JP4172020B2 - シールド掘削機、シールドトンネルの拡大構築方法及びシールドトンネルの縮小築造方法 - Google Patents

シールド掘削機、シールドトンネルの拡大構築方法及びシールドトンネルの縮小築造方法 Download PDF

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本発明は、標準断面坑と拡幅坑の双方を掘進可能な拡大機能を備えたシールド掘削機に関する。
一般のシールド工法では、シールド掘削機本体の前方にカッターとその駆動装置を、後方にセグメントで覆工を構築するセグメント組立機を、そして中間部に掘削機を前進させる推進装置等を備え、これらの装置をリングガーダーで補剛された略円筒状のスキンプレートで覆っていて、前方でカッターを駆動装置で回転させて推進装置でシールド掘削機を前進させ、後方でセグメントを組立てて覆工を構築しながらシールドトンネルを築造している。
こうしたシールドトンネルは、とりわけ都市部における道路や鉄道等のトンネル構造において重要性が増してきており、ますます長距離掘進、大深度化が求められているが、シールドトンネルでは、その途中で部分的に拡幅されたドンネルが必要となることが多い。例えば、地下鉄等の鉄道トンネルの場合は500m〜1000m毎に駅部を設けねばならず、また道路トンネルの場合は約500m毎に非常駐車帯を設けたり分岐のための加減速車線を設けなければならない、といった事情等によるものである。
従来、トンネル内に拡幅部を築造する方法としては、開削工法、所定断面をなす標準坑のシールドトンネルを築造後に部分的にセグメントを取り外して拡幅坑を掘削・覆工する工法、あるいは拡幅坑専用のシールド掘削機を用いる工法、等が実施されてきた。
特許第2677903号公報
このような中、開削工法においては、地上用地を長期間占有するなど、周辺環境に与える影響は大きく、工事が非常に大規模となってしまう。また、シールドトンネルを築造後に部分的にセグメントを取り外して拡幅坑を掘進・覆工する工法においては、一旦覆工したセグメントを取り外すために無駄が多いとともに、土水圧に対する地盤改良を必要とする。更に、拡幅坑専用のシールド掘削機を用いる工法においては、シールド掘削機の分解・搬送及び組立てといった作業を伴わなければならない。このように従来の方法では、多大な労力、工費を要するとともに、工期の長期化を招く結果となっている。こうしたことから、トンネル路線のうち、任意の一部を所定必要断面に拡大し、必要延長を掘進後元の断面に戻る機能を備えた経済的なシールド掘削機の開発が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、トンネルの深度、作用土圧・水圧などの如何にかかわらず、安全かつ経済的な標準トンネル及び拡大トンネルの築造を容易として、工期の短縮及び工費の節減を図ることのできるシールド掘削機、シールドトンネルの拡大構築方法及びシールドトンネルの縮小築造方法を提供することを目的としている。
請求項1記載のシールド掘削機は、所要断面が標準坑に築造される標準トンネル部と、該標準トンネル部と比較して所要断面が拡大した拡幅坑に築造される拡大トンネル部を、トンネルの掘進方向に連続して築造するシールド掘削機であって、前部に前記標準トンネル部及び拡大トンネル部の両者を掘進するカッター、中間部に該カッターの駆動装置、及びシールド掘削機を前進させる推進装置、後部にセグメントで覆工を構築するセグメント組立機を備えるとともに、シールド掘削機本体の外周面を覆う略円筒状のスキンプレート、及びスキンプレート内周面に沿って配置されるリングガーターよりなる外郭と、該シールド掘削機の前部と中間部を区画する隔壁とを備えており、該外郭は、その断面を跨ぐように配置される分割線と外郭との交点を結ぶ2本の切断線で二つに分割され、前記隔壁も外郭の断面を跨ぐように配置される分割線で二つに分割されており、該分割線と外郭との交点を結ぶ一方の切断線に、シールド掘削機軸線方向に延在するヒンジが配置され、分割された前記外郭が前記ヒンジを介して連結されることで、該ヒンジを介して外殻の断面が拡大縮小自在に構成されることを特徴としている。
請求項2記載のシールド掘削機は、前記分割線と外郭との他方の交点を結ぶ切断線が、前記分割線と外郭との一方の交点を結ぶ切断線に設置されたヒンジの軸を中心とする円弧に形成された前記外殻の範囲内に配置されることを特徴としている。
請求項3記載のシールド掘削機は、前記外郭が、1対の前記切断線を介して左右に2分割されており、前記一方の切断線に配された前記ヒンジを介して連結された第1の外郭分割体及び第2の外郭分割体により構成され、該第1の外郭分割体及び該第2の外郭分割体の各々に、カッターが分割して備えられ、前記シールド掘削機は左右二つのシールド掘削機分割体に分割され、前記ヒンジを介して連結されていることを特徴としている。
請求項4記載のシールド掘削機は、前記分割された外郭が拡大された時に外郭に形成される開口部を閉塞するために、前記外郭には長手方向の形状及び部材長を前記ヒンジを中心とする円弧に形成した複数の肋材が備えられており、該肋材は、前記外殻の内周面上で、前記ヒンジを中心とする円弧に形成した所定部位に、長手方向を前記外郭の周方向に沿わせて、前記第1の外郭分割体及び前記第2の外郭分割体の両者を跨ぐように配置されるとともに、前記第1の外郭分割体の内周面と重なる肋材の部分を該外殻分割体に固定する該肋材と、前記第2の外郭分割体の内周面と重なる肋材の部分を該外殻分割体に固定する別の該肋材とをトンネル掘削機軸線方向に交互にトンネル掘削機の全長に亘って複数連接することを特徴としている。
請求項5記載のシールド掘削機は、前記肋材に、周方向への押圧力を作用させる動力装置が備えられていることを特徴としている。
請求項6記載のシールド掘削機は、前記分割された外郭が拡大された時に外郭に形成される開口部を閉塞するために、前記外郭には長手方向を、前記ヒンジを中心とする円弧に形成したカバープレートが備えられており、該カバープレートが、前記ヒンジを中心とする円弧に形成した所定部位に、長手方向を前記外郭の周方向に沿わせて、前記第1の外郭分割体及び第2の外郭分割体の両者を跨ぐように配置されることを特徴としている。
請求項7記載のシールド掘削機は、前記第1の外郭分割体と、前記第2の外郭分割体の間に、該分割体に周方向への押圧力を作用させる動力装置が備えられていることを特徴としている。
請求項8記載のシールド掘削機は、前記隔壁が第一の隔壁分割体と第二の隔壁分割体とに分割され、前記分割された外郭が拡大された時に、拡大に伴って分割される隔壁に形成される開口部を閉塞するために、前記隔壁の背面には、長手方向の形状と部材長を、その設置位置と前記ヒンジとの距離を半径とする円弧に形成した複数の曲線梁が備えられており、該曲線梁が、前記隔壁の背面の前記肋材上で、前記ヒンジを中心とする円弧に形成した所定部位に長手方向前記外郭の周方向に沿わせて、前記第一の隔壁分割体及び前記第二の隔壁分割体の両者とラップするように積み重ねて配置されるとともに、前記第一の隔壁分割体の背面と重なる曲線梁の部分を該隔壁分割体に固定する曲線梁と、前記第二の隔壁分割体の背面と重なる曲線梁の部分を該隔壁分割体に固定する別の曲線梁とを鉛直方向に交互に隔壁背面の全高に亘って複数連接することを特徴としている。
請求項9記載のシールド掘削機は、前記分割線と外郭との一方の交点が、外郭の頂部に設けられるとともに、他方の交点が、前記トンネルのインバート部に相当する外郭上に設けられることを特徴としている。
請求項10記載のシールドトンネルの拡大構築方法は、シールド掘削機の外郭に設けられたヒンジを介して拡大可能な外郭分割体とシールド掘削機前部にカッターを有するシールド掘削機を用いるシールドトンネルの拡大築造方法であって、拡大にあたりあらかじめ前記カッターで拡大断面部に沿って余堀掘進するとともに、その余堀部に充填材を充填した後、外郭分割体をセグメントの端面厚さよりも小さい量だけ拡幅して拡大し、拡幅坑用セグメントをセグメントの端面厚さよりも小さい量だけ拡大して組立てシールド掘削機を掘進させることにより、外郭分割体の拡大と前記セグメントの組立てとシールド掘削機の掘進とを所定の拡大断面になるまで順次繰り返すことを特徴としている。
