JP4191392B2 - 連結構造体とその連結構造体を備える化粧料容器 - Google Patents

連結構造体とその連結構造体を備える化粧料容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックと、鏡、ガラスあるいは金属材など異質のものとを相互に接続する連結構造体と、この連結構造体を備えた化粧料容器に関し、使用後の廃棄に際して異質な2つの部材を安全かつ簡便な手法でもって相互に分離し、確実な分別回収を実現しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
異質な2つの部材を相互に組合せたものとしては、プラスチックからなる筐体に鏡を貼り合わせた手鏡や装飾として金属プレートを用いた化粧用コンパクト容器あるいは口紅を収納するケース等が知られており、この他にも日用品や家庭用品に数多く見られる。
【0003】
これらのものは、ベース材の両面に粘着層を有する両面テープやホットメルトによって固着されているのが普通である。
【0004】
ところで、近年、資源の有効活用を図る観点から、分別回収の要請が高まるなかで、例えば、合成樹脂製の容器本体と、鏡やガラスなどの異質部材との相互間を固着した化粧料容器につき、それらの異質部材同士を分離して廃棄する必要がある。
【0005】
特に、鏡やガラス等のようにその端縁が肉薄な形状においては、それらを安全に取り離すのは困難である。そこで、この問題に対応すべく、鏡やガラスなどの表面から端縁部分までを保護する受皿状のシートを両側から粘着層で挟んだ連結構造体を介して、合成樹脂製の容器本体と、鏡やガラスなどの異質部材とを一体に固着する技術が、先に本願出願人によって提案されている。
【0006】
ところで、先に提案した連結構造体は、受皿状のシートの表裏両面の2ヶ所に両面テープまたは接着剤などの接着層を設けたものであり、こうした連結構造体により、容器本体および異質部材を受皿状のシートと共に一体に固着していた。
【0007】
しかしながら、こうした連結構造体は、受皿状のシートの表裏両面の2ヶ所に接着層を設けるため、接着層となる両面テープまたは接着剤などを設ける作業が煩雑になるという不都合があり、加えて、両面テープまたは接着剤などの種類によっては、容器本体、受皿状のシート、鏡をそれぞれ分離しにくいという不都合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決すべき課題は、材質の異なる2つの部材同士を安全かつ簡単に分離して分別回収でき、しかも、取り付け作業が簡便な連結構造体とその連結構造体を備えた化粧料容器を提供するところにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る連結構造体は、材質の異なる2つの部材を、その一方の部材の表面から端縁部分にかけて保護する受皿状のシートを介して互いに固着させる連結構造体であって、前記連結構造体は、前記受皿状のシートに、この受皿状のシートの表裏を貫通する開口を設け、当該受皿状のシートの表裏いずれか一方に、この開口の領域から露出して一方の部材に固着すると共に、少なくとも該受皿状のシートの開口を除く領域で他方の部材に固着して、2つの部材を連結する接着層を配設してなるものであることを特徴とするものである。
【0010】
第2発明に係る連結構造体は、上記第1発明において、接着層は、水溶性の粘着剤からなるものであることが好ましい。
【0011】
第3発明に係る連結構造体は、上記第1発明において、接着層は、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層からなり、該粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性の粘着剤からなるものであることが好ましい。
【0012】
第4発明に係る連結構造体は、上記第2発明または第3発明において、ベース層は、吸水性のある材料若しくは水溶性の材料のうちの少なくとも1つよりなるものであることが好ましい。
【0013】
第5発明に係る連結構造体は、水溶性の粘着層は、上記第2発明乃至第4発明のいずれか一発明において、ポリビニルアルコールを主成分とするものであることが好ましい。
【0014】
第6発明に係る化粧料容器は、化粧料を収納する合成樹脂製の容器本体と、この容器本体に一体的に取り付けられる鏡等の異質部材とを、当該異質部材の表面から端縁部分にかけて保護する受皿状のシートを介して互いに固着させる連結構造体を備える化粧料容器であって、連結構造体は、受皿状のシートに、この受皿状のシートの表裏を貫通する開口を設け、当該受皿状のシートの表裏いずれか一方に、この開口の領域から露出して前記容器本体又は前記異質部材の一方に固着すると共に、少なくとも該受皿状のシートの開口を除く領域で前記容器本体又は前記異質部材の他方に固着して、容器本体および異質部材を連結する接着層を配設してなるものであることを特徴とするものである。
【0015】
