JP4191433B2 - 電池とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角形電池の薄型化を可能にする構造を備えた電池とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機やPDAなどの携帯電子機器は、高機能化と共に小型化、薄型化の進展が著しく、それに適用する電池に小型、薄型にして高エネルギー密度であることが要求され、これに対応する電池として扁平角形のリチウムイオン二次電池の需要が増加している。携帯電子機器の最近の傾向は、小型化よりむしろ薄型化の方向にあり、ポケットやバッグに入れやすく、使いやすさを損なうことがないため、薄型化を競う商品も見受けられる。
【0003】
機器の薄型化を達成するためには、その電源である電池により薄型化が要求されるが、現在実用化されている電池ケースの製造方法では薄型化に限度がある。電池ケースは絞り加工や扱き加工によって形成されるので、加工方向の深さに対して開口面積が小さくなるほどに加工が困難になり、極板群を電池ケース内に挿入することも困難になる。現状の扁平角形電池の更なる薄型化を図るためには、電池ケースの構造を根本的に変える必要があり、電池ケースを半殻体に形成し、極板群を収容して後、平板もしくは半殻体の蓋体により電池ケースを閉じる電池構造が開発されている。
【0004】
例えば、特開平9−213286号公報に開示された電池は、半殻体に形成された容器内に極板群を収容し、容器の開口部に蓋板を配し、蓋板の周囲を容器にレーザー溶接することにより容器内を封止している。このような半殻体の電池ケースの大きな開口部を平板で封止する構造は、特開2001−52658号公報にも開示されており、半殻体に形成された電池ケースの開口端に電池蓋が嵌まり合う段差部を形成し、極板群を電池ケース内に収容して後、前記段差部に電池蓋を嵌め込み、電池蓋と電池ケースとをその周囲でレーザー溶接することにより電池ケース内を封止している。
【0005】
また、特開2001−167744号公報に開示された電池は、鍔部を設けた一対の半殻体の部材の凹部内に極板群を収容し、鍔部で両部材を溶接することにより、極板群を収容した両部材の間を封止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記各従来技術において、電池ケースの極板群を収容した凹部を封止するために蓋体の周辺部を半殻体に周囲に溶接する工程はレーザー溶接が用いられている。レーザー溶接は設備コストが高く、レーザーパワーの選択が困難で、パワーが弱いと反射によって熱の吸収率が低くなって溶融させるまでに時間がかかり、パワーを強くすると急激に加熱されるために溶融物が飛散してピンホールやクラックが発生しやすくなる。
【0007】
また、レーザー溶接する部分は、極板群に対する熱影響を軽減させるために電池ケースと蓋体とを突き合わせた端縁でなされるが、電池ケースと蓋体との隙間を溶融物で充填するように溶接されるので、溶接後に窪みが発生しやすく、窪みの発生は溶接強度の低下をまねきやすい問題がある。
【0008】
本発明が目的とするところは、極板群を収容した電池ケースを蓋体で閉じる溶接工法の改良により安価に薄型の電池を構成できるようにした電池及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本願第1発明に係る電池は、金属板を加工して凹部の開口周囲にフランジを設けた半殻体に電池ケースが形成され、前記凹部内に極板群を収容して前記フランジに周辺部を重ね合わせて配設された金属製の蓋板とフランジとの間がシーム溶接により接合されてなる電池であって、凹部の端部に深さを減少させた段差部が形成され、極板群を構成する正極板から引き出される正極リードをリベットに接合し、このリベットの形状に合わせた形状の絶縁用ガスケットを前記段差部の内面と前記リベットの間に介在させ、前記段差部に設けた端子孔に前記リベットの軸部を挿通し、この軸部先端のかしめ部と段差部の外面との間にリング状の絶縁用ガスケットを介在させた状態で、リベット締結により当該リベットを前記段差部に固定して正極外部端子とし、極板群を構成する負極板から引き出される負極リードを前記段差部に接合して、電池ケースが負極外部端子を兼ねるように構成し、かつ前記段差部に電解液注入口を設け、この電解液注入口を密閉する封栓が前記段差部に溶接されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、電池ケースの加工が容易になされ、極板群の収容も容易に行うことができる。この電池ケースの封止は円板電極を回転移動させながら蓋板の溶接を線状に連続形成できるシーム溶接によってなされるので、加工コストが削減でき、極板群に対して悪影響を及ぼすことなく封止加工することができる。
【0011】