請求項11記載のシールドトンネルの縮小構築方法は、シールド掘削機の外郭に設けられたヒンジを介して縮小可能な外郭分割体とシールド掘削機前部にカッターを有するシールド掘削機を用いるシールドトンネルの縮小築造方法であって、縮小にあたり、縮幅坑用セグメントをセグメントの端面厚さより小さい量だけ縮小して組立て、外郭分割体を縮小するとともに、充填材を縮小にあたって生じる空隙部分に充填してシールド掘削機を掘進することにより、前記セグメントの縮小組立てと外郭分割体の縮小とシールド掘削機の掘進とを所定の縮小断面になるまで順次繰り返すことを特徴としている。
請求項1記載のシールド掘削機によれば、分割された外郭がヒンジを介して連結されることで外郭の断面が拡大自在に構成されているので、拡大・縮小が回転によるものとなり、拡大の縮小の動作をスムーズに行うことが可能となる。
請求項2記載のシールド掘削機によれば、前記分割線と外郭との他方の交点を結ぶ切断線が、一方の交点を結ぶ切断線上に設置されたヒンジの軸を中心とする円弧に形成された外殻の範囲内に配置されるから、前記ヒンジ構造を中心としてシールド掘削機の左右の略半円筒状の部分を外側、あるいは内側に回転させたとしても当該ヒンジ構造とシールド掘削機底部のスキンプレートの距離は変わらないことから、周方向の長さは変わるもののインバート部自身の形状は変わらない。したがって、トンネルのアーチ部及びアーチ脚部に加えて、インバート部においても、標準坑と拡大坑で同一形状のセグメントが使用することが可能となる。
請求項3記載のシールド掘削機によれば、外郭分割体が左右二分割されているので、ほぼ断面全体に左右方向に拡大縮小する場合に好適に用いることが可能となる。
請求項4記載のシールド掘削機によれば、外郭が拡大された時の開口部を、前記第1の外郭分割体及び前記第2の外郭分割体の両者を跨ぐように配置され、トンネル掘削機の全長に亘って複数連接する肋材で閉塞する構成としたため、シールド掘削機を拡大したときに生じる外殻の開放部を覆うことができ、掘削時に発生する泥水や泥水、地下水等のシールド掘削機内への漏洩を防止することが可能となる。また、該開放部に肋材が配置されることにより、外殻の補剛部材として機能することとなり、開断面を組み合わせた形状となっているスキンプレートの剛性及び耐荷力を向上することが可能となる。
請求項5記載のシールド掘削機によれば、前記肋材に、周方向への押圧力を作用する動力装置が備えられているから、二つに分割されたシールド掘削機に作用する土圧、水圧を釣合わせ、ヒンジ構造の軸を中心に回転させるとともに、円弧の部材に導入された軸力が次第にスキンプレート、ひいては外殻に移行することで、当該シールド掘削機のスキンプレートを殼構造として設計可能となるよう境界条件を整え、スキンプレートの剛性・耐荷力を高めることが可能となる。
請求項6記載のシールド掘削機によれば、外郭が拡大された時の開口部を、前記第1の外郭分割体及び第2の外郭分割体の両者を跨ぐように配置されるカバープレートで閉塞する構成としたため、シールド掘削機を拡大したときに生じる外殻の開放部を覆うことができ、掘削時に発生する泥水や泥水、地下水等のシールド掘削機内への漏洩を防止することが可能となる。
請求項7記載のシールド掘削機によれば、前記カバープレートに、周方向への押圧力を作用する動力装置が備えられているから、二つに分割されたシールド掘削機に作用する土圧、水圧を釣合わせ、ヒンジ構造の軸を中心に回転させるとともに、円弧の部材に導入された軸力が次第にスキンプレート、ひいては外殻に移行することで、当該シールド掘削機のスキンプレートを殼構造として設計可能となるよう境界条件を整え、スキンプレートの剛性・耐荷力を高めることが可能となる。
請求項8記載のシールド掘削機によれば、前記分割線と外郭との一方の交点が、外郭の頂部に設けられ、他方の交点が、前記トンネルのインバート部に相当する外郭上に設けられるから、前記ヒンジがクラウン部に備えられていることから、二つの略半円筒状の部分に分割された第1の外郭分割体及び第2の外郭分割体に作用する土圧、水圧等の一部は、前記ヒンジ構造を介して釣合うことが可能となる。
請求項9記載のシールド掘削機によれば、外郭分割体が水平方向の左右に拡大縮小できるので、拡大断面が左右に広くなり、道路トンネル等の非常駐車帯、分岐合流部用として好適に用いられることとなる。
請求項10記載のシールドトンネルの拡大築造方法によれば、隣接するリング間の断面拡大量がセグメント端面厚さよりも小さいので、拡幅坑用セグメントの端面に開口が生じず、この開口を塞ぐための別途の対策を必要としない。
請求項11記載のシールドトンネルの縮小築造方法によれば、隣接するリング間の断面縮小量がセグメント端面厚さよりも小さいので、縮幅坑用セグメントの端面に開口が生じず、この開口を塞ぐための別途の対策を必要としない。
本発明に係るシールド掘削機について、図1から図13に示す図を参照して、以下に詳述する。本発明は、所要断面積の標準坑から拡大坑にいたる大きさの異なる断面を掘削し、標準坑から拡大坑までの大きさの異なる覆工をシールド掘削機後方の内部で構築し、これらの一連の作業を連続して円滑に行える機能を有するシールド掘削機を示すものである。
以下、シールド掘削機の掘進方向のシールド掘削機の軸線をシールド掘削機軸線と称し、また、シールド掘削機軸線に垂直な断面をシールドトンネル掘削機の断面と称す。
(シールド掘削機の各部の名称)
図1(a)に示すように、シールド掘削機Aは、前部Afに該シールド掘削機Aの前方の土層を掘進するカッター1、後部Arにセグメント2を組立てることにより覆工Bを構築するセグメント組立機3及び組立て直後の覆工の形状を保持するためのセグメント形状保持装置4、中間部Amに前記カッター1を駆動するカッター駆動装置5、及び覆工Bを押圧してその反力でシールド掘削機Aを前進させる推進装置6を備えている。
一方、上述するシールド掘削機Aの外側は外郭7で覆われており、外郭7はシールド掘削機Aの外側を覆う略円筒状のスキンプレート8、該スキンプレート8の前方、及び中央に設置されていて、該スキンプレート8を内側から補剛し、推進装置6等が設置されている前方及び中間のリングガーダー9f、9mを備えている。
また、該シールド掘削機Aは、前記外郭7の内方をシールド掘削機Aの前面にて前記カッター1で掘削を行うフード部(前部)Afと、シールド掘削機Aの後部にあって前記セグメント組立機3で覆工Bを構築するテール部(後部)Arと、その中間にあって前記カッター駆動装置5や推進装置6が設置されている中間部Amとに区分され、フード部Afと中間部Amとは、前方のリングガーダー9fに支持されている隔壁10で区画されている。
図1(b)に示すように、上述する前記シールド掘削機Aを構成する外郭7の頂部をクラウン部Ac、該クラウン部に接続する左右の円弧状の部分をアーチ部Aax、Aay、底部をインバート部Ai、アーチ部Aax、Aayとインバート部Aiを接続する左右の部分をアーチ脚部Asx、Asyと称す。
一般に、シールド掘削機Aの外郭7を構成するスキンプレート8の形状は、シールド掘削機Aが深い土中に置かれて周辺地盤からの土圧、水圧等の強い外力が作用することから、円形の閉断面構造を採用する例が多い。シールド掘削機Aの外郭7を構成するスキンプレート8の形態は円形ではないが、前記アーチ部Aax、Aayの断面形状は円弧状とし、インバート部Aiにおけるスキンプレート8の断面形状も前記クラウン部Acを中心とする半径Riの円弧としている。そして、これらアーチ部Aax、Aayの円弧状の部分とインバート部Aiの円弧を接続するアーチ脚部Asx、Asyの断面形状は、二つの曲線を滑らかに結ぶ円弧状の曲線としている。
(シールド掘削機Aの拡大機能)
上述する形状の略円筒形のスキンプレート8を備える外郭7は、図2(a)に示すように、該外郭7の断面を跨ぐように配置された分割線11と外郭7との一方の交点11ccをクラウン部Ac上に、他方の交点11ciをインバート部Ai上に配置し、該外郭7に配置される連続した交点をそれぞれ連結して得られる二本の切断線12cc、12ciで、シールド掘削機軸線方向にそって切断されている。このように、スキンプレート8のみでなく、これを内側から補剛している前方及び中間のリングガーダー9f、9mも同じ位置で切断することで、外郭7は、半円筒状の第1の外郭分割体7xと、第2の外郭分割体7yの二つの部分に分割される。従って、該外郭7を構成するスキンプレート8も第1のスキンプレート8xと第2のスキンプレート8yに、前方及び中間のリングガーダー9f、9mもそれぞれ第1の前方のリングガーダー9fx、第2の前方のリングガーダー9fy、及び第1の中間のリングガーダー9mx、第2の中間のリングガーダー9myに分割される。また、前記シールド掘削機Aも、該第1の外郭分割体7x、第2の外郭分割体7yの各々に、前述したカッター1、カッター駆動装置5、推進装置6等が分割して備えられていることから、第一のシールド掘削機分割体Axと第二のシールド掘削機分割体Ayに分割されることとなる。当然のことながら、シールド掘削機Aのフード部Afと中間部Amとを区分する隔壁10も分割線11で第一の隔壁分割体10x、及び第二の隔壁分割体10yに分割される。
