送りネジ42、43が夫々電動モータ44、45によって回動操作可能に設けられ、各支持部材40、41に備えられた雌ネジ部46、47が各送りネジ42、43に螺合しており、電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで、前記各支持部材40、41が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節可能な構成となっている。従って、各支持部材40、41に夫々各別に取付けられる投光部1及び受光部2は電動モータ44、45にて前記各送りネジ42、43を各別に正逆回動させることで前記水平方向、すなわち、計測対象箇所に対して接近並びに離間する方向での相対位置を変更調節することが可能となる。
【0044】
従って、電動モータ36にて送りネジ35を回動操作させると昇降台34が上下移動調節されるが、それに伴って昇降台34に支持されている投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することができ、前記各電動モータ44、45を回動操作させることで投光部1及び受光部2が各別に搬送コンベア4の搬送方向と直交する水平方向に沿って位置調節することができる。
【0045】
前記各支持部材40、41に対する投光部1及び受光部2の取付けの構成について説明を加えると、前記各支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aには、水平方向に適宜間隔をあけて横向きに突出する複数の位置決め用突起40b,41bが形成され、ユニット状に設けられた投光部1及び受光部2に夫々、それらの位置決め用突起40b,41bに対応する位置決め孔が設けられ、各支持部材40、41に対して投光部1及び受光部2を取付けるときは、位置決め用突起40b,41bを位置決め孔に嵌め合わせて位置決めした状態でその近くの適宜箇所をボルト止めすることで投光部1及び受光部2を取付ける構成となっている。従って、この装置においては、投光部1及び受光部2が夫々取付けられた状態においては、投光部1が位置する投光用箇所、計測対象箇所、及び、受光部2が位置する受光用箇所の夫々が一直線状に位置する形態で投光部1及び受光部2が配置される状態となる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1及び受光部2の上下方向の長さに対応するように左右で少し長さが異なるものを用いるようにしている。又、投光部1の取付け部には、投射方向が少し斜め下方となるように傾斜用の姿勢規制具40cを設けている。
【0046】
搬送コンベア4における被計測物Mの通過予定箇所の上方側に位置させて、前記擬似計測体支持部32から下方側に延設した支持アーム48により支持される状態でリファレンスフィルター49が設けられている。このリファレンスフィルター49は、所定の吸光度特性を有する光学フィルターで構成され、具体的には、一対のオパールガラスを備えて構成されている。
【0047】
上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図2に示すように、投光部1からの光が搬送コンベア4に載置される被計測物Mを透過した後に受光部2にて受光される通常計測状態と、図5の仮想線にて示すように、各投光部1からの光が前記リファレンスフィルター49を透過した後に受光部2にて受光される基準光情報計測状態としてのリファレンス計測状態、及び、図5の実線にて示すような校正用計測状態の夫々に切り換えることができるように構成されている。
尚、詳述はしないが、この装置の外周部は、被計測物の搬送に伴う通過箇所を除いて装置枠体Fに備えられた壁体によって囲われて外部から光が入り込まないようになっている。
【0048】
前記制御部3は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、図12に示すように、通過検出センサ50、光量検出センサ19、受光センサ23の検出情報に基づいて被計測物の内部品質を解析する解析手段100や、各部の動作を制御する制御手段としての動作制御手段101が夫々制御プログラム形式で備えられる構成となっている。つまり、後述するような公知技術である分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するとともに、シャッター機構17、光量調整用モータ12、上下位置調節用モータ36、水平位置調節用モータ44、45の動作の管理等の各部の動作を制御する構成となっている。従って、制御部3を利用して演算処理部が構成されることになる。
【0049】
次に、動作制御手段101による制御動作について説明する。
動作制御手段101は、被計測物Mに対する通常の計測に先立って、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして求める基準データ計測モードと、搬送コンベア4により搬送される被計測物Mに対して、投光部1から光を照射して計測分光スペクトルデータを得て、この計測分光スペクトルデータと前記基準分光スペクトルデータとに基づいて、被計測物Mの内部品質を解析する通常データ計測モードとに切り換え自在に構成されている。