また、凹部の端部に深さを減少させた段差部が形成され、この段差部に極板群を構成する正極板及び負極板にそれぞれ接続して外部露出する正極及び負極の外部接続端子を、上記構成のように設けているので、電池の厚さ範囲内で外部接続を行うことができ、小型薄型化された機器での電池接続を容易に実施できる。
【0012】
また、本願第2発明に係る電池の製造方法は、金属板をプレス加工して、凹部と、その周囲にフランジ状に設けた溶接代と、前記凹部内から外部に通じる開口部とを設けた半殻体に電池ケースを形成し、前記開口部にガスケットを介して外部接続端子を取り付けて開口部を封止し、前記外部接続端子に接続した極板群を電池ケース内に収容し、電池ケースの開放部側に蓋板を配して蓋板の周辺部と溶接代との間をシーム溶接して電池ケース内を封止し、電池ケースの任意位置に形成した注入口から電池ケース内に電解液を注入し、前記注入口を封栓により閉じる電池の製造方法であって、前記蓋板又は溶接代に、対向する相手側に向けて突出する線状突出部を連続的に形成し、シーム溶接がプロジェクション溶接を加味してなされるようにし、かつ、極板群を構成する正極板から引き出される正極リードをリベットに接合し、このリベットの形状に合わせた形状の絶縁用ガスケットを前記段差部の内面と前記リベットの間に介在させ、前記段差部に設けた端子孔に前記リベットの軸部を挿通し、この軸部先端のかしめ部と段差部の外面との間にリング状の絶縁用ガスケットを介在させた状態で、リベット締結により当該リベットを前記段差部に固定して正極外部端子とし、極板群を構成する負極板から引き出される負極リードを前記段差部に接合して、電池ケースに負極外部端子を兼ねさせることを特徴とする。
【0013】
上記製造方法によれば、極板群を収容した電池ケースと蓋板との間は円板電極を回転移動させながら溶接を線状に連続形成するシーム溶接によって接合されるので、レーザー溶接による溶融接合と異なり、溶接時に極板群に与える熱影響が少なく、微小な隙間(クラック)が生じることがないので密封性の低下を引き起こすことがなく、安価な装置構成により電池ケースの封止が可能である。
【0014】
また、上記製造方法において、蓋板又は溶接代に、対向する相手側に向けて突出する線状突出部を連続的に形成し、シーム溶接がプロジェクション溶接を加味してなされるようにしているので、接合をより確実に実施することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る電池1の外観形状を示すもので、扁平な角形のリチウムイオン二次電池として構成されたものである。この電池1は、図2に各構成要素に分解して示すように、半殻体に形成された電池ケース2内に極板群4を収容し、電池ケース2の開放部を蓋板3で封止するように構成されている。前記電池ケース2と蓋板3の金属板の材質としては特に限定されるものでなく、ニッケルメッキ鋼鈑、ステンレス、アルミニウム合金を用いることができ、その厚さは0.4mm以下が好ましく、0.1mm〜0.3mmの範囲が好適であり、電池ケース2と蓋板3とは同じ材質のものを用いることがシーム溶接の容易性、信頼性の観点から好ましい。
【0017】
図2に示すように、電池ケース2は、金属板をプレス加工して段差部6を設けた凹部5を形成すると共に、凹部5の周囲にフランジ状に溶接代8を設けて形成される。前記段差部6は正極及び負極の外部接続端子を形成する部位で、ここでは段差部6に形成された端子孔7に外ガスケット11及び内ガスケット12で電池ケース2と絶縁すると共に気密性を確保して正極外部接続端子とするリベット10が締結固定される。また、段差部6には電解液の注入口14が形成されている。
【0018】
前記電池ケース2の凹部5内には、正極板と負極板とをセパレータを介して巻回した極板群4が収容される。図2に示す極板群4の正極板から引き出された正極リード15は前記リベット10に接合され、負極板から引き出された負極リード16は段差部6上に接合される。極板群4の構成は正極板及び負極板の巻回方向を長手方向にして、図4に示すように構成することもできる。図4に示す極板群4aは、正極板と負極板とをセパレータを介して長手方向に巻回し、正極リード15を正極板の終端部(巻端)から引き出し、負極リード16を負極板の終端部(巻端)から引き出したもので、正極リード15のリベット10への接合、負極リード16の段差部6上への接合が容易で、接合の確実性を向上させることができる。
【0019】
極板群4を収容した電池ケース2の開放部上には蓋板3が被せられ、蓋板3の周辺部と前記溶接代8との間がシーム溶接されることにより、電池ケースの凹部5は蓋板3によって封止される。前記シーム溶接は周知のように円板電極を回転移動させながら溶接を線状に連続形成するもので、溶接代8と蓋板3との当接面が溶融したナゲットが連続して形成されるので、凹部5内は封止される。
【0020】