シールド掘削機Aにおいて、クラウン部Acに配置された切断線12ccには、該シールド掘削機Aの軸方向に延在するヒンジ13が配置されており、分割された前記第1及び第2の外郭分割体7x、7yは該ヒンジ13を介して連結されており、従って、第一のシールド掘削機分割体Ax、及び第二のシールド掘削機分割体Ayも該ヒンジ13を介して連結されることとなる。
なお、上記では分割線11と該外郭7との一方の交点11ccをクラウン部Acに、他方の交点11ciをインバート部Ai上に配置するとしているが、実態としては一方の交点11ccはクラウン部Acに設置されているヒンジ13の軸に配置されることとなる。また、該シールド掘削機Aのクラウン部Acにある該ヒンジ13の軸は、前記インバート部Aiにおけるスキンプレート8の断面形状を形成する円弧の中心と同じ位置に配置することとする。
上記では、分割線11と該外郭7との一方の交点11ccをクラウン部Ac、即ちヒンジ13の軸に配置し、他方の交点11ciをインバート部Ai上に配置するとしているが、該外郭7の断面を跨ぐように配置される分割線11は、前記他方の交点11ciが、一方の交点11cc、即ちヒンジ13の軸を中心とする円弧に形成された外郭7の範囲内に配置されていれば、何れの位置に配置しても良い。また、図2(b)に示すように、交点11cc、即ちヒンジ13の軸を通る分割線11の他方の交点11ciが、外郭7上の一方の交点11cc、即ちヒンジ13の軸を中心とする円弧に形成された範囲内に配置されていれば、複数本あって差し支えない。更に、図3に示すように、交点11cc、即ちヒンジ13の軸と交点11ciの組合せも、それぞれを結ぶ分割線11がスキンプレート8の内側で交差しなければ幾組あっても差し支えない。
なお、前記外郭7を分割する分割線11とインバート部Aiのスキンプレート8との交点11ciと、前記隔壁10を分割する分割線11とインバート部Aiのスキンプレート8との交点11ciとは必ずしも同じ位置でなくてよい。
図4(a)に示すように、前記外郭7を構成する第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yの各々に備えられた第1及び第2のスキンプレート8x、8yのクラウン部Acに位置する端辺8xt、8ytは、クラウン部Acに挿入されたヒンジ13の両側に接続されることとなる。また、該第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yの各々に備えられており、スキンプレート8を内側から補剛している前記リングガーダー9f、9fを二つに分割した第1及び第2の前方のリングガーダー9fx、9fy、及び第1及び第2の中間のリングガーダー9mx、9myのクラウン部Acに位置する端辺も、前記ヒンジ13の両側に接続されることとなる。
このことにより、左右の外郭分割体の切断線12ccに作用している力は当該ヒンジ13を介して釣合うこととなる。このとき、二つに分割された前記第1及び第2の前方のリングガーダー9fx、9fy、及び第1及び第2の中間のリングガーダー9mx、9myに作用する力を、当該ヒンジ構造13を介して円滑に伝達し釣合わせる必要があるため、図5(a)(b)に示すように、該第1及び第2のリングガーダー9f、9mのヒンジ13に接続する端部は、順次桁高を小さくし桁幅を大きく設定している。
図4(b)に示すように、二つに分割された略半円筒状の第1及び第2のスキンプレート8x、8y及び第1及び第2の前方のリングガーダー9fx、9fy及び第1及び第2の中間のリングガーダー9mx、9myよりなる第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yは、クラウン部Acに挿入したヒンジ13を介して接続することで、該ヒンジ13の軸を中心として回転可能となり、外側に回転させることで外殻7の形状の拡大が、内側に回転させることで外殻7の形状の縮小が実施されることとなる。これに伴い、シールド掘削機Aを二つに分割した第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ayはヒンジ13を介して接続され、その断面の拡大及び縮小を自在とする構成を備えることとなる。
該シールド掘削機Aは、上述の如くその断面の拡大・縮小を自在とする構造を備えることが可能となったが、しかし、図4(b)に示すようにシールド掘削機Aの断面を拡大すると、外郭7の切断線12ci、即ち第1の外郭分割体7xと第2の外郭分割体7yの間には開口部GSが生じ、また、隔壁10の0分割線、即ち隔壁分割体10xと10yの間にも開口部GBが生じるため、当該シールド掘削機Aを実用可能なものとするためには開口部GS、GBを閉塞することが不可欠である。
(外郭の開口部を閉塞する第一の実施の形態)
前記分割線11と外郭7のインバート部Aiでの交点11ci、即ち、切断線12ciをインバート部Aiの中央部に設置した場合の開口部GSの閉塞方法の一つを以下に示す。
シールド掘削機Aの外郭7には、図6(a)に示すように、その長さがシールド掘削機Aのインバート部Aiの円弧の長さに略等しく、且つその形状がヒンジ13の軸を中心とする半径Rrの部材でその下縁の形状が当該部分のスキンプレート8の上縁と同じである肋材14が備えられている。該肋材14は、長手方向をシールド掘削機軸線に直行する方向、つまり、外郭7の周方向に沿うように向けて、インバート部Aiにおける第1及び第2の外郭分割体7x、7yを構成する第1及び第2のスキンプレート8x、8yの両者に跨るように、これらの上面に配置されている。
このとき、該肋材14は、前記第一の外郭分割体7xの内周面と重なっている肋材の部分14efxを該外郭分割体7xに固定している肋材14eと、前記第二の外郭分割体7yの内周面と重なっている肋材の部分14ffxを該外郭分割体7yに固定している別の肋材14fとを、互いに干渉しない位置でシールド掘削機軸線方向に該シールド掘削機の全長に亘って所定の隙間間隔をもって交互に連接されている。
これにより、第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yがヒンジ13を中心に外側に回転して両者の間に開口部GSが生じた際にも、該開口部GSは全長に亘って連接された複数の肋材14e、14fが構成する曲面によって覆われることとなる。
即ち、図6(b)に示すように、前記シールド掘削機Aを構成するシールド掘削機分割体Ax、Ayは、前記ヒンジ13の軸を中心にインバート部Aiに形成される開放部GSの幅を、前記肋材14の長さの半分を限度として外側に回転された場合にも、前記インバート部Aiに位置する第1の外郭分割体7xと前記第2の外郭分割体7yとの間の開口部GSは、前記肋材14が構成する曲面で覆われて閉塞されるため、シールド掘削機Aの第1のスキンプレート8xと第2のスキンプレート8yの間には、開口部が生じることはない。
なお、隣り合う肋材14e、14fの隙間から、シールド掘削機Aでの掘削作業により発生する泥水や地下水等が、シールド掘削機Aの内部へ進入することを防止する目的で、該肋材14には、図示しないシール構造が採用されており、隣り合う肋材14e、14fの隙間は、該シール構造を設置するのに必要にして十分な最小寸法を確保することとする。
また、図6(a)(b)に示すように、スキンプレート8x、8yに固定されている肋材14e、14fの部分14efx、14ffxの端部は、アーチ脚部Asx,Asy、若しくは該アーチ脚部Asx、Asyに接続しているアーチ部Aax,Aayの部分でその部材高を減少させることとし、更に、セグメント2を組立てるシールド掘削機Aのテール部Arのインバート部Aiに用いられる肋材14については、その上縁も前記ヒンジ構造13の軸を中心とする円弧とする。