第7発明に係る化粧料容器は、上記第6発明において、接着層は、水溶性の粘着剤からなるものであることが好ましい。
【0016】
第8発明に係る化粧料容器は、上記第6発明において、接着層は、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層からなり、この粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性の粘着剤からなるものであることが好ましい。
【0017】
第9発明に係る化粧料容器は、上記第7発明または第8発明において、ベース層は、吸水性のある材料若しくは水溶性の材料のうちの少なくとも1つよりなるものであることが好ましい。
【0018】
第10発明に係る化粧料容器は、上記第7発明乃至第9発明のいずれか一発明において、水溶性の粘着層は、ポリビニルアルコールを主成分とするものであることが好ましい。
【0019】
なお第1発明〜10発明に係る連結構造体において、連結構造体が受皿状シートの開口の領域から露出した接着層によって一方の部材と固着すると共に該受皿状のシートの開口を除く領域から露出した接着層によって他方の部材と固着する場合は勿論、連結構造体が受皿状シートの開口の領域から露出した接着層によって一方の部材と固着すると共に該受皿状のシートの開口の領域およびそれ以外を含めた領域から露出した接着層によって他方の部材と固着する場合も含むものとする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う化粧料容器を開放状態で示す外観斜視図、図2はその収納状態を一部断面で示す外観斜視図である。また図3(a)は、連結構造体1を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、図3(b)は、図3(a)の領域Aを示す要部拡大図である。さらに図4は、本発明に従う連結構造体1を図1の化粧料容器に採用した際の分解図である。
【0021】
化粧料容器の容器本体1は、例えばプラスチックの如き合成樹脂からなるものであり、図1に示す如く、化粧料を収納する収納部2と、この収納部2にヒンジ2aを介して揺動可能に連結する蓋体3からなっている。また、符号4は、蓋体3の裏面に配置した例で示した異質部材としての鏡である。
【0022】
連結構造体10は、図4に示す如く、鏡4の裏側表面4fbから端縁部分にかけて保護する受皿状のシート11に、この受皿状のシート11の表裏を貫通する開口11hを設け、この開口11hを通して蓋体3および鏡4を連結する接着層12を配設してなるものである。
【0023】
具体的に、受皿状のシート11は、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる透明な合成樹脂製であって、図4に示す如く、シート11の中心付近に開口11hが形成された極薄肉な波形フィルムである。受皿状のシート11はまた、鏡4の裏側表面4fbから端縁部分4eにかけて保護する枠11wを有し、この枠11wの縁周りの一部には、使用者が指先で保持可能な取っ手11pが形成されている。
【0024】
接着層12は、図3(b)に示す如く、ベース層13と、このベース層13を両側に挟む粘着層14a,14bとを備え、このうち、粘着層14aは水溶性の粘着剤からなる。なお、粘着層14a,14bは、そのうちの少なくとも一方が水溶性の粘着剤であればよく、別の形態として、水溶性の粘着剤を粘着層14aに置き換えたり、粘着層14a,14bの両方を水溶性の粘着剤としてもよい。
【0025】
ベース層13としては、水が全く浸透しないPET樹脂やポリプロピレン等のフィルム材料が使用できるが、水が浸透しやすい多孔質材、スポンジ材、紙、不織布あるいは布などの吸水性の高い材料を使用したり、水溶性の紙やフィルム等の水溶性の材料を使用することも可能であり、このようなベース層によれば、水がベース層を通して粘着層14bに浸透していき、この粘着層14bの溶解が促進され、短時間で鏡4を受皿状のシート11と共に分離することができる。
【0026】
連結構造体10は、蓋体3に鏡4を固着させる際、受皿状のシート11の開口11hから露出した接着層12の粘着層14aによって鏡4を固着させる一方、接着層12の水溶性粘着剤14bによって蓋体3を固着させる。なお、蓋体3と接着層12との関係は、図3(a)に示す如く、開口11hを除く領域Xに露出した水溶性粘着剤14bによって蓋体3を固着させる以外にも、開口11hの領域およびそれ以外を含めた領域X,Yに露出した水溶性粘着剤14bによって蓋体3に固着させてもよい。
【0027】
このため、連結構造体10は、受皿状のシート11の表裏を貫通する開口11hを設け、当該受皿状のシート11の裏面(蓋体3側)に配設した接着層12が、この開口11hの領域から露出して鏡4に固着すると共に該受皿状のシート11の開口11hを除く領域で蓋体3に固着することで、材質の異なる蓋体3および鏡4を受皿状のシート11を介して一体に固着することができる。従って、連結構造体10によれば、従来技術の如く、受皿状シート11の表裏両面の2ヶ所に接着層12を設ける必要がなくなるため、接着層12を設ける作業が簡便になり生産効率の改善を図ることができる。