【0050】
詳述すると、前記基準データ計測モードにおいては、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を停止させている状態で、上下位置調節機構29によって前記リファレンス計測状態に切り換える。そして、前記シャッター機構17を開放状態に切り換えて、投光部1からの光を被計測物Mに代えて前記リファレンスフィルター49に照射して、そのリファレンスフィルター49からの透過光を、受光部2にて分光してその分光した光を受光して得られた分光スペクトルデータを基準分光スペクトルデータとして計測する。
【0051】
そして、前記基準データ計測モードにおいては、受光部2への光が遮断された無光状態での受光センサ18の検出値(暗電流データ)も計測される。すなわち、前記受光部2のシャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて、そのときの受光センサ18の単位画素毎における検出値を暗電流データとして求めるようにしている。
【0052】
次に、通常データ計測モードにおける制御動作について説明する。
この通常データ計測モードにおいては、上下位置調節機構29、具体的には上下位置調整用電動モータ36を操作して昇降台34を通常計測状態に切り換えて、搬送コンベア4による被計測物Mの搬送を行う。そして、通過検出センサ50による検出情報に基づいて、被計測物が前記計測対象箇所を通過する周期を検出し、その周期に同期させる状態で、分光した光を受光して電荷蓄積動作を設定時間実行する電荷蓄積処理と、蓄積した電荷を送り出す送出処理とを設定周期で繰り返すように、受光センサ23の動作を制御する。
つまり、図11に示すように、各被計測物Mが計測対象箇所を通過すると予測される時間帯において、受光センサ23が設定時間だけ電荷蓄積処理を実行し、被計測物Mが計測対象箇所に存在しないと予測される各被計測物M同士の中間位置付近が計測対象箇所に位置するようなタイミングで蓄積した電荷を送り出す送出処理を実行するように、受光センサ23の動作を制御する。従って、この装置では、受光センサ23による電荷蓄積時間は常に一定で動作する構成となっている。尚、1秒間に7個づつ被計測物が通過するような処理能力とした場合には、電荷蓄積処理を実行する設定時間は、約140msec程度になる。
【0053】
そして、動作制御手段101は、受光センサ23が前記電荷蓄積処理を行う状態において、受光センサ23が電荷蓄積処理を行う状態において、遮蔽状態から開放状態に切り換えてその開放状態を開放維持時間Txが経過する間維持した後に遮蔽状態に戻すように、シャッター機構17の動作を制御するよう構成され、変更指令情報に基づいて、前記開放維持時間Txを変更調整するように構成されている。
この開放維持時間Txは、被計測物の品種の違いに応じて変更させる構成となっている。説明を加えると、例えば、温州蜜柑であれば光が比較的透過しやすいので比較的短い時間(10msec程度)に設定し、伊予柑であれば光が透過し難いので長めの時間(30msec程度)に設定する。
このような品種の違いによる動作条件の設定は、作業員が人為的に行う構成となっている。つまり、図12に示すように、品種の違いに応じて設定位置を人為的に切り換える切換操作具Cが設けられ、この切換操作具Cの設定情報が制御部3に入力され、制御部3はその設定情報に従って開放維持時間Txを変更調整する構成となっている。
【0054】
又、動作制御手段101は、光量検出センサ19にて検出される受光量、すなわち、被計測物の光透過量の実測値の変化に基づいて、被計測物が計測対象箇所に到達したか否かを検出するようになっており、被計測物が到達したことを検出するとシャッター機構17を開放状態に切り換え、前記開放維持時間Txだけ開放状態を維持した後に、シャッター機構17を遮蔽状態に切り換えて計測処理を終了する構成となっている。
具体的に説明すると、図13に光量検出センサ19の検出値の時間経過に伴う変化状態を示している。被計測物が到達するまでは投光部1から投射される光によってほぼ最大値が出力されているが、被計測物Mが計測箇所に至ると光が遮られて光量検出センサ19の検出値(受光量)が減少し始めて検出値が予め設定した設定値以下にまで減少したとき(t1)に、被計測物が計測箇所に到達したものと判断して、その時点から設定時間が経過したとき(t2)に、シャッター機構17を開放状態に切り換える。そして、前記開放維持時間Txだけ開放状態を維持した後に、シャッター機構17を遮蔽状態に切り換えるのである。尚、このような計測処理を実行しているときに、搬送コンベア4が異常停止したような場合には、投光部1における光量調節板8を遮断状態に切り換えて移動停止している被計測物に長い間、光源からの強い光が照射されることを防止させるようにしている。
【0055】