上記では、シールド掘削機Aの断面の拡大・縮小を可能とするため、シールド掘削機Aを第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ayに分割する構成としており、スキンプレート8を備える外郭7を、第1及び第2の外郭分割体7x、7yの二つの半円筒状の部分に分割した開断面の部材の組合せとしている。このため、シールド掘削機Aは全体としての曲げ剛性やせん断剛性、並びに捩れ剛性が低下することとなる。特に、インバート部分Aiにおける前記第1及び第2のスキンプレート8x、8yは、フード部Afやテール部Arでは2辺が自由端となり、また、中間部Amでは1辺が自由端となる板構造となるため、円筒形の閉断面構造となっている一般のシールド掘削機Aにおけるインバー卜部分のスキンプレートに比較して、剛性及び耐荷力の低下は著しい。
しかし、本実施の形態では、図6に示すように、インバート部分Aiにおける前記第1及び第2のスキンプレート8x、8yに対して、それぞれ肋材14e、14fをトンネル掘削機A軸方向に複数設置し固定して該外郭7を構成している。このため、本実施の形態におけるシールド掘削機Aのインバート部分Aiにおける肋材14は、シールド掘削機Aの開放部GSを閉塞する機能だけでなく、インバート部分Aiにおけるスキンプレート8の補剛効果をも有することとなる。
当然のことながら、該肋材14はシールド掘削機Aのインバート部Aiに作用する土圧や地下水圧によって変形することとなるが、交互に配置される肋材14e、14fが固定されている第1及び第2のスキンプレート8x、8yが略左右対称となっていることから、該肋材14e、14fの変形も略左右対称となる。このため、該肋材14e、14fは、荷重が作用することで肋材14が構成する曲面の面外への変形が生じるだけでなく、隣り合う曲線梁14e、14fの面外方向の変形にずれが生じることとなる
このことは、前記のシール構造の機能を損なう可能性があるため、隣り合う肋材14e、14fの間の面外への変形のずれをお互いに拘束する構造としておく必要がある。一方、このような隣り合う肋材14e、14fのそれぞれを拘束する機構は肋材14の剛性を増す機能を有しており、ひいては、インバート部Aiの外殻の剛性を高め、耐荷力を向上させる効果をもつこととなる。
前記肋材14には、肋材14eの前記第1のスキンプレート8xに固定されていない一方の端部14efrと、これと隣り合う肋材14fの第2のスキンプレート8yに固定されている14ffxとの間に、前記シールド掘削機Aのシールド掘削機分割体Ax、Ayを、前記ヒンジ構造13の軸を中心に回転させるための動力装置15を設置することとする。
このことにより、二つに分割された第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ay各々を構成する第1の外郭分割体7xと前記第2の外郭分割体7yに作用する土圧・水圧は、シールド掘削機Aのクラウン部Acに挿入した前記ヒンジ構造13及びインバート部Aiに配置された複数の前記肋材14に設置した動力装置15を介して釣合うこととなる。
また、インバート部Aiにおいて、前記第1及び第2のスキンプレート8x、8yに交互に固定した前記肋材14e、14fは、インバート部Aiにおける前記第1及び第2の外郭分割体7x、7yに係る補剛効果だけでなく、前記動力装置15を介して14e、14fに導入された軸力が、徐々に第1及び第2のスキンプレート8x、8y、ひいては前記第1及び第2の外郭分割体7x、7yに移行する。これにより、シールド掘削機A全体の剛性を高め、前記第1の外郭分割体7xと前記第2の外郭分割体7yの耐荷力を著しく向上させることとなる。
(外郭の開口部を閉塞する第二の実施の形態)
外郭7の開口部を閉塞する第1の実施の形態では、前記シールド掘削機Aについて、第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ayの両者を外側に回転した際に、前記第1の外郭分割体7xと第2の外郭分割体7yとの間の開口部GSを、複数の前記肋材14を介して閉鎖する構成を示した。外郭7の開口部を閉塞する第2の実施の形態では、該肋材14に代わり、前記第1の外郭分割体7xと第2の外郭分割体7yとの間に、両者を跨ぐかたちで板構造を設置し開口部GSを塞ぐ構成を以下に示す。
なお、この実施の形態では前記分割線11とインバー部での外郭7との交点11ci、即ち、切断線12ciの位置はインバートAiの中央に限定する必要はない。
前記第1の外郭分割体7xと第2の外郭分割体7yとの間に生じる開口部GSを閉塞するためのもう一つの方法として、図7(a)に示すようにカバープレート16を用いることができる。該カバープレート16は、長手方向に前記スキンプレート8のインバート部Aiと同様の円弧が形成されており、奥行き方向は、前記外郭7の全長と同様に形成されている。
この場合、分割線11と外郭7との他方の交点11ci、即ち、切断線12ciがインバート部Aiのスキンプレートの中央近傍にある場合は、図示しない装置で支持したカバープレート16を、長手方向を第1の外郭分割体7xを構成するスキンプレート8xと前記第2の外郭分割体7yを構成するスキンプレート8yの両者の周方向に沿わせて、また両者に跨るように配置する。
また、図7(c)(d)に示すように、分割線11と外郭7との他方の交点11ci、即ち、切断線12ciがインバートAiのアーチ脚部Asy近傍にある場合は、アーチ脚部Asy側のスキンプレート8yの切断部分にシールド掘削機Aの内側、若しくは外側に所定の寸法の段差を設けるために部材17を取付け、該部材17にカバープレート16をインバート部Aiのスキンプレート8に平行に取付けるものとする。
なお、該カバープレート16は、図7(a)(b)(c)(d)に示すように、これらスキンプレート8の内周面側もしくは外周面側の何れに設置する構成としても良く、また内周面と外周面の両者に配置する構成としても良い。
該カバープレート16は、インバート部Aiのスキンプレート8と所要の間隔をもったラップ構造を形成し、このラップ構造に図示しないシール構造を配置することでシールド掘削機Aへの泥水や地下水の等の漏洩を防ぐものである。
したがって、前記外殻7にカバープレート16を配置する際の両者の間隔は、ラップ構造における泥水・泥水や地下水のシールド掘削機内への漏洩を防止するのに必要にして十分な最小寸法に設定しておくものとする。
また、該カバープレート16の曲面方向、つまり前記外郭7の周方向の部材長は、前記スキンプレート8のインバート部Aiの長さを上限とするが、この場合における該シールド掘削機Aのトンネル断面の拡幅量Δrは、前記カバープレート16の曲面方向、つまり前記外郭7の周方向の部材長を上限とすることになる。
なお、該シールド掘削機Aの第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ayを、前記ヒンジ構造13の軸を中心に回転させるためには、この実施の形態においても第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ay分割体との間に図示しない動力装置を設置する必要があるが。
このような構成により、前記シールド掘削機Aの構成するシールド掘削機分割体Ax、Ayは、前記カバープレート16の曲面方向、つまり前記外殻7の周方向の部材長を限度として外側に回転された場合にも、外殻分割体7xと7yの間に生じる開口部GSは、前記カバープレート16で覆われて閉鎖されるため、シールド掘削機Aのインバート分Aiに開口部が生じることはない。
なお、外郭分割体7x及び7y間の開口部GBの閉塞方法は上記の二つの方法に限るものではない。
(隔壁の開口部を閉塞する第1の実施の形態)
前記隔壁の分割線11とインバート部Aiでの外郭7との交点11ciをインバート部Aiの中央部に設置した場合の隔壁10の開口部GBの閉塞方法の一つを以下に示す。
シールド掘削機Aの左右の第1及び第2の隔壁分割体10x、10yの背面には、図8(a)、(b)に示すように、その長さがシールド掘削機Aの該部材が設置されている位置での外郭7の内法寸法に略等しく、且つその形状が前記ヒンジ13の軸を中心として、該ヒンジ13の軸と該部材が設置されている位置との距離を半径とする曲線梁18が備えられている。
該曲線梁18は、長手方向をシールド掘削機軸線に直交する方向、つまりインバート部Aiにおける外郭7の周方向に平行な方向に、隔壁10の第一の隔壁分割体10xと、第二の隔壁分割体10yの両者にラップするように、隔壁10の背後のインバート部Aiの肋材14の上縁から該隔壁10の上端まで積み重ねられている。