【0028】
ところで、上掲図1に示したような構成になる化粧料容器においては、その化粧料容器を分別廃棄するため、蓋体3から鏡4を取り外すには、連結構造体10に水溶性の粘着層14bを溶解させる液体(一般的には水)を適量かけるか、あるいは連結構造体10そのものを水に浸す。
【0029】
そうすると、水が受皿状のシート11と水溶性粘着層14bとの間から水溶性粘着層1bへ浸透することにより、粘着層14bがしだいに溶けていき、受皿状のシート11と蓋体3とは簡単に分離することになる。このため、使用者は、取っ手11pを保持して受皿状のシート11と共に鏡4を引き上げることにより、鏡4を蓋体3から安全かつ容易に取り外すことができる。
【0030】
なお蓋体3には、図3(a),(b)に示す如く、受皿状のシート11とのあわせ面3fに水の通路3rを形成しておくことが好ましい。この場合、水溶性粘着層14bに水などの液体が浸透しやすくなるため、蓋体3から鏡4および受皿状のシート11をさらに素早く簡単に分離できる。また図示しないが、受皿状のシート11やベース層13に凹凸を設けて水の通路を形成することも可能である。
【0031】
つまり連結構造体10は、受皿状のシート11の表裏を貫通する開口11hを通して接着層12を配設したことから、図3(a)に示す如く、接着面積が小さく抑えられるため、蓋体3、鏡4、受皿状のシート11をそれぞれ、安全かつ簡単に分離することができる。従って連結構造体10によれば、種類の異なる部材の分別回収を安全かつ簡単に行うことが可能となり資源の有効活用が図れる。特に受皿状のシート11は、鏡4を該鏡4の裏表面4fbから端縁部分4eにかけて保護するものであるから、鏡4の端縁部分4eが肉薄な形状であっても、安全に取り外すことができる。
【0032】
特に本実施形態では、粘着層14bが水溶性の粘着剤からなるものであるから、水などの液体を使用することにより、2つの部材を簡単に分離することができるので、廃棄物の処理が容易になる。
【0033】
また他の実施形態として、接着層12は、本実施形態の如く、ベース層13と、このベース層13を両側に挟む粘着層14a,14bからなるものではなく、既成の粘着剤または水溶性の粘着層だけからなるものであってもよい。特に接着層12が水溶性の粘着層からなるものである場合は、水などの液体を使用することにより、2つの部材を簡単に分離することができるので、廃棄物の処理が容易になる。しかも、この場合は、接着層12が水溶性の粘着剤からなる簡単な構造で済むため、コストを低く抑えることができる。
【0034】
さらに連結構造体10は、他の実施形態として図5の如く、開口11hの領域Yから露出した接着層12によって蓋体3および鏡4を連結したものでもよい。この場合、蓋体3および鏡4との接着面積が必要最小限に抑えられるため、蓋体3、鏡4、受皿状のシート11をそれぞれ、最も簡単に分離することができる。なお、接着層12は、本実施形態の如く、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層からなるもの、或いは、2つの粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性粘着剤からなるもの、さらには、既成の粘着剤または水溶性粘着剤のみからなるものであってもよい。
【0035】
さらに水溶性の粘着層については、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)を主成分とする粘着剤が挙げられる。なお、水溶性の粘着層14bについては、とくに水溶性のものであれば上記成分に限定されることはない。
【0036】
上述したところは、本発明の好適な実施形態を示したに過ぎず、当業者によれば、請求の範囲において、種々の変更を加えることができ、例えば、本発明の連結構造体10は、鏡以外にも、ガラスや金属などの異質部材を取り付ける際に使用してもよい。
【0037】
【発明の効果】
第1発明に係る連結構造体は、受皿状のシートの表裏を貫通する開口を設け、当該受皿状のシートの表裏いずれか一方に配設した接着層が、この開口の領域から露出して一方の部材に固着すると共に、少なくとも該受皿状のシートの開口を除く領域で他方の部材に固着することで、材質の異なる2つの部材を受皿状のシートを介して固着することができる。従って第1発明によれば、受皿状シートの表裏両面の2ヶ所に接着層を設ける必要がなくなるため、接着層を設ける作業が簡便になり生産効率の改善を図ることができる。
【0038】
加えて第1発明は、受皿状のシートの表裏を貫通する開口を通して接着層を配設したことから、接着面積が小さく抑えられるため、材質の異なる2つの部材および受皿状のシートをそれぞれ、安全かつ簡単に分離することができる。従って第1発明によれば、種類の異なる部材の分別回収を安全かつ簡単に行うことが可能となり資源の有効活用が図れる。