そして、前記解析手段100は、このようにして得られた各種データに基づいて分光分析手法を用いて被計測物Mの内部品質を解析する演算処理を実行するように構成されている。つまり、上記したようにして得られた計測分光スペクトルデータを、前記基準データ計測モードにて求められた基準分光スペクトルデータ、及び、暗電流データを用いて正規化して、分光された各波長毎の吸光度スペクトルデータを得るとともに、その吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める。そして、その二次微分値及び予め設定されている検量式により、被計測物Mに含まれる糖度に対応する成分量や酸度に対応する成分量を算出する解析演算処理を実行するように構成されている。
吸光度スペクトルデータdは、基準分光スペクトルデータをRd、計測分光スペクトルデータをSdとし、暗電流データをDaとすると、
【0056】
【数1】
d=log[(Rd−Da)/(Sd−Da)]
【0057】
という演算式にて求められる。
そして、制御部3は、このようにして得られた吸光度スペクトルデータdを二次微分した値のうち特定波長の値と、下記の数2に示されるような検量式とを用いて、被計測物Mに含まれる糖度や酸度に対応する成分量を算出するための品質評価値としての検量値を求めるのである。
【0058】
【数2】
Y=K0+K1・A(λ1)+K2・A(λ2)
【0059】
但し、
Y ;成分量に対応する検量値
K0,K1,K2 ;係数
A(λ1 ),A(λ2 ) ;特定波長λにおける吸光度スペクトルの二次微分値
【0060】
尚、成分量を算出する成分毎に、特定の検量式、特定の係数K0,K1,K2、及び、波長λ1,λ2等が予め設定されて記憶されており、演算手段100は、この成分毎に特定の検量式を用いて各成分の検量値(成分量)を算出する構成となっている。
【0061】
上記したような検量式は、被計測物に対する計測処理に先立って、予め、計測対象である被計測物と同じようなサンプルを実測したデータに基づいて装置毎に個別に設定されることになる。
説明を加えると、前記サンプルとして数十個〜数百個の被計測物を用意して、各サンプルについて品質評価装置Uを用いて各波長毎の分光スペクトルデータを得る。更に、前記各サンプルについて、例えば破壊分析等に基づいて被計測物の化学成分を特別な検査装置によって精度よく検出する実成分量の検出処理を実行して、被計測物の実成分量を得る。そして、上記したようにして得られた各サンプル毎の分光スペクトルデータを用いて、前記実成分量の検出結果と対比させながら、重回帰分析の手法を用いて、スペクトルデータと特定の成分についての成分量との関係を示す前記検量式を求めるのである。
【0062】
次に、上記したような構成の品質評価装置Uの校正を行うときに、図5及び図6に示すように擬似計測体支持部32に載置支持されて品質評価装置Uにより品質が評価される擬似計測体Aについて簡単に説明する。
この擬似計測体Aは、被計測物の特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有するものであり、品質計測装置Uによって品質が評価される品質評価対象としての純水Jを温度調整手段としてのペルチェ素子55によって設定温度に保持する状態で備えており、又、品質評価対象としての純水Jが収納される収納部51とペルチェ素子55とが一体的にユニット状に組み付けられて構成されている。又、ペルチェ素子55は、品質評価対象が収納された収納部51の外周部に空気層Kを形成する状態でその収納部51を覆う外側ケーシング52が備えられ、空気層Kに対して温調作用するように構成されている。
【0063】
つまり、図14に示すように、非透光性の部材で構成された略四角柱状の外側ケーシング52によって外周部が覆われ、この外側ケーシング52内部の下方側箇所に品質評価対象としての純水Jを封入状態で収納する収納部51が設けられ、この収納部51と外側ケーシング52との間に空気層Kが形成されている。そして、外側ケーシング52の上方側箇所は、収納部51が設けられる収納空間に対して仕切壁53によって気密状態に仕切られた空調用空間54が形成されている。
【0064】
そして、前記仕切壁53には空気層Kと空調用空間との間で熱移動作用を発揮する状態でペルチェ素子55が介装されている。このペルチェ素子55の空気層K側表面にはペルチェ素子55の表面から離間する方向へ送風するファン56が備えられ、空調用空間54には、ペルチェ素子55を作用させるための制御回路57、ファン56を駆動するための駆動回路58及び電源装置59等が備えられている。前記制御回路57は、図示しない温度センサにて検出される空気層Kの温度が被計測物の温度又はそれに近い温度である設定温度(30℃)に維持されるようにペルチェ素子55を作用させるように制御する構成となっている。このようにして温度維持手段が構成されている。その結果、空気層Kの温度が設定温度に維持されることから収納部51に収納されている純水Jは常に設定温度に保持されることになる。尚、ファン56による送風が直接、収納部51に当たらないように受け止めて空気層内の温度を極力均一にさせる均平板60が設けられている。図15に示すように、ファン56により送り出される温度調整された空気が均平板60にて受け止められて、収納部51に直接当たることなく収納部51の周囲に沿って緩やかに流動案内されるように循環して空気層Kの全体がほぼ均等に設定温度になるように温度管理されている。
【0065】