このとき、該曲線梁18は、図8(c)に示すように、前記第一の隔壁分割体10xの内周面と重なっている曲線梁の部分18mfxを該第1の隔壁分割体10xに固定している曲線梁18mと、前記第二の隔壁分割体10yの内周面と重なっている曲線梁の部分18nfyを該第2の隔壁分割体10yに固定している別の曲線梁18nとを、互いに干渉しない位置でシールド掘削機Aの隔壁10の高さ方向に該隔壁10の全高に亘って所定の隙間間隔をもって交互に連接されている。
このことにより、第一の外郭分割体7x及び第二の外郭分割体7yが、ヒンジ13を中心に外側に回転して両者の間に開口部GBが生じた際にも、図8(d)に示すように、該開口部GBは全高さに亘って連接された複数の曲線梁18が構成する平面によって覆われることとなる。
なお、第1及び第2の隔壁分割体10x、10yの開口部GBを閉塞する曲線梁18m、18nの上下に重なり合う部分の幅は、曲線梁18m、18nの第1及び第2の隔壁分割体7x、7yから突出している部分の長さを上限とするところから、シールド掘削機Aが出来るだけ拡幅幅の大きい拡大坑を掘削可能とするためには、曲線梁18の長さはシールド掘削機Aの他の構造部分と干渉しない範囲内で出来るだけ長くすることが望ましい。
一般のシールド掘削機において、カッター及びカッター駆動装置は、隔壁並びに隔壁を支持しているリングガーダーに装置されているが、該シールド掘削機Aにおいても、カッター1及びカッター駆動装置5は、隔壁10、詳しくは第1及び第2の隔壁分割体10x、10yと、隔壁10を支持している前方のリングガーダー9fに装置されることとなる。従って、曲線梁18m、18nによって隔壁分割体7x、7yの開口部GBを閉塞する場合には、該曲線梁18の梁高は上記のカッター駆動装置5が装置可能な高さとし、同時に、第1及び第2の隔壁分割体10x、10yへのカッター1及びカッター駆動装置5の配置においては、曲線梁18m、18nと干渉することのないような注意が必要である。
また、外郭分割体7x及び7yが、ヒンジ構造13を中心に外側に回転して、隣り合う曲線梁18m、18nの隙間から、シールド掘削機Aにおける掘削作業により発生する泥水や地下水等が、シールド掘削機Aの内部へ進入することを防止する目的で、曲線梁18には、図示しないシール構造が採用されており、該シール構造を設置するのに必要にして十分な最小寸法を確保することとする。
当然のことながら、該曲線梁18は、シールド掘削機Aのフード部Afに貯留される泥土、泥水等の圧力によって曲線梁18m、18nによって構成される平面の面外に変形することとなり、隣り合う曲線梁18m、18nの面外方向の変形にずれが生じることとなる。このことは、前記のシール構造の機能を損なう可能性があるため、隣り合う曲線梁18m、18nの間の面外への変形のずれを抑制する機構を装置する必要がある。そこで、曲線梁18m、18nの重なり合う面には該曲線梁の面外変形が略同じとなるような図示しない機構を装置するものとする。例えば、曲線梁18m、18nの重なり合う面に梁の延長方向にそれぞれ凹凸を形成して嵌合させ、摺動自在となるようにしてもよい。
このような隣り合う曲線梁18m、18nのそれぞれの変形を拘束する機構は曲線梁18の剛性を増す機能も有しており、ひいては、隔壁10の耐荷力を向上させる効果をもつこととなる。したがって、隔壁の開口部を閉塞する第1の実施の方式は、大断面のシールド掘削機に対応することができる。
(隔壁の開口部を閉塞する第二の実施の形態)
隔壁の開口部を閉塞する第1の実施の形態では、前記シールド掘削機Aについて、シールド掘削機分割体Ax、Ayの両者を外側に回転した際に、前記第1の隔壁分割体10xと第2の隔壁分割体10yとの間に生じる開口部GBを、複数の曲線梁18を介して閉鎖する構成を示したが、それに代わり、可能であれば、前記第1の隔壁分割体7xと第2の隔壁分割体7yとの間に、折りたたみ可能な折板構造21を設置し開口部GBを塞ぐようにしても良く、参考までにその場合の構成例を第二の実施の形態として以下に示す。
なお、この実施の形態では前記隔壁10の分割線11とインバー部Aiでの外郭7との交点11ciの位置はインバートAiの中央部に限定する必要はない。
前記隔壁10の開口部GBには、図9(a)(b)に示すような隔壁の背面に位置する肋材14の上縁と同じ半径を有する扇形であって、その先端が半径rで切除されている複数の部材19のそれぞれの半径方向の辺をヒンジ20で連結した折板構造21が備えられていて、該折板構造21の一方の端辺21xを一方の隔壁分割体10xの切断端辺に、該折板構造21の他方の端辺21yを他方の隔壁分割体10yの切断端辺にヒンジ構造22x、22yを介して連結し、開放部GBが閉じられた状態では、折板構造21は折畳まれ、第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yがヒンジ13を中心に外側に回転して開口部GBが開放されている状態では、折板構造21は展開されて開口部GBを閉塞することとなる。
なお、該折板構造21は、シールド掘削機Aのフード部Afに貯留される泥土、泥水等の圧力によって後方に変形しようとするが、これに対しては該折板構造21の変形を拘束する機構が別途必要である。
この実施の方法では、該折板構造21の先端部分は半径rで切除されていて別途の開口部が生じるが、この開口部の閉塞は第1及び第2の隔壁分割体10x、10yの該当する部位の隔壁部分をヒンジ13を中心として周方向に延伸し、ラップ構造とすること等の方法で閉塞することができる。また、該折板構造21と肋材14との間には図示しないシール構造が採用される。
また、カッター1及びカッター駆動装置5は第1及び第2の隔壁分割体10x、10yと、隔壁10を支持しているリングガーダー9fx、9fyに装置されることとなるが、隔壁の開口部を閉塞する第二の実施の方法によれば、該装置等が装置される部分における開口部GBを閉塞する装置等との干渉の可能性は少ない。。
もちろん、隔壁分割体10xと10yの間の開口部GBの閉塞方法は上記二つの方法に限るものではない。
(シールド掘削機に使用するカッターの例)
ところで、シールド掘削機Aの前方には、所要断面積の標準坑と拡大坑の両者を掘進できるカッター1が備えられている。該カッター1としては、円形断面を掘削する場合に使用される面版式カッターに外周余掘り機構を装置したもの、任意断面の掘削が可能とするスポーク式カッター、及び外周及び中心部の余掘り機構を装置した偏心多軸の並進回転するフレーム式カッター等、一般に用いられているカッターを一部改良したものが適用可能と考えられるが、上記カッターの何れを採用するかは、拡幅坑の標準坑に対する拡大の比率、隔壁10を分割する分割線の配置位置、並びに隔壁10の開口部の閉塞方法等によって異なることになる。
上述の如く、該シールド掘削機Aは、標準坑掘削に連続して拡大坑を掘削するために、該シールド掘削機Aのクラウン部Ac及びそれと対向するインバート部Aiの中央の二箇所において、シールド掘削機軸線方向に沿って切断し、このうちのクラウン部Acの切断箇所にヒンジ13を挿入して、二つに分割された第1及び第2のシールド掘削機分割Ax及びAyをそれぞれヒンジ13の両側に連結することで、該第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax及びAyはヒンジ13の軸を中心に回転可能とし、シールド掘削機Aの断面の拡大・縮小を可能としているが、これによって、カッター1やカッター駆動装置5を取付ける隔壁10も第1及び第2の隔壁分割体10x、10yに分割されることから、特に大断面の掘削を目的としたシールド掘削機Aにおいてはカッター1やカッター駆動装置5も二つに分割して、それぞれを第1及び第2の隔壁分割体10x、10yに装置して所要の機能を発揮できるものが望ましい。
以下では、前記隔壁10の開口部を閉塞する第一の実施の形態を採用した拡大比率の大きい大断面のシールド掘削機Aに適していると思われる余掘り機構を装置した偏心多軸の並進回転するフレーム式カッター1fを採用した場合の構成を詳述する。
一般に、偏心多軸の並進回転するフレーム式カッター1fは、掘削断面に略相似な形状のフレームに、カッタービットを装着したカッターヘッドを配置し、カッターを複数の回転軸で偏心して支持し、回転軸を同一方向に回転させることでカッターヘッドを並進回転して所要の断面形状のトンネルを掘削するものである。
そこで、該シールド掘削機Aにおいては、図10に示すように、偏心多軸の並進回転するフレーム式カッター1fを左右二つの拡幅坑掘削用カッター1fx、1fyに分割し、それぞれに余掘り機構を装着するとともに、それらを駆動するカッター駆動装置5も左右二つのカッター駆動装置5x、5yに分割して、それぞれ左右二つに分割された第1及び第2の隔壁分割体10x、10yに取付ける構成とする。
