JP4191537B2 - シールド機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路トンネルなど合流部・分岐部を備えるトンネルを構築するために好適に用いられるシールド機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地下利用の進展に伴い、地下50m程度の大深度地下空間に、道路トンネルや下水道トンネルなどを構築することが行われつつある。特に、地下利用が進展している都市部の地下空間にトンネルを構築する際には、シールド工法が有利である。
道路トンネル等の構築にあっては、本線トンネルとランプトンネルの合流部においては、互いに寄り添う二本のシールドトンネルを一体的に連結する必要がある。
この場合、路上から開削した合流部にシールドトンネルを接続する方法が考えられるが、地上の専有面積が幅、長さともに広範囲になり、問題が大きい。
地盤が堅固な場合には、所定断面のシールドトンネルを掘進した後に、部分的に地盤改良などを施した上でセグメントとを取り外し、NATM工法などにより合流部を構築することが考えられている。
【0003】
また、専ら地下空間内において、本線トンネルとランプトンネルとの合流部を構築する技術として、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−148086号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の技術においては、本線トンネルとランプトンネルとの合流部を構築する際に、開削区間を小規模に抑えることができる。しかし、本線トンネルとランプトンネルとが連結されてなる「分合流部トンネル」の断面形状が異型であるため、その図7に示されているように、セグメントを内面から厚く補強する必要がある。また大きな土圧がかかる大深度に構築されるトンネルの構築には不向きである。
また、円形断面のシールドトンネル同士を横方向に地中で接続するためには、広範囲の地盤改良及び大規模な接続構造物の構築が必要となる。
【0006】
本発明の課題は、特に大深度地下空間において、二本のシールドトンネルの合流部を合理的に構築するために好適に使用可能なシールド機を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図6に示すように、シールド機本体11,21の前方に、このシールド機本体11,21とほぼ同断面形状のシールド坑を掘削可能なカッタ12,22が備えると共に、
前記シールド機本体11,21に、このシールド機本体11,21の断面の外側を掘削可能な拡径部用カッタ14,24と、この拡径部用カッタ14,24によって掘削された坑壁内面を被覆可能な拡径部用スキンプレート15,25とが、前記シールド機本体11,21から側方に突出し又このシールド機本体11,21内に収納可能となるように備えるシールド機1,2であって、
前記シールド機本体11,21のスキンプレート13,23に沿って摺動させることで、収納された前記拡径部用カッタ14,24と前記拡径部用スキンプレート15,25とを、このシールド機本体11,21のスキンプレート13,23とほぼ連続する状態に隠蔽し、又露出することが可能なカバー部材16,26が備えられていること
を特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、シールド機本体に、このシールド機本体の断面の外側を掘削可能な拡径部用カッタと、この拡径部用カッタによって掘削された坑壁内面を被覆可能な拡径部用スキンプレートとが、シールド機本体から側方に突出し又このシールド機本体内に収納可能となるように備えられているので、拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとをシールド機本体に収納した状態でシールド坑を掘進し、またトンネル路線途上の所望区間において拡径部用カッタ及び拡径部用スキンプレートをシールド機本体から突出させた状態でシールド坑を掘進することで、路線途上で断面形状が変わるトンネルを、NATM工法や開削工法などを併用することなく、少ない費用、労力で短期間に掘進しその覆工を構築することができる。
このように、本線トンネルと支線トンネル(ランプトンネル)とをそれぞれ掘進し、本線トンネルと支線トンネルとの合流部においては、これら二本のトンネルを寄り添わせ、この際、二つのトンネルの断面の包絡線を分割した形状に近くなるように拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとを突出させた状態で掘進した上で、二つのトンネルを横に接続することで、合流部の覆工を完成させることができる。
したがって、本線トンネルと支線トンネルとの合流部を、NATM工法や開削工法などを併用することなく、経済的に構築することが可能である。
【0009】
請求項2記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、請求項1に記載のシールド機1,2において、前記拡径部用カッタ14,24と前記拡径部用スキンプレート15,25とが、前記シールド機本体11,21から外側に突出された状態で、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能な形状に形成され、かつ上下一対で前記シールド機本体11,21に備えられていること