外側ケーシング52における収納部51の左右両側箇所に対応する位置に夫々、光通過部61と光通過部62とが形成されている。つまり、非透光性の部材で構成された外側ケーシング52の入光側光通過部61及び出光側光通過部62に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。
【0066】
そして、このような擬似計測体Aを支持する擬似計測体支持部32は、擬似計測体Aを単に載置支持する構成となっており、取付けや取り外しが人為的に容易に行える構成となっている。
【0067】
このように構成された擬似計測体Aを用いて品質評価装置Uの校正を行う校正方法について以下に説明する。尚、このような校正処理は複数(6台)の品質評価装置Uの夫々について各別に行うことになる。
擬似計測体Aを用いて1つの品質評価装置Uの校正を行う場合には、先ず、上述したように被計測物に対する計測処理に先立って行われる検量式の作成の時において、擬似計測体Aを校正の対象となる品質評価装置Uにおける擬似計測体支持部32に載置させて、上下位置調節機構29を校正用計測状態に切り換え、擬似計測体Aにおける品質評価対象を透過した光の受光情報にて分光スペクトルデータを求め、その分光スペクトルデータと前記検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する基準検量値を計測しておく。
【0068】
図16に、本出願人による計測データを示している。このうちラインL1は、純水を透過した光の分光スペクトルデータの二次微分スペクトルデータを示しており、ラインL2は果菜類の一例としての林檎を透過した光の分光スペクトルデータの二次微分スペクトルデータを示している。この図から純水は果菜類と同じような光吸収特性であることが明らかである。
【0069】
その後、上下位置調節機構29を通常計測状態に切り換えて被計測物に対する計測処理が行われた後に、品質評価装置Uを校正する時には、擬似計測体Aにおける品質評価対象を透過した光の受光情報(分光スペクトルデータ)と前記検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する校正用検量値を計測する。そして、その後、被計測物の品質を評価する時に、被計測物を透過した光の受光情報と前記検量式とに基づいて求められる被計測物の品質評価値としての検量値を、校正用検量値と基準検量値との差に基づいて補正するのである。
【0070】
具体的には、このような校正処理は制御部3によって行われることになる。説明を加えると、制御部3は次のような処理を実行することになる。すなわち、動作制御手段101は、上記したような基準データ計測モード及び通常データ計測モード以外に、校正用データ計測モードにも切り換え自在に構成されている。
そして、上述したような検量式の作成が行われた時に、動作制御手段101が校正用データ計測モードに切り換えられると、上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって、図4に示すように、投光部1からの光が擬似計測体Aにおける品質評価対象(純水)を透過した後に受光部2にて受光される校正用計測状態に切り換える。そして、投光部1からの光を光通過部61を通して品質評価対象としての純水に導き、品質評価対象を透過した光を光通過部62を通して外部の受光部2に導いて、受光部2で受光した光の受光情報(分光スペクトルデータ)と検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する基準検量値αを計測して記憶する。
【0071】
その後、通常データ計測モードに切り換えられて、上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節して図2に示すように通常計測状態に切り換えて、被計測物に対する計測処理が行われる。そして、装置校正時において校正用データ計測モードに切り換えられると、上下位置調節機構29によって投光部1及び受光部2を一体的に上下移動調節することによって校正用計測状態に切り換えられ、擬似計測体Aにおける品質評価対象としての純水を透過した光の受光情報(分光スペクトルデータ)と検量式とに基づいて、品質評価対象(純水)の品質に対応する校正用検量値βを計測して記憶する。
【0072】
このような校正用の計測が終了した後に、被計測物(果菜類)の品質を評価する時には、上下位置調節機構29によって前記通常計測状態に切り換えて、上述したように被計測物を透過した光の受光情報と検量式とに基づいて求められる被計測物の品質に対応する検量値Yを計測するのであるが、そのときに求められた検量値Yを下記数3によって補正することで補正後の検量値Ysを求めるのである。この補正後の検量値Ysが最終的な被計測物の品質に対応するものである。但し、数3中のK3は予め定めた係数である。
尚、品質評価装置Uの設置初期において、校正用検量値βが計測されていないときには、校正用検量値βとしては基準検量値αと同じ値が代入されることになり、前記計測された検量値Yがそのまま最終的な被計測物の品質に対応するものとなる。
【0073】
【数3】
Ys=Y+K3・(α―β)