【0039】
第2発明によれば、上記第1発明において、接着層は、水溶性の粘着剤からなるものであるから、水などの液体を使用することにより、2つの部材を簡単に分離することができるので、廃棄物の処理が容易になる。しかも、接着層が簡単な構造で済むため、コストを低く抑えることができる。
【0040】
第3発明によれば、上記第1発明において、接着層は、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層からなり、該粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性の粘着剤からなるものであるから、水などの液体を使用することにより、2つの部材を簡単に分離することができるので、廃棄物の処理が容易になる。
【0041】
第4発明によれば、上記第3発明において、ベース層は、吸水性のある材料若しくは水溶性の材料のうちの少なくとも1つよりなるものであるから、2つの部材を簡単に分離することができるので、廃棄物の処理が容易になる。
【0042】
特に本発明に係る連結構造体を化粧料容器に用いれば、その効果が最も顕著に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う化粧料容器を開放状態で示す外観斜視図である。
【図2】 同化粧料容器の収納状態を一部断面で示す外観斜視図である。
【図3】 (a)は、本発明に従う連結構造体を図1の化粧料容器に採用した際の断面図であり、(b)は、(a)の領域Aを示す要部拡大図である。
【図4】 本発明に従う連結構造体を図1の化粧料容器に採用した際の分解図である。
【図5】 本発明に従う連結構造体の他の実施形態を図1の化粧料容器に採用した際の断面図である。
【符号の説明】
1 化粧料容器
2 収納部
2a ヒンジ
3 蓋体(容器本体)
4 鏡
10 連結構造体
11 受皿状のシート
11h 開口
11p 取っ手
11w 枠
12 接着層
13 ベース層
14a 粘着層
14b 水溶性粘着層

Claims (10)

  1. 材質の異なる2つの部材を、その一方の部材の表面から端縁部分にかけて保護する受皿状のシートを介して互いに固着させる連結構造体であって、
    前記連結構造体は、前記受皿状のシートに、この受皿状のシートの表裏を貫通する開口を設け、当該受皿状のシートの表裏いずれか一方に、この開口の領域から露出して一方の部材に固着すると共に、少なくとも該受皿状のシートの開口を除く領域で他方の部材に固着して、2つの部材を連結する接着層を配設してなるものであることを特徴とする連結構造体。
  2. 前記接着層は、水溶性の粘着剤からなるものである、請求項1に記載の連結構造体。
  3. 前記接着層は、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層からなり、該粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性の粘着剤からなるものである、請求項1に記載の連結構造体。
  4. ベース層は、吸水性のある材料若しくは水溶性の材料のうちの少なくとも1つよりなるものである、請求項2または3記載の連結構造体。
  5. 前記水溶性の粘着層は、ポリビニルアルコールを主成分とするものである、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の連結構造体。
  6. 化粧料を収納する合成樹脂製の容器本体と、この容器本体に一体的に取り付けられる鏡等の異質部材とを、当該異質部材の表面から端縁部分にかけて保護する受皿状のシートを介して互いに固着させる連結構造体を備える化粧料容器であって、
    該連結構造体は、前記受皿状のシートに、この受皿状のシートの表裏を貫通する開口を設け、当該受皿状のシートの表裏いずれか一方に、この開口の領域から露出して前記容器本体又は前記異質部材の一方に固着すると共に、少なくとも該受皿状のシートの開口を除く領域で前記容器本体又は前記異質部材の他方に固着して、前記容器本体および前記異質部材を連結する接着層を配設してなるものであることを特徴とする化粧料容器。
  7. 前記接着層は、水溶性の粘着剤からなるものである、請求項6に記載の化粧料容器。
  8. 前記接着層は、ベース層とこのベース層を両側に挟む粘着層からなり、該粘着層のうちの少なくとも一方が水溶性の粘着剤からなるものである、請求項6に記載の化粧料容器。
  9. 前記ベース層は、吸水性のある材料若しくは水溶性の材料のうちの少なくとも1つよりなるものである請求項7または8記載の化粧料容器。
  10. 前記水溶性の粘着層は、ポリビニルアルコールを主成分とするものである、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の化粧料容器。
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