を特徴とする。
【0010】
請求項2記載にの発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られると共に、拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとが、シールド機本体から外側に突出された状態で、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能な形状に形成されているので、このシールド機によって本線トンネルと支線トンネル(ランプトンネル)とをそれぞれ掘進し、これら本線トンネルと支線トンネルとの合流部においては、本線トンネルと支線トンネルとを寄り添わせるようにほぼD型断面に掘進することで二つのトンネルの断面の包絡線がほぼ円形になるようにした上で、この二つのトンネルを横に接続することで、ほぼ円形断面の覆工を完成させることができる。
したがって、本線トンネルと支線トンネルとの合流部を、NATM工法や開削工法などを併用することなく、経済的に構築することが可能である。また、本線トンネルと支線トンネルとの合流部の断面を力学的に安定的な形状に構築することができるので、特に大きな土圧を受ける大深度の地下空間において本線トンネルと支線トンネルとの合流部を構築するのに適したシールド機となる。
ここで、上記「ほぼ円形」とは、正円形の他、楕円形や長円形等を指す。
【0012】
また、前述した請求項1に記載の発明によれば、シールド機本体のスキンプレートに沿って摺動させることで、収納された拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとを、このシールド機本体のスキンプレートとほぼ連続する状態に隠蔽し、又露出することが可能なカバー部材が備えられているので、これら拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとをシールド機本体内に収納した状態でシールド機本体の断面形状のシールド坑を掘進する際に、シールド機本体のスキンプレートとカバー部材とによってシールド坑の坑壁を保持しつつ、シールド機を円滑に掘進させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係るシールド機の実施の形態について説明する。
本実施の形態のシールド機1,2は、地下に建設される道路トンネルの本線トンネルT1とランプトンネル(支線トンネル)T2とをそれぞれ掘進すると共に、その合流部を構築するするために用いられるものである。
本線トンネルT1は、およそ地下50mの深さに設けられる片側3車線の道路トンネルであり、ランプトンネルT2は、本線トンネルT1の入口車線および出口車線として設けられるトンネルである。シールド機1,2による道路トンネルT1,T2の掘進状況の概要を図1に示す。
【0014】
シールド機1による掘進手順の斜視図を図2(a)〜(e)に、上面図及び断面図を図4(a)〜(e)に示す。また、シールド機1の詳細を、図3に示す。
シールド機2による掘進手順も、シールド機1と同様であるので、図示を省略する。
【0015】
シールド機1(2)はそれぞれ、図1〜図4に示すように、ほぼ円筒形状のシールド機本体11(21)の前方に、このシールド機本体11(21)とほぼ同断面形状のシールド坑を掘削可能な回転式等のカッタ12(22)が備えられたシールド機である。
シールド機本体11(21)には、図2〜図4に示すように、その断面の外側を掘削可能な、揺動式の拡径部用カッタ14(24)と、この拡径部用カッタ14(24)によって掘削された坑壁内面にセグメント5,6で覆工を組み立て可能な拡径部用スキンプレート15(25)とが、シールド機本体11(21)から側方に突出し又このシールド機本体11(21)内に収納可能となるように備えられている。
【0016】
そして、シールド機1(2)は、図4に示すように、拡径部用カッタ14(24)と拡径部用スキンプレート15(25)とがシールド機本体11(21)から外側に突出された状態で、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能な形状に形成されている。
【0017】
シールド機1(2)による掘進手順を説明する。
シールド機1(2)が本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部に到達するまでは、図2(a)、図4(a)に示すように、拡径部用カッタ14(24)と拡径部用スキンプレート15(25)とはシールド機本体11(21)の内部に収納され、カバー部材16(26)によって、シールド機本体11(21)のスキンプレート13(23)とほぼ連続する状態に隠蔽されている。
そして、ほぼ円型断面のシールド坑を掘進し、その後方に、断面がほぼ円型となるようにセグメント3(4)を設置していく。
【0018】