【0074】
このようにして装置の経年変化等に起因して計測された検量値が適正値つまり、実際の果菜類の品質(酸度や糖度)からズレた場合であっても、擬似計測体Aの計測結果に基づく校正用検量値と基準検量値との差に基づいて、上記したようなズレを修正して適正な検量値に補正することができるのである。このようにして、品質評価装置Uが、擬似計測体Aの品質を評価した評価結果に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値(検量値)を補正するように構成されている。
【0075】
前記擬似計測体Aは、品質評価装置Uの擬似計測体支持部32から容易に取り外すことができるので、上述したような基準検量値及び校正用検量値を計測する時以外は、擬似計測体支持部32から取り外して、他の品質評価装置Uに対して載置支持させて基準検量値及び校正用検量値を計測することができる。つまり、前記擬似計測体Aは複数の品質評価装置Uに対して兼用することにより、1台の擬似計測体Aで複数の品質評価装置Uを校正することができる。
【0076】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態について説明する。
図17に第2実施形態の品質評価装置Uを示している。この品質評価装置Uは、投光部1と受光部2との配置構成、受光部2に対する光の通過経路構成、搬送コンベア4aの構成が異なる他は、第1実施形態の品質評価装置Uの構成と同じであるから異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。又、投光部1及び受光部2は、夫々、ユニット状に組み立てられる構成であり、第1実施形態とほぼ同じ構成のものを使用する構成となっている。
すなわち、前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体Aを取り外し可能に支持する擬似計測体支持部32が設けられる点も第1実施形態と同じである。
【0077】
第1実施形態の投光部1と同じ構成のユニット状の投光部1が2台備えられ、それら2台の投光部1が計測対象個所の左右両側部、すなわち、搬送コンベア4aの搬送横幅方向の両側部に振り分けて配置され、各投光部1は光の照射方向がほぼ水平方向となるように構成されている。すなわち、前記各支持部材40、41と同様な支持部材40、41にユニット状の2台の投光部1が夫々取付けられる。但し、支持部材40、41の下端部における取付け用の台座部分40a,41aは、投光部1の上下長さに対応するように左右で同じものを用いるが、各投光部1の光の照射方向がほぼ水平方向となるように、第1実施形態における傾斜用の姿勢規制具40cは使用しない構成となっている。
【0078】
そして、第1実施形態と同じように上下位置調節機構29(位置変更調節手段の一例)が備えられ、図17に示すように、左右一対の投光部1、1からの光が計測対象箇所に位置する被計測物に照射されるとともに、その被計測物を透過して投光部1、1による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部2にて受光する通常計測状態と、図18、図19に示すように、各投光部1、1からの光が擬似計測体支持部32に支持された擬似計測体Aに照射されるとともに、その擬似計測体Aを透過して投光部1,1による光投射方向と交差する方向に向かう光を受光部2にて受光する校正用計測状態とに切り換え可能に構成されている。
【0079】
搬送コンベア4aは、被計測物を中央部に挿通孔70が形成された受皿71に載置した状態で搬送される構成となっており、計測対象箇所の下方側には、前記投光部1から照射されて被計測物を透過して受皿71の挿通孔70を通して下方側に透過する光を受光する光ファイバー72の受光側端部が配置されている。その光ファイバー72の他端側に受光部2が接続されて光が受光されることになる。この受光部2による受光情報に基づく制御部3での検量値を求める処理については第1実施形態の場合と同様である。
【0080】
図19に示すように、この実施形態に使用される擬似計測体Aは、投光部1から投射される計測用光を拡散させて品質評価対象(純水J)に導く光通過部73と、この光通過部73を通して導かれて品質評価対象を通過した光を計測用光が投射される方向と直交する方向に沿って外部に導く光通過部74とを備えて構成されている。つまり、左右両側の投光部1の夫々に対応させて光通過部73が左右両側に形成され、光通過部74が下方側に形成される構成となっており、外側ケーシング52における光通過部73及び光通過部74に対応する位置に通過孔が形成されるとともに、拡散体としてのオパールガラスGが気密状態に保持される状態で装着されている。この実施形態では、光通過部73が入光用光通過部として機能し、光通過部74が出光用光通過部として機能することになる。
【0081】