即ち、標準坑と略相似な形状のフレームに、図示しないカッタービットを装着したカッターヘッドを左右二つに分割し、該カッターヘッドに外周余堀り機構として、前記トンネル掘削機Aのアーチ部Aax,Aayとアーチ脚部Asx,Asyと同様の形状を有するフレームにカッタービットを装着したオーバーカッターを上記カッターヘッドに取付け、上端を左右に回転可能なようなヒンジとし、下端に当該オーバーカッターを適宜角度まで回転可能とする動力装置を取付け、第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ayをヒンジ13を中心に外側に回転した際に掘削不可となる部分を掘削するために、該カッターヘッドに外周余掘り機構と同様な機能を有する中心部余彫り機構を装着したフレーム式カッター1fxと1fyをそれぞれ複数の回転軸で偏心して支持し、回転軸を同一方向に回転させることでカッターヘッドを並進回転して所要の断面を掘削するものである。
なお、該隔壁10の開口部を前記第一の実施の形態を採用して閉塞した場合、第1の隔壁分割体10xと曲線梁18f、及び第2の隔壁分割体10yと曲線梁18eが重なり合う部分では、その位置関係が相対的に変化することとなるため、この部分についてはカッター駆動装置を装置することができない。
また、拡大坑の掘削におけるフレーム式カッターヘッド1fの外周部及び中心部の掘削については、該フレーム式カッターヘッド1fx及び1fyの方式に限るものではなく、該フレーム式カッターヘッド以外に設けた掘削装置等で余彫り部分を掘削する構成としても良い。
(拡幅坑の施工)
前述するシールド掘削機Aを用いて、標準坑を掘進した後、連続して掘削断面を拡大もしくは縮小して掘削する掘削方法を以下に示す。
(標準坑の掘削)
該シールド掘削機Aで標準坑を掘削する場合には、図1(a)や図10に示すように、まず、第1の工程としてフレーム式カッター1fの形状を標準断面が掘削できる形状に調整し、次に、第2の工程として、カッター駆動動力装置5でフレーム式カッター1fを駆動させ、シールド掘削機Aの推進装置6で既設の覆工Bを押圧して標準坑に使用するセグメント2sの幅に相当する長さを掘進し、第3の工程として、掘削機Aの後方のテール部Arでセグメント組立機3を用いて標準坑用のセグメント2sを組立て、セグメント形状保持装置4で覆工Bの形状を保持して覆工Bを構築する1サイクルを完了する。
なお、図11(a)に示すように、標準坑用のセグメン2sはトンネルのクラウン部Acに位置する頂部セグメント2sc、トンネルのインバート部Aiに位置に配置するインバート部セグメント2si、トンネルのアーチ部及びアーチ脚部に位置するアーチ部セグメント2sa、アーチ脚部セグメント2ssにより構成されている。
(掘削断面の拡大)
該シールド掘削機による掘削断面の拡大は、前述のように、二つに分割した第1及び第2の外郭分割体Ax、Ayをクラウン部Acに挿入したヒンジ13を介して接続し、該ヒンジ13の軸を中心として該外郭分割体を外側に回転させることで、シールド掘削機Aの第1及び第2の外郭分割体Ax、Ayの断面の拡大を行うものである。従って、シールド掘削機各部の拡幅量はクラウン部Acに挿入したヒンジ13からの距離に比例することになり、アーチ脚部で最大となる。
該シールド掘削機Aは覆工の1リング分を掘進する間に該シールド掘削機Aのアーチ脚部における拡幅量(拡大量)は該箇所におけるスキンプレート8と覆工の間の隙間の閉塞を目的として設置されている図示しないテールシールの調整可能な範囲としており1リング当たりの拡幅量は、全幅でおよそ5cm〜10cm程度である。
この程度の拡幅(拡大)量であれば、セグメント2の端面における厚さよりも小さいので、拡大にあたって隣接するセグメントリング間でセグメント端面にズレが生じても開口が生じない。したがって、セグメント端面に開口を塞ぐ妻部材等の別途の対策を施す必要がない。また、テールシールの調整可能な範囲にあるので、第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yを拡大する前に拡幅用セグメント2eを組立てることもできるので、この場合には拡幅工程が簡略化される。
以下に、シールド掘削機Aを用いて、上述の標準断面の掘削に引く続き連続して掘削断面の拡大を行う場合の手順を図12(a)〜(d)に示す。
第1段階として以下の工程を実施する。
第一の工程として、シールド掘削機Aの外郭の拡大を行うことなく、覆工Bの1リング当たりの拡幅量に相当する分だけ、前記フレーム式カッター1fの外周余掘り機構を伸張し、シールド掘削機Aの推進装置6で既設の標準坑用の覆工Bを押圧して、カッター1をカッター駆動動力装置5で並進回転させて所要の断面積を掘削し、セグメント2sの幅に相当する長さを掘進したのち、掘削機Aの後方のテール部Arでセグメント組立機3を用いて標準坑用のセグメント2sを組立て、セグメント形状保持装置4で覆工Bの形状を保持して覆工Bを構築する1サイクルを完了する。
以下、同様の作業を、シールド掘削機Aのトンネル軸線方向の長さをL、標準坑用のセグメント2sの幅をbとした場合にL/b回だけ繰り返す。なお、L/bが整数でないときは、L/bの値として、L/bを上回る最小の整数倍をもちいればよい。
この結果、シールド掘削機Aの前先端近傍の側面では、セグメント2の1リング当たりの拡幅量のL/b倍の余掘りが、シールド掘削機Aの後方端部近傍の側面では、セグメント2の1リング当たりの拡幅量相当分の余掘りがなされたことになる。なお、余掘りの結果生じるシールド掘削機Aの側面と土層の間の空隙部分には、充填材Zを注入して土層の崩落を防止することとする。
なお、該シールド掘削機Aで拡幅坑を掘進する場合の単位長さ当りの最大拡幅巾は、テールクリアランスをセグメント2Sの1リング長で除した程度の値となる。しかし、トンネル断面拡大のための余堀を前記のように1リングの長さ毎に段階的に拡大することではなく、掘進とともに拡大断面を包含するように徐々に拡大することでもよい。
次に、シールド掘削機Aの後方端部近傍でのシールド掘削機Aの側面と、土層の間の空隙部分がセグメント2sの1リング当たりの拡幅量となった時点以降の第二段階としては、以下の工程を実施する。
まず、第1の工程では、シールド掘削機Aを構成する前記シールド掘削機分割体Ax、Ayを、前記ヒンジ構造13の軸を中心にして外側にセグメント1リング当たりの拡幅量相当分だけ回転させることによりシールド掘削機Aの断面は1リング拡幅量相当分だけ拡大されることとなる。また、この時シールド掘削機Aのスキンプレート8と土層の間に注入された図示しない充填材Zは、拡幅相当分をシールド掘削機A内に取り込むものとし、第二の工程では、拡大されたシールド掘削機Aのテール部Arでセグメント組立機3を使用して、1リング当たりの拡幅量相当分だけ断面が拡大された拡幅坑用セグメント2eを組立て、セグメント形状保持装置4を用いて形状を保持して覆工Beの構築を行い、そして第三の工程では、新たに構築した覆工Beを推進装置6で押圧して拡幅坑用セグメント2eの1リング分だけ掘進し、以上の工程を完了して拡幅坑構築の1サイクルを完了する。
以下、シールド掘削機Aの第1及び第2の外郭分割体7x、7yの拡大と、セグメント2の拡大組み立てと、シールド掘削機Aの掘進とを、所定の拡大断面になるまで繰り返す。ちなみに、前記繰返し工程であるが、1リング当たりの拡大量がテールシールの調整範囲内にあるので、先にセグメント2の拡大組立てを行ってから、第1及び第2の外郭分割体7x、7yの拡大を行うかあるいは拡大を行いつつ、シールド掘削機Aを掘進させるようようにしても良い。
なお、シールド掘削機Aを構成する前記第1及び第2のシールド掘削機分割体Ax、Ayを、前記ヒンジ構造13の軸を中心にして外側にセグメント1リング当たりの拡幅量相当分だけ回転させる毎に二つに分割しフレーム式カッター1fも同時に外側に回転することとなるので、新たに該カッター1fの外周余掘り機構を伸張する必要はない
前記の拡幅坑用セグメント2eも、図11(b)に示すように、標準坑のセグメント2sと同様で頂部セグメント2ec、底部セグメント2ei、アーチ部セグメント2ea、及びアーチ脚部セグメント2esからなり、このうち、頂部セグメント2eはヒンジ13を中心に第1及び第2の外郭分割体7x、7yを回転させることで標準坑の頂部セグメント2sとは多少の差異が生じ、底部セグメント2eiもヒンジ13を中心に外郭分割体を回転させることで標準坑よりその周方向の延長は増大し、セグメント2eiの一部のものについてその長さを長くする必要がある。