シールド機1(2)が本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部に近づいたら、図2(b)、図4(b)に示すように、カバー部材16(26)がシールド機本体11(21)のスキンプレート13(23)に沿って摺動させ、このカバー部材によって隠蔽されていた拡径部用カッタ14(24)と拡径部用スキンプレート15(25)とを坑壁に向かって露出させる。
【0019】
そして、図2(c)、図4(c)及び図5(a),(b)に示すように、液圧ジャッキ15J(25J)を伸出させることにより、上下一対の拡径部用スキンプレート15(25)と、これにそれぞれ取り付けられた拡径部用カッタ14(24)とが、シールド機本体11(21)の側面から外側に突出させる。この状態で、シールド機本体11(21)前方のカッタ12(22)と拡幅部用カッタ14(24)とにより、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能となる。
【0020】
シールド機1の拡径部用スキンプレート15は、図5に示すように、液圧ジャッキ15Jの動作によって上下に並行移動することで突出あるいは収納されるようになっている。シールド機2の拡径部用スキンプレート25は、図6に示すように、その一端が軸固定されており、液圧ジャッキ25Jの動作によって回転しながら突出あるいは収納されるようになっている。
【0021】
また、図5、図6に示すように、拡径部用スキンプレート15,25の側方には補助スキンプレート15A又は25A,25Bが備えられており、拡径部用スキンプレート15,25がシールド機本体11,21の内部に収納された状態から外側に突出する状態までの間、シールド機本体11,21のスキンプレート13(13A),23(23A)との間に空隙ができないよう密閉するようになっている。拡径部用スキンプレート15,25とシールド機本体11,21のスキンプレート13(13A),23(23A)、補助スキンプレート15A,25A,25Bとの接触部分には、防水のためのシール機構(図示省略)が備えられている。
【0022】
次いで、シールド機本体11(21)から、テール部17(27)を切り離す。そして、このテール部17(27)に反力をとって、図2(d)、図4(d)に示すように、残りのシールド機本体11(21)でほぼD型断面のシールド坑を掘進し、その後方には断面がほぼD字型となるようにセグメント5(6)を設置していく。
【0023】
本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部区間の掘進が終了したら、シールド機本体11(21)から更に、拡径部用カッタ14(24)と拡径部用スキンプレート15(25)とを含む中胴部18(28)を切り離す。そして、この中胴部18(28)に反力をとって、図2(e)、図4(e)に示すように、残りのシールド機本体11(21)で再びほぼ円型断面のシールド坑を掘進し、その後方には断面がほぼ円型となるようにセグメント3(4)を設置していく。
【0024】
以上のようにして、シールド機1,2を用い、本線トンネルT1とランプトンネルT2の合流部区間をそれぞれ掘進していく状況の断面を見ると、図7(a)〜図7(b)のようになる。
このように、シールド機1,2を掘進させて、互いに並行するように、セグメント5,6でそれぞれほぼD型断面に構築された本線トンネルT1とランプトンネルT2の覆工内部に、図7(c)に示すように、仮設支柱71を設置する。また本線トンネルT1とランプトンネルT2の覆工間の空隙の上下の部分の地山72に対して、地盤改良材注入、地盤凍結等により地盤改良を施す。
ここで、仮設支柱71の設置は、セグメント5,6で覆工を組み立てるのと同時に行っても良い。
【0025】
次いで、図7(d)に示すように、本線トンネルT1とランプトンネルT2の間のセグメントを部分的に取り外し、二本のトンネルT1,T2を横方向に連続させる。
二本のトンネルの連結部分の上下の覆工は、一部残しておき、図7(e)に示すように、この連結部分の土砂を取り除いた後、コンクリート74を充填する。そして、ブロック材73とPC鋼棒75を用いて、本線トンネルT1とランプトンネルT2との覆工を緊結し、一体化する。
これにより、本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部の断面がほぼ円形となり、力学的に安定したものとなる。そして、図7(f)に示すように、最後に仮設支柱71を取り外して、本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部を完成させる。
【0026】
以上、本実施の形態に記載のシールド機1,2によれば、シールド機本体11,21に、このシールド機本体11,21の断面の外側を掘削可能な拡径部用カッタ14,24と、この拡径部用カッタ14,24によって掘削された坑壁内面を被覆可能な拡径部用スキンプレート15,25とが、シールド機本体11,21から側方に突出し又このシールド機本体11,21内に収納可能となるように備えられているので、
拡径部用カッタ14,24と拡径部用スキンプレート15,25とをシールド機本体11,21に収納した状態でシールド坑を掘進し、また本線トンネルT1とランプトンネルT2路線途上の合流部区間において拡径部用カッタ14,24及び拡径部用スキンプレート15,25をシールド機本体11,21から突出させた状態でシールド坑を掘進することで、路線途上で断面形状が変わる本線トンネルT1と支線トンネルT2を、NATM工法や開削工法などを併用することなく、少ない費用、労力で短期間に掘進しその覆工を構築することができる。