この擬似計測体Aを用いて品質評価装置の校正を行う場合は、擬似計測体Aを擬似計測体支持部32上に載置して第1実施形態のときと同様な校正方法により校正を行うことになるが、図17、図18に示すように、上下位置調節機構29によって上記したような校正用計測状態に切り換えて、基準検量値αや校正用検量値βを計測するとき、左右両側の投光部1から投射された計測用光が左右両側の各光通過部73を通して品質評価対象(純水J)に導かれて、それを透過した光が、下方側に形成された光通過部74、及び、受皿71の挿通孔70を通して光ファイバー72の受光側端部に受光され、光ファイバー72を通して受光部2にて受光されて受光情報が計測されることになる。尚、そのとき、下方側の光通過部74を通過した光がリファレンスフィルター49を上下方向に通過することになるが、リファレンスフィルター49は上下両側部が透明ガラスとなっており、そのまま光が通過する構成となっている。そして、演算処理部としての制御部3が、擬似計測体Aについての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正する構成となっているが、その校正方法については第1実施形態の場合と同様である。
【0082】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0083】
(1)上記各実施形態では、前記擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部として、擬似計測体を載置支持する構成を例示したが、このような構成に代えて、例えば吊り下げ支持させる構成や横方向に嵌め合わせて位置決めして支持させる構成等でもよく、要するに人為的に容易に取り外しが可能なように支持する構成であればよい。
【0084】
(2)上記各実施形態では、被計測物からの光を分光して得られた分光スペクトルデータに基づいて前記特定波長の吸光度データを求めるようにしたが、このような構成に限らず、前記特定波長の光だけを被計測物に照射して被計測物からの光を分光することなく受光量により吸光度データを求めるようにしてもよい。
又、上記実施形態では分光スペクトルデータに基づいて吸光度スペクトルデータの二次微分値を求める構成としたが、このような構成に限らず、被計測物についての分光スペクトルデータと基準分光スペクトルデータとをそのまま対比して品質を評価するものでもよい。
【0085】
(3)上記各実施形態では、前記演算処理部としての制御部が擬似計測体の計測結果に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正するように構成したが、このように品質評価値を補正する構成に代えて品質評価条件としての前記検量式を補正する構成としてもよい。
【0086】
(4)上記各実施形態では、前記基準光情報計測状態において使用される光学フィルターとして、リファレンスフィルターを用いて基準分光スペクトルデータを計測して、被計測物の品質を評価するときの品質評価値を補正する構成としたが、このような構成に代えて次のような構成としてもよい。
前記光学フィルターとして、例えば前記特定波長領域(600nm〜1000nm)の範囲内での特定の2つの波長に透過率のピークを有する波長校正用フィルターを備え、この波長校正用フィルターを透過した光を受光部にて受光して、受光センサにおける1024個の各受光素子と光の波長との対応関係を校正する波長校正処理を行うようにしてもよい。
【0087】
(5)上記各実施形態では、位置変更調節手段としての前記上下位置調節機構が、投光部から光学フィルター(リファレンスフィルター)に光が投射されてそのフィルターを透過した光を受光部にて受光する基準光情報計測状態(リファレンス計測状態)にも切り換え自在に構成されるものとしたが、このような基準光情報計測状態が備えられていない構成としてもよく、上記したような光学フィルターは上下位置調節によって行うのではなく光通過経路中に人為的に装着させる構成としてもよい。
【0088】
(6)上記各実施形態では、擬似計測体における品質評価対象として純水を備える構成としたが、このような純水の代わりに、被計測物(果菜類)が有している品質、例えば酸や糖についての品質と同様な品質の水溶液を品質評価対象として備える構成としてもよい。
【0089】
(7)上記各実施形態では、品質評価対象としての純水を設定温度に保持する温度調整手段としてペルチェ素子を用いたが、これに代えて、例えばヒートポンプ式の空調装置等を用いてもよい。
【0090】
(8)上記各実施形態では、品質評価対象としての純水を設定温度に保持する温度調整手段を備える構成としたが、このような温度調整手段を備えない構成としてもよい。そして、そのように温度調整手段を備えない構成とした場合には、温度変化に起因した計測誤差を少なくするために、前記純水の温度を計測する温度計測手段を備えて、前記純水の温度の情報を校正用の計測情報として加味するようにしてもよい。
【0091】
(9)上記各実施形態では、被計測物の品質として、糖度や酸度を例示したが、これに限らず、食味の情報等、それ以外の内部品質を計測してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】選果設備の概略構成図
【図2】品質評価装置の正面図
【図3】品質評価装置の側面図
【図4】品質評価装置の横断平面図
【図5】品質評価装置の正面図
【図6】品質評価装置の一部切欠正面図
【図7】投光部の切欠平面図