また、アーチ部セグメント2ea及びアーチ脚部セグメント2esについては、先行する同位置の覆工セグメントに比して、ヒンジ13からの距離に比例して各位置の拡幅量に応じたずれを生じることとなる。したがって、拡幅坑用セグメント2eにおいて、上述のずれが強度上や、施工中や覆工構築後の止水性能上の問題がなければ、アーチ部セグメント2ec、底部セグメント2ei、及びアーチ脚部セグメント2esは、特にセグメント端面に妻部材等の別途の対策を施していない標準坑用のセグメント2sと同一の構造・寸法のものが使用できる。
しかし、拡幅坑用セグメント2eが上述のずれに強度上あるいは止水性能上の問題が生じた場合は、その部分の拡幅坑セグメント2eについては、幅、長さは同じであっても、厚さ及び止水シールの位置に必要な対応処置を講じたものを使用する必要がある。
次に、シールド掘削機Aの前方での掘削面積が所定の断面となった時点以降の第三段階としては、以下の工程を実施する。
即ち、第二段階の最初の工程に先立って、フレーム式カッター1fの外周余掘り機構を1リング拡幅量相当分だけ縮小したのち、第二段階と同じ工程を該フレーム式カッター1fの外周余掘り機構が標準坑掘削の状態に復元するまで繰り返す。該フレーム式カッター1fの外周余掘り機構が標準坑掘削の状態に復元した時点で、シールド掘削機Aの全長に亘ってシールド掘削機Aの側面と土層の間の空隙部分はなくなり、以降、シールド掘削機Aは目的とする拡幅坑を連続して掘進可能なものとなる。
(掘削断面の縮小)
拡大もしくは縮小可能なシールド掘削機Aを用いて、上述の拡大断面の掘削に引き続き連続して掘削断面の縮小を行う場合の手順を図13(a)〜(f)に示す。
まず、第1の工程では、拡大されたシールド掘削機Aのテール部Arでセグメント組立機3を使用して、直前に構築された覆工より1リング当たりの縮幅量相当分だけ断面が縮小された拡幅坑用セグメント(縮幅用セグメント)2eを組立て、セグメント形状保持装置4を用いて形状を保持して覆工Beの構築を行う。
ここで、1リング当たりの縮幅(縮小)量相当分とは、前記の拡幅時における1リング当たりの拡幅量(拡大量)とほぼ同じであり、シールド掘削機Aのテールシールの調整可能な範囲であり、全幅でおよそ5cm〜10cm程度である。この程度の拡幅量であれば、セグメント2の端面における厚さよりも小さいので、縮幅にあたって隣接するセグメントリング間でセグメント端面にズレが生じても開口が生じない。したがって、セグメント端面に開口を塞ぐ妻部材等の別途の対策を施す必要がない。また、テールシールの調整可能な範囲にあるので、第1及び第2の外郭分割体7x、7yを縮小する前に縮幅用セグメント2eを組立てることができるので、縮幅工程が簡略化される。
第二の工程では、シールド掘削機Aを若干前進させてテール部後端Arが縮小された拡幅坑用セグメント2eまで達したら、シールド掘削機Aを構成する前記シールド掘削機分割体Ax、Ayを、前記ヒンジ構造の軸を中心にして外側にセグメント1リング当たりの縮幅量相当分だけ内側に回転させることによりシールド掘削機Aの断面を1リング拡幅量相当分だけ縮小させる。そして、並行して、カッター1を駆動装置で回転し、新たに構築した覆工Beを推進装置6で押圧して掘進して拡幅坑用セグメント2eの1リング分だけ掘進する。上記の作業において、シールド掘削機Aの断面の縮小と掘進とを同時並行作業としてもよい。なお、この時シールド掘削機Aのスキンプレート8と土層の間には空隙が生じるが、この空隙は通常の裏込材としての充填材Zを注入し充填するものとする。
以下、セグメント2の縮小組立てと、第1及び第2の外郭分割体7x、7yの縮小と、シールド掘削機Aの掘進とを、所定の縮小断面になるまで繰り返す。
上述する構成によれば、シールド掘削機Aは、外郭7を分割した第1及び第2の外郭分割体7x、7yがヒンジ13を介して連結されることで外郭7の断面が拡大自在に構成されているので、拡大・縮小が回転によるものとなり、拡大の縮小の動作をスムーズに行うことが可能となる。
また、前記分割線11と外郭7との他方の交点11ciを結ぶ切断線が、一方の交点11ccを結ぶ切断線12cc上に設置されたヒンジ13の軸を中心とする円弧に形成された外殻7の範囲内に配置されるから、前記ヒンジ構造を中心としてシールド掘削機Aの左右の略半円筒状の第1のシールド掘削機分割体Ax、及び第2のシールド掘削機分割体Ayを外側、あるいは内側に回転させたとしても当該ヒンジ構造とシールド掘削機底部のスキンプレートの距離は変わらないことから、周方向の長さは変わるもののインバート部自身の形状は変わらない。したがって、トンネルのアーチ部及びアーチ脚部に加えて、インバート部においても、標準坑と拡大坑で同一形状のセグメントが使用することが可能となる。
さらに、外郭分割体が、第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yの左右に二分割されているので、ほぼ断面全体に左右方向に拡大縮小する場合に好適に用いることが可能となる。
また、外郭7が拡大された時の開口部を、前記第1の外郭分割体7x及び前記第2の外郭分割体7yの両者を跨ぐように配置されトンネル掘削機Aの全長に亘って複数連接する肋材14、もしくは、前記第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yの両者を跨ぐように配置されるカバープレート16で閉塞する構成したため、シールド掘削機Aを拡大したときに生じる外殻7の開放部を覆うことができ、掘削時に発生する泥水や泥水、地下水等のシールド掘削機A内への漏洩を防止することが可能となる。また、該開放部に肋材14が配置されることにより、外殻7の補剛部材として機能することとなり、開断面を組み合わせた形状となっているスキンプレート8の剛性及び耐荷力を向上することが可能となる。
このとき、前記肋材14及びカバープレート16に、周方向への押圧力を作用する動力装置15が備えられているから、二つに分割されたシールド掘削機Aに作用する土圧、水圧を釣合わせ、ヒンジ構造の軸を中心に回転させるとともに、円弧の部材に導入された軸力が次第にスキンプレート8、ひいては外殻7に移行することで、当該シールド掘削機Aのスキンプレート8を殼構造として設計可能となるよう境界条件を整え、スキンプレート8の剛性・耐荷力を高めることが可能となる。
また、シールド掘削機Aの分割線11と外郭7との一方の交点11ccが、外郭7の頂部に設けられ、他方の交点11ciが、前記トンネルのインバート部に相当する外郭7上に設けられるから、前記ヒンジ13がクラウン部に備えられていることから、二つの略半円筒状の部分に分割された第1の外郭分割体7x及び第2の外郭分割体7yに作用する土圧、水圧等の一部は、前記ヒンジ構造を介して釣合うことが可能となる。
シールド掘削機Aを構成する第1の外郭分割体Ax及び第2の外郭分割体Ayが水平方向の左右に拡大縮小できるので、拡大断面が左右に広くなり、道路トンネル等の非常駐車帯、分岐合流部用として好適に用いられることとなる。
シールドトンネルの拡大築造方法によれば、隣接するリング間の断面拡大量がセグメント2端面厚さよりも小さいので、拡幅坑用セグメント2eの端面に開口が生じず、この開口を塞ぐための別途の対策を必要としない。
シールドトンネルの縮小築造方法によれば、隣接するリング間の断面縮小量がセグメント2端面厚さよりも小さいので、縮幅坑用セグメント2eの端面に開口が生じず、この開口を塞ぐための別途の対策を必要としない。
本発明に係るシールド掘削機の概略を示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を構成する外殻の断面を示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を構成する外殻の変形状況を示す図である。 本発明に係るシールド掘削機の正面を示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を構成する外殻のクラウン部を示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を構成する外殻に備えられた肋材を示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を構成する外殻に備えられたカバープレートを示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を構成する外郭分割体に備えられた曲線梁の詳細を示す図である。 本発明に係わるシールド掘削機を構成する隔壁に備えられた折板構造を示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を構成するカッターの詳細を示す図である。 本発明に係るセグメントを示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を用いたシールドトンネルの拡大築造方法示す図である。 本発明に係るシールド掘削機を用いたシールドトンネルの縮小築造方法示す図である。