このように、本線トンネルT1とランプトンネルT2とをそれぞれ掘進し、本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部においては、これら二本のトンネルT1,T2を寄り添わせ、この際、二つのトンネルT1,T2の断面の包絡線を分割した形状に近くなるように拡径部用カッタ14,24と拡径部用スキンプレート15,25とを突出させた状態で掘進した上で、二つのトンネルT1,T2を横に接続することで、合流部の覆工を完成させることができる。
したがって、本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部を、NATM工法や開削工法などを併用することなく、経済的に構築することが可能である。
【0027】
また、拡径部用カッタ14,24と拡径部用スキンプレート15,25とが、シールド機本体11,21から外側に突出された状態で、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能な形状に形成されているので、このシールド機1,2によって本線トンネルT1とランプトンネルT2とをそれぞれ掘進し、これら本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部においては、本線トンネルT1とランプトンネルT2とを寄り添わせるようにほぼD型断面に掘進することで二つのトンネルT1,T2の断面の包絡線がほぼ円形になるようにした上で、この二つのトンネルT1,T2を横に接続することで、ほぼ円形断面の覆工を完成させることができる。
したがって、本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部を、NATM工法や開削工法などを併用することなく、経済的に構築することが可能である。また、本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部の断面を力学的に安定的な形状に構築することができるので、特に大きな土圧を受ける大深度の地下空間において本線トンネルT1とランプトンネルT2との合流部を構築するのに適したシールド機となる。
【0028】
また、シールド機本体11,21に収納された拡径部用カッタ14,24と拡径部用スキンプレート15,25とを、このシールド機本体11,21のスキンプレート13,23とほぼ連続する状態に隠蔽し、又露出することが可能なカバー部材16,26が備えられているので、これら拡径部用カッタ14,24と拡径部用スキンプレート15,25とをシールド機本体11,21内に収納した状態でシールド機本体11,21の断面形状のシールド坑を掘進する際に、シールド機本体11,21のスキンプレート13,23とカバー部材16,26とによってシールド坑の坑壁を保持しつつ、シールド機1,2を円滑に掘進させることができる。
【0029】
また、シールド機本体11,21は、拡径部用カッタ14,24と拡径部用スキンプレート15,25とを含む中胴部18,28と、その後方のテール部17,27とを切り離し可能に構成されているので、シールド坑のセグメント3〜6の断面が変わる箇所においてこのテール部と中胴部とを切り離し、覆工の一部とすることで、応力が集中しやすい覆工形状の変更箇所に十分な強度を備えると共に、これを簡易に構築することができる。
【0030】
なお、本発明のシールド機は、上記の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記の実施の形態では、シールド機1,2からほぼ三角形状の拡径部用カッタ14,24及び拡径部用スキンプレート15,25を突出させることで、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能にしているが、拡径部用カッタ及び拡径部用スキンプレートの断面形状を四角形状など他の形状に設定し、これをシールド機本体から突出させることで、D型断面以外の種々の形状のシールド坑拡径部を掘進させるようにしても良い。
また、上記の実施の形態では、シールド機1,2によって、道路トンネルの本線とランプを掘進すると共にその合流部を構築しているが、分岐部や拡幅部を備える鉄道トンネルや下水道トンネル等を構築する際にも本発明のシールド機を好適に利用できる。
また、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、シールド機本体に、このシールド機本体の断面の外側を掘削可能な拡径部用カッタと、この拡径部用カッタによって掘削された坑壁内面を被覆可能な拡径部用スキンプレートとが、シールド機本体から側方に突出し又このシールド機本体内に収納可能となるように備えられているので、拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとをシールド機本体に収納した状態でシールド坑を掘進し、またトンネル路線途上の所望区間において拡径部用カッタ及び拡径部用スキンプレートをシールド機本体から突出させた状態でシールド坑を掘進することで、路線途上で断面形状が変わるトンネルを、NATM工法や開削工法などを併用することなく、少ない費用、労力で短期間に掘進しその覆工を構築することができる。