【図8】分光器の構成図
【図9】シャッター機構を示す図
【図10】設置状態を示す平面図
【図11】計測作動のタイミングチャート
【図12】制御ブロック図
【図13】受光量の変化と計測タイミングを示す図
【図14】擬似計測体の縦断正面図
【図15】擬似計測体の一部切欠側面図
【図16】分光スペクトルデータを示す図
【図17】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【図18】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【図19】第2実施形態の品質評価装置の正面図
【符号の説明】
1 投光部
2 受光部
3 演算処理部
29 位置変更調整手段
32 擬似計測体支持部
55 温度調整手段
A 擬似計測体
M 被計測物
Claims (6)
- 計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置であって、
前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部が設けられ、
前記投光部と前記受光部とが前記計測対象箇所の両側外方に対向する状態で位置する通常計測状態と、前記投光部と前記受光部とが前記擬似計測体支持部の両側外方に対向する状態で位置する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、前記投光部及び前記受光部を一体的に位置変更調節自在な位置変更調節手段が設けられ、
前記演算処理部が、前記擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するように構成されている果菜類の品質評価装置。 - 計測対象箇所に位置する被計測物としての果菜類に対して光を投射する投光部と、その投光部から投射されて前記被計測物から得られた光を受光する受光部と、前記被計測物から得られた特定波長の光の吸収特性に基づいて被計測物の品質評価値を求める演算処理部とを備えて構成されている果菜類の品質評価装置であって、
前記計測対象箇所とは異なる箇所に、前記被計測物における前記特定波長の光の吸収特性と類似する特性を有する擬似計測体を取り外し可能に支持する擬似計測体支持部が設けられ、
前記投光部からの光が前記計測対象箇所に位置する被計測物に照射されるとともに、その被計測物を透過して前記投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を前記受光部にて受光する通常計測状態と、前記投光部からの光が前記擬似計測体支持部に支持された擬似計測体に照射されるとともに、その擬似計測体を透過して前記投光部による光投射方向と交差する方向に向かう光を前記受光部にて受光する校正用計測状態とに切り換え可能な状態で、前記投光部の位置を変更調節自在な位置変更調節手段が設けられ、
前記演算処理部が、前記擬似計測体についての品質評価値に基づいて、被計測物の品質を評価するときの品質評価条件又は品質評価値を補正するように構成されている果菜類の品質評価装置。 - 前記擬似計測体における品質評価対象が純水である請求項1又は2記載の果菜類の品質評価装置。
- 前記擬似計測体における品質評価対象の温度を設定温度に保持する温度調整手段が備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。
- 前記計測対象箇所及び前記擬似計測体支持部とは異なる箇所に所定の光学特性を有する光学フィルターが備えられ、
前記位置変更調節手段が、
前記投光部から前記光学フィルターに光が投射されてその光学フィルターを透過した光を前記受光部にて受光する基準光情報計測状態にも切り換え自在に構成されている請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。 - 前記演算処理部が、
被計測物からの光を分光して得られた分光スペクトルデータに基づいて前記特定波長の吸光度データを求め、且つ、前記品質評価条件として予め設定されている検量式と前記吸光度データとに基づいて前記品質評価値を求めるように構成されている請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の果菜類の品質評価装置。
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JP2002350051A JP2004184171A (ja) | 2002-12-02 | 2002-12-02 | 果菜類の品質評価装置 |
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CN108226076A (zh) * | 2017-12-30 | 2018-06-29 | 北方工业大学 | 一种微型痕量水质在线监测仪 |
-
2002
- 2002-12-02 JP JP2002350051A patent/JP2004184171A/ja active Pending
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