図3に示すように、溶接代8又は蓋板3の溶接線上にプロジェクション(突出部)24を線状に形成しておくと、プロジェクション24とその当接部分に集中的な抵抗発熱が伴い、溶融したとき加圧力により圧し潰されるので、シーム溶接にプロジェクション溶接を加味した確実な溶接がなされる。
【0021】
封止された凹部5内には、前記電解液注入口14から所定量の電解液が注入され、注入完了後に電解液注入口14には封栓13が挿入され、段差部に封栓13を溶接することにより凹部5内は密封される。
【0022】
上記製造手順により製造された電池1は、図1に示すように段差部6上に形成されたリベット10を正極外部接続端子とし、段差部6の面を負極外部接続端子として外部接続の用に供することができる。正極及び負極の外部接続端子が段差部6上に形成されていることにより、外部接続端子に接続したリードを電池1の厚さ内で処理することができる。また、外部接続端子に接触接続させる場合にも電池1の厚さ内に接触構造を構成することができる。従って、薄型に構成した電池1の特質を損なうことなく機器に装着することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明によれば、発電要素を収容する電池容器の構造は、金属板を半殻体に加工した電池ケースの開放部に金属製の蓋体をシーム溶接することによって封止する構造に構成されるので、設備コストや加工コストを少なくして薄型の電池に構成することができる。また、電池の厚さより薄くした段差部上に外部接続端子が形成されているので、電池の厚さ内で接続処理を行うことができ、薄型電池の特質を損なうことなく接続構造を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る電池の外観形状を示す斜視図。
【図2】 同上電池の各構成要素を示す分解斜視図。
【図3】 プロジェクションを設けた構成を示す部分断面図。
【図4】 極板群の別構成を適用した分解斜視図。
【符号の説明】
1 電池
2 電池ケース
3 蓋板
4、4a 極板群
5 凹部
6 段差部
8 溶接代
10 リベット(外部接続端子)
11 外ガスケット
12 内ガスケット
13 封栓
Claims (3)
- 金属板を加工して凹部の開口周囲にフランジを設けた半殻体に電池ケースが形成され、前記凹部内に極板群を収容して前記フランジに周辺部を重ね合わせて配設された金属製の蓋板とフランジとの間がシーム溶接により接合されてなる電池であって、
凹部の端部に深さを減少させた段差部が形成され、
極板群を構成する正極板から引き出される正極リードをリベットに接合し、このリベットの形状に合わせた形状の絶縁用ガスケットを前記段差部の内面と前記リベットの間に介在させ、前記段差部に設けた端子孔に前記リベットの軸部を挿通し、この軸部先端のかしめ部と段差部の外面との間にリング状の絶縁用ガスケットを介在させた状態で、リベット締結により当該リベットを前記段差部に固定して正極外部端子とし、
極板群を構成する負極板から引き出される負極リードを前記段差部に接合して、電池ケースが負極外部端子を兼ねるように構成し、
かつ前記段差部に電解液注入口を設け、この電解液注入口を密閉する封栓が前記段差部に溶接されている
ことを特徴とする電池。 - 極板群の正極板から引き出される正極リードが正極板の終端部に、負極板から引き出される負極リードが負極板の終端部に、それぞれ設けられてなる請求項1に記載の電池。
- 金属板をプレス加工して、凹部と、その周囲にフランジ状に設けた溶接代と、前記凹部内から外部に通じる開口部とを設けた半殻体に電池ケースを形成し、前記開口部にガスケットを介して外部接続端子を取り付けて開口部を封止し、前記外部接続端子に接続した極板群を電池ケース内に収容し、電池ケースの開放部側に蓋板を配して蓋板の周辺部と溶接代との間をシーム溶接して電池ケース内を封止し、電池ケースの任意位置に形成した注入口から電池ケース内に電解液を注入し、前記注入口を封栓により閉じる電池の製造方法であって、
前記蓋板又は溶接代に、対向する相手側に向けて突出する線状突出部を連続的に形成し、シーム溶接がプロジェクション溶接を加味してなされるようにし、
かつ、極板群を構成する正極板から引き出される正極リードをリベットに接合し、このリベットの形状に合わせた形状の絶縁用ガスケットを前記段差部の内面と前記リベットの間に介在させ、前記段差部に設けた端子孔に前記リベットの軸部を挿通し、この軸部先端のかしめ部と段差部の外面との間にリング状の絶縁用ガスケットを介在させた状態で、リベット締結により当該リベットを前記段差部に固定して正極外部端子とし、
極板群を構成する負極板から引き出される負極リードを前記段差部に接合して、電池ケースに負極外部端子を兼ねさせる
ことを特徴とする電池の製造方法。
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