このように、本線トンネルと支線トンネル(ランプトンネル)とをそれぞれ掘進し、本線トンネルと支線トンネルとの合流部においては、これら二本のトンネルを寄り添わせ、この際、二つのトンネルの断面の包絡線を分割した形状に近くなるように拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとを突出させた状態で掘進した上で、二つのトンネルを横に接続することで、合流部の覆工を完成させることができる。
したがって、本線トンネルと支線トンネルとの合流部を、NATM工法や開削工法などを併用することなく、経済的に構築することが可能である。
【0032】
請求項2記載にの発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られると共に、拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとが、シールド機本体から外側に突出された状態で、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能な形状に形成されているので、このシールド機によって本線トンネルと支線トンネルとをそれぞれ掘進し、これら本線トンネルと支線トンネルとの合流部においては、本線トンネルと支線トンネルとを寄り添わせるようにほぼD型断面に掘進することで二つのトンネルの断面の包絡線がほぼ円形になるようにした上で、この二つのトンネルを横に接続することで、ほぼ円形断面の覆工を完成させることができる。
したがって、本線トンネルと支線トンネルとの合流部を、NATM工法や開削工法などを併用することなく、経済的に構築することが可能である。また、本線トンネルと支線トンネルとの合流部の断面を力学的に安定的な形状に構築することができるので、特に大きな土圧を受ける大深度の地下空間において本線トンネルと支線トンネルとの合流部を構築するのに適したシールド機となる。
【0033】
また、請求項1に記載の発明によれば、シールド機本体のスキンプレートに沿って摺動させることで、収納された拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとを、このシールド機本体のスキンプレートとほぼ連続する状態に隠蔽し、又露出することが可能なカバー部材が備えられているので、これら拡径部用カッタと拡径部用スキンプレートとをシールド機本体内に収納した状態でシールド機本体の断面形状のシールド坑を掘進する際に、シールド機本体のスキンプレートとカバー部材とによってシールド坑の坑壁を保持しつつ、シールド機を円滑に掘進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド機によるシールドトンネルの掘削状況の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るシールド機の動作の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るシールド機の一例の詳細を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るシールド機の動作の一例を示す上面図及び断面図である。
【図5】本発明に係るシールド機の動作の一例を示す断面詳細図である。
【図6】本発明に係るシールド機の動作の他の一例を示す断面詳細図である。
【図7】本発明に係るシールド機によるシールドトンネルの掘削状況の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,2 シールド機
11,21 シールド機本体
12,22 カッタ
13,23 スキンプレート
14,24 拡径部用カッタ
15,25 拡径部用スキンプレート
16,26 カバー部材

Claims (2)

  1. シールド機本体の前方に、このシールド機本体とほぼ同断面形状のシールド坑を掘削可能なカッタが備えられると共に、
    前記シールド機本体に、このシールド機本体の断面の外側を掘削可能な拡径部用カッタと、この拡径部用カッタによって掘削された坑壁内面を被覆可能な拡径部用スキンプレートとが、前記シールド機本体から側方に突出し又このシールド機本体内に収納可能となるように備えられているシールド機であって、
    前記シールド機本体のスキンプレートに沿って摺動させることで、収納された前記拡径部用カッタと前記拡径部用スキンプレートとを、このシールド機本体のスキンプレートとほぼ連続する状態に遮蔽し、又露出させることが可能なカバー部材が備えられていることを特徴とするシールド機。
  2. 前記拡径部用カッタと前記拡径部用スキンプレートとが、前記シールド機本体から外側に突出された状態で、ほぼD型断面のシールド坑を掘進可能な形状に形成され、かつ上下一対で前記シールド機本体に備えられていること
    を特徴とする請求項1に記載のシールド機。
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