符号の説明
1 カッター
2 セグメント
3 セグメント組立機
4 セグメント形状保持装置
5 カッター駆動装置
6 シールド掘削機推進装置
7 外郭
8 スキンプレート
9 リングガーダー
9f 前方のリングガーダー
9m 中間のリングガーダー
10 隔壁
11 分割線
11cc クラウン部における分割線と外郭との交点
11ci インバート部における分割線と外郭との交点
12cc クラウン部での外郭の切断線
12ci インバート部での外郭の切断線
13 ヒンジ
14 肋材
15 動力装置
16 カバープレート
17 スキンプレートとカバープレートを連結する部材
18 曲線梁
19 隔壁開口部閉塞部材
20 ヒンジ
21 折板構造
22x、22y ヒンジ

A シールド掘削機
Af シールド掘削機のフード部(前部)
Am シールド掘削機の中間部
Ar シールド掘削機のテール部(後部)
Ac シールド掘削機のクラウン部
Aax、Aay
シールド掘削機のアーチ部
Asx、Asy
シールド掘削機のアーチ脚部
Ai シールド掘削機のインバート部
B 覆工
Z 充填材

Claims (11)

  1. 所要断面が標準坑に築造される標準トンネル部と、該標準トンネル部と比較して所要断面が拡大した拡幅坑に築造される拡大トンネル部を、トンネルの掘進方向に連続して築造するシールド掘削機であって、
    前部に前記標準トンネル部及び拡大トンネル部の両者を掘進するカッター、中間部に該カッターの駆動装置、及びシールド掘削機を前進させる推進装置、後部にセグメントで覆工を構築するセグメント組立機を備えるとともに、シールド掘削機本体の外周面を覆う略円筒状のスキンプレート、及びスキンプレート内周面に沿って配置されるリングガーターよりなる外郭と、該シールド掘削機の前部と中間部を区画する隔壁とを備えており、
    該外郭は、その断面を跨ぐように配置される分割線と外郭との交点を結ぶ2本の切断線で二つに分割され、前記隔壁も外郭の断面を跨ぐように配置される分割線で二つに分割されており、該分割線と外郭との交点を結ぶ一方の切断線に、シールド掘削機軸線方向に延在するヒンジが配置され、分割された前記外郭が前記ヒンジを介して連結されることで、該ヒンジを介して外殻の断面が拡大縮小自在に構成されることを特徴とするシールド掘削機。
  2. 請求項1に記載のシールド掘削機において、
    前記分割線と外郭との他方の交点を結ぶ切断線が、前記分割線と外郭との一方の交点を結ぶ切断線に設置されたヒンジの軸を中心とする円弧に形成された前記外殻の範囲内に配置されることを特徴とするシールド掘削機。
  3. 請求項1または2に記載のシールド掘削機において、
    前記外郭が、1対の前記切断線を介して左右に2分割されており、前記一方の切断線に配された前記ヒンジを介して連結された第1の外郭分割体及び第2の外郭分割体により構成され、
    該第1の外郭分割体及び該第2の外郭分割体の各々に、カッターが分割して備えられ、前記シールド掘削機は左右二つのシールド掘削機分割体に分割され、前記ヒンジを介して連結されていることを特徴とするシールド掘削機。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のシールド掘削機において、
    前記分割された外郭が拡大された時に外郭に形成される開口部を閉塞するために、前記外郭には長手方向の形状及び部材長を前記ヒンジを中心とする円弧に形成した複数の肋材が備えられており、
    該肋材は、前記外殻の内周面上で、前記ヒンジを中心とする円弧に形成した所定部位に、長手方向を前記外郭の周方向に沿わせて、前記第1の外郭分割体及び前記第2の外郭分割体の両者を跨ぐように配置されるとともに、
    前記第1の外郭分割体の内周面と重なる肋材の部分を該外殻分割体に固定する該肋材と、前記第2の外郭分割体の内周面と重なる肋材の部分を該外殻分割体に固定する別の該肋材とをトンネル掘削機軸線方向に交互にトンネル掘削機の全長に亘って複数連接することを特徴とするシールド掘削機。
  5. 請求項4に記載のシールド掘削機において、
    前記肋材に、周方向への押圧力を作用させる動力装置が備えられていることを特徴とするシールド掘削機。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載のシールド掘削機において、前記分割された外郭が拡大された時に外郭に形成される開口部を閉塞するために、前記外郭には長手方向を、前記ヒンジを中心とする円弧に形成したカバープレートが備えられており、
    該カバープレートが、前記ヒンジを中心とする円弧に形成した所定部位に、長手方向を前記外郭の周方向に沿わせて、前記第1の外郭分割体及び第2の外郭分割体の両者を跨ぐように配置されることを特徴とするシールド掘削機。
  7. 請求項6に記載のシールド掘削機において、
    前記第1の外郭分割体と、前記第2の外郭分割体の間に、該分割体に周方向への押圧力を作用させる動力装置が備えられていることを特徴とするシールド掘削機。
  8. 請求項1から3のいずれかに記載のシールド掘削機において、
    前記隔壁が第一の隔壁分割体と第二の隔壁分割体とに分割され、前記分割された外郭が拡大された時に、拡大に伴って分割される隔壁に形成される開口部を閉塞するために、前記隔壁の背面には、長手方向の形状と部材長を、その設置位置と前記ヒンジとの距離を半径とする円弧に形成した複数の曲線梁が備えられており、
    該曲線梁が、前記隔壁の背面の前記肋材上で、前記ヒンジを中心とする円弧に形成した所定部位に長手方向前記外郭の周方向に沿わせて、前記第一の隔壁分割体及び前記第二の隔壁分割体の両者とラップするように積み重ねて配置されるとともに、
    前記第一の隔壁分割体の背面と重なる曲線梁の部分を該隔壁分割体に固定する曲線梁と、前記第二の隔壁分割体の背面と重なる曲線梁の部分を該隔壁分割体に固定する別の曲線梁とを鉛直方向に交互に隔壁背面の全高に亘って複数連接することを特徴とするシールド掘削機。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のシールド掘削機において、
    前記分割線と外郭との一方の交点が、外郭の頂部に設けられるとともに、他方の交点が、前記トンネルのインバート部に相当する外郭上に設けられることを特徴とするシールド掘削機。
  10. シールド掘削機の外郭に設けられたヒンジを介して拡大可能な外郭分割体とシールド掘削機前部にカッターを有するシールド掘削機を用いるシールドトンネルの拡大築造方法であって、
    拡大にあたりあらかじめ前記カッターで拡大断面部に沿って余堀掘進するとともに、その余堀部に充填材を充填した後、外郭分割体をセグメントの端面厚さよりも小さい量だけ拡幅して拡大し、拡幅坑用セグメントをセグメントの端面厚さよりも小さい量だけ拡大して組立て、シールド掘削機を掘進させることにより、外郭分割体の拡大と前記セグメントの組立てとシールド掘削機の掘進とを所定の拡大断面になるまで順次繰り返すことを特徴とするシールドトンネルの拡大構築方法。
  11. シールド掘削機の外郭に設けられたヒンジを介して縮小可能な外郭分割体とシールド掘削機前部にカッターを有するシールド掘削機を用いるシールドトンネルの縮小築造方法であって、
    縮小にあたり、縮幅坑用セグメントをセグメントの端面厚さより小さい量だけ縮小して組立て、外郭分割体を縮小するとともに、充填材を縮小にあたって生じる空隙部分に充填してシールド掘削機を掘進することにより、前記セグメントの縮小組立てと外郭分割体の縮小とシールド掘削機の掘進とを所定の縮小断面になるまで順次繰り返すことを特徴とするシールドトンネルの縮小築造方法。
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